(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視において前記中心軸から前記ボスの外周面に接するように二本の接線を引いたとき、前記反射面は、少なくとも前記二本の接線の間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の光束制御部材。
前記尖形凹部構造は、平面視において、前記中心軸と前記ボスの中心とを結ぶ基準線を引くとき、前記基準線に対して線対称となるように形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光束制御部材。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
例えば、直下型の面光源装置は、基板、複数の発光素子、複数の光束制御部材(拡散レンズ)及び光拡散部材(拡散板)を有する。複数の発光素子は、基板上にマトリックス状に配置される。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば、液晶パネル)を面状に照らす。
【0004】
光束制御部材を基板上に位置決めする場合、光束制御部材の底部に位置決め用のボス(凸部)を形成し、このボスを基板に形成された孔又は凹部に嵌め込むことがある。
【0005】
そして、一般的な位置決め方法では、例えば、
図1(A)に示されるように、光束制御部材10の当接面12から突出した円柱形状のボス14を、当接面12が基板20に当接するように基板20の円柱形状の貫通孔22に嵌め込むことで、光束制御部材10を基板20上に位置決めしていた。この後、ボス14の基板裏面24から突出した部分と基板20とを溶着することで、光束制御部材10を基板20上に固定することもできる。光束制御部材10が基板20に嵌め込まれた状態で高温環境下に置かれた場合、光束制御部材10と基板20との線膨張係数の差によって光束制御部材10の方が基板20よりも膨張量が大きくなるため、ボス14の基端部の角(
図1(A)において矢印で示す)には応力が集中してしまい、ボス14が破損してしまうことがある。
【0006】
このため、例えば、
図1(B)に示されるように、ボス14の基端部の角(
図1(B)において矢印で示す)をR面とすることが考えられる。ボス14の基端部の角をR面とすることで、応力の集中を防いで、ボス14の破損を抑制することができる。しかしながら、ボス14の基端部の角をR面とすると、光束制御部材10の当接面12と基板20との間に隙間ができてしまい、基板20に対して光束制御部材10を適切に位置決めすることができない。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の光束制御部材では、
図1(C)に示されるように、光束制御部材10の裏面143(基板との当接面)において、ボス145の基端部を断面視でR形状に形成し、ボス145の基端部(ボス145と裏面143との接続部位)を囲むように環状凹部146(円環状の溝)を形成する構成を採用した。これにより、特許文献1に記載の光束制御部材10は、ボス145に力が加わった場合であってもボス145の基端部に応力が集中することを防ぎつつ、ボス145の基端部の当接面を平面にすることができるので、基板との間に隙間を生じることなく、基板に対して光束制御部材10を適切に位置決めすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された光束制御部材10(
図1(C)参照)は、裏面143に環状凹部146を有するので、光源からの光が環状凹部146に入射するように光束制御部材10を実装した場合、環状凹部146に起因して光の一部が吸収又は減衰し、光の利用効率が低下するおそれがあることが新たに見出された。例えば、光束制御部材10と基板とを接着材を用いて接合した場合、基端部の周囲に形成された環状凹部146に接着材がはみ出し、はみ出した接着材が光束制御部材にとって異物となり、光源から放射された光束の一部が、はみ出した接着剤に吸収されてしまう。
【0010】
一般的に、発光装置を基板上に構成する際は、LED発光素子などを含む各種電子部品を、はんだによるリフロー処理によって基板上に実装する。光束制御部材が一般的な材料(アクリルなど)で構成されている場合、光束制御部材は、はんだによる高温のリフロー処理に耐えられない。このため、通常は、高温のリフロー処理によって各種電子部品を基板に実装した後に、光束制御部材を基板に実装する必要がある。光束制御部材の実装方法として、比較的低温で光束制御部材の材料の一部を変形させる溶着処理を採用する場合、合計で2回の加熱を伴う処理が必要となる。光束制御部材の実装方法として、接着材で固定する場合は、前述したとおり、環状凹部に起因した光の利用効率低下の問題が生じる。
【0011】
また、利便性を高めるために、光束制御部材を基板上ではなく、光束制御部材をより小型化、軽量化して、LED発光素子等の光源の表面に実装し、光源と光束制御部材とを組み合わせて一体のパッケージとした発光装置の開発が期待されている。このような光源の表面に光束制御部材が実装された発光装置を「表面実装型の発光装置」という。表面実装型の発光装置の光束制御部材として、特許文献1に記載の環状凹部を有する光束制御部材を小型のLED発光素子の表面に直接実装しようとする場合、LED発光素子と環状凹部との距離が近くなること、及び光束制御部材における環状凹部の占める割合が大きくなることから、環状凹部に起因した光の利用効率低下の問題がさらに大きくなるおそれがある。
【0012】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、かかる問題の少なくとも一つを解決することができる光束制御部材などを提供することを目的とする。具体的には、本発明は、光束制御部材の位置決め精度を維持しつつ、ボスの強度を向上させた光束制御部材であって、さらに、光の利用効率の低下を防止することができる光束制御部材を提供することを目的の一つとする。また、複数の加熱処理を伴わず、簡単に製造することができる表面実装型の発光装置を提供することを目的の一つとする。加えて、本発明は、かかる光束制御部材又は発光装置を有する光源装置及びかかる光源装置を有する表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するため、本発明の光束制御部材は、光源から出射された光束を制御する光制御出射面と、前記光制御出射面の反対側に位置する底面と、前記底面側に延出するボスと、前記ボスの基端部の周囲に形成され、前記基端部を前記底面の少なくとも一部を含む基準水平面よりも内側に収容する環状凹部と、を備え、前記環状凹部の内周面には、平面視において、前記光制御出射面の中心軸に向かって凹部が広がるように肉抜きされた尖形凹部構造が形成され、前記尖形凹部構造には、前記光源から出射される光束の一部を全反射する反射面が形成されることを特徴とする。
【0014】
さらに、上記光束制御部材において、平面視において前記中心軸から前記ボスの外周面に接するように二本の接線を引いたとき、前記反射面は、少なくとも前記二本の接線の間に形成されることが好ましい。
【0015】
さらに、上記光束制御部材において、前記尖形凹部構造は、平面視において、前記中心軸と前記ボスの中心とを結ぶ基準線を引くとき、前記基準線に対して線対称となるように形成されることが好ましい。
【0016】
さらに、上記光束制御部材において、前記反射面は、前記底面に対して垂直な平面を含むように形成されていてよく、前記底面に対して傾斜している平面を含むように形成されていてもよく、曲面を含むように形成されていてもよい。
【0017】
さらに、上記光束制御部材において、前記光束制御部材は、耐熱性の高い材料によって形成されることが好ましい。
【0018】
また、本発明の発光装置は、上記光束制御部材と、光源と、を備えることを特徴とする。さらに、上記発光装置において、前記光源はLED発光素子であり、前記LED発光素子の表面に前記光束制御部材が実装されることが好ましく、前記LED発光素子は、前記光束制御部材の前記ボスを嵌合するボス孔を有し、前記光束制御部材のボスは、接着剤を用いて前記ボス孔に固定されてもよい。
【0019】
また、本発明の光源装置は、上記発光装置と、前記発光装置からの光を拡散及び透過する光拡散部材と、を備えることを特徴とし、本発明の表示装置は、上記光源装置と、前記光源装置からの光が照射される被照明部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光束制御部材は、底面側に延出する位置決め用のボスを有し、ボスの基端部を底面よりも内側に収容する環状凹部を形成しつつ、環状凹部の内周面に前記光源から出射される光束の一部を全反射する反射面を有する尖形凹部を形成したので、環状凹部内に入射する光束を低減することができ、環状凹部内の異物(例えば、接着剤など)によって光束の一部が吸収され、光の利用効率が低下するのを防ぐことができる。その他の効果については、発明を実施するための形態において述べる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[本発明の概要]
本発明の光束制御部材は、底面側に延出する位置決め用のボスを有し、ボスの基端部を底面よりも内側に収容する環状凹部(溝)が形成され、環状凹部の内周面の一部には、光制御出射面の中心軸に向かって溝が拡幅するように肉抜きされた尖形凹部構造が形成され、尖形凹部構造には、光源から出射される光束の一部を全反射する反射面が形成される。かかる反射面により、本発明の光束制御部材は、環状凹部内に入射する光束を低減することができ、環状凹部内の異物(例えば、接着剤など)によって光束の一部が吸収され、光の利用効率が低下するのを防ぐことができる。また、本発明の光束制御部材は、ボスの基端部に応力が集中しないため、ボスの強度に優れており、ボスの基端部近傍の当接面を平面にすることができるため、基板などに対する光束制御部材の位置決め精度を維持することができる。
【0023】
本発明の光束制御部材は、適当な光源と組み合わせて発光装置を構成することができる。光源は、特に限定されず、LED発光素子、電球、キセノンランプ、半導体レーザー、有機EL素子、超小型蛍光管などを採用することができる。光束制御部材と光源(例えば、LED発光素子)とを組み合わせると、各種の用途に利用可能な発光装置を構成することができる。光束制御部材は、LED発光素子等の光源が配置された電子回路基板などに実装することもできるし、LED発光素子等の光源の表面に直接実装することもできる。LED発光素子に直接実装する場合、小型(例えば、10mm角以下)の表面実装型の発光装置を実現することができる。
【0024】
また、本発明の発光装置を配置し、光束の出射面側に光拡散部材を設けると、各種の用途に利用可能な光源装置を構成することができる。複数の発光装置を相互に隣接するようにマトリクス状に配置した場合、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置を構成することができる。さらに、かかる面光源装置と、面光源装置からの光が受ける被照射部材(例えば、液晶パネル)とを組み合わせることで、表示装置を構成することができる。
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の光束制御部材をLED発光素子に直接実装した発光装置とかかる発光装置を使用した液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置を構成する場合の例について説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定されるものではない。本発明の光束制御部材は、電子回路基板に実装することもできるし、光源装置の筐体に取り付けることもできる。
【0026】
[面光源装置及び発光装置の構成]
図2は、本発明の実施形態の面光源装置100及び発光装置120の一例を示す平面図である。
図3は、本発明の実施形態の光源装置100及び発光装置120の一例を示す側面図である。
図2及び
図3に示されるように、面光源装置100は、電子回路基板110、複数の発光装置120、及び光拡散部材150を有する。複数の発光装置120は、所定の配列及び間隔で電子回路基板110の上に配置される。各発光装置120は、それぞれLED発光素子130及び光束制御部材140を有する。
【0027】
電子回路基板110は、発光装置120が実装される平板であり、発光装置120の電極に接して電力を供給する機能を有する。
【0028】
LED発光素子130は、面光源装置100(及び発光装置120)の光源であり、発光ダイオード132とパッケージ基板134とを含む。発光ダイオード132は、ボンディングワイヤなどを介してパッケージ基板134に接続され、封止樹脂などによりパッケージ基板134に固定される。パッケージ基板134は、電子回路基板110から供給される電力を受けるための電極を含む。パッケージ基板134には、光束制御部材140のボス145を嵌合し、位置決めするための複数のボス孔135が形成される。ボス孔135の形状は、特に限定されないが、例えば略円柱状、角柱状、円錐状、角錐状等であり、ボス145の形状と相関していることが好ましい。ただし、ボス孔135の方がボス145よりも大きければ、ボス孔135は、必ずしもボス145と相似形である必要はない。ボス孔135はパッケージ基板134を貫通していてもよいし、途中までの溝であってもよい。
【0029】
光束制御部材140は、LED発光素子130(発光ダイオード132)から出射された光の進行方向を制御する拡散レンズである。光束制御部材140は、後述する光制御出射面141の中心軸CAがLED発光素子130の光軸LAに一致するように、LED発光素子130の上に配置される。光束制御部材140は、底面143側に位置決め用のボス145を有する。
【0030】
光束制御部材140は、一体成形により形成される。光束制御部材140の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。光束制御部材140の材料は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、シリコーン樹脂、ガラスなどを採用することができる。ただし、光束制御部材140をLED発光素子130又は電子回路基板110に実装する観点からは、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどの耐熱性の高い材料を採用することが好ましい。光束制御部材140をLED発光素子130に直接実装した場合には、耐熱性の低い材料の場合、LED発光素子130の発熱により変形、劣化する恐れがあり、発光量の大きいものに使用すると問題が生じる虞があった。また、光束制御部材140をLED発光素子130又は電子回路基板110に実装する際に、耐熱性の高い材料を使用することにより、発光素子130を電子回路基板110に実装するリフロー処理の際に耐熱性の高い光束制御部材140も実装した状態でリフロー処理することが可能となる。光束制御部材140の具体的な構成については、別途詳細に説明する。
【0031】
光拡散部材150は、光拡散性を有する部材であり、光束制御部材140からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散部材150は、面光源装置100を液晶パネルなどのバックライトとして使用する場合は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさの板状であるが、照明装置として使用する場合は、照明の目的に照らして必要とされる照度分布となるように適当な形状を有していてもよい。光拡散部材150は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散部材150の表面に微細な凹凸を形成してもよいし、光拡散部材150の内部にビーズなどの光拡散子を分散させてもよい。
【0032】
本発明の面光源装置100では、各LED発光素子130から出射された光は、光束制御部材140により面方向に拡げられ、さらに光拡散部材150により拡散される。その結果、本発明の面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば、液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0033】
[光束制御部材の構成]
図4は、本発明の実施形態の光束制御部材140の一例を示す図であり、
図4(A)(B)(C)は、各々、かかる光束制御部材140の平面図、A−A線の側面断面図及び底面図である。
図5は、
図4(B)において破線で示されるB部分の拡大断面図である。なお、
図5では、位置決めの説明のため、LED発光素子130のパッケージ基板134も合わせて示している。
【0034】
図4及び
図5に示されるように、光束制御部材140は、光制御出射面141、底面143、複数のボス145及び複数の環状凹部146を有し、さらに、光制御入射面142及び鍔部144を有してもよい。なお、
図4には、LED発光素子130を図示していないが、LED発光素子130は、その光軸LAが光束制御部材140の光制御出射面141の中心軸CAに一致するように配置される。
【0035】
以下では、光束制御部材140の底面143の少なくとも一部を含む水平面を第1の基準水平面S1といい、第1の基準水平面S1に平行であって、光束制御部材140に形成された環状凹部146の上端(最深部)と交差する平面を第2の基準水平面S2という。また、本明細書では、第1の基準水平面S1と中心軸CA(光軸LA)との交点をLED発光素子130の仮想的な発光中心O1として反射面を設計する。また、第1の基準水平面S1とボス中心軸BAとの交点をボス中心P1とする。
【0036】
光制御出射面141は、LED発光素子130から出射され、光束制御部材140の内部に入射した光の配光を制御する。光制御出射面141は、光源の配光分布や制御後の光の配向として要求される配光分布などに応じて適宜設計される。
図3及び
図4においては、光制御出射面141は、LED発光素子130から出射される光を光拡散部材150における中心軸CA(光軸LA)から離れた領域まで及ぶように配向可能に形成されており、中心軸CAを軸とする回転対称面であり、鍔部144よりも上側に向けて突出し、中心軸CAで若干窪んだ形状である。光制御入射面142は、光束制御部材140の中心軸CAの周囲のLED発光素子側に形成された凹形状の内周面によって構成され、LED発光素子130から出射される光の入射面として機能し、光制御出射面141と合わせて、LED発光素子130から出射される光の配光を制御してもよい。
【0037】
底面143は、光制御出射面141の反対側(下側)に位置し、実装される部材(例えば、LED発光素子130のパッケージ基板134)の実装面と対向する面であり、光制御入射面142の縁部から径方向に延在し、その一部又は全部で実装面と当接する。例えば、
図5に示すように、底面143を平面で構成し、底面全部をLED発光素子130のパッケージ基板134と当接する当接面としてもよい。また、底面を曲面で構成したり、底面に段差を設けたりして、底面の一部(環状凹部の近傍)を実装面と当接する当接面とし、実装面と底面との間に隙間を設けてもよい。かかる隙間は光源の発熱を外部に逃がす機能を有する。
【0038】
鍔部144は、光制御出射面141の外周部と底面143の外周部との間に位置し、径方向外側に突出する。鍔部144の形状は、平面視において略円環状である。鍔部144は、必ずしも必要ではないが、鍔部144を設けることで、光束制御部材140の取り扱い及び位置合わせが容易になる。鍔部144の厚みは、特に限定されず、光制御出射面141の必要面積や鍔部144の成形性などを考慮して決定される。
【0039】
ボス145は、光束制御部材140を位置決め及び/又は固定するための凸部であり、環状凹部146の上面から底面側に突出するように形成されている。
図4に示される例では、3つのボス145が、互いの中心間距離が一定となるように底面143に形成される。なお、ボス145の数、長さ及び配置は、光束制御部材140をパッケージ基板134上に適切に位置決めすることができれば特に限定されない。
【0040】
ボス145の形状は、特に限定されず、例えば、略円柱状、角柱状、円錐状、角錐状等であり、パッケージ基板134に形成されるボス孔135などの形状に合わせて適宜選択されうる。ボス145及び環状凹部146の光源に対する影響を小さくするため、ボス145の形状を略板状とし、中心軸CAに対して放射状となるように配置したり、ボス145の形状を鋭角三角形状とし、鋭角を中心軸CAに向けて配置したり、ボス145の形状を長方形状とし、短辺を中心軸CAに向けて配置してもよい。
図4及び
図5に示す光束制御部材140では、ボス145の形状は、ボス孔135の略円柱状の形状に合わせて、略円柱状である。この場合、ボス145の直径は、ボス孔135の直径よりもわずかに小さい。ボス145の外周面145aは、ボス145がパッケージ基板134のボス孔135などに嵌め込まれたとき、ボス孔135の内周面などに当接する。ボス145は、環状凹部146との接続部位である基端部を含む。
【0041】
ボス145の基端部は、一定の強度が確保された根元の部位であり、高温環境下での応力の集中を防いで破損を防止する機能を有する。また、光束制御部材140を成形によって得る場合にも、離型時にボス145の基端部に応力が集中するのを防いでちぎれ発生を防止することができる。基端部は、ボス145の径よりも大きい径を有し、底面143に形成された環状凹部146に収容され、側面視において、底面143(第1の基準水平面S1)よりも内側(上側)に設けられる。基端部の形状は、特に限定されないが、環状凹部146の上端に向けて張り出すようなR面を有することが好ましい。すなわち、基端部の外周面145bは、
図5に示されるように、断面視において、弧状(例えば、円弧、楕円弧)となるように構成され、光束制御部材140が実装される部材への当接面よりも光制御出射面141側へ奥まって形成されることが好ましい。このように基端部の外周面145bをR面とすることで、ボス145に力が加わった場合であってもボス145の基端部に応力が集中することを防ぐことができる。ただし、外周面145bの形状は、これに特に限定されない。外周面145bは、断面視において、例えば、直線状であってもよいし、階段状であってもよい。
【0042】
[光束制御部材の固定方法]
次いで、光束制御部材140をLED発光素子130のパッケージ基板134に固定する方法を簡単に説明する(
図5参照)。まず、LED発光素子130のパッケージ基板134に形成されたボス孔135に、適量の接着剤を注入する。次いで、光束制御部材140のボス145を、パッケージ基板134に形成されたボス孔135に篏合させると、光束制御部材140は、パッケージ基板134上の適切な位置に位置決めされる。このとき、光束制御部材140の底面143は、パッケージ基板134の表面と接触する。一定の時間経過後、接着材が固化すると、光束制御部材140は、LED発光素子130の表面に固定される。本発明の光束制御部材140をLED発光素子130に直接実装した発光装置120は、表面実装型の発光装置(レンズ付きのLEDデバイス)として利用されうる。
【0043】
[尖形凹部構造の構成]
環状凹部146は、
図4及び
図5に示すように、ボス145の基端部を囲うように底面143に形成された溝であり、基端部を底面143(第1の基準水平面S1)よりも内側(上側)の環状凹部146内に収容する。環状凹部146の数は、ボス145の数と同じである。
【0044】
環状凹部146は、平面視において、中心軸CA側に向かって凹部が広がるように肉抜きされた尖形凹部構造を有し、尖形凹部構造には、LED発光素子130からの出射光が凹部146内に到達するのを防ぐために凹部146の内表面で全反射するための反射面が形成される。かかる尖形凹部構造(環状凹部146の中心軸CA側の一部)は、第1の基準水平面S1において、中心軸CA(発光中心O1)とボス中心軸BA(ボス中心P1)とを結ぶ基準線Nを引くとき、基準線Nに対して線対称であることが好ましく、基準線Nと尖形凹部構造(凹部146の中心軸側の一部)との交点をR1とすると、ボス145周りの溝である環状凹部146の一部に溝幅が広がるように形成された尖形凹部構造は、交点R1に近づくほど溝幅が広がり、基準線N上でもっとも広くなり、平面視で交点R1に向かって尖形となるように形成されることが好ましい。
【0045】
また、第2の基準水平面S2において、中心軸CAとボス中心軸BAとを結ぶ基準線と尖形凹部構造とが交差する場合、その交点をR2とする。ただし、尖形凹部構造の形状によっては、第2の基準水平面S2と尖形凹部構造の先端部とが交差せず、R2を特定できない場合もある(
図8(B)(D)参照)。尖形凹部構造の高さ(環状凹部146の深さ)は、
図5に示す例の場合、第1の基準水平面S1から第2の基準水平面S2までの距離dとなる。
【0046】
図5に示す例では、尖形凹部構造(環状凹部146の中心軸側の一部)は、底面143に接続する内周面146a(側面)と、第2の基準水平面S2側に位置する別の内周面146b(上面)とを含む。尖形凹部構造における内周面146aは、発光中心O1から出射された光束の一部を全反射する反射面として機能する。
【0047】
図6は、
図5に示す尖形凹部構造及び反射面の一例を示す斜視図である。
図6に示す尖形凹部構造(環状凹部146の中心軸側の一部)は、平面視でR1−R2側に突出した三角柱の形状となっており、環状凹部146内に形成された二つの内周面146aが三角柱の二つの側面に対応する。二つの内周面146a(三角柱の二つの側面)は、第1の基準水平面S1(底面)に対して垂直な平面である。このため、第1の基準水平面S1における二つの内周面146aがなす角θ1は、第2の基準水平面S2における二つの内周面146aがなす角θ2と同一となり、θ1=θ2となる。二つの内周面146aは、発光中心からの光束の一部を側方に向けて全反射する反射面として機能する。
【0048】
図7は、
図5に示す尖形凹部構造(環状凹部146の中心軸側の一部)における反射面(内周面146a)の機能の一例を示す図であり、
図5に示す光束制御部材140を、第1の基準水平面S1で切ったときの切断面を示し、光束が進行する軌跡を加えたものである。説明を簡単にするため、
図7では、第1の基準水平面S1と中心軸CAとの交点を仮想的な発光中心O1とし、仮想的な発光中心O1から出射された光線についてのみ記載した。
図7に示すように、尖形凹部構造における反射面(内周面146a)は、第1の基準水平面S1における発光中心O1からの光束が出射されたと仮定するとき、かかる発光中心O1からの光束の少なくとも一部を全反射させるように構成される。発光中心O1から出射された光束の一部は、反射面で全反射され、外縁側へ向かう。これにより、環状凹部146に入射する光束が少なくなるので、環状凹部146内の異物(例えば、接着材)によって光束の一部が吸収され、光の利用効率が低下するおそれが少なくなくなる。
【0049】
尖形凹部構造の反射面は、第1の基準水平面S1における発光中心O1から第1の基準水平面S1上でボス145の外周面145aに接するように二本の接線M、M´を引いたとき、少なくとも二本の接線M、M´の間に形成される。さらに反射面は、接線M、M´を越えて延びていてもよく、
図7には示していないが、発光中心O1から第1の基準水平面S1上で凹部146の外縁に接するように引かれた接線まで反射面が形成されていてもよい。
【0050】
第1の基準水平面S1における反射面(内周面146a)がなす角θ1は、第1の基準水平面S1における二本の接線M、M´がなす角をφ1とするとき、θ1>φ1と設定することが好ましい。また、尖形凹部構造の先端については、発光中心O1と直交することから、発光中心O1からの光が通過する特異点となるため、できるだけ先端は細い方がよい。この点、後述する
図8(A)、(B)、(D)のように、尖形凹部構造の先端を細くし、高さ方向に傾かせることで、環状凹部146の上面にも反射面を形成し環状凹部146に入射する光を減らすことができるので好ましい。本発明においては、上記のとおり、少なくとも第1の基準水平面S1を伝搬する光束の一部について反射面によって全反射するように構成されていれば環状凹部に入射する光を減らす効果はあるが、さらに、反射面の設計に際しては、光源の発光特性、種類、位置、配置等に応じて、側方への光束の拡がりだけでなく、上下方向への光束の拡がりも考慮することが好ましい。
【0051】
図4乃至
図7では、環状凹部146の中心軸側の一部を三角柱状の尖形凹部構造として構成し、三角柱の二つの側面を反射面として構成したが、本発明の光束制御部材は、これに限定されない。光束制御部材の態様(目的、用途、材料など)、又は光束制御部材と光源との位置関係などに応じて、尖形凹部構造及び反射面は、種々の形状、大きさを採用することができる。
【0052】
図8は、尖形凹部構造及び反射面の他の例を示す斜視図である。
図8(A)に示す尖形凹部構造(環状凹部146の中心軸側の一部)は、平面視でR1−R2側に尖形凹部を有する三角錐台の形状となっており、環状凹部146の二つの内周面146aは、三角錐台の二つの側面に対応するものとなっている。二つの内周面146a(三角錐台の二つの側面)は、基準水平面に対して斜めに傾斜しており、平面である。二つの内周面146aは、発光中心からの光束の一部を側方に向けて反射するとともに、上方に向けて反射する反射面として機能する。
【0053】
図8(B)に示す尖形凹部構造は、平面視でR1側に尖形凹部を有する四角錐の形状となっており、環状凹部146の二つの内周面146aと他の一つの内周面146bは、四角錐の側面に対応するものとなっている。二つの内周面146a(四角錐の二つの側面)は、基準水平面に対して垂直であり、平面である。他の一つの内周面146b(凹部146の上面)は、基準水平面に対して斜めに傾斜しており、平面である。二つの内周面146aは、発光中心からの光束の一部を側方に向けて反射する反射面として機能し、他の一つの内周面146bは、発光中心からの光束の一部を上方に向けて反射する反射面として機能する。
【0054】
図8(C)に示す尖形凹部構造は、平面視でR1−R2側に尖形凹部を有する変形した三角柱となっており、環状凹部146の二つの内周面146aは、変形した三角柱の側面に対応するものとなっている。二つの内周面146aは、基準水平面に対して垂直であるが、湾曲した曲面である。二つの内周面146aは、発光中心からの光束の一部を側方に向けて反射する反射面として機能する。
【0055】
図8(D)に示す尖形凹部構造は、平面視でR1側に尖形凹部を有する半円錐の形状となっており、環状凹部146の一つの内周面146aは、半円錐の側面に対応するものとなっている。一つの内周面146aは、発光中心からの光束の一部を側方に向けて反射するとともに、上方に向けて反射する反射面として機能する。
【0056】
なお、
図6、
図8(A)〜(D)に示した尖形凹部構造は単なる例示であって、これに限定されない。例えば、
図6に示す尖形凹部構造と
図8(A)も示す尖形凹部構造とを組み合わせてもよいし、
図8(A)に示すと尖形凹部構造と
図8(B)に示す尖形凹部構造とを組み合わせてもよい。また、
図6、
図8(A)又は
図8(B)に示す尖形凹部構造と
図8(D)に示す尖形凹部構造とを組み合わせてもよい。
図6、
図8(A)又は
図8(C)に示す尖形凹部構造において、辺R1R2の距離が高さdよりも小さくなるように尖形凹部構造を変形させてもよく、その他、種々の適当な立体構造との組み合わせ、変形などが可能である。
【0057】
[光束制御部材の他の固定方法]
図3乃至
図5では、接着剤を介して、LED発光素子130の表面に光束制御部材140を直接固定する例を説明したが、本発明の光束制御部材は、これに限定されない。本発明の光束制御部材は、接着剤を介して、電子回路基板の表面に固定されてもよい。また、本発明の光束制御部材は、溶着によって、LED発光素子又は電子回路基板に固定されてもよい。この場合、LED発光素子又は電子回路基板に、光束制御部材のボスを嵌合したときにボスの頭部が突き抜けるような貫通孔を設ければよい。そして、光束制御部材のボスとLED発光素子又は電子回路基板の貫通孔とを嵌合させて位置合わせした後、LED発光素子又は電子回路基板の裏面から突出しているボスの部分とLED発光素子又は電子回路基板とを溶着して、光束制御部材をLED発光素子又は電子回路基板上の所定の位置に固定することができる。このように実装された光束制御部材は、高温環境下においてボスに応力が加わるが、ボスの接続部がR面となっているため、ボスの基端部に応力が集中せず、ボスは破損しない。
【0058】
また、本発明の光束制御部材は、耐熱性の高い材料(例えば、シリコーン樹脂、ガラスなど)を採用することが好ましい。耐熱性の低い材料を採用した場合では、光束制御部材がLED発光素子のリフロー処理に耐えられないため、1回目のリフロー処理においてLED発光素子を電子回路基板に固定した後に、電子回路基板の貫通孔に光束制御部材のボスを嵌め込み、光束制御部材が電子回路基板上の適切な位置に位置決めし、2回目の溶着処理において基板の裏面側に突出したボスの一部を溶着することによって、光束制御部材を電子回路基板上に固定する方法がとられる。この点、光束制御部材に耐熱性の高い材料を採用すれば、電子回路基板とLED発光素子とを実装するためのリフロー処理の前に、電子回路基板と光束制御部材とを位置決めしておき、LED発光素子を電子回路基板に固定するリフロー処理において、基板の裏面側に突出したボスの一部を溶着し、一度のリフロー処理によって電子回路基板にLED発光素子及び光束制御部材を実装することができる。
【0059】
また、LED発光素子と光束制御部材とが一体となった表面実装型の発光装置を電子回路基板に実装する場合でも、LED発光素子が光束制御部材に載置された状態の発光装置を高温のリフロー処理によって電子回路基板に実装することができる。
【0060】
ただし、表面実装型の発光装置を電子回路基板に実装する場合、耐熱性のそれほど高くない光束制御部材であっても、従来どおり、リフロー処理によってLED発光素子を電子回路基板に実装した後に、光束制御部材をLED発光素子に接着剤で実装することもでき、本発明の発光装置又は面光源装置は、耐熱性の高い光束制御部材に限定されるものではない。
【0061】
[光束制御部材の実施例]
図9(A)は光束制御部材の実施例を示す平面図、
図9(B)はA−A線の側面断面図及び
図9(C)は底面図である。本実施例の光束制御部材140は、
図9(A)(B)に示すように、全高さが2.39mm(ボス145を含む)、直径が7.80mm(鍔部144を含む)である。光制御入射面142の開口部の直径は、約2mmであり、開口縁がR面取りされている。光制御入射面142の第1の基準水平面S1からの高さ(凹形状の深さ)は開口部半径よりも深くなるように形成されている。ボス145において第1の基準水平面S1から下方に延出する部分の長さは0.38mmであり、環状凹部146の深さは0.20mmである。
【0062】
図9(C)に示すように、光束制御部材140の底面143において、3個のボス145及び環状凹部146が発光中心O1を基準として120°間隔で放射状に配置されている。また、これら3個のボス145のボス中心P1は、平面視において、発光中心O1を中心とする半径5.00mmの仮想円上に位置するとともに、ボス145の基端部は、発光中心O1を中心とする半径3.60mmの仮想円に外接するように位置している。また、ボス145の直径は、1.00mmであり、基端部の最大の直径は、1.40mmである。環状凹部146の径方向の長さ(基準線Nに沿った中心軸側の先端部から外縁側の端部までの長さ)は、2.00mmである。環状凹部146の内周面146a(すなわち、反射面)のなす角θ1は、101.5°である。
【0063】
このように形成された光束制御部材140は、
図7に示すように、組み合わせたLED発光素子からの出射光のうち光制御入射面142を経て尖形凹部構造に到達した光を環状凹部外へ向かわせることができ、ボス145をLED発光素子130のパッケージ基板134またはLED発光素子130が実装された回路基板に固定するために用いた接着剤に光が吸収されるのを防ぐことができる。