特許第6619795号(P6619795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6619795ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619795
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20191202BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   G01N35/04 H
   G01N35/04 G
   B65G54/02
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-503090(P2017-503090)
(86)(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公表番号】特表2017-522564(P2017-522564A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015066915
(87)【国際公開番号】WO2016012555
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】14178441.3
(32)【優先日】2014年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】ペダイン,クリストフ
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−525232(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/067974(WO,A1)
【文献】 特開平02−087903(JP,A)
【文献】 特表2015−503089(JP,A)
【文献】 特開昭61−094925(JP,A)
【文献】 特開平06−211306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0034410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリ試料分配システム(100)であって、
− いくつかの試料容器キャリア(110)であって、前記試料容器キャリア(110)のそれぞれが少なくとも1つの磁気的活性装置(120)を備えるとともに、前記試料容器キャリア(110)が少なくとも1つの試料容器(130)を運搬するように適合された、いくつかの試料容器キャリア(110)と、
− 搬送面(140)であって、前記搬送面(140)が前記試料容器キャリア(110)を支持するように適合された、搬送面(140)と、
− いくつかの駆動モジュール(150)と、
を備えた、ラボラトリ試料分配システム(100)において、
− それぞれの前記駆動モジュール(150)は、
− いくつかの第1の線状導体(160)であって、前記第1の線状導体(160)が第1の方向に延在し、前記第1の線状導体(160)が互いに平行に配置される、いくつかの第1の線状導体(160)と、
− いくつかの第2の線状導体(170)であって、前記第2の線状導体(170)が第2の方向に延在し、前記第2の線状導体(170)が互いに平行に配置されるいくつかの第2の線状導体(170)と、を備え、
− 前記ラボラトリ試料分配システムは、駆動手段(180)をさらに備え、前記駆動手段(180)が前記駆動モジュール(150)の前記第1および第2の導体(160、170)に電気的に接続され、前記駆動手段(180)が駆動電流および/または駆動電圧を前記第1および第2の導体(160、170)の1つまたは複数に選択的に印加するように適合されており、それによって前記駆動電流および/または前記駆動電圧によって駆動される前記1つまたは複数の導体(160、170)内に導体電流が引き起こされ、前記導体電流が前記試料容器キャリア(110)の1つまたは複数に駆動力を選択的に引き起こし、それによって前記試料容器キャリア(110)が前記搬送面(140)上で個々の搬送経路に沿って移動すること
を特徴とする、ラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項2】
− 前記第1の方向は、前記第2の方向に直交する、
請求項1に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項3】
− 前記第1の導体(160)は第1の層(190)に配置され、前記第1の層(190)は前記搬送面(140)に平行であり、
− 前記第2の導体(170)は第2の層(200)に配置され、前記第2の層(200)は前記搬送面(140)に平行である、
請求項1または2に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項4】
− 前記第1の導体(160)は、プリント回路基板(210)の第1の層上のプリント回路基板トラックとして具体化され、
− 前記第2の導体(170)は、前記プリント回路基板(210)の第2の層上のプリント回路基板トラックとして具体化される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項5】
− 前記試料容器キャリア(110)は、複数の磁気的活性装置(120)をそれぞれ備え、それぞれの前記磁気的活性装置(120)は、一次元ハルバッハ配列を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項6】
− 位置検出手段を備え、前記位置検出手段は、1つまたは複数の導体(160、170)中の電流を測定するとともに、測定した前記電流に応じて前記1つまたは複数の導体(160、170)の上部にある試料容器キャリア(110)の存在を検出するように適合された、
請求項1から5のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項7】
− 前記いくつかの駆動モジュール(150)は、前記第1の方向および/または第2の方向に互いに隣接して配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)。
【請求項8】
ラボラトリ自動化システム(300)であって、
− いくつかの事前分析ラボラトリステーション、分析ラボラトリステーション、および/または事後分析ラボラトリステーション(310)と、
− 前記ラボラトリステーション(310)間で前記試料容器キャリア(110)および/または試料容器(130)を分配するように適合された請求項1から7のいずれか一項に記載のラボラトリ試料分配システム(100)と、
を備えた、ラボラトリ自動化システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているラボラトリ試料分配システムは、典型的には、試料容器内に収容された試料を異なるラボラトリステーション間で分配するためにラボラトリ自動化システム内で使用される。
【0003】
典型的なラボラトリ試料分配システムは、文献EP2589966A1に示されている。そのようなラボラトリ試料分配システムは、高いスループットを提供するとともに、信頼できる動作を提供する。このシステムは、表面上で試料容器キャリアを駆動するためにシングルコイルを使用する。シングルコイルは、例えばチェッカー盤パターンでそのようなコイルの上に物体を正確に配置することができるという利点を有するが、この技術は、サイズ、重量、および組み立ての手間の増加をもたらす。
【0004】
米国特許第2013/0034410(A1)号およびEP2589968A1は、それぞれ、試料容器キャリアに印加される磁気駆動力を発生させるコイルの形態の電磁アクチュエータを用いるラボラトリ試料分配システムを開示する。
【0005】
米国特許第2008/0029368(A1)号は、物体を安定して移送することができる超伝導磁石浮上を用いた非接触移送装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP2589966A1
【特許文献2】米国特許第2013/0034410(A1)
【特許文献3】EP2589968A1
【特許文献4】米国特許第2008/0029368(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、費用効率が高くて組み立てが簡単であるラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、この課題を、請求項1に記載のラボラトリ試料分配システムおよび請求項8に記載のラボラトリ自動化システムによって解決する。
ラボラトリ試料分配システムは、いくつかの試料容器キャリアであって、それぞれが少なくとも1つの磁気的活性装置を備えるとともに、少なくとも1つの試料容器を運搬するようになされた、いくつかの試料容器キャリアを備える。
【0009】
ラボラトリ試料分配システムは、試料容器キャリアを支持するように適合された搬送面を備える。
試料容器は、典型的には、ガラスまたは透明プラスチック製の管として設計されるとともに、典型的には、上端に開口を有する。試料容器は、血液試料または化学試料などの試料を収容し、貯蔵し、搬送するために使用することができる。搬送面は、、搬送表面として示すこともできる。搬送面は試料容器キャリアを支持し、このことは試料容器キャリアを運搬することとして示すこともできる。
【0010】
各試料容器キャリアにおける少なくとも1つの磁気的活性装置は、永久磁石とすることができる。代替としてまたは加えて、電磁石および/または任意の軟磁性材料が使用されることができる。試料容器キャリアは、典型的には、搬送面上で2次元内で移動するように適合される。
【0011】
ラボラトリ試料分配システムは、いくつか(例えば、1個から1000個)の駆動モジュールまたはグリッド要素を備える。
それぞれの駆動モジュールは、いくつか(1個から1000個)の第1の線状電気伝導体またはトラックを備え、ある動作モードにおいて、第1の導体は搬送面の下方に固定配置され、第1の導体はそれぞれ第1の方向に延在する。第1の導体は互いに平行に配置される。
【0012】
それぞれの駆動モジュールはいくつか(1個から1000個)の第2の線状導体またはトラックをさらに備え、ある動作モードにおいて、第2の導体は搬送面の下方に固定配置され、第2の導体はそれぞれ第1の方向とは異なる第2の方向に延在し、第2の導体は互いに平行に配置される。
【0013】
例えば、導体は、所与の距離、例えば、互いに対して1mmから50mmだけ規則的に間隔をあけて配置することができる。
ラボラトリ試料分配システムおよび/または各駆動モジュールは、駆動手段をさらに備え、この駆動手段は、各駆動モジュールの第1および第2の導体の各々に電気的に接続される。この電気的接続は、並列な形でなされ得、すなわち、駆動手段は、導体ごとに対応する駆動端子を有することができる。代替として、上記電気的接続は、時間的に連続した方式または多重化方式でなされてもよく、それによって必要な駆動端子の個数は減少させられる。
【0014】
駆動手段は、駆動電流および/または駆動電圧を第1のおよび/または第2の導体のうちの1つまたは複数の選択したものに印加するようになされており、それによって駆動電流および/または駆動電圧によって駆動される1つまたは複数の選択した導体内に導体電流が引き起こされる。この導体電流は、試料容器キャリアの1つまたは複数に磁気駆動力を引き起こし、それにより試料容器キャリアは、搬送面上で個々の搬送経路に沿って移動する。導体は、所望の磁力が引き起こされように駆動手段によって選択的に駆動することができ、この磁力はx方向、y方向および/またはz方向に向けられる。
【0015】
第1の方向は、第2の方向に直交であり得る。
第1の導体は、第1の層または面に配置することができ、この第1の層または面は、搬送面に平行である。第2の導体は、第2の層または面に配置することができ、この第2の層または面は、搬送面に平行である。第1および第2の層は、積み重ねることができる。
【0016】
第1の導体は、プリント回路基板の第1の層上にプリント回路基板トラックとして具体化することができるとともに、第2の導体は、そのプリント回路基板または別のプリント回路基板の第2の層上にプリント回路基板トラックとして具体化することができる。
【0017】
試料容器キャリアは、複数、例えば4つ、6つ、または8つの磁気的活性装置または永久磁石をそれぞれ備えることができ、各磁気的活性装置は一次元ハルバッハ配列を備える。ハルバッハ配列の幾何学的/磁性的構造は、導体の幾何学的構造(導体間の距離)に適用することができる。ハルバッハ配列に関しては、各技術文献の参照がなされる。
【0018】
ラボラトリ試料分配システムは、位置検出手段を備えることができ、この位置検出手段は、1つまたは複数の導体中の電流を測定するとともに、測定した電流に応じて1つまたは複数の導体の上部にある試料容器キャリアの存在を検出するようになされている。
【0019】
駆動モジュールは、より大きい要素を形成するように第1の方向および/または第2の方向に互いに隣接して配置することができる。
ラボラトリ自動化システムは、いくつかの分析前ラボラトリステーション、分析ラボラトリステーション、および/または分析後ラボラトリステーションと、ラボラトリステーション間で試料容器キャリアおよび/または試料容器を分配するように適合された上記のラボラトリ試料分配システムとを備える。
【0020】
ラボラトリステーションは、ラボラトリ試料分配システムに隣接して配置することができる。分析前ステーションは、試料、試料容器、および/または試料容器キャリアの任意の種類の事前処理を行うように適合され得る。分析ステーションは、試料または試料の一部および試薬を使用して、測定信号を発生させるように適合することができ、この測定信号は、分析物が存在しているか否か、存在している場合は、どの濃度で存在しているかを示す。分析後ステーションは、試料、試料容器、および/または試料容器キャリアの任意の種類の事後処理を行うように適合され得る。分析前ラボラトリステーション、分析ラボラトリステーション、および/または分析後ラボラトリステーションは、キャップ除去ステーション、再キャップステーション、分取ステーション、遠心分離ステーション、保管ステーション、ピペッティングステーション、分類ステーション、管タイプ特定ステーション、試料品質判定ステーション、アドオンバッファステーション、液体レベル検出ステーション、封止/封止解除ステーションのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0021】
本発明は、試料容器キャリアの平面または空間的移動制御のために多層プリント回路基板を使用することができる。本発明は、導体トラックを所有する駆動モジュールを利用するモーション制御を可能にする。
【0022】
駆動モジュールの上の物体の位置を検出するために、センサが適用され得る。試料容器キャリアに組み込まれた磁気的活性装置によって誘導された電流を測定することも可能である。
【0023】
駆動手段は、試料容器キャリアの移動を同時に制御する。
より大きい表面を作り出しそれらの上の試料容器キャリアの動きを制御するために、複数の駆動モジュールが、タイルのように互いの隣に配置されてもよく、試料容器キャリアは、ある駆動モジュールから隣の駆動モジュールへ引き渡すことができる。駆動モジュールの境界を横切って協調された移動を実現するために、複数の制御ユニットが互いに通信することができる。
【0024】
ある駆動モジュールから別の駆動モジュールへの試料容器キャリアの受け渡しは、試料容器キャリアが搬送面全体でとる搬送経路を予想することによって行うことができる。この予想を用いて、駆動手段は、それらの他の試料容器キャリアをそのような搬送経路から離れるように移動させることによって、あるいは他の試料容器キャリアの経路または位置を横切らない搬送経路を選ぶことによって、そのような搬送経路が他の試料容器キャリアから遮られないことを確実にすることができる。迅速な搬送またはその他の有利な搬送のための最適経路が選ばれつつ衝突を避けることができるように、予め定められた互いに対する相対距離で、そのような試料容器キャリアの速度および経路を考慮に入れて試料容器キャリアの経路を定めることを可能にすることもできる。
【0025】
ある駆動モジュールから別の駆動モジュールへの受け渡しは、試料容器キャリアの速度が維持できるようなやり方で第2の駆動モジュール上の1つまたは複数の導体を活性化することによって行われる。この速度は、位置センシング装置を用い、そのような位置センサのうちの2つ以上のセンサ間で試料容器キャリアが移動した距離の時間をはかることで測定される。一実施形態では、導体自体は、導体に導入される電流を測定することによってポジショニングセンサとして使用されることができる。
【0026】
試料容器キャリアのそうした計算した速度を利用して、第2の駆動モジュール上の導体の活性化は、駆動モジュール間の受け渡しが滑らかなままで、望まれない加速または減速を避けることができるようにタイミングをはかることができる。
【0027】
不成功の受け渡しの場合、すなわち試料容器キャリアが予測された時間に第2の駆動モジュールで感知されない場合、エラーへの対処が生じる必要がある。そのようなエラーへの対処は、第2の駆動モジュールを非活性化することと、試料容器キャリアを第1の駆動モジュール上へそこで検出されるまで引き返させようと試みることと、試料容器キャリアを任意の近くの駆動モジュール上へそこで検出されるまで引き返させようと試みることと、二次的または三次的位置センサを適用して試料容器キャリアを予期しない場所で見つけることと、試料容器キャリアが見つけられるまで予期された位置の近くへ移動可能物の上へ取り付けられた検出器を駆動することと、あるいは見つからない試料容器キャリアを発見し再配置するために人がシステムに介在することを要求するための警報を作動させることと、を含むことができる。
【0028】
試料容器キャリアをそれらが一度に2つ以上の駆動モジュールにまたがるようなやり方で駆動することが可能である。そのような移動を制御するために、上述したような受け渡しおよびエラーへの対処は、影響を受けた駆動モジュールの全部に及ぶことができる。そのような実施の場合、したがって、より粗い駆動モジュールの分解能だけでなく、トラックまたは導体の分解能で説明される移動経路を用いることが可能である。駆動モジュールのひとつより大きい試料容器キャリアを移動させることがさらに可能である。
【0029】
ラボラトリ試料分配システムは、試料容器キャリアの平面または空間的移動を引き起こすように配置することができる。
システムにおける試料容器キャリアの移動を制御する上述したような方法によれば、試料容器キャリアの上昇ステップ、保持ステップ、および移動ステップは、以下の要因、すなわち、消費電力、試料容器キャリア上またはそれと共に運搬される動作により位置の機械的安定性に必要なもの、所望の移動速度、複数の試料容器キャリアの移動の所望の平行度の程度、所望の正の加速度、所望の負の加速度のうちの1つまたは複数に基づいて導体の駆動について動的に決定することにより実現することができる。
【0030】
試料容器キャリアが駆動モジュールの境界に近づくことについてタイル情報が駆動モジュールへ伝達され、試料容器キャリアを受け入れる態勢が整っていることについて駆動モジュールから情報を受け取り、一定の駆動力を試料容器キャリアへ及ぼすように駆動モジュールに電力を供給することができる。
【0031】
駆動モジュール間で通信される情報は、以下のもの、すなわち、速度、現在位置、移動目標座標のうちの1つまたは複数を含むことができる。
次に、本発明の実施形態を概略的に示す図面を参照して、本発明を詳細に示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明によるラボラトリ試料分配システムを備えたラボラトリ自動化システムを示す図である。
図2図1のラボラトリ自動化システムの試料容器キャリアをより詳細に示す図である。
図3図1のラボラトリ自動化システムの駆動モジュールをより詳細に部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、いくつかの分析前ラボラトリステーション、分析ラボラトリステーションおよび/または分析後ラボラトリステーション310と、ラボラトリステーション310間で試料容器キャリア110および/または試料容器130を分配するようになされたラボラトリ試料分配システム100と、を備えたラボラトリ自動化システム300を示す。言うまでもなく、図示したラボラトリステーション310以外のものが、ラボラトリ自動化システム300に備えられてもよい。
【0034】
次に、図2を参照すると、試料容器キャリア110は、それぞれ、図示したように異なる向きを有する4つの一次元ハルバッハ配列の形態で4つの磁気的活性装置120を備える。
【0035】
ラボラトリ試料分配システム100は、搬送面140をさらに備え、搬送面140は、試料容器キャリア110を支持するように適合されている。
ラボラトリ試料分配システム100は、長方形形状を有し搬送面140の下で互いに直接隣接して配置されているいくつかの駆動モジュール150をさらに備える。搬送面140は、いくつかの駆動モジュール150の配置を覆う。
【0036】
駆動モジュール150は、いくつかの第1の線状電気伝導体またはトラック160を備え、この第1の導体160は、搬送面140の下方に固定配置される。第1の導体160は、第1の方向xに延在する。第1の導体160は、互いに平行に配置される。
【0037】
駆動モジュール150は、いくつかの第2の線状電気伝導体またはトラック170を備え、第2の導体170は、搬送面140の下方に固定配置される。第2の導体170は、第1の方向xに直交する第2の方向yに延在する。第2の導体170は、互いに平行に配置される。
【0038】
ラボラトリ試料分配システム100は、電気的駆動手段180をさらに備え、この駆動手段180は、各駆動モジュール150の第1および第2の導体160、170の各々に電気的に接続される。駆動手段180は、駆動電流および/または駆動電圧を第1および第2の導体160、170の1つまたは複数に印加するように適合されており、それによって駆動電流および/または駆動電圧によって駆動される1つまたは複数の導体160、170内に導体電流が引き起こされ、この導体電流は、試料容器キャリア110の1つまたは複数に駆動力を選択的に引き起こし、それにより試料容器キャリア110は、搬送面140上で個々の搬送経路に沿って移動する。駆動される導体160、170は、試料容器キャリア110の位置と試料容器キャリア110の所望の搬送経路とに応じて選択され、対応する所望の磁気駆動力が各試料容器キャリア110に印加されるようになっている。
【0039】
図3を参照すると、第1の導体160は、プリント回路基板210の第1の層190上にプリント回路基板トラックとして配置されるとともに、第2の導体160は、プリント回路基板210の第2の層200上にプリント回路基板トラックとして配置される。
【0040】
プリント回路基板210上に形成された導体160、170は、プリント回路基板210の縁部で電気的に接触することができ、電線は、導体160、170に電気的に接続することができ、電線は、駆動手段180に電気的に接続される。
図1
図2
図3