(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記包装モード選択部は、前記識別部により識別される硬貨が正常硬貨ではないことが検知されたときに前記異常硬貨包装モードを選択可能とする、請求項1記載の硬貨包装機。
前記異常硬貨包装モードに対応する各前記設定値のうち少なくとも一部の項目の前記設定値を任意で設定したときに、設定された前記設定値が前記記憶部に記憶される、請求項4または5記載の硬貨包装機。
複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する硬貨包装ユニットであって、包装されるべき硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた硬貨を積層状態に集積し、集積された複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する包装部と、前記包装部に送られる前の硬貨を識別する識別部とを有する硬貨包装ユニットと、前記硬貨包装ユニットに通信可能に接続され、当該硬貨包装ユニットの管理を行う管理装置とを備えた硬貨包装システムであって、
前記識別部により正常であると検知される正常硬貨のみを包装するための正常硬貨包装モードおよび前記識別部により正常ではないと検知される異常硬貨を含む硬貨を包装するための異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択するための包装モード選択部と、
前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様をそれぞれ記憶する記憶部と、
前記包装モード選択部により選択された包装モードに対応する、前記記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう前記硬貨包装ユニットの各構成部材を制御する制御部と、
を備え、
前記記憶部に記憶される、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様は、前記搬送部における硬貨の搬送路の高さ、前記搬送路の幅の大きさ、投入された硬貨の繰り出しを行うための繰出部から前記搬送部への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数、前記搬送部による硬貨の搬送速度、前記搬送部による前記包装部への硬貨の搬送動作のリトライ回数、前記包装部に送られるべき硬貨が集積される集積部に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部が下降する量、前記包装部に包装媒体を送る動作のリトライ回数、包装された包装硬貨を前記包装部から排出する動作のリトライ回数、および前記包装部における硬貨の包装速度のうち少なくとも一つの項目に係る設定値である、硬貨包装システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の硬貨包装機では、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨が硬貨包装機に送られるとこのような異常硬貨は排除されてしまったり、あるいは硬貨通路で詰まりを起こしてしまい硬貨包装機の動作が停止してしまったりするという問題があった。また、特許文献1乃至3に開示されるような硬貨包装機を用いることにより硬貨通路や硬貨集積部の内径等の様々な寸法を変更して異常硬貨を包装しようとしても、設定変更に時間がかかり異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができなかった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができる硬貨包装機、硬貨包装システムおよび硬貨包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の硬貨包装機は、複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する硬貨包装機であって、包装されるべき硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた硬貨を積層状態に集積し、集積された複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する包装部と、前記搬送部に設けられ、前記包装部に送られる前の硬貨を識別する識別部と、前記識別部により正常であると検知される正常硬貨のみを包装するための正常硬貨包装モードおよび前記識別部により正常ではないと検知される異常硬貨を含む硬貨を包装するための異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択するための包装モード選択部と、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様をそれぞれ記憶する記憶部と、前記包装モード選択部により選択された包装モードに対応する、前記記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう前記硬貨包装機の各構成部材を制御する制御部と、を備え
、前記記憶部に記憶される、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様は、前記搬送部における硬貨の搬送路の高さ、前記搬送路の幅の大きさ、投入された硬貨の繰り出しを行うための繰出部から前記搬送部への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数、前記搬送部による硬貨の搬送速度、前記搬送部による前記包装部への硬貨の搬送動作のリトライ回数、前記包装部に送られるべき硬貨が集積される集積部に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部が下降する量、前記包装部に包装媒体を送る動作のリトライ回数、包装された包装硬貨を前記包装部から排出する動作のリトライ回数、および前記包装部における硬貨の包装速度のうち少なくとも一つの項目に係る設定値であることを特徴とする。
【0009】
このような硬貨包装機によれば、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択し、選択された包装モードに対応する、記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう各構成部材を制御することにより、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも異常硬貨包装モードを選択することによってこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で異常硬貨を処理することができ、よって硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができる。
【0010】
本発明の硬貨包装機
においては
、前記包装モード選択部は、前記識別部により識別される硬貨が正常硬貨ではないことが検知されたときに前記異常硬貨包装モードを選択可能とするようになっていてもよい。
【0011】
本発明の硬貨包装機は、前記搬送部により搬送される硬貨を前記包装部に送るか否かの選別を行う選別部を更に備え、前記制御部は、前記包装モード選択部により前記異常硬貨包装モードが選択されると、前記識別部による硬貨の識別結果にかかわらず、前記搬送部により搬送される硬貨を前記選別部により選別しないで全て前記包装部に送るよう前記硬貨包装機の各構成部材を制御するようになっていてもよい。
【0013】
この場合、前記異常硬貨包装モードに対応する各前記設定値のうち少なくとも一部の項目の前記設定値を任意で設定することができるようになっていてもよい。
【0014】
また、この際に、前記異常硬貨包装モードに対応する各前記設定値のうち少なくとも一部の項目の前記設定値が設定されると他の項目の前記設定値が自動で設定されるようになっていてもよい。
【0015】
また、前記異常硬貨包装モードに対応する各前記設定値のうち少なくとも一部の項目の前記設定値を任意で設定したときに、設定された前記設定値が前記記憶部に記憶されるようになっていてもよい。
【0016】
また、前記記憶部は持ち運び可能な記憶媒体からなり、前記硬貨包装機には、前記記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部が設けられており、前記記憶媒体に記憶された各前記設定値を他の硬貨包装機の前記読取部に読み取らせることにより、他の硬貨包装機でも元の硬貨包装機の前記記憶媒体に記憶された各前記設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになっていてもよい。
【0017】
あるいは、本発明の硬貨包装機は、前記記憶部に記憶された各前記設定値を他の装置に送信するための通信部を更に備え、前記記憶部に記憶された各前記設定値を前記通信部により他の硬貨包装機に送信することにより、他の硬貨包装機でも元の硬貨包装機の前記記憶部に記憶された各前記設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになっていてもよい。
【0018】
本発明の硬貨包装機においては、前記異常硬貨包装モードとして、各項目の前記設定値の少なくとも一部が互いに異なる複数の種類の異常硬貨包装モードが設けられており、前記包装モード選択部により前記異常硬貨包装モードが選択される際に、複数の種類の異常硬貨包装モードからある一つの異常硬貨包装モードが選択されるようになっていてもよい。
【0019】
本発明の硬貨包装システムは、複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する硬貨包装ユニットであって、包装されるべき硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部から送られた硬貨を積層状態に集積し、集積された複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する包装部と、前記包装部に送られる前の硬貨を識別する識別部とを有する硬貨包装ユニットと、前記硬貨包装ユニットに通信可能に接続され、当該硬貨包装ユニットの管理を行う管理装置とを備えた硬貨包装システムであって、前記識別部により正常であると検知される正常硬貨のみを包装するための正常硬貨包装モードおよび前記識別部により正常ではないと検知される異常硬貨を含む硬貨を包装するための異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択するための包装モード選択部と、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様をそれぞれ記憶する記憶部と、前記包装モード選択部により選択された包装モードに対応する、前記記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう前記硬貨包装ユニットの各構成部材を制御する制御部と、を備え
、前記記憶部に記憶される、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様は、前記搬送部における硬貨の搬送路の高さ、前記搬送路の幅の大きさ、投入された硬貨の繰り出しを行うための繰出部から前記搬送部への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数、前記搬送部による硬貨の搬送速度、前記搬送部による前記包装部への硬貨の搬送動作のリトライ回数、前記包装部に送られるべき硬貨が集積される集積部に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部が下降する量、前記包装部に包装媒体を送る動作のリトライ回数、包装された包装硬貨を前記包装部から排出する動作のリトライ回数、および前記包装部における硬貨の包装速度のうち少なくとも一つの項目に係る設定値であることを特徴とする。
【0020】
このような硬貨包装システムによれば、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択し、選択された包装モードに対応する、記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう硬貨包装ユニットの各構成部材を制御することにより、硬貨包装ユニットにおいて変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも異常硬貨包装モードを選択することによってこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で異常硬貨を処理することができ、よって硬貨包装ユニットにおいて硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができる。
【0021】
本発明の硬貨包装方法は、記憶部、識別部および包装部を備えた硬貨包装機により行われる複数の硬貨に包装媒体を巻いて包装する硬貨包装方法であって、前記識別部により正常であると検知される正常硬貨のみを包装するための正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記識別部により正常ではないと検知される異常硬貨を含む硬貨を包装するための異常硬貨包装モードに対応する処理態様をそれぞれ前記記憶部に予め記憶させておく工程と、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択する工程と、硬貨を前記識別部により識別する工程と、前記識別部により識別された硬貨を前記包装部に搬送する工程と、選択された包装モードに対応する、前記記憶部に記憶された処理態様で前記包装部により硬貨の包装処理を行う工程と、を備え
、前記記憶部に記憶される、前記正常硬貨包装モードに対応する処理態様および前記異常硬貨包装モードに対応する処理態様は、包装されるべき硬貨を搬送する搬送部における硬貨の搬送路の高さ、前記搬送路の幅の大きさ、投入された硬貨の繰り出しを行うための繰出部から前記搬送部への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数、前記搬送部による硬貨の搬送速度、前記搬送部による前記包装部への硬貨の搬送動作のリトライ回数、前記包装部に送られるべき硬貨が集積される集積部に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部が下降する量、前記包装部に包装媒体を送る動作のリトライ回数、包装された包装硬貨を前記包装部から排出する動作のリトライ回数、および前記包装部における硬貨の包装速度のうち少なくとも一つの項目に係る設定値であることを特徴とする。
【0022】
このような硬貨包装方法によれば、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択し、選択された包装モードに対応する、記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう各構成部材を制御することにより、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも異常硬貨包装モードを選択することによってこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で異常硬貨を処理することができ、よって硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の硬貨包装機、硬貨包装システムおよび硬貨包装方法によれば、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図5は、本実施の形態による硬貨包装機を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による硬貨包装機の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す硬貨包装機を上方から下方に向かって見たときの内部構成の概略を示す概略構成図であり、
図3は、
図1に示す硬貨包装機における一対の巻込み針およびカム軸の構成を示す側面図である。また、
図4は、
図1に示す硬貨包装機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、
図5は、
図1に示す硬貨包装機の記憶部に記憶される、正常硬貨包装モードおよび各異常硬貨包装モードA〜Cにそれぞれ対応する処理態様を示す表である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態による硬貨包装機10は略直方体形状の筐体11(
図1において二点鎖線で表示)を備えており、この筐体11の上部には、処理されるべき硬貨を投入するためのホッパ12が設けられている。また、筐体11の前面下部には、包装硬貨を筐体11内から筐体11外に投出するための包装硬貨投出部15が設けられている。また、筐体11の側方には、硬貨を包装するためのロール状の包装紙16が載置される包装紙供給台17が設けられており、この包装紙供給台17に載置されているロール状の包装紙16から巻き出された帯状の包装紙16が筐体11内に送られるようになっている。
【0027】
また、
図1に示すように、筐体11の内部には、ホッパ12の下側に硬貨を供給するための供給部18、この供給部18から供給される硬貨を1枚ずつ繰り出すための回転円盤部19、この回転円盤部19から繰り出された硬貨を搬送するための搬送部20、この搬送部20から送られた硬貨を所定枚数ずつ集積するための集積部21、および集積部21から送られた集積硬貨を包装紙16で包装して包装硬貨を作成するための包装部22がそれぞれ設けられている。
【0028】
また、
図1に示すように、筐体11の側方上部には、硬貨包装機10により行われる硬貨の包装処理に係る情報を表示するとともに操作者により操作可能となっている操作表示部13が設けられている。具体的には、操作表示部13は、硬貨包装機10により行われる硬貨の包装処理に係る情報を表示するモニタ13aおよび操作者により操作可能(具体的には、押下可能)となっている複数の操作キー13bを有している。なお、操作表示部13として、
図1に示すようなモニタ13aおよび操作キー13bを有するものではなく、例えばタッチパネル等からなるものが用いられてもよい。
【0029】
このような硬貨包装機10の各構成部材の詳細について以下に説明する。
【0030】
図1および
図2に示すように、供給部18は、供給円盤25およびこの供給円盤25の周囲に配置された周壁26を有している。このような供給部18は、ホッパ12に投入された硬貨を受け入れた供給円盤25の回転によって、硬貨を周壁26の一部が開口された部分を通じて回転円盤部19に所定量ずつ供給するようになっている。
【0031】
また、回転円盤部19は、回転円盤29、この回転円盤29の周囲に配置された周壁30および搬送部20との接続部分に設けられた厚み規制部材31を有している。ここで、厚み規制部材31は、搬送部20との接続部分において回転円盤29の上面との間に硬貨がその厚み方向に1層状態で通過可能とする間隙をあけて配置されている。このような回転円盤部19は、回転円盤29の回転によって、硬貨を厚み規制部材31の下側を通じて厚み方向に1層状態として搬送部20に繰り出すようになっている。
【0032】
搬送部20には、硬貨が搬送される搬送路33が設けられている。この搬送路33は、回転円盤29の上面と同一面に配置される通路底板34、35、ならびにこれらの通路底板34、35の一側と他側とに通路幅方向に移動可能に配置された可動通路部材36、37、38から構成されている。ここで、搬送方向下流側の通路底板35は可動通路部材38と一体的に通路幅方向に移動可能となっている。
【0033】
搬送部20の搬送路33の上方には、硬貨を搬送方向下流側へ向けて搬送する搬送ベルト部39として、搬送方向上流側に配置された第1の搬送ベルト40と、搬送方向下流側に配置された第2の搬送ベルト41とが配置されている。第1の搬送ベルト40は、通路底板34の上方に回転自在に軸支されたプーリ42と、通路底板35の上方に回転自在に軸支されたプーリ43とにわたって掛け回されている。第2の搬送ベルト41は、通路底板35の上方に回転自在に軸支されたプーリ44と、集積部21の上方に回転自在に軸支されたプーリ45とにわたって掛け回されている。これらの第1の搬送ベルト40の搬送方向下流側の端部と第2の搬送ベルト41の搬送方向上流側の端部とは、搬送方向に重複するように通路幅方向に並んで配置されている。
【0034】
なお、本実施の形態では、第1の搬送ベルト40と第2の搬送ベルト41とを搬送方向に重複するように通路幅方向に並んで配置したが、これは小径の硬貨も確実に搬送させるためであり、特にこの配置に限定されることはなく、小径の硬貨であっても搬送できれば、一直線上に搬送ベルト40、41を配置してもよい。
【0035】
また、本実施の形態では、第1の搬送ベルト40および第2の搬送ベルト41をそれぞれ、通路底板34、35に向かう方向および通路底板34、35から遠ざかる方向にそれぞれ移動させることができるようになっている。このことにより、通路底板34、35と、各搬送ベルト40、41との間の隙間の距離の大きさである搬送路33の高さを変えることができるようになっている。
【0036】
搬送部20において、通路底板34と通路底板35との間であって第1の搬送ベルト40の下側に、通路幅が調整された設定金種の硬貨より小径の硬貨を排出するための排出口47が開口形成されている。この排出口47の両側は可動通路部材36と可動通路部材38とで構成されており、可動通路部材36、38の移動によって排出口47の開口幅を変化させることができるようになっている。
【0037】
排出口47より搬送方向下流側であって第1の搬送ベルト40の領域に、硬貨を識別する識別センサ48および硬貨を計数するカウントセンサ49がそれぞれ設けられている。
【0038】
識別センサ48より搬送方向下流側であって第1の搬送ベルト40と第2の搬送ベルト41とが重複する領域に、硬貨を停止させるためのストッパ50が設けられている。このストッパ50は、ストッパ駆動部としてのソレノイド(図示せず)の駆動によって、可動通路部材38側から通路内に進退移動可能となっている。また、本実施の形態では、識別センサ48より搬送方向下流側に追加排出口(図示せず)が設けられている。そして、識別センサ48により識別不能であるがカウントセンサ49により検知された硬貨や、識別センサ48により識別された硬貨のうち包装部22により包装される硬貨の金種ではない硬貨はこのような追加排出口により排出されるようになっている。
【0039】
搬送部20の末端には、この搬送部20の末端から放出される硬貨を検知するためのチェックセンサ51が設けられている。
【0040】
また、可動通路部材36、38は、通路幅調整部53によって、両側の可動通路部材36、38の移動により通路幅が処理する硬貨の金種に応じて調整される。この通路幅調整部53は、可動通路部材38を複数の軸54で通路幅方向にスライド可能に支持している。また、可動通路部材38の外側に通路幅調整カム55が設けられており、通路幅方向に対応した通路幅調整カム55の両側に、可動通路部材36、38に連結されたベアリング56、57が当接されている。そして、処理する硬貨の金種に応じて通路幅調整カム55を回転させ、可動通路部材36、38を通路幅方向に移動させることにより、通路幅および排出口47の開口幅を調整することができるようになる。
【0041】
また、集積部21は、搬送部20の末端で通路幅方向の両側に互いに対向して上下方向に回動可能として硬貨を集積する一対の集積ベルト61、および搬送部20の末端から放出される硬貨を一対の集積ベルト61間に保持する集積ガイド62を有している。一対の集積ベルト61の表面には、硬貨を載せて集積する硬貨支持部63が設けられている。
【0042】
そして、搬送部20の末端から放出される硬貨を一対の集積ベルト61の硬貨支持部63上に集積する毎に所定の長さ(具体的には、硬貨1枚の厚さ)分だけ硬貨支持部63が下降するように一対の集積ベルト61を回動させていくことにより、集積部21に所定枚数の硬貨を集積する。集積部21に集積された集積硬貨は下方の包装部22へ移動させられるようになっている。
【0043】
図1に示すように、包装部22は3本の包装ローラ67を有しており、これらの包装ローラ67間に集積部21で集積した集積硬貨を配置して挟み込むとともに回転させながら、所定長さの包装紙16を供給し、集積硬貨の周囲に包装紙16を巻き付け、上下一対の巻込み針68で包装紙16の上下の端部を集積硬貨の上下の端面に巻込んでかしめ、包装硬貨を作成する。作成した包装硬貨は下方へ放出し、包装硬貨投出部15へ投出する。
【0044】
所定長さの包装紙16を供給するために、帯状の包装紙16を給紙する給紙ローラ69、および包装紙16を所定長さに切断するカッター70がそれぞれ設けられている。
【0045】
図3に示すように、上下一対の巻込み針68は、各巻込み針68を支持する支持部71が支持軸72によって上下方向にスライド可能に支持されている。支持軸72の近傍には支持軸72と平行にカム軸73が回転可能に配置され、このカム軸73に取り付けられたカム74に従動する各アーム75を介して巻込み針68が上下方向にスライドする。各アーム75は、一端が軸76で定位置に回転可動に支持され、他端が各支持部71に連結され、中間部がカム74に当接して従動する。そして、カム軸73の1回転で1回の包装紙16の巻込み動作が完了するものであり、初期位置では上下一対の巻込み針68が互いに離間した位置にあり、カム軸73の回転開始とともに上下一対の巻込み針68が互いに接近する方向に移動し、包装紙16の巻込み終了後に上下一対の巻込み針68が互いに離間する方向に移動して初期位置に戻るように構成されている。さらに、カム軸73の回転により、上下一対の巻込み針68は、待機時には3本の包装ローラ67間から退避するよう移動し、包装紙16の巻込み動作時には3本の包装ローラ67間に入って移動するように構成されている。
【0046】
次に、本実施の形態による硬貨包装機10を制御する制御部81について
図4を用いて説明する。
図4に示すように、制御部81には、操作表示部13、識別センサ48、カウントセンサ49、チェックセンサ51、供給部18、回転円盤部19、搬送部20、搬送ベルト部39、集積部21、包装部22がそれぞれ通信可能に接続されている。
【0047】
図4に示すように、供給部18は、供給円盤25を回転駆動させる供給モータ84を有している。また、回転円盤部19は、回転円盤29を回転駆動させる回転円盤モータ85を有している。また、搬送部20は、通路幅調整カム55を回転駆動させる通路幅モータ86、およびストッパ50を移動させるストッパ駆動部としてのストッパソレノイド87をそれぞれ有している。そして、通路幅モータ86が通路幅調整カム55を回転駆動させることにより、通路幅を広げて排出口47から硬貨を排出する。
【0048】
また、
図4に示すように、搬送ベルト部39は、第1の搬送ベルト40を正逆回転駆動させる第1のモータ89、第2の搬送ベルト41を正逆回転駆動させる第2のモータ90、および通路底板34、35に対する各搬送ベルト40、41の高さを上下させる硬貨案内モータ91をそれぞれ有している。また、集積部21は、一対の各集積ベルト61を回転駆動させる集積モータ92、93、および一対の集積ベルト61の間隔を硬貨の金種に応じて調整する内径モータ94をそれぞれ有している。また、包装部22は、包装ローラ67を回転駆動させる包装ローラ駆動部としての包装ローラモータ95、カム軸73を1回転させて上下の巻込み針68で包装紙16の端部を集積硬貨の端面に巻込んでかしめさせる巻込み針駆動部としてのカム軸モータ96、および給紙ローラ69を回転駆動させる給紙モータ97をそれぞれ有している。
【0049】
また、
図4に示すように、制御部81には記憶部82が通信可能に接続されている。記憶部82には、金種毎に設定された通路幅や、包装ローラ67の回転速度、包装紙16の巻込み速度等、予め定められた値が記憶されている。また、本実施の形態では、記憶部82には、正常な硬貨を包装する際に用いられる正常硬貨包装モードに対応する処理態様および変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する際に用いられる異常硬貨包装モードに対応する処理態様がそれぞれ記憶されるようになっている。このような記憶部82における記憶内容の詳細については後述する。
【0050】
また、制御部81には包装モード選択部98が通信可能に接続されている。このような包装モード選択部98により、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードが選択されるようになる。このような包装モード選択部98の機能の詳細については後述する。また、制御部81には通信部99が通信可能に接続されている。制御部81は通信部99によりこの制御部81が設けられた硬貨包装機10とは別の装置(例えば、上位端末や別の硬貨包装機10)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0051】
次に、このような構成からなる硬貨包装機10の動作(具体的には、硬貨包装機10による硬貨の包装処理)について説明する。なお、以下に示すような硬貨包装機10の動作は、制御部81が当該硬貨包装機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
【0052】
まず、操作者は操作表示部13の操作キー13bにより正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちどちらの包装モードで硬貨の包装処理を行うかを制御部81に手動で入力する。包装モード選択部98は、操作表示部13の操作キー13bにより手動で入力された情報に基づいて、正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択する。以下の説明では、まず包装モード選択部98により正常硬貨包装モードが選択された場合について述べる。
【0053】
包装モードの選択が行われた後、操作者は硬貨をホッパ12に投入し、操作表示部13の操作キー13bにより硬貨の包装処理開始の指令を制御部81に手動で入力する。硬貨の包装処理開始の指令が制御部81に入力されると、供給部18の供給円盤25、回転円盤部19の回転円盤29、搬送部20の各搬送ベルト40、41がそれぞれ回転する。このことにより、ホッパ12内の硬貨は供給円盤25から回転円盤29に供給され、この回転円盤29の回転によって硬貨が1枚ずつ搬送部20に繰り出される。
【0054】
搬送部20では、回転円盤29から繰り出された硬貨を第1の搬送ベルト40により搬送路33内に掻き出して搬送方向下流側へ向けて搬送する。搬送路33内で搬送される硬貨は識別センサ48により識別される。ここで、識別センサ48により識別された硬貨が包装対象となる金種の硬貨でありかつ正常な硬貨である場合には、当該硬貨は搬送部20の末端に搬送されて集積部21に放出され、この集積部21に集積される。また、識別センサ48で所定枚数の硬貨が検知されると、次の硬貨をストッパ50で停止させ、所定枚数の硬貨を集積部21に集積させる。一方、識別センサ48により識別された硬貨が包装対象となる金種の硬貨ではなかったり包装対象となる金種の硬貨であるが正常な硬貨ではなかったりした場合には、当該硬貨は追加排出口から排出されるようになる。そして、集積部21で所定枚数集積された集積硬貨は包装部22に移動させられ、3本の包装ローラ67間で挟み込まれる。そして、各包装ローラ67を包装ローラモータ95で回転駆動させることにより、各包装ローラ67とともに集積硬貨を回転させる。
【0055】
その後、回転する集積硬貨と包装ローラ67との間に包装紙16の先端を供給し、集積硬貨の周囲に包装紙16を巻き付ける。包装紙16は、包装途中で所定の長さとなるようカッター70で切断される。その後、カム軸モータ96によりカム軸73を回転させ、包装紙16の巻込み動作を開始する。カム軸73が定位置から回転を始めると、上下一対の巻込み針68が互いに接近するよう移動し、このことにより包装紙16の上下の端部を集積硬貨の上下の端面に巻込んでかしめ、包装硬貨を作成する。その後、上下一対の巻込み針68が互いに離間するよう移動し、これらの巻込み針68が初期位置に戻り、カム軸73が1回転して停止する。
【0056】
その後、包装部22により作成された包装硬貨は下方に放出され、包装硬貨投出部15へ投出される。
【0057】
本実施の形態による硬貨包装機10では、正常な硬貨を包装する際に用いられる正常硬貨包装モードに対応する処理態様および変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する際に用いられる異常硬貨包装モードに対応する処理態様がそれぞれ予め設定されており、包装モード選択部98において正常硬貨包装モードが選択された場合にはこの正常硬貨包装モードに対応する処理態様で硬貨の包装処理が行われ、また、包装モード選択部98において異常硬貨包装モードが選択された場合にはこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で硬貨の包装処理が行わるようになっている。具体的には、記憶部82には、正常硬貨包装モードに対応する処理態様および異常硬貨包装モードに対応する処理態様がそれぞれ記憶されており、制御部81は、包装モード選択部98により選択された包装モードに対応する、記憶部82に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう硬貨包装機10の各構成部材を制御するようになっている。
【0058】
記憶部82に記憶されている、正常硬貨包装モードに対応する処理態様および異常硬貨包装モードに対応する処理態様について
図5に示す表を用いて説明する。
【0059】
図5の表に示すように、正常硬貨包装モードに対応する処理態様および異常硬貨包装モードに対応する処理態様として、「搬送路高さh」「搬送路幅w」「繰り出し動作のリトライ回数a」「搬送速度v」「搬送動作のリトライ回数b」「集積部での硬貨の下げ量p」「包装紙送り動作のリトライ回数c」「排出動作のリトライ回数d」「包装速度q」が挙げられている。ここで、「搬送路高さh」とは、搬送部20の搬送路33の高さのことをいい、具体的には、通路底板34、35と、各搬送ベルト40、41との間の隙間の大きさのことをいう。上述したように、本実施の形態では、硬貨案内モータ91によって、第1の搬送ベルト40および第2の搬送ベルト41をそれぞれ通路底板34、35に向かう方向および通路底板34、35から遠ざかる方向にそれぞれ移動させることができるようになっているため、通路底板34、35と、各搬送ベルト40、41との間の隙間の距離の大きさである搬送路33の高さを変えることができるようになる。また、「搬送路幅w」は、搬送部20の搬送路33の幅の大きさのことをいい、具体的には、両側の可動通路部材36、38の間の大きさのことをいう。上述したように、本実施の形態では通路幅調整部53によって各可動通路部材36、38を搬送路33の幅方向に移動させることにより当該搬送路33の幅の大きさを変えることができるようになる。
【0060】
また、「繰り出し動作のリトライ回数a」とは、回転円盤部19の回転円盤29から搬送部20の搬送路33への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数のことをいう。具体的には、回転円盤部19の回転円盤29から搬送部20の搬送路33へ硬貨を繰り出す際に硬貨が例えば厚み規制部材31等に引っ掛かることにより硬貨の繰出不良が発生した場合には、回転円盤部19の回転円盤29を停止させることにより当該回転円盤29から搬送部20の搬送路33への硬貨の繰り出しを一旦停止させ、その後回転円盤29を所定時間逆回転させる。その後、再び回転円盤29を順方向に回転させて当該回転円盤29から搬送部20の搬送路33への硬貨の繰り出し動作を再開させることを「繰り出し動作のリトライ」という。このような硬貨の繰り出し動作のリトライが予め設定された所定のリトライ回数だけ行われても依然として硬貨の繰出不良が続く場合には、硬貨包装機10全体の動作が停止され、操作表示部13のモニタ13a等に警告表示がなされるようになる。
【0061】
また、「搬送速度v」とは、搬送部20の搬送路33における硬貨の搬送速度のことを示している。本実施の形態では搬送ベルト部39の第1のモータ89や第2のモータ90によって第1の搬送ベルト40や第2の搬送ベルト41の回転速度を変えることにより硬貨の搬送速度を変えることができるようになっている。また、「搬送動作のリトライ回数b」とは、搬送部20における硬貨の搬送動作のリトライ回数のことをいう。搬送部20において各搬送ベルト40、41により硬貨の搬送を行う際に硬貨の詰まり等の搬送不良が発生した場合には、各搬送ベルト40、41を停止させることにより搬送部20における硬貨の搬送動作を一旦停止させ、その後各搬送ベルト40、41を逆転させる。その後、再び各搬送ベルト40、41を順方向に回転させて搬送部20における硬貨の搬送動作を再開させることを「搬送動作のリトライ」という。このような硬貨の搬送動作のリトライが予め設定された所定のリトライ回数だけ行われても依然として硬貨の搬送不良が続く場合には、硬貨包装機10全体の動作が停止され、操作表示部13のモニタ13a等に警告表示がなされるようになる。また、集積部21に集積された集積硬貨のうち最上層にある硬貨を搬送部20に戻し、搬送部20から各搬送ベルト40、41により硬貨を集積部21に再び送る場合がある。このような動作も上記の「搬送動作のリトライ」に含まれるものとする。
【0062】
また、「集積部での硬貨の下げ量p」とは、集積部21に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部63が下降する量のことをいう。このような集積部21での硬貨の下げ量は、集積モータ92、93が一対の各集積ベルト61を移動させる量を変化させることにより変えることができるようになっている。また、「包装紙送り動作のリトライ回数c」とは、包装部22への包装紙16の送り動作のリトライ回数のことをいう。包装部22において集積硬貨に包装紙16を適切に巻くことができずこの包装部22において包装紙16の滞留が生じてしまうことにより包装部22への包装紙16の送り不良が発生した場合には、包装部22への包装紙16の送り動作を一旦停止させ、その後包装紙16を逆方向に搬送する。その後、再び包装部22への包装紙16の送り動作を再開させることを「包装紙送り動作のリトライ」という。このような包装紙16の送り動作のリトライが予め設定された所定のリトライ回数だけ行われても依然として包装紙16の送り不良が続く場合には、硬貨包装機10全体の動作が停止され、操作表示部13のモニタ13a等に警告表示がなされるようになる。
【0063】
また、「排出動作のリトライ回数d」とは、包装部22において包装紙16により集積硬貨を包装した後に包装硬貨を当該包装部22から落下させて包装硬貨投出部15に送る動作のリトライ回数のことをいう。包装部22において包装紙16により集積硬貨を包装した後に包装硬貨を3本の包装ローラ67から落下させる際に落下すべき包装硬貨が引っ掛かってしまい包装硬貨投出部15に送られなかった場合には、包装部22から包装硬貨を落下させる動作が繰り返されるようになる。このような包装部22から包装硬貨を落下させる動作を繰り返すことを「排出動作のリトライ」という。このような包装部22から包装硬貨を落下させる動作のリトライが予め設定された所定のリトライ回数だけ行われても依然として包装硬貨が包装硬貨投出部15に送られない場合には、硬貨包装機10全体の動作が停止され、操作表示部13のモニタ13a等に警告表示がなされるようになる。また、「包装速度q」とは、包装部22における硬貨の包装速度のことをいい、具体的には各包装ローラ67の回転速度や巻込み針68が包装紙16の両端を集積硬貨の端面に巻込む巻込み速度のことをいう。このような包装部22における硬貨の包装速度は、包装ローラモータ95による各包装ローラ67の回転速度やカム軸モータ96による巻込み針68の移動速度を変えることにより変化するようになっている。
【0064】
本実施の形態では、上述したように、硬貨の包装モードとして、正常な硬貨を包装する際に用いられる正常硬貨包装モードおよび変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を処理する際に用いられる異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードが選択されるようになっているが、
図5の表に示すように、正常硬貨包装モードに対応する処理態様として、「搬送路高さh
0」「搬送路幅w
0」「繰り出し動作のリトライ回数a
0」「搬送速度v
0」「搬送動作のリトライ回数b
0」「集積部での硬貨の下げ量p
0」「包装紙送り動作のリトライ回数c
0」「排出動作のリトライ回数d
0」「包装速度q
0」がそれぞれ記憶部82に記憶されており、包装モード選択部98により正常硬貨包装モードが選択されると、この記憶部82に記憶された正常硬貨包装モードに対応する処理態様に基づいて制御部81は硬貨包装機10の各構成部材を制御するようになる。具体的には、硬貨案内モータ91によって第1の搬送ベルト40および第2の搬送ベルト41をそれぞれ通路底板34、35に向かう方向または通路底板34、35から遠ざかる方向にそれぞれ移動させることにより、通路底板34、35と、各搬送ベルト40、41との間の隙間の距離の大きさである搬送路33の高さを「搬送路高さh
0」と同じ大きさとなるようにする。また、通路幅調整部53によって各可動通路部材36、38を搬送路33の幅方向に移動させることにより当該搬送路33の幅の大きさを「搬送路幅w
0」と同じ大きさとなるようにする。また、搬送ベルト部39の第1のモータ89や第2のモータ90によって第1の搬送ベルト40や第2の搬送ベルト41の回転速度を変えることにより搬送部20の搬送路33における硬貨の搬送速度を「搬送速度v
0」と同じ大きさとなるようにする。また、集積モータ92、93が一対の各集積ベルト61を移動させる量を変化させることにより、集積部21に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部63が下降する量を「集積部での硬貨の下げ量p
0」と同じ大きさとなるようにする。また、包装ローラモータ95による各包装ローラ67の回転速度やカム軸モータ96による巻込み針68の移動速度を変えることにより、包装部22における硬貨の包装速度を「包装速度q
0」と同じ大きさとなるようにする。
【0065】
また、包装モード選択部98により正常硬貨包装モードが選択された場合には、回転円盤部19の回転円盤29から搬送部20の搬送路33への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数が「繰り出し動作のリトライ回数a
0」に達したとき、搬送部20における硬貨の搬送動作のリトライ回数が「搬送動作のリトライ回数b
0」に達したとき、包装部22への包装紙16の送り動作のリトライ回数が「包装紙送り動作のリトライ回数c
0」に達したとき、または包装部22から包装硬貨を落下させて包装硬貨投出部15に送る動作のリトライ回数が「排出動作のリトライ回数d
0」に達したときに、硬貨包装機10全体の動作が停止され、操作表示部13のモニタ13a等に警告表示がなされるようになる。
【0066】
また、本実施の形態では、
図5の表に示すように、異常硬貨包装モードとして各項目の設定値の少なくとも一部が互いに異なる3つの異常硬貨包装モードA〜Cが予め設定されており、各異常硬貨包装モードA〜Cに対応する処理態様として、「搬送路高さh
1〜h
3」「搬送路幅w
1〜w
3」「繰り出し動作のリトライ回数a
1〜a
3」「搬送速度v
1〜v
3」「搬送動作のリトライ回数b
1〜b
3」「集積部での硬貨の下げ量p
1〜p
3」「包装紙送り動作のリトライ回数c
1〜c
3」「排出動作のリトライ回数d
1〜d
3」「包装速度q
1〜q
3」がそれぞれ記憶部82に記憶されている。このように、複数(具体的には3つ)の種類の異常硬貨包装モードA〜Cが設定されていることにより、異常硬貨の様々な種類に応じて異常硬貨包装モードの種類を変えることができるようになる。例えば、変形硬貨と汚損硬貨とで異常硬貨包装モードの種類を変えることができる。
【0067】
ここで、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨は正常な硬貨と比較して硬貨の厚み等が大きく搬送動作や包装動作で処理しにくいと考えられるため、各異常硬貨包装モードA〜Cに対応する処理態様に係る各項目の数値は正常硬貨包装モードに対応する処理態様に係る各項目の数値よりも緩い条件となるよう設定されている。具体的には、各異常硬貨包装モードA〜Cに係る「搬送路高さh
1〜h
3」「搬送路幅w
1〜w
3」「集積部での硬貨の下げ量p
1〜p
3」は正常硬貨包装モードに係る「搬送路高さh
0」「搬送路幅w
0」「集積部での硬貨の下げ量p
0」よりもそれぞれ大きくなっており、各異常硬貨包装モードA〜Cに係る「包装速度q
1〜q
3」は正常硬貨包装モードに係る「包装速度q
0」よりも小さくなっている。また、各異常硬貨包装モードA〜Cに係る「繰り出し動作のリトライ回数a
1〜a
3」「搬送動作のリトライ回数b
1〜b
3」「包装紙送り動作のリトライ回数c
1〜c
3」「排出動作のリトライ回数d
1〜d
3」はそれぞれ正常硬貨包装モードに係る「繰り出し動作のリトライ回数a
0」「搬送動作のリトライ回数b
0」「包装紙送り動作のリトライ回数c
0」「排出動作のリトライ回数d
0」よりも多くなっており、各異常硬貨包装モードA〜Cではより多くの回数のリトライを行うことができるようになっている。
【0068】
上述したように、本実施の形態による硬貨包装機10において硬貨の包装処理を行うにあたり、操作者はホッパ12に硬貨を投入する前に操作表示部13の操作キー13bによって正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モード(具体的には、異常硬貨包装モードA〜C)のうちいずれかの処理モードを手動で制御部81に入力する。ここで、ホッパ12に投入される硬貨が全て正常な硬貨である場合には操作者は正常硬貨包装モードを選択し、ホッパ12に投入される硬貨に変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨が含まれている場合には操作者は異常硬貨包装モードA〜Cのうちいずれかの異常硬貨包装モードを選択する。ここで、各異常硬貨包装モードA〜Cに対応する処理態様に係る各項目の数値は正常硬貨包装モードに対応する処理態様に係る各項目の数値よりも緩い条件となるよう設定されているため、ホッパ12に投入された異常硬貨が回転円盤部19から搬送部20に繰り出されて包装部22に送られても硬貨の繰出不良や搬送異常が発生することが抑制され、包装部22において異常硬貨を含む集積硬貨に包装紙16を巻いて包装硬貨を確実に作成することができるようになる。
【0069】
なお、本実施の形態では、正常硬貨包装モードや異常硬貨包装モードA〜Cに対応する処理態様として、「搬送路高さh」「搬送路幅w」「繰り出し動作のリトライ回数a」「搬送速度v」「搬送動作のリトライ回数b」「集積部での硬貨の下げ量p」「包装紙送り動作のリトライ回数c」「排出動作のリトライ回数d」「包装速度q」の全てが記憶部82に記憶されることに限定されることはなく、これらの各設定値のうち一部のもののみが記憶部82に記憶され、包装モード選択部98により正常硬貨包装モードや異常硬貨包装モードA〜Cが選択されたときに上記の各設定値のうち一部のもののみが用いられるようになっていてもよい。
【0070】
また、本実施の形態による硬貨包装機10では、搬送部20に搬送される硬貨を包装部22に送るか否かの選別を行う選別部として追加排出口(図示せず)が設けられているが、制御部81は、包装モード選択部98により異常硬貨包装モードA〜Cが選択されると、識別センサ48により識別された硬貨が包装対象となる金種の硬貨である場合には、当該識別センサ48による硬貨の識別結果にかかわらず、すなわち識別センサ48により変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨が検知されたときでも、搬送部20により搬送される硬貨を追加排出口から排出しないで全て包装部22に送るよう硬貨包装機10の各構成部材を制御するようになっている。上述したように、各異常硬貨包装モードA〜Cに対応する処理態様に係る各項目の数値は正常硬貨包装モードに対応する処理態様に係る各項目の数値よりも緩い条件となるよう設定されているため、異常硬貨を追加排出口から排出しないで搬送部20から包装部22に送っても当該包装部22において詰まり等のトラブルが発生することが少ないと考えられるからである。
【0071】
また、
図5の表に示すような異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値(具体的には、「搬送路高さh
1〜h
3」「搬送路幅w
1〜w
3」「繰り出し動作のリトライ回数a
1〜a
3」「搬送速度v
1〜v
3」「搬送動作のリトライ回数b
1〜b
3」「集積部での硬貨の下げ量p
1〜p
3」「包装紙送り動作のリトライ回数c
1〜c
3」「排出動作のリトライ回数d
1〜d
3」「包装速度q
1〜q
3」)のうち少なくとも一部の項目の設定値を任意で設定することができるようになっている。このような設定は例えば操作者が操作表示部13の操作キー13bにより行うことができる。また、異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値の全てを手動で設定する必要はなく、異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目の設定値を手動で設定すると他の項目の設定値が自動で設定されるようになっていてもよい。また、異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目の設定値を任意で設定したときに、設定された設定値が記憶部82に記憶されるようになっている。
【0072】
また、本実施の形態による硬貨包装機10では、記憶部82として、当該硬貨包装機10の筐体11から取り外し可能な記録媒体(例えば、USBメモリやSDカード等)が用いられるようになっていてもよい。この場合には、硬貨包装機10には、記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部(図示せず)が設けられるようになる。また、この場合には、記憶媒体に記憶された異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値および異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目を任意で設定した設定値を他の硬貨包装機10の読取部に読み取らせることにより、他の硬貨包装機10でも元の硬貨包装機10の記憶媒体に記憶された異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値、または異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目を任意で設定した設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになる。
【0073】
また、記憶部82に記憶された異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値および異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目を任意で設定した設定値を、通信部99により他の硬貨包装機10に送信することができるようになっていてもよい。この場合には、他の硬貨包装機10でも元の硬貨包装機10の記憶部82に記憶された異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値、または異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目を任意で設定した設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになる。このように、処理する硬貨の状況に応じて既存の異常硬貨包装モードA〜Cに改善を加えた設定値を他の硬貨包装機10と共有することで、元の硬貨包装機10に留まらず他の硬貨包装機10においても異常硬貨を効率良く処理することが可能となる。
【0074】
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨包装機10およびこのような硬貨包装機10による硬貨包装方法によれば、包装モード選択部98により正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択し、選択された包装モードに対応する、記憶部82に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう制御部81が各構成部材を制御することにより、変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも異常硬貨包装モードを選択することによってこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で異常硬貨を処理することができ、よって硬貨の搬送路33等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができるようになる。
【0075】
また、本実施の形態の硬貨包装機10においては、上述したように、搬送部20により搬送される硬貨を包装部22に送るか否かの選別を行う選別部として追加排出口が設けられており、制御部81は、包装モード選択部98により異常硬貨包装モードが選択されると、識別センサ48による硬貨の識別結果にかかわらず、搬送部20により搬送される硬貨を選別部により選別しないで(すなわち、追加排出口により排出しないで)全て包装部22に送るよう硬貨包装機10の各構成部材を制御するようになっている。上述したように異常硬貨包装モードに対応する処理態様に係る各項目の数値は正常硬貨包装モードに対応する処理態様に係る各項目の数値よりも緩い条件となるよう設定されているため、異常硬貨を追加排出口から排出しないで搬送部20から包装部22に送っても当該包装部22において詰まり等のトラブルが発生することが少ないと考えられるからである。
【0076】
また、本実施の形態の硬貨包装機10においては、上述したように、記憶部82に記憶される、正常硬貨包装モードに対応する処理態様および異常硬貨包装モードに対応する処理態様は、搬送部20における硬貨の搬送路33の高さ、搬送路33の幅の大きさ、投入された硬貨の繰り出しを行うための繰出部(具体的には、回転円盤部19)から搬送部20への硬貨の繰り出し動作のリトライ回数、搬送部20による硬貨の搬送速度、搬送部20による包装部22への硬貨の搬送動作のリトライ回数、包装部22に送られるべき硬貨が集積される集積部21に硬貨が1枚ずつ集積される度に硬貨支持部63が下降する量、包装部22に包装媒体(具体的には、包装紙16)を送る動作のリトライ回数、包装された包装硬貨を包装部22から排出する動作のリトライ回数、および包装部22における硬貨の包装速度のうち少なくとも一つの項目に係る設定値である。
【0077】
また、本実施の形態の硬貨包装機10においては、上述したように、異常硬貨包装モードに対応する上記の各設定値のうち少なくとも一部の項目の設定値を任意で設定することができるようになっていてもよい。この場合、異常硬貨包装モードに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目の設定値が設定されると他の項目の設定値が自動で設定されるようになっていてもよい。また、異常硬貨包装モードに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目の設定値を任意で設定したときに、設定された設定値が記憶部82に記憶されるようになっていてもよい。この際に、記憶部82は持ち運び可能な記憶媒体からなり、硬貨包装機10には、記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部が設けられており、記憶媒体に記憶された各設定値を他の硬貨包装機10の読取部に読み取らせることにより、他の硬貨包装機10でも元の硬貨包装機10の記憶媒体に記憶された各設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになっていてもよい。あるいは、記憶部82に記憶された各設定値を通信部99により他の硬貨包装機10に送信することにより、他の硬貨包装機10でも元の硬貨包装機10の記憶部82に記憶された各設定値で硬貨の包装処理を行うことができるようになっていてもよい。
【0078】
また、本実施の形態の硬貨包装機10においては、上述したように、異常硬貨包装モードとして、各項目の設定値の少なくとも一部が互いに異なる複数の種類の異常硬貨包装モードA〜Cが設けられており、包装モード選択部98により異常硬貨包装モードが選択される際に、複数の種類の異常硬貨包装モードA〜Cからある一つの異常硬貨包装モードが選択されるようになっている。このように、複数(具体的には3つ)の種類の異常硬貨包装モードA〜Cが設定されていることにより、異常硬貨の様々な種類に応じて異常硬貨包装モードの種類を変えることができるようになる。
【0079】
なお、本実施の形態による硬貨包装機10や硬貨包装方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0080】
例えば、包装モード選択部98により正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択するにあたり、操作者が操作表示部13の操作キー13bにより正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを制御部81に手動で入力する代わりに、識別センサ48による硬貨の識別結果に基づいて包装モード選択部98により正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードが自動で選択されるようになっていてもよい。より詳細には、通常時には正常硬貨包装モードで硬貨の包装処理が行われ、識別センサ48により識別された硬貨が変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨であると制御部81において判断されると包装モード選択部98により異常硬貨包装モードが自動的に選択されるようになっていてもよい。この場合には、ホッパ12に投入される硬貨に異常硬貨が混じっていることを操作者が気づかなくてもこのような異常硬貨を確実に包装して包装硬貨を作成することができるようになる。
【0081】
また、本発明による原理は、単体で用いられる硬貨包装機10以外にも、硬貨に包装紙を巻いて包装する包装ユニットを複数備えた硬貨包装システムに適用することができる。このような硬貨包装システムは、硬貨を例えば金種別に選別する選別ユニットと、選別された硬貨の種類毎に包装処理を行う複数の硬貨包装ユニットと、これらの選別ユニットや複数の硬貨包装ユニットの管理を行う管理装置とを備えており、
図1乃至
図4に示すような単体で用いられる硬貨包装機10に設けられた上記の包装モード選択部98、記憶部82および制御部81のうち少なくとも一部または全部が硬貨包装システムの管理装置に設けられるようになっている。なお、上記の包装モード選択部98、記憶部82および制御部81のうち硬貨包装システムの管理装置に設けられないものは各硬貨包装ユニットにそれぞれ設けられるようになる。このような硬貨包装システムでも、例えば管理装置において包装モード選択部により正常硬貨包装モードおよび異常硬貨包装モードのうちいずれかの包装モードを選択し、選択された包装モードに対応する、記憶部に記憶された処理態様で硬貨の包装処理を行うよう例えば管理装置の制御部が各硬貨包装ユニットの各構成部材を制御することにより、硬貨包装ユニットにおいて変形硬貨や汚損硬貨等の異常硬貨を包装する場合でも異常硬貨包装モードを選択することによってこの異常硬貨包装モードに対応する処理態様で異常硬貨を処理することができ、よって硬貨の搬送路等で詰まり等の問題が生じることなくこのような異常硬貨を迅速かつ確実に包装して包装硬貨を作成することができるようになる。
【0082】
また、本発明による硬貨包装システムとして、1つの硬貨包装ユニットと、当該硬貨包装ユニットの管理を行う管理装置とを備えたものが用いられてもよい。この場合にも、
図1乃至
図4に示すような単体で用いられる硬貨包装機10に設けられた上記の包装モード選択部98、記憶部82および制御部81のうち少なくとも一部または全部が硬貨包装システムの管理装置に設けられるようになる。
【0083】
また、
図5では、説明の簡略化のために、ある金種についての一例を挙げたが、実際にはこのような表が、少なくとも硬貨包装機10が扱うことのできる金種の数だけ存在する。また、
図5では、正常硬貨包装モードが1つのモードであるとともに、異常硬貨包装モードA〜Cが3つのモードの場合を例にあげて説明したが、別の例として、例えば正常硬貨包装モードを複数設けてもよいし、異常硬貨包装モードとして
図5に示すような3つの異常硬貨包装モードA〜Cよりさらに多くのモードを設けてもよい。さらに、異常硬貨包装モードA〜Cに対応する各設定値のうち少なくとも一部の項目を任意で設定した設定値に関しても、異常硬貨包装モードD、E、F・・・のようにモード数を追加して各設定値を記憶部82に記憶させるようにしてもよい。
【0084】
さらに、
図5の表における搬送速度(v
0〜v
3)、包装速度(q
0〜q
3)は各々一つの値として表現したが、例えば搬送ベルト40と搬送ベルト41でそれぞれ異なった搬送速度として設定してもよいし、正転時と逆転時でそれぞれ異なる搬送速度として設定してもよい。また包装速度(q
0〜q
3)は各々一つの値として表現したが、前述したように、包装速度qとは、包装部22における硬貨の包装速度のことをいい、具体的には各包装ローラ67の回転速度や巻込み針68が包装紙16の両端を集積硬貨の端面に巻込む巻込み速度により決定されるので、一つの包装速度の代わりに、包装ローラモータ95による各包装ローラ67の回転速度、およびカム軸モータ96による巻込み針68の移動速度の複数の速度数値を各モードに対応した設定値としてもよい。