特許第6619188号(P6619188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6619188ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体
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  • 特許6619188-ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619188
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20191202BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20191202BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20191202BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K3/08
   C08K3/013
   C08K3/34
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-186841(P2015-186841)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-65235(P2016-65235A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-193292(P2014-193292)
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木皿 嘉仁
(72)【発明者】
【氏名】迎 弘文
(72)【発明者】
【氏名】祢宜 行成
【審査官】 中根 知大
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/013006(WO,A1)
【文献】 特開2006−083269(JP,A)
【文献】 特開2014−065792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂(A)100質量部、膨潤性層状珪酸塩(B)1〜10質量部、平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)3〜8質量部、ならびに、黒色顔料および黒色染料(D)0.05〜0.8質量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物であり、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜95質量%である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)が、アルミニウムである請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)と、黒色顔料および黒色染料(D)の含有量の関係が、(C)/(D)=3.75〜60の範囲である請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度、光沢性、重厚感いずれにも優れたメタリック調のポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンカバーや家電製品等の内外装カバーには、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂にて成形された成形体が、一般的に用いられている。
このような樹脂成形体の外観には、鋼やアルミニウム合金のようなメタリックな色調が要求される場合がある。特に近年では、樹脂成形体の美観に対する要求が高まり、樹脂成形体の外観には、単にメタリックな色調を有するだけでなく、光沢感を有したうえで高輝感を抑えたものが要求されている。また、メタリックな色調も、銀灰色のものから、やや白みがかった灰白色のものまで、様々な種類が要求されている。
【0003】
このような要求を満たすために、従来、樹脂成形体の表面に、アルミニウム等の金属粉を含有する塗料を塗装する方法、いわゆるメタリック塗装が行われている。しかし、このメタリック塗装は、有機溶剤を用いるために、作業環境面で問題があり、また、生産性に劣りコストが高くなるという問題があった。
【0004】
上記問題を解消する方法として、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂に、アルミニウム等の金属粉や、マイカ、ワラストナイト、ガラス等の表面を金属で被覆した光沢性粒子を充填して得られる樹脂組成物を用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド樹脂に対し、メタリック色を発現する粒子を配合してなるポリアミド樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、ポリアミド樹脂、金属フレークを含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第99/13006号パンフレット
【特許文献2】特表2001−509524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたポリアミド樹脂組成物から得られる成形体は、金属調のメタリック感は得られるが、塗装やメッキ等に比べその質感は不十分であった。そのため、さらなる重厚感の付与が求められていた。
本発明は、輝度、光沢性、重厚感いずれにも優れたメタリック調のポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
【0008】
(1) ポリアミド樹脂(A)100質量部、膨潤性層状珪酸塩(B)1〜10質量部、平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)3〜8質量部、ならびに、黒色顔料および黒色染料(D)0.05〜0.8質量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物であり、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜95質量%である(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)が、アルミニウムである(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)と、黒色顔料および黒色染料(D)の含有量の関係が、(C)/(D)=3.75〜60の範囲である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輝度、光沢性、重厚感いずれにも優れたメタリック調のポリアミド樹脂組成物が得られる。このようなポリアミド樹脂組成物は、自動車内装部品等の用途等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のポリアミド樹脂組成物からなる成形体の表面のLの測定方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、特に限定はされず、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリウンデカアミド(ポリアミド11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ポリアミド6/11)、ポリデカミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ポリアミド6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)等の結晶性ポリアミドおよびこれらの混合物、あるいはこれらの重合体等が挙げられる。上記の中でも、メタリック発色性、輝度が優れる点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12が好ましく、加えて耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上する点で、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物がより好ましい。
【0012】
ポリアミド樹脂(A)として、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物を用いる場合、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、70〜85質量%であることがさらに好ましい。上記ポリアミド混合物を用いることで、湿熱条件下における、主にポリアミド6に起因するオリゴマ等の析出を抑制できる。ポリアミド6の含有量が50質量%未満では、耐熱性が不足することがあり、95質量%を超えると耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が不十分でないことがある。
ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物は、ポリアミド6の単独重合体と、ポリアミド11および/またはポリアミド12の単独重合体を溶融混合したものであっても、共重合体としたものであってもよい。
【0013】
ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12からなる共重合体である場合、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であることが好ましい。すなわち、ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6/ポリアミド11コポリマー(ナイロン6/11)、またはポリアミド6/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/12)、またはポリアミド6/ポリアミド11/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/11/12)であることが好ましい。
【0014】
ポリアミド樹脂(A)の分子量の指標である相対粘度は、特に制限されないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度は、1.5〜3.5であることが好ましく、1.7〜3.2であることがより好ましく、1.9〜3.0であることがさらに好ましい。相対粘度が1.5未満であると、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体は、耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が劣ることがある。一方、相対粘度が、3.5を超えると、流動性が劣り、混練が困難となったり、成形性が低下するため、輝度が劣ったりすることがある。
【0015】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、得られる成形体の輝度を向上させるために、メタリック顔料(C)を含有するものであるが、メタリック顔料(C)とともに、特定量の膨潤性層状珪酸塩(B)を同時に含有することが必要である。膨潤性層状珪酸塩(B)を含有することにより、メタリック顔料(C)の分散性を向上させることができ、メタリック顔料(C)の分散性が向上することによって、クリア感が向上し、メタリック顔料(C)の含有量が少なくても、効率良く成形体のクリア感を高めることができる。
【0016】
本発明で用いる膨潤性層状珪酸塩(B)は、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられる。本発明においては膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトやヘクトライトが特に好適に用いられ、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
(MgLi)Si
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
【0018】
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
また、タルク〔MgSi10(OH)〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2−149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
【0019】
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
Si(Al−aMg)O10(OH)・nH
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnHOで表した。)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
【0020】
本発明に用いるヘクトライトは次式で表されるもので、天然に得られるものであってもよいし、合成により得られるものであってもよい。
Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si20(OH)・nH
ヘクトライトは珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、水酸基を多く含むため層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすい。加えて、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さい。
【0021】
膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、1〜10質量部であることが必要であり、2〜9質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。膨潤性層状珪酸塩(B)を所定量含有させることで、得られる成形体について、ある角度から成形体を直視した際、立体部の各部において金属感を有し、かつ重厚感を増した状態で観察される、すなわち、より金属的な立体感が備わった成形体とすることができる。膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量が1質量部未満では、重厚感が得られない。一方、含有量が10質量部を超えると、得られる成形体の表面光沢度や輝度が低下する。
【0022】
本発明のポリアミド樹脂組成物において、平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)は、前記平均粒子径を有するものであれば特に限定はされない。本発明のポリアミド樹脂組成物は、得られる成形体のメタリック発色性、輝度感、重厚感の向上を目的としているため、ポリアミド樹脂組成物に対するメタリック顔料の含有量を増やす必要があった。通常メタリック顔料としては、平均粒子径が20〜40μmであるものが用いられるが、このような平均粒子径のものをポリアミド樹脂組成物に対し高充填してしまうと、メタリック顔料が二次凝集したり、表面平滑性を損ねたり、むしろ成形体の表面外観を損ねた。本発明においては、特定の平均粒子径を有するメタリック顔料(C)を用いることによって、成形体の表面外観を損ねることなしに、ポリアミド樹脂組成物中にメタリック顔料を多く含有させることが可能となった。また、前述した膨潤性層状珪酸塩(B)と併用することにより、特にメタリック発色性、輝度感を損ねることなしに、重厚感を高めることができた。
【0023】
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、5〜16μmであり、6〜14μmであることが好ましく、7〜12μmであることがより好ましく、8〜10μmであることがさらに好ましい。メタリック顔料(C)の平均粒子径が5μm未満であると、もはや輝度感を得ることが難しく、16μmを超えるとポリアミド樹脂組成物に含有させるメタリック顔料(C)の含有量を十分に増やすことはできず、含有させることができたとしても得られる成形体の重厚感が損なわれる。
【0024】
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定が可能である。
【0025】
メタリック顔料(C)の平均厚みは1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均厚みが1μm未満のメタリック顔料(C)は、剛性に劣り、溶融混合した際に、形状を保つことが難しくなり、したがって、十分な光沢度を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、平均厚みが30μmを超えるメタリック顔料(C)は、その配向が低下し、得られる成形体は、輝度に劣ったものとなる。
メタリック顔料(C)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
【0026】
メタリック顔料(C)のアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、2〜60であることが好ましく、2〜50であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。アスペクト比が2未満であると、得られる成形体の輝度は劣ったものとなる。アスペクト比が60を超えるものは工業的に得ることは難しく、また得られたとしても分散安定性が劣り、得られる成形体の表面平滑性が損なわれたものとなる。
メタリック顔料(C)のアスペクト比は、前記平均粒径の値を前記平均厚み値で除することにより求めることができる。
【0027】
平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)は、公知のものを用いることができる。前記メタリック顔料(C)としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、および銅よりなる一群の金属の何れか、もしくは複数、もしくはこれらの一群の金属を用いた合金、もしくはこれらの一群の金属またはその合金の酸化物、窒化物、硫化物、または炭化物の何れかからなる金属粉顔料が挙げられる。その他、チタンコーティングされたマイカも用いることができる。中でも、ポリアミド樹脂組成物のメタリック発色性、輝度感を付与し、重厚感の向上を図ることが容易な点でアルミニウムであることが好ましい。
【0028】
メタリック顔料(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、3〜8質量部であることが必要であり、3.5〜7.5質量部であることが好ましく、4〜7質量部であることがより好ましい。メタリック顔料(C)の含有量が3質量部未満では、得られる成形体は、重厚感が得られない。一方、8質量部を超えると、成形体は、輝度や表面光沢度が低下する。
【0029】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、黒色顔料または黒色染料(D)を含有することが必要である。前記黒色顔料としては、特に制限はなく、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。中でも、本発明の効果を容易に発現できることから、カーボンブラックが特に好ましい。前記黒色染料としては、特に制限はなく、ニグロシンを含むアジン系染料およびアンスラキノンを含む多環縮合染料等が挙げられる。中でも、取扱いが簡便な点で、アジン系染料が好ましく、例えば、NYB27620B(山陽化工社製)、Orient Spirit BlackSB(オリエント化学工業社製)、Spirit Black No.850(住友化学社製)、Nigrosine Base LK(BASF社製)等の市販品を用いることができる。上記黒色顔料または黒色染料(D)は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0030】
前記アジン系染料の中でも、特にニグロシンが好ましい。ニグロシンとしては、COLOR INDEXにC.I.SOLVENT BLACK 5およびC.I.SOLVENT BLACK 7として記載されているような黒色アジン系縮合混合物が挙げられる。このようなニグロシンの合成は、例えば、アニリン、アニリン塩酸塩およびニトロベンゼンを、塩化鉄の存在下、反応温度160〜180℃で酸化および脱水縮合することにより行い得るものである。さらに、このようにして得られたニグロシンを精製し、アニリンやジフェニルアミンを0.1%未満にした精製ニグロシンがより好ましい。このようなニグロシンとして、オリエント化学工業社製のCramity81やNUBIAN BLACKシリーズが市販されている。
【0031】
黒色顔料または黒色染料(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜0.8質量部であることが必要であり、0.1〜0.7質量部であることが好ましく、0.3〜0.6質量部であることがより好ましい。黒色顔料または黒色染料(D)の含有量が0.05質量部未満では、得られる成形体での重厚感が得られない。一方、0.8質量部を超えると、成形体は、鉛調の鈍い光沢感を有するようになり、輝度が低下する。
【0032】
平均粒子径が5〜16μmであるメタリック顔料(C)と黒色顔料または黒色染料(D)の含有量の関係が、(C)/(D)=3.75〜60の範囲であることが好ましく、5〜50(質量比)であることがより好ましく、6〜40(質量比)であることがさらに好ましい。(C)/(D)=3.75〜60(質量比)であることにより、メタリック感、輝度を向上させながら、バランスよく重厚感を増すことが可能となる。(C)/(D)が3.75未満であると重厚感は増すものの、輝度が不足することがある。(C)/(D)が60を超えると重厚感が不足することがある。
【0033】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を添加することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。また特に難燃性を補助するために、縮合リン酸エステル、ポリリン酸、窒素化合物系難燃剤等を添加してもよい。
【0034】
次に、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法を説明する。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、膨潤性層状珪酸塩(B)と、メタリック顔料(C)とを溶融混練することによって製造することができる。
本発明においては、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなって得られる、ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物を用いて、この混合物とメタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。
膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応を行うことにより、膨潤性層状珪酸塩(B)をポリアミド樹脂(A)に均一に分散することができ、得られる成形体が有する光沢度を一層高めることができる。
重合反応に用いる上記モノマーとしては、アミノカルボン酸やそのラクタムを用いることができるので、重合反応の原料のアミノカルボン酸として、そのラクタムが用いられてもよい。
【0035】
ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体である場合は、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、2種以上のアミノカルボン酸(ラクタム)の共重合反応をおこなって得られる混合物を用いて、この混合物とメタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。
【0036】
また、ポリアミド樹脂(A)が、アミノカルボン酸単位から構成される重合体の2種以上の溶融混合物である場合は、2種以上の重合体のうちの少なくとも1つの重合体の重合反応を、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に行い、得られる重合体と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物と、他の重合体(または他の重合体と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物)と、メタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に重合反応を行うアミノカルボン酸としては、膨潤性層状珪酸塩(B)を均一に分散させる効果が高いことから、6−アミノカプロン酸やε−カプロラクタムであることが好ましい。
【0037】
前記ポリアミド樹脂(A)として、アミノカルボン酸単位から構成される重合体の2種以上の溶融混合物を用いる場合、それらは十分に溶融混練されていることが好ましい。溶融混練が不十分であると、例えば溶融混合する2種のポリアミド樹脂の溶融粘度差が大きい場合、あるいは融点差が大きい場合、相互のポリアミド樹脂に均一に混合することなく、海島構造を呈することがある。そのような場合、特に本発明においては、成形体を得る際、含有するメタリック顔料(C)が均一に配向させることが難しくなるため、部分的に輝度が損なわれたり、輝度に斑が生じる等の不都合が生じることがある。ポリアミド樹脂(A)として、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体を用いる場合、このような懸念は低減する。
【0038】
膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、アミノカルボン酸(ラクタム)を重合する方法としては、膨潤性層状珪酸塩(B)とアミノカルボン酸(ラクタム)とをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度240〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合法する方法が挙げられる。ε−カプロラクタムを用いる場合は、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂に残留しているアミノカルボン酸(ラクタム)を除去するために、ポリアミド樹脂のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましく、その条件としては、90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理をすることが挙げられる。
【0039】
ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物と、メタリック顔料(C)とを溶融混合を行う場合、公知の溶融混練押出機を用いることができる。
メタリック顔料(C)の混練による破砕あるいは折損を極力抑制するためには、スクリューは二軸で用いるよりも単軸で用いることが好ましい。
溶融混練押出機へのメタリック顔料(C)の供給方法としては、前記混合物にメタリック顔料(C)を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、メタリック顔料(C)の破砕あるいは折損を極力抑制するため、メタリック顔料(C)を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、なるべく押出機下流にて供給することがより好ましい。
前記混合物とメタリック顔料(C)とは、十分に溶融混練されていなくてもよく、その後の射出成形加工において、作業に支障がでない範囲で混合できていればよい。必要に応じて、前記混合物とメタリック顔料(C)をドライブレンドしたものを直接射出成形機に供給してもよく、射出成形機において溶融混練して、射出成形を行うこともできる。
メタリック顔料(C)は外部応力に対し脆いものであるため、このように、樹脂組成物の製造や成形体の成形において、溶融混練時のスクリュー剪断応力をメタリック顔料(C)に極力与えないことが、得られる成形体の光沢度を向上させる上で好ましい。
【0040】
本発明の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。成形方法としては、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の方法が挙げられ、中でも、射出成形法を用いることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。
【0041】
本発明のポリアミド樹脂組成物に適した射出成形条件として、例えば、シリンダ温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは190〜270℃とし、また、金型温度を樹脂組成物の(融点−20℃)以下とする条件が挙げられる。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生する等の成形性が不安定になったり、得られる成形体表面の光沢度が失われることがある。一方、成形温度が高すぎるとポリアミド樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、光沢度を低下させる要因となる場合がある。
本発明の成形体、特に射出成形法により得られた成形体は、輝度が高いものであるが、射出成形時の各種条件、例えば、樹脂温度、射出速度、射出圧、金型温度をバランス良く設定することで、さらに、輝度を向上することが可能である。なお、これらの条件は、溶融したポリアミド樹脂組成物の金型内での流動性、さらには、ポリアミド樹脂組成物中での膨潤性層状珪酸塩(B)、メタリック顔料(C)の分散性に影響を与えるため、慎重に設定する必要がある。例えば、射出速度を高速とした場合には、メタリック顔料(C)の配向が乱れてしまい、輝度が低下する傾向があるため、射出速度は低速から中速とした方がよい。
【0042】
本発明の成形体は、従来のメタリック発色性、輝度を兼ね備えながらも、さらに重厚感を増した成形体である。なお、輝度に優れるとは、入射角と正反射の関係にある角度近傍の明度が高いことをいい、輝度は後述するL45の値により評価することができる。また、重厚感が増したとは、成形体形状のディテールが際立ち、金属的な立体感が増すことを言い、重厚感は後述するフリップフロップ値により評価することができる。
【0043】
本発明の成形体の具体例としては、各種自動車部品、電気、電子部品が挙げられる。本発明の成形体は、特に樹脂部品として、金属光沢等、輝度に優れるため、自動車部品としては、インストルメントパネルでのスピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、カーステレオ、ナビゲーションシステム、エアコン周りの各種スイッチ、ボタン、センターコンソールでのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバー等、特に自動車内装部品で、意匠性を高めるための金属または従来の樹脂製部品の置換え材としての使用が可能である。電気、電子部品としては、パソコン周辺の各種部品および筐体、携帯電話部品および筐体、その他OA機器部品等の電化製品用樹脂部品で使用が可能である。また、重厚感が増しているため、特に自動車部品でのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバー等で軽量化を図りながらも、質感は低下せず、したがって高級感が増す。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0045】
1.評価方法
【0046】
(1)試験片1および2の作製
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて、射出成形機(東芝機械社製EC−100II型)にて、樹脂温度260℃、金型温度100℃、保圧30MPa、射出速度100mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間10秒の条件で射出成形を行い、試験片(縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体)を得た。なお、金型は短辺方向中央にサイドゲート1点を有するものを用いた。
【0047】
(2)表面光沢度
JIS Z8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターVG7000型)を用い、入射角60°で試験片1の表面光沢度の測定を行った。
90%以上の場合を合格とした。
【0048】
(3)輝度、フリップフロップ値
試験片1について、変角分光色差計(村上色彩技術研究所製変角分光測色システムGSP−2型)を用い、図1のように、試料法線に対して入射角度−45°として、受光角度を45°、40°、0°として、L値(D65/2光源、視野2°)を測定した。なお、それぞれのL値を、L45、L40、L0とした。
輝度の指標であるL45は、400以上の場合、合格であると判断した。
また、フリップフロップ値は、成形品表面を正面および斜め方向から見た場合の明るさの変化度として、L40、L0を用いて、下記の式により求めた。
フリップフロップ値=2×(L40−Lv0)/(L40+L0)
重厚感の指標であるフリップフロップ値は、1.30以上の場合、合格であると判断した。
【0049】
2.原料
(1)ポリアミド樹脂モノマー成分
・ε−カプロラクタム(宇部興産社製)
【0050】
(2)ポリアミド樹脂
・ポリアミド11樹脂(P−4)、(アルケマ社製「BMN O」)、相対粘度1.8
【0051】
(3)膨潤性層状珪酸塩
・B−1:膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製「ME−100」)、平均粒径6.0μm、陽 イオン交換容量110ミリ当量/100g
【0052】
(4)メタリック顔料
・C−1:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM050−AP」(平均粒子径5μm、平均厚み0.1μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−2:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM100−BP」(平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−3:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM200−BP」(平均粒子径20μm、平均厚み0.4μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−4:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM350−BP」(平均粒子径35μm、平均厚み0.4μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−5:アルミペースト(旭化成ケミカルズ社製「M−601」(平均粒子径15μm)
【0053】
(5)黒色顔料
・D−1:カーボンブラック(コロンビア社製「Raven5000」、一次粒子径:11nm)
【0054】
(6)黒色染料
・D−2:ニグロシン(オリヱント化学工業社製「Cramity81」)
【0055】
(7)黒色以外の顔料
・E−1:青顔料、群青(ウルトラマリンブルー)
【0056】
製造例1
ε−カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性層状珪酸塩(B−1)3質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行い、膨潤性層状珪酸塩(B−1)を3.2質量%含有するポリアミド6樹脂(P−1)を得た。
【0057】
製造例2
ε−カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性層状珪酸塩(B−1)11質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行い、膨潤性層状珪酸塩(B−1)を10.0質量%含有するポリアミド6樹脂(P−2)を得た。
【0058】
製造例3
ε−カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行い、ポリアミド6樹脂(P−3)を得た。
【0059】
実施例1
製造例1で得られた膨潤性層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(P−1)103.3質量部、メタリック顔料(C−2)3.0質量部、黒色顔料(D−1)0.5質量部を一括混合し、単軸押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練を行い、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/hにて行った。
得られたポリアミド樹脂組成物を用い、試験片を作製した後、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
実施例2〜11、比較例1〜10
表1、表2に記載の配合量で各成分を配合した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得て、さらに射出成形を行った。得られた試験片を用いて各種評価を行った。その結果を表1、表2に示す。
なお、実施例2では、樹脂成分として、膨潤性層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(P−1)82.6質量部とポリアミド11樹脂(P−3)20.0質量部を混合して用いた。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
実施例1〜11では、所定の配合に従ったため、メタリック発色性、輝度が優れ、重厚感を増したポリアミド樹脂組成物とすることができた。
【0064】
比較例1では、膨潤性層状珪酸塩を含有しなかったため、フリップフロップ値が低かった。
【0065】
比較例2では、メタリック顔料の含有量が低かったため、フリップフロップ値が低かった。
【0066】
比較例3では、メタリック顔料の含有量が高かったため、表面平滑性が損なわれ成形体の表面光沢度が低かった。
【0067】
比較例4では、黒色顔料および黒色染料の何れも含有しなかったため、フリップフロップ値が低かった。
【0068】
比較例5では、黒色顔料の含有量が低かったため、フリップフロップ値が低かった。
【0069】
比較例6では、黒色顔料の含有量が高かったため、フリップフロップ値および輝度が低かった。
【0070】
比較例7、8では、平均粒子径が所定範囲を超えるメタリック顔料を用いたため、フリップフロップ値が低かった。
【0071】
比較例9では、黒色以外の顔料を用いたため、フリップフロップ値が低かった。
【0072】
比較例10では、膨潤性層状珪酸塩を含有しなかったため、表面光沢度、輝度、フリップフロップ値が低かった。
図1