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特許6619737ヴェルミエヒートポンプのための4プロセスサイクル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619737
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ヴェルミエヒートポンプのための4プロセスサイクル
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/14 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   F25B9/14 520A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-530121(P2016-530121)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2016-537603(P2016-537603A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014066098
(87)【国際公開番号】WO2015077214
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】61/907,268
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516137580
【氏名又は名称】サーモリフト,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーフバウアー,ピーター
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−004174(JP,A)
【文献】 特開昭64−090963(JP,A)
【文献】 特開平05−018623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプであって、
ホットディスプレーサシリンダ内に配置され、前記ホットディスプレーサシリンダ内でレシプロ運動するよう構成されたホットディスプレーサと、
コールドディスプレーサシリンダ内に配置され、前記コールドディスプレーサシリンダ内でレシプロ運動するよう構成されたコールドディスプレーサと、
前記ホットディスプレーサに連結され、前記ホットディスプレーサを前記ホットディスプレーサシリンダ内で中央位置とリモート位置との間で移動させるよう構成されたホットディスプレーサアクチュエータと、
前記コールドディスプレーサに連結され、前記コールドディスプレーサを前記コールドディスプレーサシリンダ内で中央位置とリモート位置との間で移動させるよう構成されたコールドディスプレーサアクチュエータと、
前記ホットディスプレーサアクチュエータと前記コールドディスプレーサアクチュエータとに結合された電子制御ユニット(ECU)と、を備え、
前記ホットディスプレーサアクチュエータは前記ホットディスプレーサシリンダ内での前記ホットディスプレーサの前記中央位置から前記リモート位置への移動を開始させ、
前記中央位置から前記リモート位置への前記ホットディスプレーサのそのような移動は第1プロセスを含み、
前記コールドディスプレーサアクチュエータは前記コールドディスプレーサシリンダ内での前記コールドディスプレーサの前記中央位置から前記リモート位置への移動を開始させ、
前記中央位置から前記リモート位置への前記コールドディスプレーサのそのような移動は第2プロセスを含み、
前記ホットディスプレーサアクチュエータは前記ホットディスプレーサシリンダ内での前記ホットディスプレーサの前記リモート位置から前記中央位置への移動を開始させ、
前記リモート位置から前記中央位置への前記ホットディスプレーサのそのような移動は第3プロセスを含み、
前記コールドディスプレーサアクチュエータは前記コールドディスプレーサシリンダ内での前記コールドディスプレーサの前記リモート位置から前記中央位置への移動を開始させ、
前記リモート位置から前記中央位置への前記コールドディスプレーサのそのような移動は第4プロセスを含み、
前記第2プロセスが前記第1プロセスの完了前に開始されるか、又は、前記第1プロセスが完了した後で且つ前記第2プロセスの開始前において前記ホットディスプレーサ及び前記コールドディスプレーサを静止状態に保つよう、前記ECUは前記ホットディスプレーサアクチュエータ及び前記コールドディスプレーサアクチュエータに命令し、
前記第3プロセスは前記第2プロセスの完了前に開始され
前記ECUは、前記第2プロセスが完了した後で且つ前記第3プロセスの開始前において前記ホットディスプレーサ及び前記コールドディスプレーサを静止状態に保つよう前記ホットディスプレーサアクチュエータ及び前記コールドディスプレーサアクチュエータに命令する、
ヒートポンプ。
【請求項2】
前記第1プロセスは、初期部分と、前記初期部分に続く中間部分と、前記中間部分に続く最終部分とを有し、
前記中間部分の間の前記ディスプレーサ(3)の速度は、前記初期部分の間の前記ディスプレーサ(3)の速度よりも速く、
前記中間部分の間の前記ディスプレーサ(3)の速度は、前記最終部分の間の前記ディスプレーサ(3)の速度よりも速い、
請求項1に記載のヒートポンプ。
【請求項3】
前記第4プロセスは前記第3プロセスの完了前に開始される、
請求項1又は2に記載のヒートポンプ。
【請求項4】
前記第1プロセスは前記第4プロセスの完了前に開始される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のヒートポンプ。
【請求項5】
前記ECUは、前記第3プロセスが完了した後で且つ前記第4プロセスの開始前において前記ホットディスプレーサ及び前記コールドディスプレーサを静止状態に保つよう前記ホットディスプレーサアクチュエータ及び前記コールドディスプレーサアクチュエータに命令する、
請求項1に記載のヒートポンプ。
【請求項6】
前記ECUは、前記第4プロセスが完了した後で且つ前記第1プロセスの開始前において前記ホットディスプレーサ及び前記コールドディスプレーサを静止状態に保つよう前記ホットディスプレーサアクチュエータ及び前記コールドディスプレーサアクチュエータに命令する、
請求項1又は5に記載のヒートポンプ。
【請求項7】
前記ホットディスプレーサシリンダの直径は前記コールドディスプレーサシリンダの直径よりも大きい、
請求項1からのいずれか1項に記載のヒートポンプ。
【請求項8】
前記ホットディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離は、前記コールドディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離よりも大きい、
請求項1からのいずれか1項に記載のヒートポンプ。
【請求項9】
前記ホットディスプレーサがその中央位置とそのリモート位置との間を移動するのに要する時間は、前記コールドディスプレーサがその中央位置とそのリモート位置との間を移動するのに要する時間とは異なる、
請求項1からのいずれか1項に記載のヒートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はヒートポンプ、特にヴェルミエヒートポンプ(vuilleumierheat pump)におけるサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
US1275507で説明されているように、ほとんどの従来のヴェルミエヒートポンプのディスプレーサ(displacer)はクランクによって駆動される。クランク駆動ディスプレーサを備えたそのようなヒートポンプの概略は図1で示されている。この507特許においては、ディスプレーサは図2で示されるように90°の位相差を有する。本開示発明の譲受人に共通に譲渡されている機械電子駆動(mechatronically-actuated)ヴェルミエヒートポンプはWO2013/155258に開示されている。そのようなヒートポンプにおいては、それらディスプレーサは独立的に運転され、一方のディスプレーサを静止させたままで、他方のディスプレーサを運転する。それにより、ディスプレーサの動作を制御することで数多くの追加的自由度が提供される。WO2013/155258A1には3プロセスサイクルも開示されている。高い成績係数を提供するサイクルが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
概要
モデリング結果に基づく上記の3プロセスサイクルより高い成績係数を示す4プロセスサイクルが開示されている。
【0004】
ヒートポンプを操作する方法が開示されている。ヒートポンプは、高温シリンダ内でレシプロ運動(往復運動)するように構成(適合)されているホットディスプレーサと、低温シリンダ内でレシプロ運動するように構成されているコールドディスプレーサとを有する。ホットディスプレーサはリモート位置(中心部から離れた位置)と中央位置とを有しており、コールドディスプレーサは中央位置とリモート位置とを有する。この方法は、ホットディスプレーサをその中央位置からそのリモート位置に移動するように駆動し、コールドディスプレーサをその中央位置からそのリモート位置に移動するように駆動し、ホットディスプレーサをそのリモート位置からその中央位置に移動するように駆動し、コールドディスプレーサをそのリモート位置からその中央位置に移動するように駆動する。それらの駆動は所定の順序で実行される。
【0005】
作動状況によっては、コールドディスプレーサは、ホットディスプレーサがその中央位置とそのリモート位置との間を移動する時間の少なくとも一部の間、静止状態を保ち、ホットディスプレーサは、コールドディスプレーサがそのリモート位置とその中央位置との間を移動する時間の少なくとも一部の間、静止状態を保つ。
【0006】
ホットディスプレーサをその中央位置からそのリモート位置に移動させる駆動はプロセス1を含む。コールドディスプレーサをその中央位置からそのリモート位置に移動させる駆動はプロセス2を含む。ホットディスプレーサをそのリモート位置からその中央位置に移動させる駆動はプロセス3を含む。コールドディスプレーサをそのリモート位置からその中央位置に移動させる駆動はプロセス4を含む。1サイクルは、プロセス1、プロセス2、プロセス3そしてプロセス4の順番で成る。
【0007】
この方法は、両方のディスプレーサに、プロセス1とプロセス2の間の第1設定時間、静止状態を維持するように命令(指示、コマンド)すること、両方のディスプレーサに、プロセス2とプロセス3の間の第2設定時間、静止状態を維持するように命令すること、両方のディスプレーサに、プロセス3とプロセス4の間の第3設定時間、静止状態を維持するように命令すること、および、両方のディスプレーサに、プロセス4とプロセス1の間の第4設定時間、静止状態を維持するように命令すること、をさらに含む。
【0008】
ホットチャンバは、ホットディスプレーサシリンダ内のホットディスプレーサの位置が関係するホットチャンバ内の容積で、ホットディスプレーサシリンダ内に画定される。コールドチャンバは、コールドディスプレーサシリンダ内のコールドディスプレーサの位置が関係するコールドチャンバ内の容積で、コールドディスプレーサシリンダ内に画定される。ホットディスプレーサがそのリモート位置にあるとき、ホットチャンバ内の容積は、ホットディスプレーサが中央位置内にあるときよりも小さい。コールドディスプレーサがそのリモート位置にあるとき、コールドチャンバ内の容積は、コールドディスプレーサが中央位置内にあるときよりも小さい。
【0009】
ホットディスプレーサシリンダ内に配置されたホットディスプレーサ、コールドディスプレーサシリンダ内に配置されたコールドディスプレーサ、駆動されるとホットディスプレーサシリンダ内においてそのリモート位置とその中央位置との間でホットディスプレーサをレシプロ運動させるホットディスプレーサアクチュエータ、駆動されるとコールドディスプレーサシリンダ内においてそのリモート位置とその中央位置との間でコールドディスプレーサをレシプロ運動させるコールドディスプレーサアクチュエータ、およびホットディスプレーサアクチュエータとコールドディスプレーサアクチュエータとに結合された電子制御ユニット(ECU)を有したヒートポンプが開示されている。このECUは、一連の配置:ホットディスプレーサがホットディスプレーサシリンダ内でその中央位置に存在し、コールドディスプレーサがコールドディスプレーサシリンダ内でその中央位置に接近(近接)している第1配置、ホットディスプレーサがホットディスプレーサシリンダ内でそのリモート位置に存在し、コールドディスプレーサがコールドディスプレーサシリンダ内でその中央位置に接近している第2配置、ホットディスプレーサシリンダ内でホットディスプレーサがそのリモート位置に存在し、コールドディスプレーサがコールドディスプレーサシリンダ内でそのリモート位置に接近している第3配置、および、ホットディスプレーサがホットディスプレーサシリンダ内でその中央位置に存在し、コールドディスプレーサがコールドディスプレーサシリンダ内でそのリモート位置に接近している第4配置、を通じて移動するようにホットディスプレーサとコールドディスプレーサに命令する。
【0010】
1サイクルは、第1配置から第2配置、第2配置から第3配置、第3配置から第4配置、第4配置から第1配置に移動することを含む。
【0011】
コールドディスプレーサは、ホットディスプレーサがその中央位置からそのリモート位置に移動する時間の少なくとも一部の間、その中央位置で静止している。ホットディスプレーサは、コールドディスプレーサがその中央位置からそのリモート位置に移動する時間の少なくとも一部の間、そのリモート位置で静止している。コールドディスプレーサは、ホットディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する時間の少なくとも一部の間、そのリモート位置で静止している。ホットディスプレーサは、コールドディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する時間の少なくとも一部の間、その中央位置で静止している。
【0012】
実施態様によっては、コールドディスプレーサシリンダの中心軸はホットディスプレーサシリンダの中心軸と同軸的(共線的)である。実施態様によっては、コールドディスプレーサシリンダの直径はホットディスプレーサシリンダの直径よりも大きい。別実施態様では、ホットディスプレーサシリンダの直径はコールドディスプレーサシリンダの直径よりも大きい。さらに別な実施態様である請求項6のヒートポンプでは、ホットディスプレーサシリンダの直径はコールドディスプレーサシリンダの直径と等しい。実施態様によっては、ホットディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離はコールドディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離よりも大きい。別実施態様では、ホットディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離はコールドディスプレーサがそのリモート位置からその中央位置に移動する距離よりも小さい。実施態様によっては、ホットディスプレーサがその中央位置とそのリモート位置との間を移動する時間はコールドディスプレーサがその中央位置とそのリモート位置との間を移動する時間とは異なる。アクチュエータがスプリングを含んでいるヒートポンプにおいては、ディスプレーサに作用するスプリングは、各ディスプレーサがそれぞれ中央位置とリモート位置との間で移動する時間が同じにならないように選択できる。
【0013】
ホットディスプレーサシリンダ内に配置されたホットディスプレーサが、ホットディスプレーサシリンダ内でレシプロ運動するように構成され、コールドディスプレーサが、コールドディスプレーサシリンダ内に配置され、かつ、コールドディスプレーサシリンダ内でレシプロ運動するように構成されているヒートポンプが開示されている。このヒートポンプは、ホットディスプレーサに連結されているホットディスプレーサアクチュエータであって、ホットディスプレーサをホットディスプレーサシリンダ内において中央位置とリモート位置との間で移動させるように構成されているホットディスプレーサアクチュエータと、コールドディスプレーサに連結されているコールドディスプレーサアクチュエータであって、コールドディスプレーサをコールドディスプレーサシリンダ内において中央位置とリモート位置との間で移動させるように構成されているコールドディスプレーサアクチュエータと、ホットディスプレーサアクチュエータとコールドディスプレーサアクチュエータとに結合されている電子制御ユニット(ECU)と、を有する。1サイクルは、次のプロセスを次の順序で含む:ホットディスプレーサアクチュエータがホットディスプレーサにホットディスプレーサシリンダ内において中央位置からリモート位置に移動するように命令するプロセス;コールドディスプレーサアクチュエータがコールドディスプレーサにコールドディスプレーサシリンダ内において中央位置からリモート位置に移動するように命令するプロセス;ホットディスプレーサアクチュエータがホットディスプレーサにホットディスプレーサシリンダ内においてリモート位置から中央位置に移動するように命令するプロセス;コールドディスプレーサアクチュエータがコールドディスプレーサにコールドディスプレーサシリンダ内においてリモート位置から中央位置に移動するように命令するプロセス。
【0014】
ヒートポンプは、ホットディスプレーサシリンダの一端にホットチャンバを有しており、コールドディスプレーサシリンダの一端にコールドチャンバを有している。ホットチャンバ内の容積は、ホットディスプレーサが中央位置にあるときは、ホットディスプレーサがリモート位置にあるときよりも大きい。コールドチャンバ内の容積は、コールドディスプレーサが中央位置にあるときは、コールドディスプレーサがリモート位置にあるときよりも大きい。ヒートポンプは、ウォーム(暖)チャンバを含んでおり、このウォームチャンバは、ホットチャンバの反対側のホットディスプレーサの端部に存在するホットシリンダ内の容積が、コールドチャンバの反対側のコールドディスプレーサ端部に存在する容積に加えられた容積部のことである。
【0015】
実施態様によっては、ホットディスプレーサシリンダの中心軸はコールドディスプレーサの中心軸と同軸的である。別実施態様では、ホットディスプレーサシリンダの中心軸はコールドディスプレーサシリンダの中心軸に実質的に平行であり、コールドディスプレーサシリンダの中心軸とはオフセットしている(離れている)。実施態様によっては、ホットディスプレーサシリンダの直径はコールドディスプレーサシリンダの直径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来技術ヴェルミエヒートポンプの概略図である。
【0017】
図2図2は、クランク駆動ディスプレーサを備えたそのヴェルミエヒートポンプ内のディスプレーサの動作(動き)のグラフである。
【0018】
図3図3は、機械電子的に制御されるディスプレーサを備えたヴェルミエヒートポンプの概略図である。
【0019】
図4図4は、そのヴェルミエヒートポンプ内の3プロセスサイクルを示す。
【0020】
図5図5は、そのヴェルミエヒートポンプ内の4プロセスサイクルを示す。
【0021】
図6図6は、3プロセスサイクルの時間の関数としてのホットディスプレーサおよびコールドディスプレーサの移動を示すチャートである。
【0022】
図7図7は、4プロセスサイクルの時間の関数としてのホットディスプレーサおよびコールドディスプレーサの移動を示すチャートである。
【0023】
図8図8は、ディスプレーサ同士の移動がオーバラップしている4プロセスサイクルの時間の関数としてのホットディスプレーサおよびコールドディスプレーサの移動を示すチャートである。
【0024】
図9図9は、両方のディスプレーサが静止している時間が存在するホットディスプレーサおよびコールドディスプレーサの移動を示すチャートである。
【0025】
図10図10は、ホットディスプレーサシリンダの直径がコールドディスプレーサシリンダの直径よりも大きいヴェルミエヒートポンプの図である。
【0026】
図11図11は、ホットディスプレーサのストロークがコールドディスプレーサのストロークよりも短いヴェルミエヒートポンプの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
当該技術の通常技術者であれば、図面のいずれかに図示およびその図面に関して説明されている実施例の様々な特徴が、明示的に図示または説明されていない別実施態様を具現化するために他の図面に示されている特徴と組み合わせることが可能であることを理解するであろう。図示されている特徴の組み合わせは典型的な適用形態のための代表的実施態様を提供する。しかしながら、本開示発明の教示に即した特徴の様々な組み合わせと改良が特定の適用形態または実施形態に望まれることであろう。当該技術の通常技術者であれば、ここに明確に説明あるいは図示されている(またはされていない)類似した適用形態あるいは実施形態を認識することであろう。
【0028】
機械電子駆動ヴェルミエヒートポンプにより実行されるサイクルを説明する前に、そのようなヒートポンプ50の非限定実施例を図3に示す。ヒートポンプ50は、ハウジング52とシリンダ54とを有しており、シリンダ54内にはホットディスプレーサ62およびコールドディスプレーサ66が配置されている。ディスプレーサ62と66は、中心軸53に沿ってシリンダライナ54内でレシプロ運動する。ホットディスプレーサ62用のアクチュエータは、強磁性要素102、112、電磁石92、スプリング142、144、および支持構造体143を含む。図3で示すように、支持構造体143は、ハウジング52のコールド(冷)端部86に連結されている中央ポスト(柱体)88に連結された電磁石92に取り付けられている。中央ポスト88、電磁石92、および支持構造体143は固定されている(動かない)。ホットディスプレーサ62が図3で示される位置から上方にレシプロ運動すると、スプリング142は釣り合った状態(平衡状態)のプレロード(予備荷重)より大きく圧縮され、スプリング144の圧縮は相対的に小さくなる。電磁石92は強磁性要素102または112を自身の方向にスプリング142、144のバネ力に対抗して引っ張るようにエネルギー付与される。同様に、コールドディスプレーサ66は、中央ポスト88に連結された電磁石96、電磁石96に連結された支持構造体147、およびスプリング146、148を含むコールドアクチュエータを有する。スプリング146は、支持構造体147とコールドディスプレーサ66の第1キャップ126との間に連結されている。スプリング148は、支持構造体147とコールドディスプレーサ66の第2キャップとの間に連結されている。電磁石92、96は、電子制御ユニット(ECU)100を介して制御される。
【0029】
強磁性ブロック102、112、106、116は、ホットディスプレーサ62の第1キャップ122に関係するスタンドオフ(standoff)、ホットディスプレーサ62の第2キャップ132、コールドディスプレーサ66の第1キャップ126に関係するスタンドオフ、およびコールドディスプレーサ66の第2キャップ136にそれぞれ連結されている。コールドディスプレーサ66を通過してホットディスプレーサ62内へと上方に延出する中央ポスト88を収容するため、開口部がホットディスプレーサ62の第2キャップ132、およびコールドディスプレーサ66の第1キャップ126と第2キャップ136とに設けられている。
【0030】
環状チャンバがハウジング52の内表面の一部とシリンダ54の外表面との間に形成されている。ホットレキュペレータ(ホット復熱装置)152、ウォーム熱交換器(暖熱交換器)154、コールドレキュペレータ(コールド復熱装置)156およびコールド熱交換器(冷熱交換器)158が環状チャンバ内に配置されている。シリンダ54を通る開口部により、流体はシリンダ54の内部と環状チャンバとの間で通流することができる。開口部166により、流体は、コールドチャンバ76と環状チャンバ内のコールド熱交換器158との間を通流することができる。開口部164により、流体は、ウォームチャンバと環状チャンバとの間を通流することができる。ヒートポンプ50もハウジング52のホット(温)端部近くに提供されたホット熱交換器165を有する。キャップ82を通る開口部162は、環状チャンバに通じる通路163を有する熱交換器165に通じる。ホット熱交換器165は、バーナ配置または他のエネルギー源と関係することができる。加熱対象の流体は、開口部174に流入してウォーム熱交換器154を通り、開口部172を出て直交流(クロス流)となる。冷却対象の流体は、開口部176からコールド熱交換器158に流れ、開口部178から出る。熱交換器を通過する流れは逆平行流であってもよい。
【0031】
ヴェルミエヒートポンプ内の3プロセスサイクルでのディスプレーサの端部位置は図4に示されている。状態“a”では、ホットディスプレーサ12とコールドディスプレーサ14の両方はシリンダ10内で上方位置に存在する。図4の状態“b”では、コールドディスプレーサ14は下方位置に移動する。状態“a”から状態“b”への変化が第1プロセスである。状態“b”から状態“c”へとホットディスプレーサ12が上方位置から下方位置へ移動する。すなわち第2プロセスである。状態“c”から状態“a”への戻り移動において、ホットディスプレーサ12とコールドディスプレーサ14の両方が上方に移動する。すなわち第3プロセスである。
【0032】
図4で示すサイクルでは、ホットディスプレーサ12とコールドディスプレーサ14とは、そのサイクルにおける異なる時点で、シリンダ10内の中央スペース内に存在する。すなわち状態“a”ではコールドディスプレーサ14はシリンダ10内の中央スペースに存在し、状態“c”ではホットディスプレーサ12はシリンダ10内の中央スペースに存在する。図3のヒートポンプは3プロセスサイクルに適している。4プロセスサイクルを可能にするヒートポンプは、そのシリンダが長形である点を除いて図3のものに類似する。その理由は以下の説明で明確になるであろう。
【0033】
ヴェルミエヒートポンプで使用する4プロセスサイクルは図5に示されており、ホットディスプレーサ22はホットディスプレーサシリンダ20内でレシプロ運動し、コールドディスプレーサ24はコールドディスプレーサシリンダ21内でレシプロ運動する。状態“d”では、ホットディスプレーサ22はシリンダ20内で中央位置に存在し、コールドディスプレーサ24はシリンダ21内で中央位置に存在する。状態“d”から状態“e”への移動では、ホットディスプレーサ22はシリンダ20内でそのリモート位置に移動する。これは第1プロセスすなわちプロセス1である。状態“e”から状態“f”に移るとき、コールドディスプレーサ24はシリンダ21内のそのリモート位置に移動する。これは第2プロセスすなわちプロセス2である。状態“f”から状態“g”に移るとき、ホットディスプレーサ22はシリンダ20内のその中央位置に移動する。これは第3プロセスすなわちプロセス3である。状態“g”から状態“d”に戻るとき、コールドディスプレーサ24はシリンダ21内のその中央位置に移動する。これは第4プロセスすなわちプロセス4である。
【0034】
前述したように、図4の3プロセスサイクルでは、ホットディスプレーサ12とコールドディスプレーサ14とは同じスペースを占拠するが、もちろん、サイクル中の異なる時間においてである。図5の4プロセスサイクルではホットディスプレーサ22とコールドディスプレーサ24は中央線26を越えない。シリンダ20と21は同軸的および同一径であり、中央線26の上方のシリンダ20および中央線26の下方のシリンダ21によって表わされている(画定されている)。
【0035】
図4に示すディスプレーサ移動の端部位置は、図6にて時間の関数として示されている。ホットディスプレーサの下縁部の動作は曲線16で示されている。コールドディスプレーサの上縁部の動作は曲線18で示されている。コールドディスプレーサは状態“a”から状態“b”へと下方に移動し、その間ホットディスプレーサは静止状態である。状態“b”から状態“c”へとホットディスプレーサは下方に移動し、その間コールドディスプレーサは静止状態である。このサイクルを終了させる状態“c”から状態“a”への移動において両方のディスプレーサは上方に動く。
【0036】
図5に図示するディスプレーサ移動の端部位置が図7に時間の関数として示されている。ホットディスプレーサの下縁部は曲線28として示されており、コールドディスプレーサの上縁部は曲線30として示されている。状態“d”では両方のディスプレーサは中央位置で互いに隣接している。状態“d”から状態“e”ではコールドディスプレーサは静止したままであり、ホットディスプレーサは上方に動く。状態“e”から状態“f”では、ホットディスプレーサは静止したままであり、コールドディスプレーサは下方に動く。状態“f”から状態“g”では、ホットディスプレーサは下方に動き、コールドディスプレーサは静止したままである。状態“g”から開始位置である状態“d”への戻りでは、ホットディスプレーサは静止したままであり、コールドディスプレーサは上方に動く。図6のサイクルは3プロセスで完了し、図7のサイクルは4プロセスで完了する。よって、もし図6のサイクルでディスプレーサが図7のサイクルと同一速度で移動すると、ディスプレーサが同じ動力学(エネルギー;dynamics)で作動すれば、図7のサイクルは図6のサイクルよりも約1倍から1/3倍だけ長くかかる。
【0037】
図7のサイクルの別形態は図8で示すサイクルであり、そこではディスプレーサの動作は少々オーバラップしている(重なっている)。ホットディスプレーサの動作の上縁部は曲線32により示されており、コールドディスプレーサの動作の下縁部は曲線34により示されている。図8の時間220において、コールドディスプレーサはその上方への動作を終了しつつあり、ホットディスプレーサはその上方への動作を開始しつつある。時間222において、コールドディスプレーサはその上方位置(そのリモート位置)に到達しており、時間224までそこに留まる。時間224では、ホットディスプレーサは上方位置(そのリモート位置)には未到達であり、その到達は時間226で発生する。一方、コールドディスプレーサは時間224から時間226の間に上方の移動を終了する。ホットディスプレーサは時間226から時間228では上方位置で静止している。コールドディスプレーサは下方移動を時間230で完了し、時間232まで下方位置に留まる。一方、ホットディスプレーサは時間228から時間234まで下方に移動する。時間232からコールドディスプレーサは時間234、時間220’および時間222’を通じて上方に移動する。ホットディスプレーサは時間234から時間220’まで静止したままである。時間220’で完全サイクルが完了している。ディスプレーサの位置は時間220で時間220’と同じである。
【0038】
ディスプレーサが移動する速度はバネ定数およびシステムの他の特性によって決定される。図7図8が同じ形態を図示しているように、ディスプレーサは図7図8では同じ速度で移動する。しかし、図8で示すサイクルでは、ホットディスプレーサの動作はコールドディスプレーサが最端位置を達成する前に開始しており、あるいはその逆であるので、図8のサイクルは図7のサイクルよりも短い。そのようなサイクルはさらに大きな出力を提供する。
【0039】
図6から図8に示すサイクルの説明は可能な最大出力サイクルを説明する。出力を降下させるため、両方のディスプレーサはサイクルの一部の時間を静止状態に保たれる。そのようなディスプレーサ動作の1例は図9に示されている。ホットディスプレーサの動作は曲線260として示されており、コールドディスプレーサの動作は曲線262として示されている。時間240で両方のディスプレーサはシリンダ内の中央位置に存在する。ホットディスプレーサは時間240と時間242の間を上方に移動する。両方のディスプレーサは時間242と時間244の間で静止状態にある。その静止時間は図9で示すものより短くても長くてもよい。両方のディスプレーサが静止状態にあるその他の間隔は、時間246と時間248との間および時間250と時間252との間である。要求される出力を得るために、これらの時間は短くても長くてもよい。さらに、例えば、ホットディスプレーサがそのリモート位置に存在し、コールドディスプレーサがその中央位置に存在する時間242と時間244との間の間隔などの、サイクルの異なる部分でディスプレーサが異なることが可能である間隔は、時間246から時間248の間隔または時間250から時間252の間隔のいずれとも異なる長さであってもよい。
【0040】
シリンダの直径が異なるヴェルミエヒートポンプは図10に示されている。ホットディスプレーサシリンダ28はコールドディスプレーサシリンダ30よりも大きな直径を有する。ホットディスプレーサシリンダ28内でレシプロ運動するホットディスプレーサ32もコールドディスプレーサシリンダ32内でレシプロ運動するコールドディスプレーサ34より大きい。ストロークが異なるヒートポンプは図11に示されている。ホットディスプレーサシリンダ40はホットディスプレーサ42を有しており、コールドディスプレーサシリンダ41はコールドディスプレーサ44を有している。ホットディスプレーサ42のストロークはコールドディスプレーサ44のストロークよりも小さい。
【0041】
本発明の最良態様が特定実施例に関わって詳細に説明されているが、当該技術の専門家であれば、本発明の請求項のスコープ内の様々な変形デザインおよび実施態様が可能であることを認めるであろう。様々な実施態様が利点を提供し、1以上の望ましい特性に関して他の実施形態に勝る利点を提供し、またはそれより好適であると解説されているであろうが、当該技術の専門家であれば、1以上の特徴が、特定の利用形態および実施形態に応じて、所望のシステム特性を達成するために犠牲にできることを理解するであろう。これら特性は、限定はしないが、費用、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、梱包、サイズ、サービス性、重量、製造容易性、組み立て容易性、等々を含む。1以上の特徴に関して、他の実施態様または従来の形態のものより好適とは言えないと説明されているような実施態様でも本開示発明の範囲外ではなく、特定の実施態様にとって望ましいこともあろう。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11