(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたようにインピーダンスを整合した場合でも、信号の周波数が高くなるに従って、信号の歪みなどの信号の劣化が生じるおそれがある。即ち、高周波数の信号を伝送する場合、インピーダンス整合だけでは、良好な周波数特性が得られない。
【0006】
そこで、本発明は、差動対を備えるコネクタであって、良好な周波数特性を得るための新たな構造を有するコンタクトを備えるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、
回路基板に搭載可能であり、且つ、相手側コネクタと嵌合方向に沿って嵌合可能なコネクタであって、
前記コネクタは、ハウジングと、信号伝送用の2以上の信号コンタクト及び所定電位に維持される2以上の所定コンタクトを含む複数のコンタクトとを備えており、
前記ハウジングは、前記コンタクトの夫々を保持しており、
前記コンタクトの夫々は、前記嵌合方向に沿って延びる水平部と、前記嵌合方向と交差する交差方向に沿って延びる交差部と、前記交差部から延びて前記コネクタの使用時に前記回路基板に固定される被固定部と、前記水平部と前記交差部とを互いに連結する連結部とを有しており、
前記コンタクトは、1以上の第1コンタクト群を含んでおり、
前記第1コンタクト群の夫々は、2つの前記信号コンタクトからなる1つの差動対と、2つの前記所定コンタクトとからなり、
前記第1コンタクト群の夫々において、前記コンタクトは、前記嵌合方向と直交するピッチ方向に並んでおり、且つ、前記差動対は、前記ピッチ方向における前記所定コンタクトの間に位置しており、
前記第1コンタクト群の夫々において、前記所定コンタクトの前記連結部及び前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記信号コンタクトの前記連結部及び前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズよりも夫々大きい
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記第1コンタクト群の夫々において、前記所定コンタクトの前記水平部は、前記嵌合方向に沿って延びる主部と、前記主部から前記ピッチ方向外側に突出した被圧入部とを有しており、且つ、前記所定コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記所定コンタクトの前記主部の前記ピッチ方向におけるサイズよりも大きい
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記第1コンタクト群の夫々において、前記信号コンタクトの前記水平部は、前記嵌合方向に沿って延びる主部と、前記主部から前記ピッチ方向外側に突出した被圧入部とを有しており、且つ、前記2つの信号コンタクトの前記交差部の間の前記ピッチ方向における距離は、前記2つの信号コンタクトの前記主部の間の前記ピッチ方向における距離よりも短い
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第1から第3までのいずれかのコネクタであって、
前記コンタクトは、2以上の前記第1コンタクト群を含んでおり、
前記2以上の第1コンタクト群における前記コンタクトは、前記ピッチ方向に並んでおり、
前記第1コンタクト群の夫々において、互いに隣接する前記信号コンタクト及び前記所定コンタクトの前記交差部の間の前記ピッチ方向における距離は、前記2つの信号コンタクトの前記交差部の間の前記ピッチ方向における距離よりも長い
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1から第4までのいずれかのコネクタであって、
前記コネクタが前記回路基板に搭載されたとき、前記コンタクトの夫々において、前記交差部の前記交差方向におけるサイズは、前記連結部と前記回路基板との間の前記交差方向における距離の2/3以上である
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1から第5までのいずれかのコネクタであって、
前記コネクタは、導電体からなるミッドプレートを備えており、
前記コンタクトは、前記ピッチ方向に並んだ複数の上側コンタクトと、前記ピッチ方向に並んだ複数の下側コンタクトとを含んでおり、
前記上側コンタクトは、1以上の前記第1コンタクト群を含んでおり、
前記上側コンタクトの前記水平部は、前記嵌合方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する上下方向において、前記下側コンタクトの前記水平部の上方に位置しており、
前記ミッドプレートは、前記上下方向において、前記上側コンタクトの前記水平部と前記下側コンタクトの前記水平部との間に位置しており、
前記ミッドプレート及び前記上側コンタクトを上方から見たとき、前記第1コンタクト群の前記コンタクトの夫々において、前記水平部は、少なくとも部分的に前記ミッドプレートと重なっている一方、前記連結部は、前記ミッドプレートと全く重なっていない
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記下側コンタクトは、1以上の前記第1コンタクト群を含んでおり、
前記上側コンタクトの前記第1コンタクト群における前記所定コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記下側コンタクトの前記第1コンタクト群における前記所定コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズよりも大きい
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第6又は第7のコネクタであって、
前記下側コンタクトは、1以上の前記第1コンタクト群を含んでおり、
前記上側コンタクトの前記第1コンタクト群における前記信号コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記下側コンタクトの前記第1コンタクト群における前記信号コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズよりも小さい
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第6から第8までのいずれかのコネクタであって、
前記下側コンタクトは、前記第1コンタクト群と異なる第2コンタクト群を含んでおり、
前記第2コンタクト群は、前記ピッチ方向に並んだ4つの前記信号コンタクトからなり、
前記第2コンタクト群の前記4つの信号コンタクトにおいて、前記ピッチ方向の内側に位置する内側コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記ピッチ方向の外側に位置する外側コンタクトの前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズよりも大きい
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第9のコネクタであって、
前記上側コンタクトの前記信号コンタクトの夫々における前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズは、前記第2コンタクト群の前記外側コンタクトにおける前記交差部の前記ピッチ方向におけるサイズと同じである
コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第11のコネクタとして、第9又は第10のコネクタであって、
前記第2コンタクト群の前記内側コンタクトは、USB2.0規格に準拠している
コネクタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第12のコネクタとして、第1から第11までのいずれかのコネクタであって、
前記第1コンタクト群の前記信号コンタクトは、USB3.1規格に準拠している
コネクタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第13のコネクタとして、第1から第12までのいずれかのコネクタであって、
前記コンタクトの前記被固定部は、前記コネクタの使用時に、SMT(Surface Mount technology)又はTHT(Through Hole technology)によって前記回路基板に固定される
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、2つの信号コンタクトからなる差動対は、ピッチ方向において、所定電位に維持される2つの所定コンタクトの間に位置している。より具体的には、電源コンタクトやグランドコンタクトが、高速信号伝送用の差動対をピッチ方向に挟んでいる。特に、所定コンタクトの連結部及び交差部のピッチ方向におけるサイズは、信号コンタクトの連結部及び交差部のピッチ方向におけるサイズよりも夫々大きい。即ち、電源コンタクトやグランドコンタクトは、幅広部を有している。この幅広部は、水平部と交差する交差部から水平部と交差部とを連結する連結部まで亘っており、これにより伝送信号の歪みが抑制される。本発明によれば、上述の構造により、信号コンタクトにおける信号の周波数が高くなった場合にも、信号の歪みなどの信号の劣化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1、
図2、
図6及び
図7を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、絶縁体からなるハウジング20と、導電体からなるシェル30と、導電体からなるミッドプレート38と、導電体からなる複数のコンタクト40とを備えている。
【0023】
以下、本実施の形態のコネクタ10の構造及び機能について説明する。
【0024】
図1から
図4までと
図6とを参照すると、ハウジング20は、嵌合部210と、基部220と、板状部230と、底部280とを有している。
図1から
図4までを参照すると、底部280は、上下方向(Z方向)においてハウジング20の下端(−Z側の端)に位置しており、Z方向と直交する水平面(XY平面)に沿って延びている。底部280は、基部220の下端部を保持しており、基部220の下端部以外の部位は、底部280の上に位置している。
図6を参照すると、板状部230は、全体としてXY平面と平行な平板形状を有しており、基部220から前後方向(X方向)に沿って前方(+X方向)に延びている。
図1から
図3までを参照すると、嵌合部210は、筒形状を有しており、基部220からX方向に沿って前方に延びている。嵌合部210は、直交平面(YZ平面)において板状部230を囲んでいる。
【0025】
図1から
図4までを参照すると、シェル30は、曲げを有する1枚の金属板であり、本体部310と、4つの脚部380とを有している。本体部310は、ハウジング20の上面(+Z側の面)、ピッチ方向(Y方向)における両側面、及び、後面(−X側の面)を覆っている。脚部380は、本体部310から下方(−Z方向)に延びている。
【0026】
図5を参照すると、コネクタ10は、回路基板80に搭載可能であり、例えば電子機器(図示せず)に組み込まれて使用される。即ち、コネクタ10は、基板コネクタである。特に、本実施の形態によるコネクタ10は、使用時に、Z方向において回路基板80の上面80U上に搭載される。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10は、使用時に、回路基板80に形成された孔や凹みに部分的に挿入されてもよい。
【0027】
コネクタ10は、レセプタクルであり、プラグである相手側コネクタ85と嵌合方向(X方向:前後方向)に沿って嵌合可能である。コネクタ10と相手側コネクタ85とが互いに嵌合した嵌合状態において、相手側コネクタ85の相手側嵌合部(
図5の破線参照)は、コネクタ10の嵌合部210の内部に挿入される。
【0028】
本実施の形態のハウジング20及びシェル30は、上述した構造を有している。但し、ハウジング20及びシェル30の構造は、相手側コネクタ85と嵌合可能な基板コネクタを構成できる限り、これに限られない。更に、コネクタ10は、シェル30を備えていなくてもよい。
【0029】
図2及び
図6を参照すると、本実施の形態におけるコンタクト40は、複数の上側コンタクト50と、複数の下側コンタクト55とを含んでいる。
図11に示されるように、上側コンタクト50は、Y方向に一列に(一直線に)並んでおり、これにより上側コンタクト50の列(上側列)が形成されている。
図12に示されるように、下側コンタクト55は、Y方向に一列(一直線に)に並んでおり、これにより下側コンタクト55の(下側列)が形成されている。
【0030】
図7及び
図8を参照すると、上側コンタクト50の上側列及び下側コンタクト55の下側列の垂直面(XZ平面)における位置は、互いに異なっている。即ち、本実施の形態におけるコンタクト40は、XZ平面において互いに異なる位置にある上側列及び下側列の2列に分けられている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト40は、上側列のみを構成していてもよい。換言すれば、コンタクト40の全てが、上側コンタクト50であってもよい。一方、コンタクト40は、上側コンタクト50及び下側コンタクト55に加えて、更に別のコンタクト40を含んでいてもよい。
【0031】
図11及び
図12を参照すると、本実施の形態において、上側コンタクト50は、12のコンタクト40からなり、下側コンタクト55は、12のコンタクト40からなる。但し、本発明による上側コンタクト50の数や下側コンタクト55の数は、これに限られない。また、上側コンタクト50の数は、下側コンタクト55の数と異なっていてもよい。
【0032】
図11及び
図12に示されるように、コンタクト40(上側コンタクト50及び下側コンタクト55)の形状及びサイズは、互いに多少異なっている。但し、全てのコンタクト40は、互いに同じ基本構造を有している。より具体的には、コンタクト40の夫々は、水平部410と、連結部420と、交差部430と、被固定部480とを有している。水平部410は、X方向に沿って延びている。交差部430は、X方向と交差する交差方向に沿って延びている。連結部420は、XZ平面において曲がりつつ延びており、水平部410と交差部430とを互いに連結している。被固定部480は、交差部430から、全体として下方に延びている。
【0033】
本実施の形態において、コネクタ10(
図5参照)は、ライトアングルタイプのコネクタであり、交差部430が延びる交差方向は、X方向と直交するZ方向である。即ち、コンタクト40の夫々において、水平部410と交差部430とは、互いに直交する方向に夫々延びている。換言すれば、水平部410と交差部430との交差角度は、90°である。但し、本発明は、これに限られない。水平部410と交差部430との交差角度は、90°より小さくてもよく、大きくてもよい。換言すれば、交差部430は、X方向と斜交する方向に沿って延びていてもよい。但し、回路基板80(
図5参照)におけるコネクタ10(
図5参照)の搭載面積を小さくするという観点から、交差部430は、公差範囲内において、嵌合方向(X方向)と直交するZ方向に沿って延びていることが好ましい。
【0034】
図9及び
図10に示されるように、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、水平部410は、連結部420の前端(+X側の端)から前方(+X方向)に延びており、主部410Mと、複数の被圧入部410Pとを有している。主部410Mは、水平部410の前端と後端(−X側の端)との間を、X方向に沿って直線状に延びている。被圧入部410Pの夫々は、主部410MからY方向外側に突出している。本実施の形態における被圧入部410Pの数は4である。但し、本発明における被圧入部410Pの数は4に限られない。また、被圧入部410Pは、必要に応じて設ければよい。
【0035】
上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、水平部410は、接触部412と、被保持部414とを有している。被保持部414は、連結部420の前端から前方に延びている。被圧入部410Pは、被保持部414に設けられている。接触部412は、被保持部414の前端から前方に延びている。
【0036】
図6を
図9及び
図10と併せて参照すると、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、被保持部414は、ハウジング20の基部220に圧入されて保持されている。即ち、ハウジング20は、コンタクト40の夫々を保持している。上述したように、本実施の形態において、コンタクト40の夫々は、ハウジング20に圧入されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト40の夫々は、ハウジング20にインサート成型されていてもよい。
【0037】
接触部412は、基部220から、板状部230に形成された溝の内部を通って前方に延びている。
図3を参照すると、上側コンタクト50の接触部412は、板状部230の上面に位置しており、Y方向に等間隔で並んでいる。下側コンタクト55の接触部412は、板状部230の下面(−Z側の面)に位置しており、Y方向に等間隔で並んでいる。接触部412は、コネクタ10の嵌合状態において、相手側コネクタ85(
図5参照)の対応する相手側コンタクト(図示せず)と接触する。
【0038】
図13及び
図14に示されるように、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、交差部430は、連結部420の下端から下方に延びている。
図13を
図11と併せて参照すると、上側コンタクト50の夫々において、被固定部480は、交差部430の下端から下方に延びた後、後方に延びている。
図14を
図12と併せて参照すると、6つの下側コンタクト55の夫々において、被固定部480は、交差部430の下端から後方に延びた後に下方に延びている。他の6つの下側コンタクト55の夫々において、被固定部480は概ね下方に延びている。
【0039】
図5、
図11及び
図12を参照すると、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、被固定部480は、コネクタ10の使用時に、回路基板80に半田付け等によって固定され、導電パターン(図示せず)に接続される。詳しくは、上側コンタクト50の被固定部480は、回路基板80の上面80Uに固定され、下側コンタクト55の被固定部480は、回路基板80に形成されたスルーホール(図示せず)に挿入されて固定される。即ち、コンタクト40の被固定部480は、コネクタ10の使用時に、SMT(Surface Mount technology)又はTHT(Through Hole technology)によって回路基板80に固定される。
【0040】
本実施の形態によれば、上側コンタクト50の夫々は、SMTコンタクトであり、下側コンタクト55の夫々は、THTコンタクトである。下側コンタクト55の被固定部480は、上述したようにX方向において2列に分かれており、これにより、XY平面において、互いに距離をあけるように配置されている。このため、互いに隣接する下側コンタクト55の水平部410の間のY方向における距離(ピッチ)が短い場合でも、回路基板80にスルーホールを形成し易い。但し、本発明は、これに限られず、コンタクト40の被固定部480の配置や回路基板80への固定方法は、様々に変形可能である。
【0041】
図11及び
図12を参照すると、コンタクト40は、複数の信号コンタクト40Sと、複数の所定コンタクト40Pとから構成されている。信号コンタクト40Sの夫々は、コネクタ10(
図5参照)の使用時に、回路基板80(
図5参照)の信号ライン(図示せず)に接続され、様々な信号を伝送する。所定コンタクト40Pの夫々は、コネクタ10の使用時に、回路基板80の電源ライン(図示せず)やグランドライン(図示せず)に接続され、電源電位やグランド電位などの所定の固定電位(所定電位)に維持される。即ち、コンタクト40は、信号伝送用の2以上の信号コンタクト40Sと、所定電位に維持される2以上の所定コンタクト40Pとを含んでいる。
【0042】
図7から
図9までを参照すると、本実施の形態によれば、ミッドプレート38は、平板形状を有しており、XY平面に沿って延びている。また、ミッドプレート38には、複数の孔が形成されている。但し、本発明は、これに限られず、ミッドプレート38の構造は、様々に変形可能である。
【0043】
図6を参照すると、ミッドプレート38は、ハウジング20の基部220及び板状部230に保持されている。
図3及び
図6を参照すると、ミッドプレート38は、X方向において、板状部230の前端と基部220の後端近傍との間を延びており、Y方向において、板状部230の両側部の間を延びている。
図5を参照すると、シェル30の脚部380は、コネクタ10の使用時に回路基板80に半田付け等によって固定されグランドされる。
図6を参照すると、ミッドプレート38は、シェル30と接触しており(図示せず)、コネクタ10の使用時に、シェル30と同じグランド電位に維持される。
【0044】
図7から
図9までを参照すると、上側コンタクト50の水平部410は、Z方向において、下側コンタクト55の水平部410の上方に位置している。ミッドプレート38は、Z方向において、上側コンタクト50の水平部410と下側コンタクト55の水平部410との間に位置している。詳しくは、上側コンタクト50の夫々において、水平部410の大部分は、ミッドプレート38の真直ぐ上に位置しており、下側コンタクト55の夫々において、水平部410を含む殆どの部位は、ミッドプレート38の真直ぐ下に位置している。本実施の形態によれば、ミッドプレート38によって、上側コンタクト50の水平部410と下側コンタクト55の水平部410との間の電磁的結合が抑制される。但し、本発明は、これに限られず、ミッドプレート38は、必要に応じて設ければよい。
【0045】
以下、本実施の形態のコンタクト40の構造及び機能について更に詳細に説明する。
【0046】
図3を参照すると、本実施の形態におけるコネクタ10は、USB3.1 TYPE−Cのレセプタクルであり、コンタクト40は、以下に説明するように、この規格に準拠した構造を有している。
【0047】
図11及び
図12に示されるように、コンタクト40は、4つの第1コンタクト群60と、2つの第2コンタクト群70とを含んでいる。上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、第2コンタクト群70は、Y方向における2つの第1コンタクト群60の間に位置している。第1コンタクト群60の夫々は、2つの信号コンタクト40Sからなる1つの差動対62(差動伝送のための対)と、2つの所定コンタクト40Pとから構成されており、第2コンタクト群70の夫々は、4つの信号コンタクト40Sから構成されている。
【0048】
第1コンタクト群60の夫々において、差動対62(2つの信号コンタクト40S)及び2つの所定コンタクト40Pは、Y方向に並んでおり、且つ、差動対62は、Y方向における所定コンタクト40Pの間に位置している。第1コンタクト群60の夫々において、差動対62の2つの信号コンタクト40Sは、高速信号伝送用の2つの信号コンタクト60Sとして機能する。第1コンタクト群60の夫々において、Y方向外側の所定コンタクト40Pは、グランド用のグランドコンタクト60Gとして機能し、Y方向内側の所定コンタクト40Pは、電源供給用の電源コンタクト60Pとして機能する。
【0049】
第2コンタクト群70の夫々において、4つの信号コンタクト40Sは、Y方向に並んでおり、これにより、Y方向の内側に位置する2つの内側コンタクト70Sと、Y方向の外側に位置する2つの外側コンタクト70B,70Cとに分かれている。第2コンタクト群70の夫々において、内側コンタクト70Sの夫々は、非高速信号伝送用の信号コンタクト70Sとして機能する。第2コンタクト群70の夫々において、外側コンタクト70B,70Cの一方は、サイドバンドの信号コンタクト70Bとして機能し、外側コンタクト70B,70Cの他方は、コンフィギュレーションの信号コンタクト70Cとして機能する。
【0050】
図11及び
図12を参照すると、第1コンタクト群60の信号コンタクト60Sは、USB3.1規格に準拠しており、第2コンタクト群70の内側コンタクト70Sは、USB2.0規格に準拠している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10(
図3参照)は、USB3.1 TYPE−Cのレセプタクルでなくてもよい。この場合、コンタクト40は、1つの第1コンタクト群60のみから構成されていてもよく、2以上の第1コンタクト群60を含んでいてもよい。即ち、コンタクト40は、1以上の第1コンタクト群60を含んでいればよい。
【0051】
図11及び
図12を参照すると、第1コンタクト群60の夫々において、電源コンタクト60P及びグランドコンタクト60G(所定コンタクト40P)が、高速信号伝送用の差動対62をY方向に挟んでいる。
図13及び
図14を参照すると、第1コンタクト群60の夫々において、所定コンタクト40Pの連結部420及び交差部430のY方向におけるサイズは、信号コンタクト40Sの連結部420及び交差部430のY方向におけるサイズよりも夫々大きい。即ち、電源コンタクト60P及びグランドコンタクト60Gの夫々は、Y方向において大きなサイズ(幅)を有する幅広部660を有している。
【0052】
図9、
図10、
図13及び
図14を参照すると、本実施の形態の幅広部660は、第1コンタクト群60の所定コンタクト40Pの夫々において、連結部420のうちの前端近傍の部位を除く部位、及び、交差部430のうちの下端近傍の部位を除く部位からなり、Y方向において一定のサイズを有している。即ち、幅広部660は、水平部410と交差する交差部430から水平部410と交差部430とを連結する連結部420まで亘っており、これにより伝送信号の歪みが抑制される。本実施の形態によれば、上述の構造により、信号コンタクト40Sにおける信号の周波数が高くなった場合にも、信号の歪みなどの信号の劣化を抑制でき、これにより良好な周波数特性が得られる。
【0053】
図9に示されるように、本実施の形態によれば、ミッドプレート38及び上側コンタクト50を上方から見たとき、上側コンタクト50の第1コンタクト群60のコンタクト40の夫々において、水平部410は、少なくとも部分的にミッドプレート38と重なっている一方、連結部420は、ミッドプレート38と全く重なっていない。
図9及び
図13を参照すると、ミッドプレート38は、上述のように配置されており、上側コンタクト50の差動対62の連結部420及び交差部430における信号劣化は、主として幅広部660によって抑制される。但し、本発明は、これに限られない。例えば、
図7を参照すると、ミッドプレート38の後端に、X方向における上側コンタクト50と下側コンタクト55との間を通って下方に延びる部位を設けて信号劣化を更に抑制してもよい。
【0054】
図10を参照すると、本実施の形態によれば、ミッドプレート38及び下側コンタクト55を上方から見たとき、下側コンタクト55の夫々は、殆ど全体がミッドプレート38の下に位置している。即ち、下側コンタクト55における第1コンタクト群60のコンタクト40の夫々は、殆ど全体がミッドプレート38によって上方から覆われている。下側コンタクト55の差動対62における信号劣化は、上述のように配置されたミッドプレート38によっても、ある程度抑制されている。但し、本発明は、これに限られず、ミッドプレート38に対する下側コンタクト55の配置は、必要に応じて調整すればよい。
【0055】
図9及び
図13を参照すると、本実施の形態によれば、上側コンタクト50の所定コンタクト40Pの夫々において、幅広部660のY方向におけるサイズ(幅WUP)は、被圧入部410Pを含む水平部410のY方向におけるサイズ(幅WUH)よりも大きい。一方、
図10及び
図14を参照すると、下側コンタクト55の所定コンタクト40Pの夫々において、幅広部660のY方向におけるサイズ(幅WLP)は、被圧入部410Pを含む水平部410のY方向におけるサイズ(幅WLH)よりも小さい。このため、本実施の形態における幅広部660は、上側コンタクト50における信号劣化を特に抑制可能である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、下側コンタクト55の所定コンタクト40Pの夫々において、幅WLPは、幅WLHよりも大きくてもよい。
【0056】
図9から
図12までを参照すると、本実施の形態によれば、第1コンタクト群60の夫々において、所定コンタクト40Pの水平部410は、主部410Mと、被圧入部410Pとを有しており、且つ、所定コンタクト40Pの交差部430のY方向におけるサイズは、所定コンタクト40Pの主部410MのY方向におけるサイズよりも大きい。このように連結部420から交差部430に亘る部位においてY方向におけるサイズを大きくすることで、接触部412のY方向におけるサイズや、互いに隣接する接触部412の間のY方向における距離(ピッチ)をUSB3.1等の規格に準拠させつつ、幅広部660を形成できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、規格等の制約がない場合、主部410Mを交差部430と同様に幅広に形成してもよい。
【0057】
図13及び
図14を参照すると、本実施の形態によれば、所定コンタクト40Pの夫々における幅広部660は、可能な限り長く延びるように形成されている。より具体的には、コネクタ10(
図5参照)が回路基板80に搭載されたとき、所定コンタクト40Pを含むコンタクト40の夫々において、交差部430の交差方向(本実施の形態においてZ方向)におけるサイズLVは、連結部420の下端と回路基板80の上面80Uとの間の交差方向における距離DHの2/3以上である。詳しくは、比較的サイズLVを大きくし易い上側コンタクト50の夫々において、サイズLVは、距離DHの3/4以上であり、下側コンタクト55の夫々において、サイズLVは、距離DHの2/3以上である。サイズLVを大きくすることで、より確実に信号劣化を抑制可能である。但し、本発明は、これに限られず、サイズLVは、必要に応じて大きくすればよい。
【0058】
図11及び
図12を参照すると、本実施の形態によれば、第1コンタクト群60の夫々において、信号コンタクト40Sの水平部410は、主部410Mと、被圧入部410Pとを有しており、且つ、2つの信号コンタクト40Sの交差部430の間のY方向における距離(ピッチD2)は、2つの信号コンタクト40Sの主部410Mの間のY方向における距離(ピッチDM)よりも短い。このように差動対62の信号コンタクト60Sを交差部430において互いに近づけることで、接触部412をUSB3.1等の規格に準拠させつつ、差動対62を流れる差動信号を強く結合できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、規格等の制約がない場合、差動対62の水平部410を、交差部430と同様に互いに近づけてもよい。
【0059】
図11及び
図12を参照すると、本実施の形態によれば、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、2つの第1コンタクト群60における8つのコンタクト40は、Y方向に並んでいる。また、第1コンタクト群60の夫々において、互いに隣接する信号コンタクト40S及び所定コンタクト40Pの交差部430の間のY方向における距離(ピッチD1)は、2つの信号コンタクト40Sの交差部430の間のY方向における距離(ピッチD2)よりも長い。このように、Y方向に並んでいる2つの差動対62を、できるだけ互いに離すことにより、差動対62の間のクロストークを低減できる。但し、本発明は、これに限られず、ピッチD1及びピッチD2の間の大小関係は、必要に応じて調整すればよい。
【0060】
上述したように、本実施の形態において、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々は、2つの第1コンタクト群60と、第1コンタクト群60と異なる1つの第2コンタクト群70とを含んでおり、2つの第1コンタクト群60における8つのコンタクト40は、Y方向に並んでいる。但し、本発明は、これに限られず、コンタクト40の構造は、様々に変形可能である。例えば、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々は、第1コンタクト群60を1つのみ含んでいてもよく、第2コンタクト群70を2以上含んでいてもよい。また、上側コンタクト50及び下側コンタクト55の夫々において、2つの第1コンタクト群60は、電源コンタクト60Pを共有して、Y方向に連続して並んでいてもよい。この場合、2つの第1コンタクト群60は、7つのコンタクト40から構成される。
【0061】
本実施の形態による上側コンタクト50及び下側コンタクト55は、上述した構造及び機能に加えて、以下に説明する構造及び機能を有している。但し、本発明は、これに限られず、下記の構造は、必要に応じて、様々に変形可能である。
【0062】
図13及び
図14を参照すると、本実施の形態によれば、上側コンタクト50の第1コンタクト群60における所定コンタクト40Pの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WUP)は、下側コンタクト55の第1コンタクト群60における所定コンタクト40Pの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WLP)よりも大きい。この構造により、上側コンタクト50の差動対62の夫々において、より確実にインピーダンスを整合でき反射ロスを低減できる。
【0063】
本実施の形態によれば、上側コンタクト50の第1コンタクト群60における信号コンタクト40Sの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WUS)は、下側コンタクト55の第1コンタクト群60における信号コンタクト40Sの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WLS)よりも小さい。この構造により、上側コンタクト50の2つの差動対62の間の距離を大きくしてクロストークを抑制しつつ、伝送ロスを低減できる。
【0064】
図14を参照すると、本実施の形態によれば、第2コンタクト群70の4つの信号コンタクト70S,70B,70Cにおいて、内側コンタクト70Sの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WI)は、外側コンタクト70B,70Cの交差部430のY方向におけるサイズ(幅WO)よりも大きい。この構造により、下側コンタクト55の2つの差動対62の間の距離を大きくしてクロストークを抑制しつつ、伝送ロスを低減できる。
【0065】
図13及び
図14を参照すると、本実施の形態によれば、上側コンタクト50の8つの信号コンタクト40Sの夫々における交差部430のY方向におけるサイズ(幅WUS)は、下側コンタクト55の第2コンタクト群70の外側コンタクト70B,70Cにおける交差部430のY方向におけるサイズ(幅WO)と同じである。この構造により、下側コンタクト55の2つの差動対62の間の距離を大きくしてクロストークを抑制できる。
【0066】
上述の様々な効果は、コネクタ10(
図1参照)の実施例によって確認した。
図13を参照すると、実施例の上側コンタクト50において、WUP=0.45mm、WUS=0.2mm、D1=0.25mm、D2=0.15mmだった。
図14を参照すると、実施例の下側コンタクト55において、WLP=0.35mm、WLS=0.3mm、WO=0.2mm、WI=0.22mm、D1=0.2mm、D2=0.15mmだった。