特許第6619568号(P6619568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6619568ガスバリア層形成用塗工液の製造方法及びガスバリア性シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619568
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ガスバリア層形成用塗工液の製造方法及びガスバリア性シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 101/02 20060101AFI20191202BHJP
   B32B 23/08 20060101ALI20191202BHJP
   B32B 23/06 20060101ALI20191202BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20191202BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20191202BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20191202BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20191202BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20191202BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20191202BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C09D101/02
   B32B23/08
   B32B23/06
   B32B5/26
   B32B29/00
   C08J7/04 ZCEP
   B65D65/42 C
   B65D65/40 D
   C09D7/61
   C09D5/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-113455(P2015-113455)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-222877(P2016-222877A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176876
【弁理士】
【氏名又は名称】各務 幸樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187768
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大川 淳也
(72)【発明者】
【氏名】内村 浩美
(72)【発明者】
【氏名】深堀 秀史
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−149114(JP,A)
【文献】 特表2013−514906(JP,A)
【文献】 特開2001−253035(JP,A)
【文献】 特開2012−011651(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118521(WO,A1)
【文献】 特開2016−222878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/00
B32B 5/00
B32B 23/00
B32B 29/00
B65D 65/00
C08J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に機械的な微細化処理を施す工程を備えるガスバリア層形成用塗工液の製造方法であり、
上記微細化処理に供する混合物におけるセルロースナノファイバーの含有量が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、
上記微細化処理に供する混合物におけるセルロースナノファイバーと層状無機化合物との混合比が3:7以上7:3以下であり、
上記微細化処理に供する混合物における固形分濃度(セルロースナノファイバー、層状無機化合物、及びその他分散媒以外の含有割合)が1質量%以上10質量%以下であり、
上記ガスバリア層形成用塗工液における全固形分(セルロースナノファイバー、層状無機化合物、及びその他分散媒以外の含有割合)に対するセルロースナノファイバー及び層状無機化合物の含有量の下限が80質量%であるガスバリア層形成用塗工液の製造方法
【請求項2】
樹脂製の基材、ガスバリア層及び紙素材がこの順に積層されたガスバリア性シートの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に機械的な微細化処理を施す工程を備えるガスバリア層形成用塗工液の製造方法により得られるガスバリア層形成用塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程、
上記基材の上記ガスバリア層形成用塗工液が塗工された面側に上記紙素材を貼り合わせる工程、及び
上記ガスバリア層形成用塗工液を乾燥する工程
を備えることを特徴とするガスバリア性シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア層形成用塗工液及びその製造方法、並びにガスバリア性シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材には内容物の保護、品質保持などといった機能が求められる。特に、食品、医薬品、電子部品等は、酸素や水蒸気等によって劣化、変性することが多い。そのため、これらの包装材には酸素や水蒸気等の透過を抑制できるガスバリア性が要求される。
【0003】
このようなガスバリア性の要求に応じるべく、上記包装材として、ガスバリア層を有するフィルムや複合紙が検討されている。ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属箔や金属蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルム、無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルム等がある。しかし、ガスバリア層としてアルミニウム等の金属箔や金属蒸着フィルムを用いる場合には、異物混入防止のための金属探知機を用いた検査を行うことが不可能であり、また廃棄時に不燃物処理をしなければならない等の不都合がある。また、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルムを用いる場合には、廃棄、焼却時に有害物質を発生する可能性がある。さらに、無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルムを用いる場合には、硬い蒸着層がフレキシビリティ(可撓性)に欠け、加工適性を損なうという不都合がある。
【0004】
このような中、セルロースナノファイバーを用いたガスバリア用材料が開発されている(特開2009−057552号公報参照)。しかし、セルロースナノファイバーは、酸素バリア性には優れるものの、その分子構造から親水性が高く、水蒸気バリア性には乏しい材料である。一方、酸素バリア性を有する水溶性高分子の水蒸気バリア性を向上させる方法として、マイカやモンモリロナイト等の層状無機化合物を含有させる方法が知られている(特開2001−253035号公報参照)。セルロースナノファイバーの場合においても、セルロースナノファイバーと共に層状無機化合物を含有させることによってガスバリア層の水蒸気バリア性を高めた包装材が開発されている(特開2012−149114号公報、特開2014−218580号公報参照)。
【0005】
しかし、セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する塗工液を単に用いてガスバリア層を形成しても、セルロースナノファイバーの親水性が非常に高いため、十分な水蒸気バリア性を得ることができない。そこで、水蒸気バリア性を向上させるために層状無機化合物の含有率を上げることが考えられるが、この場合には、水蒸気バリア性は向上するものの酸素バリア性を維持できず、単に層状無機化合物の含有量を高めることが適切であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−057552号公報
【特許文献2】特開2001−253035号公報
【特許文献3】特開2012−149114号公報
【特許文献4】特開2014−218580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような不都合に鑑みてなされたものであり、十分な酸素バリア性を維持しつつ、水蒸気バリア性を高めることができる、セルロースナノファイバーを用いたガスバリア層形成用塗工液及びその製造方法、並びにガスバリア性シート及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記不都合を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(1)セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に対して機械的な微細化処理を施して得られた塗工液を用いてガスバリア層を形成することによりガスバリア性(特に、水蒸気バリア性)が高まること、及び(2)このような塗工液を塗工した基材に紙素材を貼り合せて乾燥させることで、ガスバリア性に優れたガスバリア性シートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に機械的な微細化処理を施す工程(微細化工程)を備えるガスバリア層形成用塗工液の製造方法である。
【0010】
当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法によれば、セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に機械的な微細化処理を施すことにより、十分な酸素バリア性を維持しつつ、水蒸気バリア性を高めることができるガスバリア層形成用塗工液を得ることができる。これは、機械的な微細化処理の際に、(1)層状無機化合物の層間にセルロースナノファイバーが侵入する、いわゆるインターカレーションが生じることで層状無機化合物が効率的に劈開される一方、(2)セルロースナノファイバーがクッションとなるため層状無機化合物の割れが比較的生じにくく、その結果、層状無機化合物の扁平度が高まることなどによると推察される。さらに、(3)セルロースナノファイバーについても、層状無機化合物と混在させて機械的な微細化処理を施すことで、効率的に更なる微細化が進行していると推察される。このため、当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法により得られる塗工液を用いてガスバリア層を形成した場合、層状無機化合物による曲路効果が高まることなどにより、良好な酸素バリア性及び水蒸気バリア性が発現される。
【0011】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法により得られるガスバリア層形成用塗工液である。当該ガスバリア層形成用塗工液によれば、良好な酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有するガスバリア層を形成することができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、樹脂製の基材、ガスバリア層及び紙素材がこの順に積層されたガスバリア性シートの製造方法であって、当該ガスバリア層形成用塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程(塗工工程)、上記基材の当該ガスバリア層形成用塗工液が塗工された面側に上記紙素材を貼り合わせる工程(貼合工程)、及び当該ガスバリア層形成用塗工液を乾燥する工程(乾燥工程)を備えることを特徴とする。
【0013】
当該ガスバリア性シートの製造方法によれば、当該ガスバリア層形成用塗工液を用いることで、ガスバリア性に優れたガスバリア性シートを得ることができる。また、加熱乾燥した場合であっても、湿潤状態のガスバリア層(塗工液)の表出面側に紙素材が積層されているため、湿潤状態のガスバリア層から紙素材へ水分が液体状態のまま浸透し、紙素材から水分が蒸発することにより、均一かつ緻密なガスバリア層が形成され、ガスバリア性シートのガスバリア性をより向上させることができると推察される。
【0014】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該ガスバリア性シートの製造方法により得られるガスバリア性シートである。当該ガスバリア性シートは、上述したようにガスバリア性、特に酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる。
【0015】
ここで、「セルロースナノファイバー」とは、パルプ(パルプ繊維)を解繊して得られる微細なセルロース繊維をいい、一般的に繊維幅がナノサイズ(1nm以上1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいう。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法によれば、セルロースナノファイバーを用い、十分な酸素バリア性を維持しつつ、水蒸気バリア性を高めることができるガスバリア層を形成する塗工液を得ることができる。また、当該ガスバリア性シートの製造方法によれば、酸素バリア性及び水蒸気バリア性が良好なガスバリア性シートを得ることができる。従って、当該ガスバリア性シートの製造方法によって得られるガスバリア性シートは、酸素バリア性及び水蒸気バリア性が求められる用途の包装材等として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のガスバリア層形成用塗工液の製造方法、ガスバリア層形成用塗工液、ガスバリア性シートの製造方法及びガスバリア性シートの実施形態について説明する。
【0018】
<ガスバリア層形成用塗工液の製造方法>
当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法は、セルロースナノファイバーと層状無機化合物とを含有する混合物に機械的な微細化処理を施す工程(微細化工程)を備える。
【0019】
(混合物)
微細化工程に供される混合物は、セルロースナノファイバー及び層状無機化合物を含有し、通常、分散媒としての水を含有する。
【0020】
(セルロースナノファイバー)
混合物に含まれるセルロースナノファイバーは、通常、パルプ(パルプ繊維)を公知の方法により解繊することにより得ることができる。
【0021】
セルロースナノファイバーの原料となるパルプとしては、例えば
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ;
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の機械パルプ;
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ;
古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
パルプとしては、これらの中で、塗工液の乾燥が容易となる観点から、化学パルプが好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)がより好ましい。このようなパルプは、不純物が少ないという利点もある。
【0023】
セルロースナノファイバーの製造方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えばパルプを機械的処理による解繊に付してよく、酵素処理、酸処理等の化学的処理による解繊に付してもよい。セルロースナノファイバーをより容易かつ確実に得ることができる観点から、パルプを機械的処理による解繊に付することが好ましい。
【0024】
機械的処理による解繊方法としては、例えばパルプを回転する砥石間で磨砕するグラインダー法、ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル等を用いる粉砕法などが挙げられる。
【0025】
機械的処理による解繊方法としては、これらの中でセルロースナノファイバーをより容易かつ確実に得ることができる観点から、パルプを回転する砥石間で磨砕するグラインダー法が好ましい。
【0026】
回転する砥石間で磨砕するグラインダー法としては、例えば石臼式磨砕機を使用する磨砕処理法を用いることができる。具体的には、石臼式磨砕機の擦り合わせ部にパルプを通過させることで、パルプが、通過の際の衝撃、遠心力、剪断力等により次第に磨り潰され、化学的に変質することなく、均一なセルロースナノファイバーが得られる。そのため、上記セルロースナノファイバーを用いることで緻密な構造を有するガスバリア層を形成することができる。
【0027】
なお、パルプは解繊の前に予備叩解に付してもよい。予備叩解(機械的前処理)は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的な方法の例としては、段階的に解繊を進めることが好ましく、特に未叩解の原料パルプをナイヤガラビーター等のいわゆる粘状叩解設備にて予めろ水度(カナディアンフリーネス)を出発原料の30%以下まで予備叩解処理した後、回転する砥石間で磨砕するグラインダー法にてセルロースナノファイバーが得られるまで解繊処理することが、ナノセルロース化処理において効率的であり、ガスバリア性を付与できる良好なセルロースナノファイバーが得られるため好ましい。
【0028】
また、パルプは、解繊の前に化学的な前処理を施してもよい。この化学的な前処理としては、硫酸等の酸などを用いた加水分解処理や、オゾンなどの酸化剤を用いた酸化処理などを挙げることができる。このように化学的な前処理を施すことで、機械的又は化学的な解繊処理により、効率的にナノファイバーを得ることができる。なお、用途(例えば食品関連用途等)などに応じて、化学的前処理はしないほうが良い場合もある。
【0029】
セルロースナノファイバーの保水度としては、300%以上が好ましく、350%以上がより好ましい。セルロースナノファイバーの保水度が上記下限未満であると、十分なナノファイバー化がされず、酸素バリア性が発現しないおそれや、セルロースナノファイバーの水への分散性が不十分となるおそれがある。他方、セルロースナノファイバーの保水度としては、800%以下が好ましく、500%以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの保水度が上記上限を超えると、乾燥工程で長時間を要するおそれがある。なお、セルロースナノファイバーの保水度(%)はJAPAN TAPPI No.26に準拠して測定される。
【0030】
微細化処理に供する混合物におけるセルロースナノファイバーの含有量としては、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記下限未満であると、微細化処理が非効率的になる。他方、混合物中のセルロースナノファイバーの含有量としては、3.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記上限を超えると、微細化処理の際の混合物の粘度が高くなるおそれがある。
【0031】
(層状無機化合物)
層状無機化合物とは、層状構造を有する無機化合物である。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファンデルワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造やイオンで結合した平板性の高い構造をいう。
【0032】
層状無機化合物としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物、カルコゲン化物、粘土系鉱物等を挙げることができるが、粘度系鉱物が好ましい。粘度系鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、モンモリロナイト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、マイカ(雲母)、ベントナイト、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石、合成雲母等を挙げることができる。
【0033】
層状無機化合物としては、これらの中でもマイカ及びベントナイトが好ましく、マイカがより好ましい。また、層状無機化合物としては、膨潤性層状無機化合物が好ましく、膨潤性マイカ及び膨潤性ベントナイトがより好ましく、膨潤性マイカがさらに好ましい。これらの層状無機化合物を用いることにより、微細化工程の際の劈開が効率的に進み、水蒸気バリア性等をより高めることができる。
【0034】
微細化処理に供する混合物におけるセルロースナノファイバーと層状無機化合物との混合比としては特に限定されないが、セルロースナノファイバー:層状無機化合物(質量比)の下限としては、1:9が好ましく、2:8がより好ましく、3:7がさらに好ましい。一方、セルロースナノファイバー:層状無機化合物(質量比)の上限としては、9:1が好ましく、8:2がより好ましく、7:3がさらに好ましい。混合比を上記範囲とすることで、得られる塗工液が、酸素バリア性及び水蒸気バリア性が共に特に良好なガスバリア層を形成することができる。
【0035】
(他の成分等)
上記混合物中の全固形分に占めるセルロースナノファイバー及び層状無機化合物の含有量としては、80質量%以上とすることができ、95質量%以上とすることができ、99質量%以上とすることができる。上記混合物は、本発明の効果を損なわない限り、セルロースナノファイバー、層状無機化合物、及び分散媒としての水以外に、その他の成分を任意に含有していてもよい。
【0036】
その他の成分としては、例えば層状無機化合物以外の顔料、染料、粘度調整剤、pH調整剤、界面活性剤、ワックス、水溶性樹脂等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、その他の成分は、それぞれ混合物中に含有させないことが好ましい場合もある。これらの他の成分は、微細化処理を経た後の混合物に添加してもよい。
【0037】
混合物は、例えば水、セルロースナノファイバー、層状無機化合物及び必要に応じてその他の成分を混合後、これらに撹拌を加えることで得ることができる。混合物の状態としては、例えば分散液、ゲル状分散液等が挙げられる。
【0038】
混合物における固形分濃度(セルロースナノファイバー、層状無機化合物、及びその他の分散媒以外の成分の含有割合)の下限としては、例えば通常0.5質量%であり、1質量%が好ましく、2質量%がさらに好ましい。一方、この上限としては、例えば10質量%とすることができ、6質量%が好ましく、4質量%がさらに好ましい。上記範囲の固形分含有量とすることで、機械的な微細化処理を効率的に進行させることができる。
【0039】
(微細化処理)
混合物に施す機械的な微細化処理とは、実質的に化学反応を伴うことなく、混合物に含まれるセルロースナノファイバー及び層状無機化合物の少なくとも一方、好ましくは双方を物理的に微細化することをいう。混合物に機械的な微細化処理を施す方法としては、セルロースナノファイバーの製造方法と同様に、例えばグラインダー法、粉砕法などが挙げられるが、グラインダー法が好ましい。グラインダー法としては、例えば石臼式磨砕機を使用する磨砕処理法を用いることができる。具体的には、石臼式磨砕機の擦り合わせ部にセルロースナノファイバー及び層状無機化合物を含む混合物を通過させる。この処理により、層状無機化合物が擦り合わせ部を通過する際の衝撃、遠心力、剪断力等により効果的に劈開され、層状無機化合物の偏平化が促進される。この際、セルロースナノファイバーにおいても、さらなる解繊が進むと考えられる。
【0040】
この微細化処理を経た混合物が、ガスバリア層形成用塗工液となる。なお、上述のように、微細化処理を経た混合物に、その他の成分等を加えて、ガスバリア層形成用塗工液としてもよい。
【0041】
<ガスバリア層形成用塗工液>
当該ガスバリア層形成用塗工液は、当該ガスバリア層形成用塗工液の製造方法により得られるガスバリア層形成用塗工液である。当該塗工液の状態としては、例えば分散液、ゲル状分散液等が挙げられる。当該ガスバリア層形成用塗工液によれば、良好な酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有するガスバリア層を形成することができる。
【0042】
当該ガスバリア層形成用塗工液中のセルロースナノファイバーの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記下限未満であると、十分なガスバリア性を発揮させるために塗工量が増え、乾燥効率が低下する場合がある。他方、ガスバリア層形成用塗工液中のセルロースナノファイバーの含有量の上限としては、3.0質量%が好ましく、2.5%以下がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記上限を超えると、塗工の際の塗工液の粘度が高くなるおそれがある。
【0043】
当該ガスバリア層形成用塗工液中のセルロースナノファイバーと層状無機化合物との混合比としては特に限定されないが、セルロースナノファイバー:層状無機化合物(質量比)の下限としては、1:9が好ましく、2:8がより好ましく、3:7がさらに好ましい。一方、セルロースナノファイバー:層状無機化合物(質量比)の上限としては、9:1が好ましく、8:2がより好ましく、7:3がさらに好ましい。混合比を上記範囲とすることで、酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性とを共に特に良好に発揮することができる。
【0044】
当該ガスバリア層形成用塗工液における固形分濃度(セルロースナノファイバー、層状無機化合物、及びその他の分散媒以外の成分の含有割合)の下限としては、例えば通常0.5質量%であり、1質量%が好ましく、2質量%がさらに好ましい。一方、この上限としては、例えば10質量%とすることができ、6質量%が好ましく、4質量%がさらに好ましい。上記範囲の固形分含有量とすることで、良好な塗工性、乾燥性等を発揮することができる。当該ガスバリア層形成用塗工液中の全固形分に対するセルロースナノファイバー及び層状無機化合物の含有量としては、80質量%以上とすることができ、95質量%以上とすることができ、99質量%以上とすることができる。
【0045】
<ガスバリア性シートの製造方法>
当該ガスバリア性シートの製造方法は、樹脂製の基材、ガスバリア層及び紙素材がこの順に積層されたガスバリア性シートの製造方法であって、当該ガスバリア層形成用塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する工程(塗工工程)、上記基材の当該ガスバリア層形成用塗工液が塗工された面側に上記紙素材を貼り合わせる工程(貼合工程)、及び当該ガスバリア層形成用塗工液を乾燥する工程(乾燥工程)を備える。以下、各工程について詳説する。
【0046】
(塗工工程)
本工程では、当該ガスバリア層形成用塗工液を上記基材の少なくとも一方の面に塗工する。この塗工液が乾燥することにより、ガスバリア層が形成される。
【0047】
上記基材は、樹脂製である限り特に限定されないが、その形状は、通常フィルム状である。
【0048】
上記基材を形成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;
ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;
ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリエステル;
ポリエチレングリコール等のポリエーテル;
普通セロファン、防湿セロファン等のセロファン系樹脂;
フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂;
その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
上記樹脂としては、これらの中で取扱いが簡単で、セルロースナノファイバーとの親和性が高いという観点から、ポリエステル及びセロファン系樹脂が好ましく、セロファン系樹脂がより好ましい。
【0050】
樹脂製の基材の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、15μmがより好ましい。基材の平均厚さが上記下限未満であると、包装材としてのガスバリア性シートの取扱いが難しくなるおそれがある。他方、樹脂製の基材の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。基材の平均厚さが上記上限を超えると、ガスバリア性シートが可撓性を示し難く、包装材として用い得ないおそれがある。
【0051】
ガスバリア層形成用塗工液の塗工量の下限としては、固形分換算で、0.5g/mが好ましく、5g/mがより好ましく、10g/mがさらに好ましく、15g/mが特に好ましい。塗工量が上記下限未満であると、ガスバリア層内のガス透過を十分に抑制できずガスバリア層をガスが透過してしまい、ガスバリア性を十分に発揮できなくなるおそれがあると共に、ガスバリア層の塗工厚みが不均一になり平面方向におけるガスバリア性にバラつきが生じるおそれがある。一方、塗工量の上限としては、50g/mが好ましく、40g/mがより好ましく、30g/mがさらに好ましい。ガスバリア層の塗工量が上記上限を超えると、ガスバリア層が可撓性に欠けることでガスバリア層にクラックが入り易くなり、ガスバリア性を損なうおそれがあり、また乾燥にも長時間を要してしまうおそれがある。
【0052】
塗工液の塗工は公知の塗工機により行うことができる。塗工機としては、例えば2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター(クリアランスバー)、グラビアコーター、ディップコーター、コンマコーター等が挙げられる。
【0053】
塗工機としては、これらの中で塗工がより容易となる観点から、バーコーター、コンマコーター及びダイコーターが好ましく、バーコーターがより好ましい。
【0054】
塗工液は通常基材の少なくとも一方の面に塗布される。また、塗工液は、本発明の効果を損なわない限り、基材の両面に塗工してもよい。
【0055】
(貼合工程)
本工程では、当該ガスバリア層形成用塗工液が塗工された基材の面側に紙素材を貼り合わせる。このように塗工液上に紙素材を貼り合わせることで、ガスバリア性シートのガスバリア性をより向上させることができる。この理由は定かではないが、以下のように推測されている。セルロースナノファイバーを樹脂製の基材上に積層し、セルロースナノファーバーが表面に露出した状態である場合、加熱乾燥ではガスバリア性が発現されない傾向がある。明確な理由は明らかとなっていないが、セルロースナノファイバー層内部から水蒸気が蒸発することにより、乾燥後のセルロースナノファイバー層内にガス透過経路が形成されることが原因であると考えられる。そこで、塗工液(ガスバリア層)の表出面に紙素材を貼り合わせて均一に乾燥させる工夫が必要となる。紙素材を貼り合せることにより、塗工液(セルロースナノファイバーの層)から紙素材へ水が移行し、紙素材から水が蒸発するため、ガスバリア層にガス透過経路が形成され難く、高いバリア性が発現すると推測される。
【0056】
上記紙素材としては、塗工液に含まれる水分を吸水し、乾燥工程で吸水した水分を放出可能な素材であれば特に限定されないが、例えばろ紙、上質紙、中質紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、クラフト紙等が挙げられる。
【0057】
上記紙素材としては、これらの中で吸水性により優れる観点から、上質紙及びろ紙が好ましい。
【0058】
紙素材の坪量の下限としては、50g/mが好ましく、55g/mがより好ましい。紙素材の坪量が上記下限未満であると、吸水性が不十分となるおそれがある。一方、紙素材の坪量の上限としては、400g/mが好ましく、300g/mがより好ましい。紙素材の坪量が上記上限を超えると、乾燥性が低下するとともに、包装材として可撓性が低下し、包装材として不適になるおそれがある。
【0059】
紙素材の貼合方法としては、例えば公知の貼り合わせ装置等を用いる方法、抄き合せ等の手段にてそのまま紙素材を貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0060】
紙素材は通常基材の少なくとも一方の面に貼り合わされる。また、紙素材は、本発明の効果を損なわない限り、基材の両面に貼り合わせてもよい。
【0061】
(乾燥工程)
本工程では、紙素材が積層された状態で当該ガスバリア層形成用塗工液を乾燥する。本工程を経ることで、基材と紙素材との間に、塗工液の乾燥物から形成されたガスバリア層を備えるガスバリア性シートを得ることができる。
【0062】
発明者等の鋭意開発において、理由は定かではないが、樹脂製の基材表面にセルロースナノファイバーを含有する塗工液を塗工した後、塗工液中の水分を紙素材を介在せず乾燥工程に供すると、ガスバリア層中に乾燥(水分の蒸発)に伴う微細なガス透過経路が発生し、このガス透過経路によってガスバリア性を損ない、結果としてガスバリアシートとしての機能が不十分となることを知見している。また、紙素材を積層させることで、乾燥を速やかにかつマイルドに行い、ガスバリア性に優れたガスバリア性シートが得られることを見出している。
【0063】
乾燥工程での温度の下限としては、10℃が好ましく、30℃がより好ましい。さらには、50℃が好ましく、80℃がより好ましく、100℃であってもよい。乾燥工程での温度が上記下限未満であると、乾燥工程に長時間を要するおそれがある。一方、乾燥工程での温度の上限としては、180℃が好ましく、160℃がより好ましく、140℃がさらに好ましく、120℃が特に好ましい。乾燥工程での温度が上記上限を超えると、紙素材を介在させたとしても、ガスバリア層にガス透過経路が発生し、その結果ガスバリア性シートのガスバリア性が不十分となったり、紙素材や基材が熱劣化して変性するおそれがある。
【0064】
乾燥方法は、特に限定されないが、例えばオーブン中で上記温度下に調節しつつ行う方法、上記温度下で風乾させる方法等が挙げられる。
【0065】
<ガスバリア性シート>
当該ガスバリア性シートは、当該製造方法により得られるガスバリア性シートである。当該ガスバリア性シートは、微細化処理が施された当該ガスバリア層形成用塗工液から形成されるガスバリア層を備えるためガスバリア性に優れる。特に、上記ガスバリア層により、セルロースナノファイバーによる酸素バリア性と、層状無機化合物による水蒸気バリア性とが共に良好に発揮される。
【0066】
当該ガスバリア性シートの酸素透過度としては、1.3cc/m・day・atm以下が好ましく、1cc/m・day・atm以下がより好ましい。ガスバリア性シートの酸素透過度が上記上限を超えると、当該ガスバリア性シートのガスバリア性が不十分となるおそれがある。なお、ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm)はJIS−K−7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準拠して測定される。
【0067】
当該ガスバリア性シートの水蒸気透過度としては、例えば200g/m・day以下であり、150g/m・day以下が好ましく、140g/m・day以下がより好ましい。ガスバリア性シートの水蒸気透過度が上記上限を超えると、当該ガスバリア性シートのガスバリア性が不十分となるおそれがある。当該ガスバリア性シートの水蒸気透過度の下限としては、基材がセロファン系樹脂製である場合、例えば10g/m・dayであり、50g/m・dayであってもよい。なお、ガスバリア性シートの水蒸気透過度(g/m・dayは、JIS−K−7129「プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)」に準拠して測定される。
【実施例】
【0068】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
<評価方法>
実施例及び比較例における各種物性は以下の評価方法に準じて測定した。
【0070】
(セルロースナノファイバーの保水度(%))
セルロースナノファイバーの保水度(%)はJAPAN TAPPI No.26に準拠して測定した。
【0071】
(ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm))
ガスバリア性シートの酸素透過度(cc/m・day・atm)は、JIS−K−7126−1:2006「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準拠して、GTR社の「GTR−11AET」を用いて25℃で2時間測定した。
【0072】
(ガスバリア性シートの水蒸気透過度(g/m・day))
ガスバリア性シートの水蒸気透過度(g/m・day)は、JIS−K−7129「プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)」に準拠して、40℃で測定した。
【0073】
実施例及び比較例で用いたセルロースナノファイバー及び層状無機化合物は以下の通りである。
・セルロースナノファイバー:LBKPを摩砕機(増幸産業社の「マスコロイダー」)により解繊して得られた、保水度392%のセルロースナノファイバー
・マイカ:コープケミカル社のソマシフ膨潤性雲母「ME−100」
・ベントナイト:クニミネ工業社の膨潤性ベントナイト「クニゲルV1」
【0074】
<実施例1>
(微細化工程)
セルロースナノファイバー(CNF)とマイカとを1:1の質量比で水に分散させ、固形分濃度3.3質量%の混合物を得た。この混合物に対して摩砕機(増幸産業社の「マスコロイダー」)を用いて微細化処理を施し、ガスバリア層形成用塗工液を得た。
(塗工工程)
得られた上記ガスバリア層形成用塗工液を基材としてのセロファンフィルムの表面全面にクリアランスバーを用いて塗工した。塗工量は固形分換算で24.6g/mとした。
(貼合工程)
セロファンフィルムの表面全面に塗工された上記塗工液上に上記セロファンフィルムと同形状の上質紙を貼り合わせた。
(乾燥工程)
セロファンフィルム、塗工液及び上質紙が順次積層された積層シートを温度105℃で、20分間、オーブン中で加熱乾燥させ実施例1のガスバリア性シートを得た。
【0075】
<実施例2>
マイカの代わりにベントナイトを用いた固形分濃度2.8質量%の混合物に対して微細化処理を施し、塗工量を21.0g/mとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のガスバリア性シートを得た。
【0076】
<比較例1>
セルロースナノファイバー及びマイカを含む混合物に対して微細化処理を施さず、この混合物をそのまま塗工液(固形分濃度3.3質量%)として用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性シートを得た。
【0077】
<比較例2>
塗工液を塗工せずに、セロファンフィルムに上質紙を積層した積層シートを比較例2のシートとした。
【0078】
得られた各シートの酸素透過度及び水蒸気透過度を上記方法にて測定した。測定結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示されるように、CNFと層状無機化合物とを含む混合物に対して微細化処理を施して得られた塗工液(実施例1、2)からガスバリア層を形成することで、水蒸気バリア性が高まることが示された。なお、実施例2は塗工量が実施例1及び比較例1と比べて少ないため、実施例2の比較例1に対する水蒸気バリア性向上効果は十分に示されているといえる。また、実施例で得られたガスバリアシートは、十分な酸素透過度を有することも示された。
【産業上の利用可能性】
【0081】
当該ガスバリア性シートは、酸素ガスバリア性と水蒸気ガスバリア性とが要求される包装材、例えば食品、医薬品、電子部品等の包装材などとして好適に用いることができる。