【実施例1】
【0010】
本願発明に係るキャリングケースの一例としてのキャリングケース10の概略的な構成について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0011】
キャリングケース10は、物品を収容することで当該物品を保護しつつ持ち運びを容易とするものであり、本実施例ではトータルステーション等の測量機を収容する。このキャリングケース10は、
図1および
図2に示すように、収容空間を形成すべく第1外殻部11と第2外殻部12とを閉じ合わせて構成する。以下の説明では、収容状態で第1外殻部11と第2外殻部12とが対向する方向をZ方向とし、第1外殻部11側をZ方向正側とする。また、
図1および
図2においてキャリングケース10が置かれた面に沿う方向であってZ方向と直交する方向をX方向とし、
図1を正面視した手前側をX方向負側とする。さらに、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とし、
図1および
図2を正面視した上側をY方向正側とする。このため、本実施例では、Z方向が第1外殻部11と第2外殻部12とが閉じ合わされる閉合方向となり、X−Y平面に沿う方向が閉合方向に直交する直交面方向となる。
【0012】
第1外殻部11および第2外殻部12は、それぞれが椀形状を呈し、本実施例では樹脂材料から射出成型により形成する。この第1外殻部11と第2外殻部12とは、Y方向負側の端部に設けた蝶番を介して開閉自在に連結され、Y方向正側の端部に設けた固定具14により閉じ合わされた状態で固定される。第1外殻部11と第2外殻部12とは、Z方向(閉合方向)で閉じ合わされることで、中空の箱状を呈するケース本体13を形成する。このケース本体13は、本実施例では、X方向に長尺な直方体形状を呈し、Y方向正側の端部に設けた把持部15により持ち運びが可能とされる。ケース本体13(キャリングケース10)では、第1外殻部11におけるZ方向(Z方向正側)に位置する平坦面を第1正面16とし、第2外殻部12におけるZ方向(Z方向負側)に位置する平坦面を第2正面17とする。その第1正面16と第2正面17とは、それぞれX方向およびY方向を含む面と平行でありZ方向で並列し、そのZ方向で見て四角形状を呈する。
【0013】
その第1外殻部11には、第1中央リブ突条21と第1中央リブ溝22と一対の第1側方リブ突条23と一対の第1側方リブ溝24と3つの取付金具25と4つの第1取付穴部26と環状溝27(
図7参照)とが設けられる。第1中央リブ突条21は、第1正面16において、Y方向で見た中央位置で、Z方向正側に突出しつつX方向に伸びて形成し、Y方向での寸法(幅寸法)およびZ方向での寸法(高さ寸法)を全長に亘り均一とする。この第1中央リブ突条21は、X方向で見た両端が第1外殻部11においてX方向に位置する両X側面18(正側X側面18A(
図1参照)および負側X側面18B(
図2参照))まで伸びる。
【0014】
この第1中央リブ突条21に第1中央リブ溝22を設ける。その第1中央リブ溝22は、Y方向で見た第1中央リブ突条21の中央をZ方向負側に凹ませつつその第1中央リブ突条21に沿う方向(X方向)に伸びて形成する。第1中央リブ溝22は、Y方向での寸法(幅寸法)およびZ方向での寸法(深さ寸法)を全長に亘り均一とする。本実施例では、第1中央リブ溝22には、会社名や商品名やブランド名等を記載するプレート板22aを設けている。
【0015】
一対の第1側方リブ突条23は、第1中央リブ突条21をY方向で挟む位置ですなわち第1中央リブ突条21のY方向正側の位置とY方向負側の位置とで、Z方向正側に突出しつつX方向に伸びて形成する。この両第1側方リブ突条23は、Y方向での寸法(幅寸法)およびZ方向での寸法(高さ寸法)を全長に亘り均一とする。両第1側方リブ突条23は、第1正面16においてX方向で見た両端が第1正面16(第1外殻部11)の4つの隅部28のうちの最も近いものに向けて湾曲する。
【0016】
この各第1側方リブ突条23に第1側方リブ溝24を設ける。その各第1側方リブ溝24は、対応する第1側方リブ突条23のY方向で見た中央をZ方向負側に凹ませつつその第1側方リブ突条23に沿う方向に伸びて形成する。各第1側方リブ溝24は、Y方向での寸法(幅寸法)およびZ方向での寸法(深さ寸法)を全長に亘り均一とする。このため、各第1側方リブ溝24は、
図2に示すように、X方向で見た中央箇所がX方向に伸び、X方向で見た両端箇所が対応する第1側方リブ突条23に倣って湾曲して第1正面16(第1外殻部11)の対応する隅部28へ向かい当該隅部28上まで伸びる。これにより、Y方向正側の第1側方リブ溝24では、X方向正側の端部がX方向正側でかつY方向正側の隅部28上へ、X方向負側の端部がX方向負側でかつY方向正側の隅部28上へ、と夫々向かう。また、Y方向負側の第1側方リブ溝24は、X方向正側の端部がX方向正側でかつY方向負側の隅部28上へ、X方向負側の端部がX方向負側でかつY方向負側の隅部28上へ、と夫々向かう。
【0017】
3つの取付金具25は、
図1および
図2に示すように、ケース本体13における環状リブ突起29に設ける。その環状リブ突起29は、直方体形状のケース本体13において、Z方向を中心とする回転方向で見た全周に亘りZ方向と直交する方向へと突出して設けられる。環状リブ突起29は、ケース本体13において、X方向に位置する両X側面18(正側X側面18A(
図1参照)および負側X側面18B(
図2参照))と、Y方向に位置する両Y側面19(正側Y側面19Aおよび負側Y側面19B)と、を架け渡す環状を呈する。この環状リブ突起29は、ケース本体13を構成する第1外殻部11と第2外殻部12との開放端部(閉じ合わされる箇所)を跨いで設けられ、第1外殻部11に設けた第1環状リブ突起29Aと第2外殻部12に設けた第2環状リブ突起29Bとで形成される。その第1環状リブ突起29Aと第2環状リブ突起29Bとは、自らが設けられた外郭部(第1外殻部11または第2外殻部12)の開放端部の大きさ寸法を部分的に拡大するようにZ方向に直交する面における外側へと突出し、Z方向(閉合方向)で接触しつつ並列して単一の突条となる環状リブ突起29を形成する。
【0018】
3つの取付金具25は、金属材料から形成された棒状の部材をU字状に湾曲させて形成し、第1環状リブ突起29AからZ方向正側(閉合方向)に向けて突出して設ける。取付金具25は、1つをケース本体13におけるX方向正側の正側X側面18Aに設け(
図1参照)、2つをケース本体13におけるX方向負側の負側X側面18BでY方向に並列させて設ける(
図2参照)。この取付金具25は、
図1等に示すように、正側X側面18AとX方向で間隔を置いて設け、対応するX側面18(18A、18B)に沿って存在する。この各取付金具25は、ケース本体13(第1環状リブ突起29Aおよび対応するX側面18(それらの外表面))との間に空間を形成する。
【0019】
4つの第1取付穴部26は、
図1および
図2に示すように、第1外殻部11の第1環状リブ突起29Aに設け、後述するように第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)の中で完結し(
図5等参照)、詳細な構成は後述する。第1取付穴部26は、2つを第1環状リブ突起29Aにおける正側X側面18Aで取付金具25をY方向で挟んで設け(
図1参照)、1つを負側X側面18Bで2つの取付金具25のY方向での間に設け(
図2参照)、1つを正側Y側面19Aで把持部15の下方に設ける。この各X側面18に設けた3つの第1取付穴部26は、Z方向正側から第1外殻部11(第1正面16)を見ると、X方向で見た反対側のX側面18の取付金具25と対を為す。
【0020】
環状溝27は、第1外殻部11の開放端部(第2外殻部12と閉じ合わされる箇所)をZ方向正側に凹ませつつ全周に亘り設けられる(
図7等参照)。この環状溝27は、後述する環状突起47との間に弾性部材を介在させることで、第1外殻部11と第2外殻部12とを閉じ合わせた際にその中に形成される収容空間の密閉性を高める。
【0021】
第2外殻部12には、
図3に示すように、第2中央リブ突条41と第2中央リブ溝42と一対の第2側方リブ突条43と一対の第2側方リブ溝44と7つの第2取付穴部45と4つの補助取付穴部46と環状突起47(
図6および
図7参照)とが設けられる。その第2中央リブ突条41および第2中央リブ溝42は、Z方向で見ると、第1外殻部11に設けた第1中央リブ突条21および第1中央リブ溝22と一致するものとしている。また、両第2側方リブ突条43および両第2側方リブ溝44は、Z方向で見ると、第1外殻部11に設けた両第1側方リブ突条23および両第1側方リブ溝24と一致するものとしている。このため、キャリングケース10では、第1正面16側から見ても第2正面17側から見ても等しい印象を与えることができる。
【0022】
7つの第2取付穴部45は、第2外殻部12の第2環状リブ突起29Bに設けられ、後述するように第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結し(
図6等参照)、詳細な構成は後述する。第2取付穴部45は、3つを第2環状リブ突起29Bにおける正側X側面18AでY方向に並列させて設け、3つを負側X側面18BでY方向に並列させて設け、1つを正側Y側面19Aで把持部15の下方に設ける。この正側X側面18Aに設けた3つの第2取付穴部45は、負側X側面18Bに設けた3つの第2取付穴部45とX方向で対を為す位置関係とする。その各X側面18の6つの第2取付穴部45は、第1外殻部11の第1環状リブ突起29Aの各X側面18に設けた第1取付穴部26または取付金具25と、Z方向で並列する。また、正側Y側面19Aの1つの第2取付穴部45は、第1外殻部11の第1環状リブ突起29Aの正側Y側面19Aに設けた第1取付穴部26とZ方向で並列する。このため、第2環状リブ突起29Bに設けた7つの第2取付穴部45は、第1環状リブ突起29Aに設けた第1取付穴部26または取付金具25のいずれか一方とZ方向で並列する(
図1等参照)。
【0023】
その各第1取付穴部26と各第2取付穴部45とは、設けられた位置やその位置の周辺構造の差異に起因する多少の形状の変化はあるものの、基本的には互いに等しい構成とする。このため、
図5に第1取付穴部26の1つを拡大して示し、
図6に第2取付穴部45の1つを拡大し、それらを用いて構成を説明する。第1取付穴部26は、第1環状リブ突起29AをZ方向(閉合方向)に貫通して設けられ、Z方向で見てY方向に長尺な長方形状を呈する。この第1取付穴部26では、第1環状リブ突起29AにおけるZ方向正側の面(外表面)を開口して第1開口26aを形成し、第1環状リブ突起29AにおけるZ方向負側の面(内表面)を開口して第2開口26bを形成する。第1取付穴部26では、環状リブ突起29(ケース本体13)を構成する一方の第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)のみに第1開口26aと第2開口26bとの双方が位置する。このため、第1取付穴部26は、第1開口26aおよび第2開口26bを通すことで第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)のみに帯状や紐状やリング状やU字状の部材を取り付けることができ、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)の中で完結した構成である。
【0024】
また、第2取付穴部45は、第2環状リブ突起29BをZ方向(閉合方向)に貫通しつつ切欠部分48に通じて設け、Z方向で見てY方向に長尺な長方形状を呈する。その切欠部分48は、第2外殻部12の開放端部(第1外殻部11と閉じ合わされる箇所)をZ方向負側に凹ませるように直方体形状に切り欠いて形成する。第2取付穴部45では、切欠部分48におけるZ方向正側の面(第2環状リブ突起29Bの切り欠かれた面)を開口して第1開口45aを形成し、第2環状リブ突起29BにおけるZ方向負側の面(外表面)を開口して第2開口45bを形成する。この第2取付穴部45では、環状リブ突起29(ケース本体13)を構成する他方の第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)のみに第1開口45aと第2開口45bとの双方が位置する。このため、第2取付穴部45は、第1開口45aおよび第2開口45bを通すことで第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)のみに帯状や紐状やリング状やU字状の部材を取り付けることができ、第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結した構成である。
【0025】
ここで、ケース本体13では、第1外殻部11と第2外殻部12とが閉じ合わされると、
図7に示すように、第1環状リブ突起29Aと第2環状リブ突起29Bとで環状リブ突起29を形成し、双方の開放端部が付き合わされる。このとき、各第2取付穴部45では、第1開口45aを第2外殻部12の開放端部に設けた切欠部分48に開口しているので、両開放端部が付き合わされても当該切欠部分48を経ることで第1開口45aをケース本体13の外方に通じさせる。これにより、各第2取付穴部45では、第1取付穴部26または取付金具25のいずれがZ方向で並列されていても、第1開口45aおよび第2開口45bを通して第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)のみに帯状や紐状やリング状やU字状の部材(符号B1参照)を取り付けることができる。
【0026】
また、各第1取付穴部26では、Z方向で第2取付穴部45と並列する。このため、各第1取付穴部26では、第1外殻部11と第2外殻部12とが閉じ合わされても、第1外殻部11の開放端部に設けた第2開口26bが切欠部分48に通じるので、当該切欠部分48を経ることで第2開口26bをケース本体13の外方に通じさせる。これにより、各第1取付穴部26では、第2取付穴部45とZ方向で並列させることで、第1開口26aおよび第2開口26bを通して第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)のみに帯状や紐状やリング状やU字状の部材(符号B2参照)を取り付けることができる。
【0027】
補助取付穴部46は、各第1取付穴部26や各第2取付穴部45や各取付金具25とともに後述する被装着部材の装着を可能とし、
図3に示すように、第2外殻部12における4つの隅部28の近傍に設ける。この各補助取付穴部46は、本実施例では、2つが第2外殻部12の正側Y側面19AにおけるX方向での両端部に位置し、残りの2つが第2外殻部12の負側Y側面19BにおけるX方向での両端部に位置する。各補助取付穴部46は、設けられた位置やその位置の周辺構造の差異に起因する多少の形状の変化はあるものの、基本的には互いに等しい構成であるので、
図8および
図9に各補助取付穴部46の1つを拡大して示し、それを用いて構成を説明する。補助取付穴部46は、Y側面19(図示の例では正側Y側面19A)との間に空間を形成して為る屈曲辺部46aを、Z方向(閉合方向)に貫通して形成する。この補助取付穴部46では、屈曲辺部46aにおけるZ方向の一方の面(図示の例では正側)を開口して第1開口46bを形成し、屈曲辺部46aにおけるZ方向の他方の面(図示の例では負側)を開口して第2開口46cを形成する。このため、補助取付穴部46は、ケース本体13を構成する他方の第2外殻部12のみに第1開口46bと第2開口46cとの双方が位置し、それらを通すことで第2外殻部12のみに帯状や紐状やリング状やU字状の部材を取り付けることができ(符号B3参照)、第2外殻部12の中で完結した構成である。
【0028】
環状突起47は、第2外殻部12の開放端部(第1外殻部11と閉じ合わされる箇所)をZ方向正側に突出させつつ全周に亘り設けられる(
図6および
図7参照)。この環状突起47は、第1外殻部11の環状溝27との間に弾性部材を介在させることで、第1外殻部11と第2外殻部12とを閉じ合わせた際にその中に形成される収容空間の密閉性を高める。
【0029】
このケース本体13(キャリングケース10)では、負側X側面18Bに複数の脚部49が設けられる。この各脚部49は、把持部15により持ち運ぶ姿勢(
図1および
図2参照)で面上に置く際に、その面に接触する箇所となる。各脚部49は、
図11に示すように、負側X側面18BからY方向負側に突出しつつZ方向に伸びて形成され、その突出端にX方向で間隔を置きつつZ軸方向に伸びる2本の線条部分49aを有する。この各脚部49は、第1外殻部11と第2外殻部12とが開放された際に互いに対向する第1外殻部11側の負側X側面18Bと第2外殻部12側の負側X側面18Bとの双方に設け、X方向で見て互い違いとなるようにすなわちX方向における互いに異なる位置に設ける。各脚部49は、本実施例では、第1外殻部11においてX方向に並列して設けた4つの第1脚部49Aと、第2外殻部12においてX方向に並列して設けた2つの第2脚部49Bと、を有する。そのX方向正側の第2脚部49Bは、X方向で見て正側の2つの第1脚部49Aの間に位置し、X方向負側の第2脚部49Bは、X方向で見て負側の2つの第1脚部49Aの間に位置する。
【0030】
このキャリングケース10では、
図10に示すように、衝撃吸収部材50やベルト部材60を装着できる。この
図10では、鉛直方向で見て正側X側面18Aを上側にかつ負側X側面18Bを下側にしてケース本体13(キャリングケース10)を立てた状態を示す。衝撃吸収部材50は、キャリングケース10を背負う際に第1外殻部11(その第1正面16)に直接背中が触れることを防止し、かつ第1外殻部11(第1正面16)から背中への衝撃を吸収する。衝撃吸収部材50は、本実施例では、吸収本体部51と取付ベルト部52と調整部材53とフック部54とを有する。その吸収本体部51は、薄板形状を呈する弾性部材で形成され、その裏面に取付ベルト部52が設けられる。その取付ベルト部52は、Y方向で並列しつつX方向に平行に伸びる帯状を呈し、それぞれの吸収本体部51よりもX方向正側に調整部材53が設けられ、それぞれのX方向負側の端部にフック部54が設けられる。その調整部材53は、例えばバックルやラッチ等の構成を採用し、折り返された取付ベルト部52のX方向正側の端部を受け入れることで、当該取付ベルト部52の長さの調節を可能とする。各フック部54は、キャリングケース10の第1外殻部11に設けた各取付金具25への取り付けと、その状態からの取り外しと、が可能である。
【0031】
この衝撃吸収部材50は、次のようにキャリングケース10(ケース本体13)に装着する。衝撃吸収部材50では、各取付ベルト部52の上端を正側X側面18Aの2つの第1取付穴部26に個別に通した後に調整部材53へと通し、かつ2つのフック部54を負側X側面18Bの2つの取付金具25に個別に取り付ける。このとき、各取付ベルト部52の上端は、第2開口26bを通した後に切欠部分48を通してケース本体13の外方へと至らせることで、並列する第2取付穴部45(第2外殻部12)と干渉しないものとする。そして、衝撃吸収部材50では、各調整部材53で各取付ベルト部52の長さを調節することで、吸収本体部51を第1外殻部11の第1正面16に面で接触させつつケース本体13(キャリングケース10)に装着される。
【0032】
ベルト部材60は、キャリングケース10を背負うために装着するものであり、本実施例では、肩掛ベルト部61に3つのフック部62と調整部材63とを設けて構成する。その肩掛ベルト部61は、Y方向で並列しつつX方向に平行に伸びる帯状を呈し、X方向正側の端部を1つに纏め、そこに単一のフック部62を設ける。また、肩掛ベルト部61では、Y方向で並列するそれぞれのX方向負側の端部に、単一のフック部62が設けられる。その各フック部62は、キャリングケース10の第1外殻部11に設けた各取付金具25への取り付けと、その状態からの取り外しと、が可能である。調整部材63は、例えばバックルやラッチ等の構成を採用し、肩掛ベルト部61に設けられることで当該肩掛ベルト部61の長さの調節を可能とする。
【0033】
このベルト部材60は、次のようにキャリングケース10(ケース本体13)に装着する。なお、この
図10では、上述したように衝撃吸収部材50を装着した後にベルト部材60を装着する様子を示しているが、衝撃吸収部材50を装着することなくベルト部材60を装着してもよい。ベルト部材60では、X方向正側の端部のフック部62を正側X側面18Aの取付金具25に取り付け、かつX方向負側の端部の2つのフック部62を負側X側面18Bの2つの取付金具25に個別に取り付ける。そして、ベルト部材60では、各調整部材63で各肩掛ベルト部61の長さを調節することで、第1外殻部11の第1正面16(図示の例では吸収本体部51(衝撃吸収部材50))と肩掛ベルト部61との間隔を適切としつつケース本体13(キャリングケース10)に装着される。
【0034】
さらに、キャリングケース10では、
図11に示すように、収容部材70を装着することができる。この
図11では、鉛直方向で見て正側X側面18Aを上側にかつ負側X側面18Bを下側にし、第2正面17を手前側に向けてケース本体13(キャリングケース10)を立てた状態を示す。収容部材70は、物品を収容するものであり、その物品をキャリングケース10とともに運ぶことを可能とする。収容部材70は、本実施例では、収容本体部71と取付ベルト部72と調整部材73とフック部74とを有する。その収容本体部71は、物品を収容可能な袋状を呈し、その裏面に取付ベルト部72が設けられる。その取付ベルト部72は、Y方向に伸びる帯状を呈し、その収容本体部71よりもY方向負側に調整部材73が設けられ、それぞれの端部(
図11ではY方向負側の端部のみ図示)にフック部74が設けられる。その調整部材73は、例えばバックルやラッチ等の構成を採用し、取付ベルト部72に設けられることで当該取付ベルト部72の長さの調節を可能とする。各フック部74は、キャリングケース10の第2外殻部12に設けた各補助取付穴部46への取り付けと、その状態からの取り外しと、が可能である。
【0035】
この収容部材70は、一例として、次のようにキャリングケース10(ケース本体13)に装着する。収容部材70では、各取付ベルト部72の両端のフック部74を、正側Y側面19Aおよび負側Y側面19BにおいてX方向正側に位置する2つの補助取付穴部46に個別に取り付ける。そして、収容部材70では、各調整部材73で各取付ベルト部72の長さを調節することで、収容本体部71を第2外殻部12の正側X側面18Aに載せつつケース本体13(キャリングケース10)に装着することができる。なお、この例では、両Y側面19のX方向正側に位置する2つの補助取付穴部46を用いているが、両Y側面19のX方向負側に位置する2つの補助取付穴部46を用いて収容本体部71を第2外殻部12の負側X側面18Bの下に位置させて収容部材70を装着してもよく、他の態様で装着してもよく、
図11に示す例に限定されない。
【0036】
このため、キャリングケース10では、各第1取付穴部26および各第2取付穴部45が、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)または第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結する取付穴部として機能する。また、キャリングケース10では、各取付金具25が、衝撃吸収部材50のフック部54やベルト部材60のフック部62の取り付けを可能とすべく第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)に設けた取付部として機能する。さらに、本実施例では、衝撃吸収部材50、ベルト部材60および収容部材70が、取付穴部(各第1取付穴部26、各第2取付穴部45)や取付部(各取付金具25)や各補助取付穴部46を用いてキャリングケース10に装着される被装着部材として機能する。ついで、キャリングケース10では、各脚部49が設けられた各負側X側面18Bが、第1外殻部11と第2外殻部12とにおける底側面として機能する。そのベルト部材60は、各取付金具25を利用してケース本体13(キャリングケース10)に装着されることで、両肩掛ベルト部61を両肩に掛けてキャリングケース10を背負うことを可能とする。また、衝撃吸収部材50は、各取付金具25および各第1取付穴部26を利用してケース本体13(キャリングケース10)に装着されることで、背負った際の第1外殻部11(その第1正面16)から背中への衝撃を吸収する。さらに、収容部材70は、各補助取付穴部46を利用してケース本体13(キャリングケース10)に装着されることで、ケース本体13に収容した物品(本実施例では測量機)とは異なる物品をケース本体13と一緒に背負うことを可能とする。よって、キャリングケース10では、負担をより軽減しつつ持ち運ぶことをより容易とすることができる。
【0037】
このとき、取付穴部としての各第1取付穴部26では、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)の中で完結するので、第2開口26bを通して切欠部分48からケース本体13の外方へと至らせることで、各取付ベルト部52を並列する第2取付穴部45(第2外殻部12)と干渉させない。また、取付部としての各取付金具25は、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)からZ方向(閉合方向)に突出するので、その周辺を取り巻くことで第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)のみに各フック部54(各フック部62でも同様である)を取り付けることができ、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)の中で完結した構成である。このため、ケース本体13(キャリングケース10)では、衝撃吸収部材50を第1環状リブ突起29Aすなわち第1外殻部11のみに装着することができ、当該衝撃吸収部材50を取り外すことなく第1外殻部11と第2外殻部12とを開放できる。
【0038】
また、ベルト部材60は、第1外殻部11の第1環状リブ突起29Aに設けた3つの取付金具25を用いて、ケース本体13(キャリングケース10)に装着される。加えて、収容部材70は、第2外殻部12に設けた2つの補助取付穴部46を用いて、ケース本体13(キャリングケース10)に装着される。このため、ケース本体13(キャリングケース10)では、ベルト部材60を第1環状リブ突起29Aすなわち第1外殻部11のみに装着することができ、かつ収容部材70を第2外殻部12のみに装着することができ、そのベルト部材60や収容部材70を取り外すことなく第1外殻部11と第2外殻部12とを開放できる。よって、ケース本体13(キャリングケース10)では、衝撃吸収部材50やベルト部材60や収容部材70を装着したままで、測量機を使用したり収容したりすることができる。
【0039】
本発明に係るキャリングケースの一実施例としてのキャリングケース10では、第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)において第1開口26aと第2開口26bとを繋ぎ、当該第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)の中で完結させて、取付穴部としての各第1取付穴部26を設けている。このため、キャリングケース10では、各第1取付穴部26を用いて被装着部材を装着することで、第1外殻部11(第1環状リブ突起29A)のみに被装着部材を装着できる。同様に、キャリングケース10では、第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結させて取付穴部としての各第2取付穴部45を設けているので、その各第2取付穴部45を用いて被装着部材を装着することで、第2外殻部12(第2環状リブ突起29B)のみに被装着部材を装着できる。これらのことから、キャリングケース10では、被装着部材を装着したままで、第1外殻部11および第2外殻部12を開放したり閉じ合せたりすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0040】
また、キャリングケース10では、取付穴部(各第1取付穴部26、各第2取付穴部45)を第1環状リブ突起29Aおよび第2環状リブ突起29Bに設けている。このように、キャリングケース10では、ケース本体13の縁部に位置する各環状リブ突起29に取付穴部を設けたので、フック部等を介して装着した被装着部材の安定性を高めることができる。
【0041】
さらに、キャリングケース10では、第1環状リブ突起29Aと第2環状リブ突起29Bとが、第1外殻部11と第2外殻部12とを閉じ合わせると、Z方向(閉合方向)で接触しつつ並列して単一の突条の環状リブ突起29を形成する。このため、キャリングケース10では、並列して接触することで第1環状リブ突起29Aおよび第2環状リブ突起29Bの剛性を向上させることができ、それらに取付穴部(各第1取付穴部26、各第2取付穴部45)を設けたので被装着部材をより適切に装着することができる。
【0042】
キャリングケース10では、第1取付穴部26と第2取付穴部45とをZ方向(閉合方向)で対を為して並列して設け、第1取付穴部26が第1環状リブ突起29Aを貫通し、第2取付穴部45が第2環状リブ突起29Bを貫通しつつ切欠部分48に開口する。このため、キャリングケース10では、第1環状リブ突起29Aと第2環状リブ突起29Bとの双方の開放端部が付き合わされても、第1取付穴部26と第2取付穴部45とがそれぞれ切欠部分48に繋がり、第1取付穴部26および第2取付穴部45を互いに他方に干渉することなく帯状や紐状やリング状やU字状の部材を取り付けることができる。これにより、キャリングケース10では、第1取付穴部26と第2取付穴部45とを外側から見て3つの開口のみで形成でき、かつそれぞれが設けられた第1環状リブ突起29A(第1外殻部11)または第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結させることができる。このため、キャリングケース10では、意匠性をより向上させつつ、被装着部材を装着したままで第1外殻部11および第2外殻部12を開放したり閉じ合せたりすることができる。
【0043】
キャリングケース10では、Z方向(閉合方向)で見て四角形状を呈する第2外殻部12(第2正面17)において、X方向で対を為して両X側面18に2つの第2取付穴部45を設けている。このため、キャリングケース10では、対を為す両第2取付穴部45を用いて被装着部材を装着することで、当該被装着部材を安定して第2外殻部12(第2環状リブ突起29B)のみに装着することができる。
【0044】
キャリングケース10では、第1環状リブ突起29AからZ方向(閉合方向)に突出して取付部としての取付金具25を設け、その取付金具25(取付部)と取付穴部としての第1取付穴部26とをX方向で対を為して両X側面18に設けている。このため、キャリングケース10では、対を為す第1取付穴部26と取付金具25とを用いて被装着部材を装着することで、当該被装着部材を安定して第1外殻部11(第1環状リブ突起29A)のみに装着することができる。
【0045】
キャリングケース10では、第2取付穴部45とZ方向(閉合方向)で対を為して並列させて、第1取付穴部26または取付金具25を設けている。このため、キャリングケース10では、位置に応じて第1取付穴部26と取付金具25と選択して設けているので、設計の自由度を高めつつ第1外殻部11(第1環状リブ突起29A)または第2外殻部12(第2環状リブ突起29B)のみに被装着部材を装着することができる。
【0046】
キャリングケース10では、各第2取付穴部45の第1開口45aが切欠部分48に通じるので、Z方向(閉合方向)で対を為して並列させて第1取付穴部26または取付金具25のいずれを設けた場合であっても、外観形状を変化させることなく第2環状リブ突起29B(第2外殻部12)の中で完結させることができる。
【0047】
キャリングケース10では、第2外殻部12の中で完結して補助取付穴部46を設けている。このため、キャリングケース10では、取付穴部(各第1取付穴部26、各第2取付穴部45)や取付部(各取付金具25)と併せて用いることで、被装着部材の装着自由度を高めつつ第1外殻部11または第2外殻部12のみに被装着部材を装着することができる。
【0048】
キャリングケース10では、底側面としての負側X側面18Bに、X方向で見て互い違いとなるようにすなわちX方向における互いに異なる位置に各脚部49を設けている。ここで、キャリングケース10では、第1外殻部11と第2外殻部12とが開放されると、それぞれの負側X側面18Bが近接して対向される。このキャリングケース10では、X方向で見て互い違い各脚部49を設けているので、第1外殻部11側の第1脚部49Aと第2外殻部12側の第2脚部49Bとが干渉することを防止でき、使い勝手をより向上させることができる。
【0049】
キャリングケース10では、各脚部49を、負側X側面18B(底側面)からY方向負側に突出しつつZ方向に伸びて設け、その突出端にZ軸方向に伸びる2本の線条部分49aを設けて形成する。このため、キャリングケース10では、各脚部49が削れてしまった場合であっても当該各脚部49すなわち第1外殻部11や第2外殻部12に穴が開くことを防止できる。これは、次のことによる。各脚部(49)では、安定してキャリングケース10を置くには、負側X側面18B(底側面)と平行な方向となるX−Z平面で見てある程度の大きさ寸法の直方体状とすることが考えられる。その場合、第1外殻部11および第2外殻部12を射出成形で形成しているため、各脚部(49)が直方体形状の空洞の突起となるので、各脚部(49)を形成する箇所の厚さが薄く、削れることで穴が開く虞がある。これに対し、各脚部49では、2本の細長い線条部分49aをX方向で間隔を置いて設けることで、X方向で見た大きさ寸法を確保するので、各線条部分49aを材料(樹脂)で充填することができ、削れた場合であっても穴が開くことを防止できる。
【0050】
したがって、本発明に係るキャリングケースの一実施例としてのキャリングケース10では、被装着部材(本実施例では、衝撃吸収部材50、ベルト部材60、収容部材70)の装着を可能としつつ使い勝手を向上させることができる。
【0051】
なお、上記した実施例では、本発明に係るキャリングケースの一実施例としてのキャリングケース10について説明したが、互いに椀形状を呈し、閉合方向で閉じ合わせると中空の箱状となる第1外殻部および第2外殻部を備え、前記第1外殻部には、開放端部の大きさ寸法を部分的に拡大すべく前記閉合方向に直交する直交面方向の外側に突出する第1環状リブ突起が設けられ、前記第2外殻部には、開放端部の大きさ寸法を部分的に拡大すべく前記直交面方向の外側に突出する第2環状リブ突起が設けられ、前記第1環状リブ突起または前記第2環状リブ突起の少なくとも一方には、対応する前記第1環状リブ突起または前記第2環状リブ突起の中で完結して取付穴部が設けられたキャリングケースであればよく、上記した実施例に限定されない。
【0052】
また、上記した実施例では、4つの第1取付穴部26と7つの第2取付穴部45と4つの補助取付穴部46とを上記した態様で設けているが、その数や場所は適宜設定すればよく、上記した例に限定されない。
【0053】
さらに、上記した実施例では、各第1取付穴部26と各取付金具25とを用いて衝撃吸収部材50を、各第1取付穴部26を用いてベルト部材60を、各補助取付穴部46を用いて収容部材70を装着している。しかしながら、ケース本体13(キャリングケース10)では、取付穴部(各第1取付穴部26、各第2取付穴部45)や取付部(各取付金具25)や各補助取付穴部46を、適宜組み合わせて用いて衝撃吸収部材50やベルト部材60や収容部材70を含む被装着部材を装着すればよく、上記した例に限定されない。
【0054】
上記した実施例では、取付部として、金属材料から形成された棒状の部材をU字状に湾曲させて取付金具25を形成しているが、フック部54やフック部62等の帯状や紐状やリング状やU字状の部材の取り付けを可能とすべく設けるものであれば、他の構成でもよく、上記した実施例に限定されない。
【0055】
以上、本発明のキャリングケースを実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。