特許第6619195号(P6619195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619195
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20191202BHJP
   H01F 27/22 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H01F37/00 S
   H01F37/00 M
   H01F37/00 G
   H01F27/22
   H01F37/00 T
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-197639(P2015-197639)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-73419(P2017-73419A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−286020(JP,A)
【文献】 特開2013−125857(JP,A)
【文献】 特開2003−224014(JP,A)
【文献】 特開2009−099596(JP,A)
【文献】 特開2016−025137(JP,A)
【文献】 特開2010−171209(JP,A)
【文献】 特開昭61−292806(JP,A)
【文献】 実開昭61−195025(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクトル本体と、放熱性を有し、前記リアクトル本体が取り付けられる取付体と、を備え、前記取付体が放熱膜を介して冷却面に固定されるリアクトルであって、
前記取付体の前記冷却面に固定される面には、前記放熱膜が収容される放熱膜収容部が設けられ
前記取付体の前記冷却面に固定される面には、複数の凸部が、前記リアクトル本体が設けられる側とは反対側に出っ張って設けられ、
前記放熱膜収容部は、前記凸部が占める領域以外の、前記取付体の前記冷却面に固定される面と前記冷却面との間の領域であること、
を特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記取付体は、底面及び側壁を有し、前記底面と前記側壁とで囲われるスペースに前記リアクトル本体を収容するケースであること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記ケースは、前記リアクトルを前記冷却面に固定するための固定部を有し、
前記凸部は、前記固定部が設けられる箇所に設けられていること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記取付体の前記冷却面に固定される面は、前記ケースの底面であり、
前記固定部は、前記ケースの底面の、前記ケースの前記側壁が囲う範囲内に設けられ、前記リアクトルを前記冷却面上にその裏面側から固定すること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記ケースの隅は肉厚部であり、
前記ケースの隅の上部には、前記リアクトル本体が前記ケースに収容された状態で固定され、
前記ケースの隅の下部には、前記固定部として、前記リアクトルを前記冷却面上に固定するための固定部材が、前記冷却面の裏面側から差し込まれる固定穴が設けられていること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記リアクトル本体は、コアと、前記コアの周囲に装着されたコイルと、を有し、
前記放熱膜収容部は、前記コイルの真下の位置を含んで設けられること、
を特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のリアクトル。
【請求項7】
前記ケースの内周面の形状は、前記リアクトル本体の形状に倣った形状を有すること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項8】
前記コイルは、環状形状の前記コアの一部に平行に装着された一対のコイルであり、
前記ケースの内周面には、前記一対のコイル間の隙間に入り込む盛り上げ部が設けられていること、
を特徴とする請求項又は請求項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却面に固定されるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。例えば、車載用の昇圧回路に用いられるリアクトルとして、コアの周囲に配置した樹脂製のボビンにコイルを巻回したものが多く用いられる。
【0003】
このようなリアクトルは、コア及びコイルを有するリアクトル本体と、リアクトル本体を収容するケースとで構成され、被設置対象となるベースに組み付けられる。ベースとしては、例えば、PCUケースなど放熱性を有する金属製ケースが挙げられ、設置されたリアクトルを冷却する冷却面を有する。
【0004】
リアクトルをベースの冷却面に組み付ける際、リアクトルのケースの裏面に、放熱性を有するグリスを塗布し、ネジで締結固定する。これにより、リアクトルの発した熱がグリスを介して冷却面に伝導することで、リアクトルが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−94924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リアクトルの温度は車の燃費に大きな影響を及ぼすため、厳しい温度管理が要求される。すなわち、リアクトルには高い放熱性が求められており、その放熱性に影響するグリスなどの放熱膜の膜厚管理が重要になる。
【0007】
しかし、上記のようにグリスなどの放熱膜を介して冷却面にリアクトルを固定する際には、例えばネジ締結で締め付ける力などの固定時の力のバラツキなどに起因して、ケースの冷却面に固定される面が変形する場合がある。そうすると、より力が加わった箇所の放熱膜の膜厚は薄くなる。従って、放熱膜の必要な膜厚が確保できないことで熱抵抗にバラツキが発生し、製品バラツキに繋がっていた。また、放熱膜の膜厚が確保できないことで、放熱性が悪化するという問題があった。これらの問題は、リアクトルケースに限らず、リアクトル本体が取り付けられる対象である取付体であれば生じうる。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、放熱膜の膜厚管理を可能とし、製品バラツキを抑制し、放熱性を向上させることのできるリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリアクトルは、リアクトル本体と、放熱性を有し、前記リアクトル本体が取り付けられる取付体と、を備え、前記取付体が放熱膜を介して冷却面に固定されるリアクトルであって、次の構成を有することを特徴とする。
(1)前記取付体の前記冷却面に固定される面には、前記放熱膜が収容される放熱膜収容部が設けられていること。
(2)前記取付体の前記冷却面に固定される面には、複数の凸部が、前記リアクトル本体が設けられる側とは反対側に出っ張って設けられ、前記放熱膜収容部は、前記凸部が占める領域以外の、前記取付体の前記冷却面に固定される面と前記冷却面との間の領域であること。
【0010】
本発明において、次の構成を有していても良い。
)前記取付体は、底面及び側壁を有し、前記底面と前記側壁とで囲われるスペースに前記リアクトル本体を収容するケースであること。
【0012】
)前記ケースは、前記リアクトルを前記冷却面に固定するための固定部を有し、前記凸部は、前記固定部が設けられる箇所に設けられていること。
)前記取付体の前記冷却面に固定される面は、前記ケースの底面であり、前記固定部は、前記ケースの底面の、前記ケースの前記側壁が囲う範囲内に設けられ、前記リアクトルを前記冷却面上にその裏面側から固定すること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放熱膜の膜厚管理を可能とし、製品バラツキを抑制し、放熱性を向上させることのできるリアクトルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す分解斜視図である。
図3】第1の実施形態に係るリアクトルを裏側から見た図である。
図4図1のA−A断面図である。
図5】第2の実施形態に係るリアクトルを裏側から見た図である。
図6】第3の実施形態に係るリアクトルを裏側から見た図である。
図7図6のB−B断面を含むケースの斜視図である。
図8】他の実施形態に係るリアクトルを裏側から見た図である。
図9図8のC−C断面を含むケースの斜視図である。
図10】他の実施形態に係るケースの断面図である。
図11】他の実施形態に係るケースの断面図である。
図12】他の実施形態に係るケースを裏側から見た図である。
図13】他の実施形態に係るケースを裏側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトルについて説明する。
【0016】
[1.第1の実施形態]
[1−1.概略構成]
図1は、本実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。但し、図1の一部の部材を省略している。
【0017】
リアクトルは、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品であり、電圧の昇降圧等に使用される。本実施形態のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のリアクトルである。リアクトルは、これら自動車に搭載される昇圧回路の主要部品である。
【0018】
リアクトルは、磁性体を含み構成される環状コア10と、環状コア10の一部の外周に装着されたコイル5と、環状コア10の外周を覆い、環状コア10とコイル5とを絶縁する樹脂部材2を有するリアクトル本体1と、放熱性を有し、リアクトル本体1を収容するケース4と、を備える。ケース4は、リアクトル本体1が取り付けられる取付体の一例である。
【0019】
樹脂部材2には、固定具31、32が埋め込まれており、リアクトル本体1は、樹脂部材2から突出した固定具31、32でネジ締結により、ケース4に収容された状態でケース4に固定されてリアクトルを構成する。
【0020】
このリアクトルは、冷却面6に固定される。冷却面6は、リアクトルを冷却する面であり、リアクトルを組み付ける対象となるベースが有する面である。ベースとしては、例えば、アルミニウムなど放熱性を有する金属製のPCUケース、ミッションケース、ヒートシンクなどが挙げられるが、リアクトルが設置可能な冷却面6を有していればこれらに限定されない。
【0021】
リアクトルと冷却面6との間には、放熱性のグリスや放熱シートなどの放熱膜(不図示)が介在する。リアクトルは、放熱膜を介在させた状態で、冷却面6に締結固定される。すなわち、ケース4の側壁の下部には、ネジ締結するための固定部42が設けられており、この固定部42に設けられたネジ挿入穴42aにネジを差し込んで締結し、リアクトルを冷却面6に固定する。
【0022】
[1−2.詳細構成]
本実施形態のリアクトルの各部の詳細構成について、図1図4を用いて説明する。なお、本明細書において、図1に示すz軸方向を「上」側、その逆方向を「下」側とする。各部材の構成を説明するのに、「下」は「底」や「裏」とも称する。また、z軸方向を高さ方向とも称する。
【0023】
(環状コア)
環状コア10は、環状形状を有する。本実施形態では、環状コア10は、図2に示すように、環状の一部に一対の平行な直線部分と、これら直線部分を繋ぐU字形状の連結部分とを有し、角が丸みを帯びた環状形状である。従って、リアクトル本体1の形状も環状コア10に倣い、角が丸みを帯びた環状形状である。
【0024】
図1に示すように、環状コア10のうち、コイル5が巻回された直線部分は、磁束が発生する脚部である。コイル5が巻回されていないU字形状の連結部分は、脚部で発生した磁束が通過するヨーク部である。すなわち、ヨーク部は、一対の直線部分を繋ぐ。環状コア10内には、脚部で発生した磁束がヨーク部を通過することで、環状の閉じた磁気回路が形成される。
【0025】
環状コア10は、圧粉磁心、フェライトコア、又は積層鋼板などの磁性体である。環状コア10は、図2に示すように、複数のコア部材11〜13と、複数のスペーサ14とを有し、各コア部材11〜13間にスペーサ14を配置して接着剤によって環状になるように接続されている。
【0026】
本実施形態のコア部材は、左右の脚部を構成する複数のI字型コア13と、ヨーク部を構成する2つのU字型コア11、12である。I字型コア13は、概略直方体の圧粉磁心である。
【0027】
スペーサ14は、板状のギャップスペーサである。このスペーサ14は、各コア部材11〜13間に配置されており、接着剤によってスペーサ14の両側のコア部材11〜13の接続面と接着固定される。
【0028】
スペーサ14は、コア部材11〜13間に所定幅の磁気的なギャップを与え、リアクトルのインダクタンス低下を防止する。スペーサ14の材料としては、非磁性体、セラミック、非金属、樹脂、炭素繊維、若しくはこれら二種以上の合成材又はギャップ紙を用いることができる。なお、スペーサ14は必ずしも設けなくても良い。
【0029】
(樹脂部材)
樹脂部材2は、環状コア10の外周を樹脂により被覆している部材である。従って、樹脂部材2は、環状コア10の形状に倣って環状に形成されている。すなわち、一対の直線部分とこれら直線部分を繋ぐ連結部分とを有している。
【0030】
樹脂部材2を構成する樹脂の種類としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等が挙げられる。
【0031】
本実施形態では、樹脂部材2は、二分割されて構成されており、樹脂体21と樹脂体22とを有する。すなわち、樹脂部材2は、略U字形状の樹脂体21と、略C字形状の樹脂体22とを別々に成形しておき、互いの端部を向かい合わせることで構成される。樹脂体21と樹脂体22とを別々に成形するのは、互いの端部を向かい合わせる前に環状コア1の脚部を構成するI字型コア13を樹脂体21内部に収容するため、及び、コイル5を直線部分にはめ込んで樹脂部材2にコイル5を装着するためである。
【0032】
樹脂体21は、一対の直線部21a、21bとこれら直線部21a、21bを繋ぐC字形状の連結部21cとを有する。樹脂体22は、C字形状の連結部22aとフック22bを有する。直線部21a、21bはコイル5が装着される部分であり、ボビンとも称される。一対の直線部21a、21bが樹脂部材2の一対の直線部分であり、連結部21c、22aが一対の直線部分を繋ぐ連結部分である。
【0033】
樹脂体21、22は、樹脂により一体成形された部材である。すなわち、樹脂体21を構成する直線部21a、21b及び連結部21cも同様に継ぎ目なく一続きに構成されている。樹脂体22を構成する連結部22aとフック22bは継ぎ目なく一続きに構成されている。フック22bは、連結部22aからリアクトル内部に向けて延びており、例えば、後述のリード線9bを有する温度センサ9をリアクトルに取り付ける際に、そのリード線9bを巻き回すために用いられる。
【0034】
連結部21c、22aの内部には、U字型コア11、12がモールド成形法によって埋め込まれている。換言すれば、連結部21c、22aは、U字型コア11、12の被覆部であり、連結部21c、22aに覆われたU字型コア11、12の外周部分が、連結部21c、22aの内周と密着している。但し、U字型コア11、12の接続面は露出している。
【0035】
直線部21a、21bは、環状コア10の直線部分を被覆する被覆部である。すなわち、直線部21a、21bの内部には、環状コア10の直線方向に沿って、I字型コア13、スペーサ14が交互に積層して配置されている。直線部21a、21bの先端には開口部がそれぞれ設けられており、直線部21a、21bの開口部からI字型コア13、スペーサ14が挿入される。
【0036】
(固定具)
固定具31、32は、図1及び図2に示すように、長板状の金具であり、連結部21c、22aに埋め込まれている。具体的には、固定具31、32は、U字型コア11、12の上面側に配置されるようにして、固定具31、32の中央部分が例えばモールド成形法により連結部21c、22aに埋め込まれており、固定具31、32の両端部が連結部21c、22aの表面から突出している。固定具31、32の先端には、ネジ挿入穴33がそれぞれ設けられている。ネジ挿入穴33にそれぞれネジ34を挿入して締結し、リアクトル本体1をケース4に固定する。
【0037】
(コイル)
コイル5は、絶縁被覆を有する導線である。本実施形態では、コイル5は、平角線のエッジワイズコイルである。但し、コイル5の線材や巻き方は平角線のエッジワイズコイルに限定されず、他の形態であっても良い。
【0038】
コイル5は、左右の一対のコイル51a、51bを有し、これらの一端部がコイル51a、51bと同じ素材でなる連結線51cによって連結されている。コイル51a、51bは、エナメルなどの絶縁被覆した1本の銅線によって構成されている。コイル5は、コイル51a、51bが環状コア1の周囲を巻回するように、樹脂部材2の一対の直線部分の外周に装着されており、コイル51a、51bが互いに平行である。つまり、コイル51a、51bの巻軸方向が互いに平行である。コイル51a、51b間には、隙間が生じている。
【0039】
コイル51a、51bの端部52a、52bは、樹脂体22の連結部22aの上方に引き出されており、端子台71に設けられた端子72a、72bを介して外部電源などの外部機器の配線と接続される。
【0040】
(端子)
リアクトルには、端子台71が設けられている。端子台71は、端子72a、72bを固定する樹脂製の部材であり、連結部22aの上部に配置され、ネジ73及びケース4に設けられたネジ挿入穴43を介してケース4に固定される。
【0041】
端子72a、72bは平板状の導電部材であり、端子台71に設けられた凹みに平板部分が嵌め込まれている。また、端子72a、72bの平板部分には、ネジ締結されて外部電源の配線と電気的に接続される穴が設けられている。さらに、端子72a、72bは、その一部がコイル51a、51bの端部52a、52bに向かって延び、溶接等により端部52a、52bと電気的に接続される。外部電源からの電流は、例えば、端子72aから流入してコイル51aに供給され、連結線51c及びコイル51bを介して端子72bから外部に流出する。このとき、コイル51a、51bの空芯部を突き抜ける磁束が発生し、環状コア10内に環状の閉じた磁気回路が形成される。
【0042】
(温度センサ)
リアクトルには、温度センサ9が設けられている。温度センサ9は、リアクトル内部の温度を検出する。温度センサ9は、温度検出部9aと、温度検出部9aに接続されたリード線9bとからなり、連結部21cの上部に設けられた樹脂製のコネクタ8に取り付けられている。
【0043】
温度検出部9aは、フック22bにより位置決めされてコイル51a、51bの間に配置され、リアクトル内部の温度を検出する。リード線9bはフック22bに巻回され、端部がコネクタ8に取り付けられており、温度検出部9aが検出した温度情報をリアクトル外部に伝達する。例えば、温度検出部9aが検出した温度情報は、コイル51a、51に流れる電流をオンオフする制御回路に出力される。温度センサ9としては、例えば、温度変化に対して電気抵抗が変化するサーミスタを用いることができるが、これに限定されない。
【0044】
(ケース)
図1及び図2に示すように、ケース4は、リアクトル本体1を収容する収容部材であり、リアクトル本体1が取り付けられる取付体の一例である。取付体としては、放熱性を有し、リアクトル本体1が取り付けられる対象であれば特に限定されず、例えば側壁面のない平板や台であっても良い。ここでは、取付体はケース4として説明する。ケース4は、例えばアルミニウム合金等、熱伝導性が高く軽量な金属で構成されており、放熱性を有する。
【0045】
本実施形態では、ケース4は、上面に開口を備えた略直方体形状であり、主として底面とその底面の縁から立ち上がる側壁とで構成され、底面と側壁とで囲われ、リアクトル本体1を収容するスペースを有する。
【0046】
ケース4の内周面は、リアクトル本体1の形状に倣った形状である。リアクトル本体1とケース4との距離を近づけて放熱性を向上させるためである。例えば、リアクトル本体1のコイル51a、51b間には隙間があるため、ケース4の底面には、この隙間に入り込むように盛り上がった盛り上げ部40が設けられている。盛り上げ部40は、コイル51a、51bの巻軸方向に、ケース4の底面の中央を延びて設けられている。
【0047】
ケース4の側壁の上縁の四隅には、リアクトル本体1を固定するための固定部41が設けられており、この固定部41には、ネジ34を差し込んで締結するための固定穴41aが設けられている。なお、端子台71を固定するためのネジ挿入穴43もケース4の側壁上縁に設けられている。
【0048】
ケース4の側壁の四隅の下部には、リアクトルを冷却面6に固定するための耳状の固定部42が設けられている。この固定部42は、ケース4の側壁の下部から、コイル51a、51bの巻軸方向と直交する方向に出っ張って設けられており、この出っ張った部分にリアクトルを冷却面6に固定するための固定穴42aが設けられている。この固定穴42aには、ネジが上方から差し込まれ、締結によりリアクトルが冷却面6に固定される。
【0049】
図3は、本実施形態に係るリアクトルの裏側から見た図である。ケース4は、冷却面6に固定される面を有し、当該面はここではケース4の底面である。ケース4の底面には、放熱膜が収容される放熱膜収容部が設けられている。ここでは、放熱膜収容部は、凹部44である。すなわち、凹部44は、放熱膜が収容される凹みであり、冷却面6と面するケース4の底面に設けている。凹部44は、ここでは、ケース4の底面から垂直に入り込んで段差状に設けられている。凹部44は、例えば凹部44に相当する形状を有する金型でケース4を鋳造することで形成されるが、これに限定されない。ケース4の底面の凹部44以外の箇所は、ここでは切削加工などにより平面に成形されており、冷却面6と面接触する。
【0050】
放熱膜は放熱性を有する。放熱膜としては、放熱性を有するグリス、放熱シート、放熱ゲル、放熱充填材、放熱性接着剤などで構成することができる。放熱膜を凹部44に収容させる方法は、例えば、グリス、充填材、接着剤の場合は塗布であり、放熱シートの場合は配置である。放熱膜の放熱性は、少なくとも熱伝導性を有していれば良く、熱輻射や熱伝達(対流)の有無は問わない。放熱膜は、熱伝導性と柔軟性を有する材料から構成しても良い。放熱膜に柔軟性があることで、ケース4と冷却面6との間に空気層又は気泡が発生するのを防止することができる。
【0051】
本実施形態の凹部44は、ケース4の裏側から見て略矩形状であるが、その形状は円形状や、多角形状であっても良く、特に限定されない。また、図4に示すように、凹部44は、リアクトル本体1がケース4に収容された状態におけるコイル51a、51bの真下の位置を含んで設けられている。ここでは、凹部44は、コイル51a、51bがケース4の底面に占める領域を覆うように一つ設けられている。
【0052】
凹部44の深さは、放熱膜の必要な膜厚分を確保できる深さにされており、ここでは、一定にされている。その深さは特に限定されないが、0.2〜1mm程度が好ましい。例えば1mmより深いと放熱膜が厚くなり、放熱経路が長くなるので熱抵抗となる場合があるからである。なお、凹部44の深さとは、z方向の長さである。
【0053】
なお、リアクトル本体1とケース4との隙間に充填材を充填、固化しても良い。充填材には、リアクトルの放熱性能の確保及びリアクトルからケース4への振動伝搬の軽減のため、比較的柔らかく熱伝導性の高い樹脂が適している。
【0054】
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態のリアクトルは、リアクトル本体1と、放熱性を有し、リアクトル本体1を収容するケース4と、を備え、ケース4が冷却面6に放熱膜を介して固定されるリアクトルであって、ケース4の冷却面6に固定される底面には、放熱膜収容部として、放熱膜が収容される凹部44を設けるようにした。
【0055】
これにより、放熱膜が凹部44に収容されるので、ケース4の底面に変形が生じても、必要な一定の膜厚を確保することができる。このため、製品バラツキを抑制しつつ、放熱性を向上させることができる。
【0056】
このように、リアクトルの放熱性を向上させることができる結果、当該リアクトルを車に用いた場合には、車の燃費を向上させることができる。すなわち、リアクトルの温度と電力損失との間には比例関係があり、リアクトルの温度が高いと、より多くの電力が消費される。コイル5を構成する導体の抵抗率が温度と比例関係にあるからである。そのため、リアクトルの放熱性が悪いと燃費が悪くなる。この点、本実施形態では、放熱性を向上させているので、リアクトル温度が上昇しにくくなり、結果として燃費を良くすることができる。
【0057】
(2)本実施形態の取付体は、底面及び側壁を有し、リアクトル本体1を収容するケース4とした。これにより、リアクトル本体1の取付対象である取付体が、例えば平板などの側壁がないものである場合と比べて、側壁がある分、取付体としての剛性を向上させることができる。従って、取付体としてのケース4の変形を抑制できるので、放熱膜の膜厚を一定に保つことができ、放熱性を向上させることができる。また、放熱膜の膜厚を一定に保つことができるので、製品バラツキを抑制することができる。
【0058】
(3)リアクトル本体1は、環状コア10及びコイル5を有し、凹部44は、リアクトル本体1がケース4に収容された状態におけるコイル5の真下の位置を含んで設けるようにした。コイル5がリアクトルの発熱源であるので、その真下に放熱膜を配置する凹部44を設けることで、効率的に放熱することが可能になる。
【0059】
(4)ケース4の内周面の形状は、リアクトル本体1の形状に倣った形状を有するようにした。これにより、リアクトル本体1とケース4との距離を近づけて放熱性を向上させることができる。
【0060】
(5)コイル5は、環状コア10の一部に平行に装着された一対のコイル51a、51bであり、ケース4の内周面には、一対のコイルコイル51a、51b間の隙間に入り込む盛り上げ部40を設けるようにした。
【0061】
これにより、盛り上げ部40がリアクトルの発熱源であるコイル51a、51bに沿うので、ケース4とコイル51a、51bとの距離を近づけ、放熱性を向上させることができる。
【0062】
さらに、盛り上げ部40の作用効果は単にケース4とコイル51a、51bとの距離を近づけて放熱性を向上させることに留まらない。すなわち、コイル51a、51bの隙間は、リアクトルの中央部分に位置しその周囲に囲われる箇所であることから、熱が最も籠もりやすい箇所の一つであり、放熱性に劣る箇所である。この隙間を盛り上げ部40で埋めることで、熱が籠もりやすい箇所を設けないようにすることができる。従って、盛り上げ部40は、熱の籠もる箇所を無くすことと、ケース4とコイル51a、51bとを近づけることとの相乗効果により放熱性を向上させることができる。
【0063】
[2.第2の実施形態]
[2−1.構成]
第2の実施形態について、図5を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。よって、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図5は、第2の実施形態のリアクトルを裏側から見た図である。第2の実施形態では、第1の実施形態でケース4の底面に設けた凹部44に代えて、ケース4の底面に複数の凸部45が設けられている。
【0065】
凸部45は、z軸の負方向に延び、リアクトル本体1が設けられる側とは反対側に出っ張っており、ケース4の底面の凸部45以外の部分は平面である。各凸部45の端部は平面に成形されており、冷却面6に面接触する。すなわち、各凸部45のz軸の負方向の長さはそれぞれ同じであり、ケース4の底面と冷却面6との間には、凸部45の高さ分だけ放熱膜を収容する領域が形成される。換言すれば、ケース4の底面と冷却面との間の領域であって、凸部45が占める領域以外の領域が放熱膜収容部となり得る。ここでは、複数の凸部45が囲う領域が放熱膜収容部であり、当該領域に放熱膜が収容される。例えば、当該領域に放熱性グリスが塗布される。なお、このグリスが当該領域をはみ出していても良い。
【0066】
凸部45は、ケース4の底面であればどこに設けても良いが、ここでは、凸部45は、ケース4の底面の四隅にそれぞれ設けられており、リアクトル本体1がケース4に収容された状態でコイル5の真下を囲むように配置されている。また、凸部45は、固定部42が設けられる箇所に設けられている。ここでは、凸部45は、固定部42の底面に設けられており、xy平面上において固定部42と凸部45の設けられる箇所が一致している。換言すると、リアクトルを冷却面6に固定するための固定穴42aが凸部45及び固定部42を貫通して設けられており、固定穴42aに差し込まれるネジの軸上に凸部45が配置されている。
【0067】
凸部45の高さ、すなわちz方向の長さは、特に限定されないが、0.2〜1mm程度が好ましい。例えば1mmより深いと放熱膜が厚くなり、放熱経路が長くなるので熱抵抗となる場合があるからである。
【0068】
凸部45の形状は、ここでは円盤状であるが、これに限定されず、三角形状など多角形状であっても良い。
【0069】
[2−2.作用・効果]
(1)本実施形態のリアクトルでは、冷却面6に固定されるケース4の底面に、複数の凸部45を、リアクトル本体1が設けられる側とは反対側に出っ張って設け、放熱膜収容部として、凸部45が占める領域以外の、ケース4の底面と冷却面6との間の領域とした。
【0070】
これにより、凸部45が出っ張っている分だけ放熱膜の膜厚を一定に確保することができ、製品バラツキを抑制するとともに、放熱性を向上させることができる。また、凹部44を設ける場合と比べて、ケース4底面の凹部44以外の箇所を平面とするための切削加工が不要であり、コストダウンも可能になる。
【0071】
なお、凸部45は、第1の実施形態の凹部44がケース4の底面の中央部分のみに設けられているのに対し、この凹部44を固定部42の箇所以外の底面全体に拡げて設け、固定部42の底部に残存する部分として捉えても良い。換言すれば、ケース4の底面において、凸部45が設けられている部分以外が、放熱膜収容部である凹部と捉えても良い。
【0072】
(2)ケース4は、リアクトルを冷却面6に固定するための固定部42を有し、凸部45は、固定部42が設けられる箇所に設けるようにした。
【0073】
これにより、固定部42と凸部45の設けられる位置が一致するので、放熱膜の膜厚の均一性を高めることができる。すなわち、固定部42には、その固定の際に大きな力が加わる。本実施形態では、ネジ締結の際に生じる締め付け力である。この締め付け力は、固定部42を冷却面6に近づける方向に働くため、固定部42と凸部45の設けられる位置が不一致である場合、つまり締め付け力上に凸部45がない場合には、凸部45が支点、固定部42が力点となって、てこの原理でケース4の底面が湾曲する等の変形が生じる虞がある。本実施形態では、凸部45を固定部42の設けられる箇所に一致させて設けているので、上記のようなてこの原理が働くことなく、放熱膜の膜厚の均一性を高めることができる。
【0074】
(3)リアクトル本体1は、環状コア10及びコイル5を有し、複数の凸部45は、リアクトル本体1がケース4に収容された状態でコイル5の真下を囲むように配置した。これにより、コイル5がリアクトルの発熱源であるので、コイル5の真下を囲むように凸部45を配置したことで、コイル5の真下に放熱膜を配置することができ、効率的に放熱することが可能になる。
【0075】
[3.第3の実施形態]
[3−1.構成]
第3の実施形態について、図6及び図7を用いて説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。よって、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
図6は、第3の実施形態に係るリアクトルを裏側から見た図である。第3の実施形態は、第1の実施形態と同様、ケース4の底面に凹部44が設けられる。異なる点は、第3の実施形態に係るリアクトルが、冷却面6上にその裏面側から固定されるリアクトルである点である。すなわち、第1の実施形態の耳状の固定部42に代えて、ケース4の底面には、冷却面6の裏面側からリアクトルを冷却面6上に固定するための固定部46が設けられている。ここでは、固定部46は、冷却面6の裏面側からネジを差し込んで締結固定するネジ挿入穴であり、ケース4の側壁が囲う範囲内において設けられる。詳細には、ケース4の側壁が囲う範囲とは、ケース4の側壁の外側の面が囲う範囲であり、ケース4の外形に合わせて略矩形である。
【0077】
図7は、図6のB−B断面を含むケースの斜視図である。図7に示すように、固定部46は、ケース4の四隅の肉厚部に設けられている。この肉厚部は、ケース4の外周面と内周面の間の距離が他の箇所より厚くなっている部分である。すなわち、ケース4の外形が開口を有する略直方体形状であるのに対し、ケース4に収容されるリアクトル本体1が環状形状であり、且つ、ケース4の内周面の形状をリアクトル本体1に倣った形状とするため、ケース4の四隅に肉厚部が設けられる。
【0078】
本実施形態では、ケース4の四隅の上縁、すなわち、ケース4の側壁上縁の四隅にリアクトル本体1を固定するネジ挿入穴である固定穴41aがそれぞれ設けられ、ケース4の四隅の下縁、すなわち、ケース4の底面の四隅には、ネジ挿入穴である固定部46がそれそれぞれ設けられている。ケース4の四隅の上部には、固定具31、32のネジ挿入穴33及び固定穴41aにネジ34が差し込まれてリアクトル本体1がケース4に収容された状態で固定され、固定部46には、冷却面6の裏面側からネジが差し込まれてリアクトルが冷却面6上に固定される。
【0079】
[3−2.作用・効果]
(1)本実施形態では、ケース4の底面に、ケース4の側壁が囲う範囲内において、リアクトルを冷却面6上にその裏面側から固定するための固定部46を設けるようにした。これにより、耳状の固定部42が不要である分ケース4の剛性を高めることができる。そして、ケース4の剛性向上により、凹部44の変形自体を抑制することができる。従って、凹部44に配置される放熱膜の膜厚を一定に保つことができ、製品バラツキを抑制し、放熱性を向上させることができる。なお、耳状の固定部42が不要であるので、省スペース化をも図ることができる。
【0080】
(2)ケース4の四隅は肉厚部であり、ケース4の四隅の上部には、リアクトル本体1がケース4に収容された状態で固定され、ケース4の四隅の下部には、固定部46として、リアクトルを冷却面6上に固定するためのネジが、冷却面6の裏側から差し込まれるネジ挿入穴を設けるようにした。
【0081】
これにより、省スペース化を図りつつ、ケース4の剛性を向上させることができる。すなわち、第1の実施形態では、放熱性を高めるためにケース4の内周面の形状をリアクトル本体1の形状に倣ったものとすると、ケース4の四隅に肉厚部が生じるが、この四隅の肉厚部を活用してリアクトル本体1をケース4の四隅の上縁で固定していた。そのため、リアクトルを冷却面6に固定するために、さらにリアクトル上部から固定しようとしても、リアクトル本体1をケース4に固定するためにスペースが奪われてしまい、ケース4の上縁から固定することはできない。
【0082】
そこで、第1の実施形態では、ケース4の側壁下部に耳状の固定部42を設けて上からネジ締結により固定する方法を採用した。しかし、リアクトルは、PCUケースなど様々な電気部品とともに取り付けられるものであるため、耳状の固定部42を設けることでスペースが足りなくなる場合があった。また、耳状の固定部42を設けることでケース4の剛性が低下してしまっていた。
【0083】
これに対し、本実施形態は、元々存在していたケース4四隅の肉厚部にその底面側からネジ挿入穴となる固定部46を設けるようにしたので、耳状の固定部42を設けることなく、冷却面6の裏側からネジ締結によりリアクトルを固定することができる。従って、省スペース化及びケース4の剛性向上を図ることができる。ケース4の剛性向上により、凹部44の変形自体も抑制されるので、放熱膜の膜厚の均一性を高めることができ、製品バラツキの抑制及び放熱性の向上という効果を得ることができる。
【0084】
[4.他の実施形態]
本発明は、第1乃至第3の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、第1乃至第3の実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0085】
(1)他の実施形態としては、第3の実施形態と第2の実施形態の組み合わせが挙げられる。すなわち、図8に示すように、第3の実施形態の凹部44に代えて、ケース4の底面に、第2の実施形態に係る凸部45を設けても良い。第3の実施形態を基本とし、第3の実施形態と同じ構成については説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0086】
凸部45は、ケース4の底面においてケース4の側壁が囲う範囲内に設けられており、ここでは、ケース4の底面の四隅に設けられている。凸部45には、リアクトルを冷却面6に固定するための固定部46が設けられている。図9に示すように、固定部46は、リアクトルを冷却面6に固定するための固定部材が、冷却面6の裏面側から差し込まれるネジ挿入穴であり、凸部45に貫通し、ケース4の四隅の肉厚部に食い込んで設けられている。
【0087】
(2)第1の実施形態及び第3の実施形態において、凹部44は、ケース4に段差状に設けたが、図10に示すように、凹部44の面を中央部分の深さが深くなる曲面とし、ケース4の底面と滑らかに連続するようにしても良い。
【0088】
(3)第1の実施形態において、凹部44は、その深さは凹部44のどの場所でも一定にしたが、図11に示すように、凹部44の深さは、その中心部分よりも固定部42aに近い部分が深くなるようにしても良い。これにより、リアクトルを冷却面6に固定する際に固定部42aに加わる上からの力によって、凹部44の固定部42aに近い部分が押さえつけて変形することで、リアクトルが冷却面6に固定された状態における凹部44の深さが一定になる。従って、放熱膜の膜厚均一性を向上させられるので、放熱性を向上させることができる。
【0089】
(4)第1の実施形態において、凹部44は、コイル51a、51bがケース4の底面に占める領域を覆うように一つ設けたが、これに限定されない。少なくともこの領域内であれば、その設ける凹部44の大きさや数は特に限定されず、また、ケース4の底面であれば上記領域外に設けても良い。例えば、図12に示すように、コイル51a、51bがケース4に占める領域Rの範囲内に、凹部44を2つ設けても良い。また、図13に示すように、領域Rの範囲外に凹部44を設けたり、領域Rの境界を跨ぐように凹部44を設けたりしても良い。
【0090】
(4)第1乃至第3の実施形態では、固定部42、46をそれぞれケース4の四隅に4箇所設けたが、その数は限定されず、3箇所でも2箇所でも良い。
【0091】
(5)第1乃至第3の実施形態では、ケース4の形状を略直方体形状としたが、これに限定されない。例えば、上面に開口が設けられ、底面が多角形状で中身が中空の多角体であっても良い。
【0092】
(6)第1乃至第3の実施形態及び上記(1)の他の実施形態では、固定部材としてネジを例示したが、ピン又はリベットであっても良い。固定穴は、これらの部材の形状を成す穴であれば良い。ネジ締結による固定の方が、ピンやリベットと比べて固定強度が向上するので、耐振動衝撃強度を向上させることができる。
【0093】
(7)第1乃至第3の実施形態及び上記(1)の他の実施形態では、冷却面6に固定される面は、取付体の底面とし、その一例としてケース4の底面を示したが、これに限定されず、リアクトルは、取付体の側面で冷却面6に固定されても良い。例えば、取付体がケース4である場合は、ケース4の側壁としても良い。このような場合は取付体の側面に凹部44又は複数の凸部45を設けることで放熱膜収容部を形成する。これにより、設計上の制約から、冷却面6に固定される面を取付体の底面とできない場合であっても柔軟に対応することができる。
【0094】
(8)第1乃至第3の実施形態では、環状コア10をコア部材としてU字型コア11、12、I字型コア13により構成したが、コア部材の形状はこれらに限定されない。環状形状を構成できるのであれば、E字型コア、T字型コア、J字型コア、円柱コアなどを用いても良い。
【0095】
(9)第1乃至第3の実施形態では、環が1つの環状コア10を用いたが、E字型コアのように脚部を3本以上備えたコアを用いて、環が2つのθ形状に形成された環状コア10を用いても良い。
【0096】
(10)第1乃至第3の実施形態では、リアクトル本体1は、環状コア10に倣って環状形状としたが、必ずしも環状形状としなくても良い。例えば、棒状であっても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 リアクトル本体
10 環状コア
11、12 U字型コア
13 I字型コア
14 スペーサ
2 樹脂部材
21 樹脂体
21a、21b 直線部
21c 連結部
22 樹脂体
22a 連結部
22b フック
31、32 固定具
33 ネジ挿入穴
34 ネジ
4 ケース
40 盛り上がり部
41、42 固定部
41a、42a 固定穴
43 ネジ挿入穴
44 凹部
45 凸部
46 固定部
5 コイル
51a、51b コイル
51c 連結線
52a、52b 端部
6 冷却面
71 端子台
72a、72b 端子
73 ネジ
8 コネクタ
9 温度センサ
9a 温度検出部
9b リード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13