(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第2機体に備える一方の駆動輪の回転数と他方の駆動輪の回転数とを異ならせることによって、該第2機体を位置調整しながら走行させることを特徴とする請求項1に記載の自走式作業用ロボット。
前記制御部は、前記障害物検出手段により前記第1機体の前方に障害物を検出した場合に、障害物に衝突しないように障害物に対して走行方向と直交する幅方向へ移動させる移動距離を演算する移動距離演算手段と、障害物に衝突する前に前記移動距離演算手段で演算された移動距離となるように前記第1機体を走行させるとともに、前記第1機体の直後方に前記第2機体が位置するように前記検出手段からの検出信号に基づいて該第2機体を位置調整しながら走行させる第2の障害物回避走行手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自走式作業用ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る自走式作業用ロボットの実施形態について図面を参照して説明する。自走式作業用ロボット1は、太陽光発電所敷地のような除草作業対象面を自動で走行して草刈り作業を行うものである。
【0016】
図1に示すように、自走式作業用ロボット1は、平面視円形状の複数(ここでは、3つ)の第1機体B、第2機体A、第3機体Cが、連結部材2,3により連結されて構成されている。
【0017】
第1機体B、第2機体A、第3機体Cの両側部のそれぞれには、一対の駆動輪a,bを備え、第1機体B、第2機体A、第3機体Cの下面には、作業用ツールとしての円盤状の草刈刃10,11,12が駆動回転可能に取り付けられている。草刈刃10,11,12は、機体幅よりも小さな外径を有しているが、機体幅と同等の外径を有していてもよい。
【0018】
一対の駆動輪a,bには、駆動モータ(例えば、ホイールモータ)13,14、15,16、17,18を備えている。これら駆動モータ13,14、15,16、17,18を駆動することによって、第1機体B、第2機体A、第3機体Cを
図1に示す姿勢での基準走行や、
図9に示す障害物回避走行ができるようにしている。
【0019】
図2(c)に示すように、第1機体B、第2機体A、第3機体Cの上面の中心部には、鉛直方向に沿った縦軸19,20,21が設けられている。第1機体Bの縦軸19に、連結部材2の一端部を枢支連結し、連結部材2の他端部を第2機体Aの縦軸20に枢支連結している。従って、第1機体Bに対して第2機体Aを縦軸19を中心として回動可能に構成し、第2機体Aに対して第1機体Bを縦軸20を中心として回動可能に構成している。また、第1機体Bの縦軸19に、連結部材3の一端部を枢支連結し、連結部材3の他端部を第3機体Cの縦軸21に枢支連結している。従って、第1機体Bに対して第3機体Cを縦軸19を中心として回動可能に構成し、第3機体Cに対して第1機体Bを縦軸21を中心として回動可能に構成している。
【0020】
各連結部材2又は3は、
図2(a)に示すように、上下方向に配置された一対の板部材2A,2A又は3A,3Aから構成されている。一方の一対の板部材2A,2Aの一端部を、鉛直方向と直交する水平方向に沿ったピンP1により縦軸19に回転自在に外嵌された第1外嵌部材22から延びる板部23に連結し、一方の一対の板部材2A,2Aの他端部を、鉛直方向と直交する水平方向に沿ったピンP2により縦軸20に回転自在に外嵌された第2外嵌部材24から延びる板部25に連結している。他方の一対の板部材3A,3Aの一端部を、鉛直方向と直交する水平方向に沿ったピンP3により縦軸19に回転自在に外嵌された第3外嵌部材26から延びる板部27に連結し、一方の一対の板部材3A,3Aの他端部を、鉛直方向と直交する水平方向に沿ったピンP4により縦軸21に回転自在に外嵌された第4外嵌部材28から延びる板部29に連結している。このように連結することによって、自走式作業用ロボット1が例えば高低差のある作業地(
図2(b)において左側ほど高くなる段差のある作業地)を走行する際において、左側の連結部材2がピンP1,P2を介して左上がりの傾斜姿勢となるとともに、右側の連結部材3もピンP3,P4を介して左上がりの傾斜姿勢となり、第1機体B、第2機体A、第3機体Cを水平姿勢に維持することができる。
【0021】
各縦軸20(他の2つの縦軸も同様である)は、
図3(a),(b)に示すように、周面に沿って多数の三角形状の係合爪20Aが形成されており、これら係合爪20Aのうちの特定の係合爪20Aに係合及び係合解除するように、電磁ソレノイド30により出没可能なピン型の係合部材31を備えている。全ての縦軸19,20,21の係合爪20A(
図3(a),(b)では1つの係合爪のみ図示)に係合部材31(
図3(a),(b)では1つの係合部材のみ図示)を係合させることによって、第1機体B、第2機体A、第3機体Cを例えば
図1の姿勢を維持した状態で走行させることができる。このような姿勢を維持した状態で走行させる場合は、障害物のない作業地で作業を行わせる場合である。
【0022】
図4に示すように、各機体(
図4では第1機体Bのみ図示している)には、電源としての2個のバッテリ32,32と、草刈刃駆動用モータ33と、制御基板を有する制御部34とを備えている。従って、バッテリ32,32から駆動モータ13,14、草刈刃駆動用モータ33、制御部34へ電力供給される。
【0023】
また、第1機体Bには、
図5に示すように、走行方向前方の障害物を検出する2つの障害物検出手段35,35と、第1機体Bに対する第2機体A及び第3機体Cの位置又は角度を検出する検出手段36と、駆動輪a,bの駆動軸の回転数を検出するための駆動軸回転センサ37,38と、を備えている。第2機体A及び第3機体Cにも、前記2つの障害物検出手段35,35と、前記駆動軸回転センサ37,38と、を備えているが、検出手段36は備えていないが、第2機体A及び第3機体Cにも、検出手段36を備えて実施してもよい。
【0024】
2つの障害物検出手段35,35は、第1機体Bの前後に設けられており、第1機体Bを
図5の前方Fへ移動する場合には、前側の障害物検出手段35を使用し、第1機体Bを
図5の後方Rへ移動する(この場合も第1機体Bが進行方向先頭になって移動する)場合には、後側の障害物検出手段35を使用する。各障害物検出手段35は、機体の外径の5〜10倍程度の障害物を検出可能な感度を有し、障害物の有無や大きさを求めるための障害物センサと、機体から障害物までの距離を求めるための距離センサとを備えており、障害物センサ及び距離センサの検出範囲S1,S2を、
図5の2点鎖線で示している。ここでは、2つの障害物検出手段35,35を設けているが、1つの障害物検出手段35を設けて実施することもできる。
【0025】
検出手段36は、第1機体Bに対して第2機体A及び第3機体Cがどの角度になっているかを求める角度センサ(
図5に角度θを検出している状態を示している)と、第1機体Bがどの方向を向いているかを求めるための方角センサと、第1機体Bが作業面のどこに位置しているかを求める位置センサとを備えている。
【0026】
前記制御部34には、
図1に示す姿勢で走行させる基準走行手段40と、
図6に示すように、基準走行手段40で走行させている走行中に、障害物検出手段35からの障害物検出信号及び検出手段36からの検出信号に基づいて、障害物を回避するための走行を行うための障害物回避走行手段39と、基準走行手段40で走行させている走行中に、障害物検出手段35により第1機体Bの前方に障害物を検出した場合に、障害物に衝突しないように障害物に対して走行方向と直交する幅方向へ移動させる移動距離を演算する移動距離演算手段41と、移動距離演算手段41で演算された移動距離に基づいて障害物を回避するための走行を行うための前記障害物回避走行手段39とは異なる第2の障害物回避走行手段42と、を備えている。
【0027】
障害物回避走行手段39は、基準走行手段40で走行させている走行中に、障害物検出手段35により第1機体Bの前方には障害物がなく第2機体Aの前方に障害物を検出した場合に、障害物に衝突する前に第1機体Bの直後方に第2機体Aが位置するように検出手段36からの検出信号に基づいて第2機体Aを位置調整しながら走行させる手段である。
【0028】
基準走行手段40は、障害物検出手段35が障害物を検出していない場合に、連結された第1機体Bが走行方向前方に位置し、かつ、第2機体Aが第1機体Bに対して走行方向斜め後方に位置した状態で第1機体及び第2機体を走行させ(
図1の姿勢での走行)、その走行中に、第1機体Bの第2機体側端部と第2機体Aの第1機体側端部とが走行方向視で一定の重なり合い状態(
図1に示す重なり幅H)を維持するように、かつ、第1機体Bの第3機体側端部と第3機体Cの第1機体側端部とが走行方向視で一定の重なり合い状態(
図1に示す重なり幅H,H)を維持するように、検出手段36からの検出信号に基づいて、第2機体A及び第3機体Cを位置調整しながら走行させる手段である。尚、
図1に示す重なり幅Hは、第1機体Bの草刈刃10の外縁と、第2機体Aの草刈刃11の外縁及び第3機体Cの草刈刃12の外縁とが走行方向視で接触している状態であるが、第1機体Bの草刈刃10の外縁と、第2機体Aの草刈刃11の外縁及び第3機体Cの草刈刃12の外縁とが走行方向視で重複する状態になるように、重なり幅Hを
図1よりも広くしてもよい。
【0029】
第2の障害物回避走行手段42は、基準走行手段40で走行させている走行中に、障害物に衝突する前に移動距離演算手段41で演算された移動距離となるように第1機体Bを走行させて障害物を回避するとともに、第1機体Bの直後方に第2機体Aが位置するように検出手段36からの検出信号に基づいて第2機体Aを位置調整しながら走行させる手段である。
【0030】
基準走行手段40による走行制御を
図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、作業開始のスイッチ(図示せず)がON操作されると、制御部34が自動的に判断して各種動作を行わせるための信号を出力する。最初に、第1機体A(以下、A機という)、第2機体B(以下、B機という)、第3機体C(以下、C機という)の各作業機用モーター(草刈刃駆動用モータ33)を起動する(ステップS1)とともに、A機、B機、C機の駆動輪a,bを起動する(ステップS2)。続いて、各機体A,B,Cの進路に障害物があるかどうかを障害物検出手段35により確認する(ステップS3)。障害物があれば、障害物回避制御(サブフローチャート)に移行し、障害物がなければ、基準走行手段40による走行制御(フローチャートではライン制御)を開始する。このライン制御が、
図1に2点鎖線で示す(ア)ラインに沿って走行する制御と、
図1に2点鎖線で示す(イ)ラインに沿って走行する制御とを同時に開始する(ステップS4)。(ア)ライン制御では、まず(ア)ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値h(検出手段36により検出して求めた値)と同一かどうかを判断する(ステップS5)。同一でなければ、ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが小さいかどうかを判断する(ステップS6)。実際値hが小さいと判断すると、駆動軸回転センサ37の検出信号に基づいて、A機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更するとともに、駆動軸回転センサ38の検出信号に基づいて、A機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更して、所定時間Δtだけ駆動する(ステップS7)。これによって、縦軸19を回転中心としてA機を反時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS5に戻り、(ア)ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値hと同一になっているかどうかを確認して、その結果に応じて処理を行うことになる。ステップS6でラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが小さくないと判断されると、ステップS8に移動し、ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが大きいかどうかを判断する。ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが大きいと判断すると、前記とは反対に、A機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更するとともに、A機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更する(ステップS9)。これによって、縦軸19を回転中心としてA機を時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS5に戻り、(ア)ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値hと同一になっているかどうかを確認して、その結果に応じて処理を行うことになる。
【0031】
(イ)ライン制御について説明すれば、C機を(ア)ライン制御とは逆に動作させる制御になります。まず、ステップS10(ア)において、ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値h(検出手段36により検出して求めた値)と同一かどうかを判断する。同一でなければ、ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが小さいかどうかを判断する(ステップS11)。実際値hが小さいと判断すると、駆動軸回転センサ37の検出信号に基づいて、C機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更するとともに、駆動軸回転センサ38の検出信号に基づいて、C機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更して、所定時間Δtだけ駆動する(ステップS12)。これによって、縦軸19を回転中心としてC機を時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS10に戻り、(イ)ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値hと同一になっているかどうかを確認して、その結果に応じて処理を行うことになる。ステップS11でラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが小さくないと判断されると、ステップS13に移動し、ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが大きいかどうかを判断する。ラインの重なり幅H(
図1参照)よりも実際値hが大きいと判断すると、前記とは反対に、C機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更するとともに、C機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更する(ステップS14)。これによって、縦軸19を回転中心としてA機を反時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS10に戻り、(イ)ラインの重なり幅H(
図1参照)が実際値hと同一になっているかどうかを確認して、その結果に応じて処理を行うことになる。
【0032】
ステップS5で(ア)ラインの重なり幅が設定幅になるか、ステップS10で(イ)ラインの重なり幅が設定幅になると、ステップS15に移動し、停止信号が出力されたかどうかを判断し、出力されていなければ、ステップS3に戻り、出力されると、A機、B機、C機の駆動輪a,bを停止して(ステップS16)、制御を終了する。
【0033】
次に、障害物検出手段35により障害物を検出すると、障害物回避走行手段39による障害物回避制御に移り、
図10のフローチャートに基づいて説明する。まず、障害物の位置を特定するために、ステップS20でB機の進路(前方)に障害物があるかどうかを確認し、B機の進路(前方)に障害物がある場合には、
図12のフローチャートでの処理となる。また、B機の進路(前方)に障害物がない場合には、ステップS21に移り、A機の進路(前方)に障害物があるかどうかを確認する。A機の進路(前方)に障害物がない場合には、ステップS22でC機の進路(前方)に障害物があるかどうかを確認し、C機の進路(前方)に障害物がある場合には、
図11のフローチャートでの処理となる。ステップS21でA機の進路(前方)に障害物がある場合(
図8参照)には、ステップS23でA機の制御とC機の制御とを開始する。C機制御の場合には、ステップS24でA機とC機の角度θ
nが設定角度θ
Nよりも小さい場合には、C機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更するとともに、駆動軸回転センサ38の検出信号に基づいて、C機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更して、所定時間Δtだけ駆動する(ステップS25)。これによって、縦軸19を回転中心としてC機を反時計回りに回転させることによって、C機がA機側から離間するように移動して両機A,Cが衝突することがないようにしている。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS26でC機が所定角度になった(
図9の上側に示したC機の角度)かどうかを確認する。C機が所定角度になっていなければ、ステップS24に戻り、C機が所定角度になっていれば、次へ移る。
【0034】
A機制御では、ステップS27でA機のX軸方向の目標移動距離XG(
図8参照、障害物Zに衝突しない距離)を算出し、その目標移動距離XGが実際の計測距離X
n+1に達しているかどうかを判断し(ステップS27)、達していない場合には、ステップS28で、A機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更するとともに、A機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更する(ステップS9)。これによって、縦軸19を回転中心としてA機を反時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、A機がB機の後に移動したか(
図9上側のA機参照)どうかを判断し(ステップS29)、A機がB機の後に移動したと判断し、ステップS26でC機が所定角度になっている(
図9の上側のA機、C機の位置)と判断されると、A機,C機の駆動輪a,bの回転数を、走行時の回転数Nに戻して(ステップS30)、直進走行(基準走行)させる。尚、
図8に示すA機から障害物Zとの距離Lを障害物検出手段35で検出し、障害物Zに衝突する前に、A機がB機の後に移動し、かつ、C機が所定角度になるように、A機及びC機の駆動輪a,bの回転数を設定することになる。
【0035】
前記C機の進路(前方)に障害物がある場合を、
図11のフローチャートに基づいて説明する。この場合は、A機の進路(前方)に障害物がある場合とは反対の制御になる。つまり、C機をB機の後に移動させるとともに、移動するC機がA機に衝突しないようにA機をC機から離間するように移動させる制御になる。具体的には、A機制御の場合には、ステップS32でA機とC機の角度θ
nが設定角度θ
Nよりも小さい場合には、A機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更するとともに、駆動軸回転センサ38の検出信号に基づいて、A機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更して、所定時間Δtだけ駆動する(ステップS25)。これによって、縦軸19を回転中心としてA機を時計回りに回転させる(ステップS33)ことによって、A機がC機側から離間移動して両機C,Aが衝突することがないようにしている。前記所定時間Δt駆動した後は、ステップS34でA機が所定角度になった(
図9の上側に示したC機の角度)かどうかを確認する。A機が所定角度になっていなければ、ステップS32に戻り、A機が所定角度になっていれば、次へ移る。C機制御では、ステップS35でC機のX軸方向の目標移動距離XGを算出し、その目標移動距離XGが実際の計測距離X
n+1に達しているかどうかを判断し、達していない場合には、ステップS36で、C機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更するとともに、C機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更する。これによって、縦軸19を回転中心としてC機を時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、C機がB機の後に移動したかどうかを判断し(ステップS37)、C機がB機の後に移動したと判断し、ステップS34でA機が所定角度になっていると判断されると、A機,C機の駆動輪a,bの回転数を、走行時の回転数Nに戻して(ステップS38)、直進走行(基準走行)させる。この場合も、C機から障害物との距離を障害物検出手段35で検出し、障害物に衝突する前に、C機がB機の後に移動し、かつ、A機が所定角度になるように、A機及びC機の駆動輪a,bの回転数を設定することになる。
【0036】
図12では、第2の障害物回避走行手段42による障害物回避制御となる。つまり、B機の進路(前方)に障害物がある場合の障害物回避制御のフローチャートを示している。まず、B機に対する障害物の位置を特定する(ステップS40)。これによって、少ない移動距離で効率良く障害物を回避できるのかを決定するためである。つまり、
図13に示すように、B機体の左右幅方向中央から障害物Zの左端までの距離X
LとB機体の左右幅方向中央から障害物Zの右端までの距離X
Rの大きさを比較し、X
L<X
Rの場合には、左側にB機を回避させる制御を行い、X
L≧X
Rの場合には、右側にB機を回避させる制御を行うことになる。
図14では、右側へB機、A機、C機を回避した場合を示している。
【0037】
X
L<X
Rの場合には、ステップS41に移行し、B機の目標移動距離XG(
図13参照)を演算し、実際の計測距離X
n+1が目標移動距離XGに達していない場合(XG>X
n+1)には、B機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更するとともに、B機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更する(ステップS42)。これによって、縦軸20を回転中心としてB機を反時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、B機が目標移動距離XG移動したかどうかを確認し(ステップS43)、移動していない場合には、ステップS41に戻り、移動した場合には、B機の駆動輪a,bの回転数を、走行時の回転数Nに戻す(ステップS44)。
【0038】
X
L≧X
Rの場合には、ステップS45に移行し、B機の目標移動距離XG(
図13参照)を演算し、実際の計測距離X
n+1が目標移動距離XGに達していない場合(XG>X
n+1)には、B機の左側の駆動輪aの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを加えた回転数(走行時の回転数よりも大きな回転数)に変更するとともに、B機の右側の駆動輪bの回転数を、走行時の回転数Nに予め設定されているΔnを引いた回転数(走行時の回転数よりも小さな回転数)に変更する(ステップS46)。これによって、縦軸21を回転中心としてB機を時計回りに回転させる。前記所定時間Δt駆動した後は、B機が目標移動距離XG移動したかどうかを確認し(ステップS47)、移動していない場合には、ステップS45に戻り、移動した場合には、B機の駆動輪a,bの回転数を、走行時の回転数Nに戻す(ステップS44)。
【0039】
図12では、B機の回避のみを説明するフローチャートを示しているが、A機及びC機は、前述したフローチャートにより、B機が右側へ移動する場合には、B機の後にA機が移動し、B機が左側へ移動する場合には、B機の後にC機が移動し、移動するA機又はC機がC機又はA機に衝突しないようにC機又はA機を離間移動することになる。例えば
図14に示すように、右側にB機が移動する場合には、B機の後にA機が移動し、これとは反対に、左側にB機が移動する場合には、B機の後にC機が移動する。尚、
図13のA機、B機、C機の姿勢のまま障害物を回避できるように、A機又はC機の左右の幅も考慮してB機を回避させることも可能である。
【0040】
なお、本発明に係る自走式作業用ロボットは、前記実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0041】
前記実施形態では、3つの機体A,B,Cを示したが、2つの機体A,B又はB,Cであってもよいし、4つ以上の機体を連結して実施することもできる。
【0042】
また、前記実施形態では、制御部34を機体に設けたが、例えば、制御部をパソコン等から構成し、機体と無線通信できるように、パソコンと機体の両方に送受信機を備えさせて実施してもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、機体を円形に構成したが、矩形状又は楕円形あるいは多角形状等、どのような形状に構成してもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、検出手段36を、角度センサと、方角センサと、位置センサとから構成したが、角度センサのみで構成する、又は位置センサのみで構成する、あるいは角度センサと位置センサとで構成してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、作業用ツールとして、草刈刃10,11,12を示したが、敷地内又は工場内を清掃する清掃装置であってもよい。