特許第6619351号(P6619351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619351
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】アスピレータ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   A61M1/00 151
   A61M1/00 105
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-554625(P2016-554625)
(86)(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公表番号】特表2017-507721(P2017-507721A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】GB2015050539
(87)【国際公開番号】WO2015128638
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】1403597.6
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1419542.4
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516256124
【氏名又は名称】アスピレート エヌ ゴー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ガラゲール ジョージ
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02338898(GB,A)
【文献】 特開平04−231967(JP,A)
【文献】 特開2010−012251(JP,A)
【文献】 米国特許第03572375(US,A)
【文献】 特開昭52−155565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
F16K 11/00
F16K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(58)、出口(56)およびベント(66)備えて、動作的に相互接続している三方コネクタ(51)を含むバルブアセンブリ(50)であって、前記入口(58)は、使用中、アスピレータ・チューブに動作的に接続可能であり、前記出口(56)は、使用中、注射器(82)に動作的に接続可能であり、前記ベントは、使用中、前記三方コネクタ(51)から出て行く流体の流れを許容する一方向バルブ(70)を備え、前記入口(58)は、多孔性のまたは穿孔された要素(62)を包含するレセプタクル(60)を備え、前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、乾燥しているときに、前記三方コネクタ(51)へのガスの流入を許容するが、液体により濡れているときに、前記三方コネクタ(51)への液体の流入を阻止するかまたは妨げ、前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)の抵抗は、前記一方向バルブ(70)の抵抗よりも大きい、ことを特徴とする、バルブアセンブリ(50)
【請求項2】
請求項1の前記バルブアセンブリ(50)の前記入口に動作的に接続されるアスピレータ・チューブ、および前記出口(56)に動作的に接続される注射器(82)、を備える、アスピレータ。
【請求項3】
前記レセプタクル(60)は、吸い込まれた流体および/またはガスおよび/または空気の量を包含するための中空の内方部分を備える、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項4】
前記レセプタクル(60)は、観察窓を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項5】
前記レセプタクル(60)は、透明材料で少なくとも部分的に製造される、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項6】
前記レセプタクル(60)は、中空の内部容積を形成するために一緒にスナップ嵌合する2つの構成要素を備え、前記2つの構成要素の周辺エッジは、前記2つの構成要素が一緒にスナップ嵌合されるときに、相互間に前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)が密封してクランプされる対向する当接面を各々備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項7】
前記レセプタクル(60)は、装置の残りのものから着脱可能である、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項8】
前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、紙またはカードで製造され、前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、乾燥しているときに、空気またはガスが材料を通過することができる孔または穿孔を備えるが、前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、例えば吸い込まれた液体によって濡れているときに、前記液体が前記孔または穿孔を閉鎖して、これにより、流体(空気および/またはガスおよび/または液体)がそれを通過することを妨げる、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項9】
前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、試薬またはテスト化学製品を含浸される、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項10】
前記試薬またはテスト化学製品は、標的物質との接触に応じて色を変えるものである、請求項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項11】
前記標的物質は、酸、塩基(アルカリ)、炭水化物、ブドウ糖、糖分、血液、鉄分、タンパク質、ケトン、ビリルビン、ウロビリノーゲン、硝酸塩、および白血球、を含む群のうちの任意の1つ以上である、請求項10に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項12】
前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)は、酸または塩基との接触で色が変わるリトマス試験紙から製造される、請求項10に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項13】
前記三方コネクタ(51)の前記入口(58)、出口(56)およびベント(66)は、それに対して取り外し可能に接続する品目用のコネクタを備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項14】
前記コネクタは、ルアーロック・コネクタ、バヨネット式の部品、ねじ、およびプッシュ式コネクタ、を含む群のうちの任意の1つ以上である、請求項13に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項15】
前記入口は、雌のルアーロック・コネクタを備える、請求項13または14に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項16】
前記出口は、雄のルアーまたはルアーロック・コネクタを備える、請求項13または14に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項17】
前記ベントは、ルアーロック・コネクタを備える、請求項13または14に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項18】
前記一方向バルブ(70)は、浮動性のディスクを備え、前記浮動性のディスクは、その周辺部が前記一方向バルブ(70)の周辺エッジを密封して係合する封止位置と、その周辺部が前記一方向バルブ(70)の周辺エッジを係合しない開放位置との間を移動することができる、請求項1〜17のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項19】
前記注射器の容量は、実質的に100ml以下である、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項20】
前記注射器の容量は、実質的に50ml以下である、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項21】
前記注射器の容量は、実質的に10ml以下である、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【請求項22】
前記注射器の容量は、実質的に5ml以下である、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ(50)またはアスピレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスピレータに、そして特に、しかし限定されるものではないが、人間または動物の患者の体腔内から流体を引くために適したアスピレータに関する。
【背景技術】
【0002】
アスピレータは、診断、サンプリングおよび/または治療の目的のために、体腔内から流体が引かれることを必要とする医学手順の範囲において使用される。
特許文献1(米国特許第3572375号)および特許文献2(米国特許出願公開第2013/172781号)は、アスピレータ・チューブ、真空源およびベントを相互接続するための三方コネクタを使用する周知の装置の例である。そしてそれは、体腔内から流体を引くために、または胃を減圧するために使用することができる。特許文献2は、コネクタの外部の液体の流れを防止するように構成される穿孔された要素の使用も開示する。
【0003】
ポンプされるアスピレータは、体腔に挿入されることができるかまたは供給されることができるチューブに接続される真空ポンプを概して含む。そうすると、ポンプがスイッチオンされると、ポンプからの真空は、もちろん、チューブの先端が吸い込まれる流体の範囲内に位置して設けられるチューブを通して、体腔から流体を引く。ポンプに損害を与えることができておよび/またはポンプを汚染することができる、吸い込まれた液体がポンプに引き入れられるのを防止するために、液体トラップは、通常、チューブと真空ポンプとの間に配置される。真空ポンプ・アスピレータを使用するときには、真空が高過ぎないことを、そして吸い込みの量および率がモニタされることを確実にするために気に掛ける必要がある。モニタリングおよび制御回路は、経験豊かなオペレータの手動介入と同様に、これを容易にするためにしばしば用いることができる。
【0004】
比較的少量の流体だけが吸い込まれることを必要とする所で、開業医が真空ポンプベースのアスピレータの代わりに注射器ベースのアスピレータを使用することはよくある。こうした状況では、アスピレータ・チューブの端部に接続される前に、注射器は、空にされる(すなわちそのプランジャが押し込まれる)。もちろん、これの前に、アスピレータ・チューブは、周知の方法で、すなわち、剛性のためにそれに挿入されるガイドワイヤとともにチューブを供給することによって、そして、チューブの先端の位置が所望の位置に達するに際して、チューブの先端を体腔から延びるままにしておくためにガイドワイヤを引っ込めることによって、体腔に挿入されている。アスピレータ・チューブが正しく挿入されるときに、その先端は、吸い込まれる液体に沈められる。次いで、液体を吸い込むためにアスピレータ・チューブの自由端にポンプまたは注射器を接続することは、比較的直接の作業でなければならない。注射器ベースのアスピレータの場合、チューブ内に真空をつくるために、注射器のプランジャを引っ込めることによって、これは達成される。そしてその真空は、液体を吸い込むために用いることができる。
【0005】
一般的に言って、注射器は、無菌の、安価な、使い捨て可能な品目である。そのため、吸い込まれる流体を注射器に引き入れる課題は、通常課題ではない。したがって、液体入来に対して注射器を保護するおよび/または防護する、すなわち流体トラップまたはいかなる制御も提供する必要は、通常ない。事実、ほとんどの場合、もちろん、熟練したオペレータと同様に、フレキシブルチューブに接続された単純な注射器は、通常、必要とされる全部である。
【0006】
それらの比較的単純性および低コストにもかかわらず、周知の注射器ベースのアスピレータは、多くの課題がある。第1に、開業医が比較的長いパイプを通して流体(特に液体)(特に比較的粘性流体)を吸い込むことを試みる場合、特大の注射器を用いることを必要とする。その理由は、等温拡張プロセスにおける空気のボリュームと圧力との間の関係の性質に起因して、吸い込まれる流体にも作用する特に気圧および重力の影響に対して、チューブに沿って流体を引くために充分な真空を達成するために、注射器のボリュームは、チューブの内部容積よりもかなり大きい必要があるということである。
【0007】
第2に、アスピレータ・チューブの内側壁が疎水性(それによって吸い込まれる疎液性を一般に意味する)でない限り、粘性液は、流体力学的抗力を発揮して、そして、吸い込まれた流体は、これも引きずるためにリードするチューブの側壁にくっつく。これが意味するものは、注射器によって提供される真空が非粘性液用に比べてより大きいことが必要であるということである。
【0008】
第3に、チューブの中の空気量は、流体自体と同様に吸い込まれることを必要とする。これは、より細い孔のチューブを使用することによって、ある程度は、反対に作用されることができる。しかし、より細いチューブは、詰まりおよび締めつけにより影響されやすい傾向があり、ならびに、粘性の吸い込まれる液体の流体力学的抗力を増加させ、したがって、この点に関して妥協が見つかることを必要とする。
【0009】
上記の結果は、実際には、開業医が、吸い込まれる流体のボリュームよりも10倍〜100倍ほどのボリュームの注射器(例えば、1滴の吸い込まれる流体のための50mlの注射器、または2〜3mlの吸い込まれる流体のための100mlの注射器)を必要とする傾向があるということである。しかしながら、より大きい注射器は、取扱いがより不便であり、購入するのにより高価であり、保管および輸送によりかさばり、そして、より小さい注射器に比べて医学環境においてより短い供給にある傾向がある。
【0010】
にもかかわらず、多くの例において、100倍大きい注射器でさえ、最初の試み(注射器プランジャの最初の引き出し)の間、流体(特に液体)を吸い込むには不十分である。そして、最初の試みが不成功である場合、開業医には、注射器タイプのアスピレータを用いて、2つの選択がある。第1に、開業医は、(1)チューブをつまみ塞ぎ(その中に真空を維持するために)、(2)チューブから注射器を分離し、(3)注射器を空にするために注射器プランジャを押し込み、(4)注射器をチューブに再び接続し、(5)つまみ塞ぎを解放して、(6)吸い込みを再び試みる。一方の手がチューブのつまみ塞ぎに占められるので、開業医は片手で操作を実行することを必要とするので、これは、良好な実施であると一般に考慮されない。分離する行為は構成要素がもはや無菌でありえないことを意味するので、この方法は、汚染の有限の危険度を導く可能性もある。
【0011】
第2に、注射器を空にして再び試すために、開業医は、注射器プランジャを押し込むことによって、チューブを通して「吹き戻す」ことができる。それがチューブの遠位端で体腔の部位を膨らませる危険を冒し、そしていかなる場合も、手順を始めに戻すので、これも、良好な実施であると一般に考慮されない。
【0012】
上記の回避方法のいずれも理想的でないことはいうまでもなく、したがって、注射器ベースのアスピレータのタイプの改良されたおよび/または他のタイプの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、入口、出口およびベントを備えて、動作的に相互接続している三方コネクタを含むバルブアセンブリであって、入口は、使用中、アスピレータ・チューブに動作的に接続可能であり、出口は、使用中、注射器に動作的に接続可能であり、ベントは、使用中、三方コネクタから出て行く流体の流れを許容する一方向バルブを備え、入口は、多孔性のまたは穿孔された要素を包含するレセプタクルを備え、多孔性のまたは穿孔された要素は、乾燥しているときに、三方コネクタへのガスの流入を許容するが、液体により濡れているときに、三方コネクタへの液体の流入を阻止するかまたは妨げ、前記多孔性のまたは穿孔された要素(62)の抵抗は、前記一方向バルブ(70)の抵抗よりも大きい、ことを特徴とする、バルブアセンブリ、を提供する。
【0014】
本発明の第2の態様は、三方コネクタを含むバルブアセンブリの入口に動作的に接続されるアスピレータ・チューブを備えるアスピレータであって、三方コネクタは、使用中、注射器に動作的に接続可能な出口、および、使用中、三方コネクタから出て行く流体の流れを許容する一方向バルブを備えるベント、を追加的に備え、入口は、多孔性のまたは穿孔された要素を包含するレセプタクルを備え、多孔性のまたは穿孔された要素は、乾燥しているときに、三方コネクタへのガスの流入を許容するが、液体により濡れているときに、三方コネクタへの液体の流入を阻止するかまたは妨げる、アスピレータ、を提供する。
【0015】
本発明の第3の態様は、三方コネクタを含むバルブアセンブリの入口に動作的に接続されるアスピレータ・チューブを備えるアスピレータであって、三方コネクタは、注射器に接続される出口、および、使用中、三方コネクタから出て行く流体の流れを許容する一方向バルブを備えるベント、を追加的に備え、入口は、多孔性のまたは穿孔された要素を包含するレセプタクルを備え、多孔性のまたは穿孔された要素は、乾燥しているときに、三方コネクタへのガスの流入を許容するが、液体により濡れているときに、三方コネクタへの液体の流入を阻止するかまたは妨げる、アスピレータ、を提供する。
本発明の第4の態様は、添付図面の図2図7を参照して上記されるように、そしてそれに例示されるように、実質的にバルブアセンブリ、を提供する。
【0016】
後述するように、本発明の構成は、従来の注射器がポンプとして作用し得ることを可能にする。それにより、プランジャを引き上げると、即座に、流体(ガス、空気または液体)は、アスピレータ・チューブの上に引かれることができるが、しかし、注射器のプランジャを押し込むことで、注射器および三方コネクタの範囲内の流体は、ベントを経て排出される。本発明は、その特定の構成によって、周知の三方コネクタを越えて区別される。
【0017】
注入手順において時々使われる、周知の、類似のタイプの二重チェックバルブの例は、Borla社(伊)の「4166」、「4419」、「4687」および「4688」の反重力および反サイフォン・チェックバルブを含み、その一例を図面の図1に示す。
【0018】
図1において、周知の三方コネクタ10は、インライン装置として用いられて、三方コネクタを形成する中空の内部を有する本体部分12を備える。コネクタ10は、入口ポート14を備え、使用中、点滴静注から導くチューブがそれに接続される。コネクタ10は、ルアーロック・コネクタを備える出口ポート16を含む。そしてそれは、点滴静注を与えるラインに接続する。このように、流体は、点滴静注バッグから与えるラインに、そしてそれから患者へと流れることが可能である。例えば、点滴静注バッグが患者の下方に位置する場合、そして、例えば、血液または他の体液が与えるラインに戻り流れて入口ポート14を通って出ることなしに、点滴静注バッグの取り外しを可能にするために、一方向チェックバルブ18は、出口ポート16に組み込まれる。そしてそれは、体液を点滴静注バッグへとサイフォンにより吸い上げることを防止する。
【0019】
側方入口ポート20は、本体部分12に供給する。側方入口ポート20は、流体が接合へと流れ込むことを許容するが、しかしそれから戻らない、第2の一方向チェックバルブ22も備える。側方入口ポート20は、注射器がそれに接続されることができるためにルアーコネクタも備える。その結果、液体薬物は、点滴静注を与えるラインを介して患者に注射されることができる。しかしながら、注射器(図示せず)が分離されるときに、第2の一方向チェックバルブ22は、点滴静注バッグ(入口に接続される)からの流体が側方入口ポート20を経て逃げることを妨げる。
【0020】
入口14、出口16および側方入口ポート20の構成、そして第1のチェックバルブ18および第2のチェックバルブ22は、図示の接合がインライン装置として使用され得るだけのようなものである。そしてそれは、与えるラインへの流体の導入を許容する。事実、本発明がそうするように、それが注射器をポンプに変換するように機能することを可能にするために、注射器または管を周知の装置に接続する方法がない。
【0021】
本発明のレセプタクルは、吸い込まれた流体および/またはガスおよび/または空気の量を包含するための中空の内方部分を適切に備える。
【0022】
ここで本発明に戻って、設けられる注射器は、100ml以下の、好ましくは50ml以下の、そして最も好ましくは10ml、5mlまたは1ml以下の容量を適切に有する。
【0023】
実施形態では、本発明は、以下によって周知のアスピレータの簡略化を提供する。多孔性のまたは穿孔された要素が三方コネクタの入口に配置されるので、ただ1つの一方向バルブが必要である。これは、注射器(または接続された注射器)が上下にポンプされるときに、アップストロークで注射器によりつくられる真空によって、流体(すなわち吸い込まれたガスおよび流体)がアスピレータ・チューブ(または接続されたアスピレータ・チューブ)の上に引かれることを意味する。しかしながら、注射器(または接続された注射器)が押し込まれるときに、注射器内からのガスは、三方コネクタに入り、そして2つの可能性がある出口ルートを有する。1つは、多孔性のまたは穿孔された要素を通って戻る(すなわちアスピレータ・チューブを戻り下る)ルートであり、もう1つは、一方向バルブを経てベントを通って外に出るルートである。にもかかわらず、多孔性のまたは穿孔された要素は、流体の流れに対して有限の抵抗を提供する。その抵抗は、装置のベントでの一方向バルブの抵抗よりも大きい。このように、排出されるガスが「最少の抵抗の経路」に続くので、注射器内からのガスは、アスピレータ・チューブを戻り下るのに優先してベントを通って排出される。多孔性のまたは穿孔された要素を装置の入口に配置することによって、これは、ただ1つの一方向バルブが必要であることを都合よく意味する。そしてそれは、構造を単純化することができて、部品数を合理化することができて、コストおよび複雑さを減らすこともできる。
【0024】
多孔性のまたは穿孔された要素を装置の入口に配置することによって、吸い込まれた液体が三方コネクタに入ることができる前にそれが多孔性のまたは穿孔された要素によって阻止されるので、吸い込まれた液体は、三方コネクタに入ることができない。このように、レセプタクルが装置の残りのものから着脱可能に設けられるならば、装置の残りのものは、再利用されることができる。
【0025】
本発明のレセプタクルは、多孔性のまたは穿孔された要素を備え、その要素は、空気またはガスが三方コネクタに入ることを許容するが、しかしその要素は、液体が三方コネクタへと通過することを阻止しておよび/または妨げる。
【0026】
多孔性のまたは穿孔された要素は、空気透過膜を適切に含む。そしてそれは、空気を通過させるが、流体を通過させない。多孔性のまたは穿孔された要素は、乾燥しているときには、空気またはガスがその材料を通過することができる孔または穿孔を備えるが、例えば吸い込まれた液体によって濡れているときには、その液体が孔または穿孔を閉鎖して、これにより、流体(空気および/またはガスおよび/または液体)がそれを通過することを妨げる、材料(例えば紙)で適切に製造される。
【0027】
この種の構成は、乾燥しているときには空気またはガスがそれを通過することができるが、濡れているときには流体がそれを通過するのを防止するためにセルフシールする、自動閉鎖バルブを都合よく提供する。
【0028】
多孔性のまたは穿孔された要素は、標的物質との接触に応じて色を変える試薬またはテスト化学製品を含浸されてよい。こうした状況では、多孔性のまたは穿孔された要素は、例えば、観察窓またはレセプタクルの透明部分を通して、レセプタクルなしで適切に見られる。適切に、テスト化学製品は、標的物質(例えば、酸、塩基(アルカリ)、炭水化物、ブドウ糖、糖分、血液、鉄分、タンパク質、ケトン、ビリルビン、ウロビリノーゲン、硝酸塩、白血球、などの非徹底的なリストのうちの任意の1つ以上である)の存在を見つけるため検査することができる。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、多孔性のまたは穿孔された要素は、酸または塩基との接触で色が変わるリトマス試験紙から製造されてよい。本発明の多孔性のまたは穿孔された要素としてリトマス試験紙を使用することは、例えば、本発明が腸内アスピレータとして、または、鼻腔栄養チューブの一部として用いられるときに、それが胃酸の存在に対する検査に使われることを都合よく可能にする。
【0030】
本発明のレセプタクルは、レセプタクルの中身がその外側から視覚的に検査されることができるために、観察窓を備えてよく、および/または、透明材料で少なくとも部分的に製造されてよい。
【0031】
設けられるアスピレータ・チューブは、適切にフレキシブルチューブ(例えば、プラスチックまたはゴムチューブ)である。チューブは、適切に滅菌可能である。チューブは、適切に腸内アスピレータ・チューブまたは鼻腔栄養チューブである。
【0032】
三方コネクタの入口、出口およびベントは、それに対して取り外し可能に接続する品目用のコネクタ(例えば、いずれも雄または雌の、「ルアーロック」コネクタ、バヨネット式の部品、ねじ、プッシュ式コネクタ)を適切に備える。この種の構成は、三方コネクタに対する品目の取り付けおよび取り外しを適切に容易にする。
【0033】
適切に、入口は、腸内または鼻腔栄養チューブのコネクタに入口を接続するためのコネクタ(例えば雌のルアーロック・コネクタ)を備える。
【0034】
適切に、出口は、腸内注射器にそれを接続するのに適したコネクタ(例えば雄のルアーまたはルアーロック・コネクタ)を備える。
【0035】
本発明の実施形態では、バルブアセンブリは、いかなる標準の注射器もポンプへと効果的に変換する。そして、流体をチューブにそしてレセプタクルへとポンプアップするために、ピストンが繰り返し上下に引かれることができる。この種の構成は、流体を吸い込むために特大の注射器を使用しなければならないことを適切に回避して、および/または、それは、上記に概説した「分離−汚染」および「吹き戻し」の課題を適切に回避する。
【0036】
本発明のさらに可能性がある利点は、それ自体、それが専用の電気ポンプユニットを必要とすることなく注射器をポンプに効果的に変換するということである。換言すれば、本発明は、安価なおよび/または、例えば電気ポンプ(電気ポンプはサンプルの小容積だけが必要とされるところで過剰である)に対する使い捨て可能な代替を提供することができる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態が、添付図面を参照して、例としてのみここで記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、周知の三方医療コネクタを通る部分断面図である。
図2図2は、本発明によるバルブアセンブリの動作を示す模式的な図である。
図3図3は、本発明によるバルブアセンブリの動作を示す模式的な図である。
図4図4は、本発明によるバルブアセンブリの動作を示す模式的な図である。
図5図5は、本発明によるバルブアセンブリの動作を示す模式的な図である。
図6図6は、本発明の実施形態の斜視図である。
図7図7は、図6に示すレセプタクルを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで図2図5を参照すると、本発明によるバルブアセンブリ50は、本体部分52を備える。本体部分52は、三方コネクタ51を形成するために、直線状チューブ54および直線状チューブ54から延びる直角突起チューブ56を備える。直線状チューブ54の左端部(図面の)は、バルブアセンブリのための入口58において終端する。バルブアセンブリのための入口58は、使用において(図2図5に示されていないが)アスピレータ・チューブに接続される。入口58は、最初は乾燥した多孔性のまたは穿孔された材料のディスク62を含む中空の円筒状レセプタクル60を有する。ディスク62は、流体がディスク62を迂回するのを防止するためにレセプタクル60内に密封して取り付けられる。換言すれば、矢印64によって示すように、入口58を経てバルブアセンブリ50に入る流体は、多孔性のまたは穿孔されたディスク62の孔または穿孔を通過しなければならない。
【0040】
直線状チューブ54の右端部(図面の)は、バルブアセンブリのためのベント66を形成する。一方向バルブ68は、ベント66に位置して、浮動性のディスク70を備える。浮動性のディスク70は、その周辺部が一方向バルブ68の周辺エッジ72を密封して係合する封止位置(図2に示すように)の間を移動することができるが、しかし、浮動性のディスク70は、その周辺部が一方向バルブ68の周辺エッジ72を係合しない開放位置まで移動することができる。小さい三角形74によって図面に図式的に示すケージまたは他の保持器74によって、浮動性のディスク70は、一方向バルブ68の範囲内に保持される。
【0041】
直角突起チューブ56は、直線状チューブ54と流体連通にあり、そしてその上端部(図面の)は、出口76を形成する。出口76は、チャンバ80およびプランジャ82を備える注射器78に接続される。
【0042】
バルブアセンブリ50は、以下の通り、図2図5のシーケンスにしたがって作動される。まず、図2に示すように、注射器プランジャ82は、引き上げられる84。そして、三方コネクタ51のチューブ54、56の範囲内に真空86をつくる。真空88は、一方向バルブ68を閉じさせて、結果として、プランジャ82がそのストロークの頂部に達するまで、流体は、入口58の方へアスピレータ・チューブ(図示せず)の上に引かれる。
【0043】
図3では、プランジャ82は押し込まれ、したがって、吸い込まれた流体(ガス/空気)を三方コネクタ51のチューブ54、56へと押し戻して、これによりそれを加圧する92。矢印94によって示すように、加圧ガス92は、一方向バルブ(そのディスク70が今「開放」位置へ移動する)を介して、漏れることができる。加圧ガス92は、入口58を経て漏れようとしてもよい。しかし、矢印96によって示すように、多孔性のまたは穿孔された要素62の存在は、この種の流れに対する有限の抵抗をつくる。したがって、加圧ガス92は、「最少の抵抗の経路」をたどることによってベント66を経て排出される。換言すれば、多孔性のまたは穿孔された要素62の抵抗が一方向バルブ68の抵抗よりも大きいので、多孔性のまたは穿孔された要素62は、驚くべきことに、一方向バルブと同様の方法で機能すると分かった。したがって、バルブアセンブリ50の入口58での付加的な一方向バルブを不要にする。
【0044】
注射器プランジャ82の引き上げ84および押し込み90は、繰り返されることができる。そして、バルブアセンブリ50は、流体を吸い込むためのポンプへと注射器を効果的に変換する。
【0045】
最終的に、若干の液体は、吸い込まれてよい。図4に示すように、そしてこれが起こるときに、多孔性のまたは穿孔された要素62は、湿ったようになる。これにより、その孔および/または穿孔(図4および図5に黒い陰線によって示すように)をブロックする。これは、バルブアセンブリの入口58に妨害物を作る。これにより、オペレータが注射器プランジャ82を引き上げ84続けることを困難にする。これは、2つの役立つそして予想外の目的にかなう。第1に、それは、手順が終了していることの触覚フィードバックをオペレータに提供する。そして第2に、それは、吸い込まれた液体(および実際に固体)がバルブアセンブリの本体51に入ることを防止する。そうでないと、注射器を汚染することができて、チューブ54、56を詰まらせるかまたは一方向バルブ68を詰まらせる(すなわち、開放保持または閉鎖保持)。この後者の効果はまた、レセプタクル60が交換されて、バルブアセンブリの本体および注射器は、再利用され得ることを意味する。そしてそれは、廃棄物を減らす。
【0046】
オペレータが注射器を「ポンプし」続ける場合、図5に示すように、多孔性のまたは穿孔された要素62の妨害物は、圧縮空気92が矢印94で示すようにベント66を経て排出され得るだけのことを意味する、圧縮空気92がアスピレータ・チューブ(図示せず)を後ろに吹き倒すのを防止する。
【0047】
図6は、本発明による三方バルブアセンブリ50の実施形態を示す。そしてそれは、先に記載されたT字路を形成する本体部分51を含む。バルブアセンブリ50は、雌のルアーロック・コネクタ100を含む入口ポート58を有する。雌のルアーロック・コネクタ100には、腸内または鼻腔栄養チューブ(図示せず)の雄のルアーロック・コネクタ(図示せず)が接続される。
【0048】
レセプタクル60は、透明なプラスチック材料から形成されて、入口ポート58と本体部分51との間に配置される。透明材料からレセプタクル60を作ることによって、その中の多孔性のまたは穿孔されたディスク62は、オペレータの目に見える。
【0049】
ベント66は、ルアーロック・コネクタ101を付加的に備える。但し、吸い込まれたガスが日常的な使用において集められることを必要としそうもないので、これは不可欠でない。但し、これが必要であるいくらかの診断があってもよい。
【0050】
図7において、レセプタクル60は、中空の内部容積114を形成するために一緒にスナップ嵌合する2つの構成要素110、112から形成されることが分かる。2つの構成要素110、112の周辺エッジ116は、各々内部リップ118を備える。2つの構成要素が一緒にスナップ嵌合するときに、内部リップ118は、相互間にディスク62のエッジを密封してクランプする一対の対向する当接面を形成する。
【0051】
ディスク62は、概して、計測記録用紙(例えばリトマス試験紙)から形成される。乾燥しているときに、計測記録用紙の孔または穿孔は、空気または他のガスがそれを通過することを許容する。しかし、吸い込まれた液体によって濡れているときに、計測記録用紙の孔および/または穿孔は、先に記載したように閉鎖される。
【0052】
このように、多孔性のまたは穿孔された要素62は、乾燥流体がレセプタクル62に入ることを許容するが、濡れているときに自動的に閉鎖する、自動閉鎖バルブを都合よく提供する。
【0053】
さらに、レセプタクル60の2つの構成要素110、112のうちの少なくとも1つが透明なプラスチック材料から製造されるので、計測記録用紙ディスク62の色は、ユーザによって直ちに検査されることができる。このように、色は計測記録用紙62において変化する。そして、特定の標的物質(例えば胃酸)の有無が目視検査で直ちに測定されることができることを示す。
【0054】
バルブアセンブリ50の出口56は、注射器の補完的な雌のルアー・コネクタ(図示せず)と係合する雄のルアーロック・コネクタ120を備える。内部的にねじ切りしたロッキングバレル122も、出口56に設けられる。そしてそれは、注射器先端(図示せず)の補完的な外部のねじ切りしたねじと係合する。概して注射器(図示せず)は、周知の方法において、注射器シリンダの内側壁と密封してかつ摺動しながら係合するプランジャ82を備える。
【0055】
使用中、腸内チューブ(図示せず)は体腔へと入れられる。そしてそのコネクタは、バルブアセンブリ50の入口54のコネクタ100に接続される。それから、注射器96は、先に記載されたバレル122用いてバルブアセンブリ50の出口54に接続される。これは、本発明によるアスピレータを形成する。
【0056】
入口、出口およびベントの配置は、本発明の動作に対する材料でない。出口がT字路の突起脚部上のベントと、入口とインラインであり得ることは、直ちに明らかである。
【0057】
アスピレータ・チューブ(例えば鼻腔栄養チューブ)は、患者に挿入されることができる。そして、アップストロークにおいて腸内チューブを通って流体を引き上げて、そして各ダウンストロークにおいてベントを通って流体(最初にガス)を排出するために、アスピレータの中で真空88および過度の圧力92を作成するために、次いで、オペレータは、注射器プランジャ82を繰り返し押し込むことができて、引き出すことができる。最終的に、液体は、腸内チューブを介して身体から吸い出されることができる。そしてその液体は、入口開口を経てレセプタクルに入る。したがって、計測記録用紙62を濡れて、これにより、その液体の診断試験(例えば胃酸のためのチェック)を提供して、それと同時に、計測記録用紙の濡れおよび先に記載された方法でそれを詰まらせることによって入口開口を自動的に閉鎖する。この点で、入口は、効果的に「閉じる」。これにより、注射器プランジャ82のさらなる引き上げを防止するかまたは阻止する。そして、吸い出しが終了したことをオペレータに自動的に知らせる。濡れた多孔性のまたは穿孔された要素のブロッキング効果はまた、吸い出された流体が腸内チューブまたは鼻腔栄養チューブに押し戻されるのを阻止するまたは不可能にすることを提供する。したがって、装置50の一「方向の性質」に起因して、それは、使用の際に殺菌されることが必ずしも必要ではない。但し、殺菌は、もちろん、特定の状況では望ましい。
【0058】
本発明は、このように、流体を吸い出す課題のために便利な解決法を提供して、上で概説される課題のうちの1つ以上を対象にする。
【0059】
本発明は、前述の実施形態の詳細に制限されない。そしてそれは、本発明の単に例示である。例えば、いかなる形状、サイズ、相対寸法その他も、例示されて、そして制限されない。そのことは、いかなる材質選定および/またはデザイン選択(例えばチェックバルブのタイプ)でもある。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7