(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以降、本発明が詳細に記載される。しかしながら、以下の記載は本発明の説明を目的とするものであり、決して本発明の範囲の制限を目的とするものではない。
【0015】
本発明は、式1により表わされる有機電界発光化合物、及びそれを含む有機電界発光デバイスに関する。
【0016】
式1により表わされる有機電界発光化合物は、以下のように詳細に記載される。
【0017】
本明細書において、「アルキル」は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどとして具体的に例示され得る。「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどとして具体的に例示され得る。「3〜7員ヘテロシクロアルキル」は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子と、3〜7個の環骨格原子とを有するシクロアルキルであり、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピランなどを含む。「アリール(エン)」は、芳香族炭化水素から誘導される単環式環または縮合環系ラジカルであり、2つの環が1個の原子によって連結されているスピロ化合物を含有し、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニルなどを含む。「3〜30員ヘテロアリール(エン)」は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される、少なくとも1個、好ましくは1〜4個のヘテロ原子と、3〜30個の環骨格原子とを有するアリール基であり、単環式環、または少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり、部分的に飽和していてもよく、単結合(複数可)を介して少なくとも1つのヘテロアリールまたはアリール基をヘテロアリール基に連結させることによって形成されるものであり得、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどを含む単環式環型ヘテロアリール、及び、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピリドピリミジニル、カルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロアクリジニル、ベンゾフロインドールなどを含む縮合環型ヘテロアリールを含む。「ハロゲン」は、F、Cl、Br、及びIを含む。
【0018】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という表現における「置換」とは、ある特定の官能基内の水素原子が、別の原子または基、すなわち置換基で置換されることを意味する。式1のR
1〜R
11中、置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロアリール基、置換シクロアルキル基、置換アルコキシ基、置換トリアルキルシリル基、置換ジアルキルアリールシリル基、置換アルキルジアリールシリル基、置換トリアリールシリリ(triarylsilyly)基、置換されたモノもしくはジアルキルアミノ基、置換されたモノもしくはジアリールアミノ基、置換アルキルアリールアミノ基、及び置換された単環式もしくは多環式の脂環式環または芳香族環の置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、(C1−C30)アルキル基、ハロ(C1−C30)アルキル基、(C1−C30)アルコキシ基、(C1−C30)アルキルチオ基、(C3−C30)シクロアルキル基、3〜7員ヘテロシクロアルキル基、(C6−C30)アリールオキシ基、(C6−C30)アリールチオ基、非置換もしくは(C6−C30)アリール基で置換されている3〜30員ヘテロアリール基、非置換もしくは3〜30員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C30)アリール基、トリ(C1−C30)アルキルシリル基、トリ(C6−C30)アリールシリル基、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル基、(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル基、アミノ基、モノもしくはジ(C1−C30)アルキルアミノ基、モノもしくはジ(C6−C30)アリールアミノ基、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ基、(C1−C30)アルキルカルボニル基、(C1−C30)アルコキシカルボニル基、(C6−C30)アリールカルボニル基、ジ(C6−C30)アリールボロニル基、ジ(C1−C30)アルキルボロニル基、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールボロニル基、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル基、及び(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくは、5〜20員ヘテロアリール基、(C6−C18)アリール基で置換されている5〜20員ヘテロアリール基、(C6−C18)アリール基、及び5〜20員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C18)アリール基からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0020】
式1中のXは、O、S、またはNR
11を表す。
【0021】
式1中のR
1〜R
11は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基、置換もしくは非置換の3〜30員ヘテロアリール基、置換もしくは非置換の(C3−C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルコキシ基、置換もしくは非置換のトリ(C1−C30)アルキルシリル基、置換もしくは非置換のジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキルジ(C6−C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のトリ(C6−C30)アリールシリル基、置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C1−C30)アルキルアミノ基、置換もしくは非置換のモノもしくはジ(C6−C30)アリールアミノ基、または置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールアミノ基を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で炭素原子(複数可)が置換され得る、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C3−C30)脂環式環または芳香族環を形成する。
【0022】
好ましくは、R
1〜R
10は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換の(C6−C18)アリール基を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C6−C20)脂環式環または芳香族環を形成し、より好ましくは、水素、あるいは非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C18)アリール基を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結して、非置換または(C6−C12)アリール基で置換されている単環式もしくは多環式の(C6−C20)芳香族環を形成する。
【0023】
好ましくは、R
11は、置換もしくは非置換の(C6−C18)アリール基、または置換もしくは非置換の5〜20員ヘテロアリール基を表し、より好ましくは、非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C18)アリール基、あるいは非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている5〜20員ヘテロアリール基を表す。
【0024】
本発明の一実施形態によると、式1中、Wは、OまたはSを表し、Xは、O、S、またはNR
11を表し、R
1〜R
10は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換の(C6−C18)アリール基を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の、単環式もしくは多環式の、(C6−C20)脂環式環または芳香族環を形成し、R
11は、置換もしくは非置換の(C6−C18)アリール基、または置換もしくは非置換の5〜20員ヘテロアリール基を表す。
【0025】
本発明の別の実施形態によると、式1中、Wは、OまたはSを表し、Xは、O、S、またはNR
11を表し、R
1〜R
10は、それぞれ独立して、水素、あるいは非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C18)アリール基を表すか、あるいは、隣接する置換基(複数可)に連結して、非置換または(C6−C12)アリール基で置換されている単環式もしくは多環式の(C6−C20)芳香族環を形成し、R
11は、非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている(C6−C18)アリール基、あるいは非置換または(C6−C18)アリール基もしくは5〜20員ヘテロアリール基で置換されている5〜20員ヘテロアリール基を表す。
【0026】
式1の化合物は、以下の化合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0031】
本発明による有機電界発光化合物は、当業者に既知の方法によって調製され得、例えば、以下の反応スキーム1に従って調製され得る。
【0033】
式中、
W、X、及びR
1〜R
10は、式1に定義されるとおりであり、Halはハロゲンを表し、nは0または1を表す。
【0034】
本発明は、式1の有機電界発光化合物を含む電子緩衝材料、及び本電子緩衝材料を含む有機電界発光デバイスをさらに提供する。
【0035】
本電子緩衝材料は、本発明の式1の有機電界発光化合物単独からなってもよいし、または、有機電界発光材料に一般的に用いられる従来の材料をさらに含んでもよい。
【0036】
式1の有機電界発光化合物は、電子緩衝材料以外の有機電界発光材料に用いられてもよい。そのような有機電界発光材料は、好ましくはホスト材料、より好ましくはリン光性ホスト材料であり得る。本有機電界発光材料がホスト材料として使用される場合、それは、式1の化合物に加えて、以下に記載される第2のホスト材料をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明による有機電界発光デバイスは、第1の電極、第2の電極、ならびに第1及び第2の電極間の少なくとも1つの有機層を備えてもよく、この有機層は、少なくとも1つの式1の化合物を含む。
【0038】
第1の電極及び第2の電極のうち一方は陽極であり得、他方は陰極であり得る。有機層は発光層を含み得、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、電子阻止層、及び電子緩衝層からなる群から選択される少なくとも1つの層をさらに含んでもよい。
【0039】
本発明の式1の化合物は、発光層内に含まれ得る。発光層内に含まれる場合、本発明の式1の化合物は、ホスト材料、好ましくは、リン光性ホスト材料として含有され得る。好ましくは、発光層は、少なくとも1つのドーパントをさらに含んでもよく、必要に応じて、本発明の式1の化合物以外の化合物を第2のホスト材料としてさらに含んでもよい。第1のホスト材料(式1の化合物)及び第2のホスト材料は、重量比にして1:99〜99:1の範囲内で存在してよい。
【0040】
第2のホスト材料は、既知のリン光性ホスト材料のいずれでもよく、好ましくは、発光効率を考慮して、以下の式2〜6の化合物からなる群から選択される。
【0041】
H−(Cz−L
4)
h−M (2)
H−(Cz)
i−L
4−M (3)
【0045】
Aは、−O−または−S−を表し、
R
21〜R
24は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基、置換もしくは非置換の5〜30員ヘテロアリール基、または−SiR
25R
26R
27を表し、
R
25〜R
27は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、または置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基を表し、
L
4は、単結合、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリーレン基、または置換もしくは非置換の5〜30員ヘテロアリーレン基を表し、
Mは、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基、または置換もしくは非置換の5〜30員ヘテロアリール基を表し、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−N(R
31)−、または−C(R
32)(R
33)−を表し、Y
1及びY
2は同時に存在することはなく、
R
31〜R
33は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基、または置換もしくは非置換の5〜30員ヘテロアリール基を表し、R
32及びR
33は、同じでも異なっていてもよく、
h及びiは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表し、
j、k、l、及びmは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、
h、i、j、k、l、またはmが2以上の整数である場合、各(Cz−L
4)、各(Cz)、各R
21、各R
22、各R
23、または各R
24は、同じでも異なっていてもよい。
【0046】
具体的には、第2のホスト材料は、以下を含むことが好ましい。
【0050】
(式中、TPSはトリフェニルシリル基を表す。)
【0051】
ドーパントは、好ましくは1つ以上のリン光性ドーパントである。本発明の有機電界発光デバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)の錯体化合物、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)のオルトメタル化錯体化合物、さらにより好ましくは、オルトメタル化イリジウム錯体化合物から選択され得る。
【0052】
本発明の有機電界発光デバイス内に含まれるドーパントは、以下の式7〜9により表される化合物からなる群から選択され得、
【0054】
式中、
Lは、以下の構造から選択され、
【0056】
R
100は、水素、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、または置換もしくは非置換の(C3−C30)シクロアルキル基を表し、
R
101〜R
109及びR
111〜R
123は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくはハロゲン(複数可)で置換されている(C1−C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C3−C30)シクロアルキル基、置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基、シアノ基、または置換もしくは非置換の(C1−C30)アルコキシ基を表し、R
106〜R
109は、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル基で置換されているフルオレン、非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾフランを形成し、R
120〜R
123は、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の縮合環、例えば、非置換またはアルキルもしくはアリール基で置換されているキノリンを形成し、
R
124〜R
127は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の(C1−C30)アルキル基、または置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基を表し、R
124〜R
127は、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル基で置換されているフルオレン、非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾフランを形成し、
R
201〜R
211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換もしくはハロゲン(複数可)で置換された(C1−C30)アルキル基、置換もしくは非置換の(C3−C30)シクロアルキル基、または置換もしくは非置換の(C6−C30)アリール基を表し、R
208〜R
211は、隣接する置換基(複数可)に連結して、置換もしくは非置換の縮合環、例えば、非置換もしくはアルキル基で置換されているフルオレン、非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾチオフェン、または非置換もしくはアルキル基で置換されているジベンゾフランを形成し、
f及びgは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表し、fまたはgが2以上の整数である場合、各R
100は同じでも異なっていてもよく、
nは、1〜3の整数を表す。
【0061】
本発明による有機電界発光デバイスは、第1の電極、第2の電極、ならびに第1及び第2の電極間の少なくとも1つの有機層を備えてもよく、この有機層は、本発明の有機電界発光デバイスの材料を含む。
【0062】
本発明の有機電界発光デバイスは、式1の有機電界発光化合物を有機層内に含み、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を有機層内にさらに含んでもよい。
【0063】
本発明の有機電界発光デバイスにおいて、有機層は、周期表の第1族の金属、第2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド、及びd遷移元素の有機金属からなる群から選択される少なくとも1つの金属、もしくはその金属を含む少なくとも1つの錯体化合物をさらに含んでもよく、または、発光層及び電荷生成層のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0064】
加えて、本発明の有機電界発光デバイスは、本発明の化合物に加えて、当該技術分野で既知の青色発光化合物、赤色発光化合物、または緑色発光化合物を含む少なくとも1つの発光層をさらに備えることによって、白色光を発してもよく、必要に応じて、黄色または橙色発光層をさらに含んでもよい。
【0065】
好ましくは、本発明の有機電界発光デバイスにおいて、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以降、「表面層」)が、一方または両方の電極(複数可)の内面(複数可)上に配置され得る。具体的には、シリコンまたはアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)層が、発光媒体層の陽極表面上に配置され、金属ハロゲン化物層または金属酸化物層が、電界発光媒体層の陰極表面上に配置されることが好ましい。この表面層は、有機電界発光デバイスの動作安定性をもたらす。好ましくは、カルコゲニドは、SiO
X(1≦X≦2)、AlO
X(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlONなどを含み、金属ハロゲン化物は、LiF、MgF
2、CaF
2、希土類金属フッ化物などを含み、金属酸化物は、Cs
2O、Li
2O、MgO、SrO、BaO、CaOなどを含む。
【0066】
さらに、好ましくは、本発明の有機電界発光デバイスにおいて、電子輸送化合物と還元的ドーパントとの混合領域、または正孔輸送化合物と酸化的ドーパントとの混合領域が、一対の電極の少なくとも1つの表面上に配置され得る。この場合、電子輸送化合物はアニオンに還元され、したがって、電子を注入して混合領域から発光媒体へと輸送することがより容易になる。さらに、正孔輸送化合物はカチオンに酸化され、したがって、正孔を注入して混合領域から発光媒体へと輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化的ドーパントは、様々なルイス酸及び受容体化合物を含み、還元的ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びこれらの混合物を含む。2つ以上の発光層を有し、かつ白色光を発する有機電界発光デバイスを調製するために、還元的ドーパント層を電荷生成層として用いることができる。
【0067】
本発明の有機電界発光デバイスを構成する各層を形成するために、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンめっき法などの乾式フィルム形成法、またはスピンコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法などの湿式フィルム形成法が使用され得る。
【0068】
湿式フィルム形成法を使用する際、例えばエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの好適な溶媒中に、各層を構成する材料を溶解または分散させることによって、薄いフィルムが形成される。溶媒は、各層を構成する材料がその溶媒中で可溶性または分散性であり、その溶媒が層形成時に問題を引き起こさない限り、特に限定されない。
【0069】
以降、本発明の代表的な化合物を参照して、本発明の有機電界発光化合物、その調製法、及び本化合物を含むデバイスの特性が詳細に説明される。
【0072】
化合物1−1の調製
反応槽内の2−ブロモフルオレン(30.0g、115.0mmol)、フェノール(109.0g、1157.0mmol)、及びメタンスルホン酸(30.0mL)を、20時間還流しながら撹拌した。反応が完了したら、この混合物を蒸留水で洗浄し、有機層を塩化メチレン(MC)で抽出した。抽出された有機層をMgSO
4で乾燥させた後、回転蒸発装置を用いることによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物をカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物1−1(33.6g、71%)を得た。
【0073】
化合物1−2の調製
反応槽内の化合物1−1(25.0g、60.7mmol)、2−クロロアニリン(11.4g、91.1mmol)、酢酸パラジウム(0.54g、2.43mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン(2.4mL、4.86mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(14.6g、151.9mmol)、及びトルエン(180.0mL)を、5時間還流しながら撹拌した。反応が完了したら、この混合物を蒸留水で洗浄し、有機層をMCで抽出した。抽出された有機層をMgSO
4で乾燥させた後、回転蒸発装置を用いることによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物をカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物1−2(16.6g、60%)を得た。
【0074】
化合物1−3の調製
反応槽内の化合物1−2(16.6g、36.2mmol)、酢酸パラジウム(0.81g、3.62mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(2.6g、7.24mmol)、炭酸セシウム(35.4g、108.7mmol)、及びジメチルアセトアミド(200.0mL)を、4時間還流しながら撹拌した。反応が完了したら、この混合物を蒸留水で洗浄し、有機層をMCで抽出した。抽出された有機層をMgSO
4で乾燥させた後、回転蒸発装置を用いることによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物をカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物1−3(11.8g、78%)を得た。
【0075】
化合物A−27の調製
反応槽内の化合物1−3(7.0g、16.6mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(7.7g、19.9mmol)、酢酸パラジウム(0.37g、1.66mmol)、S−phos(1.3g、3.32mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(4.7g、49.8mmol)、及びキシレン(90.0mL)を、5時間還流しながら撹拌した。反応が完了したら、この混合物を蒸留水で洗浄し、有機層をMCで抽出した。抽出された有機層をMgSO
4で乾燥させた後、回転蒸発装置を用いることによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物をカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物A−27(9.0g、75%)を得た。
【0077】
比較実施例1:電子緩衝層を備えない青色発光有機電界発光デバイスの生成
OLEDデバイスを次のように生成した:OLEDデバイス用のガラス基材(GEOMATEC CO.,LTD.、日本)上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)の薄いフィルム(15Ω/sq)を、連続してアセトン、エタノール、及び蒸留水を使用することによる超音波洗浄にかけ、次いでイソプロパノール中に保管した。次に、真空蒸着装置の基材ホルダ上にITO基材を載置した。N
4,N
4’−ジフェニル−N
4,N
4’−ビス(9−プネニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを真空蒸着装置のセル内に導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10
−6トルに制御した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、60nmの厚さを有する第1の正孔注入層をITO基材上に形成した。次いで、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)を真空蒸着装置の別のセル内に導入し、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層上に形成した。真空蒸着装置の別のセル内に、N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンを導入した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、20nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を第2の正孔注入層上に形成した。次いで、化合物HT−2を真空蒸着装置の別のセル内に導入し、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、5nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層上に形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、発光層を次のように堆積させた。ホストとしての化合物BH−1を真空蒸着装置の1つのセル内に導入し、ドーパントとしての化合物BD−1を装置の別のセル内に導入した。これら2つの材料を異なる速度で蒸発させ、ホスト及びドーパントの総重量に基づいて2重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、20nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層上に形成した。次に、電子輸送材料としての2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを真空蒸着装置の1つのセル内に導入し、リチウムキノレートを真空蒸着装置の別のセル内に導入した。これら2つの材料を同じ速度で蒸発させ、それぞれ50重量%のドーピング量でドープして、35nmの厚さを有する電子輸送層を発光層上に形成した。電子輸送層上に電子注入層として2nmの厚さを有するリチウムキノレートを堆積させた後、別の真空蒸着装置により、80nmの厚さを有するAl陰極を電子注入層上に堆積させた。その結果、OLEDデバイスが生成された。OLEDデバイスを生成するために使用した全ての材料は、使用前に10
−6トルの真空昇華によって精製した。
【0078】
上記のように生成されたOLEDデバイスの、1,000ニトの輝度における駆動電圧、発光効率、CIE色座標、及び2,000ニトの輝度で発光が100%から90%まで低減するのに要した時間(T90寿命)が、以下の表2に提供される。
【0080】
デバイス実施例1:本発明による青色発光有機電界発光デバイスの生成
OLEDデバイスを比較実施例1と同じ様式で生成したが、ただし、電子輸送層の厚さが30nmに低減したこと、及び化合物A−27を含み5nmの厚さを有する電子緩衝層を発光層と電子輸送層との間に挿入したことを除く。デバイス実施例1で生成されたOLEDデバイスの評価結果は、以下の表2に提供される。
【0081】
デバイス実施例2:本発明による青色発光有機電界発光デバイスの生成
デバイス実施例1と同じ様式でOLEDデバイスを生成したが、ただし、電子緩衝層を、化合物A−133を含むものに変更したことを除く。デバイス実施例2で生成されたOLEDデバイスの評価結果は、以下の表2に提供される。
【0083】
上記の表2から、本発明の電子緩衝層は高速の電子流特性を有し、したがって、デバイス実施例1及び2は、電子緩衝層を有しない比較実施例1と比較して高効率及び長寿命を提供する。
【0084】
電子緩衝層は、有機電界発光材料がパネル製造プロセス中に高温に曝されると、デバイス内でデバイスの電流特性が変化し、それによって発光輝度が変化し得るという問題を改善することができる。電子緩衝層を備えないデバイスの電流特性と比較して同様の電流特性を有しながら、高温への曝露時の安定性を確保するためには、電子緩衝層内に含まれる化合物の特性が重要である。式1の化合物は、スピロ[フルオレン−9,9’−キサンテン]骨格内のフルオレンのベンゼン環がベンゾフラン、ベンゾチオフェン、またはインドールと縮合している構造を有する。具体的には、スピロ[フルオレン−9,9’−キサンテン]内のフルオレン及びキサンテン誘導体のそれぞれが平面構造を形成し、それによって、スピロ構造の中心に基づいた四置換構造を形成し、したがって2つの平面の二面角はほぼ90°であり、これは長方形形状を提供する。これは、立体障害作用によってπ−πスタッキング相互作用を効果的に調節する。すなわち、式1の化合物は優れた形態安定性を有し、したがって、非常に高い熱安定性を提供する172℃のTg(ガラス遷移温度)を有する。これに関連して、ある非特許文献が、スピロ誘導体の熱安定性及び酸化安定性を具体的に記載している(Macromol.Rapid Commun.2009,30,1745−1750を参照されたい)。さらに、2つのフェニル環に連結しているヘテロ原子としての酸素は、電荷注入及び輸送の特性を向上させ、したがって高速の電子流特性に寄与し得る。これは、非特許文献で確認することができる(D.Vak et al.,Journal of Luminescence,115(2005)109−116を参照されたい)。このように、本発明による化合物は、有機電界発光デバイスの駆動電圧低下及び寿命向上に大いに寄与することができる。デバイスの特性の向上はまた、パネル製造プロセス中の高温への曝露に当たっての安定性を保証し、性能を向上させる上で大きな効果を有する。
【0085】
第1の電極、第2の電極、及び発光層を備える有機電界発光デバイスにおいて、電子注入は、発光層と第2の電極との間に電子緩衝層を配することにより、電子緩衝層の電子親和性LUMOエネルギー値によって制御され得る。
【0086】
LUMO(最低非占有分子軌道)エネルギー値及びHOMO(最高占有分子軌道)エネルギー値は、本質的に負の数を有するが、本発明におけるLUMOエネルギー値及びHOMOエネルギー値は、便宜上それらの絶対値で表わされる。さらに、LUMOエネルギー値間の比較は、それらの絶対値に基づく。本発明におけるLUMOエネルギー値及びHOMOエネルギー値は、密度汎関数理論(DFT)によって計算される。
【0087】
本発明の有機電界発光デバイスにおいて、電子緩衝層のLUMOエネルギー値は、ホスト化合物のLUMOエネルギー値超であり得る。電子緩衝層及びホスト化合物のLUMOエネルギー値間の差は、0.3eV以下であり得る。例えば、電子緩衝層及びホスト化合物のLUMOエネルギー値は、それぞれ、1.9eV及び1.6eVであり得る。したがって、電子緩衝層及びホスト化合物のLUMOエネルギー値間の差は0.3eVであり得る。電子緩衝層とホスト化合物との間のLUMOバリアは、駆動電圧を上昇させる要因であり得る。しかしながら、電子緩衝層が式1の化合物を含むため、式1の化合物以外の化合物と比較して、電子をホスト化合物に輸送するのがより容易である。したがって、本発明の有機電界発光デバイスは、低い駆動電圧、高い発光効率、及び長い駆動寿命を有する。本発明において、電子緩衝層のLUMOエネルギー値は、電子緩衝層内に含まれる式1の化合物のLUMOエネルギー値に対応する。
【0088】
本発明の有機電界発光デバイスにおいて、電子輸送ゾーンは、電子を第2の電極から発光層へと輸送するゾーンを示す。電子輸送ゾーンは、電子輸送化合物、還元性ドーパント、またはこれらの組み合わせを含み得る。電子輸送化合物は、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、トリアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、ペリレン系化合物、及びアントラセン系化合物、アルミニウム錯体、ならびにガリウム錯体からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、これらのハロゲン化物、これらの酸化物、及びこれらの錯体からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。電子輸送ゾーンは、電子輸送層、電子注入層、またはそれら両方をさらに含んでもよい。電子輸送層及び電子注入層のそれぞれは、2つ以上の層からなってもよい。電子緩衝層のLUMOエネルギー値は、電子輸送ゾーンのLUMOエネルギー値より小さくても大きくてもよい。例えば、電子緩衝層及び電子輸送ゾーンのLUMOエネルギー値は、それぞれ、1.9eV及び1.8eVであり得る。したがって、当該層及び当該ゾーンのLUMOエネルギー値間の差は0.1eVであり得る。電子緩衝層が上に列挙したようなLUMOエネルギー値を有するため、電子緩衝層を通して発光層に電子を注入することが容易である。電子輸送ゾーンのLUMOエネルギー値は、1.7eV以上、または1.9eV以上であってもよい。
【0089】
具体的には、電子緩衝層のLUMOエネルギーレベルは、ホスト化合物及び電子輸送ゾーンのLUMOエネルギーレベルより高くてもよい。例えば、LUMOエネルギーレベルは、次の関係を有し得る:電子緩衝層>電子輸送ゾーン>ホスト化合物。それぞれの層のLUMOレベルの関係を考慮すると、電子は、発光層と電子緩衝層との間で制限され、電子注入が阻害され、したがって駆動電圧が上昇し得る。しかしながら、式1の化合物を含む電子緩衝層は、電子を発光層に容易に輸送し、したがって、本発明の有機電界発光デバイスは、低い駆動電圧、高い発光効率、及び長い駆動寿命を有することができる。
【0090】
LUMOエネルギー値は、様々な既知の方法を用いることによって容易に判定され得る。慣例的に、LUMOエネルギーレベルは、サイクリックボルタンメトリーまたは紫外光電子分光法(UPS)を用いることによって判定され得る。したがって、当業者であれば、本発明のLUMOエネルギーレベルの関係を満たす電子緩衝層、ホスト材料、及び電子輸送ゾーンを容易に認識し、本発明を実践することができる。HOMOエネルギーレベルも、LUMOエネルギーレベルに使用したものと同じ様式で容易に判定することができる。
【0091】
デバイス実施例3:本発明による有機電界発光化合物を使用することによるOLEDデバイスの生成
本発明による有機電界発光化合物を使用することによるOLEDデバイスを、次のように生成した:OLEDデバイス用のガラス基材(GEOMATEC CO.,LTD.,Japan)上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)の薄いフィルム(15Ω/sq)を、連続してトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、及び蒸留水を使用することによる超音波洗浄にかけ、次いでイソプロパノール中に保管した。次に、真空蒸着装置の基材ホルダ上にITO基材を載置した。N
4,N
4’−ジフェニル−N
4,N
4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを真空蒸着装置のセル内に導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10
−6トルに制御した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、80nmの厚さを有する第1の正孔注入層をITO基材上に形成した。次いで、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリルを真空蒸着装置の別のセル内に導入し、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、3nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層上に形成した。真空蒸着装置の別のセル内に、N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンを導入した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、40nmの厚さを有する正孔輸送層を第2の正孔注入層上に形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、発光層を次のように堆積させた。ホストとしての化合物A−27を真空蒸着装置の1つのセル内に導入し、ドーパントとしての化合物D−1を装置の別のセル内に導入した。これら2つの材料を異なる速度で蒸発させ、ホスト及びドーパントの総重量に基づいて15重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、40nmの厚さを有する発光層を正孔輸送層上に形成した。次に、2,4−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−6−(ナフタレン−2−イル)−1,3,5−トリアジン及びリチウムキノレートを、真空蒸着装置の別の2つのセル上で4:6の速度で蒸発させて、35nmの厚さを有する電子輸送層を発光層上に形成した。電子輸送層上に電子注入層として2nmの厚さを有するリチウムキノレートを堆積させた後、別の真空蒸着装置により、80nmの厚さを有するAl陰極を電子注入層上に堆積させた。その結果、OLEDデバイスが生成された。OLEDデバイスを生成するために使用した全ての材料は、使用前に10
−6トルの真空昇華によって精製した。
【0092】
生成されたOLEDデバイスは、緑色の発光を示し、2.7Vにおいて2.66mA/cm
2の電流密度及び1350cd/m
2の輝度を有した。
【0093】
比較実施例2:従来の有機電界発光化合物を用いることによるOLEDデバイスの生成
デバイス実施例2と同じ様式でOLEDデバイスを生成したが、ただし、発光材料中に化合物B−1をホストとして使用し、化合物D−1をドーパントとして使用し、それによって40nmの厚さを有する発光層を正孔輸送層上に堆積させたことを除く。
【0094】
生成されたOLEDデバイスは、緑色の発光を示し、4.8Vにおいて2.59mA/cm
2の電流密度及び1060cd/m
2の輝度を有した。
【0096】
比較実施例3:従来の有機電界発光化合物を用いることによるOLEDデバイスの生成
デバイス実施例2と同じ様式でOLEDデバイスを生成したが、ただし、発光材料中に4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニルをホストとして使用し、化合物D−1をドーパントとして使用し、それによって40nmの厚さを有する発光層を正孔輸送層上に形成し、10nmの厚さを有する正孔阻止層としてのアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)−4−フェニルフェノラートを堆積させ、2,4−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−6−(ナフタレン−2−イル)−1,3,5−トリアジン及びリチウムキノレートを、別の2つのセル上で4:6の速度で蒸発させて、25nmの厚さを有する電子輸送層を正孔阻止層上に形成したことを除く。
【0097】
生成されたOLEDデバイスは、緑色の発光を示し、5.6Vにおいて4.18mA/cm
2の電流密度及び1890cd/m
2の輝度を有した。
【0098】
比較例4:従来の有機電界発光化合物を用いることによるOLEDデバイスの生成
デバイス実施例2と同じ様式でOLEDデバイスを生成したが、ただし、発光材料中に化合物B−2をホストとして使用し、化合物D−1をドーパントとして使用し、それによって40nmの厚さを有する発光層を正孔輸送層上に堆積させたことを除く。
【0099】
生成されたOLEDデバイスは、緑色の発光を示し、3.0Vにおいて2.39mA/cm
2の電流密度及び1040cd/m
2の輝度を有した。
【0101】
上記より、本発明の有機電界発光化合物が、従来の材料のものよりも良好な発光特性を有することが分かる。さらに、本発明の有機電界発光化合物をホスト材料として用いたデバイスは、優れた発光特性を有し、駆動電圧を低減させ、それによって出力効率を上昇させ、電力の消費を改善する。
【0102】
比較例5:従来の有機電界発光化合物を用いることによるOLEDデバイスの生成
OLEDデバイスを次のように生成した:OLEDデバイス用のガラス基材(GEOMATEC CO.,LTD.、日本)上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)の薄いフィルム(15Ω/sq)を、連続してアセトン、エタノール、及び蒸留水を使用することによる超音波洗浄にかけ、次いでイソプロパノール中に保管した。次に、真空蒸着装置の基材ホルダ上にITO基材を載置した。N
4,N
4’−ジフェニル−N
4,N
4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを真空蒸着装置のセル内に導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10
−6トルに制御した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、60nmの厚さを有する第1の正孔注入層をITO基材上に形成した。次いで、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリルを真空蒸着装置の別のセル内に導入し、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層上に形成した。真空蒸着装置の別のセル内に、N−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンを導入した。その後、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、20nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を第2の正孔注入層上に形成した。次いで、9−(ナフタレン−2−イル)−3−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−カルバゾールを真空蒸着装置の別のセル内に導入し、このセルに電流を印加して導入された材料を蒸発させ、それにより、5nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層上に形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、発光層を次のように堆積させた。ホストとしての化合物BH−1を真空蒸着装置の1つのセル内に導入し、ドーパントとしての化合物BD−1を装置の別のセル内に導入した。これら2つの材料を異なる速度で蒸発させ、ホスト及びドーパントの総重量に基づいて2重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、20nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層上に形成した。次に、電子輸送材料としての2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(化合物ETL−1)を真空蒸着装置の1つのセル内に導入して、35nmの厚さを有する電子輸送層を発光層上に形成した。電子輸送層上に電子注入層として2nmの厚さを有するリチウムキノレートを堆積させた後、別の真空蒸着装置により、80nmの厚さを有するAl陰極を電子注入層上に堆積させた。その結果、OLEDデバイスが生成された。OLEDデバイスを生成するために使用した全ての材料は、使用前に10
−6トルの真空昇華によって精製した。
【0103】
デバイス実施例4及び5:本発明による青色発光有機電界発光デバイスの生成
比較実施例5と同じ様式でOLEDデバイスを生成したが、ただし、以下の表3に示すように電子輸送材料を変更したことを除く。比較実施例5、ならびにデバイス実施例4及び5で生成されたOLEDデバイスの評価結果は、以下の表3に提供される。
【0105】
上記の表3から、本発明の電子輸送層は高速の電子流特性を有し、したがって、デバイス実施例4及び5は、比較実施例5と比較して高効率を提供する。