特許第6619147号(P6619147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619147
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】サーベイメータ
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20191202BHJP
   G01T 1/16 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   G01T1/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-78739(P2015-78739)
(22)【出願日】2015年4月7日
(65)【公開番号】特開2016-200426(P2016-200426A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷野 寿和
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−153306(JP,A)
【文献】 特開2000−196257(JP,A)
【文献】 特開2013−053881(JP,A)
【文献】 特開2002−134942(JP,A)
【文献】 特開2011−059236(JP,A)
【文献】 特開昭63−242582(JP,A)
【文献】 特開2013−232475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−1/16
G01T 1/167−7/12
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を測定するサーベイメータであって、
その周面にコネクタジャックが設けられたケースと、
前記ケースに装着され、前記コネクタジャックを保護するコネクタカバーと、
を備え、
前記コネクタカバーは、
前記コネクタジャックの全面を覆い、その高さ方向一端を中心に回転することで片開き戸状に開閉するカバー本体と、
前記カバー本体の高さ方向一端かつ幅方向両側に設けられ、前記カバー本体の幅方向両外側に延びる一対のアームと、
を備え、
前記ケースは、カバー本体を外部に露出させた状態で、前記一対のアームを覆って保持する保持構造を備え、
前記ケースは、箱状体を厚み方向に二分割した形状の第一ケース片および第二ケース片からなり、
前記保持構造は、
前記第一および第二ケース片のうちのいずれか一方のケース片の外面に形成された凹部であって、前記カバー本体を収容する収容凹部と、
前記一方のケース片の肉厚内に形成される溝部であって、カバー本体が前記収容凹部に収容された状態で、前記一対のアームを収容する溝部と、
を備え、前記溝部は、前記第一、第二ケース片の端面を当接させることで、外部から閉鎖される、
ことを特徴とするサーベイメータ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーベイメータであって、
前記カバー本体は、当該カバー本体の前記回転の中心に設けられ、当該カバー本体の全幅に亘って延びる線状の薄肉部を有する、ことを特徴とするサーベイメータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサーベイメータであって、
前記コネクタジャックは、防水構造である、ことを特徴とするサーベイメータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサーベイメータであって、
前記アームは、凸部または凹部である被係合部を有しており、
前記保持構造は、前記凸部また凹部に係合することで、前記アームの長軸方向への移動を規制する凹部または凸部である係合部を有する、ことを特徴とするサーベイメータ。
【請求項5】
請求項4に記載のサーベイメータであって、
前記被係合部は、前記アームの高さ方向一端に形成され、高さ方向内側に凹んだ凹部であり、
前記アームは、前記被係合部の両側かつ前記アームの高さ方向他端に形成され、高さ方向外側に向かって凸の隆起部を有する、
ことを特徴とするサーベイメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の放射線測定装置であるサーベイメータに関し、特に、コネクタジャックと、当該コネクタジャックを保護するコネクタカバーと、を備えたサーベイメータに関する。
【背景技術】
【0002】
サーベイメータのように可搬型の装置には、近年、外部機器を接続させるためのコネクタジャック、例えば、USBコネクタジャックや、ヘッドセットジャックを設けることが多い。かかるサーベイメータのケースには、一般的に、当該コネクタジャックを保護するコネクタカバーが、開閉可能に取り付けられている。こうしたコネクタカバーを設けるために、従来では、ケースに内外に貫通する貫通孔を設けるとともに、コネクタカバーの一端に可撓性材料からなる接続ベルトとを設け、当該接続ベルトの一部を貫通孔に係止する構成が多用されていた。しかし、かかる構成では、コネクタカバーの開閉性を向上するために、接続ベルトは、薄く軟弱に形成されることが多く、経年的な摩擦等により破損しやすかった。また、こうした従来の構成は、ケースに貫通孔を設けるため、防止・防塵機能が必要な場合には採用できないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−204109号公報
【特許文献2】特開2014−239368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2には、ケースに内外に貫通する貫通孔を設けることなく、コネクタを開閉するコネクタカバーの構成が開示されている。例えば、特許文献1には、ケースに非貫通のネジ穴を設けるとともに、当該ネジ穴を利用して、ケースの外側に、コネクタカバーを回転自在に支持するヒンジ構造を取り付ける構成が開示されている。かかる構成によれば、ケースに貫通孔を設ける必要が無いが、ケースに非貫通のネジ穴を設けたり、ケースの外側にヒンジ構造を取り付けたりしなければならず、全体的な構成が複雑であり、また、部品点数も多いという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、コネクタカバーの一端に、可撓性を有した腕部を設けるとともに、ケースの肉厚内に、当該腕部が収容される空間を形成した構成が開示されている。この特許文献2の技術でも、ケースに内外に貫通する貫通孔は不要となる。しかし、特許文献2の技術において、コネクタカバーの開閉性を向上するためには、腕部を、薄く軟弱に形成する必要があり、経年的な摩擦等により破損が生じやすかった。
【0006】
そこで、本発明では、簡易な構成でありながら、耐久性をより向上できるコネクタカバーを有するサーベイメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサーベイメータは、放射線を測定するサーベイメータであって、その周面にコネクタジャックが設けられたケースと、前記ケースに装着され、前記コネクタジャックを保護するコネクタカバーと、を備え、前記コネクタカバーは、前記コネクタジャックの全面を覆い、その高さ方向一端を中心に回転することで片開き戸状に開閉するカバー本体と、前記カバー本体の高さ方向一端かつ幅方向両側に設けられ、前記カバー本体の幅方向両外側に延びる一対のアームと、を備え、前記ケースは、カバー本体を外部に露出させた状態で、前記一対のアームを覆って保持する保持構造を備え、前記ケースは、箱状体を厚み方向に二分割した形状の第一ケース片および第二ケース片からなり、前記保持構造は、前記第一および第二ケース片のうちのいずれか一方のケース片の外面に形成された凹部であって、前記カバー本体を収容する収容凹部と、前記一方のケース片の肉厚内に形成される溝部であって、カバー本体が前記収容凹部に収容された状態で、前記一対のアームを収容する溝部と、を備え、前記溝部は、前記第一、第二ケース片の端面を当接させることで、外部から閉鎖される、ことを特徴とする。
【0008】
好適な態様では、前記カバー本体は、当該カバー本体の前記回転の中心に設けられ、当該カバー本体の全幅に亘って延びる線状の薄肉部を有する。他の好適な態様では、前記コネクタジャックは、防水構造である。
【0009】
他の好適な態様では、前記アームは、凸部または凹部である被係合部を有しており、前記保持構造は、前記凸部また凹部に係合することで、前記アームの長軸方向への移動を規制する凹部または凸部である係合部を有するこの場合、前記被係合部は、前記アームの高さ方向一端に形成され、高さ方向内側に凹んだ凹部であり、前記アームは、前記被係合部の両側かつ前記アームの高さ方向他端に形成され、前記高さ方向外側に向かって凸の隆起部を有する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバー本体の幅方向両外側に延びる一対のアームを備えており、この一対のアームで、カバー開閉に伴う応力を分散して受ける。その結果、一つのアームにかかる応力を低減でき、簡易な構成でありながら、耐久性をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態であるサーベイメータの斜視図である。
図2】本体ユニットの斜視図である。
図3】ケースの分解斜視図である。
図4】下ケース片の要部斜視図である。
図5】コネクタカバーの斜視図である。
図6】天地逆転した状態での上ケース片の要部斜視図である。
図7】天地逆転した状態での上ケース片の要部斜視図である。
図8図2におけるA−A概略断面図である。
図9図8におけるB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるサーベイメータ10の斜視図である。また、図2は、本体ユニット12の斜視図であり、図3は、ケース11の分解斜視図である。
【0014】
このサーベイメータ10は、可搬型の放射線測定装置であり、略平板状の本体ユニット12と、当該本体ユニット12に着脱自在の検出ユニット14と、に大別される。本体ユニット12と検出ユニット14は、有線通信方式によって接続されている。なお、当然ながら、有線通信方式に替えて、無線通信方式によって、両ユニット12,14を接続してもよい。
【0015】
本体ユニット12は、箱状のケース11を有している。このケース11は、平面視において、前後方向長さ(図中Y軸方向長さ)が、幅方向長さ(図中X軸方向長さ)よりも長い略長方形である。また、ケース11の厚み(図中Z軸方向長さ)は、前後方向長さおよび幅方向長さよりも十分に小さく、ケース11全体としては、薄型の平板状をなしている。
【0016】
本実施形態のケース11は、図3に示すように、略箱状を厚み方向に二分割したような形状の上ケース片30と下ケース片31とから構成される。このうち、上ケース片の側面には、外部機器(図示せず)と本体ユニット12とを電気的に接続するためのUSBコネクタジャック60が取り付けられている。このUSBコネクタジャック60は、可撓性材料からなるコネクタカバー50により保護されているが、このコネクタカバー50の構成については、後に詳説する。
【0017】
ケース11の表面には、タッチパネルモニタ16や、操作ボタン18、接続部20が設けられている。タッチパネルモニタ16は、液晶表示器及びタッチパネル(タッチセンサ)を備え、入力部及び表示部を兼ねたユーザインターフェースとして機能する。このタッチパネルモニタ16には、放射線の測定値等が表示される。また、タッチパネルモニタ16には、各種処理を指示するためのアイコン群が表示され、測定者は、アイコン群を利用して各種の入力を行ってもよい。
【0018】
接続部20は、検出ユニット14から引き出されたケーブル46のコネクタが挿し込まれるケーブルジャックである。検出ユニット14と本体ユニット12とは、検出ユニット14から引き出されたケーブル46のコネクタを、本体ユニット12のケーブルジャック(接続部20)に差し込むことで、接続され、コネクタをケーブルジャック(接続部20)から抜きとることで、接続解除される。本実施形態では、一つの本体ユニット12に対して、複数種類の検出ユニット14を用意しており、必要に応じて、本体ユニット12に接続される検出ユニット14が交換できるようになっている。
【0019】
ケース11の上面からは、取っ手22が立脚している。取っ手22は、その一端が、本体ユニット12の後端近傍に、その他端が、タッチパネルモニタ16の隣接する位置に取り付けられたブリッジ状となっている。この取っ手22は、本体ユニット12の幅方向中央に位置しており、前後方向に延びている。放射線測定の際、ユーザは、一方の手で当該取っ手22を持ち、もう一方の手で検出ユニット14を持って、当該検出ユニット14の検出面44を測定対象に向ける。
【0020】
取っ手22の上面には、スライドレール23が取り付けられている。検出ユニット14に固定されたスライダは、このスライドレール23に沿って摺動可能となっている。そして、検出ユニット14を、本体ユニット12に対して後方に移動させて、スライドレール23にスライダを挿入することで、検出ユニット14が、本体ユニット12に装着される。
【0021】
本体ユニット12の内部には、検出ユニット14から送られてきた測定値のデータを受信する通信部、本体ユニット12の動作を制御する制御部、及び、測定値のデータを記憶するメモリ、電力を供給するバッテリ等が内蔵されている。その測定値は、制御部の制御の下、所定の表示形式でタッチパネルモニタ16に表示される。本体ユニット12は、例えばCPUを有しており、制御部の機能は、例えばCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0022】
検出ユニット14は、放射線を検出するユニットである。検出ユニット14の内部には、シンチレーション検出器又はGM管等の放射線検出器が内蔵されている。シンチレーション検出器が採用される場合、放射線を検出するシンチレータと光電子増倍管とが検出ユニット14に内蔵される。また、検出ユニット14には、アンプ、波形整形回路、波高弁別回路、放射線の検出回数を計数するカウンタ、放射線の係数率や線量率等を演算する演算部、及び、その演算結果である測定値のデータを本体ユニット12に送る通信部等が内蔵されている。検出ユニット14は、例えばCPUとメモリを有しており、カウンタ及び演算部の機能は、例えばCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0023】
検出ユニット14は、いずれも、丸棒状の把持部40と、当該把持部40の前端に繋がるヘッド部42と、を備えている。把持部40の周面には、既述したスライドレール23にスライド挿入されるスライダと、操作ボタン49と、が設けられている。また、把持部40の後端からは、本体ユニット12との間で電気信号を授受するためのケーブル46が引き出されている。
【0024】
以上のようなサーベイメータ10は、他の電子機器、例えば、他の計算機や、半導体メモリ等との電気的な接続を可能にするために、既述した通り、USBコネクタジャック60が設けられている。また、USBコネクタジャック60を保護するためのコネクタカバー50も設けられている。本実施形態では、コネクタカバー50の耐久性を向上するとともに、簡易な構造で、本体ユニット12の防水性能を確保するために、このコネクタカバー50周辺を特殊構成としている。以下、これについて、図4図7を参照して説明する。
【0025】
図4は、下ケース片31の要部斜視図であり、図5は、コネクタカバー50の斜視図である。また、図6図7は、上ケース片30の天地を逆転した状態での要部斜視図である。図6図7に示すとおり、上ケース片30の内側側面には、USBコネクタジャック60が取り付けられている。USBコネクタジャック60は、その略中央に、コネクタピンの挿し込みを許容する挿込穴60aが形成されている。上ケース片30のうち、当該挿込穴60aと対向する位置には、貫通孔32が形成されており、当該挿込穴60aが外部に露出できるようになっている。このUSBコネクタジャック60は、水や塵芥の内部侵入を防止する防水構造となっており、挿込穴60aは、途中で防水部材(図示せず)により閉鎖されている。
【0026】
ケース11には、このUSBコネクタジャック60を保護するためのコネクタカバー50が取り付けられる。コネクタカバー50は、シリコンゴム等の可撓性を有した材料からなる。コネクタカバー50は、図5に示す通り、略矩形のカバー本体51と、当該カバー本体51の幅方向両外側に延びる一対のアーム部52と、に大別される。カバー本体51の外側の面は、凹凸のない、ほぼ平坦面となっている。また、カバー本体51の内側の面には、挿入部53および薄肉部55と、が形成されている。挿入部53は、ケース11の内部側に向かって突出する突起であり、挿込穴60aに挿入される突起である。挿入部53は、カバー本体51の略中央に形成されている。薄肉部55は、カバー本体51の下端近くに形成される。薄肉部55は、カバー本体51の全幅に亘って延びる線状の部位であり、他の部位に比べ、肉厚が薄く、脆弱な部位である。この薄肉部55は、カバー本体51の全幅に渡って断面略半円の溝を形成することで構成される。カバー本体51の上端には、コネクタカバー50の開閉の際、ユーザにより摘まれるツマミ部54が形成されている。
【0027】
一対のアーム部52は、カバー本体51の下端近傍(薄肉部55の近傍)に設けられ、幅方向両外側に延びる部位である。一対のアーム部52は、カバー本体51に比して、厚み方向内側にオフセットした位置に設けられており、二つのアーム部52を接続する部分は、他の部位に比して肉厚に形成されている。
【0028】
一対のアーム部52は、対称形状となっている。各アーム部52の下端には、隆起部57、上端には、被係合部56が形成されている。被係合部56は、高さ方向内側に凹んだ凹部であり、後述する係合部37に係合する部位である。隆起部57は、高さ方向外側に向かって凸の円弧状で、被係合部56の幅方向両側に一つずつ設けられている。
【0029】
上ケース片30には、このカバー本体51を収容する収容凹部33と、アーム部52を収容する溝部34と、が形成されている。収容凹部33は、上ケース片30の外側面において、厚み方向に凹んだ凹部である。この収容凹部33は、カバー本体51とほぼ同じ厚みを有しており、カバー本体51を一回り大きくした外形を有している。収容凹部33にカバー本体51を収容したとき、当該カバー本体51の外面と、上ケース片30の外側面は、ほぼ同一平面に並ぶ。
【0030】
溝部34は、上ケース片30の肉厚内に形成され、アーム部52が収容される溝である。この溝部34の肉厚方向の幅は、アーム部52の肉厚より僅かに大きくなっている。また、溝部34の肉厚方向両側には、外側壁35および内側壁36が立脚しており、アーム部52の厚み方向へのずれが規制される。外側壁35は、アーム部52の高さ方向長さとほぼ同じ高さを有しており、内側壁36は、外側壁35よりもやや低くなっている。溝部34には、二つの係合部37が形成されている。係合部37は、アーム部52に形成された被係合部56に係合する凸部である。この係合部37は、被係合部56に対応する位置および形状に形成されている。この係合部37を、アーム部52の被係合部56に係合させることで、コネクタカバー50の幅方向への移動が規制され、コネクタカバー50の脱落が防止される。
【0031】
下ケース片31は、上ケース片30と協働して、略直方体の内部空間を形成する。下ケース片31の周壁38のうち、コネクタカバー50に対応する部分は、内部側に窪んでおり、コネクタカバー50が載置される段差面39が形成されている。この段差面39の厚み方向幅は、アーム部52の厚みとほぼ同じとなっている。ケース11として組み立てられた際、周壁38は、内側壁36と当接し、段差面39は、外側壁35と当接する。この互いに当接する二つの壁38,36および39,35の間には、シール部材(図示せず)が配され、ケース11の防水性が担保されている。
【0032】
また、溝部34と段差面39との間には、アーム部52を収容して保持する空間が形成される。アーム部52を溝部34と段差面39との間に収容した際、カバー本体51は、収容凹部33に収容されており、外部に露出した状態となっている。
【0033】
つまり、本実施形態では、上ケース片30に、カバー本体51を収容する収容凹部33と、カバー本体51が収容凹部33に収容された状態で一対のアーム部52を収容する溝部34と、が設けられている。そして、溝部34は、上下のケース片30,31の端面を当接させることで、外部か閉鎖される構成とっている。こうした溝部34や収容凹部33、ケース片30,31の端面が、カバー本体51を外部に露出させた状態で、一対のアーム部52を覆って保持する保持構造に該当する。
【0034】
以上のような構成のコネクタカバー50の動作について、図8図9を参照して説明する。図8は、図2におけるA−A概略断面図であり、図9は、図8におけるB−B断面図である。図9に示す通り、一対のアーム部52は、二つのケース片30,31の間に挟まれ、保持されている。また、各アーム部52に形成された被係合部56は、上ケース片30に形成された係合部37に係合しているため、アーム部52の幅方向への移動、ひいては、アーム部52のケース11からの脱落が防止されている。
【0035】
この状態で、コネクタカバー50を開く場合には、カバー本体51の上端にあるツマミ部54を指で摘んだり爪で引っ掛けたりして、手前下側(図8における右下側)に引き下ろす。このとき、カバー本体51の下端に接続されたアーム部52は、二つのケース片30,31により保持されている。そのため、当該アーム部52に接続されたカバー本体51の下端位置は、殆ど変位せず、カバー本体51は、当該下端近傍を軸とし回動する。この回動を許容するために、コネクタカバー50には、変形に伴う応力が発生する。この応力が一カ所に集中的に生じると、当該個所の劣化が急速に進み、コネクタカバー50全体として寿命低下を招く。
【0036】
本実施形態では、カバー本体51を開く際に生じる応力を、薄肉部55や、アーム部52で分散して受けている。すなわち、カバー本体51を開く際、カバー本体51は、片開き戸状に回転するが、このとき、カバー本体51と連結されたアーム部52には、ねじり応力がかかる。本実施形態では、このアーム部52を、カバー本体51の両側に一つずつ、合計二つ設けており、ねじり応力は、二つのアーム部52に分散してかかることになる。その結果、一つのアーム部52にかかるねじり応力を低減でき、アーム部52の寿命を向上できる。なお、アーム部52の中でも、被係合部56周辺は、断面積が小さくなり、強度が低下しやすい。本実施形態では、かかる被係合部56の対向面に、隆起部57を設け、断面積を増加している。その結果、被係合部56周辺の劣化を効果的に防止できる。
【0037】
さらに、本実施形態では、カバー本体51に、全幅に渡って延びる薄肉部55を設けている。かかる薄肉部55を設けることで、カバー本体51を開いた際、カバー本体51が容易に変形し、アーム部52にかかるねじり応力を低減できる。また、カバー本体51は、薄肉部55において屈曲変形するため、アーム部52に過度な柔軟性を持たせる必要がない。結果として、アーム部52を過度に細くする必要がなく、アーム部52の強度を高く保つことができる。これは、コネクタカバーの一端に可撓性材料からなる接続ベルトを接続していた従来技術と比べて大きく異なる。
【0038】
すなわち、従来のコネクタカバーでは、コネクタカバーの一端にのみ、接続ベルトを接続し、この接続ベルトの他端を、ケースに形成された貫通孔に係合させる構成が多かった。かかる構成の場合、コネクタカバーの開閉に伴い生じる応力が、単一の接続ベルトにのみかかることになる。また、容易に開閉できるようにするためには、接続ベルトの柔軟性を高める必要があり、接続ベルトは、肉薄に形成されることが多かった。この場合、接続ベルトの強度は、弱く、また、接続ベルトには、応力が集中的にかかりやすいため、接続ベルトの寿命は、短くなりがちであった。
【0039】
一方、本実施形態では、既述した通り、カバー本体51の開閉に伴う応力を、薄肉部55や二つのアーム部52で分散して受けている。また、アーム部52は、大きく変形する必要がないため、アーム部52の断面積は、比較的、大きくても問題なく、アーム部52の強度を向上できる。薄肉部55は、厚みが小さいため、比較的強度が弱いが、本実施形態では、この薄肉部55を、カバー本体51の全幅という比較的長い距離に渡って形成している。そして、薄肉部にかかる応力は、全幅という長い距離で分散され、薄肉部55の単位面積当たりに係る応力は低減されている。したがって、コネクタカバー50の開閉に伴うアーム部52や、薄肉部の劣化が効果的に防止され、コネクタカバー50の耐久性を向上できる。
【0040】
ところで、これまでの説明で明らかな通り、本実施形態では、ケース片30,31の肉厚内に形成された段差や溝でコネクタカバーを保持している。換言すれば、ケース片30,31に貫通孔を形成することなく、コネクタカバー50を、ケース11に装着している。その結果、ケース11の防水性・防塵性確保のために、別途複雑な構成を追加する必要がなく、ケース11やコネクタカバー50の構成を簡易化できる。
【0041】
また、これまでの説明で明らかな通り、本実施形態では、上側が開く構成(すなわち、アーム部が下側、ツマミ部54が上側の構成)となっている。かかる構成とすれば、サーベイメータ10を正立姿勢で保持した際、カバー本体51を完全に開かなくてもUSBコネクタジャック60を視認することができ、操作性をより向上できる。
【0042】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、コネクタカバー50が、カバー本体51と、当該カバー本体51の幅方向両外側に延びる一対のアーム部52と、を備え、ケース11が、このアーム部52を保持する保持構造を備えるのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、本実施形態では、保護対象をUSBコネクタジャック60としているが、コネクタの挿込穴が形成されたコネクタジャックであれば、他の種類のコネクタジャックでもよい。また、本実施形態では、コネクタカバー50の離脱防止のために、係合部37および被係合部56を設け、さらに、コネクタカバー50の強度向上のために隆起部57を設けているが、これらは、適宜、省略されてもよい。また、本実施形態では、開閉を容易にしたり、応力を分散したりするために、薄肉部55を設けているが、アーム部52の形状等によっては、薄肉部を省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 サーベイメータ、11 ケース、12 本体ユニット、14 検出ユニット、16 タッチパネルモニタ、18,49 操作ボタン、20 接続部、22 取っ手、23 スライドレール、30 上ケース片、31 下ケース片、32 貫通孔、33 収容凹部、34 溝部、35 外側壁、36 内側壁、37 係合部、38 周壁、39 段差面、40 把持部、42 ヘッド部、44 検出面、46 ケーブル、50 コネクタカバー、51 カバー本体、52 アーム部、53 挿入部、54 ツマミ部、55 薄肉部、56 被係合部、57 隆起部、60 コネクタジャック。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9