特許第6619451号(P6619451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6619451電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619451
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20191202BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H05K7/20 U
   H05K7/20 G
   H05K7/20 H
   H05K7/20 B
   H05K7/18 K
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-557665(P2017-557665)
(86)(22)【出願日】2015年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2015086424
(87)【国際公開番号】WO2017109996
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 暁
(72)【発明者】
【氏名】福井 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 重匡
【審査官】 佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−204963(JP,A)
【文献】 特表2013−539876(JP,A)
【文献】 特開2004−311956(JP,A)
【文献】 特開2004−178557(JP,A)
【文献】 特開平11−066836(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/046778(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/035410(WO,A1)
【文献】 特開2007−128498(JP,A)
【文献】 特開2002−374086(JP,A)
【文献】 特開2003−347781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14、 7/18− 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の側面部を支持する複数の支柱と、
前記複数の支柱に沿って配列するように設けられているとともに、前記側面部から挿入される複数の電子機器の両側端部を各々把持する一対の支持部と、
前記側面部から挿入された前記複数の電子機器の先端部が互いに向き合うことによって前記複数の支柱に沿って前記筐体の内部に形成される空洞であって前記複数の電子機器が発生する熱が通過する排気回収ダクトと、
前記筐体の上面に設けられており前記排気回収ダクトに通じている上面排気口と、
前記複数の電子機器が発生する熱を前記排気回収ダクトを経由して前記上面排気口から排出させる送風機と、
を有し、
前記電子機器は、発熱する電子部品が搭載されている電子基板を含んでおり、
前記一対の支持部は、前記電子基板の側端部に形成された電気接点に対して電気的に接続するコネクタであり、
前記筐体は、熱伝導性を有する熱輸送部を含み、
前記電子機器は、前記熱輸送部に接続可能な接続部を含み、
前記複数の支柱は、筒型の部材であって、
前記筒型の部材の内側に、前記複数の電子機器が共用可能な収容スペースが形成されている
ことを特徴とする電子機器ラック。
【請求項2】
前記熱輸送部は、
前記収容スペース内に設けられている請求項に記載の電子機器ラック。
【請求項3】
複数の電子機器を搭載可能な電子機器ラックを具備する装置において、
前記電子機器ラックが、
筐体と、
前記筐体の側面部を支持する複数の支柱と、
前記複数の支柱に沿って配列するように設けられているとともに、前記側面部から挿入される前記複数の電子機器の両側端部を各々把持する一対の支持部と、
前記側面部から挿入された前記複数の電子機器の先端部が互いに向き合うことによって前記複数の支柱に沿って前記筐体の内部に形成される空洞であって前記複数の電子機器が発生する熱が通過する排気回収ダクトと、
前記筐体の上面に設けられており前記排気回収ダクトに通じている上面排気口と、
前記複数の電子機器が発生する熱を前記排気回収ダクトを経由して前記上面排気口から排出させる送風機と、
を有し、
前記電子機器は、発熱する電子部品が搭載されている電子基板を含んでおり、
前記一対の支持部は、前記電子基板の側端部に形成された電気接点に対して電気的に接続するコネクタであり、
前記筐体は、熱伝導性を有する熱輸送部を含み、
前記電子機器は、前記熱輸送部に接続可能な接続部を含み、
前記複数の支柱は、筒型の部材であって、
前記筒型の部材の内側に、前記複数の電子機器が共用可能な収容スペースが形成されている
ことを特徴とする電子機器ラックを具備する装置。
【請求項4】
前記熱輸送部は、
前記収容スペース内に設けられている請求項に記載の電子機器ラックを具備する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置に関し、特に、効率的な排気が必要な電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられる半導体集積回路、とりわけ情報処理装置のCPU(Central Processing Unit)に代表されるような半導体集積回路の進化は急激であり、高密度化・高発熱量化の一途をたどっているのは周知の事実である。これに伴い、半導体集積回路などの電子部品の冷却のため、ファンの実装数あるいは回転数を増加させており、装置の騒音値及び消費電力も上昇傾向にある。
【0003】
特に消費電力については、環境負荷低減の観点から省電力化の要望が強くなっている。また、サーバ機器などの電子機器ラック、その他ラック機器については、冷却性を保持しつつ配置効率や保守性を向上させることも課題となっている。これらユーザからの要求に応えるため、高効率冷却技術やラックソリューションの開発が行われてきている。
【0004】
従来の電子機器ラックは、1つの面に多段積みが可能なラックに構成されており、さらに給電用電源並びに冷却用ファン等を具備しており、独立して動作する電子機器を複数台収容する構成となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−74219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、そのような構成においては、電子機器の冷却風向について、冷却性の観点から入排気方向が一様となっており、ラックの背面などが排気エリアとなりこの排気エリア近傍の温度が上昇する。そのため、データセンタなどのように、同様の電子機器等収容したラックを複数台設置する必要がある環境においては、排気エリア付近に別のラックの入気エリアを近接させることは冷却上支障が生ずるおそれがある。これにより、従来、実質的なラック設置上の制約が生じ、そのような環境における電子機器等の配置効率を損なう要因となっている。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、冷却効率を維持しつつ配置スペースを抑制可能な電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明においては、筐体と、前記筐体の側面部を支持する複数の支柱と、前記複数の支柱に沿って配列するように設けられているとともに、前記側面部から挿入される複数の電子機器の両側端部を各々把持する一対の支持部と、前記側面部から挿入された前記複数の電子機器の先端部が互いに向き合うことによって前記複数の支柱に沿って前記筐体の内部に形成される空洞であって前記複数の電子機器が発生する熱が通過する排気回収ダクトと、前記筐体の上面に設けられており前記排気回収ダクトに通じている上面排気口と、前記複数の電子機器が発生する熱を前記排気回収ダクトを経由して前記上面排気口から排出させる送風機と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、複数の電子機器を搭載可能な電子機器ラックを具備する装置において、前記電子機器ラックが、筐体と、前記筐体の側面部を支持する複数の支柱と、前記複数の支柱に沿って配列するように設けられているとともに、前記側面部から挿入される前記複数の電子機器の両側端部を各々把持する一対の支持部と、前記側面部から挿入された前記複数の電子機器の先端部が互いに向き合うことによって前記複数の支柱に沿って前記筐体の内部に形成される空洞であって前記複数の電子機器が発生する熱が通過する排気回収ダクトと、前記筐体の上面に設けられており前記排気回収ダクトに通じている上面排気口と、前記複数の電子機器が発生する熱を前記排気回収ダクトを経由して前記上面排気口から排出させる送風機と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷却効率を維持しつつ配置スペースを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態による電子機器ラックの外観の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す電子機器ラックの側面図である。
図3図1及び図2に示す電子機器ラックの水平方向における断面の一例を示す断面図である。
図4図1及び図2に示す電子機器ラックの垂直方向における断面の一例を示す断面図である。
図5図4に示す電子機器ラックの上部を拡大した部分断面図である。
図6】複数の電子機器ラックの上部から排気が行われる態様の一例を示す斜視図である。
図7】複数の電子機器ラックを水平方向に等間隔で配置した様子の一例を示す断面図である。
図8】第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す斜視図である。
図9】第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す側面図である。
図10】第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。
図11】第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す斜視図である。
図12】第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す側面図である。
図13】第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。
図14】第4の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。
図15】第4の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。
図16】第5の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0013】
(1)第1の実施の形態による電子機器ラックの構成
図1は、第1の実施の形態による電子装置の一部を構成する電子機器ラック100の外観の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す電子機器ラック100を側面から見た場合における外観の一例を示す側面図である。
【0014】
図1に示すように電子機器ラック100は、例えば4つの側面(以下「側面部」ともいう)を有する筐体19の側面部に対して電子機器2の一例としての電子基板を複数挿抜可能な構成となっている。なお、電子機器2は、電子基板のみならず、その他の電子機器であっても良いことはいうまでもない。筐体19は、側面部から多数の電子機器2を一定間隔で重なるように挿入可能であり、これら多数の電子機器2を収容することができる。
【0015】
筐体19は、矩形の底部を構成する電源ユニット4の角部から4つの支柱としての共通機能部5が垂直方向に延びている。隣接する複数の角部から延びる複数の共通機能部5は上述した各側面部を支持している。さらに共通機能部5は、筐体19の上部を構成する冷却ユニット3に電力を供給する一方、収容されている各電子機器2に電力を供給する。冷却ユニット3は、多数の電子機器2を収容する筐体19の内部に図示しないファンで冷却風を循環させてこれら電子機器2を冷却する。併せて、この冷却ユニット3は、電子機器2が発生する熱を排気冷却風7として電子機器ラック100の上面排気口3Aから排出したり、その排気冷却風7から熱を回収して再利用することにより回生する機能も有する。
【0016】
図3(A)及び図3(B)は、それぞれ、図1及び図2に示す電子機器ラック100の水平方向における断面の一例を示す断面図である。なお、図3に示す断面構成例は、図1及び図2に示す電子機器ラック100を接地面に垂直な平面で切断した場合における上面図である。図3(A)は、電子機器2が筐体19に対して装着済みの様子を示しており、図3(B)は、筐体19から電子機器2が取り外された様子を示している。
【0017】
上述のように各共通機能部5は、筐体19の四隅に設けられており、矩形の筒形状となっているが、図3(A)及び図3(B)においては断面構成であるため、ほぼ矩形となっている。各共通機能部5は、その外周面のうち筐体19の内側に面する2つの側面に沿って垂直方向に多数のコネクタ5Aが設けられている。
【0018】
図3(B)に示すように筐体19の四隅には、電子機器2の両側端を支持するように複数のコネクタ5Aが設けられている。図3(A)に示すように電子機器2を筐体19に対して挿入すると、この電子機器2は、その両側端に形成された電極とコネクタ5Aの電極との間で電気的に導通する構成となっている。
【0019】
そのように筐体19に各々装着された複数の電子機器2の先端によって筐体19の中心部には、後述する冷却風が通過する排気回収ダクト8が構成されている。このような構成とすると、これら複数の電子機器2の先端には、電子機器2側の一方コネクタや当該一方のコネクタが装着される筐体19側の他方のコネクタが存在しなくて良いことになるため、後述する冷却風の通風抵抗がより小さくなり、より多くの冷却風が通過しやすくなる。
【0020】
次に、本実施形態による電子機器ラック100の構造による通風抵抗及び各電子機器2の冷却風量の確保に関して説明する。図4は、図1及び図2に示す電子機器ラックの垂直方向における断面の一例を示す断面図であり、図5は、図4に示す電子機器ラックの上部を拡大した部分断面図である。
【0021】
図4に示すように、冷却風6は、多数の電子機器2が装着された筐体19の側面部から流入し、電子機器2に搭載された電子部品9近傍を通過した後に排気回収ダクト8に流出する。このように排気回収ダクト8内に流入した排気は、冷却部ユニット3のファン3Cによって排気回収ダクト8内を通過して筐体19の上部に運ばれ、排気冷却風7として上面排気口3Aから外部に排出される。
【0022】
なお、このような構造において、電子機器ラック100に搭載された電子機器2の搭載位置によっては、電子機器2自体の通風抵抗を除いた入気冷却風6から排気冷却風7に至る経路での通風抵抗が異なるため、筐体19に搭載された全ての電子機器2が例えば同一であり、かつ、同一の通風抵抗である場合、一見すると、筐体19に搭載された全ての電子機器2に均一の冷却風の風量を供給することがし難いようにも見えることも考えられる。しかしながら、このような冷却風量の供給に関する問題がありうる場合でも、例えば、筐体19及び電子機器2などに、図5に示すような通風抵抗調整板62を設ける等すれば、全ての電子機器2が必要な冷却風量を得られるような構成とすることができるようになる。
【0023】
図6は、本実施形態による電子機器ラック100を複数設置し、各電子機器ラック100からの排気を排気輸送管37を経由して回収する構成の一例を示している。図示のように各電子機器ラック100の上部には排気輸送管37が結合されている。このような排気輸送管37が各電子機器ラック100に接続されていると、各電子機器ラック100の筐体19内の排気を効率的に回収し、活用することができるようになる。
【0024】
ところで、本実施の形態による電子機器ラック100は、その筐体19内に挿入して搭載された全ての電子機器2の排気が電子機器ラック100の内部で排気回収ダクト8に集められた上で上方に排出される構成であることから、排気口3Aに排気輸送管37を設けて上記排気を大気中に巻き散らすことなく輸送することが可能となる。これにより、排気中の熱エネルギーの活用や、電子機器ラック100の設置環境における空調エネルギーを抑制する効果を発揮することができる。
【0025】
図7は、本実施の形態による電子機器ラック100を複数設置した場合の配置例を示す断面図である。本実施の形態による電子機器ラック100の構造によれば、その側面(上記側面部に相当)が全て、搭載する電子機器2の入気面となることから、電子機器2の排気及びその排気に含まれる熱の影響を考慮して、隣り合う電子機器ラック100同士間のスペース60,61を余分に大きく確保する必要がなくなる。
【0026】
従って、電子機器ラック100同士間のスペース60,61は、保守等で必要な程度のスペースを確保すれば済むため、以上のような構成によれば、電子機器ラック100を具備する装置の設置環境における配置効率の最適化を図ることが可能となる。
【0027】
(2)第2の実施の形態
図8は、第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す斜視図であり、図9は、第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す側面図であり、図10は、第2の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。なお、これら図8図10は、それぞれ、第1の実施の形態における図1図3に対応している。
【0028】
既述の第1の実施の形態における電子機器ラック100は、筐体19が四角柱形状であり、4つの側面(側面部)を有するのに対し、第2の実施の形態による電子機器ラック100Aは、図8及び図10に示すように筐体19Aが三角柱形状であり、3つの側面(側面部)を有する。
【0029】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とほぼ同様な構成及び機能については説明を省略する。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態とほぼ同様な機能を有する部材については、主として、各符号の後に「A」を付した符号を用いて図示している。共通機能部15は、第1の実施の形態による共通機能部5に対応しているが、その断面が既述の第1の実施の形態とは異なっている。
【0030】
このような構成によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を発揮することができる。
【0031】
(3)第3の実施の形態
図11は、第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す斜視図であり、図12は、第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す側面図であり、図13は、第3の実施の形態による電子機器ラックの構成例を示す断面図である。なお、これら図11図13は、それぞれ、第1の実施の形態における図1図3に対応している。
【0032】
既述の第1の実施の形態における電子機器ラック100は、筐体19が四角柱形状であり、4つの側面(側面部)を有し、既述の第1の実施の形態における電子機器ラック100は、筐体19が三角柱形状であり、3つの側面(側面部)を有するのに対し、第3の実施の形態による電子機器ラック100Bは、図8及び図10に示すように筐体19Aが三角柱形状であり、3つの側面(側面部)を有する。
【0033】
第3の実施の形態では、第1又は第2の実施の形態とほぼ同様な構成及び機能については説明を省略する。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態とほぼ同様な機能を有する部材については、主として、各符号の後に「B」を付した符号を用いて図示している。共通機能部105は、第1の実施の形態による共通機能部5に対応しているが、その断面が既述の各実施の形態とは異なっている。
【0034】
このような構成によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を発揮することができる。
【0035】
(4)第4の実施の形態
図14及び図15は、第4の実施の形態による電子機器ラック100Cの構成例を示す断面図である。図14は、筐体19に対して電子機器2Cが装着された状態を示している一方、図15は、筐体19から電子機器2Cを取り外した状態を示している。これら図14及び図15は、電子基板上の各電子部品は省略されているが、それぞれ、第1の実施の形態における図3(A)及び図3(B)に対応している。
【0036】
(4−1)基本的な構造
図14及び図15に示す構成例では、1つの電子機器2Cについては具体的な構成を示す一方、残り3つの電子機器2Cについては具体的な構成を省略している。第4の実施の形態では、共通機能部5の用途に特徴がある。共通機能部5は、電子機器ラック100Cに収容される複数の電子機器2Cの間で共通化を図るために、例えば、給電、冷却及び信号伝送のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの機能を共通機能として具備し、各機能を発揮する部品の収容エリアとしている。
【0037】
具体的には、この共通機能部5は、次のような3つの機能のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの機能を発揮する。
【0038】
(4−1−1)第1の機能(給電部材収容機能)
第1の機能としては、電子機器ラック100Cに搭載された複数の電子機器2Cが筐体19の内部及び外部に設置された電源から電飾供給を受ける母線としての金属棒(以下「電力線」という)を収容する機能を例示することができる。
【0039】
具体的には、この給電線は、例えば共通機能部5の長手方向に沿って長く設けられており、各電子機器2Cが搭載される電力線の位置に、それぞれ、上記電力線に電気的に接続されている各共通給電部41が設けられている。電子機器2Cには、共通給電部41に対して挿抜可能なコネクタである共通給電部用接続部42が設けられている。
【0040】
このような構成によれば、電子機器ラック100Cに搭載した複数の電子機器2Cに対してまとめて電力を供給することができるため、保守作業を行いやすくすることができる。
【0041】
(4−1−2)第2の機能(熱輸送部材収容機能)
第2の機能としては、電子機器ラック100Cに搭載された複数の電子機器2Cの発生熱量が大きい際に、発生する熱を熱伝導によりラック上方の冷却部ユニット3等に直接輸送するための熱輸送管を収容する機能を例示することができる。
【0042】
具体的には、そのような熱輸送管としては、例えば共通機能熱輸送部33を例示することができる。一方、電子機器2Cには、電子機器受熱部31及び共通熱輸送部用接続部32が設けられている。電子機器受熱部31は、電子機器2Cに搭載されている各電子部品9に接続されており、各電子部品9が発生した熱を受け取り共通熱輸送部用接続部32に伝達する。
【0043】
共通熱輸送部用接続部32は、例えばヒートパイプであり、電子機器2Cを取り外し状態(図15参照)から取り付け状態(図14参照)とすると、上記共通機能熱輸送部33に挿抜可能に接続される。共通熱輸送部用接続部32は、上述のように自ら(共通熱輸送部用接続部32)に伝達された各電子部品9の熱を共通機能部5の内部の共通機能熱輸送部33に伝達し、その熱が筐体19の外部に排出される。
【0044】
このようにすると、電子機器2C上の各電子部品9の熱を共通機能部5の内側に留め、電子機器2Cの冷却効率を向上することができる。
【0045】
(4−1−3)第3の機能(伝送路収容機能)
第3の機能としては、電子機器ラック100Cに搭載された複数の電子機器2Cの制御や、電子機器2C同士の信号のやり取りを可能とする光、電気等の伝送経路を収容する機能を例示することができる。
【0046】
具体的には、そのような伝送経路としては、図14及び図15において左側の共通機能部5の内部に図示した共通伝送部51を例示することができることができる。一方、電子機器2Cには、各電子部品9に接続されている共通伝送部用接続部52が設けられており、この共通伝送部用接続部52が共通機能部5の内部の共通伝送部51に接続可能な構成となっている。
【0047】
このように電子機器2Cが筐体19に装着されて、電子機器2C側の共通伝送部用接続部52が筐体19側の共通伝送部51に接続されると、電子機器2Cが共通伝送部51を介して電子機器ラック100の他の電子機器2Cなどとの間で信号のやり取りを行うことができるようになる。
【0048】
このようにすると、電子機器ラック100Cに搭載した複数の電子機器2C同士における信号のやり取りに必要な配線を引き回す必要がないばかりでなく、共通伝送部51を共通機能部5の内部に収容できるようになる。このため、共通機能部5が筐体19において側面に露出していることから、共通機能部5の収容物に対する保守作業が行い易くなるばかりでなく、保守費用を抑制することができる。また共通機能部5を用いることにより、使用部品点数を減らすことができるため、エネルギー消費を抑制することができる。
【0049】
このような構成によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を発揮できるとともに、以上のような各機能による効果を発揮することができるようになる。
【0050】
(5)第5の実施の形態
図16は、第5の実施の形態による電子機器ラック100Dの構成例を示す断面図である。図示の例は、筐体19に対して電子機器2Cが装着された状態を示している。図16は、電子基板上の各電子部品は省略されているが、第1の実施の形態における図3(A)に対応している。図16に示す構成例では、1つの電子機器2Cについては具体的な構成を示す一方、残り3つの電子機器2Cについては具体的な構成を省略している。
【0051】
第5の実施の形態では、第4の実施の形態における上記第2の機能において、既述の熱輸送管の一例としての共通機能熱輸送部33が、共通機能部5の内部の代わりに排気回収ダクト8内に設けられている。これに伴い、電子機器2Cにおいては、例えばヒートパイプである共通熱輸送部用接続部32が筐体19の内部に向けて延びて共通機能熱輸送部33に接続された構成となっている。
【0052】
このような構成とすると、共通機能熱輸送部33が、電子機器2Cが発生した熱の廃熱のために元々設けられている排気回収ダクト8に設けられているため、電子機器2Cから伝達した熱が共通機能熱輸送部33を伝送している間にも冷却されるようになり、冷却効率をより向上することができる。
【0053】
(6)その他の実施の形態
上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施の形態では、電子機器ラックン搭載する電子機器の一例として電子基板を例示して説明したが、特にこれにこだわるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、複数の電子機器を搭載する電子機器ラック及び電子機器ラックを具備する装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
2,2B,2C……電子基板(電子機器の一例)、8、8A,8B……排気回収ダクト、19……筐体、31……電子機器受熱部、32……共通熱輸送部用接続部、33……共通機能熱輸送部、100,100A,100B,100C,100D……電子機器ラック。
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