特許第6619237号(P6619237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6619237ノズルボックス及びこれを備える蒸気タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619237
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ノズルボックス及びこれを備える蒸気タービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20191202BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   F01D9/02 104
   F01D9/04
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-5484(P2016-5484)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-125461(P2017-125461A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三菱日立パワーシステムズ株式会社(神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号)から取引先へ納入した。(販売日:平成27年11月23日)。
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】早坂 徳明
(72)【発明者】
【氏名】永山 敬一
(72)【発明者】
【氏名】花田 敦
(72)【発明者】
【氏名】榊 明弘
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 誠司
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−149701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0044536(US,A1)
【文献】 実開平05−012602(JP,U)
【文献】 実開昭58−165203(JP,U)
【文献】 特開平09−060633(JP,A)
【文献】 特開昭57−070903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0241544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/00− 9/06,
25/24−25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンに用いられるノズルボックスであって、
タービンロータの周方向に配列される複数のノズル翼と、
前記周方向に延在するとともに前記複数のノズル翼を保持するノズル翼保持部を含むノズルフレームと、
を備え、
前記複数のノズル翼の各々は、前記周方向に隣接する前記ノズル翼に当接可能な状態で前記ノズル翼保持部に保持されており、
前記ノズル翼保持部は、前記タービンロータの径方向に延在する少なくとも一つのピン穴を有し、
前記ノズルボックスは、前記ピン穴に挿通されるとともに、前記ノズル翼の前記径方向の側面に当接する少なくとも一つのストッパーピンを更に備える、ノズルボックス。
【請求項2】
前記ノズル翼保持部は、前記周方向に延在するとともに前記タービンロータの径方向における内側に凹となる内側溝部と、前記周方向に延在するとともに前記の径方向における外側に凹となる外側溝部と、を含み、
前記ノズル翼の各々は、
翼部と、
前記径方向において前記翼部の内側に設けられた内側スペーサ部であって、隣接するノズル翼の内側スペーサ部に当接する内側スペーサ部と、
前記径方向において前記翼部の外側に設けられた外側スペーサ部であって、隣接するノズル翼の外側スペーサ部に当接する外側スペーサ部と、
を含み、
前記内側スペーサ部は、前記内側溝部に係合するように前記径方向における内側に突出する内側突出部を有し、
前記外側スペーサ部は、前記外側溝部に係合するように前記径方向における外側に突出する外側突出部を有する、請求項1に記載のノズルボックス。
【請求項3】
前記ストッパーピンは、前記径方向における前記内側スペーサ部の前記内側の側面のうち、前記径方向における前記内側突出部の内側の側面に当接する、請求項2に記載のノズルボックス。
【請求項4】
前記径方向における前記内側スペーサ部の内側の側面には、前記ストッパーピンの先端部が挿入される挿入穴が形成されており、
前記ストッパーピンの先端部は、前記挿入穴の内面に当接する、請求項2又は3に記載のノズルボックス。
【請求項5】
前記ストッパーピンは、前記径方向における前記外側スペーサ部の前記外側の側面のうち、前記径方向における前記外側突出部の外側の側面に当接する、請求項2に記載のノズルボックス。
【請求項6】
前記径方向における前記外側スペーサ部の外側の側面には、前記ストッパーピンの先端部が挿入される挿入穴が形成されており、
前記ストッパーピンの先端部は、前記挿入穴の内面に当接する、請求項2又は5に記載のノズルボックス。
【請求項7】
前記少なくとも一つのストッパーピンは、前記周方向に間隔を空けて設けられた複数のストッパーピンを含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載のノズルボックス。
【請求項8】
前記複数のストッパーピンの前記周方向におけるピッチは、前記複数のノズル翼の前記周方向におけるピッチよりも大きい、請求項7に記載のノズルボックス。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のノズルボックスと、
前記ノズル翼を通過した蒸気によって回転するよう構成されたタービンロータと、
を備える蒸気タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はノズルボックス及びこれを備える蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蒸気タービンにおける蒸気入口部にはノズルボックスが設けられている。タービン内に導入された高温高圧の蒸気は、ノズルボックスからタービンロータの動翼へ噴出されて、タービンロータに回転力が付与される。
【0003】
特許文献1には、蒸気タービンの性能劣化および信頼性低下を引き起こすボイラースケールによる固体粒子エロージョンを防止することを目的とした蒸気タービンのノズルボックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−77125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズルボックスが備えるノズル翼の各々には、翼間流路を流れる蒸気によって負圧面側への揚力が生じる。このため、ノズル翼の各々が周方向に隣接するノズル翼に当接可能な状態でノズルボックスのフレームに保持されている場合、上記揚力に起因する荷重が、図9の矢印d0に示すように、負圧面側に隣接するノズル翼へ伝達されていき、一端側のノズル翼(矢印d0方向における下流端及び下流端付近のノズル翼、例えば図中の範囲Aのノズル翼)に荷重が集中して該ノズル翼に大きな応力が生じてしまうこととなる。
【0006】
このため、強度が足りずに一端側のノズル翼が破損した場合には、例えば、破損したノズル翼の位置が隣接するノズル翼に沿って蒸気流れ方向における下流側へずれてしまう浮き上がり現象が生じることがある。
【0007】
この点、特許文献1には、上述したような一端側のノズル翼への荷重の集中について、課題を解決するための知見は何ら開示されておらず、かかる課題すら開示されていない。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、一端側のノズル翼への荷重集中を抑制可能なノズルボックス及びこれを備える蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るノズルボックスは、蒸気タービンに用いられるノズルボックスであって、タービンロータの周方向に配列される複数のノズル翼と、前記周方向に延在するとともに前記複数のノズル翼を保持するノズル翼保持部を含むノズルフレームと、を備え、前記複数のノズル翼の各々は、前記周方向に隣接する前記ノズル翼に当接可能な状態で前記ノズル翼保持部に保持されており、前記ノズル翼保持部は、前記タービンロータの径方向に沿って延在する少なくとも一つのピン穴を有し、前記ノズルボックスは、前記ピン穴に挿通されるとともに、前記ノズル翼の前記径方向の側面に当接する少なくとも一つのストッパーピンを更に備える。
【0010】
上記(1)に記載ノズルボックスでは、ノズルフレームのノズル翼保持部にタービンロータの径方向に沿ってピン穴が設けられており、該ピン穴に挿通されたストッパーピンがノズル翼の径方向の側面に当接している。このため、ノズル翼に生じる揚力に起因してノズル翼から負圧面側へ隣接するノズル翼へ伝達される荷重を、ノズル翼を通過する蒸気流れを妨げることなく、ストッパーピンによって受けることができる。これにより、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼への荷重集中を抑制することができる。したがって、一端側のノズル翼に生じる応力を低減し、ノズル翼の破損を抑制することができる。
【0011】
なお、上記(1)における「前記ノズル翼の前記径方向の側面」との文言は、後述する「発明を実施するための形態」の欄に記載する「径方向におけるノズル翼4の内側の側面18」に対応していてもよいし、「径方向におけるノズル翼4の外側の側面42」に対応していてもよい。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のノズルボックスにおいて、前記ノズル翼保持部は、前記周方向に延在するとともに前記タービンロータの径方向における内側に凹となる内側溝部と、前記周方向に延在するとともに前記の径方向における外側に凹となる外側溝部と、を含み、前記ノズル翼の各々は、翼部と、前記径方向において前記翼部の内側に設けられた内側スペーサ部であって、隣接するノズル翼の内側スペーサ部に当接する内側スペーサ部と、前記径方向において前記翼部の外側に設けられた外側スペーサ部であって、隣接するノズル翼の外側スペーサ部に当接する外側スペーサ部と、を含み、前記内側スペーサ部は、前記内側溝部に係合するように前記径方向における内側に突出する内側突出部を有し、前記外側スペーサ部は、前記外側溝部に係合するように前記径方向における外側に突出する外側突出部を有する。
【0013】
上記(2)に係るノズルボックスは、隣接する内側スペーサ部同士及び隣接する外側スペーサ部同士が当接した状態で、翼部の間に蒸気通路(翼間流路)が形成される。かかる構成は、一般に、ノズル翼保持部によって形成されるノズル翼保持空間に一端側から複数のノズル翼が順次挿入することで組み立てられる。また、ノズル翼における内側突出部が内側溝部に係合するとともに外側突出部が外側溝部に係合するようにノズル翼をノズル翼保持空間に挿入することにより、ノズルボックスの組み立て後において、内側突出部と外側突出部とは、ノズル翼保持部からの軸方向へのノズル翼の抜け出しを防止する抜け止め部として機能する。したがって、ノズル翼の各々をノズル翼保持部に溶接等により固着させなくとも、ノズル翼をノズル翼保持部によって保持することができる。また、ノズル翼保持部からの周方向へのノズル翼の抜け出しは、例えば複数のノズル翼のうち端部のノズル翼のみを溶接等によりノズル翼保持部に固定することで防止することができる。
【0014】
かかる構成において、上記ストッパーピンが設けられていない場合、ノズル翼が蒸気によって受けた負圧面側への力は、負圧面側に隣接するノズル翼へ内側スペーサ部及び外側スペーサ部を介して伝達されていき、一端側のノズル翼に荷重が集中して該ノズル翼に大きな応力が生じてしまうこととなる。
【0015】
これに対し、上記のようにノズル翼の径方向の側面に当接する少なくとも一つのストッパーピンを設けることにより、上記(2)に記載の構成においても、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼への荷重集中を抑制することができる。したがって、一端側のノズル翼に生じる応力を低減し、ノズル翼の破損を抑制することができる。
【0016】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のノズルボックスにおいて、前記ストッパーピンは、前記径方向における前記内側スペーサ部の前記内側の側面のうち、前記径方向における前記内側突出部の内側の側面に当接する。
【0017】
上記(2)に記載のノズルボックスにおいて、径方向における内側スペーサ部の肉厚は、内側突出部の位置で他の位置と比較して大きくなりやすい。このため、上記(3)に記載のように、内側スペーサ部の内側の側面のうち、内側突出部の内側の側面にストッパーピンを当接させることにより、ノズル翼の重心位置又は重心に近い位置にストッパーピンを当接させることが可能となり、揚力に起因する周方向へのノズル翼の荷重を効果的にストッパーピンで受けることができる。したがって、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果を高めて、一端側のノズル翼への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0018】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載のノズルボックスにおいて、前記径方向における前記内側スペーサ部の内側の側面には、前記ストッパーピンの先端部が挿入される挿入穴が形成されており、前記ストッパーピンの先端部は、前記挿入穴の内面に当接する。
【0019】
上記(4)に記載のノズルボックスによれば、ストッパーピンの先端部が内側スペーサ部の内側の側面に形成された挿入穴に挿入されることにより、揚力に起因する周方向へのノズル翼の荷重をより効果的にストッパーピンで受けることができる。したがって、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果を高めて、一端側のノズル翼への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0020】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のノズルボックスにおいて、前記ストッパーピンは、前記径方向における前記外側スペーサ部の前記外側の側面のうち、前記径方向における前記外側凸部の外側の側面に当接する。
【0021】
上記(2)に記載のノズルボックスにおいて、径方向における外側スペーサ部の肉厚は、外側突出部の位置で他の位置と比較して大きくなりやすい。このため、上記(5)に記載のように、外側スペーサ部の外側の側面のうち、外側突出部の外側の側面にストッパーピンを当接させることにより、ノズル翼の重心位置又は重心に近い位置にストッパーピンを当接させることが可能となり、揚力に起因する周方向へのノズル翼の荷重を効果的にストッパーピンで受けることができる。したがって、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果を高めて、一端側のノズル翼への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0022】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(5)に記載のノズルボックスにおいて、前記径方向における前記外側スペーサ部の外側の側面には、前記ストッパーピンの先端部が挿入される挿入穴が形成されており、前記ストッパーピンの先端部は、前記挿入穴の内面に当接する。
【0023】
上記(6)に記載のノズルボックスによれば、ストッパーピンの先端部が外側スペーサ部の外側の側面に形成された挿入穴に挿入されることにより、揚力に起因する周方向へのノズル翼の荷重をより効果的にストッパーピンで受けることができる。したがって、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果を高めて、一端側のノズル翼への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0024】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載のノズルボックスにおいて、前記少なくとも一つのストッパーピンは、前記周方向に間隔を空けて設けられた複数のストッパーピンを含む。
【0025】
上記(7)に記載のノズルボックスによれば、周方向に間隔を空けて設けられた複数のストッパーピンを含むため、揚力に起因する周方向へのノズル翼の荷重を複数のストッパーピンで受けることができる。このため、ノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果をさらに高めることができる。
【0026】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載のノズルボックスにおいて、前記複数のストッパーピンの前記周方向におけるピッチは、前記複数のノズル翼の前記周方向におけるピッチよりも大きい。
【0027】
上記(8)に記載のノズルボックスによれば、ストッパーピンを一つのみ設ける場合と比較してノズル翼保持部に保持される複数のノズル翼にかかる荷重を分散させる効果を高めつつ、ノズル翼の数と同数のストッパーピンを設ける場合(ノズル翼の各々に対してストッパーピンを当接させる場合)と比較して構成を簡素化することができる。
【0028】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気タービンは、上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のノズルボックスと、前記ノズル翼を通過した蒸気によって回転するよう構成されたタービンロータと、を備える。
【0029】
上記(9)に記載の蒸気タービンによれば、上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のノズルボックスを備えているため、ノズル翼の破損を抑制することができ、蒸気タービンの安定した運転状態を実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、一端側のノズル翼への荷重集中を抑制可能なノズルボックス及びこれを備える蒸気タービンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態に係る蒸気タービン100の概略断面図である。
図2】一実施形態に係るノズルボックス2の概略斜視図である。
図3図2における範囲Aの複数のノズル翼4の拡大図である。
図4】ノズル翼4の形状例を示す概略斜視図である。
図5】ノズルボックス2の組立方法を説明するための図である。
図6】一実施形態に係る蒸気タービン100の概略断面図である。
図7】一実施形態に係る蒸気タービン100の概略断面図である。
図8】一実施形態に係る蒸気タービン100の概略断面図である。
図9】ノズルボックスにおけるノズル翼の荷重の伝達方向を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」「一致」等の相対的な配置関係を表す表現は、厳密にそのような相対的配置関係を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0033】
図1は、一実施形態に係る蒸気タービン100の概略断面図である。図1に示すように、蒸気タービン100は、複数のノズル翼4(調速段静翼)を備えるノズルボックス2と、複数のノズル翼4を通過した蒸気によって回転するよう構成されたタービンロータ6と、を備える。ノズル翼4を通過した蒸気は、タービンロータ6の調速段動翼7に吹き付けられる。
【0034】
図2は、一実施形態に係るノズルボックス2の概略斜視図である。図3は、図2における範囲Aの複数のノズル翼4の拡大図である。図4は、ノズル翼4の形状例を示す概略斜視図である。
【0035】
図1又は図2に示すように、ノズルボックス2は、タービンロータ6の周方向(以下、単に「周方向」という。)に所定の角度範囲に亘って配列される複数のノズル翼4と、ノズルフレーム8とを含む。
【0036】
図1又は図2に示すように、ノズルフレーム8は、周方向に延在するとともに複数のノズル翼4を保持するノズル翼保持部10と、複数のノズル翼4に蒸気を導くための蒸気通路12を形成する蒸気通路形成部14と、を含む。
【0037】
図2図4の少なくとも一図に示すように、複数のノズル翼4の各々は、互いに別体で構成されるとともに、周方向に隣接するノズル翼4に当接した状態でノズル翼保持部10に保持されている。
【0038】
図1図4の少なくとも一図に示すように、ノズル翼4の各々は、翼部25と、タービンロータ6の径方向(以下、単に「径方向」という。)において翼部25の内側に設けられた内側スペーサ部26と、径方向において翼部25の外側に設けられた外側スペーサ部28と、を含む。
【0039】
図示する形態では、内側スペーサ部26及び外側スペーサ部28の各々は、翼部25の負圧面30(図3及び図4参照)側に隣接するノズル翼4の方向へ負圧面30よりも突出するように設けられている。これにより、内側スペーサ部26と、隣接するノズル翼4の内側スペーサ部26とが当接するとともに、外側スペーサ部28と、隣接するノズル翼4の外側スペーサ部28とが当接した状態において、互いに隣接する翼部25の間に翼間流路32が形成されている。
【0040】
図1及び図2に示すように、ノズル翼保持部10は、周方向に延在するとともに径方向における内側に凹となる内側溝部22と、周方向に延在するとともに径方向における外側に凹となる外側溝部24と、を含む。
【0041】
図1図4の少なくとも一図に示すように、内側スペーサ部26は、蒸気流れ方向d1における該内側スペーサ部26の上流端位置に、内側溝部22に係合するように径方向における内側に突出する内側突出部34を有する。また、外側スペーサ部28は、蒸気流れ方向d1における該外側スペーサ部28の上流端位置に、外側溝部24に係合するように径方向における外側に突出する外側突出部36を有する。
【0042】
かかるノズルボックス2は、ノズル翼保持部10によって形成されるノズル翼保持空間38(図1及び図5参照)に一端側から複数のノズル翼4が図5の矢印d2に示すように順次挿入されることで組み立てられる。また、ノズル翼4における内側突出部34が内側溝部22に係合するとともに外側突出部36が外側溝部24に係合するようにノズル翼4をノズル翼保持空間38に挿入することにより、ノズルボックス2の組み立て後において、内側突出部34と外側突出部36とは、ノズル翼保持部10からの軸方向へのノズル翼4の抜け出しを防止する抜け止め部として機能する。したがって、ノズル翼4の各々をノズル翼保持部10に溶接等により固着させなくとも、ノズル翼4をノズル翼保持部10によって保持することができる。また、ノズル翼保持部10からの周方向へのノズル翼4の抜け出しは、図2において例えば複数のノズル翼4のうち端のノズル翼4(4e)のみを溶接等によりノズル翼保持部10に固定することで防止することができる。
【0043】
図1及び図5に示すように、ノズル翼保持部10は、径方向におけるノズル翼4の内側に、径方向に延在する少なくとも一つのピン穴16(図示する形態では周方向に間隔を空けて設けられた複数のピン穴16)を有している。また、図1又は図2に示すように、ノズルボックス2は、ピン穴16に挿通されるとともに、周方向へのノズル翼4の移動を妨げるように径方向におけるノズル翼4の内側の側面18に当接する少なくとも一つのストッパーピン20(図示する形態では周方向に間隔を空けて設けられた複数のストッパーピン20)を備える。
【0044】
かかる構成によれば、ノズル翼4に生じる揚力に起因してノズル翼4から負圧面30側へ隣接するノズル翼4へ伝達される荷重を、ノズル翼4を通過する蒸気流れを妨げることなく、ストッパーピン20によって受けることができる。これにより、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼4への荷重集中を抑制することができる。したがって、一端側のノズル翼4に生じる応力を低減し、ノズル翼4の破損を抑制することができる。
【0045】
なお、図示する形態では、ストッパーピン20は円柱状の部材であり、ストッパーピン20の直径は、内側突出部34の内側の側面18aの軸方向長さL(図4参照)より小さい。ストッパーピン20は、ノズル翼保持部10のピン穴16に対して、冷やし嵌め、焼き嵌め、圧入、螺子止め若しくは溶接、又はこれらの組み合わせ(例えば冷やし嵌めと溶接との組み合わせや、螺子止めと溶接の組み合わせ等)によって固定される。
【0046】
一実施形態では、図1又は図4に示すように、ストッパーピン20は、径方向における内側スペーサ部26の内側の側面18のうち、径方向における内側突出部34の内側の側面18aに当接する。
【0047】
径方向における内側スペーサ部26の肉厚は、内側突出部34の位置で他の位置と比較して大きくなりやすい。このため、上記のように、内側スペーサ部26の内側の側面18のうち、内側突出部34の内側の側面18aにストッパーピン20を当接させることにより、ノズル翼4の重心位置又は重心に近い位置にストッパーピン20を当接させることが可能となり、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重を効果的にストッパーピン20で受けることができる。したがって、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させる効果を高めて、揚力に起因する一端側のノズル翼4への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0048】
一実施形態では、図1又は図4に示すように、径方向における内側スペーサ部26の内側の側面18には、ストッパーピン20の先端部aが挿入される挿入穴40が形成されており、ストッパーピン20の先端部20aは、挿入穴40の内面40a(挿入穴40の内周面及び底面の少なくとも一方)に当接する。
【0049】
かかる構成によれば、ストッパーピン20の先端部20aが内側スペーサ部26の内側の側面18に形成された挿入穴40の内面4aに当接することにより、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重をより効果的にストッパーピン20で受けることができる。
【0050】
一実施形態では、図1に示すように、ストッパーピン20の先端部20aは挿入穴40に嵌合されている。これにより、ストッパーピン20の先端部20aと挿入穴40の内面40aとが当接した状態を維持することが可能となるため、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重をより効果的にストッパーピン20で受けることができる。
【0051】
一実施形態では、図2に示すように、複数のストッパーピン20の周方向における配列ピッチPpは、複数のノズル翼4の周方向における配列ピッチPbよりも大きい。
【0052】
かかる構成によれば、ノズルボックス2がストッパーピン20を一つのみ有する場合と比較してノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させる効果を高めつつ、ノズル翼4の数と同数のストッパーピン20を設ける場合(ノズル翼4の各々に対してストッパーピン20を当接させる場合)と比較して構成を簡素化することができる。
【0053】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0054】
例えば、上述した形態では、径方向における内側スペーサ部26の内側の側面18に当接するストッパーピン20を備える形態を例示した。しかしながら、本発明はかかる形態に限定されず、例えば図6に示すように、ノズルボックス2は、周方向へのノズル翼4の移動を妨げるように径方向における外側スペーサ部28の外側の側面42に当接する少なくとも一つのストッパーピン44を備えていてもよい。この場合、ノズル翼保持部10は、径方向におけるノズル翼4の外側に、径方向に延在する少なくとも一つのピン穴46を有しており、ストッパーピン44は、ピン穴46に挿通されるとともに上記側面42に当接するように設けられる。なお、この場合、ノズルボックス2は、ストッパーピン20とともにストッパーピン44を備えていてもよいし、ストッパーピン20に替えてストッパーピン44を備えていてもよい。
【0055】
かかる構成によっても、ノズル翼4に生じる揚力に起因してノズル翼4から負圧面30側へ隣接するノズル翼4へ伝達される荷重を、ノズル翼4を通過する蒸気流れを妨げることなく、ストッパーピン44によって受けることができる。これにより、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼4への荷重集中を抑制することができる。したがって、一端側のノズル翼4に生じる応力を低減し、ノズル翼4の破損を抑制することができる。
【0056】
一実施形態では、図6に示すように、ストッパーピン44は、径方向における外側スペーサ部28の外側の側面42のうち、径方向における外突出部36の外側の側面42aに当接する。
【0057】
径方向における外側スペーサ部28の肉厚は、外側突出部36の位置で他の位置と比較して大きくなりやすい。このため、上記のように、外側スペーサ部28の外側の側面42のうち、外側突出部36の外側の側面42aにストッパーピン44を当接させることにより、ノズル翼4の重心位置又は重心に近い位置にストッパーピン44を当接させることが可能となり、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重を効果的にストッパーピン44で受けることができる。したがって、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させる効果を高めて、一端側のノズル翼4への荷重集中を効果的に抑制することができる。
【0058】
一実施形態では、図6に示すように、径方向における外側スペーサ部28の外側の側面42には、ストッパーピン44の先端部44aが挿入される挿入穴48が形成されており、ストッパーピン44の先端部44aは、挿入穴48の内面48a(内周面及び底面の少なくとも一方)に当接する。
【0059】
かかる構成によれば、ストッパーピン44の先端部44aが外側スペーサ部28の外側の側面42に形成された挿入穴48の内面48aに当接することにより、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重をより効果的にストッパーピン44で受けることができる。
【0060】
一実施形態では、図6に示すように、ストッパーピン44の先端部44aは挿入穴48に嵌合されている。これにより、ストッパーピン44の先端部44aと挿入穴48の内面48aとが当接した状態を維持することが可能となるため、揚力に起因する周方向へのノズル翼4の荷重をより効果的にストッパーピン44で受けることができる。
【0061】
なお、図1等に示した形態では、径方向における内側スペーサ部26の内側の側面18に挿入穴40が形成されている形態を例示した。ただし、本発明はかかる形態に限定されず、例えば図7に示すように、径方向における内側スペーサ部26の内側の側面18には、挿入穴40が形成されていなくともよい。
【0062】
この場合においても、ストッパーピン20の先端部20aを内側スペーサ部の側面18にある程度の押圧力を持って当接させれば、内側スペーサ部26の内側の側面18に作用する摩擦力及び外側スペーサ部28の外側の側面42に作用する摩擦力によって、周方向へのノズル翼4の移動を妨げることができる。これにより、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼4への荷重集中を抑制することができる。
【0063】
また、図6に示した形態では、径方向における外側スペーサ部28の外側の側面42に挿入穴48が形成されている形態を例示した。ただし、本発明はかかる形態に限定されず、例えば図8に示すように、径方向における外側スペーサ部28の外側の側面42には、挿入穴48が形成されていなくともよい。
【0064】
この場合においても、ストッパーピン44の先端部44aを外側スペーサ部28の側面42にある程度の押圧力を持って当接させれば、内側スペーサ部26の内側の側面18に作用する摩擦力及び外側スペーサ部28の外側の側面42に作用する摩擦力によって、周方向へのノズル翼4の移動を妨げることができる。これにより、ノズル翼保持部10に保持される複数のノズル翼4にかかる荷重を分散させて、一端側のノズル翼4への荷重集中を抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
2 ノズルボックス
4 ノズル翼
6 タービンロータ
7 調速段動翼
8 ノズルフレーム
10 ノズル翼保持部
12 蒸気通路
14 蒸気通路形成部
16 ピン穴
18,18a 側面
20 ストッパーピン
20a 先端部
22 内側溝部
24 外側溝部
25 翼部
26 内側スペーサ部
28 外側スペーサ部
30 負圧面
32 翼間流路
34 内側突出部
36 外側突出部
38 ノズル翼保持空間
40 挿入穴
40a 内面
42 側面
42a 側面
44 ストッパーピン
44a先端部
46 ピン穴
48 挿入穴
48a 内面
100 蒸気タービン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9