【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、本発明は、ガスの流れを分析装置に供給するためのガス導入システムを提供する。このシステムは、(i)分析装置にガスを送達するためのガス導入ラインであって、この装置にガスを導入するように分析装置に、かつガス導入ラインにガスを送達するように少なくとも1つのガス供給部に連結可能である、ガス導入ラインと、(ii)ガス導入ライン上に配置されるか、またはガス導入ラインに流体連結された、少なくとも1つのガス流量制限アセンブリであって、少なくとも2つの切り替え可能な流量制限を備える、少なくとも1つのガス流量制限アセンブリと、(iii)少なくとも1つのガス流量制限アセンブリの下流にある制御ライン接合部で、ガス導入ラインに流体連結された少なくとも1つの制御ラインであって、少なくとも1つのガス流量コントローラと、制御ラインへのガス流量を調整するための少なくとも1つの弁と、を備えた少なくとも1つの制御ラインと、(iv)制御ライン接合部と分析装置との間のガス導入ライン上に配置された少なくとも1つの導入ガス流量制限部と、を備える。
【0011】
一般に、ガス導入システムは、ガスを分析装置または分析機器に送達するのに有用であり得る。本発明は、例えば、質量分析計、特に質量分析計の衝突セル、または光学分光計内の、または質量分析計、特に質量分析計の衝突セル、または光学分光計と組み合わせて、ガス導入システム等を提供するように拡張することができる。本発明は、質量分析計の衝突セルにガスを導入するためのガス導入システムを有する質量分析計にさらに拡張することができる。あるいは、このシステムは、ガスを分光計に導入するためのガス導入システムを有する光学分光計に拡張することができる。
【0012】
また、分析装置のガス導入システム内のガス流量を調節する方法であって、この方法は、(i)少なくとも1つのガス供給部からのガスを、分析装置にガスを供給するガス導入ラインに、入口圧力(P
in)で流すステップと、(ii)ガス導入ライン内のガス流の一部がガス制御ラインを通って流れるように、ガス導入ライン内のガス流の一部を、ガス導入ライン上に配置されて制御ライン接合部のガス導入ラインと合致するガス制御ラインに分離することによってガス導入ライン内の流量を調節するステップと、ガス制御ライン内のガス流量は、ガス流量コントローラによって制御され、ガス流量コントローラの第1の設定では、ガス導入ライン内のガス流量及び/または制御ライン接合部での圧力(P
A)は、第1の一定値に達し、(iii)フローコントローラを第2の設定値に調整して、フローコントローラが第2の設定値にある間に、ガス供給部と制御ライン接合部との間のガス導入ラインに流体連結された1つ以上のバイパスガスラインに少なくとも供給するガスからのガスを流すステップと、(iv)制御ライン接合部のガス流量及び/または圧力(P
A)が第2の一定値に達するまで、バイパスガスラインを通るガス流量を維持するステップと、を含む。
【0013】
本文脈において、「一定値」という用語は、実際の値がその設定値から1%未満逸脱することを意味することを意図している。例えば、100mbarのガス圧力設定の場合、「一定値」という用語は、測定された圧力が設定値から1mbar未満で逸脱することを意味することを意図している。
【0014】
ガス導入ラインからバイパスガスラインに分離されるガス流量の部分は、例えば約0.0001%〜約99.9%、約0.001%〜約99.9%、約0.01%〜約99.9%、または約0.1%〜約99.9%など、総ガス流量の約0.00001%〜約99.99%の範囲内であり得る。分離される下方範囲は、約0.00001%、約0.0001%、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約0.5%または約1%であり得る。分離される上方範囲は、約99.999%、約99.99%、約99.9%、約99.5%、約99%、約98%、約97%、約96%または約95%であり得る。複数のバイパスガスラインとして設けられる場合、ガス導入ラインからバイパスガスラインに分離されるガス流量の部分は、約0.0001%〜約99.9%、約0.001%〜約99.9%、約0.01%〜約99.9%、または約0.1%〜約99.9%など、総ガス流量の約0.00001%〜約99.99%の範囲内であり得る。
【0015】
ガス導入ラインを通るガス流量と、バイパスガスラインを通るガス流量との比は、制限部を横切る同じ圧力差に関して、約1:20〜1:1.5の範囲、好ましくは約1:15〜約1:1.5の範囲、より好ましくは約1:10〜約1:1.5の範囲、さらにより好ましくは約1:7〜約1:2の範囲、最も好ましくは約1:5〜約1:2の範囲であり得る。
【0016】
複数のバイパスガスラインとして設けられる場合、ガス導入ラインを通るガス流量と、バイパスガスラインを通る総ガス流量との比は、制限部を横切る同じ圧力差に関して、約1:15〜約1:1.5の範囲、より好ましくは約1:10〜約1:1.5の範囲、さらにより好ましくは約1:7〜約1:2の範囲、最も好ましくは約1:5〜約1:2の範囲であり得る。
【0017】
流量制限アセンブリは、流量制限部の並列配置として提供され得、この流量制限部は、流量制限部の上流にある、第1の制限接合部と、制御ライン接合部の上流のガス導入ライン上の流量制限部から下流にある、第2の制限接合部とで、ガス導入ラインと合流する別個の流量制限ガスライン上に配置されている。「上流」は、分析装置に向かって流れるガスの方向という文脈において言及される。
【0018】
第2の制限接合部は、ガス制御ライン上に配置されたガス流量コントローラの上流にある、ガス制御ライン上に(すなわち、制御ライン接合部により近くに)設けられてもよい。このような構成では、好ましくは、第2の制限接合部と制御ライン接合部との間の制御ライン上には流量制限部がないので、制御ライン接合部(P
A)の圧力及び第2の制限接合部(P
R2)の圧力は、任意の所与の時間において実質的に同様である。
【0019】
ガス導入ラインを流れるガス用の複数の経路を有することにより、より高い制限からより低い制限に切り替えることによって、ガス導入ラインの圧力/ガス流量を迅速に変更することができる。この目的のために、流量制限ガスラインの下流連結部(第2の制限接合部)は、ガス制御ライン上のガス流量コントローラの上流にあるべきであるが、(i)ガス制御ライン上のそのようなガス流量コントローラの上流、(ii)制御ライン接合部、または(iii)ガス導入ライン上の制御ライン接合部の上流であるが、ガス供給部とガス制御ライン接合部との間のガス導入ライン上に配置された流量制限の下流のいずれかに適切に配置され得る。
【0020】
流量制限アセンブリはまた、あるいは別法として、2つ以上の流量制限部の並列配置として設けられ得、流量制限部の1つがガス導入ライン上に配置され、流量制限部の第2の制限部が、ガス導入ラインに並列に配置されて、流量制限部の上流にある、第1の制限接合部及び制御ライン接合部の上流の流量制限部にある、第2の制限接合部で、ガス導入ラインと合流するバイパスガスライン上に設けられる。
【0021】
追加の流量制限部を含む配列として、流量制限アセンブリを設けることも可能である。したがって、このシステムは、少なくとも1つのさらなる流量制限部を含むことができ、このようなさらなる流量制限部の各々は、流量制限アセンブリ内の第1の流量制限部及び第2の流量制限部と並列に配置された別個のさらなるガスライン上に配置される。
【0022】
流量制限アセンブリは、各々が1つ以上の流量制限部を含み、ガス流量制限部の上流にある、第1の制限接合部及びガス流量制限部の下流にある、第2の制限接合部で合流する複数の並列ガスラインを含むことができる。
【0023】
ガスライン及び/または流量制限部を通るガス流量は、一般に、ガスラインまたは流量制限部の圧力差によって決定される。例えば、ガス導入ライン及び/またはガス流量制限アセンブリ上の第1の流量制限部を通るガス流量は、入口圧力、例えば、ガス導入ライン(P
in)に搬送されるガス供給部からの圧力と、制御ライン接合部(P
A)における圧力との間の圧力差によって決定される。したがって、複数の切り替え可能な流量制限部をガス導入ライン上に配置することにより、ガス流量制御が改善される。したがって、複数のこのような流量制限部を配置することが適切であり得る。このような複数の制限部を、制限部の並列配置として、ガス導入ライン上に配置することが特に好ましい。複数の制限部は、切り換え可能であり、すなわちガスは、適切な1つまたは複数の制限部を介して、選択的に導かれ得る。
【0024】
ガス導入ライン及び/または制限ガスライン上に1つまたは複数の弁を配置して、ガス導入ライン及び並列制限部を通るガスの流れを選択的に導くことができる。例えば、システムに、複数の並列流量制限部を設けることができる。このようにして提供された流量制限部は、第1の制限接合部でガス導入ラインに、第2の下流制限接合部でガス導入ラインに流体連結することができる。あるいは、流量制限ラインは、制御ライン上のガス流量コントローラの下流にある制御ラインに連結することができる。制限ガスラインは、複数のガスラインとして設けられる場合、好ましくは、ガス導入ライン及び/またはガス制御ラインとのそれらの接合部の上流の制限部から下流に併合することができる。
【0025】
弁は、各流量制限部を通るガス流量を選択的に方向付け及び/または制御できるように、流量制限部の上流または下流のいずれかに適切に配置することができる。弁は、制限ガスライン上の各々上に弁として配置することができる。あるいは、1つまたは複数の制限部を通るガス流量を選択的に方向付けるために、複数の流量制限部の上流に配置された少なくとも1つの切替弁を設けることができる。したがって、適切に配置された弁の位置を調整することによって、流量制限部を通るガス流量を選択的に制御することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、制限アセンブリは、2つの流量制限部を通るガス流量の比が、制限部を横切る同じ圧力差に関して、約1:20〜1:1.5の範囲内、好ましくは約1:15〜約1:1.5の範囲内、より好ましくは約1:10〜約1:1.5の範囲内、さらにより好ましくは約1:7〜約1:2の範囲内、最も好ましくは約1:5〜約1:2の範囲内になるように構成された2つの並列な流量制限を含むことができる。
【0027】
制限アセンブリはまた、流量制限部のうちの任意の2つを通るガス流量の比が、制限部を横切る同じ圧力差に関して、約1:20〜1:1.5の範囲内、好ましくは約1:15〜約1:1.5の範囲内、より好ましくは約1:10〜約1:1.5の範囲内、さらにより好ましくは約1:7〜約1:1.5の範囲内、最も好ましくは約1:5〜約1:2の範囲内になるように適合された複数の並列流量制限部として設けられ得る。
【0028】
本明細書に記載の流量制限部は、ガスラインにおける流量を制限するための当該技術分野において既知である任意の適切な制限から選択することができる。幾つかの実施形態では、流量制限部は固定流量制限部であってもよい。例えば、流量制限部としては、内径が適切に小さいキャピラリーを用いることができる。
【0029】
一般に、ガス導入ライン及びガス制御ラインは、ガスを輸送するための任意のチャネル、チューブ、導管、キャピラリーなどとすることができる。さらに、これらのガスラインのいずれかまたは両方に、接合部、弁、流量制限部、流量制御部、ゲージなどのような追加の構成要素を配置することができることは当業者には明らかであろう。これらの構成要素は、ガス導入ライン及び/またはガス制御ラインと流体連結していてもよい。本明細書では連結されていると記載されているガスラインは直接連結することができ、または当業者に既知である適切な手段を介して流体連結することができる。
【0030】
ガス制御ライン上のガス流量コントローラは、好ましくは、ガス制御ライン内のガス流量を制御する弁の下流に設けられ得る。ガス流量コントローラは、大気に開放されていてもよく、好ましくは、大気圧における、または大気圧に近い別のガスラインもしくはガス供給部に連結されていてもよい。
【0031】
ガス制御ライン上のガス流量コントローラは、任意の適切なガス流量コントローラであってもよい。幾つかの実施形態では、コントローラは、背圧レギュレータ、マスフローコントローラまたは体積流量コントローラである。好ましい実施形態では、コントローラは背圧調整器である。
【0032】
このシステムの幾つかの実施形態では、少なくとも1つの真空ポンプがガス流量コントローラの下流にあるガス制御ラインに流体連結されている。この真空ポンプは、単一のポンプとして設けられ得る。この真空ポンプはまた、順次配置された複数の真空ポンプとして設けられ得る。真空ポンプの排気は、大気に開放することができる。真空ポンプは、質量分析計の真空ポンプシステムの一部であってもよい。分析装置は、好ましくは真空下であり、例えば、同一の真空ポンプまたは真空ポンプの配列を使用して行われる。
【0033】
本発明によるガス導入システムはまた、複数のガス制御ラインを含むシステムとして設けられ得る。複数のガス制御ラインとして設けられる場合、ガス制御ラインは、単一のガス流量コントローラに連結されることが好ましい。結果として、単一のガス流量コントローラを使用して、衝突ガスなどの複数のガスタイプの流れを調整することができる。別個のマスフローコントローラは、各ガス導入ラインに必要とされないので、費用を節約する。さらに、ガス流量コントローラを、分析装置に搬送するガスライン上に直接位置付けしないことが有用である。これは、マスフローコントローラなどのガス流量コントローラが、通常はあまりよく置換されず、さらにガス交換後に置換するのに長い時間がかかる、かなり大きなデッドボリュームを有しているからである。本発明によるガス導入システムは、直列ではなくむしろ別個のライン上の単一のフローコントローラを使用して、ガス導入ラインの背圧を制御するシステムを提供し、結果として、従来の直列での解決策と比較して、ガスを切り替えた後にシステムが平衡に達するのに必要な時間が最小限に抑えられる。
【0034】
1つの配列では、本発明によるガス導入システムは、質量分析計の衝突セルのような低圧で動作する装置と組み合わせて提供される。したがって、ガス導入ラインは、質量分析計の衝突セルに流体連結され得る。
【0035】
ガス導入ライン及びガス制御ライン上の弁がどちらも開いている場合、ガスは、ガス導入ライン及びガス制御ラインを通って流れることができる。ガス供給部(P
in)からの入口側圧力は、外部の減圧弁によって、例えばガスフラスコで定義され得る。制御ライン上のガス流量コントローラは、ライン内のガスの流量を調整する。ガス流量コントローラは、背圧調整器であり得る。このような構成では、ガス制御接合部(P
A)の圧力は、背圧調整器によって決定される。ガス導入ラインを通ってガス制御接合部に向かうガスの流量は、ガス供給部(P
in)からの圧力と、ガス導入ライン上に配置されたガス制御接合部(P
A)及び制限部での圧力との差によって決定される。システムは、例えば、ガス導入ライン上に比較的大きな制限部が存在して、増加した圧力に変化がある場合には、背圧調整器の設定変更に、より緩やかに応答する。背圧調整器による圧力設定の変更に続いて、システム(すなわち、圧力P
A)は、ゆっくりと応答する。ガス導入ライン上のより小さな制限部への切り替え、例えば、より小さな制限部(例えば、より大きい内径キャピラリ)を有する制限ラインにガス流量を切り替えることによって、制御ライン接合部Aに向かってガス流量が増加することになる。その結果、システムは、より速く平衡に達する(すなわち、圧力P
Aは、ガスが下部制限部を通って流れるときにより速く安定する)。背圧調整器による新しい設定に基づいてシステムが平衡に達すると、システム内のガス消費量を最小にするために、ガス流量をより大きな制限(ガス流量の減少)に切り替えることができる。
【0036】
一般に、ガス制御ライン接合部Aの圧力は、分析器の圧力(通常は非常に低く、特に、分析器が質量分析計の場合には非常に低い)から、ガス供給部(P
in)の圧力と同程度に高い範囲に調節することができる。背圧調整器及びガス導入ライン上の並列制限部を使用して、圧力を調節することにより、分析器へのガス流量(これはA(P
A)及び分析器の圧力差によって決定される(非常に低い))を信頼性の高い効率的な方法で調整することができる。
【0037】
制御ライン上のガス流量コントローラ、例えば背圧調整器が大気に開放されている配列では、ガス制御ライン接合部の最低圧力は、約1bar(周囲圧力)である。しかしながら、システム内の流量範囲においてより大きいダイナミックレンジを達成するためには、例えば、弁定格に起因して、より低い圧力でシステムを作動させること、及びより高い流量範囲を達成するためにも有利であり得る。
【0038】
したがって、システムの幾つかの実施形態では、少なくとも1つの真空ポンプが、ガス流量コントローラの下流にあるガス制御ラインに流体連結される。真空ポンプは、単一のポンプとして設けられ得る。真空ポンプはまた、順次配置された複数の真空ポンプとしても設けられ得る。真空ポンプの排気は、大気に開放することができる。真空ポンプはまた、質量分析計の真空ポンプシステムの一部でもあり得る。分析装置は、例えば、同一の真空ポンプを使用する、好ましくは真空下である。
【0039】
制御ライン接合部の調節可能な圧力と組み合わされた、このシステムにおける流量制限部は、制御ライン接合部の下流にある、任意の望ましいガス流量を、分析装置に提供するように、選択することができる。したがって、分析装置へのガス流量は、一般に、約0.1〜約100mL/分、または約0.2〜約50mL/分、または約0.3〜約30mL/分の範囲であり得る。さらに、ガス導入ラインへのガス圧力及びガス制御ライン接合部におけるガス圧力に依存して、存在する場合には、ガス導入ライン(好ましくは、制御ライン接合部の上流及び下流にそれぞれ配置される)上の第1の流量制限部及び第2の流量制限部を通るガス流量の比(例えば、制御ライン接合部と分析装置との間の導入ガス流量制限部)は、任意の所望の値をとることができる。この文脈では、第1の流量制限部は、(2つ以上の制限部がガス流量に対して開いているとき)、流量制限アセンブリの流量制限部のいずれか、またはそれらの組合せであってもよい。幾つかの実施形態では、第1の流量制限部及び第2の流量制限部を通るガス流量の、ガス入口での固定ガス圧力での比は、フローコントローラによって設定される背圧に依存して、約1:1〜約1000:1、約1:1〜約500:1、約1:1〜約100:1、約1:1〜約50:1または約1:1〜約20:1の範囲内であり得る。幾つかの実施形態では、第1の流量制限部及び第2の流量制限部を通るガス流量の比は、1:1〜1000:1の範囲、1:1〜500:1の範囲、1:1〜100の範囲、1:1〜50:1の範囲、または1:1〜20:1の範囲であり得る。幾つかの実施形態では、制限部は、第1の流量制限部及び第2の流量制限部を通るガス流量の比が、両方の制限部を横切る同じ圧力差に対して、1:10〜10:1の範囲、1:8〜8:1の範囲、1:5〜5:1の範囲、または1:3〜3:1の範囲内にあるように構成される。
【0040】
また、システムが異なるガスと共に使用される場合、各ガスは異なるガス導入ラインに連結され得ることにも留意されたい。異なるラインに異なる制限部を取り付けることができるので、ガス供給圧力が一定に維持される場合でも、異なるガスについて異なる流量を達成することができる。このような各ガス導入ラインは、存在する場合、制御ライン接合部Aにおけるガス流量の急激な変化を可能にするために、本明細書に記載されているような切り替え可能な流量制限部を備えることができる。
【0041】
ガス制御ライン上のフローコントローラは、ガス導入ライン、特に制御ライン接合部の圧力を設定する。ガス制御ライン接合部の下流にある、ガス導入ライン上に存在し得る第2の流量制限部を通るガス流量は、この圧力(P
A)と分析装置内の圧力との間の差に比例する。分析装置内の圧力は、200mbar未満、100mbar未満、50mbar未満、40mbar未満、30mbar未満、20mbar未満、10mbar未満、5mbar未満、1mbar未満、0.05mbar未満、0.01mbar未満、0.005mbar未満または0.001mbar未満であり得る。第1のタイプの装置のための分析装置内の圧力は、約5〜200mbar、約10〜100mbar、約1〜0.001mbar、約0.1〜0.001mbarまたは約0.01〜0.001mbarの範囲内であり得る。第2のタイプの分析装置については、装置内の圧力は、約0.1〜約10
-4mbar、約0.01〜約10
-4mbar、または約0.001〜約10
-4mbarであり得る。このように、システム内の流量制限部の任意の所与の構成に対して、ガス流量コントローラを使用して、ガス制御ラインの背圧を設定し、それによって分析装置への流量を設定することができる。
【0042】
ガス流量コントローラの設定を調節することによって、ガス制御ライン内の第2の背圧を第1の背圧とは異なるように設定することができ、分析装置への第2の流量をもたらす。ガス制御ライン接合部の上流にある、ガス導入ラインの代替及び/または追加の制限部を通るガス流量を可能にすることにより、システムは、制御ライン接合部での圧力が増加した場合、急速な平衡(制御ライン接合部での一定の圧力及び/またはガス流量)を達成することができる。システムが平衡に達した場合(すなわち、制御ライン接合部の圧力が新しいより高い値で安定した場合)、システムのガス流量を最小にするより高い制限に切り替えるスイッチ(制御ラインを通って排出されるガスの量を最小限に抑えることによって)を作ることができる。ガス流量コントローラの設定を変更することによって、分析装置への異なる流量を達成するように、背圧のさらなる調整を行うことができる。このようなさらなる調節の各々について、ガス導入ライン上の切り替え可能な流量制限部を使用して、ガス流量コントローラ設定の各変化に続いて、急速な平衡に達することができる。
【0043】
ガス流量コントローラの設定間の変更は、制御ライン接合部で第1のガス流量を達成するために、第1の期間の間、第1のバイパスガスラインを通るガス流を迂回させることと、制御ライン接合部で第2のガス流量を達成するために、第2の期間の間、第1のバイパスガスラインと並列に配置された第2のバイパスガスラインを通るガス流を迂回させることと、を含み、第1のバイパスガスライン及び第2のバイパスガスラインは、2つのバイパスガスラインを通る流量がバイパスラインを横切る所与の固定されたガス圧力差に対して異なるように、異なる流量制限部を含む。その結果、第1のバイパスガスラインを通るガス流量を選択的に許容することによって、制御ライン接合部のガス流量を第1の流量から第2の流量に調節することができ、第2のバイパスガスラインを通るガス流量を選択的に許容することによって、制御ライン接合部のガス流量を第3の流量に調節することができる。同様の方法で、2つ以上の並列なバイパスガスラインを介して、ガス流を迂回させて、ガス流量をさらなるガス流量設定に調節することができる。
【0044】
ガス制御ラインの背圧は、一般に、P
inよりも小さい値の、ガス導入ラインへの圧力(ガス供給部における圧力)とすることができる。この文脈では、「bar(g)」は、大気圧を超える圧力である「bar(gauge)」を示し、「bar(a)」は、絶対圧力である「bar(absolute)」を示す。幾つかの実施形態では、背圧は、5bar(g)未満、1.5bar(g)未満、1bar(a)未満、500mbar(a)未満、200mbar(a)未満または100mbar(a)未満である。ガス制御ラインの背圧は、1mbar(a)超、または10mbar(a)超、または50mbar(a)超、または100mbar(a)超であり得る。ガス制御ラインにおける好ましい範囲の背圧は、1.5bar(a)〜100mbar(a)、または1.5bar(a)〜50mbar(a)、または1.5bar(a)〜10mbar(a)、または1bar(a)〜100mbar(a)、または1bar(a)〜50mbar(a)、または1bar(a)〜10mbar(a)であり得る。このようにして、最大10倍、最大50倍、最大100倍、最大150倍、最大200倍、最大250倍などの広い流量の範囲を達成することができる。
【0045】
ガス制御ライン内のガス流量を制御する弁は、ガス制御ライン上の弁として、またはガス制御ラインと流体連通するように、適切に設けることができる。ガス導入システム内に複数のガス制御ラインを設けることができ、複数のライン内のガス流量を制御するための少なくとも1つの弁を設けることも可能である。複数のガス制御ラインは各々、それぞれのガス導入ラインに連結することができる。そのようなガス導入ラインの各々は、本明細書に記載されるような切り替え可能な流量制限部を備えることができる。複数のガス制御ラインはまた、1つ以上のガス制御ライン接合部で合併することもできる。制御ラインは、1つの接合部ですべて合併することができる、または複数の接合部で合併することができる。制御ラインは、1つ以上のガス制御ライン接合部を介して、ガス制御ライン上のガス流量コントローラの上流にある、単一のガス制御ラインに合併することが好ましい。このようにして、単一のガス流量コントローラを使用して、ガス制御ライン内のガス流量を調整することができる。複数のガス制御ライン内のガス流量を選択的に制御するために、ガス制御ライン上に1つ以上の弁を設けることができる。この弁は、個々のライン上及び/または1つ以上のガス制御ライン接合部に設けることができる。
【0046】
したがって、さらなる実施形態では、本発明によるガス導入システムを設けることができ、このシステムは、
− 各々が分析装置に流体連結された、複数のガス導入ラインと、
− ガス導入ライン上に配置された、またはガス導入ラインに流体連結され、少なくとも2つの切り替え可能な流量制限部を備えた、少なくとも1つのガス流量制限アセンブリと、
− それぞれのガス導入ラインに流体連結された複数のガス制御ラインと、を備え、
− ガス制御ラインは、前記ガス流量コントローラの下流にある、1つ以上のガス制御ライン接合部で合併する。
【0047】
一実施形態では、複数のガス導入ラインの各々に配置される、またはそれらに連結されるガスフロー制限アセンブリが存在し得る。このように配置されたガス流量制限アセンブリは、上述したように、2つ以上の並列流量制限を含むことができる。
【0048】
ガス導入システムは、制御ライン接合部と分析装置との間のガス導入ライン上に配置された少なくとも1つの導入ガス流量制限部(「第2のガス流量制限部」)をさらに含むことができる。
【0049】
本発明によるガス導入システムが複数のガス導入ラインを含むシステムとして設けられる場合、各ガス導入ラインのガス流量は、ガス導入ラインの各々のガス流量の一部を分離することによって、制御することができる。ガス入口ラインの各々におけるガスの流れは、少なくとも1つのガス供給部によって提供することができる。複数のガス供給部が使用される場合、複数のガス導入ラインは、分析装置内のガス組成に関して均等に達するのに必要な最小の切り替え時間で、分析装置内に流入するガス間で切り替えることができる。
【0050】
複数のガス制御ラインとして設けられる場合、ガス制御ラインは、単一のガス流量コントローラに連結されることが好ましい。そのような設定の1つの利点は、単一のガス流量コントローラを使用して、衝突ガスなどの複数のガスタイプの流量を調整できることである。別個のマスフローコントローラは、従来技術と比較して、各ガス導入ラインに対して必要とされないので、コストを削減する。さらに、ガス流量コントローラを、分析装置に搬送するガスライン上に直接位置付けしないことが有利である。これは、マスフローコントローラなどのガス流量コントローラが、非常に大きなデッドボリュームを有し、ガス交換後に置換するのに長い時間を要するためである。
【0051】
ガス導入ライン上の切り替え可能な流量制限部と組み合わせることにより、直列ではなくむしろ別個のライン上の単一のフローコントローラを使用して、ガス導入ラインの背圧を制御する解決策が提供され、切り替え可能な流量制限部の使用により、ガス交換後及び/または圧力設定変更後に、システムが平衡に達するのに必要な時間は、従来の直列での解決策と比較して、最小限に抑えられる。
【0052】
また、少なくとも1つの流量制限部を、ガス制御ライン上に、または複数のガス制御ラインとして設けられた場合には、したがって設けられた制御ラインの内の1つ以上の上に設けることもできる。このような流量制限部によって、ガス制御ライン内のガス流量をさらに制御して、例えば、ガス制御ラインの逆拡散の危険を防止または最小限に抑えることができる。
【0053】
システムが実際に適切なガス流量でガスを送達することを確実にするためには、ガス導入システム内のガス流量の正確な較正が重要である。ガス導入システムは、それらの物理的特性に重大な影響を及ぼし得る外部条件、特に温度の変化に敏感であり得る。例えば、ガスラインを通る質量流量は、温度がガス密度及びガス粘度に及ぼす影響により温度に依存する。結果として、温度変動は、実際のガス流量に重大な影響を及ぼす可能性がある。例えば、システム内のガス流量を調整するために使用されるガス流量コントローラ(またはコントローラ)の下流にある、流量制限部を包含するガス導入システムでは、温度変動の重要な影響があり、その結果、システムが連結されている分析装置へのガスの実際の流量は、ガス流量コントローラでのガス流量とは異なる場合がある。
【0054】
ガス導入システム内のガス流量の正確な較正は、問題となり得る。これは、部分的には、一般に使用されるキャピラリーの機械的公差のために、制御圧力に対する質量流量の依存性の正確な較正が不可能であるという事実による。さらに、高精度な較正を達成するためには、温度を含むシステムの様々な特性を高精度で知る必要がある。
【0055】
一般に、ガス密度は、以下のように任意の所与の温度で圧力の一次関数である。
【数1】
【0056】
結果として、密度は圧力によって直線的に変化する。質量流量は、次式により決定することができる。ここでa
1とa
0は密度と圧力の線形関係を表す係数である。
【数2】
【数3】
【0057】
さらに、衝突セルへの質量流量は、ガス密度及び粘度に対する温度の影響により、温度に依存する。その結果、制御ライン接合部の下流にある、ガス導入ラインの少なくとも一部を、一定温度に維持することが望ましい。
【0058】
したがって、一方では、ガス導入システム(または少なくともその一部)を一定温度に保ち、他方では、ライン上の任意のガス流量コントローラの下流にあるガス流量及び/または流量に影響を及ぼし、例えば温度変動に敏感であるシステム内の他の物理的構成要素を決定することが望ましい。
【0059】
本発明はこれを達成するための手段を提供する。したがって、本発明のさらなる態様では、分析装置のガス導入システム内のガス流量を較正するためのシステムが設けられ、このシステムは、(i)分析装置にガスを供給するためのガス導入ラインと、(ii)第1の較正接合部を介して、ガス導入ラインに流体連結されたガスフロー較正ラインであって、少なくとも1つのガス流量計を含むガスフロー較正ラインと、(iii)ガス導入ラインを介して分析装置に、または第1の較正接合部を介してガス流量較正ラインに、ガス流を選択的に導くための少なくとも1つの弁と、を備える。これにより、システム内のガス流は、少なくとも1つの弁の第1のガス流設定において、ガス導入ラインを介して、分析装置に導かれ、ガスフロー較正ラインをバイパスし、少なくとも1つの弁は、ガスフロー較正ラインを介して、分析装置に導かれる。結果として、第2のガス流設定におけるガスフロー較正ラインで測定されるガス流量は、較正接合部に向かうガス導入ラインに一定のガス流量が与えられた場合、第1のガス流設定における分析装置へのガス流量の測定値である。
【0060】
関連するさらなる態様では、分析装置のガス導入システムでのガス流量を較正する方法が提供され、このガス導入システムは、少なくとも1つのガス供給部からのガスを分析装置に提供するための少なくとも1つのガス流量コントローラと、少なくとも1つのガス流量コントローラの下流にある、較正ライン接合部でガス導入ラインに流体連結された少なくとも1つのガス較正ラインと、を備え、この較正ラインは、少なくとも1つの較正ガス流量計を備える。
【0061】
この方法は、(a)少なくとも1つのガス流量コントローラによって分析装置にガス流量を設定するステップと、(b)第1の期間に、較正ガス流量コントローラによって決定された第1の流量でガス較正ラインを通ってガスを流し、同時に、ガスが較正ライン接合部の下流にある、ガス導入ラインを通って流れるのを防止するステップと、(c)第1の期間のうちの少なくとも一部の間、ガス流量計によって、ガス較正ライン内のガス流量を決定するステップと、(d)第1の期間に続いて第2の期間に、ガス導入ラインを通してガスを分析装置に流し、同時に、ガス較正ラインを通るガス流量を防止するステップと、を備え、第1の期間及び第2の期間中、ガス流量コントローラのガス流量設定は、一定値に維持され、ガス較正ライン及び較正ライン接合部と分析装置との間に位置するガス導入ラインの少なくとも一部は、一定の温度に維持される。その結果、第1の期間中にガス較正ラインで決定されるガス流量は、第2の期間中のガス導入ライン及び分析装置へのガス流量の測定値である。
【0062】
較正システムは、一般に、システムによって較正されたガス流量、すなわち、較正ラインを通過しない流量が、分析装置への通常のガス流の流量制御パラメータの設定に依存しないように、ガス導入システム内の流量制御手段の下流に取り付けられるべきである。
【0063】
幾つかの実施形態では、較正は、一端が、ガス導入ライン上において、ガス流量コントローラなどのガス流量制御手段の下流でガス導入ラインに連結される。較正ラインは、他端が、ガス導入ラインと分析装置との接合部に近接し得る下流位置で、ガス導入ラインに連結され得る。このような実施形態の1つでは、較正ラインは、システム内のガス制御手段の下流にある、第1の位置と、ガス導入ラインの接合部及び質量分析計の衝突セルのすぐ上流にある、第2の下流位置で、ガス導入ラインに連結される。
【0064】
したがって、一実施形態では、ガス流量較正ラインは、第2の較正接合部でガス導入ラインにさらに連結され、システム内のガス流は、第2の設定において、ガス流量較正ラインを通って、第1の較正接合部から、第2の較正接合部へ導かれ、第2の較正接合部及び分析装置を連結するガス導入ラインの一部を介して、分析装置に導かれる。
【0065】
あるいは、較正ガスラインは、ガス導入ラインと分析装置との接続部とは別の接続部を介して、分析装置に連結されてもよい。言い換えれば、較正ガスラインは、ガス導入システムのガスコントローラの下流にある、その端部の一方で、及びガス導入ライン及び分析装置の接続部から物理的に分離された接続部を通る分析装置の下流端部で、ガス導入ラインに連結され得る。
【0066】
したがって、幾つかの実施形態では、ガス流量較正ラインは、ガス導入接合部から流体的に分離された較正導入接合部を介して、分析装置にさらに連結され、システム内のガス流は、第2の設定において、ガス流較正ラインを通って、第1の較正接合部から、較正導入接合部まで、及び分析装置内へと流れる。
【0067】
一般に、較正ガス流量システムは、ガス流量、特に本明細書に記載のガス流量システムを較正できることが望ましい任意のガス流量システムと組み合わせることができることを理解されたい。
【0068】
システム内のガス流が、システムの較正中にガス流から逸脱しないことを確実にするために、較正ライン及びガス導入ラインの少なくとも一部を一定温度に保つことが好ましい。一般に、温度の変化に敏感であり、システム内のガス流量コントローラの下流に一定温度で設置されたガス導入システムの較正ラインと任意の構成要素を維持することが有用である。
【0069】
したがって、第1の較正接合部の下流にあるガス導入ラインの少なくとも一部を、一定温度に維持することが好ましい場合がある。幾つかの実施形態では、一定温度でガス導入ライン上のガス流量制御手段から分析機器まで伸びるガス導入システムの部分を維持することが好ましい場合がある。本明細書で説明されるように、ガス導入ラインのガス流量が、ガス制御ライン上に位置付けされたガス流量コントローラによって制御される場合、ガス制御ライン接合部と分析装置との間に一定温度で位置するガス導入ラインの部分を維持することが有用な場合がある。
【0070】
好ましくは、温度は、その設定値の10%未満(℃で)、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは4%未満、その設定値の3%未満または2%未満まで一定である。あるいは、温度は、+/−5℃未満、より好ましくは+/−4℃未満、さらにより好ましくは+/−3℃未満、+/−2℃未満、+/−1℃、または+/−0.5℃未満まで一定であり得る。
【0071】
したがって、システムは、システムを囲むように適合されたハウジングをさらに備えることができ、ハウジングと、一定温度でハウジング内の構成要素を維持するための手段をさらに備えることができる。一般に、ハウジングは、較正ラインと、ガス流の温度変化の影響を受けやすく、システム内のガス流量コントローラの下流に設置されたガス導入システムの構成要素を囲むことができる。ハウジングは、少なくともガス流較正ラインと、第1の較正接合部から分析装置に延びるガス導入ラインの部分とを囲むことができる。あるいは、ハウジングは、ガス制御ライン接合部と分析装置との間に位置する、ガス導入ラインの部分を囲むことができる。
【0072】
ガス流量を較正するためのシステムは、一般に、本明細書に一般的に記載されているようなガス導入システムの構成要素であり、較正システムは、通常、導入ガス流量制限部と分析装置との間に配置することができる。一実施形態では、較正システムは、導入ガス流量制限部の下流にある、ガス導入ラインに、上流端で連結され、分析装置の上流にある、ガス導入ラインに下流端で連結されるように配置される。あるいは、ガス流量較正システムは、その下流端において、ガス導入ラインをバイパスして、分析機器に直接連結することができる。
【0073】
本発明によるガス導入システムは、少なくとも1つのガス供給部と組み合わせて提供され得ることを理解されたい。好ましくは、システム内のガス供給部からガス導入ラインへのガス流量を制御するための少なくとも1つの弁も設けられる。このシステムはまた、複数のガス供給部と共に使用するように構成することもできる。そのような配列では、各ガス供給部は、それぞれのガス導入ラインに連結することができる。さらに、存在する場合、複数のガス導入ラインに、上述のようなガス流量較正ラインを設けることができる。
【0074】
本明細書に記載のガス導入システムは、少なくとも1つの弁の弁位置を制御するための少なくとも1つのコントローラを含むように構成することができる。コントローラは、少なくとも1つのシステムパラメータ、例えば、システム内のガスの存在及び/または不在、濃度、ガス流量及び/または圧力(システム内の1つ以上の地点)を反映するパラメータについての入力を受け取り、かつパラメータ情報に基づいて、少なくとも1つの弁に信号を提供することができるように、好ましくは適合され得る。システムパラメータはまた、ガス導入システムが連結されている衝突セル内のガス組成及び/または濃度及び/または圧力に関するデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのガスの濃度または圧力または流量に関する入力を受信するように適合され、コントローラは、入力パラメータに基づいて、システム内の弁のうちの少なくとも1つの位置を調節することができる。幾つかの構成では、コントローラは、少なくとも1つの切替弁などの少なくとも1つの弁の位置を調節するように適合される。したがって、弁はまた、コントローラからの信号に応じてそれらの位置を変更するために、コントローラからの入力を受信することができるように適合される。コントローラはまた、システムの1つまたは複数の段階の間に経過した時間、例えば、システム内の衝突ガスのタイプが変更されてから過ぎた時間に関する入力を受信するように適合され得る。したがって、コントローラは、サンプルガス濃度、サンプルガスの存在またはサンプルガス不在、または時間パラメータに基づいて、1つまたは複数の弁の位置を調整するように適合され得る。コントローラによって制御される1つまたは複数の弁は、本明細書に記載される任意のガスライン(例えば、ガス導入ライン、ガス制御ラインなどの弁)上のいずれか1つまたは複数の弁を備えることができる。コントローラはまた、マスフローコントローラまたは背圧調整器等の、システム内の少なくとも1つのフローコントローラの位置を調整するように構成され得る。
【0075】
本発明の特定の実施形態では、システムの1つ以上の接合部がT字接合部として設けられる。この文脈において、T字接合部は、3つの流路、すなわち3つのアームを包含する接合部の任意の接合部を意味する。T字接合部は、T字型、Y字型、または3つの直交チャネルの接合部として設けられ得る。接合部は、3つのチャネルがすべて同じ平面内に位置する2次元接合部としてさらに設けられ得る、あるいは接合部は、3つのチャネルがすべて同じ平面内に位置しない(すなわち、三次元の「三脚」として)設けられ得る。
【0076】
本発明によるシステムの構成要素、例えばガス導入ライン、流量制限アセンブリ、較正ライン及びガス制御ライン、また本明細書に記載されている接合部を含む構成要素は、機械加工されたブロック、すなわち1つの機械的部品内に設けられ得る。これは、システムの製造またはシステムの一部分を、金属ブロックなどの大量の材料から機械加工することによって行うことができることを意味する。さらに、機械加工されたブロック内に製造されているか否かにかかわらず、T字接合部を使用することにより、接合部の開口部を通る流量が完全な機械的制御下にあることが確実にされる。T字接合部の設計は、拡散経路が十分に分離されていることを確実にし、その流量特性が十分に決定され、予測可能であるため、システムのセットアップ及び較正を容易にする。
【0077】
さらに、本発明は、例えば、分析システムにおいてガスを輸送するためのガス流を提供するキャリアガス導入システムを含む、当技術分野で既知のガス導入システムと組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0078】
上記の特徴及び本発明のさらなる詳細は、本発明をさらに説明することを意図しているが、決してその範囲を限定するものではない、以下の実施例においてさらに説明される。
【0079】
当業者であれば、以下に説明する図面は説明のためのものに過ぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲を決して限定するものではない。