【課題を解決するための手段】
【0011】
リグニンは、様々な植物の木質細胞壁に強度および剛性を提供するフェノールポリマーの複雑な群から構成される木質植物の構成要素である。リグニン分子は、複雑であり、まだ完全には理解されていない。リグノスルホネートは、例えば、木材パルプ化プロセスにおいて、より具体的には重亜硫酸/亜硫酸の塩を用いてスルホン化によってリグニンから得られる。スルホネート錯体は、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、またはナトリウムと会合している場合がある。リグニンおよびその誘導体は、いくつかの利点、例えば、再生可能性、生分解性、低コスト、利用可能な供給源などを有する。リグノスルホネートは、分散剤として、かつコンクリートの凝固を遅延させるためにコンクリート産業において使用されている。これらは、石油採掘における添加剤、染料の分散剤、洗浄剤として、および接着剤の製造におけるフェノールの部分的代替品として使用される場合がある。リグノスルホン酸ナトリウムは、再循環冷却水システムにおける浸食およびスケール形成を阻害することにおいて潜在的に有用である。一部の用途では、リグノスルホン酸塩は、ある特定のアミンと反応させられて色素(例えば、US−5989299を参照)または分散剤を形成する。US−4130515には、リグノスルホン酸塩のメラミンおよびホルムアルデヒドとの共重合によって生成されるリグニンベース樹脂結合剤が開示されている。
【0012】
本発明は、ここで、特許請求の範囲による、ポリフェノール性
高分子化合物およびポリアミン官能性化合物、ならびに/またはこれらの反応生成物を含む水性硬化性結合剤組成物を提供する。用語ポリフェノール性
高分子化合物は、本明細書では、多数のフェノールラジカルまたはポリヒドロキシベンゼンラジカル、例えば、カテコールラジカル(ジヒドロキシベンゼン)を持つ
高分子化合物、好ましくは本質的に天然の
高分子化合物、または天然
高分子化合物に由来する
高分子化合物を示す。このようなポリフェノール性
高分子化合物の例は、リグノスルホン酸塩および縮合型タンニン、ならびにこれらの混合物である。
【0013】
リグノスルホン酸塩は、有利には、リグノスルホン酸カルシウム、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸アンモニウム、リグノスルホン酸マグネシウム、およびこれらの混合物から選択され得る。
【0014】
タンニンは、植物中に一般に見いだされる。本発明による目的の化合物は、ポリフェノール性
高分子化合物を含み、したがって本質的に縮合型タンニンであり得る。
【0015】
本発明によれば、ポリアミン官能性化合物は、第一級および/または第二級および/または第三級および/または第四級アミン官能基を含み、ジアミン、トリアミン、テト
ラミン、ペン
タミン、およびポリマーポリアミン(plolyamines)またはポリイミンから選択され得る。例は、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレンテト
ラミン、ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリエーテルアミン、ポリリシン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、プトレシン、テトラエチルメチレンジアミン、およびトリエチレンテト
ラミンである。当業者に公知であるように、いくつかの異なるタイプのポリエチレンイミン、例えば、直鎖状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、およびデンドリマー型ポリエチレンイミンなどが利用可能である。同様に、ポリエーテルアミンは、直鎖状形態および分枝状形態を示すことができ、すべてが結合剤組成物、したがって本発明の結合剤の生成に適していると考えられる。
【0016】
ポリフェノール性
高分子化合物とポリアミン官能性化合物の比は、98:2〜70:30w%、好ましくは95:5〜80:20w%の範囲である。
【0017】
好ましくは、
高分子(macromelules)上の反応基とアミン成分中の反応性アミノ基の比は、10:1〜1:1の範囲内であり得る。
【0018】
好適な結合剤組成物は、リグノスルホン酸塩、好ましくはリグノスルホン酸アンモニウムまたはリグノスルホン酸カルシウムもしくはリグノスルホン酸マグネシウム、およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)などのジアミンを含む。
【0019】
好ましくは、このような結合剤組成物は、天然および/または合成起源のポリマーなどのマトリックスポリマーをさらに含む。これらのポリマーは、結合剤配合物中の活性充填剤として作用することができ、分子内および分子間鎖相互作用を形成し得る。天然由来ポリマーは、有利には、セルロースおよびその誘導体、例えば、セルロースエーテルおよびエステル誘導体などから選択され得る。セルロースエーテル誘導体は、カルボキシメチル化、カルボキシエチル化、およびカルボキシプロピル化によって調製することができる。好適なセルロースエーテル誘導体の例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、トリチルセルロースなどである。セルロースエステル誘導体は、セルロースのエステル化によって調製することができる。エステル誘導体としては、セルロースの酢酸エステル、酪酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、およびアントラニル酸エステル、好ましくは、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、スクシノイルセルロース、フオロ酸セルロース(cellulose fuoroate)、カルバニリド酸セルロース(cellulose carbanilate)、およびこれらの混合物が含まれる。いくつかの結合剤組成物では、カチオン性セルロース誘導体が使用され得る。いくつかの結合剤組成物は、他の多糖、例えば、アルギネート、デンプン、キチンおよびキトサン、アガロース、ヒアルロン酸、ならびにこれらの誘導体もしくはコポリマー(例えば、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー)、またはこれらの混合物を含み得る。
【0020】
合成由来ポリマーとして、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニル、および/もしくはこれらのコポリマー、ならびに脂肪族イソシアネートオリゴマー、1つもしくは複数のアゼチジニウム基を含有する化合物、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0021】
一実施形態では、結合剤配合物は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、もしくはポリアクリルアミド、またはこれらの混合物を含み得、これらは、異なる量で存在し得る1種または複数の、典型的には2種または3種のモノマーの重合から形成することができ
る。好ましくはモノマーの1種は、置換アルキルメタクリレートまたはアクリレートモノマーである。置換アルキル官能基のアルキル基は、1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有することができ、置換基は、メトキシ基などの1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、またはジメチルアミノなどのジアルキルアミノ基であり得る。特に好適なアクリレートモノマーは、2−メトキシアクリレート(MEA)、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート(TMHA)、エチレングリコールアクリレート(EGA)、2−エトキシエチルアクリレート(EOEA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、エチル2−エチルアクリレート(EEA)、(エチル−シアノ)アクリレート(ECA)、エチル2−プロピルアクリレート(EPA)、エチル2−(トリメチルシリルメチル)アクリレート(ETMSMA)、アクリル酸ブチル(BA)、ブチルシクロヘキシルアクリレート(BCHA)、ベンジル2−プロピルアクリレート(BPA)、カルボキシエチルアクリレート(CEA)、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート(DEAEA)、2−(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート(DEAPA)である。好適なメタクリレート(metharcylate)モノマーの例は、メチルメタクリレート(MMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−メトキシメタクリレート(MEMA)、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMA)、2−アミノエチルメタクリレート(AEMA)、メタクリル酸ベンジル(BMA)、2−ブトキシエチルメタクリレート(BEMA)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(TBAEMA)、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、エチレングリコールメタクリレート(EGMA)、2−(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート(DIPAEMA)である。好適なアクリルアミド/メタクリルアミドモノマーは、アルキルアクリルアミド(AAAm)、ブチルアクリルアミド(BAAm)、ジエチルアクリルアミド(DEAAm)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、エチルアクリルアミド(EAAm)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAAm)、ヒドロキシメチルアクリルアミド(HMAAm)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、N,N−ジエチルメタクリルアミド(DEMAAm)、N−ジフェニルメタクリルアミド(DPMAAm)である。好適なポリマーは、2種またはそれ超のモノマー、典型的には、30:70〜80:20の重量比でMEMAまたはMEA、およびDEAEMAの混合物を含む。MEMAまたはMEAとDEAEMAの好適な比は、70:30、より好ましくは55:45または50:50である。任意選択でさらなるモノマー、例えば、1〜10重量パーセント、好ましくは約5重量パーセントの重量比でアクリル酸(AA)またはメタクリル酸(MAA)などが存在し得る。適当なポリマーは、55:40:5〜75:20:5の比でMEMA、DEAEMA、およびAAを含む。このようなポリマーは、スチレン(St)などのアリール基、ならびに任意選択でジアルキルアクリルアミド基(1〜4個の炭素原子を表すアルキル)、例えば、ジメチルアクリルアミド(DMAA);およびジエチルアクリルアミド(DEAA)などを含む1種または複数のモノマーを含み得る。好ましくは、ポリマーは、スチレンおよびジアルキルアクリルアミドから選択される2種のモノマーを含む。好適なポリマーは、以下のモノマー:St:DMAAおよびSt:DEAAを含み、またはこれらからなり、これらは、以下の比40:60〜95:5、例えば、50:50〜90:10、例えば、50:50、70:30、または90:10などで存在し得る。結合剤配合物中に使用され得る追加のポリマーは、MEA(2−メトキシアクリレート)、ならびにジアルキルアクリルアミド基(1〜4個の炭素原子を表すアルキル)、例えば、ジメチルアクリルアミド(DMAA);およびジエチルアクリルアミド(DEAA)などを含み得る。好適なポリマーは、MEA:DMAAおよびMEA:DEAAを含み、またはこれらからなり、これらは、それぞれ以下の比30〜80:70〜20%、例えば、50〜70:50〜30%などで存在し得る。特に好適なポリマーは、MEA(45%):DEAA(55%)およびMEA(65%):DMAA(35%)である。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、結合剤組成物は、結合強度およびより速い硬化をもたらすポリウレタンマトリックスポリマーを含み得る。ポリウレタンポリマーは、ポリジオールをジイソシアネートおよび任意選択でジオールなどの伸長剤分子と重合することによって形成され得る。伸長剤分子は、ポリマーの物理的特徴、例えば、ポリマー形状、粘度、およびポリマー状態を改変する効果を有する。ポリジオールは、それだけに限らないが、ポリ(ポリプロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PPG−PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(カプロラクトン)−ジオール(PCL−ジオール)、ポリ(乳酸)−ジオール(PLA−ジオール)、ポリ(グリコール酸)−ジオール(PGA−ジオール)、ポリ(ブチレングリコール)としても公知のポリ(テトラメチレングリコール)(PTMG)、ポリ[1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール−alt−(アジピン酸)]ジオール(PHNAD)、ポリ[1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール−alt−(アジピン酸)]ジオール(PHNDGAD)、ポリ(ジメチルシロキサン)−ジオール(PDMS)からなる群から選択することができる。ポリジオールの分子量は、M
n=200〜M
n=7000の範囲であり得、それは、ポリマーの20〜50重量%などの15〜55重量%の量で存在し得る。ジイソシアネートは、それだけに限らないが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)(HMDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-bis(isocynanatomethyl) cyclohexane;BICH)からなる群から選択することができる。典型的には、ジイソシアネートは、ポリマーの45〜55重量%の量で存在する。適当な伸長剤としては、1,4−ブタンジオール(BD)、エチレングリコール(EG)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール(OFHD);および3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DMAPD)がある。存在するとき、伸長剤は、ポリマーの10〜30mol%、典型的には10〜25%の量で存在し得る。
【0023】
さらに別の実施形態では、結合剤組成物は、ポリエステル、これらのコポリマーまたは混合物(ブレンド)を含み得る。好適なポリエステルの非限定的な例は、ポリグリコリドもしくはポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ベクトラン、および/またはこれらのコポリマー、例えば、PCL−PLA、PCL−PGA、PLA−PGAなどである。
【0024】
さらに、本発明の結合剤組成物は、ビニルポリマーを含み得る。好ましくはこれらとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルブチラール(PVB)、およびポリビニルトルエン(PVT)を挙げることができる。上記の前記ポリマーは、均質な(水溶液)または不均質な(エマルジョン)システムで結合剤配合物中に組み込むことができる。溶液またはエマルジョンポリマーは、全固体に対して0.5〜最大で50重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0025】
代替の実施形態では、本発明の結合剤組成物は、1つまたは複数のアゼチジニウム基を含有する化合物を含み得る。このような材料は、それ自体公知であり、アミノ官能性基質のエピクロロヒドリンとの反応によって得ることができる。アゼチジニウム基は、ポリマー構造中に組み込まれた1つまたは複数の非アゼチジニウムモノマー単位を含むポリマー鎖の一部であり得る。
【0026】
前記ポリマー、より具体的には上記に例示したポリマーは、500ダルトン(Da)〜2×10
6Da、好ましくは1×10
3〜5×10
5Da、より好ましくは5×10
4Da〜3×10
5Daの範囲の分子量を示し得る。
【0027】
1種または複数の予め形成されたポリマー、またはモノマーは、場合により開始剤と一緒に、結合剤組成物中に分散され、または可溶化されたエマルジョンであり得る。
【0028】
このような結合剤組成物は、通常の硬化条件、特に60〜280℃、有利には80℃超、好ましくは100℃超、かつ有利には250℃未満、好ましくは200℃未満、好ましくは120〜180℃の範囲の温度下で速い硬化速度を伴って高い結合強度および性能を示す硬化された結合剤を生じさせることが示された。硬化目的でエネルギーを印加する継続時間は、特に制限されず、1〜240分、好ましくは200分未満、より好ましくは120分またはさらには60分未満で変動し得る。最大で40分、30分、または20分の硬化継続時間が可能である。
【0029】
このような発明組成物において、ポリフェノール性
高分子化合物は、3種の成分の合計に対して60〜最大で96重量%
を構成し得、ポリアミン官能性化合物は、3種の成分の合計に対して2〜最大で20w%
を構成し得、マトリックスポリマーの含有量は、3種の成分の合計に対して2〜20w%の範囲であり得る。例として、リグノスルホン酸アンモニウムもしくはリグノスルホン酸ナトリウム、HMDAおよびPVA、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはヒドロキシプロピルセルロースの組成物は、有利には、70/15/15の重量比を示す。
【0030】
本発明の硬化性結合剤組成物の別の利点は、これらが硬化時に実質的にまったく、またはほんの少ししか水を生じないことである。これは、特に興味深く、その理由は、このような硬化された結合剤を含有する製品の製造に要求されるエネルギーが、硬化中に生成される水の蒸発のためのエネルギーが低減され、またはもはや必要とされないので、著しく低減され得るためである。硬化中の水生成の低減は、結合強度および膨潤性に関して最終製品に対して正の影響を有する。
【0031】
上記の結果として、結合剤組成物は、繊維板、木板、削片板などの生産において使用するのに特に適している。
【0032】
代替の実施形態によれば、ポリアミン官能性化合物は、キトサンを含む。キトサンは、グルコサミン単位を含む直鎖状多糖であり、第一級および/または第二級アミン官能基を持つ。これは、甲殻類の殻およびエビに由来し得る再生可能かつ/または持続可能なクラスの化合物である。これは、農業、特に種子処理において使用されている。キトサンは、500〜2×10
6ダルトンの範囲の重量平均分子量を示し得る。
【0033】
ポリフェノール性
高分子化合物とキトサンとの比は、有利には、98:2〜80:20w%、好ましくは95:5〜85:15w%またはさらには90:10w%の範囲である。
【0034】
この代替の結合剤組成物の場合では、硬化は、好ましくは周囲温度(特に10℃〜25℃の範囲内)またはわずかに高温で、水溶液中で有利には行うことができる。150℃未満、130℃、またはさらには約80℃などの100℃未満の温度が好適である。触媒または表面活性剤は、要求されないが、いくつかの特定の用途では添加されてもよい。好ましくは、pHは、8または8超で、好ましくは約pH=8.5で維持される。このような好適な結合剤組成物は、ほんのわずかしか、または実質的にまったく水形成を伴わずに硬化し、それは、これらをミネラルウールベース断熱材製品、およびセルロースベース板、
例えば、木材繊維板または木材削片板などの生産において選択の結合剤にする。このような製品の製造に要求されるエネルギーは、特に低減され、その理由は、硬化が低温で行われるためであり、さらに、実質的にまったく追加のエネルギーが製品の水蒸発または乾燥に要求されないためである。硬化中の水生成の低減は、関連する結合剤組成物を用いて作製される製品の少なくとも膨潤性に正に影響する。
【0035】
本発明の結合剤組成物、およびこれらから生成される結合剤は、本質的にホルムアルデヒドフリーであり(すなわち組成物の重量に対して約1ppm未満のホルムアルデヒドを含む)、実質的なホルムアルデヒドを遊離しない。これらは好ましくは、ホルムアルデヒドフリーである。さらに、これらは好ましくは、天然の、したがって再生可能な資源に基づく。
【0036】
組成物は、例えば、結合剤固体の0.1〜15重量%の範囲の量で、色素、抗真菌剤、抗菌剤、除塵用オイル、疎水性剤、および他の添加剤、またはこれらの混合物をさらに含み得る。ケイ素含有カップリング剤が、一般に結合剤組成物中の固体の重量に対して約0.1〜約5重量%の範囲内で、このような結合剤中に存在してもよい。除塵用オイルは、最大で10wt.%で存在し得る。
【0037】
理論によって束縛されることなく、硬化により、高架橋高分子量ポリマーが生成されると考えられる。これらは、ゾル−ゲル法、レオロジー、および他の公知の技法によって分析することができる。
【0038】
本発明の水性結合剤組成物を硬化させることによって生成される好適な結合剤は、環境に優しく、その理由は、これらが、天然産物に基づき、ホルムアルデヒドを本質的に含まないためである。さらに、一部の実施形態では、硬化は、公知の結合剤組成物と比較して低減された温度下で行うことができ、それも、好都合には、結合剤の環境的な関連した側面に加わる。
【0039】
本発明によれば、用語「結合剤組成物」は、それ自体で、または硬化時に緩くアセンブルされた物質を結合させることができるポリフェノール性
高分子化合物およびポリアミン官能性化合物を含む任意の組成物を含む。
【0040】
本明細書では、用語「水性」は、溶媒として水を含む溶液および/または分散液を意味する。この用語は、水および1種または複数の追加の溶媒を含有する組成物または混合物をさらに含む。本発明の「水性結合剤組成物」は、前記結合剤成分の1種もしくは複数の溶液もしくは部分的溶液であり得、または分散液、例えば、エマルジョンもしくは懸濁液などであり得る。
【0041】
水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して2〜95w%、有利には8〜90w%、好ましくは10〜85w%の範囲であり得る。より具体的には、ミネラルウール断熱材の結合剤として使用されるとき、水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して2〜25w%、好ましくは8〜20w%、より好ましくは10〜20w%、またはさらには12〜18w%の範囲内であり得る。木板中の結合剤として使用されるとき、水性結合剤組成物の固形分は、全水性結合剤組成物の重量に対して50〜95w%、好ましくは50〜90w%、より好ましくは55〜85w%、またはさらには60〜80w%の範囲であり得る。
【0042】
結合剤組成物の成分は、別個に輸送し、関連する製造プラントで使用する直前に組み合わせることができる。結合剤組成物をそれ自体で輸送することも可能である。
【0043】
本発明の結合剤は、アセンブルされていないまたは緩くアセンブルされた物質の集合体を結合させるのに使用することができる。物質の集合体としては、鉱物繊維、スラグウール繊維、石綿繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維から選択される繊維を含む物質の任意の集合体がある。物質の集合体のさらなる例としては、粒状物、例えば、石炭、砂、セルロース繊維、木屑、鋸屑、木材パルプ、砕木、木片、木材ストランド、木の層、他の天然繊維、例えば、ジュート、アマ、麻、わら、ウッドベニヤ、フェーシング材(facing)、および他の粒子など、織られた、または不織の材料などがある。本発明の具体的な実施形態によれば、物質の集合体は、木材粒子および鉱物繊維から選択される。
【0044】
例示的な一実施形態では、本発明の結合剤組成物は、鉱物繊維を含む断熱材製品を作製するのに使用することができる。このような用途では、繊維は、これらが繊維ガラスマット中で組織化された状態になるように互いに結合され、次いでこれらを加工して断熱材製品にすることができる。このような用途では、繊維は、一般に、断熱材製品の総重量によって70〜99%、特に80〜99%または85〜99%の範囲の量で存在する。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、結合剤は、繊維板、削片板、配向ストランドボード、合板などを含めた複合木板を製造するのに一般に使用されるセルロース粒子、例えば、セルロース繊維、木屑、木材パルプ、および他の材料などを結合させるのに使用することができる。このような木板は、6〜30mmの範囲の公称厚さ、および少なくとも約1000N/mm
2の弾性率、少なくとも約5N/mm
2の曲げ強さ、および/または少なくとも0.10N/mm
2の内部結合強度を示す。このような用途では、最終の木板中の結合剤含有量は、木板の総重量に関して約5〜30%wt、特に9〜20%の範囲であり得る。水性未硬化結合剤組成物の主成分、すなわち、ポリフェノール性
高分子化合物およびポリアミン官能性化合物は、水中で少なくとも部分的に可溶性であり得る。
【0046】
水性結合剤組成物は、噴霧塗布によって繊維または特定の材料に塗布することができる。他の可能な技法としては、ロール塗布、または物質の集合体の結合剤組成物との混合および/もしくはタンブリングがある。水が蒸発するにつれて、結合剤組成物は、望ましいアセンブリに配列されたとき粒状材料を互いに結合させるゲルを形成し得る。硬化しているとき、ポリフェノール性
高分子化合物およびポリアミン官能性化合物が反応させられて本質的に不水溶性の
高分子結合剤を形成する。したがって硬化は、未硬化の結合剤と比較して増大した接着、耐久性、および耐水性を付与する。硬化は、周囲から最大で280℃の間の温度で行うことができる。
【0047】
別の態様によれば、本発明は、繊維性材料または粒状材料のアセンブリを調製するためのプロセスであって、(i)多数のフェノールもしくはポリヒドロキシベンゼンラジカル、例えば、カテコールラジカル(ジヒドロキシベンゼン)などを持つポリフェノール性
高分子化合物、好ましくはリグノスルホン酸塩、および縮合型タンニン、ならびにこれらの混合物の水性組成物、ならびに(ii)第一級および/もしくは第二級および/もしくは第三級および/もしくは第四級アミン官能基を含むポリアミン官能性化合物の水性組成物の組合せを、ポリフェノール性
高分子化合物とポリアミン官能性化合物の比が、98:2〜70:30w%、好ましくは95:5〜80:20w%の範囲であるように繊維もしくは粒子の集合体に順次もしくは同時に塗布し、または上記に定義した水性結合剤組成物を繊維もしくは粒子の集合体に塗布し、コーティングされた繊維または粒子をアセンブリとして集め、硬化条件に付し、それによってポリフェノール性
高分子化合物およびポリアミン官能性化合物を反応させて
高分子結合剤を形成し、水を蒸発させる、プロセスに及ぶ。次いで得られた生成物を、適当なプロセスステップでさらに加工して、それだけに限らないが、断熱材製品または木板を含めた中間製品または最終製品を作製することが
できる。
【0048】
さらなるポリマーを、繊維または粒子の集合体に同時にまたは連続的に塗布してもよく、硬化を、100℃〜200℃の範囲、好ましくは140℃超、より好ましくは190℃未満、典型的には160から180℃の間の温度で実施してもよい。
【0049】
述べたように、ポリアミン官能性化合物は、ジアミン、トリアミン、テト
ラミン、ペン
タミン、およびポリマーポリアミンまたはポリイミンから選択され得る。例は、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレンテト
ラミン、ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリエーテルアミン、ポリリシン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、プトレシン、テトラエチルメチレンジアミン、およびトリエチレンテト
ラミンである。当業者に公知であるように、いくつかの異なるタイプのポリエチレンイミン、例えば、直鎖状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、およびデンドリマー型ポリエチレンイミンなどが利用可能である。同様に、ポリエーテルアミンは、直鎖状形態および分枝状形態を示すことができ、すべてが結合剤組成物、したがって本発明の結合剤の生成に適していると考えられる。
【0050】
ポリフェノール性
高分子化合物とポリアミン官能性化合物の比は、98:2〜70:30w%、好ましくは95:5〜80:20w%の範囲である。
【0051】
好ましくは、
高分子上の反応基とアミン成分中の反応性アミノ基の比は、10:1〜1:1の範囲内であり得る。
【0052】
好適な結合剤組成物は、リグノスルホン酸塩、好ましくはリグノスルホン酸アンモニウムまたはリグノスルホン酸カルシウムもしくはリグノスルホン酸マグネシウム、およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)などのジアミンを含む。
【0053】
ポリアミン官能性化合物が、500〜2×10
6ダルトンの範囲の重量平均分子量を示すキトサンから選択されるとき、硬化は、酸化条件およびアルカリ性条件下で、周囲〜180℃の範囲、好ましくは160℃未満、より好ましくは140℃未満、さらにより好ましくは120℃または100℃未満の温度で実施され得る。
【0054】
本発明を添付の図面を参照して以下の実施例でより詳細に説明する。