特許第6619198号(P6619198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6619198移動端末、コンテンツ提供システム及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619198
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】移動端末、コンテンツ提供システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20191202BHJP
【FI】
   G06Q30/02 352
   G06Q30/02 470
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-206391(P2015-206391)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78949(P2017-78949A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前畠 大
(72)【発明者】
【氏名】中尾 直之
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−238673(JP,A)
【文献】 特開2008−225903(JP,A)
【文献】 特開2014−112359(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/207798(WO,A1)
【文献】 特開2013−077318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0028160(US,A1)
【文献】 特開2013−196449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを識別する識別情報及び所定の処理に用いる処理用情報を表す第1音波と、前記識別情報を表し前記処理用情報を表さない第2音波とのうちの少なくともいずれかの音波を受信する受信部と、
前記第1音波と前記第2音波とのいずれが受信されたかを判定する判定部と、
前記第1音波が受信されたと判定された場合に、当該第1音波が表す前記処理用情報を用いて前記所定の処理を行う処理部と、
前記第1音波が受信されたと判定された場合には、前記所定の処理が行われた結果に基づいて前記第1音波が表す前記識別情報により識別される前記コンテンツを取得し、前記第2音波が受信されたと判定された場合には、前記所定の処理を経ずに前記第2音波が表す前記識別情報により識別される前記コンテンツを取得する取得部と
を備える移動端末。
【請求項2】
前記処理部は、前記コンテンツを提供してよいか否かを確認するための認証処理又は暗号化された情報を復号化する復号化処理を、前記所定の処理として行い、
前記取得部は、前記所定の処理が行われた結果に基づいて前記コンテンツを取得する
請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記第1音波及び前記第2音波のうち決められた方の音波が受信されると当該音波が表す前記識別情報を記憶し又は当該音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶し、他方の音波が受信されると当該音波が表す前記識別情報を記憶しない又は当該音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶しない記憶部を備える
請求項1又は2に記載の移動端末。
【請求項4】
受信された前記いずれかの音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが取得されるまでは、当該音波以外の音波が表す識別情報を得るための処理を中止させ、又は、前記第1音波が受信された場合に当該第1音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが取得されるまでは、前記所定の処理を中止させる中止部を備える
請求項1から3のいずれか1項に記載の移動端末。
【請求項5】
前記第2音波が表す識別情報により識別されるコンテンツは、前記第1音波が表す識別情報により識別されるコンテンツの取得方法に関する情報を表す
請求項1から4のいずれか1項に記載の移動端末。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の移動端末と、
スピーカ装置に前記第1音波及び前記第2音波のいずれかを放出するよう指示する指示装置と
を備えるコンテンツ提供システム。
【請求項7】
前記指示装置は、コンテンツの配信装置に前記コンテンツを識別させる識別情報であって、時間が経過すると新たな情報に変化して変化前の情報では前記配信装置が前記コンテンツを識別しなくなる識別情報を表す音波を放出するよう前記指示を行う
請求項6に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項8】
前記指示装置は、前記音波を、現在の時間帯、当該音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが取得された数又は頻度に応じた強度で放出するよう指示する
請求項6又は7に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項9】
前記指示装置は、時間帯又は日程によって前記第1音波と前記第2音波とのうちのいずれかの音波を選択する選択部をさらに有し、前記スピーカ装置に前記選択された音波を放出するよう指示する
請求項6から8のいずれか1項に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項に記載の移動端末と、
前記第1音波及び前記第2音波の少なくともいずれかを放出するスピーカ装置と
を備えるコンテンツ提供システム。
【請求項11】
コンピュータを、
コンテンツを識別する識別情報及び所定の処理に用いる処理用情報を表す第1音波と、前記識別情報を表し前記処理用情報を表さない第2音波とのうちの少なくともいずれかの音波を受信する受信部と、
前記第1音波と前記第2音波とのいずれが受信されたかを判定する判定部と、
前記第1音波が受信されたと判定された場合に、当該第1音波が表す前記処理用情報を用いて前記所定の処理を行う処理部と、
前記第1音波が受信されたと判定された場合には、前記所定の処理が行われた結果に基づいて前記第1音波が表す前記識別情報により識別される前記コンテンツを取得し、前記第2音波が受信されたと判定された場合には、前記所定の処理を経ずに前記第2音波が表す前記識別情報により識別される前記コンテンツを取得する取得部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波を受信した装置にコンテンツを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等に設置したスピーカ装置からコンテンツを識別する識別情報を表す音波を放出し、その音波をスマートフォン等の移動端末に受信させてコンテンツを取得させる技術が知られている。例えば特許文献1には、端末が受信した放送音声からコンテンツIDを検出し、そのコンテンツIDに対応するクーポン情報を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−194600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、放出された音波を録音及び解析されてコンテンツを不正に取得されるおそれがあるため、例えば識別情報を暗号化してそれを復号化するための情報を加えたり、認証のための情報を加えたりした音波を放出することが考えられる。しかし、その場合、識別情報だけを表せばよい場合に比べて、音波が表す情報量が多くなり、音波の放出時間が長くなる。その結果、音波の受信が完了する前に、又は認証が完了する前に音波の受信可能なエリアをユーザが通り抜けてしまい、そのユーザに対してコンテンツが提供されないということが起こりやすくなる。
【0005】
そこで、本発明は、移動端末がスピーカ装置の周囲を通り過ぎる際に受信した音波によりコンテンツを取得する場合に、その移動端末に所定の処理を行わせることと、所定の処理を行わせない代わりにその移動端末がコンテンツを取得する確率を高めることの両方を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、コンテンツを識別する識別情報及び所定の処理に用いる処理用情報を表す第1音波と、前記識別情報を表し前記処理用情報を表さない第2音波とのうちの少なくともいずれかの音波を受信する受信部と、前記第1音波が受信された場合に、当該音波が表す前記処理用情報を用いて前記所定の処理を行う処理部と、受信された前記いずれかの音波が表す識別情報により識別されるコンテンツを取得する取得部とを備える移動端末を提供する。
【0007】
また、前記処理部は、前記コンテンツを提供してよいか否かを確認するための認証処理又は暗号化された情報を復号化する復号化処理を、前記所定の処理として行い、前記取得部は、前記所定の処理が行われた結果に基づいて前記コンテンツを取得してもよい。
さらに、前記第1音波及び前記第2音波のうち決められた方の音波が受信されると当該音波が表す前記識別情報を記憶し又は当該音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶し、他方の音波が受信されると当該音波が表す前記識別情報を記憶しない又は当該音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶しない記憶部を備えていてもよい。
【0008】
また、受信された前記いずれかの音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが取得されるまでは、当該音波以外の音波が表す識別情報を得るための処理を中止させ、又は、前記第1音波が受信された場合に当該第1音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが取得されるまでは、前記所定の処理を中止させる中止部を備えていてもよい。
さらに、前記第2音波が表す識別情報により識別されるコンテンツは、前記第1音波が表す識別情報により識別されるコンテンツの取得方法に関する情報を表していてもよい。
【0009】
また、本発明は、上記の移動端末と、スピーカ装置に前記第1音波及び前記第2音波のいずれかを放出するよう指示する指示装置とを備えるコンテンツ提供システムを提供する。
【0010】
また、前記指示装置は、コンテンツの配信装置に前記コンテンツを識別させる識別情報であって、時間が経過すると新たな情報に変化して変化前の情報では前記配信装置が前記コンテンツを識別しなくなる識別情報を表す音波を放出するよう前記指示を行ってもよい。
さらに、前記指示装置は、前記音波を、現在の時間帯、当該音波が表す識別情報により識別されるコンテンツの種類、当該コンテンツが取得された数又は頻度に応じた強度で放出するよう指示してもよい。
【0011】
また、本発明は、上記の移動端末と、前記第1音波及び前記第2音波の少なくともいずれかを放出するスピーカ装置とを備えるコンテンツ提供システムを提供する。
また、本発明は、コンピュータを、コンテンツを識別する識別情報及び所定の処理に用いる処理用情報を表す第1音波と、前記識別情報を表し前記処理用情報を表さない第2音波とのうちの少なくともいずれかの音波を受信する受信部と、前記第1音波が受信された場合に、当該音波が表す前記処理用情報を用いて前記所定の処理を行う処理部と、受信された前記いずれかの音波が表す識別情報により識別されるコンテンツを取得する取得部として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動端末がスピーカ装置の周囲を通り過ぎる際に受信した音波によりコンテンツを取得する場合に、その移動端末に所定の処理を行わせることと、所定の処理を行わせない代わりにその移動端末がコンテンツを取得する確率を高めることの両方を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施例に係るコンテンツ提供システムの全体構成を表す図
図2】コンテンツ配信装置のハードウェア構成を表す図
図3】スピーカ装置のハードウェア構成を表す図
図4】移動端末のハードウェア構成を表す図
図5】認証サーバのハードウェア構成を表す図
図6】各装置が実現する機能構成を表す図
図7】識別情報テーブルの一例を表す図
図8】生成される音波の詳細を表す図
図9】音波の放出に要する時間の例を表す図
図10】音波の受信可能範囲と移動端末の移動の例を表す図
図11】表示されたコンテンツの例を表す図
図12】コンテンツ提供処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図13】第2実施例に係るコンテンツ提供システムの全体構成を表す図
図14】放音指示装置のハードウェア構成を表す図
図15】第2実施例の各装置が実現する機能構成を表す図
図16】変形例の移動端末が実現する機能構成を表す図
図17】変形例の移動端末が実現する機能構成を表す図
図18】変形例の移動端末が実現する機能構成を表す図
図19】放出される音波が表す装置IDの変化の一例を表す図
図20】識別情報テーブルの変化の一例を表す図
図21】変形例の音波強度テーブルの一例を表す図
図22】変形例の音波強度テーブルの別の例を表す図
図23】変形例で提供されるコンテンツの一例を表す図
図24】変形例の識別情報テーブルの一例を表す図
図25】変形例で表示される画面の一例を表す図
図26】変形例に係るコンテンツ提供システムの全体構成を表す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]第1実施例
図1は第1実施例に係るコンテンツ提供システム1の全体構成を表す。コンテンツ提供システム1は、自システムを利用するユーザにコンテンツを提供するシステムである。コンテンツ提供システム1は、ネットワーク2と、コンテンツ配信装置10と、スピーカ装置20−1及び20−2(これらを区別しない場合は「スピーカ装置20」という)と、移動端末30と、認証サーバ40とを備える。
【0015】
ネットワーク2は、例えば移動体通信網及びインターネット等を含み、装置同士のデータのやり取りを仲介するシステムである。ネットワーク2にはコンテンツ提供システム1が備える各装置が接続される。コンテンツ配信装置10は、データで表されるコンテンツを記憶しており、外部装置からの要求に応答してそのコンテンツを、ネットワーク2を介して配信する。
【0016】
スピーカ装置20は、スピーカを備え、コンテンツを識別する識別情報を少なくとも表す音波を放出する。スピーカ装置20は、店舗や公共の施設など、ユーザが行き来する場所に設置される。スピーカ装置20−1及び20−2は、いずれも、本実施例では、自装置に割り当てられた装置ID(Identification)を識別情報として表す音波を放出する。また、スピーカ装置20−1は、装置IDに加え、移動端末30が行う所定の処理に用いられる情報(以下「処理用情報」という)をも表す音波を放出する。
【0017】
本実施例では、処理用情報として、この音波に基づいてコンテンツが提供されてよいか否かを認証するために用いられる情報である認証用情報が用いられる。認証用情報は、例えば現在時刻を表す時刻指標値を暗号化した情報であり、スピーカ装置20−1は、現在時刻から予め決められたアルゴリズムを用いて時刻指標値を算出する。スピーカ装置20−1は、算出した時刻指標値を暗号化して生成した認証用情報と装置IDとを表す音波を放出する。
【0018】
移動端末30は、この認証用情報に対して復号化処理(暗号化された情報を復号化する処理)を行い、復号化して得られた時刻指標値を用いて認証サーバ40から上記の認証を得る認証処理(コンテンツを提供してよいか否かを確認するための処理)を行う。つまり、本実施例では復号化処理及び認証処理が所定の処理として行われる。以下では、識別情報に加えて処理用情報を表す音波のことを「第1音波」といい、識別情報を表すが処理用情報を表さない音波のことを「第2音波」という。スピーカ装置20は、第1音波及び第2音波の少なくともいずれかを放出する。本実施例では、スピーカ装置20−1は第1音波を放出し、スピーカ装置20−2は第2音波を放出する。
【0019】
移動端末30は、例えばスマートフォンであり、ユーザによって持ち運ばれることで移動する端末である。移動端末30は、タッチスクリーンを備え、コンテンツ配信装置10から配信されてきたコンテンツを表示する。また、移動端末30は、マイクロフォンを備え、自端末に到達する音波を受信する。移動端末30は、スピーカ装置20が放出する音波の受信可能範囲に自端末が所在するときに、その音波を受信する。移動端末30は、受信した音波を解析してその音波が表す情報(第1音波の場合は装置ID及び処理用情報、第2音波の場合は装置ID)を取得する。
【0020】
コンテンツ配信装置10は、装置IDに対応付けて配信するコンテンツを記憶している。移動端末30は、取得した装置IDをコンテンツ配信装置10に送信することで、その装置IDに対応付けられているコンテンツをコンテンツ配信装置10に要求する。コンテンツ配信装置10は、この要求を受け取ると、送信されてきた装置IDに対応付けて記憶しているコンテンツを移動端末30に配信する。また、移動端末30は、上記の第1音波を受信して認証用情報を取得した場合は、装置IDを送信する前に、その認証用情報を復号化する復号化処理を行い、復号化した時刻指標値を認証サーバ40に送信して認証処理を行う。
【0021】
認証サーバ40は、上記の認証を行う装置である。本実施例では、認証サーバ40は、移動端末30から時刻指標値が送信されてくると、移動端末30と同じアルゴリズムを用いて現在時刻から時刻指標値を算出し、算出した時刻指標値と送信されてきた時刻指標値との差が閾値未満であれば、この時刻指標値がスピーカ装置20−1から放出された音波を移動端末30が直接受信して取得されたものだと判断し、この音波に基づいてコンテンツが提供されてよいことを認証する(時刻指標値の差はその算出に用いられた元の時刻が離れているほど大きくなるものとする)。移動端末30は、認証サーバ40によって認証されると、装置IDを用いてコンテンツを取得する。
【0022】
以上のとおり、コンテンツ提供システム1においては、スピーカ装置20−1が放出した第1音波を移動端末30が受信した場合には、復号化処理及び認証処理が行われ、認証がされればコンテンツが提供される。一方、スピーカ装置20−2が放出した第2音波を移動端末30が受信した場合には、復号化処理及び認証処理が行われることなくコンテンツが提供される。
【0023】
図2はコンテンツ配信装置10のハードウェア構成を表す。コンテンツ配信装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、NIC(Network Interface Card)15とを備えるコンピュータである。CPU11は、RAM12をワークエリアとして用いてROM13やHDD14に記憶されているプログラムを実行することで各部の動作を制御する。HDD14は、CPU11が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。NIC15は、通信回路を有し、ネットワーク2を介して外部装置と通信を行う。
【0024】
図3はスピーカ装置20のハードウェア構成を表す。スピーカ装置20は、CPU21と、RAM22と、ROM23と、HDD24と、スピーカ25とを備えるコンピュータである。CPU21からHDD24までは図2に表されたものと同種のハードウェアである。スピーカ25は、D/A変換回路(digital to analog converter)を有し、CPU21から供給される音波データが表す音波を放出する。
【0025】
図4は移動端末30のハードウェア構成を表す。移動端末30は、CPU31と、RAM32と、ROM33と、フラッシュメモリ34と、NIC35と、タッチスクリーン36と、マイクロフォン37とを備えるコンピュータである。CPU31からROM33までは図2に表されたものと同種のハードウェアである。フラッシュメモリ34は、HDD14と同様に、CPU31が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。
【0026】
NIC35は、移動体通信の通信回路を有し、無線通信を行うネットワーク2を介して外部装置と通信を行う。タッチスクリーン36は、ディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを備え、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。マイクロフォン37は、A/D変換回路(analog to digital converter)を有し、音波を受信すると、受信した音波を表す音波データをCPU31に供給する。
【0027】
図5は認証サーバ40のハードウェア構成を表す。認証サーバ40は、CPU41と、RAM42と、ROM43と、HDD44と、NIC45とを備えるコンピュータである。これらは図4に表されたものと同種のハードウェアである。
【0028】
コンテンツ提供システム1が備える各装置のCPUがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる機能が実現される。
図6は各装置が実現する機能構成を表す。コンテンツ配信装置10は、コンテンツ識別部101と、コンテンツ送信部102とを備える。スピーカ装置20−1は、音波生成部201と、音波放出部202と、認証用情報生成部203とを備え、スピーカ装置20−2は、音波生成部201と、音波放出部202とを備える。移動端末30は、音波受信部301と、音波解析部302と、音波判定部303と、処理部304と、コンテンツ取得部305と、コンテンツ出力部306とを備える。認証サーバ40は、認証可否判断部401を備える。
【0029】
コンテンツ配信装置10のコンテンツ識別部101は、コンテンツを識別する識別情報が外部装置から送信されてくると、その識別情報に基づいてコンテンツを識別する。コンテンツ識別部101は、本実施例では、上述したスピーカ装置20の装置IDを識別情報として用いてコンテンツを識別する。コンテンツ配信装置10は、装置IDと、コンテンツ(コンテンツID)とを対応付けた識別情報テーブルを記憶している。
【0030】
図7は識別情報テーブルの一例を表す。図7の例では、「ID01」という装置IDに「クーポン」というコンテンツ(コンテンツIDが「C01」)が対応付けられ、「ID02」という装置IDに「特売情報」というコンテンツ(コンテンツIDが「C02」)が対応付けられている。「ID01」は図1に表すスピーカ装置20−1の装置IDであり、「ID02」はスピーカ装置20−2の装置IDであるものとする。
【0031】
クーポンは、スピーカ装置20が設置されている店舗での買い物において値引きをしてもらえるコンテンツであり、特売情報は、その店舗で安売りする商品及び安売りの時期などを紹介するコンテンツである。特売の商品は安売りではあるものの誰でも同じ値段で買うことができるが、クーポンはそれを持っているユーザしか値引きを受けられない。つまり、クーポンは、特売情報に比べて、金銭上の価値が高いコンテンツである。そのため、クーポンは、特売情報に比べて、不正に取得された場合に店舗が損害を被る可能性が高く、求められるセキュリティレベルが高いコンテンツである。
【0032】
コンテンツ識別部101は、移動端末30から上述したように装置IDが送信されてくると、その装置IDに識別情報テーブルで対応付けられているコンテンツを識別する。コンテンツ識別部101は、識別したコンテンツのコンテンツIDと、装置IDの送信元の宛先(IP(Internet Protocol)アドレスなど)とをコンテンツ送信部102に供給する。
【0033】
コンテンツ配信装置10のコンテンツ送信部102は、コンテンツ識別部101により識別されたコンテンツを表すコンテンツデータを、コンテンツの要求元に対して送信する。コンテンツ配信装置10は、コンテンツIDに対応付けてコンテンツデータを記憶している。コンテンツ送信部102は、コンテンツ識別部101から供給されたコンテンツIDに対応付けて記憶されているコンテンツデータを読み出して、ともに供給された宛先に向けて送信する。
【0034】
スピーカ装置20の音波生成部201は、装置IDを少なくとも表す音波を生成する。スピーカ装置20−1の音波生成部201は、装置ID及び認証用情報を表す第1音波を生成し、スピーカ装置20−2の音波生成部201は、装置IDを表し認証用情報を表さない第2音波を生成する。音波生成部201は、音波に情報を埋め込む音響OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の周知の技術を用いてこれらの音波を生成する。音波生成部201は、例えば人間の耳には聞き取れない周波数の音波に情報を埋め込む。音波生成部201が生成する音波について図8を参照してさらに詳細に説明する。
【0035】
図8は生成される音波の詳細を表す。図8(a)では第1音波D1が表され、図8(b)では第2音波D2が表されている。第1音波D1は、種類情報と、装置IDと、認証用情報と、CRC(Cyclic Redundancy Check)とを順番に表す。種類情報は、音波の種類が第1音波及び第2音波のいずれであるかを表す情報である。第1音波D1は種類情報を最初に表すため、第1音波D1の冒頭を受信すればそれが第1音波であることが分かるようになっている。CRCは、いわゆる誤り検出符号であり、データの欠損をチェックするための情報である。図8の例では、種類情報が1バイト、装置IDが3バイト、認証用情報が7バイト、CRCが1バイトであり、第1音波D1は合計12バイトのデータを表している。
【0036】
第2音波D2は、種類情報と、装置IDと、パディングと、CRCとを表す。第2音波D2も種類情報を最初に表すため、第2音波D2の冒頭を受信すればそれが第2音波であることが分かるようになっている。パディングは、データ長を固定にするための情報であり、この例では、データ長を第1音波D1が表すデータ長の半分、すなわち6バイトにするための情報となっている。つまり、第2音波D2は合計6バイトのデータ(1バイトの種類情報+3バイトの装置ID+1バイトのパディング+1バイトのCRC)を表している。音波生成部201は生成した音波を表す音波データを音波放出部202に供給する。
【0037】
スピーカ装置20の音波放出部202は、装置IDを少なくとも表す音波を放出する。音波放出部202は、音波生成部201から供給された音波データをアナログ信号に変換し、そのアナログ信号が表す音波を放出する。音波放出部202は、音波が表す情報の量が多いほど、その音波の放出に要する時間が長くなる。
【0038】
図9は音波の放出に要する時間の例を表す。図9(a)では、第1音波D1の放出に要する放出時間T1が表され、図9(b)では、第2音波D2の放出に要する放出時間T2が表されている。本実施例では、音波の放出に要する時間がその音波に埋め込まれた情報のデータ量に比例しているものとする。従って、第2音波D2の2倍のデータ量の情報が埋め込まれた第1音波D1の放出時間T1は放出時間T2の2倍になっている。音波放出部202は、第1音波D1及び第2音波D2のいずれの音波も、放出終了後に一定の時間T3を空けて再び音波の放出を開始することを繰り返し行っている。
【0039】
スピーカ装置20の認証用情報生成部203は、上述した認証用情報を生成する。認証用情報生成部203は、現在時刻から上述したアルゴリズムで時刻指標値を算出し、それを決められた時間間隔(例えば1分毎や5分毎など)で繰り返し行う。認証用情報生成部203は、算出した時刻指標値を公開鍵暗号や共通鍵暗号などの周知の方法で暗号化することで、認証用情報(暗号化された時刻指標値)を生成する。認証用情報生成部203は、こうして前述した時間間隔で認証用情報を生成し、その度に生成した認証用情報を音波生成部201に供給する。音波生成部201は供給された認証用情報を用いて前述のとおり音波を生成する。
【0040】
移動端末30の音波受信部301は、上述した第1音波(コンテンツを識別する識別情報及び所定の処理に用いる処理用情報を表す音波)と第2音波(識別情報を表し処理用情報を表さない音波)とのうちの少なくともいずれかの音波を受信する。音波受信部301は本発明の「受信部」の一例である。音波受信部301は、例えばスピーカ装置20−1が放出する音波の受信可能範囲に所在するときに第1音波を受信し、スピーカ装置20−2が放出する音波の受信可能範囲に所在するときに第2音波を受信する。ただし、音波受信部301自身はどちらの種類の音波を受信したのかを判断しているわけではない。音波受信部301は、自装置のマイクロフォン37に到達する音波を受信し、受信した音波を表す音波データを音波解析部302に供給する。
【0041】
移動端末30の音波解析部302は、音波受信部301により受信された音波を解析し、その音波が表す情報を抽出する。音波解析部302は、音波生成部201が音波に情報を埋め込む際に用いた技術を用いて音波に埋め込まれた情報を抽出する。音波解析部302は、第1音波D1からは図8(a)で説明した種類情報、装置ID、認証用情報、CRCを抽出し、第2音波D2からは図8(b)で説明した種類情報、装置ID、パディング、CRCを抽出する。
【0042】
音波解析部302が第1音波D1及び第2音波D2から上記情報の抽出を完了(種類情報からCRCまでの全ての情報を抽出するということ)できるのは、各音波の開始から終了までが受信された場合に限られる。つまり、第1音波D1の場合は最低でも図9で述べた放出時間T1以上は第1音波D1の受信可能範囲に移動端末30が所在していなければならず、第2音波D2の場合は最低でも図9で述べた放出時間T2以上は第2音波D2の受信可能範囲に移動端末30が所在していなければならない。
【0043】
移動端末30がこれらの受信可能範囲で静止している場合はどちらの音波でも全情報の抽出が完了するが、移動端末30が移動して受信可能範囲を通過する場合は、全情報の抽出が完了しない場合が生じる。このように情報抽出が未完になる確率は、第1音波D1と第2音波D2とで異なる。これについて図10を参照して説明する。
【0044】
図10は音波の受信可能範囲と移動端末30の移動の例を表す。図10の例では、スピーカ装置20が自装置の前方に放射状に音波を放出しているものとし、受信可能範囲A1の境界を二点鎖線で表している。図10では、移動端末30xが経路B1を通って受信可能範囲A1を通過し、移動端末30yが経路B2を通って受信可能範囲A1を通過している。経路B1の方が経路B2に比べてスピーカ装置20に近いため、移動端末30xが受信可能範囲A1を通過するのに要する通過時間S1は、移動端末30yが受信可能範囲A1を通過するのに要する通過時間S2よりも短くなっている。
【0045】
図10の例では、放出時間T2<通過時間S1<放出時間T1であり、放出時間T2<放出時間T1<通過時間S2となっているものとする。この場合、移動端末30xは、必ず第1音波D1の放出時間T1が経過するよりも早く受信可能範囲A1を出てしまうため、第1音波D1が表す全情報の抽出が完了する場合がない(つまり情報抽出が未完になる確率が100%)が、通過時間S1よりも放出時間が短い第2音波D2であれば全情報の抽出が完了する場合がある(つまり情報抽出が未完になる確率が100%未満)。
【0046】
また、移動端末30yは、通過時間S2がどちらの音波の放出時間よりも長いため、どちらの音波でも全情報の抽出が完了する場合があるが、放出時間T1の方が長いため第1音波D1の方が第2音波D2に比べて情報抽出が未完になる確率が高い。このように、移動端末30が受信可能範囲A1を移動して通過する際に情報抽出が未完になる確率は、第2音波D2に比べて第1音波D1の方が高くなっている。その結果、第1音波D1が受信される場合に比べて、第2音波D2が受信される場合の方が、移動端末30がコンテンツを取得する確率が高くなっている。音波解析部302は、情報抽出が完了した場合、抽出した情報を音波判定部303に供給する。
【0047】
移動端末30の音波判定部303は、音波受信部301によって第1音波D1と第2音波D2とのいずれが受信されたかを判定する。音波判定部303は、本実施例では、音波解析部302から供給された抽出情報に含まれる種類情報を参照し、音波の種類が第1音波であることを表していれば第1音波D1が受信されたと判定し、音波の種類が第2音波であることを表していれば第2音波D2が受信されたと判定する。音波判定部303は、第1音波D1が受信されたと判定した場合は供給された抽出情報を処理部304に供給し、第2音波D2が受信されたと判定した場合は供給された抽出情報をコンテンツ取得部305に供給する。
【0048】
移動端末30の処理部304は、音波受信部301によって第1音波D1が受信された場合、すなわち受信された音波が第1音波D1と判定された場合に、その第1音波D1が表す処理用情報を用いて所定の処理を行う。処理部304は、本実施例では、上述した認証用情報を用いて復号化処理及び認証処理を行う。処理部304は、復号化処理部341と、認証処理部342とを備える。
【0049】
復号化処理部341は、上述した復号化処理(暗号化された情報を復号化する処理)を行う。復号化処理部341は、本実施例では、音波判定部303から供給された抽出情報に含まれる認証用情報を復号化して、復号化により得られた時刻指標値を認証処理部342に供給する。認証処理部342は、上述した認証処理(コンテンツを提供してよいか否かを確認するための処理)を行う。認証処理部342は、本実施例では、復号化処理部341から供給された時刻指標値を用いて認証処理を行う。具体的には、認証処理部342は、その時刻指標値を認証サーバ40に送信し、認証の可否を問い合わせる。
【0050】
認証サーバ40の認証可否判断部401は、移動端末30が受信した音波に基づくコンテンツ提供の認証を行ってよいか否かを判断する。認証可否判断部401は、移動端末30の認証処理部342から時刻指標値が送信されてくると、現在時刻から上記アルゴリズムを用いて時刻指標値を算出し、両時刻指標値の差が閾値未満であれば認証を行ってよいと判断し、この差が閾値以上であれば認証を行わないと判断する。認証可否判断部401は、認証可否の判断結果を認証処理部342に通知する。
【0051】
認証処理部342は、認証されたという判断結果が通知されると、音波判定部303から処理部304に供給された抽出情報をコンテンツ取得部305に供給し、認証されないという判断結果が通知されるとそこで処理を終了する。
【0052】
移動端末30のコンテンツ取得部305は、音波受信部301によって受信された第1音波D1及び第2音波D2のうちのいずれか一方の音波が表す識別情報により識別されるコンテンツを取得する。コンテンツ取得部305は、音波判定部303が第1音波D1の受信を判定した場合(第1音波D1が受信された場合)には、処理部304から供給された抽出情報に含まれるスピーカ装置20−1の装置IDをコンテンツ配信装置10に送信し、その装置IDに対応付けられているコンテンツとして図7の説明で述べたクーポンを取得する。このように、コンテンツ取得部305は、第1音波D1が受信された場合には、所定の処理が行われた結果に基づいてコンテンツを取得する。
【0053】
コンテンツ取得部305は、音波判定部303が第2音波D2の受信を判定した場合(第2音波D2が受信された場合)には、その音波判定部303から供給された抽出情報に含まれるスピーカ装置20−2の装置IDをコンテンツ配信装置10に送信し、その装置IDに対応付けられているコンテンツとして図7の説明で述べた特売情報を取得する。コンテンツ取得部305は、こうして取得したコンテンツをコンテンツ出力部306に供給する。
【0054】
移動端末30のコンテンツ出力部306は、コンテンツ取得部305が取得したコンテンツを出力する。コンテンツ出力部306は、本実施例ではコンテンツを自装置の表示手段である図4に表すタッチスクリーン36に出力し、コンテンツを表す画像を表示させる。
図11は表示されたコンテンツの例を表す。図11(a)では「全商品20%オフ!」という文字列を含むクーポン画像C1が表示されている。図11(b)では「特売情報」という文字列及び割引商品の一覧を表す特売情報画像C2が表示されている。
【0055】
コンテンツ提供システム1は、上記の構成に基づいて、ユーザにコンテンツを提供するコンテンツ提供処理を行う。
図12はコンテンツ提供処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、移動端末30がスピーカ装置20の音波の受信可能範囲に入ることを契機に開始される。まず、移動端末30(音波受信部301)は、スピーカ装置20から放出された音波を受信する(ステップS11)。次に、移動端末30(音波解析部302)は、受信された音波を解析してその音波が表す情報を抽出する(ステップS12)。続いて、移動端末30(音波判定部303)は、抽出された情報に基づいて、受信された音波の種類(第1音波か第2音波か)を判定する(ステップS13)。
【0056】
移動端末30(処理部304)は、第1音波を受信したか否か(受信された音波が第1音波であると判定されたか否か)を判断し(ステップS14)、第1音波を受信したと判断した場合に、復号化処理を行い(ステップS15)、その後に認証処理を行う(ステップS16)。移動端末30(コンテンツ取得部305)は、ステップS16の後に、又は、ステップS13で第2音波を受信したと判断した場合に、受信された音波から抽出された識別情報により識別されるコンテンツを取得する(ステップS17)。そして、移動端末30(コンテンツ出力部306)は、取得されたコンテンツを出力する(ステップS18)。
【0057】
本実施例では、移動端末30がスピーカ装置20の周囲を通り過ぎる際に受信した音波によりコンテンツを取得している。この場合に、移動端末30は、第1音波D1を受信すれば所定の処理(復号化処理及び認証処理)を行う。また、移動端末30は、第2音波D2を受信する場合には、所定の処理を行わない。その代わり、図10の説明で述べたように、第1音波D1が受信される場合に比べて、移動端末30がコンテンツを取得する確率が高められる。
【0058】
このように、本実施例によれば、移動端末30に所定の処理を行わせることと、所定の処理を行わせない代わりにその移動端末30がコンテンツを取得する確率を高めることの両方を可能にすることができる。また、本実施例では、復号化処理や認証処理を行った結果クーポンが取得されるようになっているため、クーポンに比べて金銭上の価値や求められるセキュリティレベルが低いコンテンツである特売情報に比べて、クーポンが不正に取得されにくくなっている。
【0059】
[2]第2実施例
本発明の第2実施例について、以下、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例では、スピーカ装置20が放出する音波の種類が固定されていたが、第2実施例では、スピーカ装置が外部装置からの指示に基づいて第1音波を放出したり第2音波を放出したりする。
【0060】
図13は第2実施例に係るコンテンツ提供システム1aの全体構成を表す。コンテンツ提供システム1aは、図1に表すネットワーク2と、コンテンツ配信装置10と、移動端末30と、認証サーバ40とに加えて、スピーカ装置20aと、音波指示装置50とを備える。スピーカ装置20aは、通信回路を備え、ネットワーク2に接続されている。音波指示装置50は、スピーカ装置20aが放出する音波の種類を指示する装置であり、具体的には、スピーカ装置20aに第1音波及び前記第2音波のいずれかを放出するよう指示する。音波指示装置50は本発明の「指示装置」の一例である。
【0061】
図14は音波指示装置50のハードウェア構成を表す。音波指示装置50は、CPU51と、RAM52と、ROM53と、HDD54と、NIC55とを備えるコンピュータである。これらは図2に表されたものと同種のハードウェアである。
【0062】
図15は本実施例の各装置が実現する機能構成を表す。コンテンツ配信装置10、移動端末30及び認証サーバ40は図6に表す各部を備える。スピーカ装置20aは、図6に表す音波放出部202を備える。音波指示装置50は、音波選択部501と、認証用情報生成部502と、認証用情報送信部503と、音波データ生成部504と、音波データ送信部505とを備える。
【0063】
音波選択部501は、スピーカ装置20aに放出させる音波の種類として、第1音波及び前記第2音波のいずれかを選択する。音波選択部501は、例えばコンテンツ提供システム1aを運用するオペレータが自装置を操作するための端末を用いて音波の種類を指定してきた場合に、指定された種類の音波を選択する。また、音波選択部501は、例えば時間帯や日程によって音波の種類が決まっている場合に、時間帯や日程と音波の種類とを対応付けた音波種類テーブルを参照して、現在時刻に対応付けられている種類の音波を選択する。音波選択部501は、選択した音波の種類(第1音波又は第2音波)を認証用情報生成部502及び音波データ生成部504に供給する。
【0064】
認証用情報生成部502は、音波選択部501により第1音波が選択された場合に、上述した処理用情報として認証用情報を生成する。認証用情報生成部502は、例えば、現在の符号から決められたアルゴリズムで次の符号を生成し、それを決められた時間間隔(例えば1分毎や5分毎など)で繰り返し行うことで、その時間間隔で変化する符号を得る。認証用情報生成部502は、生成した符号を公開鍵暗号や共通鍵暗号などの周知の方法で暗号化することで、認証用情報(暗号化された符号)を生成する。認証用情報生成部502は、生成した認証用情報を認証用情報送信部503及び音波データ生成部504に供給する。
【0065】
認証用情報送信部503は、認証用情報生成部502により生成された認証用情報を認証サーバ40に送信する。認証サーバ40の認証可否判断部401は、認証用情報送信部503から送信されてきた認証用情報を復号化し、暗号化されていた符号を取得する。認証可否判断部401は、取得した符号、すなわち音波指示装置50から送信されてきた符号と、移動端末30の認証処理部342から送信されてきた符号とが一致していれば、認証を行ってよいと判断し、一致していなければ認証を行わないと判断する。
【0066】
音波データ生成部504は、音波選択部501により選択された種類の音波を表す音波データを生成する。具体的には、音波データ生成部504は、第1音波が選択された場合には、第1音波を表す第1音波データを生成し、音波選択部501により第2音波が選択された場合には、第2音波を表す第2音波データを生成する。また、音波データ生成部504は、自装置が音波の種類を指示するスピーカ装置(本実施例ではスピーカ装置20a)に割り当てられた装置IDを少なくとも表す音波データを生成する。音波データ生成部504は、予めスピーカ装置20aの装置IDを記憶しておき、その装置IDを表す音波データを生成する。音波データ生成部504は、生成した音波データを音波データ送信部505に供給する。
【0067】
音波データ送信部505は、音波データ生成部504により生成された音波データを、その音波データが表す装置IDが割り当てられたスピーカ装置(本実施例ではスピーカ装置20a)に送信する。スピーカ装置20aがこの音波データを受信すると、受信された音波データが音波放出部202に供給される。音波放出部202は、供給された音波データが表す音波を、第1実施例と同様に繰り返し放出する。従って、音波放出部202は、第1音波を表す音波データが送信されてきた場合には第1音波を放出し、第2音波を表す音波データが送信されてきた場合には第2音波を放出する。
【0068】
本実施例では、音波指示装置50が、このようにしてスピーカ装置20aが放出する音波の種類を指示する。これにより、スピーカ装置が放出する音波の種類が固定されている場合と異なり、同じスピーカ装置が放出する音波を受信する移動端末30に、第1音波を受信させて所定の処理を行わせることと、第2音波を受信させてコンテンツを取得する確率を高めることとを選択することができる。また、音波指示装置50がネットワーク2を介して音波の種類を指示することで、スピーカ装置の設置場所を訪れなくともスピーカ装置が放出する音波の種類を切り替えることができる。
【0069】
[3]変形例
上述した各実施例はそれぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、各実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0070】
[3−1]装置IDの保持
移動端末は受信した音波から識別情報(装置ID)を抽出すると、すぐにその識別情報により識別されるコンテンツを取得したが、この識別情報を保持しておいて、コンテンツの取得を後で行えるようにしてもよい。
【0071】
図16は本変形例の移動端末30bが実現する機能構成を表す。移動端末30bは、図6に表す各部に加えて識別情報記憶部307を備える。本変形例の音波解析部302は、受信された音波から抽出した情報を音波判定部303に供給するとともに、識別情報記憶部307にも供給する。識別情報記憶部307は、供給された情報に含まれる装置ID、すなわち受信された音波が表す識別情報を記憶する。識別情報記憶部307は本発明の「記憶部」の一例である。
【0072】
例えばコンテンツ取得部305がコンテンツを取得するため装置IDをコンテンツ配信装置10に送信したところ、通信エラーなどによってコンテンツが取得できない場合がある。その場合に、移動端末30bは、コンテンツの取得を再度行うための操作を受け付ける。この操作が受け付けられると、コンテンツ取得部305は、識別情報記憶部307に記憶されている装置IDを読み出し、読み出した装置IDをコンテンツ配信装置10に送信してコンテンツを取得する。つまり、コンテンツ取得部305は、識別情報記憶部307に記憶されている装置IDにより識別されるコンテンツを取得する。これにより、本変形例では、コンテンツの取得が失敗しても再度コンテンツの所得を試みることができる。
【0073】
なお、識別情報記憶部307は、常に識別情報を記憶するのではなく、必要な場合だけ識別情報を記憶し、必要ない場合は識別情報を記憶しなくてもよい。識別情報記憶部307は、例えば、音波判定部303により第1音波が受信されるとその第1音波が表す識別情報を記憶し、第2音波が受信されるとその第2音波が表す識別情報を記憶しない。この場合、音波解析部302ではなく音波判定部303が音波から抽出された情報を識別情報記憶部307に供給し、その際に判定結果(第1音波か第2音波か)を通知する。
【0074】
識別情報記憶部307は、第1音波という判定結果が通知された場合(つまり第1音波が受信された場合)には供給された抽出情報に含まれる装置IDを記憶し、第2音波という判定結果が通知された場合(つまり第2音波が受信された場合)には供給された抽出情報に含まれる装置IDを記憶せずに破棄する。なお、識別情報記憶部307は、第2音波と判定された場合に識別情報を記憶し、第1音波と判定された場合に識別情報を記憶せずに破棄してもよい。
【0075】
要するに、識別情報記憶部307は、第1音波及び第2音波のうち決められた方の音波が受信されるとその音波が表す識別情報を記憶し、他方の音波が受信されるとその音波が表す識別情報を記憶しないようにすればよい。これにより、一方の種類の音波に基づいて取得されるコンテンツは何度も取得を試みることができる一方、他方の種類の音波に基づいて取得されるコンテンツは一度しか取得を試みることができないようにすることができる。
【0076】
[3−2]コンテンツの保持
移動端末は、上記変形例の識別情報のように、コンテンツを保持してもよい。
図17は本変形例の移動端末30cが実現する機能構成を表す。移動端末30cは、図6に表す各部に加えてコンテンツ記憶部308を備える。本変形例のコンテンツ取得部305は、取得したコンテンツをコンテンツ出力部306に供給するとともにコンテンツ記憶部308にも供給する。コンテンツ記憶部308は、供給されたコンテンツ、すなわち受信された音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶する。コンテンツ記憶部308は本発明の「記憶部」の一例である。
【0077】
移動端末30cは、コンテンツ出力部306により図11に表すようにコンテンツが出力(表示)された後、ユーザの操作により表示を終了する。その後、ユーザが再びコンテンツを見たくなった場合に、移動端末30cは、コンテンツの出力を再度行うための操作(再出力の操作)を受け付ける。この再出力の操作が受け付けられると、コンテンツ出力部306は、コンテンツ記憶部308に記憶されているコンテンツを読み出して出力する。これにより、本変形例では、コンテンツの出力を繰り返し行うことができる。
【0078】
なお、コンテンツ記憶部308は、常にコンテンツを記憶するのではなく、必要な場合だけコンテンツを記憶し、必要ない場合はコンテンツを記憶しなくてもよい。コンテンツ記憶部308は、例えば、音波受信部301により第1音波が受信されるとその第1音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶し、音波受信部301により第2音波が受信されるとその第2音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶しない。この場合、音波判定部303はコンテンツ記憶部308に判定結果(第1音波か第2音波か)を通知する。
【0079】
コンテンツ記憶部308は、第1音波という判定結果が通知された場合(つまり第1音波が受信された場合)にはコンテンツ取得部305から供給されたコンテンツを記憶し、第2音波という判定結果が通知された場合(つまり第2音波が受信された場合)にはコンテンツ取得部305から供給されたコンテンツを記憶せずに破棄する。なお、コンテンツ記憶部308は、第2音波と判定された場合にコンテンツを記憶し、第1音波と判定された場合にコンテンツを記憶せずに破棄してもよい。
【0080】
要するに、コンテンツ記憶部308は、第1音波及び第2音波のうち決められた方の音波が受信されるとその音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶し、他方の音波が受信されるとその音波に基づいて取得されるコンテンツを記憶しないようにすればよい。これにより、一方の種類の音波に基づいて取得されるコンテンツは何度も出力することができる一方、他方の種類の音波に基づいて取得されるコンテンツは一度しか出力されないようにすることができる。
【0081】
[3−3]処理の中止
スピーカ装置が図9に表すように繰り返し音波を放出すると、移動端末の移動速度が遅かったり、音波の受信可能範囲で停止したりしていると、同じ音波をいくつも受信する場合がある。また、第1音波と第2音波の受信可能範囲が重なっている場合に、第1音波と第2音波が繰り返し受信される場合もある。これらの場合に、移動端末は、後から受信された音波についての処理を中止してもよい。
【0082】
図18は本変形例の移動端末30dが実現する機能構成を表す。移動端末30dは、図6に表す各部に加えて処理中止部309を備える。本変形例の音波解析部302は、音波からの情報抽出を完了すると、その旨を処理中止部309に通知する。処理中止部309は、この通知を受け取ると、抽出された情報に含まれる装置ID(つまり受信された第1音波又は第2音波のうちのいずれかの音波が表す装置ID)により識別されるコンテンツが取得されるまでは、後述する各部が行う処理を中止させる。処理中止部309は本発明の「中止部」の一例である。ここでいう「処理を中止させる」とは、処理の開始前であればその処理を開始させないようにし、処理が開始されていればその処理を途中で終了させることをいう。
【0083】
処理中止部309は、例えば、情報抽出の完了が通知された音波以外の音波が表す識別情報を得るための処理を中止させる。識別情報を得るための処理とは、例えば音波受信部301が音波を受信する処理や音波解析部302が音波を解析して識別情報を抽出する処理である。この場合、処理中止部309は、第1音波及び第2音波のどちらが受信されても処理を中止させる。処理中止部309は、これらの処理を全て中止させてもよいし、一部を中止させてもよい。
【0084】
いずれの場合も、上記のコンテンツが取得されるまでは、新たな識別情報が得られなくなる。これにより、これらの処理が中止されない場合に比べて、移動端末30dの処理の負荷が低減されるため、先に受信された音波に基づいてコンテンツを取得するための処理に割り当てられるCPUやRAMなどの資源が多くなりやすく、その結果コンテンツが取得されるまでに要する時間が短くなりやすくなる。
【0085】
また、処理中止部309は、上記の処理を中止させる代わりに、次の処理を中止させてもよい。処理中止部309は、第1音波が受信された場合に、その第1音波が表す装置IDにより識別されるコンテンツが取得されるまでは、処理部304による所定の処理(実施例であれば復号化処理及び認証処理)を中止させる。この場合も、所定の処理が中止されない場合に比べて、先に受信された第1音波に基づくコンテンツが取得されるまでに要する時間が短くなりやすくなる。
【0086】
また、処理中止部309は、第1音波が受信された場合には上記のとおり処理(識別情報を得るための処理や所定の処理)を中止するが、第2音波が受信された場合には、処理を中止しなくてもよい。これにより、例えば第2音波により提供されるコンテンツが時間の経過とともに頻繁に変化するものである場合(例えば特売品の残数を含むコンテンツなど)に、変化した新たなコンテンツが、処理を中止する場合に比べて早く提供されやすくなる。
【0087】
[3−4]コンテンツの識別情報
コンテンツを識別する識別情報として、実施例ではスピーカ装置に割り当てられた装置IDが用いられたが、これに限らない。例えばスピーカ装置が設置された店舗を表す店舗IDが用いられてもよいし、各コンテンツに割り当てられたコンテンツIDが用いられてももちろんよい。また、識別情報により識別されるコンテンツが変化してもよい。例えば同じ装置IDでも曜日によって異なるコンテンツを識別するという具合である。
【0088】
また、第2実施例において、図13等に表すスピーカ装置20aは、放出する音波が第1音波及び第2音波のいずれであっても自装置の装置IDを表す音波を放出したが、第1音波の場合と第2音波の場合で異なる装置IDを表すようにしてもよい。その場合、例えば図15に表す音波指示装置50がスピーカ装置20aに割り当てられた2つの装置IDを記憶しておき、音波データ生成部504が、第1音波が選択された場合と第2音波が選択された場合とで異なる装置IDを表す音波データを生成する。これにより、例えば第2音波を解析されてその第2音波が表す装置IDが漏洩したとしても、第1音波が表す装置IDにより識別されるコンテンツは不正に取得することができない。
【0089】
[3−5]識別情報の変化
上記の実施例や変形例ではコンテンツを識別する識別情報が固定されていたが、この識別情報を変化させてもよい。本変形例では、例えば、図15に表す音波指示装置50が、時間が経過すると新たな情報に変化して変化前の情報ではコンテンツ配信装置10がコンテンツを識別しなくなる識別情報を表す音波を放出するよう指示を行う。
【0090】
図19は放出される音波が表す装置IDの変化の一例を表す。この例では、期間E11においては「ID11」という装置IDを表す音波が放出されていることが表されている。また、期間E12、E13、E14ではそれぞれ「ID12」、「ID13」、「ID14」という装置IDを表す音波が放出されていることが表されている。例えば図15に表す音波指示装置50の音波データ生成部504は、図15に表す認証用情報生成部502が決められた時間間隔で変化する符号を得たのと同じ方法を用いて、図19に表す期間が経過する度に変化するスピーカ装置20aの装置IDを得て、その装置IDを表す音波データを生成する。
【0091】
これと同じ方法で、コンテンツ配信装置10のコンテンツ識別部101も、一定期間が経過する度に変化するスピーカ装置20の装置IDを得る。コンテンツ識別部101は、新たな装置IDを得ると、識別情報テーブルにおいて、コンテンツ(コンテンツID)に対応付けていたそれまでの装置IDを新たな装置IDに置き換える。
【0092】
図20は識別情報テーブルの変化の一例を表す。図20では、最初は「ID11」という装置IDに「クーポン(コンテンツIDが「C01」)」というコンテンツが対応付けられている。その後、「クーポン」に対応付けられる装置IDが「ID12」、「ID13」、「ID14」と順番に変化している。コンテンツ識別部101は、このように変化させた識別情報テーブルを用いてコンテンツを識別するため、変化前の装置IDが送信されてきても、コンテンツを識別しなくなる。
【0093】
本変形例では、上記のとおり識別情報を変化させることで、識別情報が固定されている場合に比べて、例えば音波を録音して後から再生した音波を受信させることでコンテンツを取得するという不正が行われにくくなる。なお、本変形例では、音波指示装置50が装置IDを変化させたが、第1実施例のスピーカ装置20が装置IDを変化させてもよい。その場合は、図6に表す音波生成部201が上記の方法で変化する自装置の装置IDを得ればよい。
【0094】
また、音波が生成されてからその音波が表す装置IDがコンテンツ配信装置10によって受信されるまでには例えば数秒程度の時間を要する。そこで、コンテンツ識別部101は、音波指示装置50やスピーカ装置20が装置IDを変化させてからその時間の分だけ遅らせて装置IDを変化させてもよい。このようにコンテンツ識別部101が装置IDを変化させるタイミングをずらすことで、このタイミングを一致させる場合に比べて、移動端末がスピーカ装置から放出された音波を受信して装置IDを送信したのにコンテンツが取得されないということが起こりにくくなる。
【0095】
[3−6]音波強度の指示
上記の実施例や変形例ではスピーカ装置が放出する音波の強度(つまり音量)を特に変化させていなかったが、この音波の強度を変化させてもよい。本変形例では、例えば、図15に表す音波指示装置50が、音波を、特定の状況に応じた強度で放出するよう指示する。特定の状況としては、例えば現在の時間帯が用いられる。音波指示装置50は、現在の時間帯と音波の強度とを対応付けた音波強度テーブルを用いてこの指示を行う。
【0096】
図21は本変形例の音波強度テーブルの一例を表す。図21の例では、「7:00〜10:00」という時間帯には「中」という音波強度が対応付けられている。また、「10:00〜17:00」及び「21:00〜7:00」という時間帯には「小」という音波強度が対応付けられ、「17:00〜21:00」という時間帯には「大」という音波強度が対応付けられている。
【0097】
これは、例えばスピーカ装置が設定されている店舗が混雑する時間帯では音波強度を「大」にすることで、音波強度が小さい場合に比べて、雑音があっても音波が受信されやすいようにして、その結果コンテンツが取得されやすいようにしている。このように、本変形例によれば、特定の状況に応じてコンテンツの配信量を調整することができる。
【0098】
なお、特定の状況はこれに限らない。例えば取得されるコンテンツ(つまり音波が表す識別情報により識別されるコンテンツ)の種類やコンテンツが取得された数、頻度が特定の状況として用いられてもよい。コンテンツの取得数及び取得頻度は、いずれも決まった期間(例えば過去の1週間や1ヶ月など)において取得された数及び頻度を意味する。これらの状況が用いられる場合の音波強度について図22を参照して説明する。
【0099】
図22は本変形例の音波強度テーブルの別の例を表す。図22(a)では、コンテンツの種類が「クーポン」の場合に音波強度が「大」であり、「特売情報」の場合に「小」であることが表されている。この場合、放出される音波の種類が同じ(例えばどちらも第1音波)であっても、クーポンの方が音波の音量が大きいためその音波が受信されやすく、コンテンツも取得されやすいようになっている。
【0100】
図22(b)では、コンテンツの取得数が「閾値Th1以上」の場合に音波強度が「大」であり、「閾値Th1未満」の場合に「小」であることが表されている。この場合、取得数が閾値Th1以上のコンテンツの方が、取得数が閾値Th1未満のコンテンツに比べて取得されやすいようになっている。
【0101】
図22(c)では、コンテンツの取得頻度が「閾値Th2以上」の場合に音波強度が「大」であり、「閾値Th2未満」の場合に「小」であることが表されている。この場合、取得数が閾値Th1以上のコンテンツの方が、取得数が閾値Th1未満のコンテンツに比べて取得されやすいようになっている。図22の各例においても、特定の状況に応じてコンテンツの配信量を調整することができる。
【0102】
なお、本変形例では、音波指示装置50が指示した音波強度で音波が放出されたが、第1実施例においてスピーカ装置20自身が音波強度を決定してもよい。その場合は、図6に表す音波放出部202が図21図22に表す音波強度テーブルを用いて特定の状況から音波強度を決定すればよい。
【0103】
[3−7]コンテンツ
コンテンツ提供システムが提供するコンテンツは上記のものに限らない。例えば、スピーカ装置の設置場所の店舗の紹介情報やその店舗で販売されている商品の紹介情報、その設置場所の周辺の案内情報などであってもよい。また、第2音波が表す識別情報により識別されるコンテンツが、第1音波が表す識別情報により識別されるコンテンツの取得方法に関する情報を表していてもよい。
【0104】
図23は本変形例で提供されるコンテンツの一例を表す。図23では、第2音波を受信して取得されたコンテンツF1が、移動端末30のタッチスクリーン36に表示されている。コンテンツF1は、「スマートフォンを持って地図の場所に行ってください。全商品20%オフのクーポンがもらえます!」という文字列F11と、現在地及び第1音波を放出するスピーカ装置20が設置された店舗Gを含む地図F12とを含む。ユーザは、コンテンツF1を参考にして店舗Gを訪れることで、移動端末30が第1音波を受信してクーポンを取得することができる。このように、コンテンツF1は、クーポンの取得方法に関する情報である。図23の例によれば、第2音波を受信した移動端末30にコンテンツF1が提供されない場合に比べて、第1音波に基づいて取得されるコンテンツが取得される確率を高めることができる。
【0105】
また、コンテンツは、ユーザの現在地を表す位置情報やユーザを導きたい場所を表す位置情報などであってもよい。
図24は本変形例の識別情報テーブルの一例を表す。図24の例では、「ID01」という装置IDに「北緯xxxxxx、東経xxxxxx」という位置情報が、「ID02」という装置IDに「北緯yyyyyy、東経yyyyyy」という位置情報が、コンテンツがそれぞれ対応付けられている。移動端末30は、このコンテンツを取得すると、例えば地図アプリのプログラムを起動して、そのプログラムにより実現される地図機能に対してコンテンツである位置情報を出力する。
【0106】
図25は本変形例で表示される画面の一例を表す。図25の例では、移動端末30のタッチスクリーン36に、現在位置と目的地とを表す地図が表示されている。この目的地は、取得された位置情報に基づいて表示されている。なお、位置情報に限らず、例えば目的地の周辺の地図をコンテンツとして提供してもよい。また、地図アプリではなく、交通機関の乗り換え方法を案内するアプリにより実現される機能に対して位置情報を出力して、目的地までの移動方法を表示させてもよい。いずれの場合も、目的地の位置を表す位置情報をコンテンツとして提供することで、ユーザをその目的地に導くことができる。
【0107】
以上のように、コンテンツとは、それ自体が文字や画像などを表していて、表示手段に出力されるとその文字や画像が表示されるものであってもよいし、特定の機能に対して出力されることで、その機能により特定の画面(例えば図25に表す目的地を含む地図の画面)を表示させるためのものであってもよい。また、コンテンツは、音で表されていてもよい。その場合、移動端末がスピーカを備えていれば、コンテンツ出力部306がそのスピーカに対してコンテンツを出力することで、コンテンツの内容がユーザに伝えられる。
【0108】
[3−8]第1音波及び第2音波
第1音波及び第2音波は実施例で述べたものに限らない。例えば図8に表す第1音波D1及び第2音波D2は種類情報を最初に表したが、種類情報を最後に表してもよい。この場合、音波を最後まで受信したところでそれが第1音波及び第2音波のいずれであるかが分かることになる。また、種類情報ではなく、音波の長さによって音波の種類が表されてもよい。その場合、例えば音波の開始と終了を表す符号が音波によって表され、音波判定部303は、それらの符号間に挟まれたデータ量が閾値以上であれば第1音波と判定し、閾値未満であれば第2音波と判定する。
【0109】
また、第1音波及び第2音波は図8に表すCRCやパディングを表していなくてもよい。要するに、第1音波及び第2音波は、コンテンツを識別する識別情報(図8の例では装置ID)を少なくとも表していればよい。また、第1音波は、識別情報に加えて処理用情報(図8の例では認証用情報)を表し、第2音波は、処理用情報を表さないものであればよい。また、第1音波は、識別情報及び処理用情報以外の情報を表してもよく、第2音波は、識別以外の情報(ただし処理用情報を除く)を表していてもよいが、第1音波は、第2音波に比べて、スピーカ装置からの放出に要する時間が長い音波であるものとする。
【0110】
[3−9]移動端末
移動端末は、実施例ではスマートフォンであったが、これに限らず、例えばタブレット端末や携帯電話機、ノートパソコンなどであってもよい。要するに、ユーザによって持ち運ばれて移動し、且つ、図6等に表す各部を実現可能な端末であればよい。
【0111】
[3−10]所定の処理
移動端末の処理部304が行う所定の処理は実施例で述べたもの(復号化処理及び認証処理)に限らない。例えば図1に表すスピーカ装置20−1が建物の入り口に設置され、スピーカ装置20−2が建物内に設置され、その建物内には、無線LAN(Local Area Network)の通信を行い且つSSID(Service Set IDentifier)が共通する複数のアクセスポイントが設置されているものとする。
【0112】
その場合に、スピーカ装置20−1が、アクセスポイントとの接続に必要な情報(SSID及び暗号化キーなど)を処理用情報として表す第1音波を放出し、移動端末30が、その処理用情報を用いてアクセスポイントと接続する処理を所定の処理として行ってもよい。この場合、スピーカ装置20−2が放出する第2音波によるコンテンツの取得がアクセスポイントを介して行われるようになる。
【0113】
また、スマートフォンで実行するゲームやSNS(Social Networking Service)のアプリ(アプリケーションプログラム)において、第1音波を受信した移動端末のグループと第2音波を受信した移動端末のグループとにグループ分けし、第1音波を受信した移動端末に所定の処理を行わせてもよい。この場合、例えば特定の設定を行う処理や特定のデータをダウンロードして実行する処理などを所定の処理として行わせることで、第1音波を受信した移動端末と第2音波を受信した移動端末との状態を異ならせる。具体的には、例えば第1音波を受信した移動端末を持つユーザが第2音波を受信した移動端末を持つユーザから逃げるというゲームを行う場合に、第1音波を受信した移動端末には第2音波を受信した移動端末の位置を表示する機能が所定の処理により追加され、逃げ回りやすくするというように利用される。
【0114】
[3−11]スピーカ装置の移動
スピーカ装置は、実施例では特定の場所に設置されたが、これに限らず、移動させてもよい。例えば、マラソンなどの競技において、ユーザが小型のスピーカ装置とウェアラブルな移動端末も装着してコースを走る。コースには移動端末と無線通信を行うマイクロフォンが設置されており、ユーザが装着したスピーカ装置から放出される音波を受信して、同じくユーザが装着した移動端末に音波データを供給する。移動端末はその音波データが表す音波を受信すると、それに基づいてコンテンツを取得する。スピーカ装置は例えば第1音波と第2音波を交互に放出する。これにより、ユーザの移動速度が速い場所では第2音波に基づくコンテンツしか取得されないが、給水所などのユーザの移動速度が遅くなる場所では第1音波に基づくコンテンツも取得される。このように、移動端末だけでなくスピーカ装置が移動していても、コンテンツをユーザに提供することができる。
【0115】
[3−12]音波指示装置
第2実施例で述べた音波指示装置50が備える各機能をスピーカ装置が備えていてもよい。
図26は本変形例に係るコンテンツ提供システム1eの全体構成を表す。コンテンツ提供システム1eは、図1に表すネットワーク2と、コンテンツ配信装置10と、移動端末30と、認証サーバ40とに加えて、スピーカ装置20eを備える。スピーカ装置20eは、図6に表す音波放出部202と、音波指示部50eとを備える。音波指示部50eは、図15に表す音波指示装置50が備える各部を実現し、スピーカ装置20eが放出する音波の種類として、第1音波及び前記第2音波のいずれかを放出するよう指示する。音波指示部50eは本発明の「指示装置」の一例である。本変形例によれば、放出する音波の種類の指示の他、上述した変形例の識別情報の変化や音波強度の指示をスピーカ装置自身に行わせることができる。
【0116】
[3−13]発明のカテゴリ
本発明は、移動端末、スピーカ装置、認証サーバ、コンテンツ配信装置(配信装置)、放音指示装置(指示装置)の他に、それらの装置を備えるコンテンツ提供システムとしても捉えられる。また、本発明は、それらの装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…コンテンツ提供システム、2…ネットワーク、10…コンテンツ配信装置、20…スピーカ装置、30…移動端末、40…認証サーバ、50…音波指示装置、101…コンテンツ識別部、102…コンテンツ送信部、201…音波生成部、202…音波放出部、203、502…認証用情報生成部、301…音波受信部、302…音波解析部、303…音波判定部、304…処理部、341…復号化処理部、342…認証処理部、305…コンテンツ取得部、306…コンテンツ出力部、307…識別情報記憶部、308…コンテンツ記憶部、309…処理中止部、401…認証可否判断部、501…音波選択部、503…認証用情報送信部、504…音波データ生成部、505…音波データ送信部
図1
図2
図3
図4
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図6
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