(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の接続部のうちいずれの接続部も、前記数値制御部、前記電動機電流制御部、前記レーザ励起電流制御部、及び前記AC/DC変換部のうち、少なくとも1種類以上と接続可能である、請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
【背景技術】
【0002】
近年産業用に使用される数百ワット以上の固体レーザ発振器では、発光素子、光学部品の改良による発振効率の向上により、装置のますます小型化が進んでいる。しかし、加工用途に応じて、レーザ発振器を変更したいというニーズがあることもあり、レーザ加工装置への搭載、組込みに際しては、依然としてレーザ発振器はレーザ発振器単体として別の筐体に格納され、レーザ加工装置の本体とは分離して設置されている。
【0003】
例えば、
図12は、従来技術におけるレーザ加工装置61の機能ブロック図を、
図13は、従来技術におけるレーザ加工装置61の具体例を示す。
【0004】
図12を参照すると、レーザ加工装置61は、数値制御部62、電動機63、電動機電流制御部64、AC入力部161及び163、AC/DC変換部162及び164、及びレーザ発振器71を備える。更に、レーザ発振器71は、レーザ励起部65、レーザ励起電流制御部66、AC入力部165、及びAC/DC変換部166を備える。
【0005】
AC入力部161は、AC電源から交流電力を受電し、AC/DC変換部162に交流電力を供給する。また、AC入力部163は、AC電源から交流電力を受電し、AC/DC変換部164に交流電力を供給する。更に、AC入力部165は、AC電源から交流電力を受電し、AC/DC変換部166に交流電力を供給する。
【0006】
AC/DC変換部162は、AC入力部161から供給された交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を数値制御部62に供給する。また、AC/DC変換部164は、AC入力部163から供給された交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を電動機電流制御部64に供給する。更に、AC/DC変換部166は、AC入力部165から供給された交流電力を直流電力に変換し、この直流電力をレーザ励起電流制御部66に供給する。
【0007】
数値制御部62は、加工点を移動するための軸とレーザ出力とを制御する装置である。
電動機63は、レーザ加工装置61に備わるモータであり、例えば、レーザ加工装置61のスキャナや加工テーブルを移動させるために駆動されるモータである。
電動機電流制御部64は、AC/DC変換部164から電動機63への駆動電流の供給を制御することにより、電動機63を駆動する装置である。
レーザ励起部65は、レーザ光を発生する装置である。
レーザ励起電流制御部66は、AC/DC変換部166からレーザ励起部65への駆動電流の供給を制御することにより、レーザ励起部65を駆動する装置である。
数値制御部62、電動機電流制御部64、及びレーザ励起電流制御部66は互いに通信可能に接続されており、これにより、上記のように、数値制御部62は、軸の挙動とレーザ出力とを制御することが可能となる。
【0008】
図13を参照すると、レーザ加工装置61は、電動機63A〜63C、レーザ加工装置制御盤67、レーザ発振器71、空調機101、光ファイバ102、加工ヘッド103、及び加工テーブル104を備える。また、レーザ加工装置制御盤67は、数値制御部62、電動機電流制御部64A〜64C、AC入力部163、及びAC/DC変換部164を備える。更に、レーザ発振器71は、レーザ励起部65、レーザ励起電流制御部66、AC入力部165、AC/DC変換部166を備える。なお、
図13においては、簡略化のため、レーザ加工装置制御盤67が備えるAC入力部163、及びAC変換部164のみを図示し、AC入力部161、及びAC/DC変換部162は省略する。
【0009】
電動機63Aは、加工ヘッド103に備わる。数値制御部62からの指令に基づいて、電動機電流制御部64Aが電動機63Aを駆動することにより、加工ヘッド103は移動する。また、電動機63B及び63Cは、加工テーブル104に備わる。数値制御部62からの指令に基づいて、電動機電流制御部64B及び64Cの各々が電動機63B及び63Cの各々を駆動することにより、加工テーブル104は移動する。
また、電動機電流制御部64Aは電動機63Aに対応し、電動機63Aに供給される駆動電流を制御することにより、電動機63Aを駆動する。同様に、電動機電流制御部64Bは電動機63Bに対応し、電動機63Bに供給される駆動電流を制御することにより、電動機63Bを駆動する。同様に、電動機電流制御部64Cは電動機63Cに対応し、電動機63Cに供給される駆動電流を制御することにより、電動機63Cを駆動する。
【0010】
レーザ励起部65は、レーザ励起電流制御部66によって駆動されることによりレーザ光を発生し、発生したレーザ光は、光ファイバ102を経由して、加工ヘッド103に到達する。また、レーザ発振器71が存在する領域は、空調機101によって空調管理される。
【0011】
図13に記載されるように、レーザ発振器71にはレーザ光を励起するための電力を発生するAC/DC変換部166と、このAC/DC変換部166にAC電源を受電するAC入力部165が搭載され、これらとは別体として、レーザ加工装置61のレーザ加工装置制御盤67には、電動機63A〜63Cを駆動する電力を発生するためのAC/DC変換部164と、このAC/DC変換部164にAC電源を受電する各AC入力部163が搭載されている。
すなわち、レーザ加工装置61全体としては、同種の回路を分割して持つ冗長な構成となっている。このため、レーザ加工装置61が備える入力ユニットであって、電源回生等の省エネ機能、停電対策のための自動バックアップ機能、自動再起動機能が組み込まれた、電動機のAC/DC変換部164もしくは電動機電流制御部64A〜64C、及び、200Vから400Vまでの電圧に対応した多入力電圧対応機能を有するAC入力部163を含む入力ユニットを、レーザ発振器71にも別箇に構成する必要があり、部品や配線の増加、制御方法の複雑化を招いていた。
【0012】
更に、レーザ発振器71とレーザ加工装置制御盤67とが別体であることにより、その筐体のそれぞれに無駄なスペース、配線の往来が生じ、レーザ加工装置61全体の小型化、設置面積の低減、生産性の向上の妨げとなっていた。また、制御信号、駆動電流の無駄な取り回しにより、制御系の遅れや誤動作、電力ロスが発生する弊害があった。
【0013】
一方、固体レーザ発振器では、発光素子である半導体レーザの長寿命化と信頼性を確保するため半導体レーザを空冷ファンや冷却水及びペルチェ素子等で積極的に冷却しているが、半導体レーザは結露に極めて弱いため、周囲の湿度を空調機101で結露しないように管理している。上記のように、レーザ発振器71が、レーザ加工装置制御盤67とは別体の独立した構成であると、レーザ発振器71の筐体内部の全体もしくは半導体レーザが含まれる区画全体を、クーラ、除湿機等で空調管理する必要がある。場合によっては、本来空調を必要としないレーザ発振器71のAC/DC変換部166、AC入力部165、及びレーザ励起電流制御部66の区画まで空調することとなるため、必要以上に能力の高い空調機を搭載する必要があり、装置の小型化、コスト低減、ランニングコスト低減の妨げとなっていた。
【0014】
以上のように、レーザ加工装置においてレーザ発振器を別ユニットとして組み込むことにはデメリットが多く、レーザ加工装置とレーザ発振器の合理的な融合が望まれている。
【0015】
とりわけ、レーザ加工用のレーザ発振器として、これまで主流であった炭酸ガスレーザでは、レーザ発振効率が低く、レーザ加工に必要なレーザ出力を得る場合には大きな電力、電源が必要であった所、半導体レーザは炭酸ガスレーザに比べて何倍もレーザ発振効率が高く、小型な電源を用いることが可能であるため、尚更、レーザ加工装置とレーザ発振器の合理的な融合が望まれている。
【0016】
この点、特許文献1は、レーザ加工装置内のレーザ発振器と電動機の電力を同一の電源で賄うことを開示している。また、特許文献2は、電動機とレーザ発振器の制御系、電力系の電源系が共通化されていることが推察される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔発明の概要〕
上記の繰り返しとなるが、従来技術において、レーザ加工装置は、加工点を移動するための軸とレーザ出力を制御する数値制御部、電動機とそれを駆動する電動機電流制御部、レーザ光を発生するレーザ励起部とそれを駆動するレーザ励起電流制御部、各制御部のAC入力部及びAC/DC変換部等から構成される。レーザ発振器は単独での稼働が可能なように独立した筐体に収められ、専用のAC入力部、AC/DC変換部を持っている。レーザ加工装置の電動機にもレーザ発振器と同様にAC入力部、AC/DC変換部が必要である。このため、レーザ発振器を搭載するレーザ加工装置としては、AC入力部、及びAC/DC変換部を2か所に分割して持つことになり、スペース的にもコスト的にも冗長な設計となっていた。
【0032】
そこでレーザ発振器のAC入力部及びAC/DC変換部を、電動機用のAC入力部及びAC/DC変換部と統合し、共通化することで、無駄なスペースや部品数の削減が可能となる。この際、電動機に必要なDC電圧と、レーザ励起部に必要なDC電圧とが異なる場合には、AC入力部のみを共通化してもよい。
【0033】
上記共通化したAC入力部、及びAC/DC変換部をひとつのユニットに纏める。このユニットを、ここでは「基本ユニット」と呼称する。この基本ユニットは、1つの筐体に単体もしくは複数のモジュールが収められた形態でもよく、ひとつの回路基板にまとめられた形態でもよく、その双方でもよい。AC/DC変換部は、保守性や拡張性を考慮して、基本ユニットには含めず、別体としてもよい。数値制御部にAC入力部やAC/DC変換部が必要になる場合には、上記共通化された基本ユニット内のAC入力部及びAC/DC変換部のいずれか、もしくは双方を共通に使用できるようにしてもよい。数値制御部に必要な電力は電動機、レーザ発振器に比べ僅かであるので、基本ユニット内に、数値制御部専用の回路を設けても良いし、基本ユニットを経由せずに外部から導入しても構わない。
【0034】
このようなレーザ加工装置とレーザ発振器のAC/DC変換部及びAC入力部の共通化により、レーザ加工装置に装備される省エネ機能、停電対策機能、多入力電圧対応機能等をレーザ発振器に共通に適用して、レーザ加工装置の小型化、高機能化を実現することが可能になる。
【0035】
また、レーザ発振器から空調の必要のない電源部等の構成部品をレーザ加工装置側に移すことにより、レーザ発振器の空調範囲を最小限にして、省エネ、小型化を実現することが可能となる。
【0036】
なお、本発明において、レーザ加工装置とは、レーザ切断機だけではなく、溶接機、表面改質機、積層造形装置等、レーザ光を材料に照射し、レーザ光とレーザ出力を制御して材料を加工するもの全般を指しレーザ切断機に限定しない。
【0037】
以下、本発明の各実施形態について
図1〜7を参照しながら、詳述する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工装置1の機能ブロック図を示す。レーザ加工装置1は、基本ユニット11、数値制御部12、電動機13、電動機電流制御部14、レーザ励起部15、レーザ励起電流制御部16、及び接続部21A〜21C(以降では、場合により、これらを「接続部21」と総称する)を備える。更に、基本ユニット11は、AC入力部111、AC/DC変換部112、AC入力部113、及びAC/DC変換部114を備える。
【0038】
基本ユニット11は、数値制御部12、電動機電流制御部14、及びレーザ励起電流制御部16に直流電力を供給するユニットである。なお、基本ユニット11は、このように電力供給部としての機能を有するが、これには限定されず、更なる機能を有してもよい。
AC入力部111は、AC電源から交流電力を受電し、AC/DC変換部112に交流電力を供給する。
AC/DC変換部112は、AC入力部111から供給された交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を、後述の接続部21Aを介して、数値制御部12に供給する。
AC入力部113は、AC電源から交流電力を受電し、AC/DC変換部114に交流電力を供給する。
AC/DC変換部114は、AC入力部113から供給された交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を、接続部21Bを介して電動機電流制御部14に、接続部21Cを介してレーザ励起電流制御部16に供給する。すなわち、AC入力部113は、電動機電流制御部14とレーザ励起電流制御部16とで共用するAC入力部であり、AC/DC変換部114は、電動機電流制御部14とレーザ励起電流制御部16とで共用するAC/DC変換部である。
【0039】
数値制御部12は、加工点を移動するための軸とレーザ出力とを制御する装置である。
電動機13は、レーザ加工装置1に備わるモータであり、例えば、レーザ加工装置1のスキャナや加工テーブルを移動させるために駆動されるモータである。
電動機電流制御部14は、AC/DC変換部114から電動機13への駆動電流の供給を制御することにより、電動機13を駆動する装置である。
レーザ励起部15は、レーザ光を発生する装置である。
レーザ励起電流制御部16は、AC/DC変換部114からレーザ励起部15への駆動電流の供給を制御することにより、レーザ励起部15を駆動する装置である。
数値制御部12、電動機電流制御部14、及びレーザ励起電流制御部16は互いに通信可能に接続されており、これにより、上記のように、数値制御部12は、軸の挙動とレーザ出力とを制御することが可能となる。
【0040】
接続部21Aは、AC/DC変換部112と数値制御部12とを機械的及び電気的に接続する。また、接続部21Bは、AC/DC変換部114と電動機電流制御部14とを機械的及び電気的に接続する。接続部21Cは、AC/DC変換部114とレーザ励起電流制御部16とを機械的及び電気的に接続する。
接続部21は、基本ユニットと各制御部とを機械的に接続し一体化するための構造と、電気的に接続するための構造の両方を備える。基本ユニットと各制御部間の機械的接続としては、ネジ止めを用いてもよく、それぞれの筐体の一部に嵌め合い構造を持たせ、篏合してもよい。電気的接続としては、各ネジ端子や挿抜容易なコネクタのいずれか、もしくは両方を併用してもよい。接続部21は、数値制御部12、電動機電流制御部14、レーザ励起電流制御部16向けにそれぞれ専用の接続構造をもってもよいが、接続部を上記3種のどの制御部とも共通に接続できるように設計することにより、基本ユニット11への各制御部への接続の自由度が高まり、既存のレーザ加工装置に付加軸を追加する際の作業や、レーザ発振器を追加する際の作業が容易になる。
【0041】
〔第1実施形態が奏する効果〕
電動機13とレーザ発振器のAC入力部、AC/DC変換部を共通化することにより、双方の装置内の無駄なスペースと接続ケーブルの本数を削減することができ、レーザ加工装置1全体の小型化、電力の伝送ロスの低減が可能となる。これら共通化されたAC入力部、AC/DC変換部を1つの基本ユニット11にまとめることにより、更なる小型化と接続ケーブルの削減が可能となる。
【0042】
また、レーザ発振器のAC入力部、AC/DC変換部を基本ユニット11に組込み、レーザ励起電流制御部16を基本ユニット11に接続することにより、レーザ発振器のレーザ励起部15のみを分離することができる。これにより、レーザ励起部15のみに対して、必要最小限の空調機器を使用することができるので、空調にかかる電力や空調機器のコストを大きく削減できる。
【0043】
また、複数設けた接続部21を共通化することにより、いずれの接続部21も、数値制御部12、電動機電流制御部14、及びレーザ励起電流制御部16との接続を可能とする。このような構成により、既存のレーザ加工装置に、電動機や必要に応じてレーザ励起部15を追加し、制御軸数を増やして多系統のレーザ加工装置に機能アップすることが容易に可能となる。更には、レーザ加工装置のラインナップを拡充する際の製品企画、設計が簡単にできる。
【0044】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工装置1Aの機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工装置1Aが備える構成要素のうち、レーザ加工装置1が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。また、以降では、主として、レーザ加工装置1Aが有する技術的特徴のうち、レーザ加工装置1と異なる点について詳述する。
【0045】
レーザ加工装置1Aにおいて、基本ユニット11AはAC/DC変換部114を備えず、AC/DC変換部114は、基本ユニット11Aの外部に存在する。また、AC/DC変換部114は、接続部21Dを介して、基本ユニット11Aが備えるAC入力部113と機械的及び電気的に接続する。
【0046】
また、レーザ加工装置1Aにおいて、AC/DC変換部114から電動機電流制御部14及びレーザ励起電流制御部16への電力の供給は、基本ユニット11Aの外部において実行される。すなわち、接続部21Bは、基本ユニット11Aと電動機電流制御部14とを機械的にのみ接続し、接続部21Cは、基本ユニット11Aとレーザ励起電流制御部16とを機械的にのみ接続する。
一部上記の繰り返しとなるが、接続部21は、数値制御部12、電動機電流制御部14、レーザ励起電流制御部16、及びAC/DC変換部114向けにそれぞれ専用の接続構造をもってもよいが、接続部を上記3種のどの制御部とも、及び、AC/DC変換部とも共通に接続できるように設計することにより、基本ユニットへの各制御部やAC/DC変換部への接続の自由度が高まり、既存のレーザ加工装置に付加軸を追加する際の作業や、レーザ発振器を追加する際の作業が容易になる。
【0047】
〔第2実施形態が奏する効果〕
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。更に、AC/DC変換部114が基本ユニット11Aの外部に存在することにより、AC/DC変換部114が故障した際、簡便にAC/DC変換部114を交換することが可能となる。
【0048】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態に係るレーザ加工装置1Bの機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工装置1Bが備える構成要素のうち、レーザ加工装置1が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。また、以降では、主として、レーザ加工装置1Bが有する技術的特徴のうち、レーザ加工装置1と異なる点について詳述する。
【0049】
レーザ加工装置1Bの基本ユニット11Bは、レーザ加工装置1の基本ユニット11が備える構成要素に加えて、通信手段31と、電力伝送手段32とを有する。
【0050】
通信手段31は、数値制御部12にて加工プログラムから生成された軸移動指令とレーザ出力指令とを、電動機電流制御部14及びレーザ励起電流制御部16へ伝達する。これにより、ワークに対してレーザ光を照射し、所望のレーザ加工を行うことが可能となる。なお、信号の伝達はパラレル方式でもシリアル方式でも構わない。
【0051】
電力伝送手段32は、基本ユニット11Bが備えるAC/DC変換部114から、基本ユニット11Bに接続部21を介して接続する電動機電流制御部14及びレーザ励起電流制御部16に対して、電力を伝送する。これにより直流電流の伝送距離を最短にすることが可能であり、ロスの少ない電力伝送を可能とする。
【0052】
通信手段31及び電力伝送手段32は、回路基板上のパターン、銅バー等であってもよく、信号を処理するための通信制御素子、記憶素子、その他の制御素子、及びノイズ低減のためのフィルタやシールド等のEMC対策部品を含んでもよい。これらの通信手段31及び電力伝送手段32と、上記の接続部21とを電気的に接続することにより、各制御部との接続を簡単に素早く行うことができる。具体的には、接続部21に、信号用及び電力用のコネクタを配置し、各制御部へ挿抜できるようにする。機械的強度の確保の為、ネジ止めや篏合等を併用すれば信頼性の高い制御部が構成できる。
【0053】
〔第3実施形態が奏する効果〕
基本ユニット11Bに、数値制御部12、電動機電流制御部14、及びレーザ励起電流制御部16への制御信号を中継する通信手段31、及び、AC/DC変換部114から電動機電流制御部14、及びレーザ励起電流制御部16に対して電力を伝送する電力伝送手段32を設けることにより、必要な配線の多くを基本ユニット11B内に収容することが可能となり、配線部品や組立の手間を大きく省くことができる。
更に、通信手段31により、各制御部が最短距離で接続するように構成することができ、レーザ加工装置1Bの制御系の速度、安定性、及びノイズ耐性が向上し、レーザ加工装置1Bの信頼性、稼働率向上に寄与することができる。
また、電力伝送手段32によりAC/DC変換部114と、電動機電流制御部14及びレーザ励起電流制御部16との間の伝送距離を最短で接続する事ができるので、レーザ加工装置1Bの電力ロスを低減し、省エネ、ランニングコスト低減に寄与することが可能となる。
更に、基本ユニット11Bの通信手段31及び電力伝送手段32と、各制御部との信号及び電力のやりとりを、接続部21を通して行うことにより、各制御部間の接続ケーブルの配線の手間が省け、低コストでレーザ加工装置を構成することができる。
【0054】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明の第4実施形態に係るレーザ加工装置1Cの機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工装置1Cが備える構成要素のうち、レーザ加工装置1Aが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。また、以降では、主として、レーザ加工装置1Cが有する技術的特徴のうち、レーザ加工装置1Aと異なる点について詳述する。
【0055】
レーザ加工装置1Cの基本ユニット11Cは、レーザ加工装置1Aの基本ユニット11が備える構成要素に加えて、通信手段31と、電力伝送手段32とを有する。通信手段31の機能は、第3実施形態に係るレーザ加工装置1Bが備える通信手段31の機能と同一であるため、その説明を省略する。
【0056】
電力伝送手段32は、基本ユニット11Cに接続部21Dを介して接続するAC/DC変換部114から、基本ユニット11Cに接続部21B及び21Cを介して接続する電動機電流制御部14及びレーザ励起電流制御部16に対して、電力を伝送する。これにより直流電流の伝送距離を最短にすることが可能であり、ロスの少ない電力伝送を可能とする。
【0057】
〔第4実施形態が奏する効果〕
第4実施形態においても、第3実施形態と同様の効果が奏される。とりわけ、AC/DC変換部114が基本ユニット11Cの外部に存在し、接続部21Dを介して基本ユニット11Cに接続することにより、配線部品や組立の手間を大きく省くことができる。
【0058】
〔第5実施形態〕
図5は、本発明の第5実施形態に係るレーザ加工装置1Dの機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工装置1Dが備える構成要素のうち、レーザ加工装置1Bが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。また、以降では、主として、レーザ加工装置1Dが有する技術的特徴のうち、レーザ加工装置1Bと異なる点について詳述する。
【0059】
レーザ加工装置1Bにおいては、レーザ励起部15のみが空調領域内に存在していた。一方、レーザ加工装置1Dにおいては、レーザ励起電流制御部16の全部又は一部がレーザ励起部15に組み込まれることにより、レーザ励起部15に加えて、レーザ励起電流制御部16も、空調領域内に存在する。
【0060】
第1〜第4実施形態においては、レーザ発振器のAC入力部113及びAC/DC変換部114を、レーザ発振器の筐体から基本ユニット11〜11C内に移し、レーザ励起電流制御部16を基本ユニット11〜11Cに接続していた。これにより、レーザ発振器としてはレーザ励起部15のみが筐体内に残り、大幅に筐体体積を小さくすることができる。このため、レーザ励起部15に必要な空調機も、能力の小さいものに変更でき、装置の小型化、省エネ化が可能となる。
【0061】
ここで、レーザ励起電流制御部16は、直流電流を高速なスイッチング素子でパルス変調することにより、レーザ励起電流を制御している。使用する電流によっては、それらの素子は十分冷却する必要があるので、本実施形態のように、レーザ励起電流制御部16の全部もしくは一部を、レーザ励起部15へ組み込んでもよい。
【0062】
〔第5実施形態が奏する効果〕
レーザ励起部15は、キロワットクラスのレーザ発振器では、レーザ媒質を冷却するための水冷部やペルチェ素子を備えているので、レーザ励起電流制御部16のスイッチング素子の冷却を効率的に行うには好適であり、レーザ加工装置1Dとしては、水冷部分を1か所に集約でき、信頼性向上やコストメリットの点で好適である。
また、レーザ励起電流制御部16とレーザ励起部15とを同一領域に設置することにより、配管が簡便となる。更にレーザ励起部15とレーザ励起電流制御部16を最短距離で接続することにより、パルス指令に対するレーザ光出力の応答性をより高速にすることが出来、レーザ加工品質の向上が可能となる。
【0063】
〔第6実施形態〕
図6は、本発明の第6実施形態に係るレーザ加工装置1Eの機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工装置1Eが備える構成要素のうち、レーザ加工装置1Bが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。また、以降では、主として、レーザ加工装置1Eが有する技術的特徴のうち、レーザ加工装置1Bと異なる点について詳述する。
【0064】
レーザ加工装置1Eは、レーザ加工装置1Bが備える構成要素に加えて、電源回生部41、発電部42、及び蓄電部43を備える。これらは、通信手段31及び電力伝送手段32に接続される。
【0065】
電源回生部41は、電動機13の逆起電力、より具体的には、電動機13の減速時の回生電流を、AC入力部113に回生する。電源回生部41は、この回生電流を、蓄電部43に蓄電してもよい。
【0066】
発電部42は、レーザ加工で発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、蓄電部43に蓄電する。より具体的には、発電部42は、レーザ発振器の発振時に排出される余剰熱や、加工時にワークから発生する熱エネルギーを回収し、蓄電部43に蓄電する。
【0067】
蓄電部43は、電源回生部41及び/又は発電部42から供給される電力を蓄電する。
【0068】
工作機械の省エネ化の技術のひとつとして、電動機の減速時の回生電流をAC電源に回生、もしくは蓄電部に蓄え再利用する技術が開発されている一方、レーザ加工装置においては高効率の固体レーザの開発が進んでいるものの、エネルギーを再利用する取り組みはあまり進んでいない。
【0069】
上記のように、本実施形態においては、レーザ発振器におけるエネルギーの回収方法として、レーザ発振時に発生する熱量、及び加工時にワークから発生する熱量を利用して発電する。
【0070】
具体的には、レーザ発振器は発振効率が数十パーセントなので、投入した電力の半分以上が排熱となって主に冷却水に回収される。また、レーザ光を照射されたワークは、加熱され、温度が上昇する。これらの熱エネルギーを回収し、発電部42により、電気エネルギーに変換し、蓄電部43へ蓄える。
【0071】
また、電源回生部41、発電部42、蓄電部43を基本ユニット11Eの通信手段31及び電力伝送手段32に接続し、数値制御部12がレーザ加工装置1Eのエネルギーの使用状況を判断して、使用電力が小さくなるように、電源回生部41、発電部42、蓄電部43の動作を制御することにより、最もエネルギー消費の少ないレーザ加工装置1Eの運転を実現する。なお、蓄電部43はコンデンサ等の容量性のもの、充電池、運動エネルギーへの変換装置でもよい。
【0072】
また、レーザ加工装置1Eの稼働率向上のため、停電発生時の処置が必要になる場合がある。従来、レーザ加工中に停電が起こると、即座にレーザ発振が停止し、レーザ加工装置においては、惰性でしばらく軸が移動し、やがて停止する。これにより、停電直前の加工条件や位置情報が失われるため、復電した後の再起動、加工再開に時間を取られたり、正確な加工再開が困難であったりした。また加工軸の落下により、ワークや加工ヘッドが損傷する場合もある。
【0073】
本実施形態のレーザ加工装置1Eでは、数値制御部12が停電を感知すると、蓄電部43に蓄えられた電力を利用し、電動機13を安全に停止し、停電直前のレーザ加工装置1Eの情報を数値制御部12内の不揮発性の記憶部へ格納することができ、復電したときの復旧動作を迅速かつ正確に行うことができる。
【0074】
〔第6実施形態が奏する効果〕
電動機の回生電力やレーザ加工時に発生する排熱エネルギーをレーザ加工装置全体で共有することができ、エネルギー効率に優れたレーザ加工装置を提供することができる。
また、数値制御部12が、電動機13やレーザ励起部15の運転状況と各部の電力を監視することにより、エネルギーの再利用をレーザ加工装置1E全体で制御し最適化することができ、最適な省エネ運転を実現することができる。
【0075】
〔第7実施形態〕
図7は、本発明の第7実施形態に係るレーザ加工システム10の機能ブロック図を示す。なお、以降では、レーザ加工システム10内のレーザ加工装置1F及び1G(以降では、場合により、これらを「レーザ加工装置1」と総称する)が備える構成要素のうち、レーザ加工装置1〜1Eが備える構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その説明を省略する。
【0076】
レーザ加工システム10は、レーザ加工装置1F及び1Gと、中央制御装置2とを備え、場合により、レーザ加工装置1F及び1Gとは別体となった数値制御部12F及び12G(以降では、場合により、これらを「数値制御部12」と総称する)を、更に備える。更に、レーザ加工システム10は、これらに加え、装置間接続手段35を備える。なお、
図7の例では、レーザ加工装置1として、レーザ加工装置1F及び1Gの2台のみ記載されているが、これには限定されず、レーザ加工システム10は、任意台数のレーザ加工装置1を備えることが可能である。
【0077】
また、レーザ加工装置1Fは、第3〜第6実施形態に係るレーザ加工装置1B〜1Eと同様に、通信手段31(31F)と、電力伝送手段32(32F)とを有する。通信手段31Fは、接続部22A及び22Cを備え、電力伝送手段32Fは、接続部22B及び22Dを備える。
【0078】
同様に、レーザ加工装置1Gは、通信手段31(31G)と、電力伝送手段32(32G)とを有する。通信手段31Gは、接続部22E及び22Gを備え、電力伝送手段32Gは、接続部22F及び22Hを備える。
【0079】
なお、レーザ加工装置1F及び1Gは、上記の第3〜第6実施形態に係るレーザ加工装置1B〜1Eと同一であってもよく、例えば公知のレーザ加工装置に通信手段31及び電力伝送手段32が付加されたレーザ加工装置であってもよい。また、レーザ加工装置1F及び1Gは、レーザ加工装置1B〜1Eと同様に、数値制御部12を自身の構成要素として備えてもよいが、自身の構成要素としては備えず、数値制御部12は、レーザ加工装置1F及び1Gとは別体として存在してもよい。すなわち、
図7に記載されるように、通信手段31Fが、レーザ加工装置1Fとは別体の数値制御部12Fに接続し、通信手段31Gが、レーザ加工装置1Gとは別体の数値制御部12Gに接続してもよい。
【0080】
中央制御装置2は、レーザ加工システム10全体を制御する装置であり、
図7に記載の例においては、レーザ加工装置1F及び1G、及び数値制御部12F及び12Gを制御する。
【0081】
また、装置間接続手段35Aは中央制御装置2に、装置間接続手段35Bは接続部22Aに接続しており、装置間接続手段35Aと装置間接続手段35Bとは、1つの組として、互いに連結されている。同様に、装置間接続手段35Cは接続部22Cに、装置間接続手段35Eは接続部22Eに接続しており、装置間接続手段35Cと装置間接続手段35Eとは、1つの組として、互いに連結されている。同様に、装置間接続手段35Dは接続部22Dに、装置間接続手段35Fは接続部22Fに接続しており、装置間接続手段35Dと装置間接続手段35Fとは、1つの組として、互いに連結されている。
【0082】
装置間接続手段35A及び35B、接続部22A、通信手段31F、接続部22C、装置間接続手段35C及び35E、接続部22E、通信手段31G、接続部22Gにより、稼働状況の情報は、中央制御装置2、レーザ加工装置1F、及びレーザ加工装置1Gの間で共有される。同様に、接続部22B、電力伝送手段32F、接続部22D、装置間接続手段35D及び35F、接続部22F、電力伝送手段32G、接続部22Hにより、再利用可能な電力は、レーザ加工装置1F、及びレーザ加工装置1Gの間で共有される。
【0083】
レーザ加工装置を1つの工場で複数台使用する場合を考えると、1台1台のレーザ加工装置が各々に最適な電力再利用をしていても、工場全体としては最適な効率でない場合が想定される。この解決策として、上記のように、複数のレーザ加工装置間に通信手段、電力伝送手段を接続し、稼働状況の情報と再利用可能な電力を共有する。工場全体を制御する為、複数のレーザ加工装置を統合制御する中央制御装置2を設けて、通信手段31F及び31Gに接続してもよいし、レーザ加工装置の数値制御部12の1台にホスト機能を持たせてもよい。
【0084】
〔第7実施形態が奏する効果〕
複数のレーザ加工装置が互いに接続することにより、複数のレーザ加工装置間でエネルギーを共有し、分配することが可能となり、工場全体の省エネルギーが実現できる。
【0085】
〔実施例〕
図8は、本発明の実施例としてのレーザ切断機1Hの構成を示す。なお、レーザ切断機1Hは、上記の第6実施形態に係るレーザ加工装置1Eを基礎としているため、同一の構成要素については、同一の符号を用いて示し、その詳細な説明を省略する。
【0086】
レーザ切断機1Hは、電動機13A〜13C(以降では、場合により、これらを「電動機13」と総称する)、レーザ励起部15、レーザ加工装置制御盤17、他レーザ加工装置への接続部22I及び22J、通信手段31、電力伝送手段32、発電部42、蓄電部43、空調機51、光ファイバ52、加工ヘッド53、及び加工テーブル54を備える。また、レーザ加工装置制御盤17は、基本ユニット11E及び電源回生部41を備え、基本ユニット11Eは、数値制御部12、電動機電流制御部14A〜14C(以降では、場合により、これらを「電動機電流制御部14」と総称する)、レーザ励起電流制御部16を備える。なお、
図8においては図示していないが、基本ユニット11Eは、更に、AC入力部111及び113、及び、AC/DC変換部112及び114を備える。
【0087】
電動機13Aは、加工ヘッド53に備わる。数値制御部12からの指令に基づいて、電動機電流制御部14Aが電動機13Aを駆動することにより、加工ヘッド53は移動する。また、電動機13B及び13Cは、加工テーブル54に備わる。数値制御部12からの指令に基づいて、電動機電流制御部14B及び14Cの各々が電動機13B及び13Cを駆動することにより、加工テーブル54は移動する。
また、電動機電流制御部14Aは電動機13Aに対応し、電動機13Aに供給される駆動電流を制御することにより、電動機13Aを駆動する。同様に、電動機電流制御部14Bは電動機13Bに対応し、電動機13Bに供給される駆動電流を制御することにより、電動機13Bを駆動する。同様に、電動機電流制御部14Cは電動機13Cに対応し、電動機13Cに供給される駆動電流を制御することにより、電動機13Cを駆動する。
【0088】
通信手段31及び電力伝送手段32は、基本ユニット11E、電源回生部41、発電部42、蓄電部43、他レーザ加工装置への接続部22I及び22Jを連絡する。これにより、稼働状況の情報、及び再利用可能な電力は、他のレーザ加工装置との間で共有される。
【0089】
レーザ励起部15は、レーザ励起電流制御部16によって駆動されることによりレーザ光を発生し、発生したレーザ光は、光ファイバ52を経由して、加工ヘッド53に到達する。また、レーザ励起部15が存在する領域は、空調機51によって空調管理される。
【0090】
本実施例ではレーザ発振器、及び電動機制御装置の構成要素であるAC入力部111及び113、AC/DC変換部112及び114、通信手段31、電力伝送手段32を一体化した基本ユニットを中心に、レーザ加工装置制御盤17を構成する。このような構成にすることにより、レーザ加工装置制御盤17内の配線が大幅に削減でき、無駄なスペースも省け、レーザ発振器の筐体を最小にすることが可能となっている。レーザ発振器はAC入力部113、AC/DC変換部114を電動機電流制御部14と共有とし、レーザ励起電流制御部16を基本ユニット11Eに実装することにより、その筐体はレーザ励起部15のみを内蔵するだけの小型なものにすることができる。
【0091】
これにより、結露対策として空調管理するのはレーザ励起部15だけでよいこととなり、空調機51の小型化とランニングコストの低減が実現できる。更に副次的な効果として、レーザ発振器の筐体が最小になるので、レーザ切断機1Hの構成において、レーザ励起部の配置の自由度が向上し、レーザ励起部15を加工ヘッド53により近いところに配置することができ、伝送用の光ファイバ52を短くできるメリットもあり好都合である。
【0092】
上記のように、レーザ切断機1Hにおける省エネルギー機能としての電動機13の電源回生部41、発電部42、停電時の対応に用いられる蓄電部43が実装される。
【0093】
電源回生部41には、電動機13の減速時に発生する起電力をAC電源へ戻すことによる省エネ効果が期待できる。
【0094】
また、停電時の軸退避や状態のバックアップ用の電力として、予めAC入力部111及び113から蓄電部43へ電力を蓄えておくこともできる。蓄電部43は、充電可能な二次電池でも、コンデンサを多数個使用したコンデンサバンクのようなものでも、回転電動機と慣性体を組み合わせた運動量保存装置でもよい。
【0095】
発電部42はレーザ発振器の発振時に排出される余剰熱、レーザ加工で発生する熱を用いて発電する。具体的にはゼーベック素子等の温度差を利用した発電方法が考えられる。発電部42で発生した電力も、AC電源に回生されるか、蓄電部43へ蓄えられるように構成するとよい。
【0096】
電力伝送手段32により、レーザ発振器と電動機13のAC/DC変換部114を一体化することにより、レーザ切断機1H全体のエネルギマネジメントを一本化することができ、エネルギー率の良いレーザ加工装置を実現することが出来る。これら省エネ機能に関する制御は通信手段31を通じて数値制御部12が司る。
【0097】
このようなレーザ切断機1H等のレーザ加工装置を、同じ工場で複数台使用する場合には、1台毎のエネルギー収支だけでなく、工場全体での管理が重要である。解決策として、各レーザ加工装置間で、余剰エネルギーとその状態情報を共有することが考えられる。本実施例では、各レーザ加工装置が電力伝送手段と通信手段を持つことを前提とし、他のレーザ加工装置と接続する接続部22I及び22Jを設けて、複数のレーザ発振器を数珠つなぎにする。これにより、余剰エネルギーを有効に共有し、分配することが可能となり、工場全体での省エネ稼働が実現できる。このエネルギーの管理には、1台のレーザ加工装置の数値制御部がホストコントローラとなり全体を制御してもよく、通信手段に対して、全体を統合制御するような新たに独立した制御装置を接続して、制御してもよい。
【0098】
図9は、本実施例における基本ユニット11Eの斜視図を示す。基本ユニット11Eは、1つの筺体内に、AC入力部113、AC/DC変換部114、機械接続部23A〜23L(これらを、以降では「機械接続部23」と総称することもある)、電気接続部24A〜24L(これらを、以降では「電気接続部24」と総称することもある)、通信手段31、及び電力伝送手段32を備える(基本ユニット11Eは、更に、AC入力部111及びAC/DC変換部112を備えてもよい)。また、電気接続部24A〜24Fは通信手段31上に備わり、電気接続部24G〜24Lは電力伝送手段32上に備わる。
【0099】
これらの機械接続部23A〜23L及び電気接続部24A〜24Lにより、各制御部は、基本ユニット11Eに直接実装できる。
機械接続部23による各制御部と基本ユニット11Eとの機械的な接合は、各制御部の質量に応じて、ネジ止めや凸部凹部の嵌めこみ機構を適宜用いるとよい。
また、各制御部はコネクタ等の電気接続部24を通して、基本ユニット11Eの通信手段31及び電力伝送手段32と電気的に接続される。この電気接続部24は、各制御部のいずれでも接続できるように構成すれば、各制御部の実装に自由度が増し、例えば装置稼働後に1軸追加したい場合等、拡張性が確保できる。このような場合には、各制御部が、それぞれの認識符号や個体別のパラメータを持ち、各制御部と数値制御部12との通信で数値制御部12がこれらを認識することで、数値制御部12が装置構成を確認し、信号分配を間違いなく自動的に行うことができる。これにより、設定ミス等のヒューマンエラーを防止できる。
【0100】
扱う電流が制御部間で大きく異なる場合には、電気接続部24を完全に共通化するよりも、接続先を限定した接続部をいくつか持つように構成した方がよい場合もある。
【0101】
あるいは、基本ユニット11Eにおいて、AC入力部113、AC/DC変換部114は、基本ユニット11Eに組み込まれてもよく、保守性を考慮して、簡単に基本ユニット11Eから分離できるように構成してもよい。また、各制御部が搭載した状態でも取り外せるように、背面からアクセスできるようにしてもよいし、
図10に示すように、機械接続部23及び電気接続部24に対して、直角に配置して、交換を容易とすることも可能である。
【0102】
図11は、各制御部の斜視図を示す。各制御部は、機械接続部25A及び25B(以降では、場合により、これらを「機械接続部25」と総称する)と、電気接続部26A及び26B(以降では、場合により、これらを「電気接続部26」と総称する)とを備える。
機械接続部25Aと基本ユニット11Eの機械接続部23A〜23Fのいずれかが係合し、機械接続部25Bと基本ユニット11Eの機械接続部23G〜23Lのいずれかが係合することにより、各制御部と基本ユニット11Eとは機械的に接続される。
また、電気接続部26Aと基本ユニット11Eの電気接続部24A〜24Fのいずれかが係合し、電気接続部26Bと基本ユニット11Eの電気接続部24G〜24Lのいずれかが係合することにより、各制御部と基本ユニット11Eとは電気的に接続される。なお、電気接続部26Aは制御信号の送受信のために用いられ、電気接続部26Bは電力の供給のために用いられる。また、各機械接続部25及び各電気接続部26の配置を、各制御部間で共通化しておいてもよい。
【0103】
〔変形例〕
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態に本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0104】
例えば、上記の第1〜第7実施形態を組み合わせることにより、新たな実施形態を実現してもよい。
より具体的には、第1〜4及び第6〜7実施形態において、第5実施形態と同様に、レーザ励起部15のみならず、レーザ励起電流制御部16も空調領域内に設置してもよい。
また、第1〜第5及び第7実施形態において、第6実施形態と同様に、レーザ加工装置が、電源回生部41、発電部42、蓄電部43のうち1つ以上を、更に備える構成とすることも可能である。
また、第1〜第6実施形態において、第7実施形態と同様に、数値制御部12を、レーザ加工装置とは別体の装置としてもよい。