特許第6619095号(P6619095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6619095自動車両を検知位置に移動させる自動車両を操縦する方法、運転者支援システム、及び自動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619095
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】自動車両を検知位置に移動させる自動車両を操縦する方法、運転者支援システム、及び自動車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20191202BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20191202BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20191202BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   B60W30/00
   G08G1/16 C
   G08G1/16 D
   B60W30/08
   B60W40/02
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-521869(P2018-521869)
(86)(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公表番号】特表2019-503917(P2019-503917A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】EP2016074789
(87)【国際公開番号】WO2017071979
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】102015118578.4
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】クリストス、マラスリス
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド、メナカ
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0245877(US,A1)
【文献】 特表2013−530867(JP,A)
【文献】 特開2015−077936(JP,A)
【文献】 特開2011−043884(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013019145(DE,A1)
【文献】 特開2014−034287(JP,A)
【文献】 特表2015−516772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00−40/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(1)を操縦する方法であって、前記自動車両(1)は、決定された運転チューブ(15)内で操縦され、前記操縦中に、前記自動車両(1)の周囲領域(7)に存在する少なくとも1つの物体(8、9)の位置が、制御ユニット(3)によって、前記自動車両(1)の少なくとも1つのセンサ(4)のセンサデータに基づいて継続的に決定され、前記センサ(4)は所定の検出範囲(10)を有し、前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記少なくとも1つのセンサ(4)の前記検出範囲(10)外に位置している場合、前記少なくとも1つの物体(8、9)の位置が推定される、方法において、
前記検出範囲内にあった前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記検出範囲(10)外に位置している場合、検知位置が前記制御ユニット(3)によって決定され、前記自動車両(1)は前記検知位置へ移動され、
前記検知位置は、前記自動車両(1)が前記検知位置に位置した場合に、前記制御ユニットによって決定された前記少なくとも1つの物体(8、9)の最新の記位置が前記検出範囲(10)内に位置するような態様で決定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの物体(8、9)が、前記検出範囲(10)と前記自動車両(1)の外面(11)との間に存在する、前記少なくとも1つのセンサ(4)の所定のブラインドスポット(12)内に位置している場合、前記自動車両(1)は前記検知位置に移動される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自動車両(1)は、前記決定された運転チューブ(15)内で、移動方向と反対方向に前記検知位置に向かって移動される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記検知位置は、前記自動車両(1)の前記少なくとも1つの物体(8、9)に対する相対的位置と、前記少なくとも1つのセンサ(4)の前記検出範囲(10)とに応じて決定される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記検知位置において、所定時間の間、前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記決定された運転チューブ(15)内に位置しているかどうかをチェックするように、前記センサデータが使用される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記決定された運転チューブ(15)内に位置していない場合、前記自動車両(1)は、前記決定された運転チューブ(15)内で更に移動される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記決定された運転チューブ(15)内に位置している場合、変更された運転チューブが決定され、前記自動車両(1)は前記変更された運転チューブ(15)内で移動される、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの物体(8、9)が前記決定された運転チューブ(15)内に位置している場合、出力が、出力装置(14)によって前記自動車両(1)の運転者に出力される、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記自動車両(1)は、前記決定された運転チューブ(15)内で、前記制御ユニット(3)によって、少なくとも半自律的に操縦される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
制御信号が、自動車両外部オペレータ制御ユニット(16)から前記制御ユニット(3)によって受信され、
前記自動車両(1)は、前記決定された運転チューブ(15)内で、前記受信された制御信号に応じて操縦される、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの物体(8、9)の前記位置は、前記自動車両(1)の前記周囲領域(7)を示す周囲デジタルマップに入力される、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するように設計された、自動車両(1)の運転者支援システム(2)用の制御ユニット(3)。
【請求項13】
請求項12に記載の制御ユニット(3)を有し、少なくとも1つのセンサ(4)を有する、自動車両(1)用の運転者支援システム(2)。
【請求項14】
請求項13に記載の運転者支援システム(2)を有する自動車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両を操縦する方法に関する。当該方法では、前記自動車両は、決定された運転チューブ内で操縦され、操縦中に、前記自動車両の周囲領域に存在する少なくとも1つの物体の位置が、制御ユニットによって、前記自動車両の少なくとも1つのセンサのセンサデータに基づいて連続的に決定される。前記センサは所定の検出範囲を有している。そして、前記少なくとも1つの物体が、前記少なくとも1つのセンサの前記検出範囲外に位置している場合、前記少なくとも1つの物体の位置が推定される。更に、本発明は、自動車両用の運転者支援システムに関する。最後に、本発明は自動車両に関する。
【0002】
ここでの関心は、特に、自動車両の操縦時に運転者を支援する自動車両用運転者支援システムにある。例えば、自動車両を自律的に又は自動的に駐車スペースに駐車させ得る運転者支援システムが公知である。また、従来技術によれば、自動車両と物体又は障害物とが衝突する危険があれば、自動的に緊急ブレーキ操作を実施する運転者支援システムも存在する。この文脈において、運転者支援システムは、自動車両の周囲領域を示す周囲デジタルマップに基づいて作動されることが多くなっている。この周囲マップは、運転者支援システムのセンサによって検出された、自動車両の周囲領域に存在する物体に関する情報を含む。センサは、例えば、超音波センサ、カメラ、レーダーセンサ、レーザースキャナ等であり得る。物体の位置は、周囲デジタルマップにおいて、種々のアプローチにより、例えば三角測量により決定される。運転者支援システムは、物体の位置に関する情報を通じて種々の動作を実行可能である。
【0003】
こうして、自動車両は、センサにより取得可能なセンサデータを使用して自律的に又は自動的に操作され得る。これには、例えば駐車システムの場合、車両の自動長手方向案内及び横方向案内が含まれる。また、自動ギア選択が実行され得るとともに、サイドブレーキを使用することが想定され得る。更に、周囲センサシステムを使用して、物体や障害物の周囲で、自動車両を、例えば車庫や入口、又は細い通路等の目標位置に自律的に案内する運転者支援システムが公知である。この目的のために、自動車両が衝突せずに移動可能な運転チューブが、運転者支援システムによって決定され得る。
【0004】
運転者支援システムのセンサは、それぞれ検出範囲を有する。この検出範囲は、物体が各センサに検知され得る範囲である。センサの位置や配向に応じて、車両輪郭周囲の近接域にブラインドスポットと呼ばれる、物体が検知され得ないスポットが形成され得る。この目的のために、従来技術から、自動車両自体の移動や実際の物体の速度を考慮して、物体の位置を追跡することが知られている。この文脈において、EP 1 668 385 B1には、距離測定装置と物体との間の予測距離を認定するための方法が記載されている。この目的のために、限定時間ポイントが決定される。この限定時間ポイントは、距離測定装置に最も近接している物体のポイントが距離測定装置の測定範囲から消える時を示す。こうして、距離測定装置と物体との相対移動に関する情報に基づいて、予測距離が測定され得る。
【0005】
公知の方法の重大な欠点は、センサのブラインドスポット中の物体を引き続き測定できないことであり、このために、物体が、自動車両が操作される所定の運転チューブ内に位置しているか、又は前記チューブから既に出たかどうかがわからない。したがって、自動車両を衝突させずに確実に操縦することができない。更に、衝突の危険がある物体の前で、自動車両が停止してしまう場合がある。自動車両自体の移動又は実際の物体の移動の結果、物体がセンサのブラインドスポットに入ってしまった場合、物体が自動車両の運転チューブから出たかどうかを確実にチェックすることができない。したがって、自動車両を必要な安全性を以て操縦することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも1つのセンサのデータに基づいて、より確実に自動車両が操縦されることを可能にする解決策を提供することである。
【0007】
本発明によれば、本目的は、各独立請求項に記載の特徴を有する方法によって、運転者支援システムによって、そして自動車両によって達成される。本発明の有利な展開は、従属請求項の、明細書の、そして図面の内容である。
【0008】
本発明による方法は、自動車両を操縦するのに役立つ。この文脈において、自動車両は、決定された運転チューブ内で操縦される。操作中に、自動車両の周囲領域に存在する少なくとも1つの物体の位置が、制御ユニットによって、自動車両の少なくとも1つのセンサのセンサデータに基づいて連続的に決定される。このセンサは、所定の検出範囲を有する。少なくとも1つの物体が少なくとも1つのセンサの検出範囲外に位置している場合、この少なくとも1つの物体の位置が推定される。また、検知位置が制御ユニットによって決定され、少なくとも1つの物体が検出範囲外に位置している場合、自動車両は検知位置に移動される。この文脈において、検知位置は、自動車両が前記検知位置に位置する場合に、少なくとも1つの物体の推定位置が検出範囲内に位置するような態様で決定される。
【0009】
ここでは、自動車両は、運転者支援システムの制御ユニットを使用して操縦されることとなる。例えば、制御ユニットは、自動車両の電子制御ユニット(ECU)であり得る。また、運転者支援システムは、例えば、超音波センサ、レーダーセンサ、レーザースキャナ、ライダーセンサ、カメラ等として実現され得る少なくとも1つのセンサを有する。好適には、運転者支援システムは複数のセンサを有し、これらは、例えば自動車両に分散配置されることが想定される。少なくとも1つのセンサは、データを送信するように制御ユニットに接続され得る。このようにして、センサのセンサデータは、制御ユニットに受信され得る。センサのセンサデータは、特に、自動車両と少なくとも1つの物体との間の距離を示す距離情報を含み得る。したがって、少なくとも1つの物体の位置、又は自動車両と少なくとも1つの物体との相対的位置が、制御ユニットによってセンサデータに基づいて決定され得る。自動車両は、決定された運転チューブ内で操縦される。例えば、運転チューブは、制御ユニットによって、少なくとも1つの物体の位置に基づいて決定され得る。この目的のために、制御ユニットは、センサデータを使用可能であるとともに、自動車両が衝突せずに操縦され得るように運転チューブを設計する。運転チューブ内における走行中に、少なくとも1つの物体の位置が、センサデータに基づいて連続的に決定される。少なくとも1つの物体の位置の決定は、少なくとも1つの物体がセンサの検出範囲内に位置している場合に可能である。検出範囲は、自動車両の周囲領域内の、物体又は障害物がセンサによって検知され得る領域を示す。センサデータに基づいて、物体がセンサの検出範囲内に位置しているかどうかをチェックすることができる。したがって、少なくとも1つの物体が最初は自動車両の検出範囲内に配置されているが、例えば、自動車両及び/又は物体の移動中に検出範囲から外れるという状況を検出することが可能である。
【0010】
少なくとも1つの物体が、少なくとも1つのセンサの検出範囲内に位置していない、又はもはや位置していない場合、少なくとも1つの物体の位置が、制御装置によって推定され得る。例えば、自動車両の移動がこのために使用され得る。具体的には、自動車両の現在の走行速度及び/又は現在の走行方向が、検出範囲外に位置している少なくとも1つの物体の位置を推定するために使用され得る。また、センサデータに基づいて、物体が静止している物体か移動している物体かどうかを決定することができる。更に、自動車両と少なくとも1つの物体との相対移動が、位置の推定中に、決定され得るとともに考慮され得る。自動車両の位置が推定されても、必要な確実性を以てこの位置を決定することはもう不可能であるかもしれない。最悪の場合、自動車両と少なくとも1つの物体とが衝突するという事態が生じ得る。
【0011】
本発明によれば、検知位置が制御ユニットによって決定され、少なくとも1つの物体が検出範囲外に位置している場合、自動車両は検知位置に移動される。換言すれば、制御装置によって、運転チューブ内での自動車両の操縦が中断されて、追加の運転操縦操作が実施される。追加の運転操縦操作の間、自動車両は検知位置へ移動される。ここでは、検知位置は、自動車両が検知位置に位置した場合に、物体の推定位置がセンサの検出範囲内に位置するような態様で選択される。したがって、少なくとも1つの物体の最新の位置又は推定された場所がセンサの検出範囲内に再度存在するように自動車両が移動されることで、少なくとも1つの物体を引き続き測定することが可能となる。このようにして、センサを使用して物体の現在の位置を確実に決定することが、可能となる。結果として、自動車両と上記少なくとも1つの物体との衝突が防止され得る。また、衝突することなく運転チューブ内で更に走行することが可能であると検出された場合、操縦が継続され得る。
【0012】
少なくとも1つの物体が、検出範囲と自動車両の外面との間に存在する、少なくとも1つのセンサの所定のブラインドスポットに位置している場合、好適には、自動車両は検知位置に移動される。センサの検出範囲は、例えば、センサから延びる円錐形に延在し得る。少なくとも1つの物体が、センサによって検知され得ない、又は完全には検知され得ないブラインドスポットと呼ばれるものは、この検出範囲と自動車両の外面または外殻との間に存在する。これは特に、物体が、センサの設置高さより短い高さを有する低い物体である場合である。例えば、自動車両が運転チューブ内での走行中に物体に向かって移動される場合、これは、少なくとも1つの物体が最初はセンサの検出範囲にあったが、その後に検出範囲からなくなるような場合があり得る。この場合、少なくとも1つの物体は、通常、自動車両に非常に近接している。緊急制動操作が運転者支援システムにより実施されることもあり得る。なぜならば、物体に衝突する危険があるからである。制動操作が実施された後、物体は自動車両に非常に近接している可能性がある。物体を検知可能なように、自動車両は検知位置に移動される。こうして、物体との起こり得る衝突を回避することができる。
【0013】
或る改良において、自動車両が、決定された運転チューブにおいて検知位置に対して反対の移動方向に移動される。例えば、自動車両の操縦中に、自動車両が運転チューブ内で第1走行方向に移動されることが想定され得る。自動車両を検知位置に移動させるように、自動車両が、運転チューブ内において、第1走行方向に対して反対の第2走行方向に移動されることが想定され得る。このように、自動車両は、最初に運転チューブ内で移動される。少なくとも1つの物体がブラインドスポットに入ったら、又は検出範囲外に位置したら、自動車両は停止され得る。その後、自動車両は、検知位置に到達するまで、運転チューブに沿って後退され得る。したがって、検知位置は、容易に決定され得る。
【0014】
別の実施形態において、検知位置は、少なくとも1つの物体及び少なくとも1つのセンサの検出範囲に対する自動車両の相対的位置に応じて決定される。例えば、物体がセンサの検出範囲にまだ位置していた時点の物体を示すセンサデータが、制御ユニットにより評価され得る。こうして、このセンサデータに基づいて、自動車両又はセンサの物体に対する相対的位置が決定され得る。また、センサの設置位置及び検出範囲が、検知位置を決定するように考慮され得る。物体が移動する物体である場合、ブラインドスポットでの物体の移動も、推定され得る。したがって、検知位置が確実に決定され得る。そして、自動車両が検知位置に位置していれば、物体は、以前と同様に引き続き測定され得ることが確保される。
【0015】
別の実施形態において、検知位置において、所定時間の間、少なくとも1つの物体が決定された運転チューブ内に位置しているかどうかをチェックするように、センサデータが使用される。自動車両が検知位置に位置している場合、所定時間の間、センサによって時間的に連続する測定サイクルが実施され得る。それぞれの測定サイクルにおいて、センサデータが決定されるとともに制御ユニットに送信され得る。したがって、制御ユニットによって、所定時間の間に、物体が検出範囲内に位置しているかどうかをチェックすることができる。また、物体が静止した物体であるか、例えば運転チューブから外れて行く移動する物体であるかが調査され得る。したがって、自動車両のその後の運転チューブ内での移動において、物体に衝突する危険があるかどうかを確実にチェックすることが可能である。
【0016】
一実施形態において、少なくとも1つの物体が決定された運転チューブ内に位置していない場合、自動車両は、決定された運転チューブ内において更に移動される。自動車両が検知位置に位置したら、少なくとも1つの物体が運転チューブ内に位置しているかどうかがチェックされる。もし位置していなければ、自動車両の移動が、決定された運転チューブに沿って継続され得る。なぜならば、物体に衝突する危険がないからである。ここでは、自動車両は最初に検知位置から運転チューブ内を逆行させられ、その後に運転チューブに沿った走行が継続されることも想定され得る。こうして、自動車両は安全且つ確実に操縦され得る。
【0017】
別の改良において、少なくとも1つの物体が決定された運転チューブ内に配置されている場合、変更された運転チューブが決定され、自動車両は当該変更された運転チューブ内で移動される。検知位置において、物体が当初計画された運転チューブ内に位置していることが検出されたら、変更された運転チューブが決定され得る。具体的には、自動車両と少なくとも1つの物体との衝突が起きないように、この変更された運転チューブが決定される。例えば、運転チューブ内での走行中に、自動車両が物体を通り過ぎるように、変更された運転チューブが決定され得る。また、自動車両が物体の方向に移動され、自動車両が物体の手前の所定の最小距離において停止されるような態様においても、変更された運転チューブが決定され得る。これは、例えば、決定された運転チューブに沿った移動に際して、自動車両が駐車スペースに駐車される場合に、少なくとも1つの物体が駐車スペースに位置しているような場合である。この文脈において、例えば、駐車スペースが十分に広い場合、自動車両が駐車スペース内に移動され、自動車両の走行が物体からの最小距離において終了されることが可能であろう。
【0018】
更に、少なくとも1つの物体が決定された運転チューブに位置している場合、出力が自動車両の運転者に出力されれば有利である。運転者支援システムは、対応する出力装置を有し得る。この出力装置によって、出力又は警告メッセージが、自動車両の運転者に、視覚的に、聴覚的に、及び/又は触覚的に出力され得る。したがって、例えば、物体が決定された運転チューブ内に位置していることが運転者に報知され得るとともに、変更された運転チューブが決定される。また、自動車両が少なくとも半自律的に操縦されている場合、操縦が中断され、運転者支援システムが制御を運転者に移譲することも想定され得る。この場合、対応する出力が発信され得る。基本的に、自動車両が検知位置に移動される旨の対応する情報が、出力装置によって運転者に出力されることも想定され得る。したがって、特に半自律的操縦の場合、自動車両の運転者は継続的に報知される。
【0019】
好適には、自動車両は、決定された運転チューブ内で、制御ユニットによって少なくとも半自律的に操縦される。上述のように、決定された運転チューブ内での自動車両の操縦は、少なくとも半自律的に実施される。この文脈において、運転者支援システムは、操舵システムへの介入の制御を担い得るとともに、自動車両の運転者には、アクセルペダルやブレーキの操作が割り当てられている。或いは、自動車両は、運転チューブに沿って完全に自律的に又は自動的に操縦され得る。この場合、運転者支援システムは、自動車両の駆動エンジンやブレーキシステムへの介入の制御も担う。
【0020】
別の実施形態において、制御信号が、自動車両外部オペレータ制御ユニットから制御ユニットによって受信され、自動車両は、決定された運転チューブ内で、受信した制御信号に応じて操縦される。基本的に、自動車両の操縦の拡張は、自動車両外部オペレータ制御ユニット又は遠隔制御システムによって可能である。例えば、車両外部オペレータ制御ユニットは、スマートフォン、無線キー等により形成され得る。この場合、例えば自動車両の運転者が、オペレータ制御ユニットを操作する。対応する制御信号が、運転者によるオペレータ制御入力に基づいてオペレータ制御ユニットにより生成され、自動車両の制御ユニットに送信される。こうして、自動車両は、制御ユニットによって操縦され得る。例えば、自動車両が駐車スペースに入れられる、又は駐車スペースから出されるときに、このような遠隔制御システムが想定され得る。これは、特に、駐車スペースが空間的に制限されており、運転者の車両に対する出入りが困難である場合に有利である。
【0021】
好適には、少なくとも1つの物体の位置が、自動車両の周囲領域を表す周囲デジタルマップに入力される。少なくとも1つの物体の位置、又は自動車両と物体との相対的位置が、センサデータに基づいて、制御ユニットによって決定され得る。この情報が、周囲デジタルマップに入力され得る。例えば、自動車両と物体との相対的位置は、自動車両の基準点に対して決定され得る。運転者支援システムが複数のセンサ及び/又は複数の異なるセンサを有している場合、少なくとも1つの物体の位置が、それぞれのセンサによって決定され得るとともに、周囲デジタルマップに入力され得る。
【0022】
自動車両の運転者支援システム用の本発明による制御ユニットは、本発明による方法を実施するように設計される。例えば、制御ユニットは、自動車両の電子制御ユニットにより形成され得る。或いは、制御ユニットは、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ又は他のコンピュータにより形成され得る。
【0023】
自動車両用の本発明による運転者支援システムは、本発明による制御ユニットと、少なくとも1つのセンサとを有する。好適には、運転者支援システムは、例えば自動車両に分散配置された複数のセンサを有する。センサは、データ送信のために、特定の車両データバスを介して制御ユニットに連結され得る。例えば、運転者支援システムは、駐車補助として、緊急ブレーキ支援等として具現化され得る。
【0024】
本発明による自動車両は、本発明による運転者支援システムを有する。具体的には、自動車両は乗用車として実現される。
【0025】
本発明による方法に対して呈示された好適な実施形態及びその利点は、本発明による制御ユニット、本発明による運転者支援システム、及び本発明による自動車両に相応に適用される。
【0026】
本発明の更なる特徴は、請求項、図面及び図面の説明から明らかである。上述の特徴及び特徴の組合せ、及び下記の図面の説明及び/又は図面にのみ示された特徴及び特徴の組合せは、本発明の範囲を逸脱せずに、示された各組合せのみならず他の組合せにおいて、又は単独で採用され得る。したがって、図面に明確に示されない又は説明されないが説明された実施形態からの特徴の組合せにより生じる及び生成され得る本発明の実施形態は、本発明に含まれ且つ開示されているとみなされるべきである。また、最初に策定された独立請求項の全ての特徴を有さない実施形態および特徴の組合せも、開示されているとみなされるべきである。
【0027】
本発明を、好適な実施形態に基づいて添付図面を参照しつつ以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による自動車両を示す平面図。
図2】決定された運転チューブ内で移動させられる車両を示す図。
図3】運転チューブ内で操縦中の異なる時点における自動車両を示す図であって、自動車両を前方走行方向において移動させる図。
図4】更なる運転チューブ内で操縦中の異なる時点における自動車両を示す図であって、自動車両を逆の走行方向に移動させる図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面において、同一及び機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付される。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による自動車両1を示す平面図である。自動車両1は、運転者支援システム2を有する。運転者支援システム2は、自動車両1の操作中に、自動車両1の運転者を支援するよう機能する。運転者支援システム2は、例えば自動車両1の電子制御ユニットにより構成され得る制御ユニット3を有する。
【0031】
更に、運転者支援システム2は、少なくとも1つのセンサ4を有する。例示的な本実施例において、運転者支援システム2は、12個のセンサ4を有する。6個のセンサ4は前方域5に配置され、6個のセンサ4は後方域6に配置される。例示的な本実施形態において、センサ4は、超音波センサとしてそれぞれ構成される。自動車両1の周囲領域7に存在する物体8、9又は障害物が、センサ4によって検知され得る。周囲領域7に存在する少なくとも1つの物体8、9を示すセンサデータが、各センサ4によって利用可能とされる。具体的には、センサデータは、センサ4と物体8、9との間の距離を示す距離情報を含んでいる。センサ4は、データ送信のために制御ユニット3に連結される。対応するデータラインは、明瞭性を期してここでは図示しない。
【0032】
各センサ4は、センサデータを制御ユニット3に送ることができる。制御ユニット3は、これに対応して、センサデータを評価し得るとともに、例えば少なくとも1つの物体8、9の位置を決定し得る。また、制御ユニット3は、自動車両1の基準点13と少なくとも1つの物体8、9との相対的な位置を決定し得る。本例において、基準点13は、自動車両1の後車軸の中央点に指定されている。また、少なくとも1つの物体8、9及びその位置が入力され得る周囲デジタルマップが、制御ユニット3によって利用可能とされる。
【0033】
センサ4のそれぞれは、物体8、9が当該センサ4によって検知され得る領域を示す検出範囲10を有する。本例において、各検出範囲10は、本質的に円錐形状をなしている。各センサ4によって物体8、9が検知され得ない、又は完全には検知され得ないブラインドスポット12と称されるものが、検出範囲10と自動車両1の外面11との間に形成される。センサ4と検出範囲10との間のブラインドスポット12の空間的規模は、超音波センサとして構成されたセンサ4の場合、およそ30cmであり得る。センサ4の各検出範囲10の空間的範囲は、制御ユニット3に記憶され得る。また、センサ4の各設置位置も、制御ユニット3に記憶され得る。
【0034】
本例において、運転者支援システム2のセンサ4は、超音波センサとして構成されている。これに代えて、又はこれに加えて、運転者支援システム2は、レーダーセンサ、レーザースキャナ、ライダーセンサ、及び/又はカメラとして構成される更なるセンサ4を有し得る。センサ4の検出範囲10は、センサ4のタイプに依存する。センサ4の検出範囲10が重複することも想定され得る。
【0035】
更に、運転者支援システム2は、出力装置14を有する。出力装置14によって、情報が、自動車両1の運転者又は自動車両1の他の乗員に出力され得る。例えば、視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的警告信号が、出力装置14によって出力され得る。
【0036】
本例において、自動車両1は、操縦されるものである。この目的のために、運転チューブ15が決定され、この運転チューブ15内において、自動車両1は操縦される、又は移動させられる。このような運転チューブ15を、図2に例示的に示す。運転チューブ15は、制御ユニット3により決定され得る。この目的のために、制御ユニット3は、センサ4から受信したセンサデータを使用し得るとともに、運転チューブ15が自動車両1の周囲領域7に存在する物体8、9に衝突することなくこれを通過して案内されるように、運転チューブ15を決定し得る。図2の例において、概略的に示される2つの物体8、9が、自動車両1の周囲領域7に位置している。運転チューブ15は、2つの物体8と9との間に延在し、これにより、自動車両1と物体8、9との衝突が回避される。
【0037】
これに代えて、又はこれに加えて、運転チューブ15は、車両外部オペレータ制御ユニット16のオペレータ制御プロセスに基づいて決定されることも、想定され得る。例えば、オペレータ制御ユニット16は、スマートフォン、無線キー等であり得る。この車両外部オペレータ制御ユニット16は、例えば、自動車両1の運転者によって、この運転者が自動車両1の外部にいるときに操作され得る。運転者によるオペレータ制御入力の結果、制御信号が、オペレータ制御ユニット16により生成され得るとともに、自動車両1の制御ユニット3に送信され得る。制御信号は、特に無線で、オペレータ制御ユニット16から制御ユニット3に送信され得る。こうして、制御ユニット3は、自動車両を、運転チューブ15内で、この制御信号に基づいて操縦し得る。
【0038】
図3は、運転チューブ15内で操縦中の異なる時点t1、t2、t3、t4a及びt4bにおける図2による自動車両1を示す。ここでは、自動車両1は、運転チューブにおいて前進走行方向において移動される。自動車両1の運転チューブ15内での走行中に、少なくとも1つの物体8、9が、センサ4によって連続的に検知される。また、自動車両1と少なくとも1つの物体8、9との相対的位置が、制御ユニット3によって連続的に決定される。時点t1において、物体8は、センサ4のうちの1つの検出範囲10内に位置している。例えば、これは、物体8が、自動車両1の運転チューブ15内での走行中に、運転チューブ15に進入する移動物体である場合である。
【0039】
時点t1に時間的に続く時点t2において、自動車両1は、移動して物体8に対してより接近する。ここで、物体8は、検出範囲10外であってブラインドスポット12内に位置している。ブラインドスポットにおいて、物体8は、センサ4によってもはや検知され得ない、又はもはや完全には検知され得ない。この場合、物体8の位置が、制御装置3によって推定される。例えば、自動車両1の現在の速度、及び/又は現在の走行方向が、このために使用され得る。また、物体8が検出範囲10内に位置していたときに検知された物体8の移動も使用され得る。したがって、ブラインドスポット12内での物体8の位置に対する推定値が、決定され得る。
【0040】
時点t2に時間的に続く時点t3において、自動車両1の運転チューブ15内での走行が、制御ユニット3によって中断される。したがって、自動車両1は静止状態に制動される。こうして、制御ユニット3により検知位置が決定され、自動車両1は、前記検知位置に移動される。自動車両1の検知位置への移動を、矢印17によって示す。この文脈において、検知位置は、自動車両1が検知位置に位置する場合に、物体8の推定位置が検出範囲10内に位置するような態様で決定される。検知位置への到達を目的として、最初に運転チューブ15に沿って前方に移動された自動車両1は、運転チューブ15に沿って逆に移動される。これは、矢印17から明瞭である。
【0041】
自動車両1が検知位置に位置する場合、基本的に2つの選択肢が生じ得る。これらの選択肢を、ここでは、時点t4a及びt4bとして示す。時点t3に時間的に続く時点t4aにおいて、自動車両1は、検知位置に位置する。したがって、物体8の推定位置は、センサ4の検出範囲10内に位置している。この文脈において、物体8が運転チューブ15内に位置しているかどうかがチェックされ得る。もし位置していれば、変更された運転チューブを決定することが可能であり、自動車両1をこの変更された運転チューブに沿って操縦する。変更された運転チューブが決定されない場合、運転者支援システム2は、自動車両1の運転者に制御を譲り得る。物体8が運転チューブ15から排除されるまで、又は物体8それ自体が運転チューブ15を出て行くまで、所定時間待機することも可能である。
【0042】
時点t3に時間的に続く時点t4bは、別の選択肢を示す。ここでは、自動車両1が検知位置に位置している間、検出範囲10内に物体は存在しない。この場合、決定された運転チューブ15に沿った走行が継続され得る。これは矢印19から明瞭である。
【0043】
図4は、別の実施形態による、運転チューブ15内で操縦中の自動車両1を示す。本例において、自動車両1を、最初に運転チューブ15に沿って逆に(後方に)移動させる。時点t1において、物体8は、センサ4の検出範囲10内に位置している。続く時点t2において、物体8はブラインドスポット12に位置している。時点3において、検知位置が決定され、自動車両1は検知位置に向かって移動される。時点t4aにおいて、物体8は、再び検出範囲10内に位置している。この別の選択肢として、時点t4bは、検出範囲内に物体が存在しない場合を示す。
図1
図2
図3
図4