(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[実施形態]
<積層装置の全体構成>
以下、
図1を参照して、本実施形態に係る積層装置10の全体構成について説明する。
図1は、積層装置10の全体構成を模式的に示す概略図である。
【0014】
積層装置10は、長尺シート91を所定の積層長でつづら折りに積層載置する装置である。本実施形態では、積層装置10は、例えば、車載用のリチウムイオン電池として用いられるつづら折り式の積層電池部品を製造する電池製造装置1に組み込まれているものとして説明する。
【0015】
以下の説明では、「上流側」と「下流側」は、長尺シート91の搬送方向(矢印A91参照)を基準にしている。長尺シート91は、それぞれ後記する搬送装置50のエアシャフト51c、ダンサ装置40のエアシャフト41、搬送装置50のエアシャフト51bとエアシャフト51a、挟持装置30の挟持ヘッド31を経て、積層テーブル21に到達するように搬送される。
【0016】
図1に示すように、電池製造装置1には積層装置10が組み込まれている。積層装置10は、積層テーブル21と、押さえ部材25a,25bと、挟持装置30と、ダンサ装置40と、搬送装置50と、を備えている。
【0017】
積層テーブル21は、長尺シート91を所定の積層長でつづら折りに積層載置するテーブルである。積層テーブル21は、つづら折り方向(図面に対して左右方向)に少なくとも積層長以上の長さを有するとともに、奥行き方向(図面に対して鉛直方向)に少なくとも長尺シート91の帯幅(横幅)以上の幅を有している。積層テーブル21は、モータMを有するテーブル駆動部22によって高さ位置が調整される。テーブル駆動部22は、積層テーブル21を鉛直方向に上下動させる駆動部である。テーブル駆動部22は、長尺シート91をつづら折りに積層させた積層物94の上面高さが一定になるように、積層テーブル21を鉛直方向に上下動させて積層テーブル21の高さ位置を調整する。
【0018】
押さえ部材25a,25bは、積層テーブル21上に積層載置された長尺シート91を上から押さえる部材である。押さえ部材25a,25bは、挟持ヘッド31がつづら折りの始点位置Psで折り返す際及びつづら折りの折返し点位置Prで折り返す際の、積層位置からの長尺シート91のずれを抑制する。押さえ部材25a,25bは、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の積層長方向の位置に対応して積層テーブル21上へ進出したり積層テーブル21上から退避したりする構造になっている。
図1において、点線で示す押さえ部材25aは、積層テーブル21上から退避した状態となっている。また、実線で示す押さえ部材25bは、積層テーブル21上へ進出した状態となっている。
図1に示す例では、押さえ部材25a,25bは、積層テーブル21上へ進出した場合の位置として、それぞれ、積層テーブル21上に積層載置された長尺シート91の上面左端付近の位置と上面右端付近の位置とに配置されている。押さえ部材25a,25bは、長尺シート91がつづら折りに積層される際に折り目の位置を規定する。例えば、
図1に示す例において、左側に配置された押さえ部材25aの左端は、積層物94(すなわち、積層テーブル21上でつづら折りに積層された長尺シート91)の左端の位置を規定する。また、右側に配置された押さえ部材25bの右端は、積層物94の右端の位置を規定する。
【0019】
挟持装置30は、挟持ヘッド31により長尺シート91を挟持して、積層テーブル21上を積層長方向(つづら折り方向)に往復運動する装置である。本実施形態では、挟持ヘッド31は、奥行き方向(図面に対して鉛直方向)に配置された2個のローラを有しており、2個のローラで長尺シート91を挟み込む構造になっている。挟持装置30は、積層長でつづら折りに折り返された長尺シート91を積層テーブル21上に積層載置する。
【0020】
ダンサ装置40は、エアシャフト41を用いて積層テーブル21上に積層載置する長尺シート91に所望の張力を付与する装置である。エアシャフト41は、鉛直方向に上下動するダンサ部材である。エアシャフト41は、奥行き方向(図面に対して鉛直方向)に配置されている。長尺シート91は、上下動するエアシャフト41の周面を回り込むように展開されている。エアシャフト41は、長尺シート91に対して空気を吐出する構造になっており、風圧を利用してエアシャフト41から離間する方向に長尺シート91を展開させる。ダンサ装置40は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の積層長方向の位置に対応してエアシャフト41を鉛直方向に上下動することで、積層テーブル21上に積層載置する長尺シート91に所望の張力を付与する。
【0021】
搬送装置50は、エアシャフト51を用いて長尺シート91を搬送する装置である。エアシャフト51は、長尺シート91を蛇行させることなく搬送方向を転向する転向部材である。搬送装置50は、エアシャフト41(ダンサ部材)と挟持ヘッド31との間に、少なくとも1つ以上の固定配設されたエアシャフト51(本実施形態では、エアシャフト51a)を備えている。エアシャフト51は、奥行き方向(図面に対して鉛直方向)に配置されている。エアシャフト51は、長尺シート91に対して空気を吐出する構造になっており、風圧を利用して長尺シート91を搬送する。エアシャフト51は、長尺シート91の搬送ルート上における所望の場所に固定配置されている。本実施形態では、搬送装置50は、3本のエアシャフト51a,51b,51cを有している。エアシャフト51aは、挟持ヘッド31の上方に配置されている。エアシャフト51bは、エアシャフト51aよりも上流側で、かつ、ダンサ装置40のエアシャフト41よりも下流側の位置に配置されている。エアシャフト51cは、ダンサ装置40のエアシャフト41よりも上流側の位置に配置されている。
【0022】
長尺シート91は、外部の図示せぬ長尺シート供給機構から供給されている。積層装置10は、搬送装置50で矢印A91の方向に長尺シート91を搬送しながら、挟持装置30で長尺シート91を積層テーブル21上に所定の積層長でつづら折りに積層載置する。その際に、積層装置10は、搬送ルート上(特に、エアシャフト51aと挟持ヘッド31との間)で長尺シート91に撓みが発生しないように、ダンサ装置40で適切な張力を長尺シート91に付与する。
【0023】
長尺シート91は、積層テーブル21上でつづら折りに積層載置される。これにより、長尺シート91をつづら折りに積層させた積層物94が積層テーブル21上に積層載置される。本実施形態では、積層物94は車載用のリチウムイオン電池に用いるつづら折り式の積層電池部品を構成している。つづら折りにより長尺シート91が折り返されるたびに、横方向から、折り返された長尺シート91上に電極材としての正極板93と負極板92とが交互に供給される(矢印A93及び矢印A92参照)。長尺シート91は、絶縁性の薄膜材で構成されており、電極材である正極板93と負極板92との間を仕切る帯状のセパレータとして機能する。このような積層テーブル21上に積層載置された長尺シート91の積層物94は、正極板93と負極板92とがセパレータの間に交互に積層された積層電池部品として機能する。
【0024】
<積層装置の内部構成>
以下、
図2を参照して、積層装置10の内部構成について説明する。
図2は、積層装置10の内部構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、積層装置10は、制御部11と、前記したテーブル駆動部22と、位置検出部23と、押さえ部材駆動部24と、前記した挟持装置30と、前記したダンサ装置40と、前記した搬送装置50と、を備えている。ここでは、前記した構成要素の説明を省略する。
【0026】
制御部11は、テーブル駆動部22、押さえ部材駆動部24、挟持装置30、ダンサ装置40、及び搬送装置50の動作を制御する。
位置検出部23は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の積層長方向の位置を検出する。
押さえ部材駆動部24は、積層テーブル21上への押さえ部材25a,25bの進出動作及び積層テーブル21上からの押さえ部材25a,25bの退避動作を行わせる。
【0027】
搬送装置50は、ダンサ装置40のエアシャフト41と搬送装置50のエアシャフト51に空気を送り込む空気送風装置52を有している。ただし、積層装置10は、空気送風装置52とは別に、ダンサ装置40のエアシャフト41専用の空気送風装置を有する構成にしてもよい。
【0028】
<エアシャフトの構成とエアシャフトにおける空気の吐出方向>
以下、
図3A及び
図3Bを参照して、エアシャフト41,51の構成とエアシャフト41,51における空気の吐出方向について説明する。
図3Aは、エアシャフト41,51の斜視図である。
図3Bは、エアシャフト41,51における空気の吐出方向の一例を示す説明図である。
【0029】
図3Aに示すように、エアシャフト41,51は、中空円筒形状を呈している。エアシャフト41,51は、空気送風装置52(
図2参照)に接続されており、軸方向端部から空気が送り込まれる(矢印Ain参照)。エアシャフト41,51は、少なくとも長尺シート91の帯幅(横幅)以上の胴体部61を有している。胴体部61は、それぞれが所定面積に形成された複数個の空気吐出口62を備えている。空気吐出口62は、直線上に略等間隔に配置されている。
【0030】
図3Bに示すように、エアシャフト41,51に送り込まれた空気は、空気吐出口62から吐出する。
図3Bに示す例では、エアシャフト41は、3方向に空気を吐出する構成になっている。また、エアシャフト51a,51b,51cは、1方向に空気を吐出する構成になっている。エアシャフト41,51は、空気吐出口62から空気を吐出することにより、長尺シート91を胴体部61から離間させる。このような積層装置10は、長尺シート91がエアシャフト41,51に接触しないように、エアシャフト41,51から長尺シート91を離間させることができる。
【0031】
なお、積層装置10の制御部11は、長尺シート91の搬送速度に基づいて予め設定された単位時間当たりの空気吐出量を特定し、空気送風装置52に、空気吐出量に対応する吐出圧を空気に付与させる。エアシャフト41,51に設けられたすべての空気吐出口62は、長尺シート91の搬送速度に応じて、同一の吐出圧で空気を吐出する。これにより、積層装置10は、長尺シート91のバタツキを抑制して、さらに好適に、長尺シート91がエアシャフト41,51に接触しないように、エアシャフト41,51から長尺シート91を離間させることができる。しかも、積層装置10は、撓みの発生を抑制しながら、長尺シート91を展開することができる。
【0032】
<積層装置の動作>
以下、
図4A及び
図4Bを参照して、積層装置10の動作について説明する。
図4A及び
図4Bは、積層装置10の挟持ヘッド31とエアシャフト41(ダンサ部材)の動作を示す説明図である。
【0033】
図4Aに示すように、積層装置10は、エアシャフト51a(転向部材)に近接する位置に挟持ヘッド31を移動させた場合、すなわち、矢印A11の方向(図面の左方向)に挟持ヘッド31を移動させた場合に、長尺シート91の張力を増加させるために、矢印A12の方向(図面の下方向)にエアシャフト41(ダンサ部材)を移動させる。
【0034】
その途中過程で、挟持ヘッド31が積層テーブル21の一方端部近傍におけるつづら折りの始点位置Psに到達するとともに、エアシャフト41が挟持ヘッド31のつづら折りの始点位置Psに対応する原点位置Poに到達する。つづら折りの始点位置Psは、積層テーブル21上に進出した状態の押さえ部材25aの左端部の直上位置(左端部に対して鉛直方向に重なる位置)である。原点位置Poは、挟持ヘッド31がつづら折りの始点位置Psに位置しているときのエアシャフト41の鉛直方向位置である。
【0035】
その後、挟持ヘッド31は、始点位置Psを超えて矢印A11の方向(図面の左方向)に移動する。また、エアシャフト41は、原点位置Poを超えて矢印A12の方向(図面の下方向)に移動する。
【0036】
また、
図4Bに示すように、積層装置10は、エアシャフト51a(転向部材)から離間する位置に挟持ヘッド31を移動させた場合、すなわち、矢印A21の方向(図面の右方向)に挟持ヘッド31を移動させた場合に、長尺シート91の張力を減少させるために、矢印A22の方向(図面の上方向)にエアシャフト41(ダンサ部材)を移動させる。
【0037】
その途中過程で、挟持ヘッド31が積層テーブル21の他方端部近傍におけるつづら折りの折返し点位置Prに到達するとともに、エアシャフト41が終点位置Peに到達する。つづら折りの折返し点位置Prは、積層テーブル21上に進出した状態の押さえ部材25bの右端部の直上位置(右端部に対して鉛直方向に重なる位置)である。終点位置Peは、挟持ヘッド31がつづら折りの折返し点位置Prに位置しているときのエアシャフト41の鉛直方向位置である。
【0038】
その後、挟持ヘッド31は、折返し点位置Prを超えて矢印A21の方向(図面の右方向)に移動する。また、エアシャフト41は、終点位置Peを超えて矢印A22の方向(図面の上方向)に移動する。
【0039】
このように積層装置10は、積層テーブル21上における挟持装置30の挟持ヘッド31の積層長方向の位置に対応してダンサ装置40のエアシャフト41を鉛直方向に上下動する。これにより、積層装置10は、搬送ルート上(特に、エアシャフト51aと挟持ヘッド31との間)で長尺シート91に撓みが発生しないように、ダンサ装置40で適切な張力を長尺シート91に付与する。その結果、積層装置10は、積層テーブル21上に積層載置する長尺シート91の供給量(積層テーブル21に対する長尺シート91の供給量)を制御することができる。
【0040】
なお、本実施形態において、積層長は、積層テーブル21の一方端部近傍におけるつづら折りの始点位置Psから積層テーブル21の他方端部近傍におけるつづら折りの折返し点位置Prまでの範囲に相当する長さである。
【0041】
このような動作を実現するために、積層装置10は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の位置を検出する位置検出部23と、ダンサ装置40及び挟持装置30の動作を制御する制御部11と、を備えている。制御部11は、挟持ヘッド31のつづら折りの始点位置Ps(
図4A参照)からの移動量を、位置検出部23から取得し、挟持ヘッド31の移動量に対応する鉛直方向位置までエアシャフト41(ダンサ部材)を移動させる。
【0042】
積層装置10は、挟持ヘッド31がつづら折りの始点位置Ps(
図4A参照)で折り返す際及びつづら折りの折返し点位置Pr(
図4B参照)で折り返す際の、積層位置からの長尺シート91のずれを抑制する押さえ部材25a,25bを備えている。制御部11は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の位置に対応して、積層テーブル21上へ押さえ部材25a,25bを進出させたり、積層テーブル21上から押さえ部材25a,25bを退避させたりする。
【0043】
図5は、積層装置10の挟持ヘッド31と押さえ部材25a,25bの動作を模式的に示す説明図である。
図5は、つづら折りの折返し点位置Prからつづら折りの始点位置Psの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの始点位置Ps側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理とを行う場合の例を示している。積層載置処理は、積層テーブル21上に長尺シート91を積層載置する処理である。終端処理は、挟持ヘッド31を反転移動させて、長尺シート91を折り返す処理である。
図5の左から1番目と2番目の図は、積層載置処理の一例を示している。また、
図5の左から3番目と4番目の図は、終端処理の一例を示している。
【0044】
図5の上側の図に示すように、挟持ヘッド31のヘッド位置P31は、軌跡R31に沿って移動する。ヘッド位置P31は、挟持ヘッド31の2個のローラが当接する場所(ニップ部)の位置を示している。軌跡R31の両端部の矢印は、矢印の方向に挟持ヘッド31が反転移動されることを示している。
【0045】
図5の左から1番目の図に示すように、積層装置10は、つづら折りの始点位置Psからつづら折りの折返し点位置Prまでの範囲を積層テーブル21上に長尺シート91を積層載置させる積層範囲としている。そして、積層範囲の両端部からそれぞれ所定距離を超えた範囲を挟持ヘッド31の可動範囲Rhとしている。
【0046】
積層装置10は、積層範囲内の位置において、積層長方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、積層範囲を超えた位置において、挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を繰り返し行う。
【0047】
図5の左から1番目の図は、積層テーブル21上における積層長方向の略中央位置に挟持ヘッド31が配置された状態を示している。積層テーブル21上に積層された長尺シート91の右端は、押さえ部材25bで鉛直下方向に押さえ付けられている。
【0048】
図5の左から2番目の図は、矢印A31aの方向(すなわち、エアシャフト51aに近接する方向である左方向)に挟持ヘッド31を移動させた状態を示している。この図において、ヘッド位置P31は、軌跡R31に沿って
図5の左から1番目の図に示す位置から左方向に移動している。なお、本実施形態では、積層装置10が電池製造装置1に組み込まれている。そのため、
図5では図示していないが、
図5の左から1番目の図と
図5の左から2番目の図の間で電極材(例えば、
図1に示す負極板92)が積層物94(すなわち、積層テーブル21上でつづら折りに積層された長尺シート91)の上に載置される。
【0049】
図5の左から3番目の図は、矢印A31bの方向(すなわち、つづら折りの始点位置Psから離間しながら下降移動する方向)に挟持ヘッド31を移動させた状態を示している。この図において、ヘッド位置P31は、軌跡R31に沿って
図5の左から2番目の図に示す位置から左下方向に移動している。
【0050】
このとき、積層装置10が挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Psから離間させながら下降移動させる理由は、以下の通りである。すなわち、その理由は、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91に適度な張力を付与して、撓みの発生を抑制しながら、長尺シート91を積層物94の上面に押し当てることで、長尺シート91を積層物94の上面に隙間なく密着させるためである。
【0051】
図5の左から4番目の図は、矢印A31cの方向(すなわち、つづら折りの始点位置Psから離間しながら下降移動する方向)に挟持ヘッド31を移動させた状態を示している。この図において、ヘッド位置P31は、軌跡R31に沿って
図5の左から3番目の図に示す位置からさらに左下方向に移動している。その結果、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91が積層物94の上面に隙間なく密着する。この状態において、積層装置10は、押さえ部材25aを積層テーブル21上に進出させて、押さえ部材25aで長尺シート91を鉛直下方向に押さえ付ける。
【0052】
この後、図示しないが、積層装置10は、軌跡R31に沿って挟持ヘッド31を移動させる。すなわち、積層装置10は、挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Psに対して離間方向に移動させながら上昇移動させる。
【0053】
このとき、積層装置10が挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Psに対して離間方向に移動させながら上昇移動させる理由は、以下の通りである。すなわち、その理由は、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91に適度な張力を付与して、撓みの発生を抑制しながら、押さえ部材25aの左端を中心にして長尺シート91を折り返すためである。
【0054】
この後に、積層装置10は、挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Psに戻す。その際に、任意のタイミングで、積層装置10は、積層テーブル21上から押さえ部材25bを退避させる。
【0055】
このようにして、積層装置10は、つづら折りの折返し点位置Prからつづら折りの始点位置Psの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの始点位置Ps側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を行う。
【0056】
この後、積層装置10は、つづら折りの始点位置Psからつづら折りの折返し点位置Prの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの折返し点位置Pr側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理とを、同様に行う。
【0057】
積層装置10は、このような動作を繰り返すことで、積層テーブル21上に長尺シート91を積層載置する。
【0058】
なお、一連の動作について、挟持装置30に注視した場合に、挟持装置30の動作は、以下の通りである。すなわち、挟持装置30は、積層範囲内の位置において、積層長方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、積層範囲を超えた位置において、挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を繰り返し行う。その際に、挟持装置30は、終端処理において、つづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prを超えた位置で離間方向に挟持ヘッド31を移動させながら、挟持ヘッド31を所定量一旦下降移動させてから上昇移動させる。その後に、挟持装置30は、挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prに戻す。
【0059】
ダンサ装置40は、挟持ヘッド31の位置に対応してエアシャフト41を鉛直方向に上下動させる。具体的には、ダンサ装置40は、積層載置処理において、積層長方向への挟持ヘッド31の移動量に対応して原点位置Poと終点位置Peとを間に含む範囲でエアシャフト41を上下動させる。また、ダンサ装置40は、つづら折りの始点位置Ps側の終端処理において、挟持ヘッド31の下降移動時と上昇移動時に、挟持ヘッド31の下降量と上昇量に対応して原点位置Poからエアシャフト41を一旦上昇させてから下降させる。また、ダンサ装置40は、つづら折りの折返し点位置Pr側の終端処理において、挟持ヘッド31の下降移動時と上昇移動時に、挟持ヘッド31の下降量と上昇量に対応して終点位置Peからエアシャフト41を一旦上昇させてから下降させる。
【0060】
これにより、積層装置10は、積層載置処理と終端処理とにおいて、撓みが発生しないように、適切な張力を長尺シート91に付与することができる。このような積層装置10は、長尺シート91に撓みが生じたり切断したりすることを抑制することができる。
【0061】
<積層装置の主な特徴>
本実施形態に係る積層装置10は、以下のような特徴を有している。
(1)
図1に示すように、本実施形態に係る積層装置10は、積層テーブル21と、挟持装置30と、ダンサ装置40と、を備えている。挟持装置30は、挟持ヘッド31により長尺シート91を挟持して、積層テーブル21上を積層長方向に往復運動することで、積層長でつづら折りに折り返された長尺シート91を積層テーブル21上に積層載置する。ダンサ装置40は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の積層長方向の位置に対応してエアシャフト41を鉛直方向に上下動させることで、積層テーブル21上に積層載置する長尺シート91に所望の張力を付与する。
【0062】
このような積層装置10は、撓みが生じないように、長尺シート91に安定して適切な張力を付与することができるため、撓みの発生を抑制しながら長尺シート91をつづら折りに好適に積層することができる。このような積層装置10は、長尺シート91に撓みが生じたり切断したりすることを抑制することができる。
【0063】
(2)本実施形態に係る積層装置10の挟持装置30は、積層範囲内の位置において、積層長方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、積層範囲を超えた位置において、挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を繰り返し行う。その際に、挟持装置30は、終端処理において、
図5に示す軌跡R31に沿って、つづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prを超えた位置で離間方向に挟持ヘッド31を移動させながら、挟持ヘッド31を所定量一旦下降移動させてから上昇移動させる。その後に、挟持装置30は、挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prに戻す。
【0064】
このような積層装置10は、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91に適度な張力を付与して、撓みの発生を抑制しながら、長尺シート91を積層物94の上面に押し当てることができる。これにより、積層装置10は、長尺シート91を積層物94の上面に隙間なく密着させることができるため、良好な積層物94を得ることができる。
【0065】
以上の通り、本実施形態に係る積層装置10によれば、撓みの発生を抑制しながら長尺シート91をつづら折りに積層することができる。
【0066】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0067】
<変形例に係る積層装置の動作>
例えば、前記した実施形態に係る積層装置10は、
図6に示す動作を行う積層装置10Aのように変形することができる。変形例に係る積層装置10Aは、同じ構成になっているが、積層載置時の動作が前記した実施形態に係る積層装置10と異なる装置である。
【0068】
図6は、変形例に係る積層装置10Aの挟持ヘッド31と積層テーブル21と押さえ部材25a,25bの動作を模式的に示す説明図である。
図6は、
図5と同様に、つづら折りの折返し点位置Prからつづら折りの始点位置Psの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの始点位置Ps側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理とを行う場合の例を示している。
図6の左から1番目と2番目の図は、積層載置処理の一例を示している。また、
図6の左から3番目と4番目の図は、終端処理の一例を示している。
【0069】
図5に示す前記した実施形態に係る積層装置10は、積層載置時に、挟持ヘッド31が水平方向だけでなく水平以外の方向にも移動する構造になっている(
図5の左から3番目と4番目の図参照)。これに対して、
図6に示す変形例に係る積層装置10Aは、積層載置時に、挟持ヘッド31が水平方向にしか移動しない代わりに、テーブル駆動部22(
図2参照)が積層テーブル21を上下動させる構造になっている。
【0070】
図6の上側の図に示すように、変形例に係る積層装置10Aでは、挟持ヘッド31のヘッド位置P31は、軌跡R31aに沿って水平方向に移動する。また、変形例に係る積層装置10Aでは、挟持ヘッド31の高さ位置が常に同じになるように、ヘッド位置P31に対応して、積層テーブル21の高さ位置P21が高さ変更軌跡R21に沿って変化する。つまり、挟持ヘッド31の高さ位置が常に同じになるように、ヘッド位置P31に対応して、テーブル駆動部22(
図2参照)が高さ変更軌跡R21に沿って積層テーブル21を上下動させる。
【0071】
図6の左から1番目の図に示すように、変形例に係る積層装置10Aは、前記した実施形態に係る積層装置10と同様に、つづら折りの始点位置Psからつづら折りの折返し点位置Prまでの範囲を積層テーブル21上に長尺シート91を積層載置させる積層範囲としている。そして、積層範囲の両端部からそれぞれ所定距離を超えた範囲を挟持ヘッド31の可動範囲Rhとしている。
【0072】
変形例に係る積層装置10Aは、前記した実施形態に係る積層装置10と同様に、積層範囲内の位置において、積層長方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、積層範囲を超えた位置において、挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を繰り返し行う。
【0073】
図6の左から1番目の図は、積層テーブル21上における積層長方向の略中央位置に挟持ヘッド31が配置された状態を示している。積層テーブル21上に積層された長尺シート91の右端は、押さえ部材25bで鉛直下方向に押さえ付けられている。
【0074】
図6の左から2番目の図は、矢印A41aの方向(すなわち、エアシャフト51aに近接する方向である左方向)に挟持ヘッド31を移動させた状態を示している。この図において、ヘッド位置P31は、軌跡R31aに沿って
図6の左から1番目の図に示す位置から左方向に移動している。なお、
図6では図示していないが、
図6の左から1番目の図と
図6の左から2番目の図の間で電極材(例えば、
図1に示す負極板92)が積層物94(すなわち、積層テーブル21上でつづら折りに積層された長尺シート91)の上に載置される。
【0075】
図6の左から3番目の図は、矢印A41bの方向(すなわち、つづら折りの始点位置Psから離間する方向である左方向)に挟持ヘッド31を移動させるとともに、矢印A42aの方向(すなわち、上方向)に積層テーブル21を上昇させた状態を示している。この図において、積層テーブル21の高さ位置は、積層テーブル21の基準高さ位置T0よりも高くなっている。なお、基準高さ位置T0は、
図6の左から1番目と2番目の図における積層テーブル21の高さ位置を示している。
【0076】
積層装置10Aは、挟持ヘッド31を左方向に移動させながら積層テーブル21を上昇させることによって、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91に適度な張力を付与する。これにより、積層装置10Aは、撓みの発生を抑制しながら、長尺シート91を積層物94の上面に押し当てることができる。
【0077】
図6の左から4番目の図は、矢印A41cの方向(すなわち、つづら折りの始点位置Psから離間する方向である左方向)に挟持ヘッド31をさらに移動させるとともに、矢印A42bの方向(すなわち、上方向)に積層テーブル21をさらに上昇させた状態を示している。この図において、積層テーブル21の高さ位置は、
図6の左から3番目の図と比較して、積層テーブル21の基準高さ位置T0よりもさらに高くなっている。そのため、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91が積層物94の上面に隙間なく密着している。この状態において、積層装置10Aは、押さえ部材25aを積層テーブル21上に進出させて、押さえ部材25aで長尺シート91を鉛直下方向に押さえ付ける。
【0078】
この後、図示しないが、積層装置10Aは、軌跡R31aに沿って挟持ヘッド31を左方向に移動させるとともに、高さ変更軌跡R21に沿って積層テーブル21を上昇させる。これにより、積層装置10Aは、挟持ヘッド31によって保持された長尺シート91に適度な張力を付与して、撓みの発生を抑制しながら、押さえ部材25aの左端を中心にして長尺シート91を折り返すことができる。
【0079】
この後に、積層装置10Aは、挟持ヘッド31をつづら折りの始点位置Psに戻すとともに、積層テーブル21を下降させる。その際に、任意のタイミングで、積層装置10Aは、積層テーブル21上から押さえ部材25bを退避させる。
【0080】
このようにして、積層装置10Aは、つづら折りの折返し点位置Prからつづら折りの始点位置Psの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの始点位置Ps側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を行う。
【0081】
この後、積層装置10Aは、つづら折りの始点位置Psからつづら折りの折返し点位置Prの方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、つづら折りの折返し点位置Pr側で挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理とを、同様に行う。
【0082】
積層装置10Aは、このような動作を繰り返すことで、積層テーブル21上に長尺シート91を積層載置する。
【0083】
なお、一連の動作について、挟持装置30に注視した場合に、積層装置10Aの挟持装置30の動作は、以下の通りである。すなわち、積層装置10Aの挟持装置30は、積層範囲内の位置において、積層長方向に挟持ヘッド31を移動させる積層載置処理と、積層範囲を超えた位置において、挟持ヘッド31を反転移動させる終端処理と、を繰り返し行う。積層装置10Aのテーブル駆動部22は、終端処理において、挟持ヘッド31がつづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prを超えた位置で離間方向に移動してからつづら折りの始点位置Ps又はつづら折りの折返し点位置Prに戻るまでの間に、積層テーブル21を所定量一旦上昇させてから下降させる。
【0084】
ダンサ装置40は、挟持ヘッド31の位置に対応してエアシャフト41を鉛直方向に上下動させる。具体的には、積層装置10Aのダンサ装置40は、積層載置処理において、積層長方向への挟持ヘッド31の移動量に対応して原点位置Poと終点位置Peとを間に含む範囲でエアシャフト41(ダンサ部材)を上下動させる。また、積層装置10Aのダンサ装置40は、つづら折りの始点位置Ps側の終端処理において、積層テーブル21の上昇時と下降時に、積層テーブル21の上昇量と下降量に対応して原点位置Poからエアシャフト41(ダンサ部材)を一旦下降させてから上昇させる。また、積層装置10Aのダンサ装置40は、つづら折りの折返し点位置Pr側の終端処理において、積層テーブル21の上昇時と下降時に、積層テーブル21の上昇量と下降量に対応して終点位置Peからエアシャフト41(ダンサ部材)を一旦下降させてから上昇させる。
【0085】
これにより、変形例に係る積層装置10Aは、前記した実施形態に係る積層装置10と同様に、積層載置処理と終端処理とにおいて、撓みが発生しないように、適切な張力を長尺シート91に付与することができる。このような積層装置10Aは、長尺シート91に撓みが生じたり切断したりすることを抑制することができる。
【0086】
なお、前記した実施形態に係る積層装置10や変形例に係る積層装置10Aは、車載用のリチウムイオン電池に用いるつづら折り式の積層電池部品に限らず、積層テーブル21上に長尺シート91をつづら折りに積層載置して形成する物品に適用することができる。
【0087】
また、例えば、前記した実施形態に係る積層装置10や変形例に係る積層装置10Aのダンサ装置40は、複数個のエアシャフト41を有する構成であってもよい。この場合に、各エアシャフト41は、長尺シート91の搬送方向に対して直交するように配置される。各エアシャフト41は、好ましくは、等間隔に配置されるとよい。各エアシャフト41の間には、搬送装置50のエアシャフト51が固定配置される。ダンサ装置40は、積層テーブル21上における挟持ヘッド31の積層長方向の位置に対応して各エアシャフト41を移動させることができる。このとき、ダンサ装置40は、各エアシャフト41を同じ方向に移動させることもできるし、各エアシャフト41を個々に独立して移動させることもできる。
【解決手段】外部から供給された長尺シート91を所定の積層長でつづら折りに積層載置する積層装置10は、少なくとも積層長の長さを有し、長尺シートを積層載置する積層テーブル21と、挟持ヘッド31により長尺シートを挟持して、積層テーブル上を積層長方向に往復運動することで、積層長でつづら折りに折り返された長尺シートを積層テーブル上に積層載置する挟持装置30と、積層テーブル上における挟持ヘッドの積層長方向の位置に対応してダンサ部材(エアシャフト41)を鉛直方向に上下動させることで、積層テーブル上に積層載置する長尺シートに所望の張力を付与するダンサ装置40と、を備える。