特許第6619948号(P6619948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619948
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】使用済み脱硝触媒の再生方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/92 20060101AFI20191202BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20191202BHJP
   B01J 38/48 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   B01J23/92 A
   B01J23/28 AZAB
   B01J38/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-85472(P2015-85472)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-203066(P2016-203066A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰良
(72)【発明者】
【氏名】今田 尚美
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0005235(US,A1)
【文献】 特開平04−110038(JP,A)
【文献】 特開2005−313161(JP,A)
【文献】 特開昭59−049847(JP,A)
【文献】 特開昭53−026269(JP,A)
【文献】 特開昭63−072343(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086413(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103894240(CN,A)
【文献】 MALIYEKKAL, Shihabudheen M., et al.,As(III) removal from drinking water using manganese oxide-coated-alumina: Performance evaluation and mechanistic details of surface binding,Chemical engineering journal ,2009年,vol.153,p.101 -107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス中に含まれていたヒ素が付着し且つ酸化チタンを主成分として含有する使用済み脱硝触媒を、酸化チタン粒子若しくは酸化アルミニウム粒子に酸化マンガンを担持してなる粒子の懸濁液と接触させ、
液切りし、
次いで乾燥処理すること
を有する、
前記使用済み脱硝触媒からヒ素を除去して、使用済み脱硝触媒を再生する方法。
【請求項2】
酸化マンガンが表面の活性化されたMnO若しくはMnである、請求項に記載の使用済み脱硝触媒再生する方法。
【請求項3】
前記乾燥処理後の脱硝触媒に、バナジウム、モリブデン、およびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を含有する溶液を含浸させ、
次いで乾燥処理すること
をさらに有する、請求項1または2に記載の使用済み脱硝触媒再生する方法。
【請求項4】
懸濁液と接触させる前又は液切りの前に、水洗浄することをさらに有する、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の使用済み脱硝触媒再生する方法。
【請求項5】
酸化チタン粒子若しくは酸化アルミニウム粒子は、その比表面積が80〜200m/gである、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の使用済み脱硝触媒を再生する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み脱硝触媒の再生方法に関する。より詳細に、本発明は、酸化チタンを主成分として含有する使用済み脱硝触媒を、その形状を維持したまま、少ない工程数で、安価に、より高い脱硝性能を有するものに再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンを主成分として含有する触媒は、アンモニアや尿素を用いた脱硝処理において、高い活性と高い耐久性を示すので、国内外で広く使われている。この脱硝触媒は、長期間の使用の間に、排煙中に含まれる触媒毒(アルカリ成分、ヒ素、リンなど)の付着や、触媒自身のシンタリングによる触媒粒子の粗大化などによって脱硝性能が低下する。脱硝性能が低下したときに新しい脱硝触媒に交換する。この交換の際に多量の使用済み脱硝触媒が発生する。この使用済み脱硝触媒を再生して、廃棄物の低減、触媒生産コストの低減などが図られている。
使用済み脱硝触媒の再生方法としては、例えば、特許文献1は、使用済みチタニア系固体触媒を鉱酸で溶解させ、得られた溶液を加熱して加水分解させ、次いでアルカリで中和することを含む方法を開示している。
特許文献2は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素の付着により活性の低下した脱硝触媒の表面に、予め調製した、チタン酸化物とバナジウム酸化物、チタン酸化物とバナジウム酸化物とモリブデン酸化物、チタン酸化物とバナジウム酸化物とタングステン酸化物、チタン酸化物とバナジウム酸化物とモリブデン酸化物とタングステン酸化物、のいずれかを含む触媒成分の粉末、硫酸および/または硫酸の塩類、および水より調製したスラリを、スプレ法または浸漬法によりコーティングすることを有する方法を開示している。
特許文献3は、メタルラスなどの鉄を含む金属製基材と脱硝触媒成分とからなる使用済み脱硝触媒に蓚酸を担持させ、次いでこれをタングステン酸のアンモニウム塩を含む溶液で処理し、次いで乾燥処理することを有する方法を開示している。
特許文献4は、酸化チタン、バナジウムの酸化物、タングステンまたはモリブデンの酸化物、及び硫酸アルミニウムを主成分として含有する使用済み脱硝触媒に、水を含浸させ、次いで50℃以上100℃以下で熱処理することによって触媒中の硫酸アルミニウムを加水分解させ、その後、該触媒を水洗することを有する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−145532号公報
【特許文献2】特開2000−024520号公報
【特許文献3】特開2004−267897号公報
【特許文献4】特開2012−245480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触媒毒を洗浄で除去する方法においては、一般に、次のような課題がある。(1)洗浄のために多量の水または薬液が必要になる。さらに洗浄で生じた廃液の処理に多大なコストがかかる。(2)砒素やリンがオキソ酸の状態で酸化チタンに吸着していると水や薬液による洗浄では十分に除去することができないので、脱硝性能の回復度は低めである。
【0005】
本発明の目的は、酸化チタンを主成分とする使用済み脱硝触媒を、その形状を維持したまま、少ない工程数で、安価に、より高い脱硝性能を有するものに再生する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく検討した結果、以下のような態様を包含する本発明を完成するに至った。
【0007】
〔1〕 酸化チタンを主成分として含有する使用済み脱硝触媒を、酸化マンガンを含む粒子の懸濁液と接触させ、
液切りし、
次いで乾燥処理すること
を有する使用済み脱硝触媒の再生方法。
【0008】
〔2〕 酸化マンガンを含む粒子が、酸化チタン粒子若しくは酸化アルミニウム粒子に酸化マンガンを担持してなるものである、〔1〕に記載の使用済み脱硝触媒の再生方法。
〔3〕 酸化マンガンがMnO若しくはMn34である、〔1〕または〔2〕に記載の使用済み脱硝触媒の再生方法。
〔4〕 前記乾燥処理後の脱硝触媒に、バナジウム、モリブデン、およびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を含有する溶液を含浸させ、
次いで乾燥処理すること
をさらに有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の使用済み脱硝触媒の再生方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再生方法によれば、酸化チタンを主成分とする使用済み脱硝触媒を、その形状をほぼ維持したまま、少ない工程数で、安価に、より高い脱硝性能を有するものに再生することができる。
本発明の再生方法によれば、砒素やリンがオキソ酸の状態で酸化チタンに強く吸着していても、少ない工程数で、安価に、より高い脱硝性能を有するものに再生することができる。
従来法においては洗浄水の大量使用または過酷な条件にしなければ除去することができなかったヒ素化合物を、本発明によって容易に除去することができるようになる。これにより再生できる使用済み脱硝触媒の範囲が大きく広がり、資源の有効利用、再利用に大きく貢献できる。
【0010】
本発明における再生の原理はつぎのようであると推測する。
酸化チタンとヒ酸イオンとは式(1)で表される化学平衡において生成物側(式(1)の右側)に大きく偏っていると考えられる。液相に溶出しているヒ酸イオンが少ないので、1回の洗浄で除去されるヒ素の量が少ない。
酸化マンガンとヒ酸イオンは式(2)などで表される反応をする。この反応でヒ酸イオンが酸化マンガンと反応して沈殿するので、液相中のヒ酸イオン濃度が下がる。その結果、式(1)において左向きの反応が促進される。このようにして酸化チタンに吸着していたヒ素を効率的に除去することができる。
AsO43-+3Ti−OH ⇔ Ti3−AsO4+3OH- (1)
3AsO43-+2MnO → Mn2(AsO43↓ (2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る使用済み脱硝触媒の再生方法は、酸化チタンを主成分として含有する使用済み脱硝触媒を、酸化マンガンを含む粒子の懸濁液と接触させ、液切りし、次いで乾燥処理することを有するものである。
【0012】
本発明に使用される使用済み脱硝触媒は、酸化チタンを主成分として含有するものである。例えば、主成分の酸化チタンと副成分のW、Mo、Vなどの元素を含む酸化物と含んで成る触媒活性物質をハニカム状に成形してなるもの、メタルラスやガラス繊維製板などの板状基材に主成分の酸化チタンと副成分のW、Mo、Vなどの元素を含む酸化物とを含んで成る触媒活性物質を担持してなるものなどが挙げられる。
【0013】
本発明に使用される使用済み脱硝触媒は、水洗浄によって硫酸SO4成分または塩素Cl成分の量が減らされたものであることが好ましい。硫酸成分若しくは塩素成分は酸化マンガンと反応して可溶性のマンガン塩を形成する。係るマンガン塩が脱硝触媒中に移行すると触媒のSO2酸化能を高くすることがある。よって、水洗浄によって硫酸成分若しくは塩素成分の量が減らされた使用済み脱硝触媒を本発明に用いると、SO2酸化能を高めることなく脱硝性能の回復率を高めることができる。
【0014】
本発明に用いられる酸化マンガンは、酸化マンガン(II):MnO、酸化マンガン(II,III):Mn34、酸化マンガン(III):Mn23、酸化マンガン(IV):MnO2などのいずれの形態でもよい。本発明においては、ヒ酸マンガン:Mn2(AsO43を形成しやすいという観点から、酸化マンガン(II):MnO若しくは酸化マンガン(II,III):Mn34が好ましい。
本発明においては市販の酸化マンガンを用いることができる。但し、市販品は酸化マンガンの表面が不活性化している場合があるので、使用前に表面処理を施して表面を活性化させることが好ましい。
また、本発明においては、シュウ酸マンガンなどの2価マンガン塩を窒素気流中などのような還元雰囲気下で約300〜500℃の温度で焼成して得られる酸化マンガン(II):MnOを用いることができる。この方法で得られる酸化マンガン(II):MnOはその表面がヒ酸イオンを吸着し易いので好ましい。
【0015】
本発明に用いられる酸化マンガンを含む粒子は、酸化マンガンのみからなる粒子であってもよいが、ヒ酸イオンなどとの接触面積が増え酸化マンガンの使用量を減らすことができるという観点から、好ましくは酸化マンガンを担体粒子に担持してなる粒子である。
本発明に用いられる担体(carrier)粒子は、特に制限されないが、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子が好ましい。酸化チタン粒子としてはアナターゼ型酸化チタン粒子が好ましい。酸化アルミニウム粒子としては活性アルミナ粒子が好ましい。本発明に用いられる担体粒子は、比表面積によって特に制限されない。担体粒子の比表面積は、好ましくは80〜200m2/gである。
担体粒子への酸化マンガンの担持は、公知の手法によって行うことができる。例えば、酸化チタンまたは酸化アルミニウムなどからなる担体粒子にマンガン酸溶液を含浸(impregnate)させ次いで乾燥処理することを含む方法などが挙げられる。前記担持法においては乾燥処理の代わりにまたは乾燥処理の後に焼成処理を行ってもよい。
担体粒子に担持される酸化マンガンの量は好ましくは1〜20質量%である。
【0016】
本発明に用いられる懸濁液は、懸濁質としての酸化マンガンを含む粒子が懸濁媒に懸濁されたものである。懸濁媒としては水が好ましく用いられる。懸濁状態の酸化マンガンを含む粒子の大きさは、該粒子が懸濁状態を維持できる範囲であれば、特に限定されない。懸濁質として酸化マンガンのみからなる粒子を用いた場合は、懸濁液に含まれる酸化マンガンの量は好ましくは1〜30質量%である。懸濁質として酸化マンガンを担体粒子に担持してなる粒子を用いた場合は、懸濁液に含まれる酸化マンガンを含む粒子の量は好ましくは1〜10質量%である。
【0017】
本発明に用いられる懸濁液は、液中に溶出するヒ酸イオンを酸化マンガンに吸着させてヒ酸塩に変換されやすくするという観点から、酸性であるものが好ましい。懸濁液は、酸性にするために、pH調整物質が含まれていてもよい。pH調整物質としては、有機酸若しくはその塩、無機酸若しくはその塩が挙げられる。有機酸としては、シュウ酸、クエン酸などが挙げられる。無機酸としては硝酸、硫酸などの鉱酸が挙げられる。懸濁液に含まれるpH調整物質の量は、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0018】
使用済み脱硝触媒を懸濁液と接触させる方法は特に限定されない。例えば、該接触は、懸濁液に使用済み脱硝触媒を浸漬するなどして行うことができる。接触を浸漬によって行う場合、使用済み脱硝触媒1質量部に対して懸濁液を3〜20質量部用いることができる。浸漬時の懸濁液の温度は、好ましくは常温〜100℃以下である。懸濁液に使用済み脱硝触媒を浸漬した状態で懸濁液を撹拌しながら20〜200時間保持することが好ましい。懸濁液の撹拌は、攪拌機、ポンプなどで行うことができる。このようにすると、使用済み脱硝触媒中のヒ素が懸濁液にヒ酸イオンなどになって溶出し酸化マンガンに吸着する。
【0019】
次に、所定時間経過後、懸濁液から脱硝触媒を引き上げ、液切りする。液切りの前に必要に応じて水で洗浄してもよい。水洗浄によって表面に付いた酸化マンガンを含む粒子を除去することができる。そして、乾燥処理する。該乾燥処理は、その方法によって特に制限されず、例えば、自然乾燥、常温通風乾燥、高温通風乾燥などによって行うことができる。
【0020】
次に、前記乾燥処理が施された脱硝触媒に、V、Mo、Wなどの触媒副成分を補充することができる。補充の仕方は特に限定されない。例えば、乾燥処理が施された脱硝触媒にバナジウム、モリブデン、およびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む化合物を含有する溶液を含浸させ、次いで乾燥処理することを含む方法で補充することができる。
バナジウム元素を含む化合物としては、硫酸バナジル、メタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウムなどが挙げられる。モリブデン元素を含む化合物としてはモリブデン酸アンモニウムなどが挙げられる。タングステン元素を含む化合物としては、タングステン酸アンモニウムなどが挙げられる。さらに、必要に応じてリン元素やアルミニウム元素を補充することができる。Al若しくはPの補充は、Vなどの補充方法と同様に含浸法で行うことができる。リン元素を含む化合物としてはリン酸、ポリリン酸などが挙げられる。アルミニウム元素を含有する化合物としては、硫酸アルミニウム無水物、硫酸アルミニウム水和物などが挙げられる。
【0021】
前記のような元素を含有する溶液の濃度および量は、再生後の性能を満たすのに必要な触媒成分担持量に基いて適宜設定することができる。
含浸は、溶液を容器に入れ、そこに被再生触媒を浸漬するか、溶液をノズルから被再生触媒の表面に吹き付けるなどして行うことができる。含浸時間は、被再生触媒の細孔内に溶液がしみ込むのに十分な時間であれば特に制限されない。
そして、溶液を含浸させた後、液切りし、乾燥処理することができる。該乾燥処理は、その方法によって特に制限されず、例えば、自然乾燥、常温通風乾燥、高温通風乾燥などによって行うことができる。さらに、乾燥処理の後、必要に応じて焼成処理することができる。
【0022】
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例によって本発明の範囲は制限されない。
【0023】
(脱硝率の測定)
サイズ20mm×100mmの脱硝触媒1枚の充填された350℃の管型反応器に表1に示す組成比のガスを3.1L/minにて供給して、脱硝率を測定した。
【0024】
【表1】
【0025】
(ヒ素およびマンガンの含有量)
触媒を蛍光X線分析して、As及びMnの含有量を、As23およびMnOの質量に換算して算出した。
【0026】
参考例
SUS430製メタルラス基板に、Ti/Mo/Vの原子数比が94/5/1となるように酸化チタン、タングステン酸アンモニウム及びメタバナジン酸アンモニウムを含有する触媒ペーストを塗布し、乾燥させて、板状脱硝触媒を得た。未使用の板状脱硝触媒からヒ素は検出されなかった。
【0027】
該板状触媒を用いて石炭排ガスの脱硝処理を20000時間行った。使用済み脱硝触媒中にヒ素がAs23として2.8質量%検出された。使用済み脱硝触媒の脱硝率は38%であった。
【0028】
使用済み脱硝触媒から100mm×100mmの小片を切り出して試験用の被再生触媒とした。
【0029】
実施例1
シュウ酸マンガン2水和物(キシダ化学社製)を120℃で12時間乾燥させ、次いで500℃の窒素気流中で2時間乾燥処理して、酸化マンガン(II):MnO粉末を得た。MnO粉末10gを100mLの水に添加して懸濁液aを得た。
懸濁液aに被再生触媒1枚を浸漬した。その状態で懸濁液を撹拌しながら60℃で120時間保持した。被再生触媒を懸濁液から取り出して100mLの水で洗浄した。触媒表面に付着していた懸濁質を除去した。その後、十分に液切りし、150℃で1時間乾燥させ、続いて350℃で24時間乾燥させて再生脱硝触媒1aを得た。再生脱硝触媒1aは、ヒ素含有量がAs23として0.8質量%、マンガン含有量がMnOとして0.1質量%未満であった。再生脱硝触媒1aの脱硝率は55%であった。
【0030】
実施例2
シュウ酸マンガン2水和物(キシダ化学社製)を120℃で12時間乾燥させ、次いで500℃の空気気流中で2時間乾燥処理して、酸化マンガン(II,III):Mn34粉末を得た。Mn34粉末10gを100mLの水に添加して懸濁液bを得た。
懸濁液aの代わりに懸濁液bを用いた以外は実施例1と同じ手法で再生脱硝触媒2aを得た。再生脱硝触媒2aは、ヒ素含有量がAs23として1.2質量%、マンガン含有量がMnOとして0.1質量%未満であった。再生脱硝触媒2aの脱硝率は53%であった。
【0031】
実施例3
比表面積90m2/gのアナターゼ型酸化チタン粉末に、硝酸マンガン水溶液を加えて蒸発乾固させた。得られた乾固物を500℃で2時間焼成して、酸化チタン粉末に酸化マンガン10質量%を担持させた。得られた酸化マンガン担持酸化チタン粒子10gを100mLの水に添加して懸濁液cを得た。
懸濁液aの代わりに懸濁液cを用いた以外は実施例1と同じ手法で再生脱硝触媒3aを得た。再生脱硝触媒3aは、ヒ素含有量がAs23として0.9質量%、マンガン含有量がMnOとして0.2質量%であった。再生脱硝触媒3aの脱硝率は54%であった。
【0032】
実施例4
比表面積200m2/gの酸化アルミニウム粉末に、硝酸マンガン水溶液を加えて蒸発乾固させた。得られた乾固物を500℃で2時間焼成して、酸化アルミニウム粉末に酸化マンガン10質量%を担持させた。得られた酸化マンガン担持酸化アルミニウム粒子10gを100mLの水に添加して懸濁液dを得た。
懸濁液aの代わりに懸濁液dを用いた以外は実施例1と同じ手法で再生脱硝触媒4aを得た。再生脱硝触媒4aは、ヒ素含有量がAs23として0.7質量%、マンガン含有量がMnOとして0.2質量%であった。再生脱硝触媒4aの脱硝率は56%であった。
【0033】
比較例1
懸濁液aの代わりに純水100mlを用いた以外は実施例1と同じ手法で再生脱硝触媒1bを得た。結果を表2に示す。
【0034】
比較例2
懸濁液aの代わりに1Nのシュウ酸水溶液100mlを用いた以外は実施例1と同じ手法で再生脱硝触媒2bを得た。結果を表2に示す。
【0035】
実施例5
純水180mlにメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)5gと三酸化モリブデン(MoO3)5gとを溶解させて、黄褐色で透明な溶液を得た。該溶液は示性式:(NH43Mo2315で表される複合オキソ酸塩の水溶液である。
実施例1で得られた再生脱硝触媒1aを該水溶液に30秒間浸漬し、再生脱硝触媒1aに該水溶液を含浸させた。水溶液から脱硝触媒を取り出し、液切りし、次いで120℃で1時間乾燥させ、その後350℃で24時間乾燥させて、再生脱硝触媒5aを得た。
【0036】
実施例6
再生脱硝触媒1aの代わりに再生脱硝触媒2aを用いた以外は実施例5と同じ手法で再生脱硝触媒6aを得た。結果を表2に示す。
【0037】
実施例7
再生脱硝触媒1aの代わりに再生脱硝触媒3aを用いた以外は実施例5と同じ手法で再生脱硝触媒7aを得た。結果を表2に示す。
【0038】
実施例8
再生脱硝触媒1aの代わりに再生脱硝触媒4aを用いた以外は実施例5と同じ手法で再生脱硝触媒8aを得た。結果を表2に示す。
【0039】
比較例3
再生脱硝触媒1aの代わりに再生脱硝触媒1bを用いた以外は実施例5と同じ手法で再生脱硝触媒3bを得た。結果を表2に示す。
【0040】
比較例4
再生脱硝触媒1aの代わりに再生脱硝触媒2bを用いた以外は実施例5と同じ手法で再生脱硝触媒4bを得た。結果を表2に示す。
【0041】
表2に示すとおり、本願発明の方法にしたがって再生した脱硝触媒は、ヒ素の含有量が少なく、脱硝率の回復率が高い。
【0042】
【表2】