(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619352
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】特に、靭帯のような組織のための吸収性組織復元装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
A61F2/08
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-556310(P2016-556310)
(86)(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公表番号】特表2017-506987(P2017-506987A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2015055045
(87)【国際公開番号】WO2015135975
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】MI2014A000383
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516240628
【氏名又は名称】サムブッセティ アントニオ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】サムブッセティ アントニオ
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−194270(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02687188(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0013065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの端部および長手方向軸を有する中央復元部分と、前記中央復元部分の2つの端部のそれぞれに形成される接続端部と、を備える靭帯の接続及び復元のための吸収性装置であって、
前記接続端部のそれぞれは、前記吸収性装置を前記靭帯に固定する固定手段を受容するための保持部分を含み、
前記接続端部のそれぞれは、直線状または鋭い縁がない、前記長手方向軸に沿って延びる丸みを帯びた形状であり、直線状または鋭い縁がない、前記長手方向軸に垂直である単一の丸みを帯びた断面によって定められ、
前記接続端部のそれぞれは、前記中央復元部分の剛性よりも大きい前記固定手段を受容するために通常の剛性を有する、靭帯の接続及び復元のための吸収性装置。
【請求項2】
前記中央復元部分、前記2つの接続端部及び前記2つの保持部分は、ポリグリコール酸製である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2つの接続端部は、前記中央復元部分よりも大きな断面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記中央復元部分は、円形を基本とする柱体である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記中央復元部分は、中空円筒である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記中央復元部分は、1〜15mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記中央復元部分は、5〜45mmの範囲の長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
それぞれの前記接続端部は、球状形状を有する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
靭帯は繊維状の結合組織の形成物であり、2以上の解剖学的構造を結合する。膝関節の十字靭帯は、互いに交差する繊維の束であり、関節それ自体を支持して、その関節の動作を可能にしている。多くの人々、特にスポーツをするような人々は、これらの靭帯の損傷を経験している。しかしながら、これらの靭帯は、損傷を受けるだけのものでなく、その回復経過を考慮すると、それらは最も頻繁に起き且つ最も重篤なものである。
【背景技術】
【0002】
損傷して障害となった腱を復元するために、「自己移植」として周知の技術がある。この外科的手法によると、繊維束が使用されるが、この繊維束は、損傷した靭帯を復元するための基として使用される靭帯から採取される。この手法は非常に侵襲的であり常に適用できるわけではない。
【0003】
「自己移植」手法に対応して、靭帯を「シミュレート」するための装置が開発されている。そのような装置は、交換すべき靭帯の形状と寸法を有し、ポリエルテル製である。その装置の端部には、固定手段(ホッチキス、アンカー又は吸収性若しくは非吸収性の接骨ネジ)があり、人工靭帯を安定的に固定して、その上に靭帯組織を部分的に復元することを可能にしている。このタイプの人口靭帯のインプラントは、最終的なものであり、生涯に渡ってその上に靭帯の一部を復元し、その機能を一体化する。そのような装置は、優れた生体適合性を有しているが、機械的な機能に関して幾つかの欠点がある。事実、その柔軟性は許容できるが、優れてはいない。このように、特に、機械的な機能に関して、たとえ幾つかの欠点があっても、そのような装置の性能は有効である。しかしながら、そのような欠点は特に危険なものとなり得る。なぜなら、そのような装置は、それらの設置後、たとえ短期間であっても損傷を受ける可能性があるからである。それにより、装置を交換するための新たな手術を必要とする。
【0004】
これらの欠点は、制限があるにも関わらず「自己移植」手法を有力な選択肢とした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述の公知の手法は、断裂靭帯の接合及び復元のための装置を得ることを可能にするものではない。
【0006】
この状況は、そのような損傷を受けている患者、及び後日、修正介入を頻繁に必要としたり、患者に対して更なるダメージを与えたりする問題に対して、最適でない解決法を手順通りに適用する医師の両方にとって特に不利である。
【0007】
本発明の全般的な目的は、従来技術の問題を簡単なやり方及び費用対効果の高いやり方で解決することが可能な、靭帯の接合及び復元するためのリバーシブルタイプの装置を提供することである。
【0008】
本発明の第1の具体的な目的は、適用しようとする個体の身体的な条件に無関係に適用することが可能な、靭帯の接合及び復元のためのリバーシブルタイプの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
全般的に、本発明の靭帯の復元及び接合のための装置は、中央復元部分と、前記中央部分の2つの端部における2つの接続端部とを備え、前記2つの接続端部は、前記靭帯に前記装置を固定するために適合される固定手段を受容するように形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の前記装置の更なる有利な技術的特徴は、独立請求項に記載されている。
【0011】
本発明の利点及び技術的特徴は、添付図面と合わせて検討すべき以下の明細書で明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の組織復元装置の上面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の組織復元装置の第2実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の明細書及び添付図面は例示的な目的を意図したものである。したがって、これらは本発明を制限せず、本発明は、他の且つ異なった実施形態によって実施してよい。更に、これらの図は模式的であり単純化されていることに注意されたい。
【0014】
図1により、靭帯の接合及び復元のための、本発明の吸収可能なタイプの装置を示す。「吸収可能な」という文言は、損傷した靭帯に設置され、その身体組織の復元をすることが可能な装置を意味する。装置は、所定時間後に、組織の復元とともに組織によって吸収される。
【0015】
そのような装置は、単一靭帯(例えば、膝関節の前十字靭帯)又は靭帯群(例えば、肩の回旋筋腱板)に適用可能である。
【0016】
装置1は、中央復元部分9と、中央部分9の2つの端部における2つの接続端部10a、10bと、を備える。2つの接続端部10a、10bは、装置1を靭帯に固定するのに適合した固定手段を収納するための、2つの保持部分、それぞれ11a、11bを含む。
【0017】
端部10a及び10bは、固定手段を受容するために通常の剛性を有しており、その剛性は中央部分9の剛性よりも大きいことに注意されたい。それにより、それ自体は周知であり、吸収型若しくは非吸収型のホッチキス、アンカー又は接骨ネジのいずれかを含む前記固定手段は、端部10a及び10bに適用される。これらの形態、特に剛性は、固定手段が完全に生理学的に再吸収されるまで、これらを安定して保持することを可能にする。この状況は特に有利である。固定手段が再吸収されるまで安定してこれらを保持することにより、装置1が順繰りに再吸収されるまで、これが所定位置にいることを可能にする。このようにして、装置1が意図している、適切な靭帯組織の復元が可能となる。
【0018】
装置1が意図している靭帯組織の復元は、中央部分9と端部10a及び10bの上で行われる。
【0019】
使用時、装置は解剖学拘束によって、復元すべき靭帯部分の範囲内で、所定の復元位置に設置される。したがって、靭帯の復元を成功させるためには、復元過程の全期間中、装置がそのような位置に留まることが非常に重要である。
【0020】
この目的を達成するためには、2つの接続部分10a、10bは、装置をその復元位置に設置することを目的とする手術後に、固定手段を安定して受容するように形成される。この第1条件において、装置は組織の再生を助成するような構造を有する。
【0021】
その後、解剖学的復元過程によって、固定手段及び装置1自体は吸収される。復元中の靭帯(又は、本発明の装置を用いようとする靭帯の束の場合における靭帯)は、端部10a及び10bからその組織を再生し続け、その後は装置の中央部分9の上に組織を再生する。
【0022】
この第2条件において、装置は組織の再生を支持する構造を有し、特に、組織の完全な復元に至るまで支持する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によると、装置1、換言すると、中央部分9、接続端部10a、10b、及び2つの接続部分11a及び11bは、ポリグリコール酸(PGAとしても周知である)製である。
【0024】
図2から明らかなように、本発明の実施形態によると、2つの接続端部10a、10bは、中央部分9の断面よりも大きな断面を有する。
【0025】
(
図1に示される)更なる実施形態においては、接続端部は丸みを帯びた形状を有する。
【0026】
好ましくは、本発明の装置の中央部分9は、円形を基本とする柱体(prism)である。勿論、様々な形状が中央部分9の断面を構成するのに適する。これらの形状は、充足すべき構造上の拘束の観点から時おり評価されてよい。
【0027】
更なる実施形態においては、中央部分9は中空の円筒である。しかしながら、代替的な実施形態では、中央部分9は中実円柱である。
【0028】
中央部分9の寸法は、装置を使用しようとする靭帯のどのような寸法にも適合するように設定される。そのような部分は、直径が1〜15mm、長さが5〜45mmである。
【0029】
更に、接続端部10a、10bは、それぞれ、前記中央部分9と少なくとも1.5cmのオーバラップをもって、中央部分に固定される。