(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート保持側面に沿った前記複数のシートの内の一枚のシートを前記ワークスペースに向けて倒すよう、前記磁気回路の磁力によって前記複数のシート間に隙間が生じた状態で、前記一枚のシートを把持するシート把持部材をさらに備えた請求項1に記載のシート積層治具。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
実施の形態1.
まず、本実施の形態にかかる製造方法による製造される積層製品の一例であるシート状二次電池の構成について、
図1、
図2を用いて説明する。
図1は、シート状二次電池500の構成を示す平面図である。
図2はシート状二次電池500の側面断面図である。
【0024】
シート状二次電池500は、複数のシート50と、複数の電極30とを有している。
図2に示すように、複数のシート50は互いに積層されている。それぞれのシート50は、後述するように、充電層等を備える単位電池シートである。隣接する2枚のシート50の間に、電極30が挿入されている。すなわち、厚さ方向(
図2の上下方向)において、シート50と電極30とが交互に配置されている。電極30は、
図1における左右方向を長手方向とする帯状のシート電極となっている。
【0025】
平面視において、複数の電極30は、互いにずれて配置されており、櫛歯電極を構成している。すなわち、平面視において、複数の電極30が重ならないように配置されている。
図1に示すように、平面視において、それぞれの電極30の一部がシート50からはみ出している。電極30のシート50からはみ出した部分がタブ部31となる。そして、複数の電極30のタブ部31同士をタブリード(不図示)等で接続することで、単位電池シートであるシート50同士が並列又は直列に接続される。
【0026】
各シート50は、例えば、100mm×100mmの大きさ、10μmの厚さを有している。
図1では、6枚のシート50が積層されているが、シート50の積層数は特に限定されるものではない。例えば10枚のシート50を積み重ねることができる。シート50は、例えば、SUSシートなどの磁性体シートである。
【0027】
なお、
図1、
図2では、2つのシート50の間に1つの電極30が配置されている構成を示したが、シート50間に配置される電極30の数は、2以上であってもよい。すなわち、2つ以上の電極30をシート50間に配置してもよい。さらに、全てのシート50間に電極30を配置しなくてもよい。例えば、シート2枚毎に、あるいは3枚毎に電極30を配置してもよい。また、シート50間に配置される部品は電極30に限定されるものではない。例えば、絶縁材、接着材などのシート状の部品をシート50間に配置してもよい。
【0028】
図3は、1枚のシート50に形成された電池構造を示す断面図である。シート50は、基材511上に、n型金属酸化物半導体層512、エネルギーを充電する充電層513、p型金属酸化物半導体層514、及び第2電極515がこの順序で積層された積層構造を有している。
【0029】
基材511は金属などの導電性物質などにより形成され、第1電極として機能する。本実施形態では、基材511が負極となっている。基材511には、例えば、SUSシートなどの金属箔シートを用いることができる。
【0030】
基材511の上には、n型金属酸化物半導体層512が形成されている。n型金属酸化物半導体層512の材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO
2)を使用することが可能である。
【0031】
充電層513の材料としては、微粒子のn型金属酸化物半導体を使用することが可能である。n型金属酸化物半導体は、紫外線照射により、充電機能を備えた層となる。充電層513は、n型金属酸化物半導体と絶縁性物質とを含む物質からなる。充電層513で使用可能なn型金属酸化物半導体材料としては、二酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛が好適である。二酸化チタン、酸化スズ、及び酸化亜鉛のうちいずれか2つを組み合わせた材料、あるいは3つを組み合わせた材料を使用することが可能である。
【0032】
充電層513上には、p型金属酸化物半導体層514が形成されているp型金属酸化物半導体層514の材料としては、酸化ニッケル(NiO)、及び銅アルミ酸化物(CuAlO
2)等を使用することが可能である。
【0033】
p型金属酸化物半導体層514の上には、第2電極515が形成されている。第2電極515は正極となっている。第2電極515には、金属膜などの導電膜が用いられる。第2電極515として、CrとPdの積層膜、またはAl膜など抵抗を低くできる成膜を行う。また、第2電極としては、クロム(Cr)又は銅(Cu)等の金属電極を用いることができる。他の金属電極として、アルミニウム(Al)を含む銀(Ag)合金膜等がある。その形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相成膜法を挙げることができる。また、金属電極は電解メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。メッキに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能である。
【0034】
なお、本実施形態における基材511上の積層順は、反対でもよい。例えば、基材511を正極となる導電材料により形成し、第2電極515を負極としてもよい。この場合、n型金属酸化物半導体層512とp型金属酸化物半導体層514の位置を入れ替えればよい。すなわち、充電層513の下には、p型金属酸化物半導体層が配置され、上にはn型金属酸化物半導体層が配置されいてもよい。
【0035】
充電層513には、絶縁性物質とn型金属酸化物半導体とを混在した材料を用いている。以下、充電層513について詳細に説明する。充電層513は、絶縁性物質の材料として、シリコーンオイルを使用している。また、n型金属酸化物半導体の材料として、二酸化チタンを使用している。
【0036】
充電層513に使用されるn型金属酸化物半導体の材料として、二酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を使用することが可能である。n型金属酸化物半導体は、これらの金属の脂肪族酸塩から製造工程で分解して生成される。このため、金属の脂肪族酸塩としては、酸化性雰囲気下で紫外線を照射すること、又は焼成することにより分解又は燃焼し、金属酸化物に変化しうるものが使用される。
【0037】
また、脂肪族酸塩は、加熱により分解又は燃焼しやすく、溶剤溶解性が高く、分解又は燃焼後の膜の組成が緻密であり、取り扱い易く安価であり、金属との塩の合成が容易である等の理由から、脂肪族酸と金属との塩が好ましい。
【0038】
そして、
図3に示したシート50を単位電池シートとして、シート50を積層することで、シート状二次電池500の大容量化を図ることができる。例えば、複数のシート50を並列に接続する場合、第2電極515同士が向かい合うように2枚のシート50を積層して、シート50の間に電極30を挿入する。もちろん、基材511同士が向かい合うように2枚のシート50を積層して、複数のシート50を並列接続してもよい。このようにすることで、2つのシート50の同極同士が電極30で接続されるため、複数のシート50を並列に接続することができる。
【0039】
また、複数のシート50を直列に接続する場合、第2電極515と基材511とが向かい合うように2枚のシート50を積層して、シート50の間に電極30を挿入する。このようにすることで、一方のシート50の第2電極515(正極)と他方のシート50の基材511(負極)とが接続されるため、複数のシートを直接に接続することができる。
【0040】
なお、
図3では、基材511の一方の面にのみ、n型金属酸化物半導体層512、エネルギーを充電する充電層513、p型金属酸化物半導体層514、及び第2電極515が形成されているが、基材511の両面にn型金属酸化物半導体層512、充電層513、p型金属酸化物半導体層514、及び第2電極515が形成されていてもよい。
【0041】
上記したように、複数のシート50を積層し、シート50間に電極30を配置する。そして、電極30のタブ部31をタブリードで接続する。こうすることで、多数のシート50を並列又は直列に接続することができる。よって、複数のシート50が積層されたシート状二次電池500の大容量化を図ることができる。
【0042】
本実施の形態では、シート状二次電池500の製造工程において、積層されたシート50間に電極30を配置するシート積層治具が用いられている。さらに、シート分離治具には、シートを分離するための磁気回路が設けられている。以下、シート分離治具を説明する前に、磁気回路の基本構成を説明する。
【0043】
図4は、磁気回路20の基本構成を示す図である。磁気回路20は、複数のシート50を分離するための磁力を発生するように配置される。具体的には、磁気回路20の上に複数のシート50が配置される。そして、磁気回路20が発生する磁力によって、複数のシート50の端部において、シート50間の隙間が大きくなる。
【0044】
磁気回路20は、永久磁石21と第1継鉄22と第2継鉄23と非磁性材24とを備えている。
図4では、2つの永久磁石21がZ方向に並んで配置されている。ここで、2つの永久磁石21は同極同士が向かい合うように配置されている。
図4では、2つの永久磁石21のS極同士が向かい合って配置されている。
【0045】
磁気回路20は、2つの第1継鉄22を有している。2つの第1継鉄22は、左側の永久磁石21の両端に配置されている。よって、右側の第1継鉄22は、2つの永久磁石21の間に配置されている。2つの第1継鉄22は、右側の永久磁石21から左側の永久磁石21に向かう磁力線の向きを制御する。
【0046】
磁気回路20は、3つの非磁性材24を有している。右側の非磁性材24と真ん中の非磁性材24が永久磁石21に対応する位置に配置される。換言すると、この2つの非磁性材24が、Z方向において、永久磁石21のN極とS極との間の中央位置(
図4におけるN極とS極との間に点線)に配置される。つまり、非磁性材24は、Z方向における永久磁石21の中央位置に配置される。
【0047】
また、第2継鉄23が第1継鉄22に対応する位置に配置される。Z方向における第2継鉄23の大きさは、第1継鉄22よりも大きくなっている。よって、右側の第2継鉄23は右側の第1継鉄22に対応する位置から左側の永久磁石21に対応する位置まで延在する。ここで、第2継鉄23のそれぞれは、永久磁石21の両極に対応する位置には、配置されない。
【0048】
すなわち、右の第2継鉄23は、右の第1継鉄22に対応する位置、及び左右の永久磁石21のS極に対応する位置のみに配置される。これにより、右側の第1継鉄22の両端に配置される永久磁石21の磁力が右側の第1継鉄22に集中し、更に、この集中した磁力が右側の第1継鉄22に接触している右側の第2継鉄23に集中する。
【0049】
この様に、磁気回路20で発生する磁力が特定方向に集中することにより、X方向における磁力線が大きくなり、第2継鉄23の表面を通って、シート50まで到達する。磁気回路20による磁力により、複数のシート50を反らせることができる。磁気回路20が発生させた磁力線Bの形は、放物線のようになっており、この放物線に沿ってシート50を反らせることができる。さらに、適切な磁力を発生して、シート50毎に反り量が変わるようにすることができる。これにより、シート50の端部において、シート50間の隙間を広くすることができる。よって、例えば、作業者がシート50の端部をピンセットなどで把持しやすくなるので、複数のシート50から1枚のシート50を容易に分離することができる。
【0050】
次に、本実施形態にかかるシート積層治具の構成について、
図5〜
図7を用いて説明する。
図5、及び
図6は、シート積層治具100の構成を示す斜視図である。
図7は、シート積層治具100の一部の構成を省略して示す斜視図である。なお、
図7では、積層された複数のシート50を積層体51として図示している。
図5〜
図7では、鉛直方向をZ方向、水平面をXY平面とするXYZ直交座標系を用いて説明する。
【0051】
シート積層治具100は、ステージ101と、電極保持部102、電極保持ガイド103と、電極用パレット104、電極めくり棒105と、シート保持ガイド106、シート用パレット107、ピンセット108と、位置決めブロック109と、シート保持部160と、を備えている。
【0052】
ステージ101の上のある一定の領域が、複数のシート50を積層して、シート状二次電池500を製造するためのワークスペースAとなる。すなわち、ワークスペースAにおいて、シート50の上に電極30を配置する工程と、電極30の上にシート50を配置する工程とが交互に繰り返し行われる。これにより、
図2に示したようなシート状二次電池500が製造される。なお、矩形状のシート50の端辺は、X方向、及びY方向に平行となっている。
【0053】
ステージ101の上には、電極保持部102とシート保持部160とが取り付けられている。電極保持部102とシート保持部160とは、ワークスペースAを介して対向配置されている。
図5では、電極保持部102は、ワークスペースAの−X側に配置され、シート保持部160はワークスペースAの+X側に配置されている。このように、電極保持部102とシート保持ガイド106とは、X方向に離間して配置されている。
【0054】
電極保持部102は、複数の電極30を保持する電極保持側面102aを有している。電極保持部102は、電極保持側面102aがワークスペースAに向かうように取り付けられている。すなわち、電極保持部102のワークスペースA側の側面が、電極保持側面102aとなる。
図5では、電極保持側面102aに保持された電極30を電極30aとして、破線で示す。そして、シート状二次電池500を製造工程において、電極保持側面102aに保持された電極30aが1つずつ、ワークスペースAに配置されたシート50の上に倒される。こうすることで、シート50の上に電極30が配置される。なお、電極保持部102による電極30の保持動作については後述する。
【0055】
シート保持部160は、複数のシート50を保持するシート保持側面160aを有している。シート保持部160は、シート保持側面160aがワークスペースAを介して電極保持側面102aと対向配置されるように取り付けられている。すなわち、シート保持部160のワークスペースA側の側面が、シート保持側面160aとなる。
図5、
図6において、シート保持側面160aに保持されたシート50をシート50aとして示す。そして、シート状二次電池500を製造工程において、シート保持側面160aに保持されたシート50aが1枚ずつ、ワークスペースAに配置された電極30の上に倒される。こうすることで、電極30の上にシート50が配置される。なお、シート保持部160によるシート50の保持動作については後述する。
【0056】
上記のように、ワークスペースAを挟んで、電極保持側面102aとシート保持側面160aとが向かい合うように配置されている。換言すると、ワークスペースAは電極保持側面102aとシート保持側面160aとの間に配置された領域となる。電極保持側面102aとシート保持側面160aとは、上側に行くほど、離れるように湾曲している。
図5に示すように、電極保持側面102aは、上側(+Z方向側)に行くほど、−X側に位置するよう湾曲している。
図6に示すように、シート保持側面160aは、上側に行くほど、+X側に位置するよう湾曲している。
【0057】
さらに、ステージ101とシート保持部160との間には、シート用パレット107が配置されている。シート用パレット107はシート50に対応する大きさの板状の部材である。シート用パレット107には、積層された複数のシート50が載置されている。そして、シート用パレット107の上に載置されたシート50の上に、シート保持部160が配置されている。シート保持部160は、シート50の+X側の端部の上に配置されている。すなわち、シート50、及びシート用パレット107は、シート保持部160から−X側にはみ出すように配置されている。シート用パレット107とシート保持部160とで、複数のシート50の一端を挟持している。
【0058】
シート用パレット107は、矩形状の板状部材であり、その四隅近傍に位置決めブロック109が配置されている。
図7に示すように、積層体51、及びシート用パレット107の角部が位置決めブロック109に当接するように配置される。このようにすることで、積層体51が所定の位置に配置される。
【0059】
図5、
図6に示すように、ステージ101には、回転軸106aを介して、シート保持ガイド106が取り付けられている。シート保持ガイド106は所望の形状に屈曲した棒状の金属又は樹脂によって形成されている。シート保持ガイド106は、回転軸106a周りに回転する。回転軸106aは、シート保持部160の+X側に配置されている。そして、シート保持ガイド106は、回転軸106aから、シート保持部160の−X側まで延びている。シート保持ガイド106の一部は、シート保持部160のシート保持側面160a側に配置される。
【0060】
そして、シート保持ガイド106が、シート用パレット107上に配置されたシート50を持ち上げることで、複数のシート50がシート保持側面160aに沿って保持される。シート保持側面160aは、湾曲しているため、シート50は湾曲して保持される。
【0061】
ここで、シート保持ガイド106によって、複数のシート50をシート保持側面160aに沿って保持する保持動作について、
図8、
図9を用いて説明する。
図8はシート保持ガイド106がシート50を保持する前の状態(以下、シート載置状態とする)を模式的に示す側面断面図である。すなわち、シート載置状態では、積層体51がシート用パレット107の上に載置されている。
図9はシート保持部160とシート保持ガイド106とがシート50を保持した後の状態(以下、シート保持状態とする)を模式的に示す側面断面図である。なお、
図8、
図9では、積層された複数のシート50を積層体51として示している。また、
図8、
図9に示す状態では、電極保持部102等がステージ101に取り付けられていない。
【0062】
図8に示すように、シート載置状態では、シート用パレット107の上に、積層体51の全体が載置されている。そして、積層体51の+X側の端部が、シート用パレット107とシート保持部160との間に配置されている。積層体51の下には、シート保持ガイド106が配置されている。すなわち、ワークスペースAにおいて、シート保持ガイド106は、シート用パレット107と積層体51との間に配置されている。積層体51は、シート保持ガイド106を乗り越えるように、シート用パレット107上に載置されている。そして、シート保持ガイド106を回転軸106a周りに回転させる。なお、
図8では、Y方向に沿った回転軸106a周りに、シート保持ガイド106が回転動作する。ワークスペースAにおいて、シート保持ガイド106が矢印Bの方向に跳ね上げられる。
【0063】
これにより、ワークスペースAにおいて、シート保持ガイド106が上方向に移動して、
図9に示すシート保持状態となる。
図8に示したシート載置状態では、シート保持ガイド106は、積層体51の下側に配置されている。このため、シート保持ガイド106を矢印Bの方向に回転させると、シート保持ガイド106が積層体51を持ち上げる。そして、シート保持ガイド106がシート保持側面160aの近傍まで移動する。これにより、積層体51がシート保持部160のシート保持側面160aに沿った状態で保持される。すなわち、積層体51は、シート保持側面160aに沿った状態となり、シート保持側面160aとシート保持ガイド106との間で保持される。
【0064】
このように、シート保持ガイド106を動作させることで、シート載置状態と、シート保持状態とが切り替わる。すなわち、シート保持ガイド106を回転軸106a周りに回転させることで、積層体51をシート用パレット107から持ち上げた状態で保持することができる。シート保持状態では、積層体51がシート保持側面160aに沿った状態で保持される。すなわち、積層体51がシート保持側面160aとシート保持ガイド106との間に挟持される。このように、シート保持ガイド106は、ワークスペースAに配置された積層体51を持ち上げることで、積層体51をシート保持側面160aに沿って保持する。
【0065】
図5〜
図7の説明に戻る。ステージ101と電極保持部102との間には、電極用パレット104が配置されている。電極用パレット104の上には、電極30の−X側の端部が載置される板状の部材である(
図7参照)。電極用パレット104の上には、電極30のタブ部31(
図1、
図2参照)が載置されることになる。すなわち、電極30は、電極保持部102から+X側にはみ出している。電極30の上には、電極保持部102が配置されている。したがって、電極用パレット104と電極保持部102とが電極30の一端を挟持している。
【0066】
電極30は、電極用パレット104の上から、シート用パレット107の上まで延在している。
図7に示すように、電極用パレット104には、貫通穴104aが設けられている。また、ステージ101には、スライドピン101aが取り付けられている。さらに、ステージ101には、X方向に沿って長穴101bが設けられている。スライドピン101aは、長穴101b、及び貫通穴104aに、挿入されている。よって、スライドピン101aを長穴101bに沿ってスライド移動させることで、シート用パレット107がX方向に沿ってスライド移動する。なお、シート用パレット107のスライド移動については後述する。
【0067】
上記のように、電極保持部102は、ワークスペースAに向かって配置された電極保持側面102aを有している。電極保持側面102aに沿って、電極30aが保持される。電極保持側面102aは、溝102bを有している。溝102bは、Y方向に沿って形成されている。溝102bには、後述する電極めくり棒105が挿入される。したがって、電極めくり棒105は、電極30aと電極保持側面102aとの間に挿入される。
【0068】
ステージ101には、回転軸103aを介して、電極保持ガイド103が取り付けられている。電極保持ガイド103は、回転軸103a周りに回転する。回転軸103aは、電極保持部102の−X側に配置されている。そして、電極保持ガイド103は、回転軸103aから、電極保持部102の+X側まで延びている。電極保持ガイド103の一部は、電極保持部102の電極保持側面102a側に配置される。電極保持ガイド103は所望の形状(
図5、
図6ではコの字形状)に屈曲した棒状の金属又は樹脂によって形成されている。
【0069】
そして、電極保持部102が、ワークスペースAに配置された電極30を持ち上げることで、複数の電極30が電極保持側面102aに沿って保持される。電極保持側面102aは、湾曲しているため、電極30も湾曲して保持される。
【0070】
ここで、電極保持ガイド103によって、複数の電極30を電極保持側面102aに沿って保持する保持動作について、
図10、
図11を用いて説明する。
図10は電極保持ガイド103が電極30を保持する前の状態(以下、電極載置状態とする)を模式的に示す側面断面図である。
図11は電極保持ガイド103が電極30を保持した後の状態(以下、電極保持状態とする)を模式的に示す側面断面図である。
【0071】
図10に示すように、電極載置状態では、電極用パレット104の上に、電極30の一端(−X側の端部)が載置されている。さらに、電極30の他端(+X側の端部)はシート用パレット107の上に載置されている。電極30の下には、電極保持ガイド103が配置されている。すなわち、ワークスペースAにおいて、電極保持ガイド103は、ステージ101と電極30との間に配置されている。そして、電極保持ガイド103を回転軸103a周りに回転させる。なお、
図10では、Y方向に沿った回転軸103a周りに、電極保持ガイド103が回転動作する。ワークスペースAにおいて、電極保持ガイド103が矢印Cの方向に跳ね上げられる。
【0072】
これにより、ワークスペースAにおいて、電極保持ガイド103が上方向に移動して、
図11に示す電極保持状態になる。
図10に示した電極保持状態では、ワークスペースAにおいて、電極保持ガイド103は、電極30の下側に配置されている。このため、電極保持ガイド103を矢印Cの方向に回転させると、電極保持ガイド103が電極30を持ち上げる。そして、シート保持ガイド106がシート保持側面160aの近傍に移動する。これにより、電極30が電極保持部102の電極保持部102に沿った状態で保持される。すなわち、電極30は、電極保持部102に沿った状態となり、電極保持部102と電極保持ガイド103との間で保持される。
【0073】
このように、電極保持ガイド103を回転動作させることで、電極載置状態と、電極保持状態とが切り替わる。すなわち、電極保持ガイド103を回転軸103a周りに回転させることで、シート用パレット107から電極30を持ち上げた状態で保持することができる。電極保持状態では、電極30が電極保持側面102aに沿った状態で保持される。すなわち、複数の電極30が電極保持側面102aと電極保持ガイド103との間に挟持される。
【0074】
図11には、シート保持状態、かつ、電極保持状態の構成が示されている。すなわち、
図11では、電極30が電極保持ガイド103によって跳ね上げられた状態となり、かつ、積層体51がシート保持ガイド106によって跳ね上げられた状態となっている。この状態から、シート50と電極30とを交互に倒していく。すなわち、1枚のシート50を倒す工程と、1枚の電極30を倒す工程とが交互に繰り返される。このようにすることで、
図1、
図2に示したシート状二次電池500が製造される。
【0075】
シート積層治具100は、電極めくり棒105、及びピンセット108を有している。ピンセット108は、1枚のシート50を把持するために設けられたシート把持部材の一例である。
図6に示すように、ピンセット108が、シート保持部160に保持されたシート50aの端部を把持する。シート50aの端部を把持したピンセット108をワークスペースAに向けて操作することで、1枚のシート50aをめくることができる。具体的には、
図12の矢印Dに示すように、ピンセット108を用いて1枚のシート50をシート保持ガイド106の下側に抜くことで、シート保持部160と電極保持ガイド103によるシート50の保持が解放される。これにより、1枚のシート50がシート用パレット107の上に倒される。このように、シート保持部160に保持されている積層体51から1枚のシート50を分離することで、ワークスペースAにおいて、シート50がシート用パレット107上に1枚ずつ配置される。
【0076】
電極めくり棒105は、溝102bに挿入される。
図11では、溝102bはY方向に沿って設けられているため、電極めくり棒105の挿入方向はY方向となっている。
図5に示すように、電極めくり棒105は、電極30aと電極保持部102との間に挿入される。電極めくり棒105を電極保持側面102aから離すように操作する。具体的には、
図13の矢印Eに示すように、電極めくり棒105を用いて1つの電極30を電極保持ガイド103の下側に抜くことで、電極30がシート用パレット107の上に倒される。これにより、電極保持部102と電極保持ガイド103による電極30の保持が解放される。したがって、電極30がワークスペースA上に配置されたシート50の上に配置される。
【0077】
ここで、電極めくり棒105が挿入される溝102bはY方向に沿って形成されている。さらに、
図5に示したように、Y方向において、複数の電極30がずれて配置されている。したがって、電極めくり棒105が1つずつ電極30をめくることができる。すなわち、Y方向における電極めくり棒105の挿入位置を深めていくことで、電極めくり棒105が−Y側の電極30から1枚ずつ電極30をめくることができる。具体的には、まず、最も−Y側の電極30の位置まで電極めくり棒105を挿入して、1つ目の電極30の保持を解放する。次に、−Y側から2つ目の電極30の位置まで電極めくり棒105を挿入して、2つ目の電極30の保持を解放する。このように、溝102bに電極めくり棒105を徐々に深く挿入していくことで、−Y側から順番に1つずつ電極30の保持を解放することができる。
【0078】
上記のように、ワークスペースAにシート50と電極30とを交互に配置していくことで、
図1、
図2に示したシート状二次電池500が製造される。ここで、シート保持状態において、積層体51から1枚のシート50をめくる場合、まず、
図12に示すように、磁気回路20を使用して、積層体51からシート50を分離させる。これにより、シート保持ガイド106の上において、シート50間の隙間が広くしている(
図12の破線の丸参照)。
【0079】
シート保持部160は、積層体51から1枚のシート50を分離するための磁気回路20を有している。そして、シート保持部160は、磁気回路20の磁力を用いて、積層体51から1枚ずつシート50を分離する。以下、シート保持部160に設けられた磁気回路の構成について、
図14、
図15を用いて説明する。
図14は、シート保持部160と磁気回路20の構成を模式的に示す側面図である。
図15は、ワークスペースA側から見たシート保持部160と磁気回路20の構成を模式的に示す平面図である。
【0080】
なお、以下の説明において、
図9、
図10、
図11、
図14の様に、シート50を分離する前の積層体51の状態を「非分離状態」と言う。また、
図12、
図13、後述する
図16の様に、シート50を分離した後の積層体51の状態を「分離状態」と言う。
【0081】
シート保持部160は、レバー12(
図15参照)と、磁気回路20とを備えている。
図2に示すように、シート保持部160は、+Y側のXZ平面に沿った側面には、レバー12が設けられている。レバー12は、後述するように、磁気回路20のスライド部25をZ方向に沿ってスライド移動するために設けられている。
【0082】
シート保持部160には、磁気回路20が収容されている。磁気回路20は、永久磁石21、第1継鉄22、及びスライド部25を備えている。スライド部25は、第2継鉄23と非磁性材24とを備えている。
【0083】
磁気回路20は、複数の永久磁石21を有している。複数の永久磁石21は、シート保持側面160a内の第1の方向に並んで配置されている。
図14、
図15では、第1の方向として、Z方向が設定され、複数の永久磁石21がX方向に沿って配置されている。第1の方向は、Z方向に限定されない。。第1の方向として、シート保持側面160aに沿った方向を設定することができる。ここで「シート保持側面160aに沿った方向」には、上述のZ方向に加えて、Z方向から+Y側に傾いた方向やZ方向から−Y側に傾いた方向も含まれる。
【0084】
また、複数の永久磁石21は、隣り合う磁石の同極同士が向かい合うように配置されている。
図14に示されている例では、下から1番目と3番目の永久磁石21では、S極が+Z側、N極が−Z側に配置されている。一方、上から1番目3番目の永久磁石21では、N極が+Z側、S極が−Z側に配置されている。
【0085】
このように配置することにより、上から1番目と2番目の永久磁石21が、S極同士が向かい合いように配置される。また、上から2番目と3番目の永久磁石21が、N極同士が向かい合いように配置される。また、上から、3番目と4番目の永久磁石21が、S極同士が向かい合うように配置される。
【0086】
この様な配置を実現させる永久磁石21として、
図14に示すような棒磁石を挙げることができるが、永久磁石21は棒磁石に限定されない。また、
図14では、4つの永久磁石21が並んで配置されている例を示しているが、永久磁石21の数は特に限定されるものではない。上から1番目の永久磁石の磁力が一番強く、上から2〜4番目の永久磁石の磁力は1番目の永久磁石よりも弱くなるように設定してある。
【0087】
各永久磁石21の両端側には、第1継鉄22が配置されている。すなわち、Z方向において、永久磁石21と第1継鉄22が交互に配置されている。
図14では、5個の第1継鉄22がZ方向に沿って配置されている。第1継鉄22は、永久磁石21からの磁力線の向きを制御する。
【0088】
スライド部25は、永久磁石21の−X側に配置されている。すなわち、X方向において、永久磁石21と積層体51との間には、スライド部25が配置されている。スライド部25は、第2継鉄23と非磁性材24とを有している。第2継鉄23は、永久磁石21からの磁力線の流れを制御する。永久磁石21からの磁力線は、非磁性材24内を通過することはできない。
【0089】
非磁性体24は、第1継鉄22に対応する位置に配置されている。また、第2継鉄23は、各永久磁石21に対応する位置に配置されている。Z方向において、非磁性材24と第2継鉄23とは、交互に配置されている。
図14で示される例ではスライド部25は、5個の第2継鉄23と、5個の非磁性材24を有している。
【0090】
Z方向において、永久磁石21と第2継鉄23とはほぼ同じ大きさとなっている。Z方向において、永久磁石21と第2継鉄23とは同じ位置に配置されている。また、Z方向において、第1継鉄22と非磁性材24とはほぼ同じ大きさとなっている。また、Z方向において、第1継鉄22と非磁性材24とは同じ位置に配置されている。
【0091】
この様に、永久磁石21、第1継鉄22、第2継鉄23、及び非磁性材24を配置することで、永久磁石21から第1継鉄22を介した磁力が第2継鉄23に達しないように、及び永久磁石21から第2継鉄23を介した磁力が第1継鉄22に達しないようにすることができる。この様な
図14で示されるスライド部25の配置を以下の説明で「初期状態」と言う。
【0092】
X方向において、永久磁石21と積層体51との間に、第2継鉄23が配置される。また、X方向において、第1継鉄22と積層体51との間に、非磁性材24が配置される。
【0093】
図16は、分離状態における構成を模式的に示す側面断面図である。スライド部25は、シート保持部160に対してZ方向に移動可能に取り付けられている。すなわち、スライド部25は、シート保持部160内において、Z方向(第1の方向)にスライドする。具体的には、レバー12を操作することで、スライド部25がZ方向に沿ってスライドする。
図16に、スライド部25をスライドした状態が示されている。この様な
図16で示されるスライド部25の配置を以下の説明で「スライド状態」と言う。
【0094】
レバー12を操作すると、
図14に示す状態からスライド部25が−Z方向に移動する。つまり、スライド部25が「初期状態」から「スライド状態」に移動し、これにより、積層体51は
図14に示す非分離状態から、
図16に示す分離状態になる。
【0095】
Z方向において、永久磁石21及び第1継鉄22に対する第2継鉄23、及び永久磁石21及び第1継鉄22に対する非磁性材24の相対位置が変化する。「初期状態」から「スライド状態」では、Z方向における永久磁石21と第1継鉄22との合計大きさのほぼ半分だけ、スライド部25が移動している。したがって、非磁性材24が永久磁石21に対応する位置に移動する。より具体的には、非磁性材24が永久磁石21に対応する位置に移動する。換言すると、非磁性材24が、Z方向において、永久磁石21のN極とS極との間の中央位置(
図16におけるN極とS極との間に点線)の位置まで移動する。非磁性材24は、Z方向における永久磁石21の中央位置に配置される。
【0096】
また、第2継鉄23が第1継鉄22に対応する位置に移動する。Z方向における第2継鉄23の大きさは、第1継鉄22よりも大きくなっている。よって、第2継鉄23は第1継鉄22に対応する位置から永久磁石21に対応する位置まで延在する。ここで、第2継鉄23のそれぞれは、永久磁石21の両極に対応する位置には、配置されない。例えば、下から2番目の第2継鉄23は、第1継鉄22、及び永久磁石21のS極に対応する位置のみに位置する。下から3番目の第2継鉄23は、第1継鉄22、及び永久磁石21のN極に対応する位置のみに位置する。このように、第2継鉄23は、第1継鉄22に対応する位置から、永久磁石21の一方の磁極に対応する位置まで延在する。これにより、第1継鉄22の両端に配置される永久磁石21の磁力が第1継鉄22に集中し、更に、この集中した磁力が第1継鉄22に接触している第2継鉄23に集中する。
【0097】
この様に、磁気回路20で発生する磁力が特定方向に集中することにより、X方向における磁力線が大きくなり、第2継鉄23の表面を通って、積層体51まで到達する。よって、磁気回路20による磁力により、積層体51を反らせることができる。ここで、
図17、及び
図18を用いて、磁気回路20において発生する磁力線について説明する。
図17は、非分離状態での構成を示す側面図である。
図18は、分離状態での構成を示す側面図である。すなわち、
図17は、
図14に示す非分離状態での磁力線Fを示し、
図18は、
図16に示す分離状態での磁力線Gを示している。
【0098】
図17では、1つの第2継鉄23が1つの永久磁石21のN極及びS極に対応する位置に配置されている。したがって、永久磁石21からの磁力線Fが第2継鉄23の内部を通る。すなわち、永久磁石21のN極から出た磁力線Fが第2継鉄23の内部を通って、永久磁石21のS極に戻る。したがって、スライド部25よりも−X側に磁力が生じない。よって、積層体51に磁力が与えられない。
【0099】
一方、
図18では、1つの第2継鉄23が2つの永久磁石21の同極に対応する位置に配置されている。例えば、下から3番目の第2継鉄23は、下から2番目の永久磁石21のN極から、下から3番目の永久磁石21のN極に対応する位置に渡って形成されている。隣接する2つの第2継鉄23の間には、非磁性材24が配置されている。非磁性材24の内部を、磁力線Gが通過しない。したがって、永久磁石21のN極から延びる磁力線Gは、第2継鉄23の表面を通り抜ける。そして、磁力線Gは、非磁性材24の−X側の空間を通過して、永久磁石21のS極に戻る。磁力線Gは放物線のような軌道となる。したがって、磁力線Gがスライド部25を通過して積層体51に到達する。よって、積層体51に磁力が与えられる。
【0100】
また、磁気回路20において、3つ以上の永久磁石21がZ方向に並んで配置されている。そして、Z方向において、シート保持側面160aの上端部分に配置された永久磁石21の磁力より、シート保持側面160aの中央部分、及び下端部分に配置された永久磁石21の磁力の方が弱くなっている。
【0101】
このように、3つ以上の永久磁石21が適切な磁力を発生するように設定することで、シート50の上端部に対する磁力がシート50の中央部分、及び下端部に対する磁力よりも強くなる。よって、複数のシート50を適切に反らせることができる。これにより、シート50の上端部において、シート50間の隙間を広くすることができるので、積層体51からシート50を容易に分離することができる。
【0102】
このように、
図16、
図18に示すスライド状態(分離状態)では、積層体51に磁力が加わる。これにより、
図16に示すように、積層体51がシート保持側面160aから離れるように、積層体51の反りが大きくなる。さらに、シート50毎に反り量が変わる。最も−X側のシート50は最も反り量が大きくなる。+X側のシート50ほど、反り量が小さくなる。したがって、積層体51の端部において、シート50間に隙間が生じる。これにより、積層体51からシート50が分離された「分離状態」となる。
【0103】
「分離状態」になると、積層体51からシート50を一枚ずつ分離することができる。すなわち、ピンセット108によりシート50をめくる際に、2枚以上のシート50を一緒にめくることがなくなる。シート50の端部をピンセット108で挟みやすくなる。このように、シート保持部160の磁気回路20によって、容易に積層体51から1枚のシート50を分離することができる。よって、積層体51から簡単にシート50を1枚ずつ取ることができる。
【0104】
また、シート50の反り量は、特に1番上の永久磁石21(シート保持側面160aの上端部分に配置された永久磁石21)の磁力の強さを変更する等によって調整することができる。あるいは、第1継鉄22や第2継鉄23の大きさなどによって、磁力を調整することも可能である。また、スライド部25のスライド量によって、シート50の反り量を調整することも可能である。シート50が着磁しない程度の時間、及び磁力で処理することが好ましい。フェライト、ネオジムなどの永久磁石の種類により、磁力線の強弱があるが、原理として、磁石であれば、種類によらず使用可能である。
【0105】
以下、本実施の形態にかかるシート積層治具100による効果について説明する。上記のように、ステージ101には、シート保持部160と電極保持部102とが対向配置されている。すなわち、本実施の形態では、シート50を吸着搬送する搬送装置、及びシート50を保持する保持機構等が必要ないので、装置全体を小型にすることができる。換言すると、本実施の形態では、装置の設置スペースを小さくすることができる。
【0106】
さらに、シート保持部160、及び電極保持部102から交互にシート50、及び電極30をワークスペースAに倒すことで、シート50間に電極30が挿入された積層製品を製造している。このようにすることで、シート50をピック&プレースを行う機構を不要とすることができる。よって、少ない部品点数で製造することができる。これにより、積層製品を容易に製造することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、磁気回路20を用いて積層体51から1枚のシート50を分離している。このようにすることで、ピンセット108を使用して、積層体51の最表面から1枚のシート50を簡単に把持することができるので、シート50をワークスペースAに1枚ずつ容易に倒すことができる。
【0108】
また、本実施の形態では、複数のシート50が積層された積層体51をまとめて搬送することができる。したがって、1枚毎にシート50をピック&プレース作業を行う必要がなくなるため、生産性を向上することができる。これにより、積層された複数のシート間に部品が配置された積層製品を簡便に製造することができる。さらに、本実施の形態では、複数の電極30をまとめて搬送することができる。よって、生産性をより向上することができる。
【0109】
さらに、シート50の端部は、シート用パレット107とシート保持部160との間に挟持されている。また、電極30の端部は、電極用パレット104と電極保持部102との間に挟持されている。これにより、ワークスペースAに、シート50と電極30とを交互にワークスペースAに倒していく際に、シート50と電極30との位置ずれを防止させながら積層させることができる。また、積層された複数のシート50の端部を溶接などで接合して、位置ずれを防止してもよい。
【0110】
次に、本実施の形態にかかるシート積層治具100を用いて、積層製品であるシート状二次電池500を製造する製造方法について、
図19を用いて説明する。
図19は、積層製品の製造方法を示すフローチャートである。
【0111】
まず、ステージ101の上に、積層体51、及びシート保持部160を設置する(S11)。すなわち、
図8に示すように、積層体51が載置されたシート用パレット107、及びシート保持部160をステージ101に固定する。ここで、シート用パレット107は位置決めブロック109に当接するように、ステージ101に取り付けられている。これにより、シート載置状態となり、ワークスペースAに積層体51が配置される。
【0112】
そして、シート保持ガイド106を用いて、積層体51をシート保持部160に保持する(S12)。すなわち、
図8の矢印Bのように、シート保持ガイド106がワークスペースAに配置された積層体51を持ち上げる。こうすることで、シート保持状態となり、
図9に示すように、積層体51がシート保持側面160aに沿って保持される。
【0113】
次に、電極30、及び電極保持部102をステージ101の上に、設置する(S13)。すなわち、
図10に示すように、複数の電極30が載置された電極用パレット104、及び電極保持部102をステージ101に固定する。これにより、電極載置状態となり、ワークスペースAに複数の電極30が配置される。ここでは、上記したように、
図7に示すスライドピン101aが、電極用パレット104の貫通穴104aに挿入される。
【0114】
そして、電極保持ガイド103を用いて、複数の電極30を電極保持部102に保持する(S14)。すなわち、
図10の矢印Cのように、電極保持ガイド103がワークスペースAに配置された複数の電極30を持ち上げる。こうすることで、電極保持状態となり、
図11に示すように、複数の電極30が電極保持側面102aに沿って保持される。
【0115】
次に、シート保持部160とシート保持ガイド106との間に保持されている複数のシート50から1枚のシート50を分離する(S15)。すなわち、ユーザ又はモータがレバー12を回転させることで、スライド部25を初期状態からスライド状態に移動させる。これにより、複数のシート50が非分離状態から分離状態になる。
【0116】
分離状態では、Z方向において、非磁性材24が永久磁石21の磁極間の位置に対応する位置とし、かつ第2継鉄23が第1継鉄22に対応する位置となっている。磁気回路20が発生する磁力が積層体51に加わる。よって、積層体51において、シート50同士の端部間に隙間が生じる。これにより、積層体51から1枚ずつシート50を容易に分離することができる。したがって、積層された複数のシート50は、
図12、及び
図16に示すように反った状態となる。
【0117】
非分離状態とは、詳細には積層体51のシート50のそれぞれがほぼ平行になっており、シート50間の隙間が狭くなった状態である。また、分離状態とは、詳細には、磁気回路20の磁力によって、積層体51のシート50のそれぞれが異なる角度に反っており、シート50間の隙間が広くなった状態である。積層体51を分離状態とすることで、積層体51からシート50を1枚ずつ容易に分離することができる。
【0118】
なお、ステップS11〜S15の順番は特に限定されるものではない。例えば、ステップS13、S14を実施した後、ステップS11、ステップS12を実施してもよい。さらに、ステップS15のシート50の分離工程は、積層体51を保持した後であれば、電極30の保持工程(ステップS13)よりも前に行ってもよい。
【0119】
次に、シート50と電極30とを交互に倒していく(S16)。すなわち、シート50間に隙間が生じた状態でワークスペースAに向けて1枚のシート50を倒した後、シート50の上に1つの電極30を倒す。具体的には、ピンセット108、及び電極めくり棒105を用いて、1枚のシート50と1つの電極30をワークスペースAに向けて倒す。シート50を倒す場合、
図12に示す矢印Dの方向に、シート50をめくる。こうすることで、積層体51から1枚のシート50を容易に分離することができる。1つの電極30を倒す場合、
図13に示す矢印Eの方向に複数の電極30から1つの電極30をめくる。こうすることで、1つの電極30を容易に倒すことができる。
【0120】
なお、本実施の形態では、Z方向において、シート50と電極30とが交互に配置されている例を示している。つまり、シート50と電極30を交互に倒す例を説明している。しかしながら、シート50間に配置される電極30の数は1つではなく、設計に応じて変更することができる。
【0121】
例えば、2枚のシート50を倒す工程と、1つの電極30を倒す工程とを交互に行うようにしてもよい。この場合、一部のシート50間に電極30が配置されなくなる。
【0122】
また、反対に、1枚のシート50を倒す工程と、2つ以上の電極30を倒す工程を交互に行うようにしてもよい。この場合、シート50間に2つ以上の電極30を配置することができる。このように、シート状二次電池500の設計に応じて、シート50を倒す工程数と電極30を倒す工程数とを変更する。こうすることにより、シート50に挟まれる電極30の数を変更することができる。
【0123】
全てのシート50及び電極30を倒したら、電極用パレット104を移動する(S17)。これにより、電極用パレット104、及び電極保持部102がシート保持部160に近づくように移動される。具体的には、
図7に示す状態から、スライドピン101aを長穴101bに沿ってスライド移動させる。これにより、
図20に示す状態となる。スライドピン101aは、電極用パレット104、及び電極保持部102に挿入されているため、電極用パレット104、及び電極保持部102が+X方向に沿って移動する。したがって、電極30が+X方向に移動する。このようにすることで、シート50間に挟まれている電極30が所定の位置まで差し込まれる。つまり、電極30とシートとが所定の面積だけ重複する。なお、電極用パレット104をスライド移動する前に、電極用パレット104の移動の妨げにならないように、予め電極保持ガイド103を電極保持側面102aの前から移動してもよい。
【0124】
さらに、
図20に示すように、電極30に位置決め穴33が形成されていてもよい、位置決め穴33には、位置決めピン104bが挿入される。位置決めピン104bは、電極用パレット104に設けられている。これにより、電極30の端部は固定される。このため、電極用パレット104を移動した際に、電極30とシート50との摩擦で、電極30のシート50に対する位置ずれを防止することができる。したがって、電極用パレット104の移動により、所定の面積だけ電極30とシート50とを重複させ、所定の面積だけシート50からタブ部31をはみ出させることができる。
【0125】
なお、上記の説明では、電極めくり棒105が、Y方向に並んで配置された電極30を1枚ずつめくることで、電極30を倒したが、電極を倒す方法は、これに限られるものではない。例えば、電極保持部102の−X側にエア噴出孔を配置することにより、電極30を倒すようしてもよい。具体的に、各電極30に対応させて、エア噴出孔、及びエアバルブを設ける。電極30とエア噴出孔とを1対1に対応させて配置させてもよい。あるいは、複数の電極30に対して1つのエア噴出孔を配置させてもよい。そして、複数のエアバルブを制御して、倒す電極30に対応したエア噴出孔からエアを噴出するようにしてもよい。エア噴出孔からのエアによって、電極30を1つずつ、又は複数ずつワークスペースAに向けて倒することができる。このようにすることで、電極30を倒す工程を容易に自動化することができる。
【0126】
また、複数の電極30が、Y方向に並んで配置されるのではなく、複数の電極30が重なって保持されている場合もある。この場合、シート保持部160に収容されている磁気回路20と実質的に同様の磁気回路20を、電極保持側面102aに沿って電極保持部102内に収容する。そして、シート50と同様に、磁気回路の磁力により電極30を分離するようにしてもよい。この場合、電極30を磁性材料により形成する。
【0127】
また、上記の説明では、−X側のみから、電極30をシート50に挿入する構成について説明したが、電極30の挿入方向を2方向以上としてもよい。例えば、−X側からだけでなく、さらに+Y側及び−Y側の少なくとも1つの方向からシート50に挿入してもよい。すなわち、シート50の2端辺又は3端辺にタブ部31が配置されることになる。この場合、上記のシート積層治具100に対して、+Y側及び−Y側の少なくとも1つの方向からワークスペースAに向かうように電極保持部102を追加すればよい。
【0128】
実施の形態2.
本実施の形態では、磁気回路20に永久磁石ではなく、電磁石を用いる。本実施の形態にかかるシート積層治具100に用いられた磁気回路20について、
図21を用い説明する。
図21は、磁気回路20を模式的に示す図である。なお、シート積層治具100の基本的構成は、実施の形態1と同様であるため、適宜説明を省略する。本実施の形態では、
図18等で示した永久磁石21が電磁石26に置き換わっている。また、電磁石26により磁力線を発生させているため、スライド部25を省略することもできる。
【0129】
複数の第1継鉄22の間には、複数の電磁石26が配置されている。複数の電磁石26は、Z方向を軸とするソレノイドコイルである。したがって、Z方向において、電磁石26の一端がS極となり、他端がN極となる。複数の電磁石26は、それぞれスイッチ27を介して、電源28と1対1で接続されている。隣接する電磁石26同士では、流れる電流の向きが反対となっている。すなわち、隣接する2つの電磁石26では、電源28の正極と負極が反対に接続されている。よって、複数の電磁石26は、それぞれ、同極同士が向かい合うように配置された磁石となる。
【0130】
各電源28から各電磁石26に電流を流すことで、実施の形態1と同様の磁力線Gを発生させることができる。よって、実施の形態1と同様に、積層体51から1枚ずつシート50を容易に分離することができる。本実施の形態では、スイッチ27のON/OFFのみで、分離状態と非分離状態とを切り替えることができる。第2継鉄23、非磁性材24をスライドさせる機構が不要となる。よって、装置構成を簡素化することが可能となる。また、シート50の反り量は、電源28から電磁石26に流れる電流量によって、調整してもよい。
【0131】
磁気回路20において、3つ以上の電磁石26がZ方向に並んで配置されている。そして、Z方向において、シート保持側面160aの一端部分に配置された電磁石26の磁力よりシート保持側面160aの中央部分及び他端部分に配置された永久磁石21の磁力の方が弱くなるように、所定の電流を供給する。す具体的には、シート保持側面160aの一端部分の電磁石26に流す電流が、シート保持側面160aの中央部分、及び他端部分の電磁石26に流す電流よりも高くなっている。あるいは、シート保持側面160aの一端部分の電磁石26の巻き数が、シート保持側面160aの中央部分及び他端部分の電磁石26の巻き数よりも多くなっている。このように、3つ以上の電磁石26が適切な磁力を発生するように調整する。こうすることで、シート50の上端部に対する磁力が、シート50の中央部分及び下端部における磁力強くなる。よって、複数のシート50を適切に反らせることができる。これにより、シート50の端部において、シート50間の隙間を広くすることができるので、積層体51からシート50を容易に分離することができる。
【0132】
また、実施の形態1において、複数の永久磁石21を配置させる第1の方向、各永久磁石21の磁力、及びスライド部25のスライド量の組み合わせを、シート50の材料等を考慮して、変更させることもできる。
例えば、シート50を透磁率の低い材料とする場合、シート保持側面160aの端部に配置される永久磁石21の磁力を、シート50を透磁率の高い材料とする場合と比べて強く設定し、且つ、スライド量を多く設定することもできる。また、シート50が透磁率の高い材料とする場合は、シート50を透磁率の低い材料とする場合と比べて弱く設定し、且つ、スライド量を少なく設定することもできる
【0133】
つまり、シート50の材料に応じて、シート50が着磁しない最大の磁力を設定できるので、積層体51からシート50を効率良く分離させることができる。
【0134】
また、実施の形態2において、複数の電磁石26を配置させる第1の方向、各電磁石に流す電流の量、及びスライド部25のスライド量の組み合わせを、積層体51のシート残数等を考慮して、変更させることもできる。例えば、積層体51のシート残数が少なくなるに従って、電磁石26に流す電流を少なくし、且つスライド量も少なくすることもできる。このよう設定すると、シート残数が少なくなった積層体51の端部に強い磁場が加わらないので、積層体51からシート50を効率良く分離させることができる。
【0135】
実施の形態3.
本実施の形態にかかるシート分離治具では、磁気回路の構成が実施の形態1、2と異なっている。ここで、実施の形態3のシート分離治具に用いられる磁気回路20Aの構成について、
図22を用いて説明する。
図22は、
図4の磁気回路20とは異なる基本原理を有する磁気回路20Aを示す図である。
【0136】
磁気回路20Aは、永久磁石2と、永久磁石2の下端部側に配置された第1継鉄3aと、上端部側に配置された第2継鉄3bとを有している。また、磁気回路20Aは、X方向において、永久磁石2の一端部側に配置された第1非磁性体4aと、他端部側に配置された第2非磁性体4bとを有している。
【0137】
図22に示すように、第1継鉄3aと第2継鉄3bとは、永久磁石2を挟んでZ方向に沿って対向するように配置されている。すなわち、第1継鉄3aが永久磁石2に対して−Z側に配置され、第2継鉄3bが+Z側に配置されている。
【0138】
永久磁石2は、Y方向を軸方向とする円柱形状を有している。
図22では、下半円側がN極となり、上半円側がS極となっている。永久磁石2は、第1継鉄3a、第2継鉄3b、第1非磁性体4a、及び第2非磁性体4bに囲まれた状態で、シート保持側面160a(
図22では不図示)の第1の方向に沿った回転軸6周りに回転可能となるように本体部1に収容されている。ここで、第1の方向とは、例えば、Y軸と平行な方向、或いはY軸に対して±X方向に所定角度回転させた方向を示す。永久磁石2を回転させることで、N極及びS極の位置が変化する。
【0139】
次に、磁気回路20Aを用いて複数のシート50から1枚のシート50を分離させる方法を、2つの工程に分けて説明する。後述する第一工程、及び第二工程では、永久磁石2の回転角度が異なっている。
【0140】
第一工程.
図23に示すように、第1工程では、N極を−X側に配置された第1非磁性体4aに対応した位置、及びS極を+X側に配置された第2非磁性体4bに対応した位置に配置させた状態で、積層体51をシート保持側面160aに配置する。この位置に永久磁石2が配置されている場合、磁力線はシート保持部160から外に達することがなく、複数のシート50の何れにも磁力線が達していない状態である。したがって、永久磁石2のN極からS極に向けての磁力線が、第1継鉄3a、又は第2継鉄3bの内部を通る。よって、磁力線Cはート保持側面160aを通過しない。
【0141】
なお、
図23では、N極が+X側、S極が−X側に配置されているが、N極とS極とは左右反対に配置されていてもよい。すなわち、N極が−X側、S極が+X側に配置されていてもよい。、すなわち、永久磁石2の一方の極を第1非磁性体4a、他方の極を第2非磁性体4bに対応する位置に配置した状態で、シート50をート保持側面160aに配置すればよい。
【0142】
第二工程.
第二工程では、回転軸6に沿って、永久磁石2を反時計周りに90度だけ回転させて、N極を第1継鉄3aに対応する位置、及びS極を第2継鉄3bに対応する位置に移動させる(つまり、永久磁石21が
図22に示す状態となる)。これにより、
図24に示す構成になる。この位置に永久磁石が配置されている場合、N極が第1継鉄3aによって強められ、第S極が第2継鉄3bによって強められるので、N極からS極に向けての磁力線Dがート保持側面160aに達する。
【0143】
この磁力線Dにより、複数のシート50間に隙間が生じる。換言すると、永久磁石2を回転させることにより、複数のシート50から1枚のシート50を分離することができる。
【0144】
また、永久磁石2を回転させる角度によって、シート保持側面160aに達する磁力の大きさを変更することができる。例えば、シート50数が少ない場合、シート50の数が多い場合より、永久磁石2の回転する角度を小さく設定し、シート保持側面160aに達する磁力を小さくすることもできる。したがって、永久磁石2の回転角度は90度に限らず、任意の角度に設定することができる。
【0145】
なお、第二工程では、回転軸6に沿って、永久磁石2を反時計周りでなく、時計周りに90度だけ回転させて、N極を第2継鉄3bに対応する位置、及びS極を第1継鉄3aに対応する位置に移動させてもよい。このように永久磁石2を回転さても、N極が第2継鉄3bによって強められ、S極が第1継鉄3aによって強められるので、N極からS極に向けての磁力線がート保持側面160aに達する。従って、第二工程では、永久磁石2を回転軸6に沿って回転させて、永久磁石2の一方の極を第1継鉄3aに対応する位置、他方の極を第2継鉄3bに対応する位置に移動させる。
【0146】
実施の形態1に示される永久磁石21を有する磁気回路20、及び実施の形態2に示される電磁石26を有する磁気回路20に変えて、
図22〜24に示される磁気回路20Aを有する磁気回路20Aを適用することもできる。この場合、回転軸6を、
図1及び
図2で示されるY方向或いはY軸に対して±X方向に所定角度回転させた方向に、又は第1の方向を
図14及び15で示されるZ方向或いはZ方向から+Y側に傾いた方向やZ方向から−Y側に傾いた方向に設定するように、シート保持部160に磁気回路20Aを収容する。
【0147】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。