(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の作業領域において第一のパネルに接着剤を塗布し、第二の作業領域において前記接着剤が塗布された前記第一のパネルと第二のパネルとを貼り合わせて積層体を製造する製造システムであって、
前記第一の作業領域に配置され、前記第一のパネルおよび前記第二のパネルを搬送する第一の搬送装置と、
前記第一の作業領域に配置され、前記第一の搬送装置により搬送される前記第一のパネルに前記接着剤を塗布する塗布装置と、
前記第二の作業領域に配置され、前記第一のパネルおよび前記第二のパネルを貼り合わせる貼合装置と、
前記第二の作業領域に配置され、前記貼合装置に前記第一のパネルおよび前記第二のパネルを搬送する第二の搬送装置と、
を備え、
前記第一の搬送装置及び前記第二の搬送装置は、
貼り合わせる前記第一のパネルと前記第二のパネルとをセットにして搬送する、
ことを特徴とする製造システム。
第一の作業領域において第一のパネルに接着剤を塗布し、第二の作業領域において前記接着剤が塗布された前記第一のパネルと第二のパネルとを貼り合わせて積層体を製造する製造方法あって、
前記第一の作業領域において、前記第一のパネルおよび前記第二のパネルを搬送する第一の搬送工程と、
前記第一の作業領域において、前記第一の搬送工程により搬送される前記第一のパネルに前記接着剤を塗布する塗布工程と、
前記第二の作業領域において、前記第一のパネルおよび前記第二のパネルを搬送する第二の搬送工程と、
前記第二の作業領域において、前記第二の搬送工程により搬送された記第一のパネルおよび前記第二のパネルを貼り合わせる貼合工程と、を備え、
前記第一の搬送工程及び前記第二の搬送工程では、
貼り合わせる前記第一のパネルと前記第二のパネルとをセットにして搬送する、
ことを特徴とする製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図中、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、矢印Zは上下方向(高さ方向)を示し、矢印Xおよび矢印Yは互いに直交する水平方向を示している。
【0011】
<システムの概要>
図1は本発明の一実施形態に係る製造システム1の斜視図である。製造システム1は二つのパネルを貼り合わせて積層体を製造するシステムである。本実施形態のシステムは、液晶表示パネルとそのカバーガラスとを貼り合わせるシステムであるが、他の種類のパネル同士を貼り合わせるシステムにも本発明は適用可能である。
【0012】
製造システム1の構成は、前半の作業領域R1と、後半の作業領域R2とに大別される。貼り合わされる二つのパネルは概ねX方向に搬送されて順次処理される。以下の説明において上流側、下流側とはX方向で見てパネルの搬送方向の上流側、下流側を意味する。作業領域R1では、主に、一方のパネルに塗布液を塗布する作業を行う。作業領域R2では塗布液が塗布された一方のパネルと、他方のパネルとの貼合作業を行う。以下、作業領域R1、R2に配置される構成について順に説明する。
【0013】
<作業領域R1>
図1および
図2を参照して作業領域R1に配置される構成について説明する。作業領域R1には、投入台10A、10BがY方向に離間して並設されている。貼り合わせられる一方のパネルP1は投入台10Aに、他方のパネルP2は投入台10Bに、それぞれ、前工程から搬送されて載置される。本実施形態の場合、パネルP1はカバーガラスであり、パネルP2は液晶表示パネルである。投入台10A、10Bには例えば複数のピンが立設され、パネルは複数のピン上に載置される。
【0014】
作業領域R1には支持体2が設けられている。支持体2は、作業領域R1に配置される各装置を支持するベースであり、本実施形態の場合、枠体として構成されている。支持体2には移載装置11、搬送装置CV1、計測装置14、塗布装置15、照射装置16、移載装置19が配置されている。
【0015】
移載装置11は投入台10A、10Bの下流側に配置され、更にその下流側には搬送装置CV1が配置されている。移載装置11は、投入台10A、10BからパネルP1、P2を搬送装置CV1へそれぞれ移載する。なお、詳細に述べればパネルP1は後述する計測装置14を経由して搬送機構12へ移載される。
【0016】
図3は移載装置11を構成する移載ロボットRBの斜視図である。移載ロボットRBは、移動ユニット4と、台座ユニット6と、台座ユニット6を介して移動ユニット4に搭載された保持ユニット5Aおよび5Bとを含む。移動ユニット4はレールRLと係合され、され、後述するモータMの駆動によって移動経路上を移動する。移載装置11の場合、レールRLはY方向に設定されており、したがって移動経路はY方向である。本実施形態の場合、移動ユニット4は、モータMを駆動源として回転されるボールねじ軸SCと係合するボールナットに接続される。ボールねじ軸SCはY方向に沿って延接され、前述したレールRLはこのボールねじ軸SCと平行に設けられる。モータMの回転によって移動ユニット4がレールRL上を往復移動される。移動ユニット4の駆動機構はこのようなボールねじ機構に限られず、ラックピニオン機構等種々の駆動機構を採用することができる。何らかの構成を移動させる後述する各機構も同様である。
【0017】
移動ユニット4には台座ユニット6のZ軸方向の昇降とZ軸周りの旋回とを行う駆動機構が内蔵されている。保持ユニット5Aおよび5Bは台座ユニット6上に支持されている。保持ユニット5AはパネルP1を保持し、保持ユニット5BはパネルP2を保持する。本実施形態の場合、保持ユニット5A、5Bは、それぞれ、多関節アームで構成されており、アーム部51と、アーム部51の端部に設けられたハンド部52とを備える。保持ユニット5A、5Bは水平方向にハンド部52を進退移動させ、ハンド部52上に載置されたパネルP1またはP2を移載する。ハンド部52にはその上面、下面にそれぞれパネルを吸着する吸着部が設けられている。保持ユニット5Aのハンド部52は保持ユニット5Bのハンド部52よりも低い位置に位置しており、保持ユニット5Aおよび5BによってパネルP1およびP2の組がZ方向に重なる(平面視で重畳する)平行姿勢で保持される。また、パネルP2は本実施形態の場合液晶表示パネルであり、ケーブル等の部品が付属している場合がある。保持ユニット5Bのハンド部52は、このような付属部品を支持する付属支持部52aが設けられている。なお、付属支持部52aは、付属部品の付属位置に応じて支持可能な位置に配置される。
【0018】
本実施形態の場合、後述する移載装置19、搬送装置CV2、移載装置24にも同様の移載ロボットRBが用いられる。無論、それぞれの装置で異なる機構であってもよい。
【0019】
図1および
図2に戻り、搬送装置CV1は、本実施形態の場合、二つの搬送機構12、13を備える。搬送機構12はパネルP1を搬送し、搬送機構13はパネルP2を搬送(移送)する。貼り合わされるパネルP1とパネルP2の組は、これらの搬送機構12、13によりX方向に並列搬送される。なお、搬送機構12、12によりパネルP1とパネルP2とを並列搬送することも可能である。また、ペア搬送されるパネルP1、P2の両方に、後述する塗布処理を行ってもよく、塗布される塗布膜は同種又は異種のいずれであっても良い。また、搬送機構12によりパネルP1を連続的に搬送させ、搬送機構13によりパネルP2を等ピッチで間欠的に移送させ、パネルP1とパネルP2の組をX方向に並列搬送させるようにしてもよい。間欠的に移送を行う搬送機構13としては、例えば、ウォーキングビーム方式の移送装置が挙げられる。
【0020】
図4は搬送装置CV1によるパネルP1、P2の搬送態様並びに周辺装置を示す図である。同図において、パネルP1、P2はその搬送態様を容易に理解する趣旨で、実際よりも大きく図示している。また、各種の装置の一部の構成を省略している箇所がある。
【0021】
搬送機構12はX方向に延設されている。搬送機構13は搬送機構12に対してY方向に離間して、平行に延設されている。これらの詳細は後述する。
【0022】
搬送機構12の搬送経路上には、パネルP1の厚み等を計測する計測装置14、パネルP1に塗布液(本実施形態の場合パネルの貼り合わせに用いる接着剤)を塗布する塗布装置15および接着剤を半硬化状態にさせる照射装置16、接着剤の膜厚を計測する計測装置18が配置されている。一方、搬送機構13の搬送経路上には、パネルP2に対する処理装置は配置しない。本実施形態の場合、作業領域R1ではパネルP1に対する処理が中心であり、パネルP2はパネルP1とセットにして搬送されるだけとしている。無論、パネルP2に対する処理を行う装置を作業領域R1に配置する構成も採用可能である。本実施の形態においては、塗布液として接着剤を例に挙げて説明を行うが、接着剤に限定するものではない。塗布液は、塗布装置15により塗布可能なものであれば、何であっても良い。また、照射装置16の設置は、塗布液の種類に応じて適宜選択される。
【0023】
計測装置14は搬送機構12の上流端に配置されている。
図5は計測装置14の斜視図である。計測装置14は、一組の撮影ユニット140および多軸スライダ141と、支持台142と、多軸スライダ143と、を備える。多軸スライダ141、143は、例えば、X−Yテーブル、X−Yテーブルに昇降軸を組み合わせたもの、直交座標ロボットが挙げられる。
【0024】
支持台142上に移載装置11によりパネルP1が移載される。支持台142はパネルP1を吸着する吸着部を備え、パネルP1を水平姿勢で保持可能である。多軸スライダ143は支持台142を、X、YおよびZ方向に移動可能であり、パネルP1の移載時における支持台142の昇降動作や、パネルP1の位置決め時の水平移動動作を行う。
【0025】
一組の撮影ユニット140および多軸スライダ141はY方向に離間して並設されており、これらの間に支持台142および多軸スライダ143が配置されている。撮影ユニット140は支持台142上のパネルP1を撮影するカメラを含む。多軸スライダ141は撮影ユニット140をX方向およびY方向に移動可能であり、撮影ユニット140の撮影位置が移動される。撮影ユニット140の撮影画像により、パネルP1の厚さや支持台142上における位置(姿勢)が計測される。
【0026】
この計測結果に基づいて、後述するコントローラによりパネルP1の位置補正値が算出され、この算出値に基づいてコントローラが多軸スライダ143を制御し、支持台142の位置が微調整される。これによって、塗布装置15に対して正しい位置(姿勢)の決定にパネルP1が位置決めされる。このように予めパネルP1の位置決めを行っておくことで、後続の塗布装置15における接着剤の塗布作業の精度を向上できる。また、サイズや厚みが異なるパネルの取り扱いも可能になる。
【0027】
塗布装置15は計測装置14よりも下流側に配置されている。
図6は塗布装置15の斜視図である。塗布装置15は塗布ヘッド150と、昇降機構151と、水平移動機構(Y方向移動機構)152とを含む。塗布ヘッド150はX方向に延びるスロット状の吐出口を有し、接着剤をパネルP1上に上から吐出する。接着剤は本実施形態の場合、紫外線の照射により硬化される光硬化樹脂(OCR)である。昇降機構151は塗布ヘッド150をZ方向に移動する。水平移動機構152は昇降機構151をY方向に移動する。昇降機構151と水平移動機構152とにより、塗布ヘッド150をZ−Y平面上に移動することができる。
【0028】
本実施形態の場合、塗布ヘッド150の吐出口(接着剤の塗布可能範囲)はパネルP1のX方向の幅以上の長さを有しており、塗布ヘッド150をパネルP1のY方向の一端から他端へ水平移動機構152を移動させることで、パネルP1の表面の所定の範囲に接着剤が膜状に塗布させる。塗布ヘッド150をパネルP1の搬送方向(X方向)ではなく、これに直交するY方向に移動する構成としたことで、塗布ヘッド150の交換などのメンテナンス作業時にY方向(搬送機構12の幅方向)の作業領域R1の外周部に設けられた不図示の作業位置に塗布ヘッド150を移動させることで、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0029】
塗布装置15に設けられた不図示の検出センサがパネルP1のパネル面を検出し、この検出結果に基づき、後述するコントローラにより昇降機構151によるパネルP1表面に対する塗布ヘッド150の高さや、水平移動機構152による塗布ヘッド150の移動速度が制御される。これによって、接着剤の膜の厚みが制御され、パネルP1のパネル面に予め定めた膜の厚みで接着剤の膜が塗布される。塗布ヘッド150の高さを調整する際、計測装置14で計測したパネルP1の厚さの計測結果を利用することができ、膜厚制御のパラメータの一つとなる。
【0030】
図2、
図4を参照して、照射装置16は塗布装置15よりも下流側に配置されている。照射装置16は紫外線をパネルP1に上から照射する照明ユニットを備える。接着剤の膜が表面に塗布されたパネルP1には、照射装置16を通過する際に紫外線が照射され、これにより、接着剤が半硬化する。ここでの半硬化は接着剤の粘着性が維持され、かつ、接着剤の液だれが抑制される程度とすることができる。半硬化の度合いは、紫外線の強度と照射時間により調整可能である。
【0031】
計測装置18は照射装置16よりも下流側に配置されている。
図7は計測装置18の斜視図である。計測装置18はレーザ距離計等の計測ユニット180と計測ユニット180をパネルP1の上方に支持する支持ユニット181とを備える。支持ユニット181は、計測ユニット180が支持体2(又は支持ユニット121)に対して所定の高さに維持されるように計測ユニット180を支持する。計測装置18は接着剤の膜厚を計測する。膜厚が規定範囲内にない場合は不良品として取り扱うことができる。膜厚の計測は、例えば、パネルP1表面上における接着剤の塗布領域と非塗布領域との高さをそれぞれ計測し、その差分を膜厚としてもよい。また、接着剤の塗布領域と支持ユニット121の表面の各高さを計測し、その差分と計測装置14で計測したパネルP1の厚さとの差分を膜厚としてもよい。
【0032】
図4、
図8および
図9を参照して搬送機構12および13の構成ならびに搬送機構13の搬送動作について説明する。
【0033】
主に
図8を参照して搬送機構12は、パネルP1を浮遊状態で支持する支持ユニット121と、パネルP1を吸着して移動する複数の吸着移動ユニット122とを備える。支持ユニット121はX方向に延設された上面を有し、この上面に形成された複数の孔からエアを噴出することでパネルP1を僅かに浮遊させ状態で支持する。本実施形態の場合、吸着移動ユニット122は、支持ユニット121のY方向の両側部に一つずつ配置されている(合計二つ)。支持ユニット121の下流側端の上面には、凹部121aが形成されている。パネルP1の搬出時において、この凹部121aに、後述する移載装置19のハンド部52が入り込む。
【0034】
吸着移動ユニット122は、吸着ユニット122aと、昇降機構122bと、移動機構122cとを含む。吸着ユニット122aはその上面がパネルP1を吸着する吸着面とされ、例えば、その吸着面に開口する複数の孔が形成され、複数の孔を介してエアが吸引されることにより、パネルP1が吸着ユニット122aの上面に吸着される。昇降機構122bは吸着ユニット122aをZ方向に移動させる。移動機構122cは昇降機構122bをX方向に移動させる。
【0035】
本実施形態の場合、二つの吸着移動ユニット122はともにパネルP1を搬送するものであるが、そのうちの一つはパネルP1を計測装置14(上流端)から照明装置16の間で搬送し、残りの一つはパネルP1を照明装置16から計測装置18(下流端)の間で搬送する。
【0036】
搬送動作について説明すると、まず、吸着ユニット122aが支持ユニット121の上面よりも低い位置にある状態において、移動機構122cにより吸着ユニット122aがパネルP1の下面へ向けて上昇される。昇降機構122bの動作により吸着ユニット122aがパネルP1の下面に接する位置まで上昇されると、吸着ユニット122aにてパネルP1の下面が吸着される。これにより吸着ユニット122aにてパネルP1が保持される。続いて移動機構122cにより吸着ユニット122aを下流側へ移動させることでパネルP1がX方向搬送される。このパネルP1の搬送中、支持ユニット121がパネルP1を浮遊状態で支持するので、非接触状態で、円滑にパネルP1を搬送することが可能である。目的とする位置にパネルP1が到達すると、移動機構122cが停止され、支持ユニット121によるエアの噴出が停止される。その後、昇降機構122bにより吸着ユニット122aを下降させ、支持ユニット121の表面にパネルP1が載置され、吸着ユニット122aによるパネルP1の吸着が解除される。
【0037】
搬送機構12は複数のパネルP1をX方向に搬送する。
図8に示すように、X方向において、停止位置はSP1〜SP4の4か所である。停止位置SP1は上流端の位置であり、パネルP1における計測装置14の支持台142上の位置である。停止位置SP4は下流端の位置であり、搬送装置CV1からのパネルP1、P2の搬出位置であると共にパネルP1における計測装置18による膜厚の計測位置である。
【0038】
停止位置SP2およびSP3は停止位置SP1と停止位置SP4との間の中間の位置である。停止位置SP2はパネルP1に塗布装置15で接着剤を塗布する位置である。停止位置SP3はパネルP1に照射装置16で紫外線を照射する位置である。本実施形態の場合、停止位置SP1〜SP4の各間隔は同じである。
【0039】
次に、搬送機構13について説明する。搬送機構13は、複数の載置テーブル130および昇降機構131と、可動プレート132と、駆動機構133とを備える。載置テーブル130にはパネルP2が載置される。また、パネルP2は本実施形態の場合液晶表示パネルであり、ケーブル等の部品が付属している場合があり、搬送機構13は、このような付属部品を支持する付属支持部130aを備える。昇降機構131は載置テーブル130および付属支持部130aを支持する昇降支持プレート131aをZ方向に移動する。可動プレート132はX方向に延設されるとともに、X方向に移動自在に後述する駆動機構133に支持されている。可動プレート132には昇降機構131が支持される。本実施形態の場合、載置テーブル130および昇降機構131の組は三組設けられており、これらがX方向に等間隔で可動プレート132に支持されている。駆動機構133は可動プレート132をX方向に移動する。
【0040】
パネルP2も、
図9に示すように、Z−X面における正面視で、停止位置SP1〜SP4に停止される。パネルP2は順次搬送させるだけで本来停止の必要は無いが、パネルP1と対応するパネルP2を明らかにし、搬送状態の監視を容易にするために、パネルP1の停止に対応させてパネルP2も各停止位置SP1〜SP4に停止させる。このため、搬送機構13は、各停止位置SP1〜SP4に、ピン状の複数の載置部材134、135を備える。ピン状の複数の載置部134、135は、それぞれのピンが所定の位置に取り付けられるピン載置プレート134a、135aに構成される。ピン載置プレート134aは、搬送機構13の搬送方向に延びる載置プレート支持部材137に搬送方向に所定の間隔を空けて支持される。また、載置プレート支持部材137の一方端部および他方端部は、支持体2に設けられる一対の支柱部材137aにより支持される。ピン載置プレート135aは、支持体2からピン載置プレート135aを離間して支持する支柱部材135bにより支持される。
【0041】
また、パネルP2は本実施形態の場合液晶表示パネルであり、ケーブル等の部品が付属している場合があり、搬送機構13は、このような付属部品を支持する付属支持部136を備える。付属支持部136は、板状の部材であり、支持体2から付属支持部136を離間して支持する支柱部材136aにより支持される。Y方向で見ると、載置テーブル130は、載置部材134と載置部材135との間に位置し、付属支持部130aは、載置部材134と付属支持部136との間に位置している。そして、支持体2と載置プレート支持部材137との間に配置された昇降支持プレート131aが搬送機構13によって搬送方向および昇降方向へ移動可能に配置される。
【0042】
図9は搬送機構13の動作説明図である。状態ST1は移載装置11によりパネルP2が停止位置SP1における載置部材134(および不図示の載置部材135)上に移載された状態を示す。各載置テーブル130はパネルP2よりも低い位置にあり、停止位置SP1〜SP3に位置している。各昇降機構131を伸長させて、各昇降支持プレート131aを上昇させることでそれぞれの載置テーブル130が上昇される。これにより状態ST2に示すように停、載置部材134上に載置されていた止位置SP1のパネルP2が、載置テーブル130によりすくいあげられ、パネルP2が載置テーブル130上に移載される。状態ST3に示すように駆動機構133によって可動プレート132がX方向に移動されると、各載置テーブル130は停止位置SP2〜SP4に位置される。その後、各昇降機構131を縮長させて、各載置テーブル130を下降させることで、載置テーブル130から停止位置SP2の載置部材134(および不図示の載置部材135)にパネルP2が移載される。このとき(
図4参照)、移載装置11により次のパネルP2が停止位置SP1に搬入され、移載装置11から載置部材134に移載される。
【0043】
状態ST4に示すように、駆動機構133によって可動プレート132が元の位置へX方向に移動され、各載置テーブル130は停止位置SP1〜SP3に位置され、その後、各昇降機構131を再び伸長させ、各載置テーブル130が上昇される。これにより停止位置SP1のパネルP2と、停止位置SP2のパネルP2とが、対応する載置テーブル130上に移載される。状態ST5に示すように駆動機構133によって可動プレート132がX方向に移動されると、各載置テーブル130は停止位置SP2〜SP4に位置される。その後、各昇降機構131を縮長させて、各載置テーブル130を下降させることで、載置テーブル130から停止位置SP2、SP3の載置部材134に各パネルP2が移載される。このとき、移載装置11により次のパネルP2が停止位置SP1に搬入され、移載装置11から載置部材134に移載される。以上の動作を繰り返すことで、複数のパネルP2が等間隔で間欠的に搬送されることになる。また、搬送機構13の動作開始タイミングは、貼り合わせのセットの一方となるパネルP1の搬送に応じて動作を開始し、搬送される。
【0044】
図1および
図2を参照して搬送装置CV1よりも下流側には移載装置19が配置されている。移載装置19は
図3の移載ロボットRBにより構成され、レールRLはパネルP1、P2の搬送方向と交差する方向(本実施形態ではY方向)に延設されている。移載ロボットRBは、搬送機構12により搬送されたパネルP1と、搬送機構13により移送されたパネルP2とを、後述する作業領域R2の中継ユニット20へ移載する。搬送機構12からパネルP1を取り出す際には、一方の保持ユニット5Aのハンド部52が凹部121aに差し込まれ、パネルP1を支持ユニット121からすくい上げて取り出す。搬送機構13からパネルP2を取り出す際には、停止位置SP4の載置部材134、135上に載置されたパネルP2を他方の保持ユニット5Bのハンド部52が下からすくい上げて取り出す。
【0045】
次に、
図10および
図11を参照して塗布装置15へ接着剤を供給する供給装置17について説明する。供給装置17は、貯留部170と供給路171と供給ポンプ17aとを含む。貯留部170は接着剤を貯留するタンクである。供給路171は貯留部170と塗布ヘッド150との間の接着剤の供給路(配管)である。供給ポンプ17aは、動作させることで接着剤を貯留部170から供給路171を介して塗布ヘッド150へ供給させる。貯留部170、供給路171、供給ポンプ17aは支持体2に支持される。供給路171は、支持体2の複数の脚部2a、複数の脚部2aに支持されるテーブル部2b、塗布装置15を支持する支柱2cといった複数の部位で支持されている。塗布装置15はテーブル部2bに支持されている。共通の支持体2に、塗布装置15と供給装置17とを予め定めた支持位置で支持することで、塗布装置15と貯留部170との位置関係が決定され、その間を接続し接着剤を供給する供給路171の経路が決定されることで、供給路の長さも一定に設定される。
【0046】
塗布装置15による塗布対象となるパネルP1への塗布は、接着剤の粘度や塗布処理周辺の環境に応じて塗布速度、塗布高さ、塗布量を調整し、最適な塗布条件を設定して塗布を行う。この塗布条件の設定において、供給経の長さが一定に設定されることで最適な塗布条件の設定管理が容易になる。また、共通の支持体2の所定の位置に塗布装置15と供給装置17とを設置し、供給路171を共通の支持体2に設置することで、塗布装置15、供給装置17、供給路171の関係を維持したまま装置全体を移動させることも可能になり、工場のレイアウト変更に対しても影響を受けず、レイアウト変更後であっても塗布条件が維持されており、容易に塗布管理を行うことができる。また、貯留部170の交換、供給路171の配管の交換、塗布ヘッド150の交換、といったメンテナンスが発生した場合であっても、既に設置位置が定められているため、交換後の位置決め作業や塗布条件の設定作業が簡易になり、メンテナンス性を向上できる。
【0047】
<作業領域R2>
図1および
図12を参照して作業領域R2に配置される構成について説明する。作業領域R2の下流端には、パネルP1とパネルP2とを貼り合わせて製造された積層体Pの取出台24が設けられている。取出台24には例えば複数のピンが立設され、積層体Pは複数のピン上に載置される。
【0048】
作業領域R2には支持体3が設けられている。支持体3は、作業領域R2に配置される各装置を支持するベースであり、本実施形態の場合、枠体として構成されている。支持体3には、中継ユニット20、搬送装置CV2、移載装置21、複数の貼合装置22、および、減圧装置23が設けられている。本実施形態の場合、貼合装置22は3台設けられている。
【0049】
搬送装置CV2は、
図3に示した移載ロボットRBと同様の構成であり、レールRLはX方向に延設されている。一方、移載装置21は、
図3に示した移載ロボットRBにおいて保持ユニット5Aを除いたものである。すなわち、保持ユニット5Bのシングルアームロボットである。搬送装置CV2のレールRLと、移載装置21のレールRLとは、Y方向に離間し、平行に配置されている。3台の貼合装置22はX方向に一列に、等間隔に配置されており、かつ、搬送装置CV2のレールRLと、移載装置21のレールRLとの間の空間に配置されている。つまり、3台の貼合装置22は搬送装置CV2および移載装置21の各移動ユニット4の移動経路に沿って配置されている。搬送装置CV2は、中継ユニット20から取り出したパネルP1とパネルP2の組を、いずれか一つの貼合装置22の前まで搬送し、貼合装置22内に投入するものである。移載装置21は貼り合わせが終わった積層体Pを貼合装置22から取り出し、取出台24へと移載するものである。搬送装置CV2と移載装置21とは、その一方が3台の貼合装置22の列のY方向一方側に、他方が他方側にそれぞれ位置している。このため、搬送装置CV2による貼合位装置22へのパネルP1およびP2の投入(搬入)と、移載装置21による積層体Pの取り出し(搬出)とを、互いに干渉すること無く効率よく行うことができる。
【0050】
中継ユニット20は、パネルP1とパネルP2とを一時的に保持する。中継ユニット20は、搬送装置CV1と搬送装置CV2との間に配置されており、搬送装置CV1により処理がなされたパネルP1およびP2の組は、移載装置19により取り出され、中継ユニット20に移載される。つまり、中継ユニット20は、作業領域R1、R2の接続領域(境界)であって、作業領域R1の出口側に配置され、作業領域R2の入口に配置される。
【0051】
図13は中継ユニット20の斜視図である。中継ユニット20は、保持ユニット201および211と、回転機構202および212と、反転機構204と、これらを支持する支持部材200とを含む。
【0052】
保持ユニット201はパネルP1を保持するユニットである。保持ユニット201は断面U字型の樋状の部材であり、その両側の開放側の端部(
図13における両下端部)2011にパネルP1の吸着部を有している。吸着部は例えばエアの吸引によりパネルP1を吸着する。
【0053】
保持ユニット211はパネルP2を保持するユニットである。保持ユニット211は保持ユニット201と同様の構造であって、断面U字型の外形を有しており、その両側の開放側の端部(
図13における両上端部)2111にパネルP2の吸着部を有している。吸着部は例えばエアの吸引によりパネルP2を吸着する。パネルP2は本実施形態の場合、液晶表示パネルであり、ケーブル等の部品が付属している場合がある。保持ユニット211には、このような付属部品を支持する支持部211aが設けられている。
【0054】
回転機構202は例えばモータを駆動源とした機構であり、保持ユニット201をZ軸周りに回転させる。これによりパネルP1の水平方向の向きを自由に変えることができる。同様に、回転機構212は例えばモータを駆動源とした機構であり、保持ユニット211をZ軸周りに回転させる。これによりパネルP2の水平方向の向きを自由に変えることができる。
【0055】
反転機構204は支持部材200に支持されており、例えばモータを駆動源とした機構であり、支持部材203をY軸周りに回転させる。回転機構202はL字型の支持部材203に支持されている。これにより、反転機構204を反転させることで、支持部材203、回転機構202および保持ユニット201が反転され、保持ユニット201に保持されたパネルP1の表裏を反転することができる。支持部材203にはバランスウエイト203aが設けられており、これにより支持部材203の回転動作および姿勢が安定化する。
【0056】
反転機構204は、保持ユニット201によるパネルP1の受け取り時には、保持ユニット201の開放側の両端部2011が上を向くように支持部材203を回転させ、搬送装置CV2へのパネルP1の受け渡し時には保持ユニット201の両端部2011が下を向くように支持部材203を回転させる。
図13は保持ユニット201の両端部2011が下を向いている状態である。この動作によりパネルP1は、接着剤の塗布面が上を向いた姿勢で移載装置19から保持ユニット201に受け渡され、塗布面が下を向いた姿勢で搬送装置CV2により保持ユニット201から取り出される。
【0057】
図14は、搬送装置CV1から移載装置19を介して中継ユニット20へ移載され、中継ユニット20から搬送装置CV2へ移載されるときのパネルP1およびP2の姿勢の変化を示している。
【0058】
状態ST11は、パネルP1が搬送機構12の下流端に、パネルP2が搬送機構13の下流端に、それぞれ位置している状態を示している(停止位置SP4)。パネルP1とパネルP2とはY方向に並んだ状態にある。
【0059】
パネルP1とパネルP2とは移載装置19により移載される。状態ST12はパネルP1とパネルP2とが移載装置19により保持されている状態を示しており、両者はZ方向に並んだ状態にある。移載装置19はパネルP1およびP2を中継ユニット20に移載する。
【0060】
状態ST13はパネルP1およびP2が中継ユニット20に移載された直後の状態を示す。パネルP1は接着剤の塗布面を上向きとして保持ユニット201に保持されている。パネルP2は保持ユニット211に保持されている。状態ST14に示すように回転機構202および212の駆動および反転機構204の駆動により、パネルP1はZ軸周りに90度の水平回転とX軸周りの表裏反転とが行われ、パネルP2Z軸周りには90度の水平回転のみが行われる。これにより、パネルP1の接着剤の塗布面は下向きとなる。
【0061】
続いて搬送装置CV2が中継ユニット20からパネルP1およびP2を取り出す。状態ST15はパネルP1とパネルP2とが搬送装置CV2により保持されている状態を示しており、両者はZ方向に並んだ状態にある。パネルP1の下面は接着剤の塗布面となっているため、パネルP1を保持するハンド部52はその下面においてパネルP1の上面(接着剤を塗っていない面)を保持する。搬送装置CV2は三台の貼合装置22のうち、空きの貼合装置22(受け取り準備状態の貼合装置22)にパネルP1およびP2の組を搬送する。
【0062】
図15〜
図18を参照して貼合装置22の構成について説明する。貼合装置22は、チャンバ部を構成する、上側のチャンバ形成部材221と、下側のチャンバ形成部材222とを備える。上側のチャンバ形成部材221は底部が開放した箱型をなしており、下側のチャンバ形成部材222は天部が開放した箱型をなしている。チャンバ形成部材221の開口縁2211(
図17参照)と、チャンバ形成部材222の開口縁2221(
図16参照)の形状及びサイズは、同一とされる。よって、これらのチャンバ形成部材221、222が、向かい合わせで上下に密着されると、その内部空間はパネルP1およびP2の貼合作業を行うための気密な空間(以下、貼合作業空間という。)を形成する。上側のチャンバ形成部材221と下側のチャンバ形成部材222とが上下に分離した状態において、搬送装置CV2側における各開口縁2211、2221間の隙間は、パネルP1およびP2が投入される投入部を構成し、その移載装置21側における各開口縁2211、2221間の隙間は、貼り合わされたパネルP1およびP2(つまり積層体P)が取り出される取出部を構成する。
【0063】
主に
図17に示すように、上側のチャンバ形成部材221の内側にはパネルP1を支持する貼合支持部220aが配置されている。貼合支持部220aの下端面には吸着部が設けられており、この吸着部により、パネルP1の接着剤を塗っていない面が吸着保持される。押圧移動機構220は、支持体3の一部である枠体3cに支持されている。枠体3cはテーブル部3a上に立設された複数の支柱3bにより支持されている。押圧移動機構220は昇降軸220b(
図16参照)と、昇降軸220bをZ方向に移動する駆動機構および昇降軸220bをZ軸周りに回転する駆動機構を備える。昇降軸220bは、テーブル部3aの開口を通過して下方へ延び、上側のチャンバ形成部材221の天部を気密に貫通するように設けられている。貼合支持部220aは昇降軸220bの下端部に固定されており、昇降軸220bの昇降動作、旋回動作により貼合支持部220aが昇降、旋回される。
【0064】
テーブル部3aには電動シリンダ等の昇降機構221aが支持されている。この昇降機構221aにより上側のチャンバ形成部材221が昇降される。テーブル部3aにはまた、一対の仮置きユニット225が支持されている。仮置きユニット225はパネルP1を一時的に支持するユニットである。各仮置きユニット225は、X方向に離間した二つのスライダ225aと、スライダ225aをX方向に移動する駆動機構とを備える。一対の仮置きユニット225間で、スライダ225a間にバー225bが架設されている。搬送装置CV2から受け渡されるパネルP1は両バー225b上に一旦支持され、その後、貼合支持部220aに持ち替えられる。
【0065】
主に
図18に示すように、下側のチャンバ形成部材222の内側空間の底部にはパネルP2を支持する貼合支持部222aが配置されている。貼合支持部222aの上面には吸着部が設けられており、この吸着部にパネルP2の非貼り合わせ面が吸着保持される。
【0066】
また、下側のチャンバ形成部材222の内部の底部には、複数の載置部材233aが設けられている。複数の載置部材233aはパネルP2を一時的に支持する部材である。載置部材233aはピン状をなし、下側のチャンバ形成部材222の底部を貫通して設けられ、その下端部は昇降機構223に支持されている。昇降機構223は複数の載置部材233aをZ方向に移動させる。搬送装置CV2から移載されたパネルP2は複数の載置部材233a上に一旦支持され、その後、複数の載置部材233aを昇降機構223で下降させて、載置部材233a上の載パネルP2が貼合支持部222aに受け渡される。
【0067】
下側のチャンバ形成部材222は支柱226aを介してベースプレート226に支持されている。ベースプレート226は多軸スライダ227上に設けられており、X方向、Y方向に移動される。これにより下側のチャンバ形成部材222内のパネルP2のX方向、Y方向の位置調整が可能である。多軸スライダ227としては、例えばX−Yテーブルが挙げられる。
【0068】
図16に示すように貼合装置22は計測装置224を備える。計測装置224は、Y方向に向かい合わせて設けられる一組の撮影ユニットで構成される。また、計測装置224は、上下方向を撮影可能な不図示の撮影部が上下方向を向いて構成される。その他の構成については、上述した計測装置14と同じ構成の計測装置である。本実施形態では、パネルP1については一方の計測装置224においてその位置などの計測を行い、パネルP2については貼合支持部222aにパネルP2が支持された段階で他方の計測装置224によりその位置などの計測を行う。計測装置224は一組の撮影ユニットが一緒にX、Y方向に移動されてパネルP2を上から撮影すると共にパネルP1を下から撮影し、それぞれのパネルの位置、姿勢を計測する。そして、パネルP1およびパネルP2の計測結果に応じて多軸スライダ227によるX、Y方向のパネルP2の位置調整と、昇降軸220bによるパネルP1のZ軸周りの位置調整とを行う。これらの位置調整によりパネルP1とパネルP2との相互の位置合わせを行って、パネルP1、P2は貼り合わせ位置に位置される。
【0069】
パネルP1とパネルP2とを貼り合わせる際、貼合作業空間を減圧して真空に近づけることで、貼り合わせ面への気泡の混入が抑制され、気泡を除去できる。減圧装置23は貼合作業空間を減圧する装置である。
図19および
図20を参照して、減圧装置23は、減圧発生部231と減圧路232とを含む。減圧発生部231はバキュームポンプ等、負圧を発生させる機構を各貼合装置22毎に備える。減圧路232は、減圧発生部231と下側のチャンバ形成部材222とを接続する配管である。減圧発生部231および減圧路232はいずれも支持体3に支持されており、特に減圧路232は複数の部位で支持されている。共通の支持体3に、各貼合装置22と減圧装置23とを予め定めた支持位置で支持することで、対応する貼合装置22と減圧発生部231との位置関係が決定され、その間を接続するそれぞれの減圧路232の経路が決定されることで、それぞれの減圧路232の長さが規定され設定される。
【0070】
複数の貼合装置22によるパネルP1およびパネルP2の貼り合わせは、それぞれの貼合装置22へ貼り合わせ対象となるパネルP1およびパネルP2が一つの搬送装置CV2によって移送されることで行われる。また、貼り合わせ処理後の積層体Pは、それぞれの貼合装置22から一つの移載装置21によって取出台24へ移載される。複数の搬送先に対して一つの搬送装置CV2による搬送管理、または、複数の移載元から一つの移載装置21による搬送管理は、それぞれの貼合装置22の処理時間によって管理されることになり、減圧路232の長さが設定されることで貼り合わせ処理の時間管理が容易になり、作業領域R2における搬送管理を最適に管理しやすくなる。また、共通の支持体3の所定の位置貼合装置22と減圧発生部231とを設置し、減圧路232を共通の支持体3に設置することで、貼合装置22、減圧発生部231、減圧路232の関係を維持したまま装置全体を移動させることが可能になる。これによって、工場のレイアウト変更に伴う影響を受けることがなく、レイアウト変更後であってもそれぞれの貼合装置22の減圧条件が維持されており、搬送の管理を容易に行うことができる。また、減圧発生部231の交換、減圧路232の配管の交換、下側のチャンバ形成部材222の交換、といったメンテナンスが発生した場合であっても、既に設置位置が定められているため、交換後の位置決め作業や貼り合わせの設定作業が簡易になり、メンテナンス性を向上できる。
【0071】
図21を参照して貼合装置22によるパネルP1、P2の貼り合わせ動作について説明する。
【0072】
状態ST21は搬送装置CV2からパネルP1、P2の組が投入された段階を示す。チャンバ形成部材221、222は上下に離間しており、貼合支持部220aは上側のチャンバ形成部材221の内部上方に位置しており、パネルP1はバー225b、225b上に載置されている。複数の載置部材223aは上昇した位置にあり、パネルP2は複数の載置部材223a上に載置されている。
【0073】
次に、状態ST22に示すように貼合支持部220aが下降され、バー225b、225b上に載置されたパネルP1が貼合支持部220aにより吸着される。また、複数の載置部材223aが下降され、パネルP2は貼合支持部222a上に載置されて保持される。
【0074】
次に、状態ST23に示すようにバー225b、225bが互いに離れる方向(X方向)に移動され、上側のチャンバ形成部材221の下方の位置から側方へ退避される。また、状態ST23の段階で、計測装置224によるパネルP2の計測と、多軸スライダ227によるパネルP2の水平移動および昇降軸220bによるパネルP1の回転とにより、パネルP1、P2の貼り合わせ位置の調整が行われる。
【0075】
次に、状態ST24に示すように昇降機構221aにより上側のチャンバ形成部材221が下降され、チャンバ形成部材221の開口縁2211が、チャンバ形成部材222の開口縁2221に当接され、貼合作業空間が密閉下側のチャンバ形成部材222にされる。その後、減圧装置23の作動により貼合作業空間が減圧される。
【0076】
次に状態ST25に示すように押圧移動機構220により貼合支持部220aが下降され、パネルP1がパネルP2へ押し付けられる。これにより両者が貼り合わせられ、積層体Pが製造される。本実施形態では、パネルP1とパネルP2とが接近または離間する方向(Z方向)に貼合支持部220aを移動させる構成としたが、貼合支持部222aを移動させる構成も採用可能である。
【0077】
その後、減圧装置23の停止およびパネルP1、P2の保持の解除がなされ、貼合作業空間が大気圧に戻される。状態ST26に示すように昇降機構221aにより上側のチャンバ形成部材221が上昇されて貼合作業空間が開放される。複数の載置部材223aが上昇され、積層体Pは貼合支持部222aから上方へ持ち上げられる。積層体Pは移載装置21によって掬い上げられ、取出台24へ移載される。
【0078】
<制御系>
図22は製造システム1の制御系のブロック図である。製造システム1を構成する各装置または機構には、それぞれ、コントローラが設けられて制御される。
図22の例では搬送機構12、搬送機構13および塗布装置15の各コントローラ8A〜8Cを例示しているが、他の機構または装置も同様である。各コントローラとホストコントローラ7はLAN等の通信回線を介して通信可能に接続される。各コントローラとホストコントローラ7は、例えば、CPU等の処理部、処理部が実行するプログラムやデータを記憶する記憶部、センサやアクチュエータとの入出力インタフェース、および、通信インタフェース等を含む。
【0079】
ホストコントローラ7は製造システム1全体を制御する。ホストコントローラ7の記憶部には、作業情報7a、状況情報7bが蓄積されている。作業情報7aは、互いに貼り合わされるパネルP1、P2の組を特定する情報、作業状態の情報が含まれる。組を特定する情報には、組ごとのID、パネル毎のIDの情報が含まれる。このような情報により、製造中、あるいは、製造後におけるパネルP1、P2の組み合わせの管理、特定が容易になる。状況情報7bは貼合装置22毎の貼り合わせ状況を示す。この情報により、パネルの組を投入可能な貼合装置22を選択することができる。
【0080】
図23〜
図25は製造システム1の制御例を模式的に示している。ここでは、パネルP1、P2の搬送形態を主に説明する。
【0081】
状態ST31はパネルP1、P2の組が前工程から投入台10A、10Bに投入された段階を示している。この後、状態ST32に示すようにパネルP1、P2は移載装置11により搬送装置CV1へ移載される。パネルP1は搬送機構12(計測装置14の位置)へ、パネルP2は搬送機構13へ、それぞれ移載される(停止位置SP1)。
【0082】
状態ST33は最初に投入されたパネルP1、P2の搬送が開始された段階を示している。パネルP1は停止位置SP2へ搬送される。搬送機構13のコントローラ8Bは、コントローラ8Aによる搬送機構12の搬送制御動作に伴って、搬送機構13を駆動する。このため、パネルP2も停止位置SP2へ搬送される。また、状態ST33では、次のパネルP1、P2の組が前工程から投入台10A、10Bに投入されている。
【0083】
状態ST34では、最初に投入されたパネルP1に対して塗布装置15によって接着剤が塗布されている。次に投入された二番目のパネルP1、P2は移載装置11により搬送装置CV1へ移載される。
【0084】
状態ST35では、最初に投入されたパネルP1は停止位置SP3へ搬送されている。これに伴って最初に投入されたパネルP2も停止位置SP3へ搬送される。また、二番目に投入されたパネルP1、P2は停止位置SP2へ搬送される。状態ST36では、最初に投入されたパネルP1に紫外線が照射され、三番目に投入されたパネルP1、P2は停止位置SP1へ移載される。
【0085】
状態ST37では、最初に投入されたパネルP1は停止位置SP4へ搬送されている。これに伴って最初に投入されたパネルP2も停止位置SP4へ搬送される。停止位置SP4において、パネルP1は計測装置18により膜厚が計測される。また、二番目に投入されたパネルP1、P2は停止位置SP3へ搬送され、三番目に投入されたパネルP1、P2は停止位置SP2へ搬送される。四番目のパネルP1、P2が投入される。
【0086】
状態ST38では、最初に投入されたパネルP1、P2は移載装置19によって中継ユニット20へ移載されている。ここでパネルP1、P2の向きの変更とパネルP1の反転が行われる。四番目のパネルP1、P2が停止位置SP1へ移載される。
【0087】
状態ST39では、最初に投入されたパネルP1、P2は搬送装置CV2によって中継ユニット20から搬送されている。作業領域R1においては、パネルP1、P2が搬送方向左右に並列で搬送される水平並列搬送であったが、作業領域R2においてはパネルP1、P2が搬送方向上下に並列で搬送される垂直並列搬送とされる。並列方向を切り替えることで、接着剤の塗布と、パネル間の貼り合わせとにそれぞれ適した搬送形態をとることができる。
【0088】
また、状態ST39において破線で囲むように、いずれの場合も、互いに貼り合わされるパネルP1、P2はセットにして搬送される。水平並列搬送においては、停止位置間で多少の搬送ズレはあるものの、組み合わされるパネルP1、P2は停止位置において左右方向(Y方向)に揃って停止する。また、垂直並列搬送においてはズレなく組み合わされるパネルP1、P2が搬送される。貼り合わされるパネルの組み合わせが、制御上、管理し易いだけでなく、作業者の視覚的にも分り易いという利点がある。
【0089】
状態ST40では、最初に投入されたパネルP1、P2が搬送装置CV2により任意の貼合装置22へ投入され、貼合作業が行われる。使用する貼合装置22は状況情報7bを参照することで選択される。二番目に投入されたパネルP1、P2は移載装置19によって中継ユニット20へ移載されている。
【0090】
状態ST41では、二番目に投入されたパネルP1、P2が搬送装置CV2により別の貼合装置22へ投入され、貼合作業が行われる。使用する貼合装置22は状況情報7bを参照することで選択される。三番目、四番目に投入されたパネルP1、P2は次の停止位置へ順次搬送されており、五番目のパネルP1、P2が投入されている。
【0091】
状態ST42では、最初に投入されたパネルP1、P2の貼り合わせが完了し、その積層体Pが移載装置21により貼合装置22から搬出されている。移載装置21は積層体Pを取出台24へ移載する。取出台24上の積層体Pは不図示の装置により次工程へ搬送される。以上の手順が繰り返されることで積層体Pが製造される。
【0092】
ここで、パネルP1またはP2に異常があった場合の対応について説明する。状態ST51は、計測装置18によるパネルP1の接着剤の膜厚測定の結果がNGであった場合を想定している。この場合、作業者または不図示の装置が状態ST52に示すようにNG判定を受けたパネルP1をラインから除外する。このとき、組み合わせられるパネルP2もラインから除外する。これにより、各パネルP1と各パネルP2との組み合わせを変えることなく、積層体Pの製造を進行することができる。
【0093】
<システムのレイアウト例>
本実施形態では、接着剤の塗布を主として行う作業領域R1と、パネル同士の貼り合わせを主として行う作業領域R2とに区分けしてシステムを構成しているため、レイアウト変更に柔軟性がある。例えば、作業領域R2の負荷が高い場合(作業領域R2における処理の所要時間が長い場合)、
図26のレイアウトLO1を採用できる。
【0094】
レイアウトLO1は、一つの作業領域R1に対して、複数の作業領域R2を並設した構成である。移載装置19の移動経路を複数の作業領域R2に跨る範囲に延長するだけで、対応できる。
【0095】
作業領域R1の負荷が高い場合(作業領域R1における処理の所要時間が長い場合)、
図26のレイアウトLO2を採用できる。複数の作業領域R1を並設した構成である。移載装置19は複数の作業領域R1で共通とし、その移動経路を複数の作業領域R1に跨る範囲に延長している。
【0096】
他のレイアウトとして、
図26のレイアウトLO3も採用可能である。レイアウトL03は中継ユニット20を作業領域R1に配置したレイアウトである。