特許第6619317号(P6619317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619317
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】バスバー樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20191202BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20191202BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20191202BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C45/26
   B29L9:00
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-195982(P2016-195982)
(22)【出願日】2016年10月3日
(65)【公開番号】特開2018-58237(P2018-58237A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】岩田 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】栗山 寛
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/017627(WO,A1)
【文献】 特開2000−331750(JP,A)
【文献】 特開平08−163745(JP,A)
【文献】 特開平11−165673(JP,A)
【文献】 実開平02−053216(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0021470(US,A1)
【文献】 特開2010−118521(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/128284(WO,A1)
【文献】 特開2014−034178(JP,A)
【文献】 特開2008−195032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
H01R 13/00−13/74
B22F 1/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに絶縁される複数のバスバーが樹脂射出成形により合成樹脂材を介して一体化されたバスバー樹脂成形品の製造方法において、
前記複数のバスバーが連結部を介して連結されてなるバスバー連結体を、金属粉末を材料とした金属粉末射出成形により製造するバスバー製造工程と、
前記バスバー連結体を、樹脂成形用の金型に配置する配置工程と、
前記バスバー連結体を前記金型に配置した状態で、型締めして当該金型内に合成樹脂材を射出充填する樹脂成形工程と、を含み、
前記樹脂成形工程は、前記合成樹脂材を射出充填する際に発生する当該合成樹脂材の射出圧力の力を利用して、前記複数のバスバーが互いに絶縁されるように、前記連結部を分断する分断工程を含むものであるバスバー樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記バスバー製造工程は、前記バスバー連結体の前記連結部のうち、他の部位と比較して前記射出圧力を受ける受圧面の表面積が大きく構成される部位である受圧部を有するように、前記バスバー連結体を製造するものであり、
前記配置工程は、前記バスバー連結体のうち、前記連結部の前記受圧部の前記受圧面が前記合成樹脂材の射出口に対向するように配置するものである請求項1に記載のバスバー樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記バスバー製造工程を経て、前記配置工程への移行に先立ち、搬送ロボットが前記バスバー連結体を把持して前記金型まで搬送する搬送工程をさらに含み、
前記バスバー製造工程は、前記搬送ロボットが前記バスバー連結体を把持する際に当該バスバー連結体に対して位置決めするための部位である把持位置決め部を有するとともに、前記搬送ロボットが前記バスバー連結体を把持するための部位である把持部を有するように、前記バスバー連結体を製造するものである請求項1または2に記載のバスバー樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線用材料として用いられるバスバーが樹脂射出成形により合成樹脂材と一体化されてなるバスバー樹脂成形品として、例えば、特許文献1に記載のジョイントコネクタがある。
【0003】
特許文献1に記載のジョイントコネクタは、互いに絶縁された複数のバスバーが樹脂射出成形により合成樹脂材を介して一体化されたものである。その具体的な製造方法は、まずジョイントコネクタの完成時には互いに絶縁される複数のバスバーが連結部を介して連結されてなるバスバー基材を製造する。このバスバー基材は、樹脂射出成形により合成樹脂材と一体化された後、連結部が破断されることによって、互いに絶縁された複数のバスバーに分断される。これにより、互いに絶縁された複数のバスバーが合成樹脂材を介して一体化されたジョイントコネクタが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−331750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のジョイントコネクタは、平板状のタブ片からなる複数のバスバーが並列に並ぶように配置されるものである。この場合のバスバー基材は、帯状をなす1本の連結部の側縁から複数本のタブ片が片持ち状に突出され、これらが並列に並ぶように配置される2次元的に把握可能な簡素な構成であると言える。このような簡素な構成のバスバー基材は、例えば、プレス加工等、金属材の加工法のなかでも比較的に簡単な加工法を用いて製造される。
【0006】
これに対して、複数のバスバーが3次元的に把握しなければいけない立体的に配置される場合には、複数のバスバーが連結されてなるバスバー基材をプレス加工等で製造することが困難となり、複数のバスバーを個別に製造しなければいけなくなる。すると、個別に製造される複数のバスバーを、樹脂射出成形により合成樹脂材で一体化させる場合、当該樹脂射出成形に用いる金型には個別に製造される複数のバスバーを一つずつ順番に配置させていく必要があり、作業工数の増加が懸念される。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のバスバーの配置に関係なく作業工数の増加が抑制されるバスバー樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するバスバー樹脂成形品の製造方法は、互いに絶縁される複数のバスバーを、樹脂射出成形により合成樹脂材を介して一体化させるものである。このバスバー樹脂成形品の製造方法は、複数のバスバーが連結部を介して連結されてなるバスバー連結体を、金属粉末を材料とした金属粉末射出成形により製造するバスバー製造工程と、樹脂成形用の金型に対してバスバー連結体を配置する配置工程と、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置した状態で、型締めして当該金型内に合成樹脂材を射出充填する樹脂成形工程と、を含み、樹脂成形工程を経て、合成樹脂材と一体化された後のバスバー連結体について、複数のバスバーが互いに絶縁されるように、連結部を分断する分断工程をさらに含むようにしている。
【0009】
上記構成によれば、まずバスバー連結体が金属粉末射出成形により製造される。この場合、互いに絶縁される複数のバスバーが合成樹脂材に対してどのように配置されるかに関係なく、バスバー連結体を製造することができる。すなわち、複数のバスバーが合成樹脂材に対して3次元的に把握しなければいけない立体的に配置される場合であっても、金属粉末射出成形を用いることによって、バスバー連結体を好適に製造することができる。これにより、配置工程では、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置することによって、複数のバスバーをまとめて樹脂成形用の金型に配置することができる。したがって、複数のバスバーの配置に関係なく作業工数の増加を抑えることができる。
【0010】
また、上記構成のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の分断工程で分断され易い形状や配置となるように、連結部を構成したバスバー連結体を製造することができる。したがって、複数のバスバーの配置に関係なく連結部の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体に付加することができる。
【0011】
この場合、具体的には、配置工程は、バスバー連結体のうち、連結部の少なくとも一部の部位が樹脂成形用の金型に当接するように配置するものであり、樹脂成形工程を経た後のバスバー連結体は、合成樹脂材から一部の部位が露出された状態で合成樹脂材と一体化され、分断工程は、連結部のうちの合成樹脂材から露出された一部の部位を分断するものである。
【0012】
上記構成によれば、分断工程において、連結部のうち、合成樹脂材から露出された部位を分断すればよく、分断する部位を作業者や作業装置等が確認し易くなる。したがって、連結部の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体に付加することができる。
【0013】
その他、上記課題を解決するバスバー樹脂成形品の製造方法は、複数のバスバーが連結部を介して連結されてなるバスバー連結体を、金属粉末を材料とした金属粉末射出成形により製造するバスバー製造工程と、バスバー連結体を、樹脂成形用の金型に配置する配置工程と、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置した状態で、型締めして当該金型内に合成樹脂材を射出充填する樹脂成形工程と、を含み、樹脂成形工程は、合成樹脂材を射出充填する際に発生する当該合成樹脂材の射出圧力の力を利用して、複数のバスバーが互いに絶縁されるように、連結部を分断する分断工程を含むようにしたものである。
【0014】
上記構成によれば、上述したように、互いに絶縁される複数のバスバーがどのように配置されるかに関係なく、バスバー連結体を製造することができるので、複数のバスバーの配置に関係なく作業工数の増加を抑えることができるのは同様である。
【0015】
同じく、分断工程で分断され易い形状や配置となるように、連結部を構成したバスバー連結体を製造することができるので、複数のバスバーの配置に関係なく連結部の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体に付加することができるのも同様である。
【0016】
またさらに、上記構成によれば、樹脂成形工程を行うなかで分断工程を済ませることができるので、分断作業を作業者や作業装置等が行う必要がなくなる。したがって、樹脂成形工程と、分断工程とを兼ねることができ、全体の工程数を削減することができる。
【0017】
この場合、具体的には、バスバー製造工程は、バスバー連結体の連結部のうち、他の部位と比較して射出圧力を受ける受圧面の表面積が大きく構成される部位である受圧部を有するように、バスバー連結体を製造するものであり、配置工程は、バスバー連結体のうち、連結部の受圧部の受圧面が合成樹脂材の射出口に対向するように配置するものである。
【0018】
上記構成によれば、樹脂成形工程、すなわち分断工程において、射出圧力を受圧部を通じて連結部に好適に作用させることができるようになる。したがって、連結部の分断が好適に行われるようになる。
【0019】
また、上記バスバー樹脂成形品の製造方法において、バスバー製造工程は、配置工程にて、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置する際に当該金型に対して位置決めするための部位である金型位置決め部を有するように、バスバー連結体を製造するものであることが望ましい。
【0020】
上記構成のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の配置工程でバスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置し易くなるように、金型位置決め部を構成したバスバー連結体を製造することができる。したがって、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に配置する配置作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体に付加することができる。
【0021】
なお、バスバー樹脂成形品の製造方法では、バスバー製造工程と、配置工程との間に、バスバー連結体を樹脂成形用の金型まで搬送する搬送工程を含む場合もある。
具体的には、上記バスバー樹脂成形品の製造方法において、バスバー製造工程を経て、配置工程への移行に先立ち、搬送ロボットがバスバー連結体を把持して樹脂成形用の金型まで搬送する搬送工程をさらに含み、バスバー製造工程は、搬送ロボットがバスバー連結体を把持する際に当該バスバー連結体に対して位置決めするための部位である把持位置決め部を有するとともに、搬送ロボットがバスバー連結体を把持するための部位である把持部を有するように、バスバー連結体を製造するものである。
【0022】
上記構成のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の搬送工程で搬送ロボットがバスバー連結体を樹脂成形用の金型に搬送し易くなるように、把持位置決め部及び把持部を構成したバスバー連結体を製造することができる。したがって、搬送工程を含む場合であっても、バスバー連結体を樹脂成形用の金型に搬送する搬送ロボットの搬送作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体に付加することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数のバスバーの配置に関係なく作業工数の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態のバスバー樹脂成形品についてその概略構成を示す斜視図。
図2】同バスバー樹脂成形品についてそのバスバーの概略構成を示す斜視図。
図3】同バスバー樹脂成形品の製造工程を説明する図。
図4】同バスバー樹脂成形品についてそのバスバー連結体の概略構成を示す斜視図。
図5】同バスバー樹脂成形品の製造工程についてその搬送工程の態様を示す斜視図。
図6】同バスバー樹脂成形品の製造工程についてその配置工程を示す断面図であって、特に図3のVI−VI線断面図。
図7】同バスバー樹脂成形品の製造工程について分断工程の態様を示す斜視図。
図8】第2実施形態のバスバー樹脂成形品についてそのバスバーの概略構成を示す斜視図。
図9】同バスバー樹脂成形品の製造工程を説明する図。
図10】同バスバー樹脂成形品についてそのバスバー連結体の概略構成を示す斜視図。
図11】同バスバー樹脂成形品の製造工程についてその配置工程の態様を示す断面図であって、特に図9のXI−XI線断面図。
図12】同バスバー樹脂成形品の製造工程についてその樹脂成形工程の態様を示す断面図。
図13】変形例のバスバー樹脂成形品の製造工程についてそのバスバー製造工程の態様を示す断面図。
図14】変形例のバスバー樹脂成形品についてそのバスバーの概略構成を示す断面図。
図15】変形例のバスバー樹脂成形品についてそのバスバー連結体の概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、バスバー樹脂成形品の製造工程の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、バスバー樹脂成形品1は、配線材料として用いられる銅等の導電性を有する金属材料からなる複数(本実施形態では2つ)のバスバー2,3を備えている。バスバー樹脂成形品1は、バスバー2,3が合成樹脂材からなる樹脂被覆部4を介して一体化されるものである。バスバー2,3は、樹脂被覆部4によって互いに絶縁された状態で一体化されている。バスバー2,3の一部である一方側端子2a,3aは、樹脂被覆部4から突出され、例えば、直流電源Vの電極に電気的に接続される。また、バスバー2,3の一部である他方側端子2b,3bは、樹脂被覆部4から突出され、例えば、インバータInvの電極に電気的に接続される。これにより、バスバー樹脂成形品1は、バスバー2,3を通じて導電体としての機能を果たすものである。
【0026】
具体的には、図1及び図2に示すように、バスバー2,3は、共にL字状をなしており、長辺及び短辺を有する直方体の本体部20,30をそれぞれ備えている。以下の説明では、本体部20,30の長手方向を「延出方向」と言い、本体部20,30の短手方向を「幅方向」と言い、本体部20,30の長手方向及び短手方向に直交する方向を「肉厚方向」と言う。この場合、本体部20,30は、幅方向と比較して肉厚方向が小さい薄板状をなしていると言える。
【0027】
本体部20,30は、互いの肉厚方向の面が対向するように並べて配置されている。すなわち、本体部20,30は、並べられる方向に対して、長手方向及び短手方向が平行となるように配置されるのではなく、長手方向及び短手方向が直交するように配置されている。これにより、バスバー2,3は、樹脂被覆部4に対して2次元的に把握可能に配置されるのではなく、樹脂被覆部4に対して3次元的に把握しなければいけない立体的に配置されている。
【0028】
本体部20,30の延出方向の端部には、一方側端子2a,3aと、他方側端子2b,3bとがそれぞれ設けられている。一方側端子2a,3aは、本体部20,30の一方側の端部において、長辺側の一端から当該本体部20,30の幅方向にそれぞれ延びる部位である。一方側端子2a,3aは、本体部20,30の延出方向にそれぞれ厚みを有し、本体部20,30の肉厚方向にそれぞれ幅を有する薄板状をなしている。なお、他方側端子2b,3bは、本体部20,30の一方側端子2a,3aが設けられる側の反対側の端部のことである。
【0029】
本体部20,30には、幅方向に延びる複数(本実施形態では、それぞれ2つずつ)の柱部21,31がそれぞれ設けられている。柱部21,31は、本体部20,30の肉厚方向にそれぞれ膨出しており、本体部20,30の幅方向に延びる円柱状をなしている。柱部21,31の先端は、本体部20,30の長辺側の両側から幅方向に突出している。2つの柱部21,31は、本体部20,30において、それぞれ延出方向に所定間隔を空けて設けられている。本実施形態において、柱部21,31(特にその先端)は金型位置決め部の一例である。
【0030】
バスバー2及びバスバー3の間で、互いに対向する柱部21及び柱部31には、互いに対向する柱部21,31に向かって突出する突出片22,32がそれぞれ設けられている。突出片22,32は、柱部21,31において、本体部20,30の幅方向の略中間に設けられている。なお、互いに対向する突出片22,32は、バスバー樹脂成形品1の製造過程で分断されるものであり、当該分断前にはバスバー2及びバスバー3を連結する後述の連結部51(図4中に示す)の一部をなす。なお、柱部21,31の先端の一部、及び突出片22,32の先端の一部は、それぞれ樹脂被覆部4から突出されている。
【0031】
本体部20,30において、一方側端子2a,3aと、当該一方側端子2a,3a側の柱部21,31との間には、作業補助部23,33が設けられている。作業補助部23,33は、本体部20,30の長辺側の一端に設けられている。作業補助部23,33は、有底筒状の穴部23a,33aと、板状の把持片23b,33bとをそれぞれ有している。穴部23a,33aは、本体部20,30の幅方向に開口を有している。把持片23b,33bは、本体部20,30の肉厚方向に延びている。なお、作業補助部23,33は、それぞれ樹脂被覆部4に被覆されている。本実施形態において、穴部23a,33a(作業補助部23,33)は把持位置決め部の一例であり、把持片23b,33b(作業補助部23,33)は把持部の一例である。
【0032】
以下、バスバー樹脂成形品1の製造工程について説明する。
図3に示すように、この製造工程には、バスバー製造工程と、搬送工程と、配置工程と、樹脂成形工程と、分断工程との大きく5つの工程がある。
【0033】
バスバー製造工程では、銅粉末を含む金属粉末を材料とした金属粉末射出成形、所謂、MIM(ミム)によって、バスバー2及びバスバー3を製造する。
図3にて簡略化して示すように、バスバー製造工程では、MIM用金型100(コア110及びキャビティ120)の内部に溶解した金属粉末である金属材130を射出充填し、バスバー2及びバスバー3が一体的に射出成形される。MIM用金型100の内部には、例えば、当該内部の1箇所に設けられる射出口(所謂、ゲート)140から金属材130が射出充填される。なお、射出口140は、コア110に設けられる通路(所謂、ランナーやスプルー)150と連結されている。この通路は、金属材130を射出する射出機160が配置される部位と連結されている。
【0034】
その後、射出成形によって、バスバー2及びバスバー3が一体化された一体品がMIM用金型100から取り出されることによりバスバー連結体50が完成する。なお、バスバー連結体50は、MIM用金型100から取り出された後、図示しない焼結工程等を経て、金属材130が固められる。
【0035】
図4に示すように、バスバー連結体50は、一方側端子2a,3a、他方側端子2b,3b、本体部20,30、2つの柱部21,31、作業補助部23,33(穴部23a,33a及び把持片23b,33b)をそれぞれ有するバスバー2及びバスバー3が一体化されたものである。この場合、バスバー2及びバスバー3は、互いに対向する突出片22,32が連結されてなる複数(本実施形態では、2つ)の連結部51を介して連結されている。本実施形態において、連結部51は角柱状をなしている。
【0036】
連結部51には、その長手方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、2つ)の切欠き52がそれぞれ設けられている。切欠き52は、バスバー2,3の一方側端子2a,3aが延びる側がU字状に切り欠かれてなる。これにより、バスバー2,3は、互いに対向する突出片22,32が2つの切欠き52の間の部位である繋部51aを介して連結されている。なお、連結部51において、切欠き52の部位は、連結部51の部位が切欠かれた分だけ他の部位と比較して強度が弱い脆弱部位である。
【0037】
図3にて簡略化して示すように、バスバー製造工程後の搬送工程では、バスバー製造工程においてMIM用金型100から取り出されたバスバー連結体50が搬送ロボット200によって把持され、後の樹脂成形工程で用いる樹脂成形用金型300(コア310及びキャビティ320)まで搬送される。
【0038】
図5に示すように、搬送ロボット200は、バスバー連結体50をバスバー2,3の肉厚方向の両側から把持するアーム220,230を有している。アーム220は、バスバー連結体50を把持する際、バスバー2側から把持する。アーム230は、バスバー連結体50を把持する際、バスバー3側から把持する。アーム220,230は、バスバー連結体50に対して延びる棒状の位置決めピン221,231をそれぞれ有している。また、アーム220,230は、先端がフック状の係合フック222,232をそれぞれ有している。アーム220,230は、バスバー連結体50に対して一方側端子2a,3aが延びる方向(紙面上方)からバスバー2,3に接近するようにそれぞれ移動し、バスバー2,3の作業補助部23,33に係合する。
【0039】
この場合、図5に拡大して示すように、位置決めピン221は、その先端が作業補助部23の穴部23aに挿入される。また、係合フック222は、その先端が作業補助部23の把持片23bに対して一方側端子2aが延びる方向と反対側(紙面下方)から係合される。これは、位置決めピン231及び係合フック232についても同様であり、位置決めピン231の先端が作業補助部33の穴部33aに挿入されるとともに、係合フック232の先端が作業補助部33の把持片33bに対して係合される。これにより、搬送ロボット200のアーム220,230は、バスバー連結体50に対して位置決めされるとともに、バスバー連結体50を把持することができる。
【0040】
続いて、図3にて簡略化して示すように、搬送工程後の配置工程では、搬送工程において搬送されたバスバー連結体50が樹脂成形用金型300(コア310及キャビティ320)に配置される。この場合、バスバー連結体50が樹脂成形用金型300に対して配置されることによって、一体化されているバスバー2,3が一度にまとめて樹脂成形用金型300に対して配置される。
【0041】
図6に示すように、樹脂成形用金型300のコア310及びキャビティ320は、内部を切り抜いて設けられる内部空間である型部311,321をそれぞれ有している。型部311,321は、型部311及び型部321の間で互いに対向する側に開口する開口部312,322をそれぞれ有している。型部311,321において、開口部312,322にそれぞれ対向する底部313,323には、コア310及びキャビティ320に対してバスバー連結体50をそれぞれ位置決めするための部位である複数(本実施形態では、柱部21,31の合計と同数である4つ)の位置決め凹部314,324がそれぞれ設けられている。位置決め凹部314,324は、底部313,323において、開口部312,322とは反対側に凹んでおり、バスバー2,3に設けられている柱部21,31の先端が嵌合可能な形状に設定されている。
【0042】
この場合、樹脂成形用金型300のコア310には、バスバー2,3の柱部21,31の先端のうち、一方側端子2a,3aが延びる側の先端が底部313の位置決め凹部314にそれぞれ嵌合される。同じくキャビティ320には、バスバー2,3の柱部21,31の先端のうち、一方側端子2a,3aが延びる側と反対側の先端が底部323の位置決め凹部324にそれぞれ嵌合される。これにより、樹脂成形用金型300には、コア310及びキャビティ320に対してそれぞれ位置決めされた状態で、バスバー連結体50が配置される。
【0043】
また、樹脂成形用金型300には、バスバー連結体50の連結部51のうち切欠き52を含む繋部51aがコア310及びキャビティ320にそれぞれ当接されるように、バスバー連結体50が配置される。これにより、連結部51の切欠き52を含む繋部51aの周囲には、合成樹脂材330が射出充填されないように構成されている。すなわち、切欠き52を含む繋部51aは、樹脂被覆部4によって覆われないで露出されるように構成されている。
【0044】
続いて、図3にて簡略化して示すように、配置工程後の樹脂成形工程では、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300に配置した状態で、型締めして当該樹脂成形用金型300(コア310及びキャビティ320)の内部に溶解した合成樹脂材330を射出充填し、バスバー連結体50に対して樹脂被覆部4が射出成形される。樹脂成形用金型300の内部には、例えば、当該内部の1箇所に設けられる射出口340から合成樹脂材330が射出充填される。なお、射出口340は、コア310に設けられる通路(所謂、ランナーやスプルー)350と連結されている。この通路は、合成樹脂材330を射出する射出機360が配置される部位と連結されている。
【0045】
その後、射出成形によって、バスバー連結体50に対して樹脂被覆部4が一体化された一体品が樹脂成形用金型300から取り出されることによりバスバー連結体樹脂成形品1´が完成する。このバスバー連結体樹脂成形品1´では、バスバー2,3が連結部51を介して電気的に接続された状態である。
【0046】
続いて、図3にて簡略化して示すように、樹脂成形工程後の分断工程では、樹脂成形工程において樹脂成形用金型300から取り出されたバスバー連結体樹脂成形品1´のバスバー連結体50の連結部51が分断装置400によって分断される。
【0047】
図7に示すように、分断装置400は、バスバー連結体50の連結部51を分断する破断部410を有している。破断部410は、連結部51を分断する際、例えば、バスバー2,3の一方側端子2a,3aが延びる側(紙面上方)から連結部51のうち特に繋部51aに対して力を作用させる。この場合、連結部51は、脆弱部位である2つの切欠き52が破断するとともに、2つの切欠き52の間の部位である繋部51aがそれぞれ切り落とされ(カットされ)、突出片22,32のみを残すように分断される。これにより、バスバー2,3は、連結部51を介した電気的に接続された状態が解除されるとともに、樹脂被覆部4によって互いに絶縁されるように分断される。
【0048】
そして、図3にて簡略化して示すように、分断工程後、バスバー2,3が樹脂被覆部4によって互いに絶縁された状態で一体化されたバスバー樹脂成形品1が完成する。
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
【0049】
(1)バスバー樹脂成形品1を製造する際、まずバスバー連結体50が金属粉末射出成形により製造される。この場合、互いに絶縁されるバスバー2,3が樹脂被覆部4に対してどのように配置されるかに関係なく、バスバー連結体50を製造することができる。本実施形態のように、バスバー2,3が樹脂被覆部4に対して3次元的に把握しなければいけない立体的に配置される場合であっても、金属粉末射出成形を用いることによって、バスバー連結体50を好適に製造することができる。これにより、配置工程では、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300に配置することによって、バスバー2,3をまとめて樹脂成形用金型300に配置することができる。したがって、バスバー2,3の配置に関係なく作業工数の増加を抑えることができる。
【0050】
(2)また、本実施形態のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の分断工程で分断され易い形状や配置となるように、切欠き52を設けるとともに樹脂被覆部4から露出されるように、連結部51を構成したバスバー連結体50を製造することができる。したがって、バスバー2,3の配置に関係なく連結部51の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体50に付加することができる。
【0051】
(3)図7に示すように、樹脂成形工程を経た後のバスバー連結体50は、樹脂被覆部4から繋部51aが露出された状態で樹脂被覆部4と一体化される。本実施形態の分断工程は、連結部51のうちの繋部51aを切り落とすことによって、連結部51を分断させるものである。
【0052】
本実施形態によれば、分断工程において、連結部51のうち、樹脂被覆部4から露出された部位である繋部51aを分断すればよく、分断する部位を作業者や作業装置等が確認し易くなる。したがって、連結部51の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体50に付加することができる。
【0053】
(4)また、図6に示すように、配置工程にて、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300に配置する際、コア310及びキャビティ320の位置決め凹部314,324にバスバー2,3の柱部21,31の先端がそれぞれ嵌合することによって、樹脂成形用金型300に対してバスバー連結体50が位置決めされる。
【0054】
すなわち、本実施形態のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の配置工程でバスバー連結体50を樹脂成形用金型300に配置し易くなるように、柱部21,31を構成したバスバー連結体50を製造することができる。したがって、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300に配置する配置作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体50に付加することができる。
【0055】
(5)図3及び図5に示すように、本実施形態のバスバー樹脂成形品1の製造方法では、バスバー製造工程と、配置工程との間に、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300まで搬送する搬送工程を含むようにしている。この場合、バスバー連結体50は、作業補助部23,33を介して搬送ロボット200によって把持される。
【0056】
すなわち、本実施形態のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の搬送工程で搬送ロボット200がバスバー連結体50を樹脂成形用金型300に搬送し易くなるように、作業補助部23,33(穴部23a,33a及び把持片23b,33b)を構成したバスバー連結体50を製造することができる。したがって、搬送工程を含む場合であっても、バスバー連結体50を樹脂成形用金型300に搬送する搬送ロボット200の搬送作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体50に付加することができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、バスバー樹脂成形品の製造方法の第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
【0058】
まず本実施形態のバスバー2,3の構成について説明する。
図8に示すように、バスバー2において、柱部21には、対向するバスバー3の柱部31に向かって突出する突出片24がそれぞれ設けられている。一方、バスバー3において、柱部31には、対向するバスバー2の柱部21に向かって突出し、その途中で一方側端子3aが延びる側と反対側に屈曲する屈曲状部34がそれぞれ設けられている。屈曲状部34には、他の部位と比較して表面積が大きく設定される表面35aを有する大面部35が設けられている。大面部35は、円板状をなし、他の部位と比較して表面35aの表面積が本体部30の延出方向に大きくなるように構成されている。突出片24及び屈曲状部34は、柱部21,31において、本体部20,30の幅方向の略中間に設けられている。なお、互いに対向する突出片24及び屈曲状部34は、バスバー樹脂成形品1の製造過程で分断されるものであり、当該分断前にはバスバー2及びバスバー3を連結する後述の連結部53(図10中に示す)をなす。なお、突出片24及び屈曲状部34は、その全体がそれぞれ樹脂被覆部4に被覆されている。本実施形態において、大面部35は受圧部の一例であり、表面35aは受圧面の一例である。
【0059】
以下、本実施形態のバスバー樹脂成形品1の製造工程について説明する。
図9に示すように、この製造工程には、バスバー製造工程と、搬送工程と、配置工程と、樹脂成形工程との大きく4つの工程がある。そして、本実施形態の製造工程は、樹脂成形工程後に分断工程を含む上記第1実施形態に対して、樹脂成形工程が分断工程を兼ねる点で相違している。
【0060】
図9及び図10に示すように、本実施形態のバスバー製造工程では、一方側端子2a,3a、他方側端子2b,3b、本体部20,30、2つの柱部21(突出片24),31(屈曲状部34)、作業補助部23,33をそれぞれ有するバスバー2及びバスバー3が一体化されたバスバー連結体50が金属射出成形される。この場合、バスバー2及びバスバー3は、互いに対向する突出片24及び屈曲状部34が連結されてなる複数(本実施形態では、2つ)の連結部53を介して連結されている。本実施形態において、連結部53は円板状の部位(大面部35)から対向するように角柱が延びる形状をなしている。
【0061】
また、図10に拡大して示すように、連結部53には、その長手方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、2つ)の切欠き54,55がそれぞれ設けられている。切欠き54は、バスバー2の柱部21と大面部35との間に設けられ、バスバー2の一方側端子2aが延びる側がU字状に切り欠かれてなる。切欠き55は、バスバー3の柱部31と大面部35との間に設けられ、バスバー2の一方側端子3aが延びる側と反対側がU字状に切り欠かれてなる。なお、連結部53において、切欠き54,55の部位は、連結部53の部位が切欠かれた分だけ他の部位と比較して強度が弱い脆弱部位である。
【0062】
また、図11に示すように、搬送工程後の配置工程において、樹脂成形用金型300には、バスバー連結体50の連結部53のうち、バスバー2の柱部21と大面部35との間、及びバスバー3の柱部31と大面部35との間がキャビティ320にそれぞれ当接されるように、バスバー連結体50が配置される。これにより、連結部53のうちキャビティ320にそれぞれ当接する部位は、後の樹脂成形工程で連結部53を固定することができる。
【0063】
図9及び図11に示すように、樹脂成形用金型300のコア310には、2箇所に射出口340が設けられているとともに、連結部53の大面部35の表面35aが射出口340にそれぞれ対向するように、バスバー連結体50が配置される。この場合、連結部53の切欠き54は、その切欠かれている側が射出口340にそれぞれ対向する。
【0064】
また、図11に示すように、樹脂成形用金型300のキャビティ320には、バスバー連結体50の連結部53に当接する部位の間に、合成樹脂材330が射出充填される樹脂充填部325が設けられている。これにより、樹脂成形用金型300には、連結部53の大面部35の表面35aの反対側が樹脂充填部325にそれぞれ対向するように、バスバー連結体50が配置される。この場合、連結部53の切欠き55は、その切欠かれている側が樹脂充填部325にそれぞれ対向する。
【0065】
そして、図12に示すように、本実施形態の配置工程後の樹脂成形工程では、型部311,321に溶解した合成樹脂材330を射出口340を通じて射出充填すると、樹脂充填部325等に合成樹脂材330が射出充填されるなかで当該合成樹脂材330の射出圧力が連結部53の大面部35の表面35aに作用する。この場合、連結部53は、脆弱部位であり、射出口340側に切欠かれている切欠き54が射出圧力によって破断するとともに、脆弱部位であり、樹脂充填部325側に切欠かれている切欠き55を中心に当該樹脂充填部325側に射出圧力によって屈曲する。すなわち、連結部53は、突出片24と、屈曲状部34とに切欠き54から分断される。これにより、バスバー2,3は、連結部53を介した電気的に接続された状態が解除されるとともに、樹脂被覆部4によって互いに絶縁されるように分断される。なお、突出片24と、屈曲状部34とは、分断された状態で、樹脂充填部325に射出充填される合成樹脂材330によって樹脂被覆部4に被覆される。このように本実施形態の樹脂成形工程は、バスバー2,3を分断する分断工程を兼ねている。
【0066】
これにより、図9にて簡略化して示すように、樹脂成形工程後、バスバー2,3が樹脂被覆部4によって互いに絶縁された状態で一体化されたバスバー樹脂成形品1が完成する。
【0067】
以上に説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1),(3)〜(5)の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を得ることができる。
(6)本実施形態のバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の分断工程で分断され易い形状や配置となるように、大面部35を設けるとともに、切欠き54,55を設けるように、連結部53を構成したバスバー連結体50を製造することができる。したがって、バスバー2,3の配置に関係なく連結部53の分断作業を補助するための機能を、バスバー製造工程によってバスバー連結体50に付加することができる。
【0068】
(7)また、本実施形態成によれば、樹脂成形工程を行うなかで分断工程を済ませることができるので、分断作業を作業者や作業装置等が行う必要がなくなる。したがって、樹脂成形工程と、分断工程とを兼ねることができ、全体の工程数を削減することができる。
【0069】
(8)図10に示すように、本実施形態のバスバー製造工程は、バスバー連結体50の連結部53のうち、他の部位と比較して表面積が大きく構成される大面部35を有するように、バスバー連結体50を製造するものである。
【0070】
また、図11に示すように、本実施形態の配置工程は、バスバー連結体50のうち、連結部53の大面部35の表面35aが合成樹脂材330の射出口340に対向するように配置するものである。
【0071】
本実施形態によれば、樹脂成形工程、すなわち分断工程において、射出圧力を大面部35を通じて連結部53に好適に作用させることができるようになる。したがって、連結部53の分断が好適に行われるようになる。
【0072】
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
図13に示すように、上記第1実施形態のバスバー製造工程で用いるMIM用金型100のコア110には、金属材130が当該MIM用金型100の内部に射出充填される際の射出口140が2つ設けられるようにしてもよい。この場合、MIM用金型100の内部において、2つの射出口140は、バスバー2,3の本体部20,30に対応する部位20´,30´に1つずつが連通するように構成される。そして、本変形例のバスバー製造工程では、MIM用金型100の内部に溶解した金属材130を射出口140を通じて射出充填する。2つの射出口140からそれぞれ射出充填される金属材130は、バスバー2,3の本体部20,30(柱部21,31)に対応する部位21´,31´をそれぞれ通過し、連結部51に対応する部位51´にそれぞれ充填されていく。この場合、バスバー2の本体部20(柱部21)に対応する部位21´を通って充填される金属材130と、バスバー3の本体部30(柱部31)に対応する部位31´を通って充填される金属材130とが、連結部51に対応する部位で合流して、ウェルドライン(溶接線)Lが形成される。このウェルドラインLが形成される部位は、連結部51(バスバー連結体50)のなかで脆弱部位となる。このような本変形例では、連結部51を分断する際、切欠き52が設けられていない場合であっても、脆弱部位であるウェルドラインLが形成される部位が破断するようになる。すなわち、上記第1実施形態と同様、バスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、後の連結部51を分断する際に分断され易いウェルドラインLが形成される部位を有するように、バスバー連結体50を製造することができる。これは、上記第2実施形態においても同様である。例えば、ウェルドラインLは、上記第2実施形態であれば連結部53の切欠き54に対応する部位に、当該切欠き54が設けられる替わりに形成されるように設定される。
【0073】
図14に示すように、上記第1実施形態において、バスバー連結体50は、MIM用金型100から取り出された後の焼結工程で、連結部51の一部がセラミック等の熱を通し難い断熱材500で覆われるようにしてもよい。この場合、断熱材500で覆われる部位では、焼結工程で熱が通り難くなり、金属材130の固化が妨げられるようになる。この金属材130の固化が妨げられる部位は、連結部51(バスバー連結体50)のなかで脆弱部位となる。このような本変形例では、連結部51を分断する際、切欠き52が設けられていない場合であっても、脆弱部位である金属材130の固化が妨げられる部位が破断するようになる。すなわち、バスバー製造工程の後の焼結工程では、後の連結部51を分断する際に分断され易い金属材130の固化が妨げられる部位を有するように、バスバー連結体50を製造することができる。これは、上記第2実施形態においても同様である。例えば、断熱材500は、上記第1実施形態であれば連結部51の切欠き52に対応する部位に、当該切欠き52が設けられる替わりに装着される。
【0074】
図15に示すように、上記第1実施形態において、連結部51が設けられる位置は、バスバー2,3を連結することができれば適宜変更してもよい。例えば、図15中、(A)で示すように、連結部51は、バスバー2,3の一方側端子2a,3aを互いに連結する位置に設けられるようにしてもよい。また、同図中、(B)で示すように、連結部51は、バスバー2,3の他方側端子2b,3bを互いに連結する位置に設けられるようにしてもよい。また、同図中、(C)、(D)、及び(E)で示すように、連結部51は、バスバー2,3の本体部20,30の長辺側の端部を互いに連結する位置に設けられるようにしてもよい。なお、同図中、(E)の例では、バスバー2,3の本体部20,30の間を避ける際に有効である。このようにバスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、連結部51を所望の位置に設けることができる。これは、上記第2実施形態においても同様である。
【0075】
・上記第1実施形態において、切欠き52は、分断工程で連結部51を分断し易い形状や配置であればよく、その構成は本体部20,30の幅方向に対して互い違いに設けるようにしたり、設ける位置を変更したりしてもよい。これは、第2実施形態においても同様である。
【0076】
・上記第2実施形態において、連結部53の構成は、樹脂成形工程時に射出圧力が作用するように構成されていればよく、その構成は大面部35が角板状をなしていたり、大面部35が設けられていなくてもよい。
【0077】
・上記各実施形態において、作業補助部23,33の構成は、搬送ロボット200がバスバー連結体50を把持可能に構成されていればよく、その構成は穴部23a,33aを省いて把持片23b,33bのみとしたり、作業補助部23,33の何れかのみとしたりしてもよい。
【0078】
・上記各実施形態において、搬送工程では、バスバー連結体50を作業者が搬送するようにしてもよい。この場合、作業補助部23,33が設けられていなくてもよい。また、搬送工程自体を省いて、バスバー製造工程後、その場に配置される樹脂成形用金型300に対して配置工程が行われるようにしてもよい。
【0079】
・上記各実施形態において、柱部21,31の構成は、樹脂成形用金型300に対してバスバー連結体50を位置決め可能に構成されていればよく、その構成は柱部21,31の先端のみとしたり、本体部20,30の幅方向の何れかのみとしたりしてもよい。
【0080】
・上記各実施形態において、配置工程では、例えば、連結部51,53が樹脂成形用金型300と当接する部位を用いて、樹脂成形用金型300に対してバスバー連結体50を位置決め可能であれば、柱部21,31が設けられていなくてもよい。
【0081】
・上記各実施形態のように、バスバー製造工程では、金属粉末射出成形を採用することによって、3つ、4つ以上のバスバーが一体化されるバスバー連結体50であっても好適に製造することができる。また、金属粉末射出成形を採用する場合には、複数のバスバーの配置の自由度も高くなり、複数のバスバーを不規則的に配置したり、複数のバスバーに異なる形状のものを含ませたりすることができる。
【0082】
・各変形例は、互いに組み合わせて適用してもよく、例えば、3つのバスバーが一体化されるバスバー連結体50を具体化することと、その他の変形例の構成とは、互いに組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…バスバー樹脂成形品、2…バスバー、2a…一方側端子、2b…他方側端子、3…バスバー、3a…一方側端子、3b…他方側端子、4…樹脂被覆部、20…本体部、21…柱部、22…突出片、23…作業補助部、23a…穴部、23b…把持片、24…突出片、30…本体部、31…柱部、32…突出片、33…作業補助部、33a…穴部、33b…把持片、34…屈曲状部、35…大面部、35a…表面、50…バスバー連結体、51…連結部、51a…繋部、52…切欠き、53…連結部、54,55…切欠き、100…MIM用金型、110…コア、120…キャビティ、130…金属材、140…射出口、150…通路、160…射出機、200…搬送ロボット、220…アーム、221…位置決めピン、222…係合フック、230…アーム、231…位置決めピン、232…係合フック、300…樹脂成形用金型、310…コア、311…型部、312…開口部、313…底部、314…位置決め凹部、320…キャビティ、321…型部、322…開口部、323…底部、324…位置決め凹部、325…樹脂充填部、330…合成樹脂材、340…射出口、350…通路、360…射出機、400…分断装置、410…破断部、500…断熱材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15