特許第6619102号(P6619102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619102
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】車両用スポイラー機構及びその展開方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   B62D37/02 E
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-534765(P2018-534765)
(86)(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公表番号】特表2018-532649(P2018-532649A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016026011
(87)【国際公開番号】WO2017052691
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】62/222,444
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056403
【氏名又は名称】マルチマティック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTIMATIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コーズリー、 ジョエル デビッド
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特公平04−070188(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用スポイラー機構であって、
収納位置と第1及び第2展開位置とを有するスポイラーと、
1つ以上のコマンドに応答して前記収納位置と第1及び第2展開位置の間で前記スポイラーを移動させるように構成されたアクチュエーターと、
閉じたループで複数の旋回点によって相互に連結され且つ前記スポイラーに動作可能に連結されたマルチリンク組立体と
を含み、
前記第1展開位置において、少なくとも3つの旋回点が一平面内にあり、第1幾何学的ロック位置を提供し、
前記第2展開位置において、前記マルチリンク組立体は第2幾何学的ロック位置に配置される、スポイラー機構。
【請求項2】
車両用スポイラー機構であって、
収納位置と第1及び第2展開位置とを有するスポイラーと、
1つ以上のコマンドに応答して前記収納位置と第1及び第2展開位置の間で前記スポイラーを移動させるように構成されたアクチュエーターと、
複数の旋回点によって相互に連結されたマルチリンク組立体であって、前記マルチリンク組立体は前記スポイラーに動作可能に連結され、少なくとも3つの旋回点が一平面内にあり第1幾何学的ロック位置を提供する前記第1展開位置が提供され、前記第2展開位置は前記マルチリンク組立体のリンクが車両に対して固定された関係にある別の構造体に当接する第2幾何学的ロック位置に配置されるマルチリンク組立体と、
前記車両に固定されるように構成された取り付けブラケットであって、前記マルチリンク組立体は、その端部の各々において前記取り付けブラケットの離間した部分に旋回可能に固定される取り付けブラケットと
を含む、スポイラー機構。
【請求項3】
前記マルチリンク組立体は第1、第2及び第3リンクから成る、請求項1又は2に記載のスポイラー機構。
【請求項4】
前記第1リンクは、前記スポイラーが固定される取り付けフランジを含む、請求項に記載のスポイラー機構。
【請求項5】
前記第1リンクは前記第2及び第3リンクよりも長く、前記第2リンクは前記第3リンクよりも長い、請求項3又は4に記載のスポイラー機構。
【請求項6】
前記第1リンクは、第1旋回点において前記取り付けブラケットに固定された一端部を有し、
前記第2リンクは、第2旋回点において前記第1リンクの反対側の端部に固定され、
前記第3リンクは、第3旋回点において前記第1リンクの反対側で前記第2リンクに固定され、
前記第3リンクは、前記第2リンクの反対側で第4旋回点において前記取り付けブラケットに固定され、
前記第2、第3及び第4旋回点は、前記第1展開位置において前記一平面内に配置される、請求項3から5のいずれか一項に記載のスポイラー機構。
【請求項7】
前記アクチュエーターは、前記第4旋回点において駆動ラグに連結される、請求項6に記載のスポイラー機構。
【請求項8】
互いから間隔を空けて配置され且つスポイラーを支持する一対のマルチリンク組立体を含み、
前記アクチュエーターはロータリーアクチュエーターであり、
前記一対のマルチリンク組立体のそれぞれ及び前記ロータリーアクチュエーターにシャフトが相互に連結される、請求項7に記載のスポイラー機構。
【請求項9】
前記第3リンクは、前記第2展開位置において前記取り付けブラケットに設けられた止め具に当接する、請求項3に記載のスポイラー機構。
【請求項10】
前記第1展開位置にある前記スポイラーは、前記スポイラーが前記第2展開位置において延びるよりも前記収納位置から更に遠くに延びる、請求項9に記載のスポイラー機構。
【請求項11】
前記スポイラーは、前記収納位置から前記第2展開位置に向かう途中で前記第1展開位置を通過するように構成される、請求項10に記載のスポイラー機構。
【請求項12】
前記スポイラーは、前記収納位置において車両の周囲の車体パネルと同一平面にある、請求項11に記載のスポイラー機構。
【請求項13】
前記第3リンクは円弧形状である、請求項9に記載のスポイラー機構。
【請求項14】
閉じたループで複数の旋回点によって相互に連結され且つスポイラーに動作可能に連結されマルチリンク組立体を含むスポイラー機構を展開する方法であって、
前記スポイラーを少なくとも3つの旋回点が一平面内にある第1展開位置へと展開するステップと、
前記スポイラーを収納位置から前記マルチリンク組立体のリンクのうちの1つが止め具に当接する第2展開位置へと展開するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記第1展開位置にある前記スポイラーは、前記第2展開位置においてよりも前記収納位置から更に遠くに延びる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数の旋回点によって相互に連結され且つ取り付けブラケットを介してスポイラーに動作可能に連結されマルチリンク組立体を含むスポイラー機構を展開する方法であって、
前記スポイラーを少なくとも3つの旋回点が一平面内にある第1展開位置へと展開するステップと、
前記スポイラーを前記マルチリンク組立体のリンクのうちの1つが止め具に当接する第2展開位置へと展開するステップと
を含み、
前記マルチリンク組立体は、第1、第2及び第3リンクを含み、
前記第1リンクは、第1旋回点において前記取り付けブラケットに固定された一端部を有し、
前記第2リンクは、第2旋回点において前記第1リンクの反対側の端部に固定され、
前記第3リンクは、第3旋回点において前記第1リンクの反対側で前記第2リンクに固定され、
前記第3リンクは、前記第2リンクの反対側で第4旋回点において前記取り付けブラケットに固定され、
前記第2、第3及び第4旋回点は、前記第1展開位置において前記一平面内に配置される、方法。
【請求項17】
前記取り付けブラケットは前記止め具を提供し、
前記第3リンクは前記第2展開位置において前記止め具に当接する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スポイラーを展開するステップは、前記第4旋回点において駆動ラグの回転に応答して行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記駆動ラグは、ロータリーアクチュエーターへの入力によるコマンドに応答して回転させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の旋回点によって相互に連結され且つスポイラーに動作可能に連結されマルチリンク組立体を含むスポイラー機構を展開する方法であって、
前記スポイラーを少なくとも3つの旋回点が一平面内にある第1展開位置へと展開するステップと、
前記スポイラーを前記マルチリンク組立体のリンクのうちの1つが止め具に当接する第2展開位置へと展開するステップと
を含み、
前記スポイラーを前記第1展開位置へと展開するステップは、前記スポイラーをスポイラー収納位置から展開するステップと前記スポイラーを前記第2展開位置へと展開するステップとの間に起こる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スポイラー機構に関する。一実施例において、スポイラー機構は、1つ以上の展開位置において耐荷重リアスポイラーを提供する。
【背景技術】
【0002】
展開可能なスポイラーは、一般に車両に用いられ、運転中の車両の空気力学的性質を変える。スポイラー機構の1つのタイプは、スポイラーが車体外板と同一面の収納位置から少なくとも2つの展開位置へと展開されるリアスポイラーであり、それらの位置において機構は運動学的に安定しており、スポイラーにかかる相当な垂直荷重に耐えることができる。
【0003】
スポイラーを展開するために、少なくとも1つのアクチュエーターが使用される。スポイラー機構は、空力荷重や例えば積雪の重さによってスポイラーにかかる荷重のようなスポイラーの上面の荷重に耐えるように設計される。一般的に、これらのアクチュエーターは、スポイラーにかかる荷重がアクチュエーターをバックドライブしてスポイラーを望ましくない位置に動かすのを防ぐブレーキ又は他の機構をそのギアボックスに組み込む必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な一実施形態では、車両用スポイラー機構は、収納位置と第1及び第2展開位置とを有するスポイラーを含む。アクチュエーターが、コマンドに応答して、収納位置と第1及び第2展開位置の間でスポイラーを移動させるように構成される。マルチリンク組立体が、旋回点によって相互に連結される。マルチリンク組立体は、スポイラーに動作可能に連結される。少なくとも3つの旋回点が一平面内にある第1展開位置が提供され、第1幾何学的ロック位置を提供する。第2展開位置は、マルチリンク組立体のリンクが別の構造体に当接する第2幾何学的ロック位置に配置される。
【0005】
上記の更なる実施形態では、取り付けブラケットが、車両に固定されるように構成される。マルチリンク組立体は、取り付けブラケットの両端部に旋回可能に固定される。
【0006】
上記のいずれかの更なる実施形態では、マルチリンク組立体は3つのリンクから成る。
【0007】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1リンクは、スポイラーが固定される取り付けフランジを含む。
【0008】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1リンクは、第2及び第3リンクよりも長い。第2リンクは第3リンクよりも長い。
【0009】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1リンクは、第1旋回点において取り付けブラケットに固定される一端部を有する。第2リンクは、第2旋回点において第1リンクの反対側の端部に固定される。第3リンクは、第3旋回点において第1リンクの反対側で第2リンクに固定される。第3リンクは、第2リンクの反対側で第4旋回点において取り付けブラケットに固定される。第2、第3及び第4旋回点は、第1展開位置において一平面内に配置される。
【0010】
上記のいずれかの更なる実施形態では、アクチュエーターは、第4旋回連結部において駆動ラグに連結される。
【0011】
上記のいずれかの更なる実施形態では、一対のマルチリンク組立体が互いから間隔を空けて配置され、スポイラーを支持する。アクチュエーターはロータリーアクチュエーターである。シャフトが、一対のマルチリンク組立体のそれぞれ及びロータリーアクチュエーターに相互に連結される。
【0012】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第3リンクは、第2展開位置において取り付けブラケットに設けられた止め具に当接する。
【0013】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1展開位置は、第2展開位置よりも遠くに延ばされる。
【0014】
上記のいずれかの更なる実施形態では、スポイラーは、収納位置から第2展開位置に向かう途中で第1展開位置を通過するように構成される。
【0015】
上記のいずれかの更なる実施形態では、スポイラーは、収納位置において周囲の車体パネルと同一平面にある。
【0016】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第3リンクは円弧形状である。
【0017】
別の例示的な実施形態では、旋回点によって相互に連結されるマルチリンク組立体を含むスポイラー機構を展開する方法が提供される。マルチリンク組立体は、スポイラーに動作可能に連結される。方法は、少なくとも3つの旋回点が一平面内にある第1展開位置へとスポイラーを展開するステップと、マルチリンク組立体のリンクの1つが止め具に当接する第2展開位置へとスポイラーを展開するステップとを含む。
【0018】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1展開位置は、第2展開位置よりも遠くに延ばされる。
【0019】
上記のいずれかの更なる実施形態では、方法は、取り付けブラケットを含む。マルチリンク組立体は、第1、第2及び第3リンクを含む。第1リンクは、第1旋回点において取り付けブラケットに固定される一端部を有する。第2リンクは、第2旋回点において第1リンクの反対側の端部に固定される。第3リンクは、第3旋回点において第1リンクの反対側で第2リンクに固定される。第3リンクは、第2リンクの反対側で第4旋回点において取り付けブラケットに固定される。第2、第3及び第4旋回点は、第1展開位置において一平面内に配置される。
【0020】
上記のいずれかの更なる実施形態では、取り付けブラケットは止め具を提供する。第3リンクは、第2展開位置において止め具に当接する。
【0021】
上記のいずれかの更なる実施形態では、スポイラーを展開するステップは、第4旋回点における駆動ラグの回転に応答して行われる。
【0022】
上記のいずれかの更なる実施形態では、駆動ラグは、ロータリーアクチュエーターへの入力によるコマンドに応答して回転させられる。
【0023】
上記のいずれかの更なる実施形態では、第1展開位置へとスポイラーを展開するステップは、スポイラー収納位置からスポイラーを展開するステップと第2展開位置へとスポイラーを展開するステップとの間に起こる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は、添付の図面に関連して検討した場合に以下の詳細な説明を参照することによって更に理解することができる。
図1A】収納位置にあるスポイラーの部分斜視図である。
図1B】第1展開位置にあるスポイラーの部分斜視図である。
図1C】第2展開位置にあるスポイラーの部分斜視図である。
図2】一対のマルチリンク組立体を含む例示的なスポイラー機構の斜視図である。
図3A】収納位置にあるスポイラー機構の斜視図である。
図4A】収納位置にあるスポイラー機構の側面図である。
図3B】第1展開位置におけるスポイラー機構の斜視図である。
図4B】第1展開位置におけるスポイラー機構の側面図である。
図3C】第2展開位置にあるスポイラー機構の斜視図である。
図4C】第2展開位置にあるスポイラー機構の側面図である。
図5】駆動ラグを有する1つの旋回点を通る断面図である。
【0025】
先行する段落、請求項、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替物は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴のいずれかを含め、単独で又は任意の組み合わせで理解されることができる。一実施形態に関連して説明した特徴は、このような特徴が不適合でない限り、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
車両10の後部12が、図1A〜1Cに概略的に示されている。後部12は、車体外板15によって設けられた後部窓開口14を有する。スポイラー又はリアウイング16が後部12に配置される。スポイラー16は、図1Aに収納位置で示されている。スポイラー16を含むスポイラー機構13が、収納位置から第1展開位置(図1B)及び第2展開位置(図1C)へと作動される。
【0027】
この実施例では、スポイラー16は、センターハイマウントストップランプ(CHMSL)17を含む。第1展開位置は、第2展開位置よりも高く、低速で使用され、スポイラー16の下の後部窓開口14によって運転手の視認性を向上させる。所定の速度で、スポイラー16は、空力効果を高めるために、第1展開位置から第2展開位置へと下げられる。
【0028】
スポイラー機構13の一例が、図2により詳細に示されている。スポイラー16は、支柱18によって間隔を空けて配置されたマルチリンク組立体20上で支持される。マルチリンク組立体20は、第1及び第2連結部26、28においてロータリーアクチュエーター22とマルチリンク組立体20との間に相互に連結されたシャフト24を介してロータリーアクチュエーター22によって駆動される。当然のことながら、必要に応じて他の作動形態を使用することができる。
【0029】
制御装置30が、ロータリーアクチュエーター22と通信し、スポイラー16を収納位置と第1及び第2展開位置との間で移動させるための入力32に基づいてロータリーアクチュエーター22にコマンドを提供する。入力32は、所望の空力効果を得るためにスポイラー16を自動的に展開するのに使用される車両の速度に基づくスイッチ及び/又は制御ロジックによって提供されことができる。
【0030】
左側のマルチリンク組立体20が、図3A及び4Aに収納位置で示されている。取り付けブラケット34が、面36において車両支持構造体(図示せず)に固定される。マルチリンク組立体20は、少なくとも3つのリンク、例えば、第1、第2及び第3リンク38、40、42を含む。図示した実施形態では、第1、第2及び第3リンク38、40、42は旋回連結部において互いに連続的に連結され、第1リンク及び最終リンクの端部が取り付けブラケット34の反対側の端部に旋回可能に連結される。この配置は、リンクのループを横切って相互に連結されるか又は架け渡されることなく、相互に連結された「ループ」におけるリンクの幾何学的配置を提供する。第1リンク38は第2及び第3リンク40、42よりも長く、第2リンク40は第3リンク42よりも長い。異なる長さの第2及び第3リンク40、42は、他の用途で使用されることができる。第1リンク38は、支柱18が固定される取り付けフランジ44を含む。
【0031】
第1リンク38は、車両10に対して固定された位置を有する第1旋回点46において、取り付けブラケット34の前端に旋回可能に固定される。第2リンク40は、車両10に対して移動可能な第2旋回点48において、取り付けブラケット34の反対側で第1リンク38に旋回可能に固定される。第3リンク42は、第2旋回点48の反対側の第3旋回点50において第2リンク40に固定され、且つ第4旋回点52において取り付けブラケット34の後部に固定される。第3旋回点50は車両10に対して移動可能であり、第4旋回点52は車両10に対して固定された位置を有する。
【0032】
図5に示すように、ピン53が、例えば圧入又は溶接によって第3リンク42に固定される。駆動ラグ56が、第4旋回点52を提供するために取り付けブラケット34に取り付けられたブッシング54によって旋回可能に支持される。駆動ラグ56は、シャフト24の端部と連結して第2連結部28を提供する輪郭を含む。駆動ラグ56を回転させると、第3リンク42は弧を描いて移動する。
【0033】
収納位置(図3A及び4A)から、第3リンク42は、第4旋回点52において駆動ラグ56によって回転させられ、第1及び第2リンク38、40を第1展開位置に対応する図3B及び4Bに示す位置へと回転させる。この形状では、第2、第3及び第4旋回点48、50、52は、一平面P内で、例えば10°以内に互いに実質的に位置合わせされ、第1幾何学的ロック位置を提供する。この装置では、第1幾何学的ロック位置にあるリンクの配置を維持するために別のリンクは必要ない。その結果、スポイラー16は、第1リンク38上の力(白抜き矢印で示す)が第2リンク40及び第3リンク42の望ましくない下向きの回転運動を与える第1旋回点46まわりのモーメントを伝達することができないように荷重を加えられることができる。
【0034】
アクチュエーターは、第1展開位置(図3B及び4B)にあるときの第3リンク42の位置を超えて図3C及び4Cに示す第2展開位置へと第3リンク42を回転駆動するように構成される。スポイラー16は、第1展開位置よりも第2展開位置において車両外面の近くに移動される。第2展開位置において、第3リンク42の内側円弧面60は、ブラケット34によって設けられた止め具58と係合して第2幾何学的ロック位置を提供する。この場合も先と同様に、このロック位置を維持するために追加のリンクは不要である。マルチリンク組立体20の幾何学的形状により、スポイラー16上のあらゆる力(白抜き矢印で示す)が止め具58に向かう第3リンク42上の力を生じ、第2リンク40及び第3リンク42の図示の位置を越える下方への望ましくない回転を防止する。
【0035】
開示されたリンクの形態及び所望の展開位置における旋回連結部の配置は、より複雑なアクチュエーターブレーキ又はバックドライブ防止装置の必要性を回避することによって、スポイラー機構を単純化し、重量及びコストを削減する。
【0036】
図示した実施形態では特定の構成要素の配置が開示されているが、他の配置が本発明から利益を得ることも理解されたい。特定のステップシーケンスが示され、説明され、特許請求されているが、当然のことながら、ステップは、他に示されない限り任意の順序で行い、分離し又は組み合わせることができ、依然として本発明から利益を得る。
【0037】
様々な実施例が図に示した特定の構成要素を有しているが、本発明の実施形態はこれらの特定の組み合わせに限定されない。1つの実施例の構成要素又は特徴のいくつかを、他の実施例の特徴又は構成要素と組み合わせて使用することが可能である。
【0038】
例示的な実施形態が開示されているが、当業者は一部の変更が特許請求の範囲内に入ることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲を熟読して真の範囲及び内容を明らかにする必要がある。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5