特許第6619256号(P6619256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619256
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】化学洗浄方法および化学洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   C23G 1/26 20060101AFI20191202BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20191202BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20191202BHJP
   F22B 37/56 20060101ALI20191202BHJP
   F22B 37/52 20060101ALI20191202BHJP
   C23G 3/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C23G1/26
   B08B9/032 325
   B08B9/032 328
   B08B3/08 Z
   F22B37/56 Z
   F22B37/52 A
   C23G3/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-30734(P2016-30734)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150001(P2017-150001A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 憲次
(72)【発明者】
【氏名】大久保 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】原川 将人
(72)【発明者】
【氏名】野口 良典
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−022843(JP,A)
【文献】 特開昭53−031002(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/067955(WO,A1)
【文献】 特開2016−017188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 1/26
B08B 3/08
B08B 9/032
C23G 3/00
F22B 37/52
F22B 37/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器にキレート剤又は還元剤の少なくとも一方を含む洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、
前記部材を前記洗浄液と接触させることにより前記スケールを溶解させるスケール溶解工程と、
少なくとも前記スケール溶解工程の一部の期間において、金属母材の溶解に伴い生成する可燃性ガスを希釈するための希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給する希釈ガス供給工程と、
を備え、
前記希釈ガス供給工程では、前記洗浄対象機器内における前記可燃性ガスの濃度が該可燃性ガスの管理値以下となるように、前記希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給し、
前記洗浄液のpHは4以上8以下である
ことを特徴とする化学洗浄方法。
【請求項2】
前記希釈ガスは不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の化学洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液供給工程では、前記希釈ガスをマイクロバブルとして前記洗浄液に混入させることで、前記希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の化学洗浄方法。
【請求項4】
前記マイクロバブルの気泡径は100μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の化学洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄対象機器内における前記可燃性ガスの濃度を計測する濃度計測工程と、
前記濃度計測工程における計測結果に基づいて、前記希釈ガスの前記洗浄対象機器への供給量を調節する供給量調節工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の化学洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄対象機器は、ボイラの伝熱管を含み、
前記濃度計測工程では、前記伝熱管よりも上方に位置する気水分離器内の前記可燃性ガスの濃度を計測する
ことを特徴とする請求項5に記載の化学洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄液供給工程では、前記洗浄液が貯留されたタンクおよび前記洗浄液を圧送するためのポンプを含む洗浄液供給ラインを前記洗浄対象機器に接続し、前記タンク内の前記洗浄液を前記ポンプにより前記洗浄対象機器に向けて圧送することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の化学洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄対象機器は、ボイラの伝熱管を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の化学洗浄方法。
【請求項9】
スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器を化学洗浄するための化学洗浄装置であって、
キレート剤又は還元剤の少なくとも一方を含む洗浄液を貯留するための洗浄液タンクと、
前記洗浄液タンクと前記洗浄対象機器との間に設けられ、前記洗浄液を前記洗浄対象機器へ供給するための洗浄液供給ラインと、
前記部材と前記洗浄液との接触により生成する可燃性ガスを希釈するための希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給するための希釈ガス供給部と、
前記洗浄対象機器内の前記可燃性ガスの濃度を計測するための濃度計測部と、
前記濃度計測部による前記濃度の計測結果に基づいて、前記洗浄対象機器への前記希釈ガスの供給量を調節するための希釈ガス供給量調節部と、
を備え、
前記希釈ガス供給量調節部は、前記洗浄対象機器内における前記可燃性ガスの濃度が該可燃性ガスの管理値以下となるように、前記洗浄対象機器への前記希釈ガスの供給量を調節するように構成され
前記洗浄液のpHは4以上8以下である
ことを特徴とする化学洗浄装置。
【請求項10】
前記希釈ガス供給部は、前記洗浄液供給ラインを流れる前記洗浄液に前記希釈ガスを混入させるように構成されたことを特徴とする請求項9に記載の化学洗浄装置。
【請求項11】
前記洗浄液供給ラインに設けられ、前記洗浄液タンクから前記洗浄対象機器に前記洗浄液を送るためのポンプをさらに備え、
前記希釈ガス供給部は、前記洗浄液供給ラインのうち前記ポンプの吸込み側において、前記洗浄液に前記希釈ガスを混入させるように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の化学洗浄装置。
【請求項12】
前記希釈ガス供給部は、前記希釈ガスのマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生部を含むことを特徴とする請求項9乃至11の何れか一項に記載の化学洗浄装置。
【請求項13】
前記マイクロバブル発生部は、気泡径が100μm以下の前記マイクロバブルを発生させるように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の化学洗浄装置。
【請求項14】
前記希釈ガスは不活性ガスであることを特徴とする請求項9乃至13の何れか一項に記載の化学洗浄装置。
【請求項15】
前記希釈ガスは還元雰囲気ガスであることを特徴とする請求項9乃至14の何れか一項に記載の化学洗浄装置。
【請求項16】
前記洗浄対象機器は、ボイラの伝熱管を含むことを特徴とする請求項9乃至15の何れか一項に記載の化学洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は化学洗浄方法および化学洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ等の機器における部材(例えば配管)に生じるスケールを除去するために、化学洗浄が行われる場合がある。
例えば、特許文献1には、ボイラにおける火炉壁管に酸を含む洗浄液を流通させて、該火炉壁管の内側を洗浄することが開示されている。
また、特許文献2には、ボイラにおける火炉壁管にキレート剤又は還元剤を含む洗浄液を流通させて、該火炉壁管の内側を洗浄することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−105602号公報
【特許文献2】特許第5721888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように酸を含む洗浄液を用いた洗浄の場合、洗浄中、金属母材と酸との反応により、可燃性ガスである水素ガスが発生する。したがって、火炉の洗浄中は、火気を用いる他の作業を並行して行わないことが望ましく、火炉以外の構成機器についてメンテナンス作業が行えない等、効率的な作業ができない場合がある。
この点、特許文献2のように、キレート剤又は還元剤を含む洗浄液を用いた洗浄では、これらの洗浄成分と金属母材との反応によって水素などの可燃性物質は基本的には発生しないと考えられる。
しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、キレート剤を含む洗浄液を用いてスケールが付着した機器の洗浄を行う場合であっても、実際には微量の水素(可燃性ガス)が生じることがわかった。そこで、可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑えながら、機器の洗浄を行い得る方法の開発が求められている。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、洗浄中における可燃性ガスの濃度を抑制可能な化学洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る化学洗浄方法は、
スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器にキレート剤を含む洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、
前記部材を前記洗浄液と接触させることにより前記スケールを溶解させるスケール溶解工程と、
少なくとも前記スケール溶解工程の一部の期間において、前記金属母材が溶解することにより生成する可燃性ガスを希釈するための希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給する希釈ガス供給工程と、
を備える。
【0007】
上述したように、本発明者らの鋭意検討の結果、キレート剤を含む洗浄液を用いてスケールが付着した部材を有する機器洗浄を行う場合であっても、実際には微量の水素(可燃性ガス)が生じることがわかった。
上記(1)の方法によれば、スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器において、金属母材が溶解するときに生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、前記希釈ガスは不活性ガスである。
上記(2)の方法によれば、不活性ガスを希釈ガスとして洗浄対象機器に供給するので、希釈ガスによる洗浄液の性能の低下が起こりにくい。このため、洗浄対象機器をより効率的に洗浄することができる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(2)の何れかの方法において、前記洗浄液供給工程では、前記希釈ガスをマイクロバブルとして前記洗浄液に混入させることで、前記希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給する。
上記(3)の方法によれば、比較的小さな気泡径を有するマイクロバブルとして希釈ガスを洗浄液に混入させるので、希釈ガスの気泡の洗浄液中における滞留時間を延ばすことができ、希釈ガスの気泡を含む洗浄液を洗浄対象機器の洗浄系統全体に行き渡らせることができる。このため、洗浄対象機器の洗浄系統に可燃性ガスが滞留する部位が複数存在する場合において、希釈ガスの供給位置から最も近い部位において、洗浄液中の希釈ガスが気相中に放散されてしまい、当該部位よりも下流側には希釈ガスを含まない洗浄液しか供給されない、といった事態を回避できる。よって、洗浄対象機器において可燃性ガスをより効果的に希釈させることができる。
【0010】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の方法において、前記マイクロバブルの気泡径は100μm以下である。
上記(4)の方法によれば、希釈ガスのマイクロバブルの気泡径を100μm以下としたので、洗浄系統全体に希釈ガスをより効果的に行き渡らせることができる。
【0011】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れかの方法は、
前記洗浄対象機器内における前記可燃性ガスの濃度を計測する濃度計測工程と、
前記濃度計測工程における計測結果に基づいて、前記希釈ガスの前記洗浄対象機器への供給量を調節する供給量調節工程と、
をさらに備える。
上記(5)の方法によれば、洗浄対象機器内における可燃性ガスの濃度計測結果に基づいて希釈ガスの供給量を調整するので、必要に応じて希釈ガスを供給することができる。このため、希釈ガスの使用量を抑制しながら、洗浄対象機器において可燃性ガスをより効率的に希釈させることができる。
【0012】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れかの方法において、
前記洗浄液供給工程では、前記洗浄液が貯留されたタンクおよび前記洗浄液を圧送するためのポンプを含む洗浄液供給ラインを前記洗浄対象機器に接続し、前記タンク内の前記洗浄液を前記ポンプにより前記洗浄対象機器に向けて圧送する。
上記(6)の方法によれば、タンク内の洗浄液をポンプにより圧送するので、洗浄液を速やかに洗浄対象機器に供給することができる。
【0013】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れかの方法において、前記洗浄対象機器は、ボイラの加熱伝熱管及び非加熱部を含む。
上記(7)の方法によれば、スケールを溶解工程における金属母材が溶解するときに生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0014】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る化学洗浄装置は、
スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器を化学洗浄するための化学洗浄装置であって、
キレート剤を含む洗浄液を貯留するための洗浄液タンクと、
前記洗浄液タンクと前記洗浄対象機器との間に設けられ、前記洗浄液を前記洗浄対象機器へ供給するための洗浄液供給ラインと、
前記部材と前記洗浄液との接触により生成する可燃性ガスを希釈するための希釈ガスを前記洗浄対象機器に供給するための希釈ガス供給部と、
を備える。
【0015】
上記(8)の構成によれば、スケールが付着した部材を有する洗浄対象機器において、スケール溶解工程における金属母材が溶解するときに生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0016】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、前記希釈ガス供給部は、前記洗浄液供給ラインを流れる前記洗浄液に前記希釈ガスを混入させるように構成される。
上記(9)の構成によれば、洗浄液供給ラインを流れる洗浄液に希釈ガスを混入させるので、洗浄液供給ラインを利用して効率的に希釈ガスを洗浄対象機器に供給することができる。
【0017】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、前記化学洗浄装置は、
前記洗浄液供給ラインに設けられ、前記洗浄液タンクから前記洗浄対象機器に前記洗浄液を送るためのポンプをさらに備え、
前記希釈ガス供給部は、前記洗浄液供給ラインのうち前記ポンプの吸込み側において、前記洗浄液に前記希釈ガスを混入させるように構成される。
上記(10)の構成によれば、洗浄液供給ラインのうち、比較的圧力が低いポンプの吸い込み側において洗浄液に希釈ガスを混入させるようにしたので、洗浄液供給ラインを流れる洗浄液に希釈ガスを比較的容易に混入させることができる。
【0018】
(11)幾つかの実施形態では、上記(8)〜(10)の何れかの構成において、前記化学洗浄装置は、
前記洗浄対象機器内の前記可燃性ガスの濃度を計測するための濃度計測部と、
前記濃度計測部による前記濃度の計測結果に基づいて、前記洗浄対象機器への前記希釈ガスの供給量を調節するための希釈ガス供給量調節部と、をさらに備える。
上記(11)の構成によれば、洗浄対象機器内における可燃性ガスの濃度計測結果に基づいて希釈ガスの供給量を調整するので、必要に応じて希釈ガスを供給することができる。このため、希釈ガスの使用量を抑制しながら、洗浄対象機器において可燃性ガスをより効率的に希釈させることができる。
【0019】
(12)幾つかの実施形態では、上記(8)〜(11)の何れかの構成において、前記希釈ガス供給部は、前記希釈ガスのマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生部を含む。
上記(12)の構成によれば、比較的小さな気泡径を有するマイクロバブルとして希釈ガスを洗浄液に混入させるので、希釈ガスの気泡の洗浄液中における滞留時間を延ばすことができ、希釈ガスの気泡を含む洗浄液を洗浄対象機器の洗浄系統全体に行き渡らせることができる。このため、洗浄対象機器の洗浄系統に可燃性ガスが滞留する部位が複数存在する場合において、希釈ガスの供給位置から最も近い部位において、洗浄液中の希釈ガスが気相中に放散されてしまい、当該部位よりも下流側には希釈ガスを含まない洗浄液しか供給されない、といった事態を回避できる。よって、洗浄対象機器において可燃性ガスをより効果的に希釈させることができる。
【0020】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、前記マイクロバブル発生部は、気泡径が100μm以下の前記マイクロバブルを発生させる。
上記(13)の構成によれば、希釈ガスのマイクロバブルの気泡径を100μm以下としたので、洗浄系統全体に希釈ガスをより効果的に行き渡らせることができる。
【0021】
(14)幾つかの実施形態では、上記(8)〜(13)の何れかの構成において、前記希釈ガスは不活性ガスである。
上記(14)の構成によれば、不活性ガスを希釈ガスとして洗浄対象機器に供給するので、希釈ガスによる洗浄液の性能の低下が起こりにくい。このため、洗浄対象機器をより効率的に洗浄することができる。
【0022】
(15)幾つかの実施形態では、上記(8)〜(14)の構成において、前記洗浄対象機器は、ボイラの加熱伝熱管及び非加熱部を含む。
上記(15)の構成によれば、スケール溶解工程における金属母材が溶解するときに生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、洗浄中における可燃性ガスの濃度を抑制可能な化学洗浄方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態に係る化学洗浄装置の概略構成図である。
図2】一実施形態に係る化学洗浄方法のフローチャートである。
図3】一実施形態に係る化学洗浄装置の概略構成図である。
図4】一実施形態に係る化学洗浄装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
以下の実施形態では、一実施形態に係る化学洗浄方法又は化学洗浄装置が火力発電設備に適用された場合について説明するが、幾つかの実施形態に係る化学洗浄方法又は化学洗浄装置は、化学プラント又は舶用ボイラ等に適用されてもよい。
図1は、一実施形態に係る化学洗浄装置の概略構成図である。図1に示す化学洗浄装置31は、火力発電設備1における貫流ボイラ10の加熱部伝熱管及び非加熱部を洗浄するように構成されている。
なお、図1に示すボイラ10は貫流ボイラであるが、本発明に係る化学洗浄方法又は化学洗浄装置は、貫流ボイラ以外のボイラに適用可能であり、例えば、ドラム型ボイラや排熱回収ボイラ等に適用してもよい。
また、幾つかの実施形態では、ボイラ10の伝熱管又は非加熱部の少なくとも一方を洗浄対象としてもよい。
【0027】
図1に示すように、火力発電設備1は、燃料を燃焼させて得た熱を水に伝えて蒸気を生成するための貫流ボイラ10と、貫流ボイラ10で生成された蒸気により駆動されるタービン16と、を含む。貫流ボイラ10及びタービン16は、蒸気及び水が循環する循環ライン8に設けられている。なお、タービン16は、高圧タービン、中圧タービン、又は低圧タービンの少なくとも1つを含んでいてもよい。
貫流ボイラ10は、循環ライン8上に配置される節炭器30、火炉11、気水分離器12及び過熱器14を含む。
貫流ボイラ10の火炉11において、燃料の燃焼熱との熱交換により生成された蒸気は、気水分離器12、過熱器14を経由してタービン16に供給される。タービン16には、再熱器18が接続されている。タービン16で仕事を終えた蒸気は復水器20で凝縮されて水となる。復水器20で生成された水は、循環ライン8に設けられた復水処理装置22、低圧給水加熱器24、脱気器26、高圧給水加熱器28、及び、節炭器30を通って、火炉11に戻る。
なお、火力発電設備1において、循環ライン8には、蒸気又は水を圧送するためのポンプが設けられていてもよい。図1に示す例では、復水器20と復水処理装置22との間、復水処理装置22と低圧給水加熱器24との間、及び、脱気器26と高圧給水加熱器28との間に、それぞれ、ポンプ21,23,27が設けられている。
【0028】
火力発電設備1では、貫流ボイラ10の伝熱管(火炉壁管等)の内部に鉄酸化物を主体とするスケールが付着して伝熱管の熱伝導率が低下する場合がある。以下においては、一例として、貫流ボイラ10における伝熱性能の回復のために、貫流ボイラ10の伝熱管、特に火炉壁管を洗浄対象機器とした例について説明する。
【0029】
化学洗浄装置31は、洗浄液を貯留するための洗浄液タンク32と、貫流ボイラ10と洗浄液タンク32との間に設けられた洗浄液供給ライン38と、希釈ガス供給部50と、を含む。
【0030】
洗浄液タンク32に貯留された洗浄液は、洗浄液供給ライン38を介して貫流ボイラ10の伝熱管に供給するようになっている。洗浄液供給ライン38は、循環ライン8のうち、火炉11の入口側に接続されていてもよい。例えば、図1に示すように、洗浄液供給ライン38は、循環ライン8において節炭器30と高圧給水加熱器28との間に接続されていてもよい。あるいは、洗浄液供給ライン38は、循環ライン8において火炉11と節炭器30との間に接続されていてもよい。
【0031】
洗浄液供給ライン38には、図1に示すように、洗浄液タンク32からの洗浄液を貫流ボイラ10の伝熱管に圧送するためのポンプ33が設けられていてもよい。
また、洗浄液供給ライン38には、図1に示すように、洗浄液タンク32からの洗浄液を加熱するための加熱器34が設けられていてもよい。
また、洗浄液供給ライン38には、図1に示すように、洗浄液タンク32から貫流ボイラ10の伝熱管に供給する洗浄液の流量を調節するためのバルブ35が設けられていてもよい。
【0032】
貫流ボイラ10と洗浄液タンク32との間には、貫流ボイラ10内の洗浄液を洗浄液タンク32に返送するための洗浄液返送ライン40が設けられていてもよい。洗浄液返送ライン40は、循環ライン8のうち、火炉11の出口側に接続されていてもよい。例えば、図1に示すように、洗浄液返送ライン40は、循環ライン8において気水分離器12に接続されていてもよい。あるいは、洗浄液返送ライン40は、循環ライン8において火炉11と気水分離器12との間、又は、気水分離器12と過熱器14との間に接続されていてもよい。
【0033】
洗浄液タンク32に貯留され、貫流ボイラ10の伝熱管に供給される洗浄液は、キレート剤及び還元剤の少なくとも一方を含む。
【0034】
キレート剤は、例えばEDTA、BAPTA、DOTA、EDDS、INN、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA-OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどのアミノカルボン酸やこれらの塩などのアミノカルボン酸系キレート剤、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸などのオキシカルボン酸やこれらの塩などのオキシカルボン酸系キレート剤、ATMP、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等の有機リン酸やこれらの塩などの有機リン系キレート剤である。
【0035】
還元剤は、例えば、Fe2+、Sn2+などの各種金属イオン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、シュウ酸、蟻酸、アスコルビン酸、ピロガロールなどの有機化合物、ヒドラジン、水素などである。
【0036】
キレート剤又は還元剤の少なくとも一方を含む洗浄液は、pHが4〜8であってもよく、あるいは、pHが5〜7であってもよい。
【0037】
洗浄液には腐食抑制剤が添加されていても良い。洗浄液は、所望の洗浄力及び洗浄時間
が得られるように、キレート剤、還元剤及び腐食抑制剤の濃度が適切に調整されている。
【0038】
また洗浄液は、発泡を防止するための消泡剤を含んでいても良い。
【0039】
希釈ガス供給部50は、洗浄対象機器である貫流ボイラ10の加熱部伝熱管と非加熱部において、洗浄液との接触により生成する可燃性ガス(例えば水素)を希釈するための希釈ガスを、貫流ボイラ10に供給するように構成される。
【0040】
例えば、希釈ガス供給部50は、図1に示すように、希釈ガスを収容するボンベ52と、ボンベ52と洗浄液供給ライン38とを接続する希釈ガス供給ライン54と、希釈ガス供給ライン54に設けられ、希釈ガスの供給量を調節するためのバルブ56と、を含む。
この場合、希釈ガス供給部50は、洗浄液供給ライン38を流れる洗浄液に希釈ガスを混入させることができる。
【0041】
また、図1に示す希釈ガス供給部50では、希釈ガス供給ライン54は、ポンプ33の吸い込み側において洗浄液供給ライン38と接続されている。これにより、希釈ガスは、洗浄液供給ライン38のうちポンプ33の吸い込み側において、洗浄液に混入される。
【0042】
上述の化学洗浄装置31によれば、キレート剤又は還元剤を含む洗浄剤を用いてスケールが付着した貫流ボイラ10の洗浄を行う際に、水素等の可燃性ガスが生成した場合であっても、希釈ガス供給部50により貫流ボイラ10に希釈ガスを供給することで、該可燃性ガスを希釈して、可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0043】
上述の火力発電設備1においては、貫流ボイラ10の洗浄時に生成するガスは、貫流ボイラ10の上部に位置する機器(例えば気水分離器12)に滞留しやすい。このような場合、上述の化学洗浄装置31によれば、洗浄液とともに希釈ガスが貫流ボイラ10に供給されるので、貫流ボイラ10の洗浄時に、洗浄液と金属母材との反応により生じるガスが滞留する場所に希釈ガスを送り込むことができる。よって、貫流ボイラ10の洗浄時に生成する水素等の可燃性ガスを希釈ガスによって希釈することができる。
【0044】
なお、気水分離器12には、気水分離器12に蓄積したガスを放出するためのエアベントが設けられていてもよい。このエアベントから、気水分離器12に蓄積した可燃性ガス及び希釈ガスを放出できるようになっていてもよい。
【0045】
希釈ガス供給部50から洗浄対象機器(貫流ボイラ10)に供給する希釈ガスを構成するガス成分は、可燃性ガスの濃度が燃焼範囲未満となるように希釈できるものであればよく、したがって特に限定されない。該希釈ガスとして、例えば、空気を用いることができる。
【0046】
一実施形態では、希釈ガスとして不活性ガスを用いてもよい。不活性ガスを希釈ガスとして洗浄対象機器に供給する場合、希釈ガスによる洗浄液の性能の低下が起こりにくい。このため、洗浄対象機器をより効率的に洗浄することができる。
不活性ガスとしては、例えば、アルゴン等の希ガス、又は、窒素等を用いることができる。
【0047】
なお、貫流ボイラ10に対して希釈ガスを連続的に供給する場合、希釈ガスの供給量は、以下のようにして決定してもよい。ここで、貫流ボイラ10の洗浄対象面積を約30000m
と仮定する。
貫流ボイラ10を酸で洗浄した場合の腐食量は、実験的に、50g/m(Fe換算)程度以下であることがわかっている。このため、貫流ボイラ10の洗浄対象面積が約30000m
であるとの仮定のもと、水素発生量は以下のように計算される。
50g/m×30000m/55.8g×22.4L=602Nm
ここで、貫流ボイラ10をキレート剤又は還元剤を含む洗浄液で洗浄する場合の水素発生量は、酸洗浄をする場合の数百分の1程度であると考えられ、およそ1Nm程度であると推定できる。キレート剤又は還元剤を含む洗浄液を用いた場合の洗浄時間が100時間程度であるとすれば、洗浄中の水素発生速度は、1m/100h=10L/hとなる。
ここで、水素の濃度を燃焼限界(爆発限界)である4%未満とするためには、10L/h×25=250L/h以上の希釈ガスを連続的に供給するとよい。
なお、希釈ガスの適切な供給量が貫流ボイラ10における洗浄対象面積に依存することは、言うまでもない。
【0048】
なお、上述の化学洗浄装置31は、使用時に洗浄対象機器に取り付けて使用できるとともに、不使用時には洗浄対象機器から取り外しできる、着脱可能型の化学洗浄装置であってもよい。
【0049】
図2は、一実施形態に係る化学洗浄方法のフローチャートである。この化学洗浄方法は図1に示す貫流ボイラ10を洗浄対象とし、上述した化学洗浄装置31を用いて実施することができる。以下、図2のフローチャートに沿って一実施形態に係る化学洗浄方法について説明する。ここで、洗浄対象の貫流ボイラ10(例えば火炉11の火炉壁管)には、スケールが付着している。
【0050】
まず、貫流ボイラ10に洗浄水を注入し、貫流ボイラ10の内部に水を張る(S102)。この際、化学洗浄装置31のバルブ36及びバルブ41、並びに、循環ライン8において貫流ボイラ10よりも上流側に設けられたバルブ42を閉じ、純水タンク29からバルブ37、35を介して節炭器30、火炉11、気水分離器12等の内部(伝熱管を含む)に水を張ることができる。このとき、バルブ(空気抜き弁)13は開としエア抜きをしながら水を張る。
【0051】
次に、ステップS102にて貫流ボイラ10の内部に張った水を昇温させる(S104)。この際、高圧給水加熱器28を用いて水の昇温を行ってもよい。
このように、洗浄液での洗浄前に貫流ボイラ10内部の水を昇温させることで、後で洗浄剤を用いて洗浄する際の洗浄速度を大きくすることができる。
【0052】
次に、希釈ガス供給部50から貫流ボイラ10に希釈ガスを供給する(S106)。より具体的には、希釈ガス供給部50のバルブ56を開弁してボンベ52内の希釈ガスを洗浄液供給ライン38の洗浄液に混入させる。ここで、所定量の希釈ガスが洗浄液供給ライン38の洗浄液に混入されるように、バルブ56の開度を調節するようにしてもよい。
【0053】
また、洗浄液タンク32から洗浄液を貫流ボイラ10に供給する(S108)。より具体的には、洗浄液供給ライン38に設けられたバルブ35を開弁するとともに、ポンプ33を作動させて、洗浄液供給ライン38を介して洗浄液タンク32からの洗浄液を貫流ボイラ10に供給する。
【0054】
なお、貫流ボイラ10に供給する洗浄液を、洗浄液供給ライン38に設けられた加熱器34により加熱するようにしてもよい。これにより、洗浄液による洗浄速度を大きくすることができる。
【0055】
そして、貫流ボイラ10の伝熱管(例えば火炉壁管)を洗浄液と接触させて、伝熱管に付着しているスケールを溶解させる(S110)。
ここで、洗浄液返送ライン40のバルブ41を開弁して、洗浄液及び洗浄液に混入した希釈ガスを、洗浄液供給ライン38、火炉11(火炉壁管)、洗浄液返送ライン40、及び洗浄液タンク32を循環させることができる。これにより、洗浄液と貫流ボイラ10の伝熱管(火炉壁管等)との接触が促進され、スケールの溶解が進む。
なお、ステップS110でスケールを溶解させている期間のうち少なくとも一部の期間において、ステップS106による貫流ボイラ10への希釈ガスの供給を行う。
【0056】
ここで、火炉壁管等でのスケール溶解工程における金属母材の溶解に伴い生成する微量の水素(可燃性ガス)は、洗浄液に比べて比重が小さいため、貫流ボイラ10内で上方へと移動し、貫流ボイラ10における特定の場所、例えば、貫流ボイラ10において上部に位置する気水分離器12等に滞留しやすい。
また、洗浄液混入した希釈ガスも洗浄液に比べて比重が小さいため、貫流ボイラ10内で上方へと移動する。よって、洗浄液とともに貫流ボイラ10に供給された希釈ガスも、同様に、気水分離器12等、貫流ボイラ10における特定の場所に滞留しやすい。
よって、気水分離器12等において滞留する水素等の可燃ガスが、希釈ガスによって希釈される。これにより、スケール溶解工程における金属母材の溶解に伴い生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0057】
なお、希釈ガスを洗浄対象機器に供給する際、図1のように洗浄液供給ライン38を介して供給するのではなく、洗浄液とは別の供給系統から供給する場合には、洗浄液を供給する前から、希釈ガスの洗浄対象機器への供給を開始してもよい。
これにより、洗浄液によるスケール溶解工程における金属母材の溶解に伴い可燃性ガスが生成する前に、希釈ガスを洗浄対象機器の洗浄系統に行き渡らせることができるため、より確実に、可燃性ガスを希釈することができる。
【0058】
ステップS106〜S110により貫流ボイラ10の伝熱管の洗浄が終了したら、貫流ボイラ10から洗浄液を排出する(S112)。この際、洗浄液返送ライン40を介して、洗浄液を貫流ボイラ10から排出するようにしてもよい。
貫流ボイラ10から洗浄液を排出した後、貫流ボイラ10の内部に残存する洗浄液を水で洗浄する(S114)。
【0059】
以上説明した実施形態に係る化学洗浄方法によれば、スケールが付着した貫流ボイラ10の伝熱管の洗浄において、希釈ガスを貫流ボイラ10の伝熱管に供給することにより、スケール溶解工程における金属母材の溶解に伴い生成する可燃性ガスの濃度を管理値以下に抑制することができる。
【0060】
なお、着脱可能型の化学洗浄装置31を用いて上述の化学洗浄方法を行ってもよい。
この場合、一実施形態では、ステップS106及びS108にて希釈ガス及び洗浄液を貫流ボイラ10に供給する際、洗浄液が貯留された洗浄液タンク32および洗浄液を圧送するためのポンプ33を含む洗浄液供給ライン38を貫流ボイラ10に接続し、洗浄液タンク32内の洗浄液をポンプ33により貫流ボイラ10に向けて圧送するようにしてもよい。
【0061】
図3及び図4は、それぞれ、一実施形態に係る化学洗浄装置の概略構成図である。なお、図3及び図4に示す化学洗浄装置は、それぞれ、図1に示すものと同様に、火力発電設備1における貫流ボイラ10の伝熱管を洗浄するための化学洗浄装置であるが、火力発電設備1における貫流ボイラ10以外の構成部分について図示を省略している。
【0062】
図3に示す化学洗浄装置31は、希釈ガス供給部50の構成において図1に示す化学洗浄装置31と異なる。図3に示す実施形態において、希釈ガス供給部50は、希釈ガス供給ライン54及び希釈ガスのボンベ52に代えて、希釈ガスの微小な気泡を発生させるマイクロバブル発生装置58を含む。
【0063】
マイクロバブル発生装置58で発生させる比較的小さな気泡径を有するマイクロバブルとして希釈ガスを洗浄液に混入させることにより、希釈ガスの気泡の洗浄液中における滞留時間を延ばすことができ、希釈ガスの気泡を含む洗浄液を貫流ボイラ10の洗浄系統全体に行き渡らせることができる。このため、貫流ボイラの洗浄系統に可燃性ガスが滞留する部位が複数存在する場合において、希釈ガスの供給位置から最も近い部位において、洗浄液中の希釈ガスが気相中に放散されてしまい、当該部位よりも下流側には希釈ガスを含まない洗浄液しか供給されない、といった事態を回避できる。よって、貫流ボイラ10において可燃性ガスをより効果的に希釈させることができる。
【0064】
なお、図3に示すマイクロバブル発生装置58は、洗浄液供給ライン38に設けられており、洗浄液供給ライン38を流れる洗浄液に、希釈ガスのマイクロバブルを混入させるように構成されている。
【0065】
幾つかの実施形態では、洗浄液に混入させるマイクロバブルの気泡径は100μm以下である。
希釈ガスのマイクロバブルの気泡径を100μm以下とすることで、洗浄系統全体に希釈ガスをより効果的に行き渡らせることができる。
【0066】
図4に示す化学洗浄装置31は、図1に示す構成に加えて、濃度計測部61と、希釈ガス供給量調節部60と、をさらに備える。
【0067】
濃度計測部61は、貫流ボイラ10の内部における可燃性ガスの濃度を計測するように構成される。図3に示す例では、濃度計測部61は、気水分離器12のエアベント部に設けられた水素濃度計であり、気水分離器12のエアベント部に滞留する、又はエアベント部から放出されるガスにおける水素濃度を計測するように構成されている。
【0068】
希釈ガス供給量調節部60は、濃度計測部61の計測結果に基づいて、貫流ボイラ10への希釈ガスの供給量を調節するように構成されている。図3に示す例では、希釈ガス供給量調節部60は、濃度計測部61(水素濃度計)から、気水分離器12における水素濃度の計測結果を取得して、取得した計測結果に基づいて、貫流ボイラ10の内部における水素濃度が、水素の燃焼範囲未満となるような希釈ガス流量を算出する。そして、該算出結果に基づいて、適切な量の希釈ガスを洗浄液供給ライン38の洗浄液に混入させるようにバルブ56の開度を調節する。
【0069】
このように、貫流ボイラ10内における水素ガス(可燃性ガス)の濃度計測結果に基づいて希釈ガスの供給量を調整すれば、必要に応じて希釈ガスを供給することができる。このため、希釈ガスの使用量を抑制しながら、貫流ボイラ10において水素ガスをより効率的に希釈させることができる。
【0070】
なお、例えば図3に示すような、希釈ガス供給部50としてマイクロバブル発生装置58を用いた化学洗浄装置31においても、同様に、濃度計測部61及び希釈ガス供給量調節部60を設けて、貫流ボイラ10内における水素ガス(可燃性ガス)の濃度計測結果に基づいて、希釈ガスの供給量を調節するようになっていてもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0072】
また、本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0073】
1 火力発電設備
8 循環ライン
10 貫流ボイラ
11 火炉
12 気水分離器
13 バルブ(空気抜き弁)
14 過熱器
16 タービン
18 再熱器
20 復水器
21 ポンプ
22 復水処理装置
23 ポンプ
24 低圧給水加熱器
26 脱気器
27 ポンプ
28 高圧給水加熱器
29 純水タンク
30 節炭器
31 化学洗浄装置
32 洗浄液タンク
33 ポンプ
34 加熱器
35 バルブ
36 バルブ
37 バルブ
38 洗浄液供給ライン
40 洗浄液返送ライン
41 バルブ
42 バルブ
50 希釈ガス供給部
52 ボンベ
54 希釈ガス供給ライン
56 バルブ
58 マイクロバブル発生装置
60 希釈ガス供給量調節部
61 濃度計測部
図1
図2
図3
図4