特許第6618984号(P6618984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618984ボンド層での一体化された温度検知を有する接合アッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618984
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ボンド層での一体化された温度検知を有する接合アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191202BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20191202BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   G01N21/64 Z
   G01N21/64 B
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-501278(P2017-501278)
(86)(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公表番号】特表2017-527987(P2017-527987A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】US2015039306
(87)【国際公開番号】WO2016007462
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】62/021,937
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502137880
【氏名又は名称】ワトロー エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】バーゲン, ジョン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ, ダリル ジー.
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−074251(JP,A)
【文献】 米国特許第6481886(US,B1)
【文献】 特表2002−520587(JP,A)
【文献】 特表2014−529910(JP,A)
【文献】 特開2005−159018(JP,A)
【文献】 特表2009−509356(JP,A)
【文献】 特表2010−503231(JP,A)
【文献】 特開2011−009351(JP,A)
【文献】 特開平10−048063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G01N 21/64
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、
前記第1の部材に近接して配置されている第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材の間に配置されて前記第2の部材を前記第1の部材に固定し、燐光材料を備えているボンド層であって、単一の層からなり、前記燐光材料が当該ボンド層の一部である、ボンド層と、
前記ボンド層に近接して配置されている少なくとも1つの光学的センサであって、当該光学的センサの視野内の前記ボンド層の温度を検知するようにされた光学的センサと、
を備えているアッセンブリ。
【請求項2】
前記第1の部材が静電チャックであり、前記第2の部材が半導体加工での支持体アッセンブリ用の加熱板である、請求項1に記載のアッセンブリ。
【請求項3】
少なくとも1つの加熱要素が前記加熱板に埋め込まれている、請求項2に記載のアッセンブリ。
【請求項4】
少なくとも1つの加熱要素が前記加熱板に固定されている、請求項2に記載のアッセンブリ。
【請求項5】
前記光学的センサからの信号を受信して処理し、前記ボンド層内の温度を前記燐光材料の減衰率に従って判定し、それに応じて前記少なくとも1つの加熱要素を制御するようにされた制御部を更に備えている、請求項3又は請求項4に記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記加熱板に近接して配置されているチューニング層を更に備えている、請求項2から請求項5の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記光学的センサが前記ボンド層の下面を観測するように配置されている、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記第2の部材を貫いて延びる開口を更に備えており、前記光学的センサが前記開口内に配置されている、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項9】
前記燐光材料が、前記開口と整列されている前記ボンド層の少なくとも1つの部分を備えている、請求項8に記載のアッセンブリ。
【請求項10】
前記燐光材料が、前記ボンド層の全体の少なくとも一部分を備えている、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項11】
前記燐光材料が、前記ボンド層の少なくとも一部分に混合されている燐光粉末を備えている、請求項1から請求項10の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項12】
前記光学的センサの少なくとも一部分が前記ボンド層に埋め込まれている、請求項1から請求項11の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項13】
前記ボンド層がシリコンエラストマーを備えている、請求項1から請求項12の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項14】
前記ボンド層がセラミックエポキシを備えている、請求項1から請求項12の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項15】
前記ボンド層が感圧接着剤である、請求項1から請求項12の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項16】
前記ボンド層が、重量パーセントで、
おおよそ75%からおおよそ99%のシリコン、及び
おおよそ1%からおおよそ25%の燐光粉末、
の組成を備えている、請求項11に記載のアッセンブリ。
【請求項17】
前記光学的センサが光ファイバーを備えている、請求項1から請求項16の何れか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項18】
前記静電チャックと前記加熱板の間に配置されている前記燐光材料を備える前記ボンド層が第1のボンド層であり、
当該アッセンブリが、
前記燐光材料を観測するために位置付けられている光学的センサと、
前記加熱板に近接して配置されている冷却板と、
前記加熱板と前記冷却板の間に配置されている第2のボンド層と、
を更に備えている、請求項2に記載のアッセンブリ。
【請求項19】
静電チャックの温度を検知及び制御する方法であって、
少なくとも一部分に燐光材料を備えている単一の層からなるボンド層であって、前記燐光材料が当該ボンド層の一部であるボンド層を前記静電チャックと加熱板の間に準備する段階と、
前記ボンド層に近接して光学的センサを位置付ける段階と、
前記燐光材料から発せられる光の減衰率に関する前記光学的センサからの信号を受信する段階と、
前記光学的センサから受信された前記信号に基づいて前記ボンド層の温度を判定する段階と、
前記加熱板の前記温度を制御する段階と、
を含む方法。
【請求項20】
制御部が、ある範囲の前記燐光材料の減衰率を相関する範囲の前記静電チャック温度に関連付けるように、前記制御部を較正する段階を更に備えている、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年7月8日出願の米国仮特許出願第62/021,937号の合衆国法典第35巻第119条(e)の下での出願期日の恩典を主張し、それらの内容全体をこれにより参考文献としてここに援用する。
【0002】
本開示は、概括的には加熱アッセンブリに関し、より詳しくは、一例として半導体加工装置での静電チャック及び基板を含むその様なアッセンブリのための温度検知及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
この項の記述は本開示に関係のある背景情報を提供しているにすぎず、先行技術を構成しているとは限らない。
【0004】
加熱アッセンブリは、限られた空間を有する用途及び精密な制御を要する用途でよく使用される。半導体加工の技術では、例えば、基板(又はウェーハ)を保持して加工中の基板に対して均一な温度プロファイルを提供するためにチャック又はサセプターが使用されている。
【0005】
図1を参照すると、静電チャックのための先行技術による支持体アッセンブリ110が示されており、それは、埋め込み電極114を有する静電チャック112と、接着剤層118を介して静電チャック112に貼り合わされている加熱板116と、を含んでいる。加熱板116にはヒーター120が固定されており、このヒーター120は、例えばエッチング加工された箔ヒーターである。このヒーターアッセンブリは更に接着剤層124によって冷却板122に接合されている。基板126が静電チャック112上へ配置されてから、電極114が電流源(図示せず)に接続されて静電力が発生し、これによって基板126がその位置に保持される。静電チャック112へは無線周波数(RF)電力源(図示せず)が接続され、支持体アッセンブリ110を取り囲んでいるチャンバは接地される。ヒーター120は、こうして、基板126上に材料を蒸着するときや基板126上の薄膜をエッチングするときに必要な熱を基板126へ提供する。このようにして、ヒーター120は、材料が基板126の上に蒸着されるときや基板126からエッチングされるときに必要な熱を基板126へ提供する。
【0006】
基板126の加工中、エッチングされている基板126内のばらつきを低く抑えるには静電チャック112の温度プロファイルが極めて均一であることが重要である。用途の中でも特に半導体加工の技術においては温度均一性を向上させるための改善された装置及び方法が兼ねてより望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/021,937号
【特許文献2】米国特許第4,652,143号
【特許文献3】米国特許第4,776,827号
【特許文献4】米国特許公開第2013/0161305号
【発明の概要】
【0008】
ここに提供されている説明から適用可能性の更なる分野が明らかになるであろう。説明及び特定の実施例は例示のみが目的であり、本開示の範囲を限定する意図はないものと理解されたい。
【0009】
本開示の1つの形態では、第1の部材と、第1の部材に近接して配置されている第2の部材と、を備えるアッセンブリが提供されている。第1の部材は静電チャック又は基板の形態をとっていてもよい。第2の部材は加熱板の形態をとっていてもよい。アッセンブリは第1の部材と第2の部材の間に配置されているボンド層を更に備えている。ボンド層は第2の部材を第1の層に固定しており、ボンド層の少なくとも一部分は燐光材料で構成されている。アッセンブリは、更に、第1の部材の温度を検知するためボンド層に近接して配置されている光学的センサを含んでいる。
【0010】
本開示の別の形態では、静電チャックと、静電チャックの下方に配置されている加熱板と、を備える静電チャック支持体アッセンブリが提供されている。支持体アッセンブリは、静電チャックと加熱板の間に配置されている第1のボンド層を更に備えている。第1のボンド層の少なくとも一部分は燐光材料を備えている。支持体アッセンブリは、更に、第1のボンド層の燐光材料で構成されている部分を観測するように位置付けられている光学的センサを備えている。支持体アッセンブリは、更に、加熱板に近接して配置されている冷却板と、加熱板と冷却板の間に配置されている第2のボンド層と、を含んでいる。
【0011】
本開示の更に別の形態では、静電チャックの温度を検知及び制御する方法であって、静電チャックと加熱板の間にボンド層を準備する段階を備える方法が提供されている。ボンド層の少なくとも一部分は燐光材料を備えている。この方法は、光学的センサをボンド層に近接して位置付ける段階、及び燐光材料から発せられる光の減衰率に関する光学的センサからの信号を受信する段階、を更に備えている。この方法は、光学的センサから受信された信号に基づいてボンド層の温度を判定する段階、及び加熱板の温度を制御する段階、を更に備えている。
【0012】
開示が十分に理解されるために、一例として与えられているその様々な形態をこれより添付図面を参照しながら説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の静電チャックの立面側面図である。
図2】一形態に係るアッセンブリの側面断面図であり、本開示の原理に従って構築されている、基板、静電チャック、ボンド層、加熱板、及び光学的ンサを示す図である。
図3】別の形態のアッセンブリの側面断面図であり、本開示の原理に従って構築されている、基板、静電チャック、加熱板、冷却板、2つのボンド層、及び2つの光学的センサを示す図である。
図4】更に別の形態のアッセンブリの側面断面図であり、本開示の原理に従って構築されている、基板、静電チャック、ボンド層、及びアッセンブリの側面に配置されている開口を有する加熱板を示す図である。
図5】別の形態のアッセンブリの部分平面図であり、本開示の原理に従って構築されている加熱要素及び光学的センサを示す図であるしている。
図6】時間に対する燐光材料の輝度の一例を示すグラフである。
図7】減衰率を静電チャックの温度に相関付ける制御部によって使用される較正データの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここに説明されている図面は例示のみが目的であり、本開示の範囲を如何様にも限定するものではない。
【0015】
次に続く説明は本質的に例示にすぎず、本開示、適用、又は使用を限定しようとするものではない。
【0016】
一般に、光ファイバーセンサでは、光源を使用して燐光材料に光を短時間照射し、燐光材料がそれに応答して発する光放射を光信号コンディショナを使用して検知する。燐光放射の減衰率はその温度に比例し、したがって対象物の温度を判定できる。その様な光ファイバーセンサは、例えば米国特許第4,652,143号及び同第4,776,827号に更に詳細に示されており、それら特許をこれにより参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0017】
ここで使用されているように、「光学的センサ」という用語は、燐光材料の温度を検知及び判定するのに使用される光ファイバー光導体と光信号コンディショナの両方を意味すると解釈されたい。
【0018】
図2を参照すると、基板12、静電チャック14、加熱板20、及び静電チャック14と加熱板20の間に配置されているボンド層16、を備えるアッセンブリ10が示されている。ボンド層16は、加熱板20を静電チャック14に固定していて、光学的に透明なマトリクス27内に配置されている燐光材料26を備えている。マトリクス27は、シリコンボンディング材料の様な実際のボンド材料であってもよい。代わりに、燐光材料26はマトリクス27と混合され、次いでこの複合材料をボンド層16の材料と組み合わせてもよい。さらに、燐光材料26は、ボンド層16とは別々のマトリクス27を有するか又は有さないで、ボンド層16の全体に亘って均一に混合されていてもよいし、又はボンド層16の全体に亘って特定の区域にのみ位置していてもよい。加えて、ここに示されている特定の説明図は本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0019】
1つの形態では、加熱板20は、更に、ボンド層16の下面28の燐光部分を光学的センサ24に対して露出させる開口22を画定しており、当該開口22内に光学的センサ24が配置されている。動作時、光学的センサ24は燐光材料26に光を照射し、次いで静電チャック14及び基板12に伝導によって熱的に結合されたボンド層16の温度を判定するために燐光材料26の減衰からの光を受信する。この情報は、静電チャック14及び基板12の温度を判定及び制御する制御部54へ送信される。
【0020】
加熱板20は静電チャック14に対する支持を提供している。それは、更に、静電チャック14の温度を変えるのに使用することのできる1つ又はそれより多い加熱要素18を内蔵していてもよい。加熱板20は金属又は別の熱伝導性材料で作製される。
【0021】
ボンド層16は加熱板20を静電チャック14に固定している。それは、シリコンエラストマー、感圧接着材、ガラスフリット、セラミックエポキシ、又はインジウム層、の様な数多くの物質から作ることができる。ボンド層16は、加熱板20と静電チャック14とをアッセンブリ10の動作温度範囲の全体を通して有効に固定することができなくてはならず、尚且つ適用に先立って燐光材料26を組み入れることができなくてはならない。ボンド層16は、ダウコーニング社によって製造されているSylgard(登録商標)184ブランドのシリコン化合物の様な透明で熱伝導性のエラストマー系材料で作ることもできる。接着性は、結合面に下塗剤を添加することで改善することができる。様々な光学的に透明なシリコンエラストマーを、ボンド強度、温度範囲、熱伝導性、粘度、デュロメーター、硬化時間、及びボンド層16の厚さ、についての要件に応じて使用することができるであろう。
【0022】
燐光材料26はボンド層16の中に混合され、混合後もその燐光特性を維持することができなくてはならない。燐光材料26は、約1ミクロンから約100ミクロンのサイズとしてもよい小さい粒子サイズの粉末で作られていれば、ボンド層16へより容易に混合できる。ボンド層16の材料に対する燐光材料26の混合比は用途の要件に依存する。おおよそ25重量%の様な高い燐光材料濃度からはより高い信号強度が得られる。代わりに、向上したボンド強度及び弾力性は、おおよそ1重量%の様なより低い燐光材料濃度比で実現することができる。
【0023】
燐光材料26は、概して、従来型のLED源によって励起させることのできる無機燐光体である。適した燐光材料26の例としては、例えば、Al:Cr3+、Mg28Ge1048:Mn4+、又はMgFGeO:Mn4+がある。これらの特定の化合物は一例にすぎず、燐光材料26として使用され得る化合物の範囲を限定するものと解釈されてはならない。概して、本願では、採用され得る化合物は、約380nmから約650nmの間の吸収帯及び約500nmから約950nmの間の励起帯を、用途に要求される温度範囲に亘って温度に対する強い時間減衰依存性と共に呈するものである。所与の温度でのより短い減衰時定数を有する選択された材料であれば、より速い更新速度を可能にするかもしれない。様々な他の材料を採用することもでき、温度範囲、燐光減衰率、費用、及び商業的入手可能性に基づいて選択されてもよい。
【0024】
燐光材料26をボンド層16に混合するプロセスは、燐光材料26がボンド層16の一部分にのみ配置されることになるのか又はボンド層16の全体に配置されることになるのかに依る。燐光材料26をボンド層16全体に混合する場合には、ボンド層16の材料が混合される際に燐光粉末を添加すればよい。また一方、燐光材料26をボンド層16の材料の一部分にのみ配置させる場合には、ボンド層16の材料を加熱板20か又は静電チャック14のどちらか一方へ最初に塗布しておくのが望ましいであろう。その後に燐光材料26をボンド層16の光学的センサ24と整列するところに、例えば加熱板20の開口22と整列するところに混合すればよい。随意的に、燐光材料26は、全体としてのボンド層16が塗布された後に、ボンド層16の特定の場所に混合されてもよい。
【0025】
図3を参照すると、別の実施可能な形態のアッセンブリ30の断面が示されている。図2の形態と同様に、この形態は、基板12、静電チャック14、加熱要素18と光学的センサ24を配置させる開口22とを有する加熱板20、及び加熱板20と静電チャック14の間の、燐光材料26を備える第1のボンド層16、を含んでいる。但し、図3は冷却要素36を有する追加の冷却板34を示している。加熱板20と冷却板34の間には第2のボンド層32がある。
【0026】
冷却板34は、加熱板20及び静電チャック14からの熱を冷却板34へ伝達する。冷却板34は金属か又は効率的に熱を伝導する別の材料で作ることができる。冷却板34の冷却要素36は対流熱伝導を提供するように流体通路を備えていてもよい。冷却板34は更に第1の開口22及び第2の開口40を画定している。冷却板34の第1の開口22は加熱板20によって画定されている開口22と整列されて、第1のボンド層16を観測するために光学的センサ24を開口22に配置できるようにしている。第2の開口40は、燐光材料26を備えている第2のボンド層の下面50の燐光部分と整列されていてもよい。
【0027】
第2の光学的センサ38を第2の開口40に配置し、燐光材料26に光を照射して燐光材料26の減衰率を観測するようにしてもよい。この情報は、2つのボンド層16、32における熱勾配をモデル化し、静電チャック14及び加熱板20の加熱又は冷却の速度をより高精度で制御するのに使用することができる。第2の光学的センサ38又は更なる追加的な光学的センサ(図示せず)が、必要に応じて更なる精度又は冗長性のために採用されてもよい。更に理解しておくべきこととして、本開示のこの形態での光学的センサ24、38は示されている様に開口22、40内に配置されている必要はなく、これは例示にすぎず、燐光材料を有しているボンド層に対する光学的センサの構成を限定するものと解釈されてはならない。
【0028】
第2のボンド層32は第1のボンド層16と同様の範囲の材料で作ることができる。同じく、第2のボンド層32の一部分に混合することのできる燐光材料26の範囲は第1のボンド層16と同様であってもよい。
【0029】
加えて、アッセンブリ30は、基板12の温度に対する高精度な制御を実現するため追加のチューニング層(図示せず)を備えていてもよい。このチューニング層は、加熱板20の加熱要素に加えて基板14の熱分布を細かく調整するのに使用される追加的な加熱要素を備えていてもよい。その様なチューニング層の組成、機能、及び集積化は、一例として、本願と同一の出願人が所有する米国特許公開第2013/0161305号及びその関連出願群に見出すことができ、それらの内容全体をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0030】
図4を参照すると、更に別の形態のアッセンブリ48の断面が示されている。図2と同様に、この形態は、基板12、静電チャック14、加熱要素18を有する加熱板20、及びボンド層16、を含んでいる。但し、図4に示されている形態は、アッセンブリの側面に開口44を画定している加熱板20を有している。この開口の中に、ボンド層16のプロファイルを観測するため光学的センサ24が配置されている。ボンド層16の一部分だけが燐光材料26を含有しているかもしれないが、図4のボンド層16の周辺部の少なくとも一部分は燐光材料26を備えている。これにより、光学的センサ24が、ボンド層46の外周の周りのどこかに配置されるか又はボンド層46内に埋め込まれて、当該領域のボンド層46を観測して静電チャック14の温度を測定することができる。或る追加の形態では、光学的センサ24は物理的にボンド層16の外に留まっているのではなく光学的センサ24そのものがボンド層16内に埋め込まれている。
【0031】
加熱板20は、少なくとも2通りのやり方でボンド層46の側面に開口44を画定することができる。図4に示されている様に、加熱板20は、静電チャック14の一部分を包囲するように加熱板20の基部より上に立ち上がっている側壁42を含んでいてもよい。この側壁42が、部分的に基部20の周りを周方向に配列されていてもよいし、又は加熱板20の基部を完全に一周していてもよい。加熱板20の開口44は、静電チャック14と加熱板20の基部との間の空間のボンド層46を露出させる、この側壁42の孔45によって画定されていてもよい。
【0032】
代わりに、光学的センサ24は、側壁42無しで加熱板20の基部上に配置されて、ボンド層46のプロファイルを観測するようにしてもよい。その様な構成では、開口44は静電チャック14と加熱板20の間の空間によって画定されることになる。
【0033】
図5を参照すると、更に別の形態のアッセンブリ58のための加熱板20の部分平面図が示されている。この形態では、加熱要素18の1つの実施可能な構成が示されている。加えて、数多くの開口22が加熱板20上に示されて、光学的センサ24を配置させることのできる位置を指し示している。更に、光学的センサ24が加熱板20の外周の周りに示され、さらに制御部54及び加熱要素の電力供給部56も示されている。
【0034】
図5に示されている加熱要素18は単一の抵抗加熱要素18を備えており、これは加熱板20の表面を覆うように均等に離間した形で配列されている。抵抗加熱要素18の両端はワイヤ52によって電力供給部56へ接続されている。代わりに、加熱要素は個別の加熱要素として配列されていて、加熱板20の表面60の個別領域又は個別帯域を覆うようになっていてもよい。これらの加熱要素は、ワイヤ52によって、直列又は並列に若しくは他の回路構成で電力供給部56へ接続されていてもよい。加えて、中でも特に積層式、Kapton(登録商標)、及びセラミックの様な種々のヒーターの形式に加え、加熱要素の様々な配列を、本開示の範囲内に留まりながらも採用することができ、而してここでの特定の例示及び説明は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0035】
加熱板20の表面上及び加熱板20の外周の周りに画定されている複数の開口22によって、静電チャック14の温度を測定するときの融通性及び冗長性がもたらされる。各開口22は、静電チャック14の多くの部分の定常的な温度監視を提供するように光学的センサ24のアレイによって占められていてもよい。代わりに、より少ない光学的センサ22を任意の開口に挿入し又は任意の開口から除去して、必要に応じて静電チャック14の特定の区域を監視するようにしてもよい。
【0036】
図6を参照すると、ボンド層16に混合された燐光材料26の減衰を光学的センサ24がどの様に測定するかの一例としてのグラフが示されている。最初に、光学的センサ24は光のパルスを照射することによって燐光材料26を励起する。すると燐光材料26は判定可能な輝度を有する燐光放射を発し、その輝度はある期間に亘って減衰してゆく。光学的センサはこの輝度減衰率を使い、時定数(τ)を式l(t)=l-kt/τに従って判定する。ここで、lは輝度、tは時間、そしてkは定数値である。燐光放射の時定数(τ)は固有の燐光材料26に依存する。
【0037】
アッセンブリ10は、使用に先立って(単数又は複数の)光学的センサ24及び制御部54と共に較正されるようになっていてもよい。結果として、制御部54は燐光材料26の減衰の時定数に関する情報を受信し、ボンド層16の様々な光学的センサの場所での温度を判定することができる。
【0038】
図7を参照すると、アッセンブリ10のための制御器54を較正するのに使用することのできるデータの一例を与えるグラフが示されている。制御部54は、燐光材料26の減衰率を静電チャック14又は基板12の温度に関連付けるように構成されていてもよい。以上に論じられている様に、ボンド層16の温度は、ボンド層16内の燐光材料26の減衰率を観測することによって判定することができる。実験的使用又は熱力学的モデル化を通じ、静電チャック14の温度をボンド層16の温度から予測させることもできる。従って、制御部54は、減衰率の範囲を静電チャック14の温度の相関範囲に関連付けるように較正される。必要であれば、同様のプロセスを用いて基板12の温度を予測することもできる。制御部54が静電チャック14の温度を判定すると、制御部54は、必要に応じて、電力供給部56に修正を加えて加熱要素18の出力を変更させ、静電チャック14の温度を調節することもできる。
【0039】
本開示は本質的に例示にすぎず、而して開示の要旨から逸脱しない変型は本開示の範囲内にあるものとする。例えば、複合ボンド層(即ち、ボンド材料と燐光材料を有しているものであって、別体の結着剤の有無は問わない)は、温度検知が所望されているアッセンブリの何れの部材間に採用されてもよく、それらの部材が、加熱要素、冷却要素、それらの組合せ、又は他の機能的部材、として機能しているかどうかを問わない。その様な変型は本開示の精神及び範囲からの逸脱とは見なされない。
【符号の説明】
【0040】
10 アッセンブリ
12 基板
14 静電チャック
16 ボンド層
18 加熱要素
20 加熱板
22 開口
24 光学的センサ
26 燐光材料
27 光学的に透明なマトリクス
28 ボンド層下面
30 アッセンブリ
32 ボンド層
34 冷却板
36 冷却要素
38 光学的センサ
40 開口
42 側壁
44 開口
45 孔
46 ボンド層
48 アッセンブリ
50 ボンド層下面
52 ワイヤ
54 制御部
56 電力供給部
58 アッセンブリ
60 加熱要素表面
110 先行技術による支持体アッセンブリ
112 静電チャック
114 埋め込み電極
116 加熱板
118 接着剤層
120 ヒーター
122 冷却板
124 接着剤層
126 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7