【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における巻き取り装置の構成を示す概略正面図である。
図1において、巻取り装置1は、プリンタ3で印刷されたラベルロール紙2を巻き取るものである。プリンタ3で印刷されたラベルロール紙2は、プリンタ3の排出口から排出されて図中矢印Aが示すラベルロール紙搬送方向に搬送され、巻取り装置1でロール状に巻き取られる。巻取り装置1は、ラベルロール紙2を巻き取る際、巻き取る前にカス部をラベルロール紙2の台紙から剥がして巻き取るカス上げ動作を行う。
【0010】
ここで、ラベルロール紙2は、台紙に、プリンタ3で文字や画像が印刷されるラベル部と、プリンタ3で文字や画像が印刷されることなく不要となるカス部とが剥離可能に貼付されたものである。
巻取り装置1は、テンションバー4と、アイドルローラ5と、巻取りローラ6と、剥離バー7と、カス上げ部8と、テンションバーガイド9と、テンションバーセンサ10とを有している。
【0011】
巻取り装置1は、プリンタ3の排出口から排出されたラベルロール紙2を上下方向に移動可能なテンションバー4に当接させ、回転可能なアイドルローラ5を経由して巻取りローラ6でロール状に巻き取る。また、巻取り装置1は、剥離バー7でラベルロール紙2から剥離されたカス部をカス上げ部8で巻き取る。
テンションバー4は、図中矢印Bが示す上下方向に移動可能に構成され、また回転可能なローラが取り付けられたものである。この
テンションバー4のローラは、プリンタ3の排出口とアイドルローラ5との間に配置され、プリンタ3の排出口から排出されたラベルロール紙2の上面に接触するように配設されている。
【0012】
アイドルローラ5は、ラベルロール紙搬送方向におけるテンションバー4の下流に配置され、ラベルロール紙2の下面に接触し、ラベルロール紙2を案内するものである。アイドルローラ5の表面には、高摩擦部材が巻き付けられており、またアイドルローラ5の回転軸上もしくはギヤの連結部にトルクリミッタが設けられ、アイドルローラ5の回転に対して一定の負荷を付与することができるようになっている。そのため、アイドルローラ5と巻取りローラ6との間のラベルロール紙2に対して一定の張力を付与することが可能になり、巻取りローラ6で巻き取られるラベルロール紙2の巻取り硬さを均一にすることができる。
【0013】
第1のローラとしての巻取りローラ6は、ラベルロール紙搬送方向におけるアイドルローラ5の下流に配置され、プリンタ3の排出口から排出されたラベルロール紙2を、テンションバー4およびアイドルローラ5を介してロール状に巻き取るものである。巻取りローラ6は、駆動源としての
図3に示す巻取りローラモータ15の駆動がギヤ連結部により伝達されて図中矢印Cが示す方向に回転し、ラベルロール紙2をロール状に巻き取る。
【0014】
剥離バー7は、ラベルロール紙搬送方向におけるアイドルローラ5とラベルロール紙2との接触部の下流側に配置され、回転可能なバーである。剥離バー7は、ラベルロール紙2のカス部を台紙から剥離するものであり、カス部が剥離バー7の表面上を走行する際にはカス部に合わせて回転する。
【0015】
カス上げ部8は、剥離バー7でラベルロール紙2から剥離されたカス部をロール状に巻き取るものである。カス上げ部8は、駆動源としての巻取りローラモータの駆動により図中矢印Dが示す方向に回転し、ラベルロール紙2から剥離されたカス部を巻き取る。
テンションバーガイド9は、テンションバー4を上下方向に摺動可能に案内するものである。
【0016】
テンションバーガイド9に案内されて上下方向に移動可能なテンションバー4は、プリンタ3と巻取りローラ6との間でラベルロール紙2に弛みを生成し、ラベルロール紙2およびカス部の巻取りタイミングを生成する。また、テンションバー4は、ラベルロール紙2の上面に置かれ自重によりラベルロール紙2に対して適度な張力を与える。
【0017】
テンションバーセンサ10は、テンションバーガイド9のテンションバー4が移動可能な範囲に複数配置され、テンションバー4の位置を検知するものである。テンションバーセンサ10で最下に位置したテンションバー4を検知したとき、巻取りローラ6によるラベルロール紙2の巻取り、およびカス上げ部8によるカス部の巻取りを開始し、テンションバーセンサ10で最上に位置したテンションバー4を検知したとき、巻取りローラ6によるラベルロール紙2の巻取り、およびカス上げ部8によるカス部の巻取りを停止する。
【0018】
図2は第1の実施例におけるカス上げ部の構成を示す斜視図である。
図2において、カス上げ部8は、カス上げローラ16と、カス上げローラモータ17と、トルクリミッタ18と、スリット板19と、スリットセンサ20とを有している。
第2のローラとしてのカス上げローラ16は、ラベルロール紙から剥離されたカス部を巻き取るローラである。
駆動手段としてのカス上げローラモータ17は、カス上げローラ16を駆動するモータであり、その駆動がギヤ連結部によりカス上げローラ16の回転軸に伝達されてカス上げローラ16を回転させる。
【0019】
駆動伝達制御手段としてのトルクリミッタ18は、カス上げローラ16とカス上げローラモータ17との間のギヤ連結部に設けられ、カス上げローラ16に所定以上の負荷がかかるとカス上げローラモータ17の駆動がカス上げローラ16に伝達されないようにするものである。カス上げローラ16に一定以上の負荷がかかると、トルクリミッタ18はカス上げローラモータ17の駆動がカス上げローラ16に伝達されず滑るようになっているため、巻き取るカス部に対して常に一定の張力を付与しながらカス上げローラ16によるカス部の巻き上げが可能になる。
【0020】
このように、トルクリミッタ18は、カス上げローラ16に所定未満の負荷がかかっている場合、カス上げローラモータ17の駆動をカス上げローラ16に伝達し、カス上げローラ16に所定以上の負荷がかかる場合、カス上げローラモータ17の駆動を遮断し、カス上げローラ16に伝達しないように制御する。
スリット板19は、カス上げローラ16の回転軸に取り付けられ、カス上げローラ16の回転軸の回転とともに回転する円板状のものである。スリット板19には、周方向に一定の間隔を保持して貫通孔が形成されている。
【0021】
検知手段としてのスリットセンサ20(20a、20b)は、回転するスリット板19の貫通孔を検知してスリット板19、すなわちカス上げローラ16の回転軸の回転、停止、および回転速度等の回転状態を検知する透過型光学式センサである。スリットセンサ20(20a、20b)は、スリット板19を挟んで発光部と受光部とが対向配置され、回転するスリット板19の貫通孔を検知してスリット板19の回転状態を検知する。スリットセンサ20aと、スリットセンサ20bとは、位相が90度ずれるように配置されており、それぞれの出力信号によりカス上げローラ16の回転方向を検知することができるようになっている。
【0022】
図3は第1の実施例における巻き取り装置の制御構成を示すブロック図である。
図3において、巻取り装置1は、制御部14と、テンションバーセンサ10と、スリットセンサ20と、巻取りローラモータ15と、カス上げローラモータ17とを有している。
【0023】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備え、メモリ等の記憶部に格納された制御プログラムに基づいて巻取り装置1全体の動作を制御するものである。
制御部14は、テンションバーセンサ10およびスリットセンサ20と接続され、テンションバーセンサ10およびスリットセンサ20の出力信号を入力することができるようになっている。
【0024】
また、制御部14は、巻取りローラモータ15およびカス上げローラモータ17と接続され、制御信号を巻取りローラモータ15およびカス上げローラモータ17に出力することにより、それぞれの回転の駆動および停止を制御することができるようになっている。
本実施例では、制御部14は、スリットセンサ20で検知した
図2に示すカス上げローラ16の回転に基づいてカス上げローラ16に巻き上げられるカス部の切断を検知する。
【0025】
上述した構成の作用について説明する。
まず、巻取り装置が行うラベルロール紙およびカス部の巻取り動作を
図1、
図2および
図3を参照しながら説明する。
まず、制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位にあることを検知すると、巻取りローラ6の回転軸またはギヤ連結部に接続された巻取りローラモータ15をプリンタ3から排出されるラベルロール紙2の排出速度よりも速い速度で回転させ、ラベルロール紙2を巻き取る。この巻取り動作中においてラベルロール紙2はテンションバー4を上方に押し上げる。
【0026】
制御部14は、上方に押し上げられたテンションバー4が最上位に到達したことをテンションバーセンサ10により検知すると、巻取りローラモータ15の駆動を停止させてラベルロール紙2の巻取りを停止する。なお、巻取りローラモータ15は停止した位置を保持する。
このとき、巻取りローラモータ15の駆動を停止させてもプリンタ3からラベルロール紙2が継続して排出されるため、ラベルロール紙2の上面に置かれたテンションバー4は自重で徐々に下降する。
【0027】
制御部14は、再びテンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位にあることを検知すると、巻取りローラモータ15を回転させ、ラベルロール紙2を巻き取る動作を開始する。
一方、制御部14は、巻取りローラモータ15の駆動と同時または巻取りローラモータ15の駆動の開始よりも早くカス上げローラモータ17を駆動させ、カス上げ部8でカス部を巻き取る。このとき、制御部14は、巻取りローラモータ15の最高速度よりも速い回転速度(巻取りローラ6に巻き取られたラベルロール紙2の最大径の線速より早い線速)で駆動させる。
【0028】
カス上げ部8は、トルクリミッタ18を有するため、所定の負荷を超えるとカス上げローラ16が滑り、カス上げローラ16に巻き取られたカス部の線速度は巻取りローラ6に巻き取られたラベルロール紙2の線速度と同じになる。
【0029】
次に、巻取り装置が行うカス切れ検出処理を
図4の第1の実施例におけるカス切れ検出処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1、
図2、
図3および
図5を参照しながら説明する。なお、
図5は第1の実施例におけるカス切れ検出のタイムチャートである。
【0030】
S1:ユーザは、ラベルロール紙2を巻取りローラ6で巻き取るため、所定量のラベルロール紙2をプリンタ3から排出させ、そのラベルロール紙2をテンションバー4、およびアイドルローラ5を経由させ、さらに先端を巻取り装置1の巻取りローラ6に巻き付け、巻取り動作可能な状態にする。
【0031】
S2:プリンタ3が印刷を開始(
図5に示すT1)すると、印刷されたラベルロール紙2がプリンタ3から排出され、ラベルロール紙2の上面に置かれたテンションバー4は自重により下降を開始する。制御部14は、ラベルロール紙2の巻取りを開始する条件であるテンションバー4の最下位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位に到達したか否かを判定し、最下位に到達したと判定すると処理をS3へ移行する。
【0032】
S3:制御部14は、テンションバー4が最下位に到達したと判定すると、カス上げローラモータ17を回転駆動し、カス上げローラ16を回転させる。
S4:続いて、制御部14は、巻取りローラモータ15を回転駆動(
図5に示すT2)し、巻取りローラ6を回転させ、ラベルロール紙2の巻取りを開始する。
【0033】
S5:制御部14は、巻取りローラ6の巻取り速度を、常にラベルロール紙2のプリンタ3からの排出速度よりも速い速度としているため、テンションバー4は巻き取られるラベルロール紙2により上昇する。制御部14は、ラベルロール紙2の巻取りを停止する条件であるテンションバー4の最上位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最上位に到達したか否かを判定し、最上位に到達したと判定すると処理をS6へ移行する。
【0034】
S6:制御部14は、テンションバー4が最上位に到達したと判定(
図5に示すT3)すると、巻取りローラモータ15を停止し、巻取りローラ6の回転を停止させる。なお、このとき、制御部14は、カス上げローラモータ17の駆動を継続し、カス上げローラ16を継続して回転させる。
巻取りローラ6の回転を停止させても印刷されたラベルロール紙2がプリンタ3から排出され続けるため、ラベルロール紙2の上面に置かれたテンションバー4は自重により下降を開始する。
【0035】
S7:制御部14は、巻取りローラ6の回転を停止させるとカス部が切断されたか否かを検出するカス切れ検出を行う。制御部14は、巻取りローラモータ15の停止直後はカス切れ検出が困難なため、巻取りローラモータ15を停止してから第1の所定時間が経過するまで待機し、その第1の所定時間が経過した後、カス切れ検出を行う。
第1の所定時間は、巻取りローラモータ15を停止させた直後に、ラベルロール紙2から剥離されたカス部に弛みが発生した場合を考慮し、その弛みがカス上げローラモータ17の継続駆動によりカス上げローラ16で解消されるまでの時間である。
【0036】
図6(a)に示すように、巻取りローラモータ15を停止させた直後に、ラベルロール紙2から剥離されたカス部に弛みが発生しない場合、カス部が剥離バー7に当接した状態となる。この状態においては、カス上げローラモータ17は駆動されているが、
図2に示すトルクリミッタ18により、カス上げローラ16は滑る状態となり、回転を停止した状態となる。
【0037】
一方、
図6(b)に示すように、巻取りローラモータ15を停止させた直後に、ラベルロール紙2から剥離されたカス部に弛みが発生する場合、カス部は剥離バー7から離れた状態となる。この状態において、カス上げローラモータ17は駆動されているので、カス上げローラ16は、カス部の弛みがなくなるまで、カス部を巻き上げる状態となり回転した状態となる。
【0038】
このように、上述した第1の所定時間が経過するまでの間は、カス部が切断されていない状態にもかかわらず、カス部の弛みが解消するまでカス上げローラ16が回転する可能性があり、カス切れを誤検出してしまう可能性があるためである。したがって、この第1の所定時間が経過するまでの間は、カス切れ検出を行わない。
【0039】
S8:制御部14は、第1の所定時間の経過を検知すると、スリットセンサ20の出力変化(ON信号とOFF信号の変化)の計数を開始(
図5に示すT4)し、カス切れ検出を開始する。このように、制御部14は、スリットセンサ20の出力変化を計数してスリット板19が取り付けられたカス上げローラ16の回転量を検出する。
【0040】
S9:制御部14は、ラベルロール紙2の巻取りを開始する条件であるテンションバー4の最下位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位に到達したか否かを判定し、最下位に到達したと判定すると処理をS10へ移行する。
【0041】
S10:制御部14は、テンションバー4が最下位に到達したと判定すると、スリットセンサ20の出力変化の計数を停止してカス切れ検出を終了(
図5に示すT5)する。
S11:制御部14は、計数したスリットセンサ20の出力変化の数(カス切れ検出カウント)と、カス切れ判別の閾値とを比較し、スリットセンサ20の出力変化の数が閾値以上であると判定するとカス切れが発生ありと判断して処理をS12へ移行し、閾値未満であると判定するとカス切れが発生なしと判断して処理をS13へ移行する。
【0042】
カス切れ発生なしの場合は、
図7(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転を停止した状態であり、カス上げローラモータ17は駆動されているが、
図2に示すトルクリミッタ18により、カス上げローラ16は滑る状態となり、回転を停止した状態となっている。したがって、スリットセンサ20の出力は、
図7(b)に示すように、変化しない状態となる。
【0043】
一方、カス切れ発生ありの場合は、
図8(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転を停止した状態であり、カス上げローラモータ17は駆動されているため、カス上げローラ16は最大速度で回転した状態となる。したがって、スリットセンサ20の出力は、
図8(b)に示すように、変化する状態となる。
【0044】
なお、カス切れ判別の閾値は、カス上げローラ16に巻き上げられたカス部の巻取り径が大きく、重くなっている場合はカス切れが発生してもイナーシャによりカス上げローラ16の回転速度が上昇するのに時間を要することを考慮した値とする。
このように、制御部14は、巻取りローラ6の巻取り動作を停止させ、かつカス上げローラモータ17でカス上げローラ16を駆動した状態において、スリットセンサ20により、カス上げローラ16の回転軸の回転を検知するとカス部が切断されていると判定する。
【0045】
S12:制御部14は、スリットセンサ20の出力変化の数が閾値以上であると判定すると、カス切れが発生したことによりカス上げローラ16が回転していると判断してカス部の巻取り動作を停止するためカス上げローラモータ17を停止させ、本処理を終了する。
S13:制御部14は、スリットセンサ20の出力変化の数が閾値未満であると判定すると、カス切れは発生していないと判断して巻取りローラモータ15を回転駆動し、巻取りローラ6を回転させ、ラベルロール紙2の巻取りを開始し、処理をS5へ移行する。
【0046】
このように、本実施例の巻取り装置1は、ラベルロール紙2の巻取りを停止している間もラベルロール紙2から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラ16の回転駆動を継続して行い、そのカス上げローラ16が回転しているか否かの回転状態をスリットセンサ20の出力で検知し、カス上げローラ16が回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するカス切れ検出処理を行う。
したがって、ラベルロール紙のカス部の材質や幅に応じてカス切断検知装置を変更する必要がなく、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができる。
【0047】
以上説明したように、第1の実施例では、ラベルロール紙の巻取りを停止している間もラベルロール紙から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラの回転駆動を継続して行い、そのカス上げローラの回転状態をセンサで検知し、カス上げローラが回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するようにしたことにより、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができるという効果が得られる。
【0048】
また、カス部の材質やカス部の幅に左右されず、カス切れの発生を検知することができ、カス切れ発生時にオペレータに通知することや巻取り装置を自動的に停止させることが可能になるため、カス切れが発生したままでラベルロール紙が巻き取られてしまい、再度カス部を巻き上げるカス上げ作業を行わなければならないような作業効率を低下させることを防止できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0049】
第2の実施例における巻取り装置1の構成は、上述した第1の実施例と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施例の作用について説明する。
なお、巻取り装置が行うラベルロール紙およびカス部の巻取り動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0050】
巻取り装置が行うカス切れ検出処理を
図9の第2の実施例におけるカス切れ検出処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1、
図2、
図3および
図10を参照しながら説明する。なお、
図10は第2の実施例におけるカス切れ検出のタイムチャートである。
S101〜S103:
図4に示すS1〜S3と同様の処理なので説明を省略する。
S104:制御部14は、巻取りローラモータ15を回転駆動(
図10に示すT12)し、巻取りローラ6を回転させ、ラベルロール紙2の巻取りを開始する。
【0051】
S105:制御部14は、巻取りローラ6の巻取り速度を、常にラベルロール紙2のプリンタ3からの排出速度よりも速い速度としているため、テンションバー4は巻き取られるラベルロール紙2により上昇する。
制御部14は、巻取りローラ6を回転させると、カス部が切断されたか否かを検出するカス切れ検出を行う。制御部14は、巻取りローラモータ15の回転開始直後はカス切れ検出が困難なため、巻取りローラモータ15の回転を開始してから第2の所定時間が経過するまで待機し、その第2の所定時間が経過した後、カス切れ検出を行う。
【0052】
第2の所定時間は、カス上げローラ16が巻き取ったカス部の径や重量が大きくなると、カス切れが発生していてもカス上げローラ16の回転軸の回転速度の上昇が緩やかとなるため、回転速度が所定の回転速度に上昇するまでに要する時間である。
このように、上述した第2の所定時間が経過するまでの間は、カス部が切断されている状態にもかかわらず、カス上げローラ16が所定の回転速度以上にならない可能性があり、カス切れを検出できない可能性があるためである。したがって、この第2の所定時間が経過するまでの間は、カス切れ検出を行わない。
【0053】
S106:制御部14は、第2の所定時間の経過を検知すると、スリットセンサ20の出力の変化の1周期(例えば、OFF信号からON信号への変化の周期)の時間の計測を開始(
図10に示すT13)し、カス切れ検出を開始する。このように、制御部14は、スリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間を計測してスリット板19が取り付けられたカス上げローラ16の回転速度を検出する。
【0054】
S107:制御部14は、ラベルロール紙2の巻取りを停止する条件であるテンションバー4の最上位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最上位に到達したか否かを判定し、最上位に到達したと判定すると処理をS108へ移行する。
【0055】
S108:制御部14は、テンションバー4が最上位に到達したと判定すると、スリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間の計測を停止してカス切れ検出を終了(
図10に示すT14)する。
また、制御部14は、テンションバー4が最上位に到達したと判定すると、巻取りローラモータ15を停止し、巻取りローラ6の回転を停止させる。なお、このとき、制御部14は、カス上げローラモータ17の駆動を継続し、カス上げローラ16を継続して回転させる。
【0056】
巻取りローラ6の回転を停止させても印刷されたラベルロール紙2がプリンタ3から排出され続けるため、ラベルロール紙2の上面に置かれたテンションバー4は自重により下降を開始する。
S109:制御部14は、計測したスリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間(カス切れ検出の1周期時間)と、カス切れ判別の閾値とを比較し、スリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間が閾値未満であると判定するとカス切れが発生ありと判断して処理をS110へ移行し、閾値以上であると判定するとカス切れが発生なしと判断して処理をS111へ移行する。
【0057】
カス切れ発生なしの場合は、
図11(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転した状態であり、カス上げローラモータ17は、駆動されているため
図2に示すトルクリミッタ18によりカス上げローラ16の回転軸は滑る状態となり、巻取りローラ6と同じ線速となる回転速度で回転する状態となっている。したがって、スリットセンサ20の出力は、
図11(b)に示すように、出力の変化の1周期の時間TAが閾値以上となる。
【0058】
一方、カス切れ発生ありの場合は、
図12(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転した状態であり、カス上げローラモータ17は駆動されているため、カス上げローラ16の回転軸は最大速度で回転した状態となる。したがって、スリットセンサ20の出力は、
図12(b)に示すように、出力の変化の1周期の時間TBが閾値未満となる。
【0059】
なお、カス切れ判別の閾値は、カス切れ発生なしの場合におけるカス上げローラ16の回転軸の回転速度が、巻取りローラ6の回転速度やカス上げローラ16に巻き上げられたカス部の巻取り径により変化すること、およびカス切れ発生ありの場合におけるカス上げローラ16の回転軸の回転速度を考慮した値とする。
このように、制御部14は、巻取りローラ6の巻取り動作中、かつカス上げローラモータ17でカス上げローラ16を駆動した状態において、スリットセンサ20で検知したカス上げローラ16の回転軸の回転速度が閾値を超えていると、カス部が切断されていると判定する。
【0060】
S110:制御部14は、スリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間が閾値未満であると判定すると、カス切れが発生したことによりカス上げローラ16が空回り状態の最大速度で回転していると判断してカス部の巻取り動作を停止するためカス上げローラモータ17を停止させ、本処理を終了する。
【0061】
S111:制御部14は、スリットセンサ20の出力の変化の1周期の時間が閾値以上であると判定すると、カス切れは発生していないと判断してラベルロール紙2の巻取りを開始する条件であるテンションバー4の最下位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位に到達したか否かを判定し、最下位に到達したと判定すると処理をS104へ移行する。
【0062】
このように、本実施例の巻取り装置1は、ラベルロール紙2の巻取りを行っている間に、ラベルロール紙2から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラ16の回転駆動を行い、そのカス上げローラ16の回転速度をスリットセンサ20の出力で検知し、カス上げローラ16が所定の回転速度より早い回転速度で回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するカス切れ検出処理を行う。
したがって、ラベルロール紙のカス部の材質や幅に応じてカス切断検知装置を変更する必要がなく、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができる。
【0063】
以上説明したように、第2の実施例では、ラベルロール紙の巻取りを行っている間に、ラベルロール紙から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラの回転駆動を行い、そのカス上げローラの回転速度をセンサで検知し、カス上げローラが所定の回転速度より早い回転速度で回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するようにしたことにより、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0064】
第3の実施例の構成は、制御部に負荷電流検出部を設けた構成としていることが第1の実施例の構成と異なっている。その第3の実施例の構成を
図13の第3の実施例における巻き取り装置の制御構成を示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図13において、巻取り装置1の制御部14は、巻取りローラモータ15およびカス上げローラモータ17と接続され、制御信号を巻取りローラモータ15およびカス上げローラモータ17に出力することにより、それぞれの回転の駆動および停止を制御することができるようになっている。
また、制御部14は、
図2に示すカス上げローラ16の回転を検知する検知手段としての負荷電流検出部141を備えている。この負荷電流検出部141は、カス上げローラモータ17の駆動時の負荷電流を検知して
図2に示すカス上げローラ16の回転を検知する。
【0066】
本実施例のカス上げローラモータ17は負荷に応じて負荷電流が変動するモータ(例えば、DCモータ等)であり、負荷電流検出部141は、カス上げローラモータ17の駆動時の負荷電流値を検知し、負荷電流値が閾値より大きい場合に
図2に示すカス上げローラ16が停止していることを検知し、また負荷電流値が閾値以下の場合に
図2に示すカス上げローラ16が回転していることを検知する。
なお、本実施例の巻取り装置1は、スリットセンサ20を備えていない構成としても良い。
【0067】
上述した構成の作用について説明する。
なお、巻取り装置が行うラベルロール紙およびカス部の巻取り動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
巻取り装置が行うカス切れ検出処理を
図14の第3の実施例におけるカス切れ検出処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1、
図2、
図13および
図15を参照しながら説明する。なお、
図15は第2の実施例におけるカス切れ検出のタイムチャートである。
【0068】
S201〜S207:
図4に示すS1〜S7と同様の処理なので説明を省略する。
S208:制御部14は、第1の所定時間の経過を検知すると、負荷電流検出部141により、カス上げローラモータ17の負荷電流の監視を開始(
図15に示すT24)し、カス切れ検出を開始する。
【0069】
S209:制御部14は、ラベルロール紙2の巻取りを開始する条件であるテンションバー4の最下位置を検知するため、テンションバーセンサ10により、テンションバー4の位置を監視する。
制御部14は、テンションバーセンサ10により、テンションバー4が最下位に到達したか否かを判定し、最下位に到達したと判定すると処理をS210へ移行する。
【0070】
S210:制御部14は、テンションバー4が最下位に到達したと判定すると、負荷電流検出部141により、カス上げローラモータ17の負荷電流の監視を停止してカス切れ検出を終了(
図15に示すT25)する。
S211:制御部14は、負荷電流検出部141により検出したカス上げローラモータ17の負荷電流値と、カス切れ判別の電流閾値とを比較し、カス上げローラモータ17の負荷電流値が閾値以下であると判定するとカス切れが発生ありと判断して処理をS212へ移行し、閾値より大きいと判定するとカス切れが発生なしと判断して処理をS213へ移行する。
【0071】
カス切れ発生なしの場合は、
図16(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転を停止した状態であり、カス上げローラモータ17は駆動されているが、
図2に示すトルクリミッタ18により、カス上げローラ16は滑る状態となり、回転を停止した状態となっている。したがって、トルクリミッタ18のトルクがカス上げローラモータ17にかかるため、
図16(b)に示すように、負荷電流値が閾値より大きくなる。
【0072】
一方、カス切れ発生ありの場合は、
図17(a)に示すように、巻取りローラモータ15および巻取りローラ6は回転を停止した状態であり、カス上げローラモータ17は駆動されているため、カス上げローラ16は最大速度で回転(空転)した状態となる。したがって、トルクリミッタ18のトルクがカス上げローラモータ17にかからないため、
図17(b)に示すように、負荷電流値は閾値以下になる。
なお、カス切れ判別の電流閾値は、カス上げローラ16に巻き上げられたカス部の巻取り径が大きく、重くなっている場合はカス切れが発生してもイナーシャによりカス上げローラ16に負荷がかかることを考慮した値とする。
【0073】
S212:制御部14は、負荷電流検出部141により検出したカス上げローラモータ17の負荷電流値が閾値以下であると判定すると、カス切れが発生したことによりカス上げローラ16が回転していると判断してカス部の巻取り動作を停止するためカス上げローラモータ17を停止させ、本処理を終了する。
【0074】
S213:制御部14は、負荷電流検出部141により検出したカス上げローラモータ17の負荷電流値が閾値より大きいと判定すると、カス切れは発生していないと判断して巻取りローラモータ15を回転駆動し、巻取りローラ6を回転させ、ラベルロール紙2の巻取りを開始し、処理をS205へ移行する。
【0075】
このように、本実施例の巻取り装置1は、ラベルロール紙2の巻取りを停止している間もラベルロール紙2から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラ16の回転駆動を継続して行い、そのカス上げローラ16が回転しているか否かの回転状態をカス上げローラモータ17の回転軸にかかる負荷を負荷電流値に基づいて間接的に検知し、カス上げローラ16が回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するカス切れ検出処理を行う。
したがって、ラベルロール紙のカス部の材質や幅に応じてカス切断検知装置を変更する必要がなく、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができる。
【0076】
以上説明したように、第3の実施例では、ラベルロール紙の巻取りを停止している間もラベルロール紙から剥離したカス部を巻き取るカス上げローラの回転駆動を継続して行い、そのカス上げローラの回転軸の回転状態をカス上げローラモータの負荷電流値に基づいて検知し、カス上げローラが回転していると判断した場合にカス切れが発生したことを検出するようにしたことにより、操作者に負担を強いることなく、カス部の切断を検知することができるという効果が得られる。