(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0017】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る光透過性導電フィルムの模式的断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のハードコート層を拡大して示す模式的部分断面図である。なお、
図1において、各層及びフィラーの長さ、幅、厚み、形状及びフィラーの添加量は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
【0018】
図1(a)及び(b)に示す光透過性導電フィルム1は、基材フィルム2、導電層3及びハードコート層4を備える。光透過性導電フィルム1は、光透過性を有し、かつ導電性を有するフィルムである。
【0019】
基材フィルム2は、第1の主面2a(表面)及び第2の主面2b(表面)を有する。第1の主面2aと、第2の主面2bとは、互いに対向している。第1の主面2aは、導電層3に接している。第1の主面2aは、導電層3が配置される表面である。第2の主面2bは、ハードコート層4に接している。第2の主面2bは、ハードコート層4が配置される表面である。基材フィルム2は、光透過性の高い材料により形成されている。
【0020】
基材フィルム2の第1の主面2a上に部分的に、導電層3が積層されている。導電層3は、光透過性が高く、かつ導電性の高い材料により形成されている。光透過性導電フィルム1は、基材フィルム2の第1の主面2a上において、導電層3がある部分と、導電層3がない部分とを有する。なお、本発明においては、基材フィルム2の第1の主面2a上に他の層を介して、導電層3が設けられていてもよい。他の層としては、例えば、ハードコート層4と同じ材料により形成されたハードコート層を設けることができる。また、上記の他の層として設けるハードコート層の材料は、ハードコート層4の材料と異なっていてもよい。
【0021】
基材フィルム2の第2の主面2b上に、ハードコート層4が積層されている。ハードコート層4は、第3の主面4a(表面)及び第4の主面4b(表面)を有する。第3の主面4aは、基材フィルム2に接している。第3の主面4aは、基材フィルム2が配置される表面である。第4の主面4bは、液晶表示装置などに搭載される搭載面である。なお、本発明においては、基材フィルム2の第2の主面2b上に他の層を介して、ハードコート層4が設けられていてもよい。
【0022】
ハードコート層4は、樹脂部5と、フィラー6とを含む。樹脂部5は、硬化樹脂により形成されている。ハードコート層4を設けることにより、基材フィルム2の表面を保護することができる。また、基材フィルム2に存在する微細な傷を埋めることができ、基材フィルム2の表面を平坦化することができる。ハードコート層4が設けられているため、光透過性導電フィルム1は、耐擦傷性に優れている。
【0023】
フィラー6は、ハードコート層4の内部に配置されている。フィラー6は、フィラー6によってハードコート層4の第3及び第4の主面4a,4bが突出しないように配置されている。フィラー6は、ハードコート層4の第3及び第4の主面4a,4bにおいて突出していない。ハードコート層4の第3及び第4の主面4a,4bにおいて、フィラー6による突出部が形成されていない。ハードコート層4は、第3及び第4の主面4a,4bからフィラー6が突出した突出部を有さない。そのため、ハードコート層4の第3及び第4の主面4a,4bは平滑であり、光透過性導電フィルム1では、白色散乱が生じ難い。
【0024】
なお、本発明においては、一部のフィラー6が、第3及び第4の主面4a,4bから突出していてもよい。白色散乱をより一層抑制する観点から、全てのフィラー6が突出していないことが好ましい。一部のフィラー6が、第3及び第4の主面4a,4bから突出していている場合に、フィラー6の全個数を100%とした時、突出しているフィラー6の個数は好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。突出しているフィラー6が少ないほど、白色散乱がより一層抑えられる。
【0025】
フィラー6は、ハードコート層4の厚み方向において、第3の主面4a側に多く存在するように偏在している。具体的には、ハードコート層4の内部において、第3の主面4a側の厚み1/2の領域におけるフィラー6の含有量が、第4の主面4b側の厚み1/2の領域におけるフィラーの含有量より多い。なお、フィラー6の存在位置は、フィラー6の中心を基準にして判断する。
【0026】
フィラー6の第3の主面4a側の端部は、ハードコート層4の第3の主面4aに連なっている。フィラー6の第3の主面4a側の端部が、第3の主面4aの位置に存在する。フィラー6の第4の主面4b側の端部は、ハードコート層4の第4の主面4b側に連なっていてもよい。第3の主面4aは基材フィルム2に接しており、フィラー6によりハードコート層4の表面がより一層突出し難いため、フィラー6の第3の主面4a側の端部が、第3の主面4aに連なっていることが好ましい。また、フィラー6の第3の主面4a側とは反対側の端部は、
図1(b)に破線で示すハードコート層4の厚み方向の中心よりも第4の主面4b側に配置されている。
【0027】
ハードコート層4の厚みは、1μm以下である。ハードコート層4の厚みが1μm以下であっても、光透過性導電フィルム1では、導電層3のパターンが視認され難く、骨見えの問題が生じ難い。また、ハードコート層4の厚みは、フィラー6の平均粒子径より大きいか、又はフィラー6の平均粒子径と同じ厚みである。そのため、光透過性導電フィルム1では、白色散乱が抑制され、白ボケしにくい。
【0028】
より具体的に、光透過性導電フィルム1では、ハードコート層4の厚みに対するフィラー6の平均粒子径の比(フィラー6の平均粒子径/ハードコート層4の厚み)は、1/2を超え、1以下である。上記比(フィラー6の平均粒子径/ハードコート層4の厚み)が、上記下限を超え、上記上限以下であるため、光透過性導電フィルム1では、導電層3のパターンが視認され難く、かつ白色散乱が生じ難い。なお、上記平均粒子径とは、平均体積粒径のことをいい、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置により測定することができる。なお、後述する実施例においては、粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、品番:LA−950)により平均体積粒径を測定した。
【0029】
導電層3のパターンをより一層視認され難くし、白色散乱をより一層抑制する観点から、上記比(フィラー6の平均粒子径/ハードコート層4の厚み)は、0.6以上であることが好ましく、0.9以下であることが好ましい。
【0030】
ハードコート層4の第3及び第4の主面4a,4bのJIS B0601:1994に準拠して測定された算術平均粗さRaは、10nm未満であることが好ましく、8nm未満であることがより好ましく、6nm未満であることがより好ましい。算術平均粗さRaが上記上限未満である場合、白色散乱をより一層抑制することができる。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る光透過性導電フィルムの変形例におけるハードコート層を拡大して示す模式的部分断面図である。
【0032】
図2に示すように、変形例の光透過性導電フィルムでは、ハードコート層4Aの厚み方向において、フィラー6Aがランダムに配置されている。ハードコート層4Aは、樹脂部5Aと、フィラー6Aとを含む。フィラー6Aは、
図2に破線で示すハードコート層4Aの厚み方向の中心より、第3及び第4の主面4a,4b側のいずれの側にも配置されている。フィラー6Aは、ハードコート層4A内において、第3及び第4の主面4a,4b側のいずれの側にも、偏在していない。また、フィラー6Aのハードコート層4の両側の端部は、第3及び第4の主面4a,4bのいずれにも、連なっていない。なお、本変形例においても、フィラー6Aは、フィラー6Aによりハードコート層4Aの第3及び第4の主面4a,4bが突出しないように配置されている。
【0033】
本変形例のように、フィラー6Aは、ハードコート層4Aの厚み方向において、ランダムに配置されていてもよいが、フィラー6Aは、厚み方向の第3の主面4a側に多く存在するように偏在していてもよく、厚み方向の第4の主面4b側に多く存在するように偏在していてもよい。
【0034】
本発明に係る光透過性導電フィルムは、上記の構成を備えているため、導電層のパターンが視認され難く、かつ白色散乱を抑制することができる。本発明に係る光透過性導電フィルムでは、骨見えの問題や、白ボケの問題が生じ難い。従って、本発明の光透過性導電フィルムは、信頼性に優れている。
【0035】
本発明の光透過性導電フィルムは、導電層のパターンが視認され難く、かつ白色散乱を抑制することができるため、液晶表示装置に用いた場合、表示光の視認性を高めることができる。よって、本発明の光透過性導電フィルムは、液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0036】
特に、タッチパネルにおいては、導電層のパターンが視認されたり、かつ白色散乱が生じたりすると、表示品質及び使用性に大きな悪影響が生じる。導電層のパターンが視認され難く、かつ白色散乱を抑制することができるため、本発明の光透過性導電フィルムは、タッチパネルに特に好適に用いることができる。
【0037】
以下、本発明に係る光透過性導電フィルムの他の詳細を説明する。
【0038】
(基材フィルム)
基材フィルムは、高い光透過性を有することが好ましい。従って、基材フィルムの材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、セルロースナノファイバー等が挙げられる。基材フィルムは、樹脂により形成されていることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0039】
基材フィルムの厚みは、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、188μm以下であることが好ましく、125μm以下であることがより好ましい。基材フィルムの厚みが、上記下限以上及び上記上限以下である場合、導電層のパターンを、より一層視認され難くすることができる。
【0040】
また、基材フィルムの光透過率は、波長380〜780nmの可視光領域における平均透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0041】
基材フィルムの屈折率は、1.40以上であることが好ましく、1.50以上であることがより好ましく、1.70以下であることが好ましく、1.60以下であることがより好ましい。基材フィルムの屈折率が、上記下限以上及び上記上限以下である場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができる。
【0042】
また、基材フィルムには、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤又は着色剤が含まれていてもよい。
【0043】
(導電層)
導電層は、光透過性を有する導電性材料により形成されている。上記導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、IZO(インジウム亜鉛酸化物)や、ITO(インジウムスズ酸化物)などのIn系酸化物、SnO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などのSn系酸化物、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)などのZn系酸化物、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al
2O
3混合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、Agナノワイヤー(AgNW)、カーボンナノチューブ(CNT)又は導電性透明ポリマーなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0044】
導電性をより一層高め、光透過性をより一層高める観点から、上記導電性材料は、IZO(インジウム亜鉛酸化物)や、ITO(インジウムスズ酸化物)などのIn系酸化物、SnO
2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などのSn系酸化物、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)などのZn系酸化物であることが好ましく、ITO(インジウムスズ酸化物)であることがより好ましい。
【0045】
導電層の厚みは、特に限定されないが、12nm以上であることが好ましく、17nm以上であることがより好ましく、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
【0046】
導電層の厚みが上記下限以上である場合、光透過性導電フィルムの導電性をより一層高めることができる。導電層の厚みが上記上限以下である場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができ、より一層薄型化を図ることができる。
【0047】
また、導電層の光透過率は、可視光領域における平均透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0048】
(ハードコート層)
ハードコート層は、樹脂部及びフィラーにより構成されている。
【0049】
ハードコート層の厚みは、1μm以下である。ハードコート層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましく、1μm未満であることが好ましく、0.9μm以下であることがより好ましく、0.8μm以下であることが更に好ましい。ハードコート層の厚みを上記下限以上及び上記上限以下とすることにより、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができ、白色散乱をより一層抑制することができる。
【0050】
樹脂部;
樹脂によって、ハードコート層の樹脂部を形成することができる。樹脂部は、硬化樹脂により形成されていることが好ましい。上記硬化樹脂としては、熱硬化樹脂や、活性エネルギー線硬化樹脂などを用いることができる。生産性及び経済性の観点から、上記硬化樹脂は、紫外線硬化樹脂であることが好ましい。
【0051】
上記紫外線硬化樹脂を形成するための光硬化性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジメタクリレートのようなジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートのようなトリアクリレート化合物;ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートのようなテトラアクリレート化合物;並びにジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートのようなペンタアクリレート化合物などを挙げることができる。上記紫外線硬化型樹脂としては、5官能以上の多官能アクリレートも用いてもよい。これらの多官能アクリレートは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。また、上記多官能アクリレート化合物に、光開始剤、光増感剤、レベリング剤、希釈剤などを添加してもよい。
【0052】
フィラー;
フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、インジウム−錫酸化物などの金属酸化物粒子;または、シリコーン、(メタ)アクリル、スチレン、メラミン等を主成分とする樹脂微粒子などを用いることができる。より具体的には、架橋ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの樹脂微粒子を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0053】
上記フィラーの屈折率と上記ハードコート層の樹脂部の屈折率との差の絶対値は0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、0.05以上であることが更に好ましい。上記屈折率の差の絶対値が上記下限以上の場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができる。
【0054】
また、上記フィラーの屈折率と上記ハードコート層の樹脂部の屈折率との差の絶対値は0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることが更に好ましい。上記屈折率の差の絶対値が上記上限以下の場合、白色散乱をより一層抑制することができる。
【0055】
ハードコート層100重量%中、フィラーの含有量は、0.01重量%以上であることが好ましく、0.03重量%以上であることがより好ましく、0.05重量%以上であることが更に好ましく、1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることが更に好ましい。フィラーの含有量が、上記下限以上である場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができる。フィラーの含有量が、上記上限以下である場合、白色散乱をより一層抑制することができる。
【0056】
フィラーの平均粒子径は、0.2μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることが更に好ましく、1μm以下であることが好ましく、1μm未満であることがより好ましく、0.9μm以下であることが更に好ましく、0.8μm以下であることが特に好ましい。
【0057】
フィラーの平均粒子径が、上記下限以上である場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができる。フィラーの平均粒子径が、上記上限以下である場合、白色散乱をより一層抑制することができる。
【0058】
(製造方法)
光透過性導電フィルムの製造方法は、特に限定されない。光透過性導電フィルムの製造方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0059】
まず、基材フィルムの一方側の主面側に、導電層を形成する。上記導電層の形成方法は、特に限定されない。上記導電層の形成方法として、例えば、蒸着又はスパッタリングにより形成した金属膜をエッチングする方法や、スクリーン印刷又はインクジェット印刷などの各種印刷方法、並びにレジストを用いたフォトリソグラフィー法等の公知のパターニング方法等を用いることができる。
【0060】
次に、基材フィルムの他方側の主面側に、ハードコート層を形成する。具体的には、樹脂に紫外線硬化樹脂を用いる場合は、まず、光硬化性モノマー、光開始剤及びフィラーを希釈剤中で撹拌して塗工液を作製する。得られた塗工液を基材フィルム上に塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、ハードコート層を作製する。
【0061】
なお、本発明においては、導電層とハードコート層の製造順序は特に限定されないが、導電層より先に、基材フィルム上にハードコート層を形成することが好ましい。
【0062】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づき、更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0063】
(実施例1)
塗工液の調製;
光硬化性モノマーとしてのウレタンアクリレートオリゴマー97重量部と、希釈溶剤としてのトルエンとメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶剤100重量部と、光開始剤としてのイルガキュア194(チバスペシャルティケミカル社製)3重量部、フィラーとしての架橋ポリメタクリル酸メチル(積水化成品工業社製、商品名:テクポリマー、平均粒子径:0.4μm)0.03重量部とを混合撹拌して、塗工液を調製した。
【0064】
ハードコート層の形成;
蒸着法により、23μmのPETフィルムの一方側の主面上に作製した塗工液を塗布し、乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプにより200mJ/cm
2の紫外線を照射することにより樹脂を硬化させ、厚み0.4μmのハードコート層を形成した。ハードコート層の基材フィルムと接する第3の主面の算術平均粗さRaは、5nmであった。
【0065】
導電層の形成;
ハードコート層を形成したフィルムのハードコート層とは他方側の主面上にITO層(導電層)を堆積させた。ITO層を堆積したPETフィルムに、ドライフィルムレジストを貼り、露光、現像を行った。続いて、エッチング、剥離、洗浄、乾燥の各工程をこの順に行い、ITO層のパターニングを行ない、光透過性導電フィルムを得た。
【0066】
(実施例2〜18及び比較例1〜5)
フィラーの平均粒子径、フィラーの添加量、ハードコート層の厚み、及びハードコート層の基材フィルムと接する第3の主面の算術平均粗さRaを下記の表1のように設定したこと以外は、実施例1と同様にして光透過性導電フィルムを得た。
【0067】
(実施例19〜22及び比較例6〜7)
フィラーの種類を球状シリカ(電気化学工業社製SFP−20M、平均粒子径0.3μm)に変更し、フィラーの添加量、ハードコート層の厚み、及びハードコート層の基材フィルムと接する第3の主面の算術平均粗さRaを下記の表2のように設定したこと以外は、実施例1と同様にして光透過性導電フィルムを得た。
【0068】
<評価>
実施例1〜22及び比較例1〜7で得られた光透過性導電フィルムについて、下記の評価を行った。結果を下記の表1,2に示す。
【0069】
(1)骨見えの評価
得られた光透過性導電フィルムについて、以下の基準で骨見えの評価を行った。
【0070】
[骨見えの評価の判定基準]
○○○…LED光、蛍光灯及び白色灯のいずれを照射した場合においても、目視で導電層のパターンが視認されない。
○○…LED光を照射した場合には、目視で導電層パターンが視認されるが、蛍光灯及び白色灯のいずれを照射した場合には、目視で導電層のパターンが視認されない。
○…LED光及び蛍光灯を照射した場合には、目視で導電層パターンが視認されるが、白色灯を照射した場合には、目視で導電層のパターンが視認されない。
×…LED光、蛍光灯及び白色灯のいずれを照射した場合においても、目視で導電層パターンが視認される。
【0071】
(2)粒状感の評価(白ボケの評価)
得られた光透過性導電フィルムに蛍光灯を照射し、以下の基準で粒状感の評価(白ボケの評価)を行った。
【0072】
[粒状感の評価の判定基準]
○○…光透過性導電フィルムの表面に、蛍光灯が映る。
○…光透過性導電フィルムの表面が、やや白くぼやける。
×…光透過性導電フィルムの表面が、白くぼやける。