(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ゴルフ競技において、グリーン上に停止した自己のボールが、他人の競技の妨げとならないようグリーン上から離脱させ、その自己のボールの停止位置を認識するために、ゴルフマーカが用いられる。
【0003】
ゴルフマーカとしては、円盤状の天板と、その下面から垂直に伸びる円錐状の脚部とから形成される樹脂製ゴルフマーカが知られている。この樹脂製ゴルフマーカを使用する際には、グリーン上の自己のボールを拾い上げ、その位置に樹脂製ゴルフマーカの脚部をグリーンに差し込むことで、当該ボールの停止位置を認識することができる。
【0004】
この樹脂製ゴルフマーカには脚部があるため、携帯するときにポケットに収納するのが煩わしい。また、ポケットに収納した場合、競技者がポケット内の他の物を取り出す際に、ゴルフマーカがポケットから落下し、紛失することがある。このため、ゴルフマーカを係止する孔を設けた帽子(特許文献1)が知られている。これらは、樹脂製ゴルフマーカの脚部を係止孔に差し込むことでゴルフマーカを係止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の帽子は、鍔部にゴルフマーカの係止孔が設けられており、当該帽子に係止したゴルフマーカを取り外す際、ゴルフマーカの天板部分を把持して引き抜くため、指先や爪が天板の角にうまく掛からず、取り外しが容易でない。
【0007】
上記不都合に鑑みて、本願発明は、ゴルフマーカを容易に離脱させることができ、また、確実な保持により落下、紛失等を防止することができるマーカ保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、脚部を有するゴルフマーカを保持するゴルフマーカ保持具であって、上記脚部を保持可能な保持孔を中央に有する板状の弾性片を備え、上記弾性片が、外縁から上記保持孔まで連通する連通溝を有する。
【0009】
当該ゴルフマーカ保持具は、連通溝を有するので、上記連通溝に沿って保持孔から外縁へゴルフマーカ脚部を挿通させて、ゴルフマーカをゴルフマーカ保持具から離脱させることができる。つまり、ゴルフマーカの天板を把持するのではなく、ゴルフマーカの天板と脚部の先端を挟持して、ゴルフマーカ保持具と平行にスライドさせることで、容易にゴルフマーカをゴルフマーカ保持具から離脱させることができる。また、ゴルフマーカが保持される状態では、上記弾性片の保持孔が上記脚部を係止するため、確実にゴルフマーカを保持することができる。
【0010】
弾性片が、上記保持孔から外縁に向けて形成された複数のスリットを有するのが好ましい。上記保持孔が複数のスリットを有することで、上記保持孔がゴルフマーカの脚部を係止する力を分散することができ、安定してゴルフマーカを保持することができる。
【0011】
上記連通溝及び複数のスリットが、上記保持孔から放射状に配されているのが好ましい。上記連通溝及び複数のスリットが、上記保持孔から放射状に配されることで、ゴルフマーカの脚部に対して係止する力が均等にかかり、より安定してゴルフマーカを保持することができる。
【0012】
当該ゴルフマーカ保持具が、ゴルファーが着用する着用物に備えられるのが好ましい。当該ゴルフマーカ保持具が、ゴルファーが着用する着用物に備えられることで、ゴルフマーカの使用、携帯を、容易かつ迅速にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のゴルフマーカ保持具は、ゴルフマーカの離脱が容易で、かつ確実な保持をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0016】
[ゴルフマーカ]
図1は、脚部を有するゴルフマーカMの概略的斜視図である。ゴルフマーカMは、天板Maと、天板Maの一面の中心に接合する脚部Mbを有する。脚部Mbは略円錐状であり、天板Maとの接合部分(根元部分)の直径は、3〜4mmであるものが多い。
【0017】
[第一実施形態]
<帽子>
ゴルフマーカ保持具は、ゴルファーが着用する着用物に備えられるのが好ましい。本発明の一実施形態では着用物として、
図2に示すように、帽体7及び鍔部8を含む帽子6について説明する。鍔部8は、合成樹脂等、又は当該合成樹脂等を芯材として布帛、合成皮革等を貼り合わせて形成されたもの等、公知のものが使用される。
【0018】
(ゴルフマーカ保持具)
ゴルフマーカ保持具1は、
図3に示すように、ゴルフマーカMの脚部Mbを係止可能な保持孔3を中央に有する板状の弾性片2を備え、弾性片2が、外縁から保持孔3まで連通する連通溝4を有する。板状の弾性片2の材質としては、弾性を有する物であれば特に限定されず、合成ゴム等の公知のものが使用される。ゴルフマーカMの脚部Mbは、連通溝4に沿って保持孔3まで挿通され、保持孔3が脚部Mbを係止することで、ゴルフマーカ保持具1がゴルフマーカMを保持する。
【0019】
鍔部8の外縁近傍には、少なくとも1つのゴルフマーカ保持具1が備えられる。
図2では、例として鍔部8の左側(
図2で右側)の帽体7近傍に、ゴルフマーカ保持具1が備えられている。
【0020】
鍔部8は、
図2〜4に示すように、外縁に向け開口部を有する長孔9を備える。長孔9の長さ(奥行き)としては、特に限定されないが、5mm以上が好ましい。上記下限を満たさないと、ゴルフマーカMの脚部Mbを係止することが困難になるおそれがある。また、長孔9の幅は、特に限定されないが、5mm以上が好ましい。上記下限を満たさないと、ゴルフマーカMの脚部Mbを長孔9に挿通することが困難になるおそれがある。長孔9の開口部は、直線又は曲線の面取りがされるとよい。開口部が面取りされることで、脚部Mbを外縁から保持孔3に向けて長孔9に挿通させる際に、当該面取りがガイドの役割をして、容易に脚部Mbを長孔9に挿通させることができる。
【0021】
鍔部8の一面、
図2では鍔部8の裏面(下面)で、長孔9を覆うように板状の弾性片2が備えられる。弾性片2は、
図3〜4で示すように、ゴルフマーカMの脚部Mbを係止可能な保持孔3と、保持孔3から鍔部8の外縁まで連通し、長孔9と平行に配される連通溝4を有する。連通溝4の外縁から保持孔3までの長さは、ゴルフマーカMが容易に落下等するものでなければ特に限定されず、1mm以上あればよい。連通溝4は、板状の弾性片2の片面から反対面に貫通する貫通溝である。
【0022】
保持孔3は、板状の弾性片2の片面から反対面に貫通する貫通孔である。ゴルフマーカMは下向きに保持される、すなわち
図2で天板Maを上側として、脚部Mbが鍔部8の裏面(
図2の下側)から突き出るようにゴルフマーカMが保持されるため、鍔部8の厚みを考慮して、保持孔3の直径は、脚部Mbの係止される部分の直径(保持孔3と接する部分)より小さい径が好ましく、例えば2mm以上2.5mm以下とすることができる。保持孔3の直径が、脚部Mbの係止される部分の直径より小さい径であることで、脚部Mbを確実に係止することができる。一方、保持孔3の直径が、脚部Mbの保持される部分の直径より大きい径であると、脚部Mbを確実に係止することができず、ゴルフマーカMが落下、紛失等するおそれがある。保持孔3の直径は脚部Mbの係止される部分の直径より小さいため、保持孔3が脚部Mbを係止する際、連通溝4が撚れる。撚れた連通溝4が元に戻ろうとする復元力(弾性力)が、保持孔3が脚部Mbを係止する力、つまりゴルフマーカMの保持力となる。
【0023】
鍔部8のゴルフマーカ保持具1にゴルフマーカMを保持させる方法としては、ゴルフマーカMの脚部Mbを保持孔3に挿入して保持させることができる。保持穴3の径は脚部Mbの径より小さいため、連通溝4が撚れることで、その復元力(弾性力)により脚部Mbが係止され、ゴルフマーカMが保持される。また、ゴルフマーカ保持具1は連通溝4を有するので、
図5に示すように、鍔部8の外縁から脚部Mbを、長孔9及び連通溝4に挿通させて保持孔3に係止させることができる。連通溝4は、弾性片2に形成されているため、脚部Mbが挿通されると、
図5に示すように、連通溝4部分の弾性片2が撚れて脚部Mbが通過することができる。脚部Mbが保持孔3に到達すると、撚れた連通溝4が元の形状に戻り、保持孔3により脚部Mbが係止され、ゴルフマーカMが保持される。
【0024】
鍔部8からゴルフマーカMを離脱させるには、天板Maを把持して、脚部Mbを有する面と反対面の方向に引き抜くことで離脱させることができる。また、
図5のように、天板Maと脚部Mbの先端とを挟持してゴルフマーカ保持具と平行にスライドさせ、脚部Mbを長孔9及び連通溝4に挿通させて、鍔部8の外縁から離脱させることができる。
【0025】
[利点]
保持孔のみからなるゴルフマーカ保持具では、ゴルフマーカMを離脱させるため、天板Maを把持してゴルフマーカMを引き抜く必要があるが、手にグラブを嵌めていたり、気温が低く指先の感覚が鈍くなっている等の場合、指先が天板Maにうまく掛からず、ゴルフマーカMを離脱させるのが困難となるおそれがある。本願発明に係るゴルフマーカ保持具は、保持孔3及び連通溝4を有するため、例えば人差し指と親指とで天板Maと脚部Mbの先端とを挟持して、ゴルフマーカ保持具と平行にスライドさせることでゴルフマーカMの離脱をさせることができる。或いは、人差し指等を天板Maに掛けて、鍔部8の外縁に向けて、掻き出すように押圧することでゴルフマーカMの離脱をさせることができる。従って、手にグラブを嵌めている場合等でも、離脱が容易にできる。また、ゴルフマーカMの脚部Mbを保持孔3に挿入して保持させる場合でも、保持孔のみからなるゴルフマーカ保持具では、目視等により保持孔3の位置を確認等する必要があるが、帽子6の鍔部8に備えられた保持孔3を目視するのは困難である。当該ゴルフマーカ保持具1は、保持孔3及び連通溝4を有するので、目視等により保持孔3の位置を確認等することなく、ゴルフマーカMの脚部Mbを鍔部8の長孔9付近に当てがい、鍔部8の内側に向けてスライドさせる、つまり保持孔3に向けて押圧することで脚部Mbが、長孔9及び連通溝4に沿って保持孔3に導入されるため、ゴルフマーカMを容易に保持させることができる。
【0026】
鍔部8が、保持孔3から外縁に向けて形成された複数のスリット5を有するのが好ましい。
図4に示すように、保持孔3に複数のスリット5が設けられることで、保持孔3が脚部Mbを係止する力が分散され、ゴルフマーカMを安定して保持することができる。
【0027】
連通溝4及び複数のスリット5が、保持孔3から放射状に配されているのが好ましい。
図4示すように、例えば2箇所のスリット5と連通溝4とが放射状に配することで、保持孔3が脚部Mbを係止する際に、係止する力を脚部Mbに対して均等にかけることができ、ゴルフマーカMをより安定して保持することができる。
【0028】
[第二実施形態]
<ゴルフマーカ保持クリップ>
次に、ゴルファーの着用物として、
図6に示すように、ゴルフマーカ保持クリップについて説明する。本発明の一実施形態であるゴルフマーカ保持クリップ10は、
図6〜9に示すように、平坦な天面11b及びクリップ部11aを含むクリップ11を有し、天面11bにゴルフマーカ保持具1を備える。当該クリップ11は、樹脂成型等の公知の方法で製造される。
【0029】
(クリップ)
本実施形態のホルダ用クリップ11は、
図6に示すように、樹脂を平坦に成型した天面11bと、湾曲させた形状で成型して、弾性力を有するクリップ部11aとを備える。当該クリップ部11aをゴルファーの腰ベルト、バッグ、グラブの袋口、帽子の鍔部等に挟持させて、ゴルフマーカ保持クリップ10を使用する。
【0030】
天面11bは、
図6,7に示すように、中心から外縁の一方向に向かい、開口部を有する長孔11cを備える。長孔11cの長さ(奥行き)としては、特に限定されないが、5mm以上が好ましい。上記下限を満たさないと、ゴルフマーカMの脚部Mbを係止することが困難になるおそれがある。また、長孔11c幅は、特に限定されないが、5mm以上が好ましい。上記下限を満たさないと、ゴルフマーカMの脚部Mbを長孔11cに挿通することが困難になるおそれがある。長孔11cの開口部は、直線又は曲線の面取りがされるとよい。開口部が面取りされることで、脚部Mbを外縁から保持孔3に向けて長孔11cに挿通させる際に、当該面取りがガイドの役割をして、容易に脚部Mbを長孔11cに挿通させることができる。また、天面11bは、保持孔3に向けて傾斜を有しているのが好ましい。例えば、保持孔3と同心円で、すり鉢状の傾斜を有していれば、ゴルフマーカMの脚部Mbを保持孔3に挿入する際に、この傾斜がガイドの役割をして、容易に脚部Mbを保持孔3に挿入させることができる。
【0031】
天面11bの一面、
図7ではクリップ部11aに対向する側の面に、長孔11cを覆うように板状の弾性片2が備えられる。弾性片2は、ゴルフマーカMの脚部Mbを係止する保持孔3と、保持孔3から長孔11cの開口部まで連通し、長孔11cと平行に配される連通溝4を有する。
【0032】
保持孔3の直径は、脚部Mbを係止するため、脚部Mbの係止される部分の直径より小さい径が好ましい。脚部Mbが円錐状であり、天面11bの板厚を考慮すると、例えば1.8mm以上2.5mm以下とすることができる。保持孔3の直径が脚部Mbの係止される部分の直径より小さい径であることで、脚部Mbを確実に係止することができる。一方、保持孔3の直径が脚部Mbの係止される部分の直径より大きい径であると、脚部Mbを確実に係止することができず、ゴルフマーカMが落下、紛失等するおそれがある。保持孔3の直径は脚部Mbの径より小さいため、保持孔3が脚部Mbを係止する際、連通溝4が撚れる。撚れた連通溝4が元に戻ろうとする復元力(弾性力)が、保持孔3が脚部Mbを係止する力、つまりゴルフマーカMの保持力となる。
【0033】
ゴルフマーカ保持クリップ10にゴルフマーカMを装着する方法としては、ゴルフマーカMの脚部Mbを保持孔3に挿入して装着することができる。保持孔3の径は脚部Mbの係止される部分の直径より小さいため、連通溝4が撚れることで、その弾性力により脚部Mbが係止され、ゴルフマーカMが保持される。また、ゴルフマーカ保持クリップ10は長孔11c及び連通溝4を有するので、
図9に示すように、脚部Mbを長孔11c及び連通溝4に挿通させて保持孔3に係止させることができる。連通溝4は、弾性片2に形成されているため、脚部Mbが挿通されると、
図8のように、連通溝4部分の弾性片2が撚れて脚部Mbが通過することができる。脚部Mbが保持孔3に到達すると、
図9のように、撚れた連通溝4が元の形状に戻り、保持孔3により脚部Mbが係止され、ゴルフマーカMが保持される。
【0034】
ゴルフマーカ保持クリップ10からゴルフマーカMを離脱させるには、天板Maを把持して、脚部Mbを有する面と反対面の方向に引き抜くことで離脱させることができる。また、脚部Mbを長孔11c及び連通溝4に挿通させて長孔11cの開口部から離脱させることができる。
【0035】
[利点]
当該ゴルフマーカ保持クリップ10においても、人差し指と親指とで天板Maと脚部Mbの先端とを挟持して、或いは、親指等を天板Maに掛けて押圧し、長孔11cの開口部に向けてスライドさせることでゴルフマーカMの離脱を容易に行うことができる。また、ゴルフマーカMの脚部Mbを保持孔3に挿入して係止する場合においても、ゴルフマーカ保持クリップ10は長孔11c及び連通溝4を有するので、目視等により保持孔3の位置を確認等することなく、ゴルフマーカ保持クリップ10の長孔11c付近に脚部Mbを当てがい、ゴルフマーカ保持クリップ10の中心に向けてスライドさせる、つまり保持孔3に向けて押圧することで脚部Mbが保持孔3に導入されるため、ゴルフマーカMを容易に保持することができる。
【0036】
弾性片2が、保持孔3から天面11bの外縁に向けて形成された複数のスリットを有するのが好ましい。保持孔3に複数のスリットが設けられることで、保持孔1が脚部Mbを係止する力が分散され、ゴルフマーカMを安定して保持することができる。
【0037】
連通溝4及び複数のスリットが、保持孔3から放射状に配されているのが好ましい。このように、複数のスリットと連通溝4が放射状に配されることで、保持孔3が脚部Mbを係止する際に、係止する力を脚部Mbに対して均等にかけることができ、ゴルフマーカMをより安定して保持することができる。
【0038】
<その他の実施形態>
上記開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0039】
上記実施形態において、保持孔を備える弾性片が、連通溝を有する構成について説明したが、連通溝は幅のないスリット形状に限られず、一定の幅、例えば0.5mm幅等を有する長孔形状とすることも、本発明の意図する範囲内である。また同様に、保持孔から外縁に向けて形成された複数のスリットも、一定の幅を有する長孔形状とすることができる。
【0040】
また、保持孔から外縁に向けて形成され、放射状に配される複数のスリットは、等間隔又は不等間隔のいずれにも、配することができる。
【0041】
本発明の実施形態の着用物として衣類である帽子について説明したが、衣類であればこれに限られず、グラブ、シューズ、被服のポケット口や襟元等に本発明に係るゴルフマーカ保持具が備えられるのも本発明の意図する範囲である。
【0042】
本発明の実施形態の着用物としてゴルフマーカ保持クリップについて説明したが、ゴルファーが着用するものであればこれに限られず、腰部等にかける用具入れ、鞄等に本発明に係るゴルフマーカ保持具が備えられるのも本発明の意図する範囲である。
【0043】
また、ゴルフマーカ保持具を備えるゴルフバッグ、ゴルフクラブに係止可能なクリップ等も、本発明の意図する範囲である。