特許第6619998号(P6619998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6619998-遊技場用システム 図000002
  • 特許6619998-遊技場用システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6619998
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20191202BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   A63F5/04 691B
   A63F5/04 699
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352N
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-231721(P2015-231721)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-93965(P2017-93965A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 浩幹
【審査官】 金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201010(JP,A)
【文献】 特開2015−205071(JP,A)
【文献】 特開2008−245888(JP,A)
【文献】 特開2015−198816(JP,A)
【文献】 特開2011−200547(JP,A)
【文献】 特開2013−215398(JP,A)
【文献】 特開2002−360772(JP,A)
【文献】 特開2006−136352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場で会員登録を行った会員が所持する会員記録媒体の識別情報と、当該会員の個人情報とを対応付けて記憶する会員情報記憶手段と、
前記会員記録媒体を受け付ける受付手段と、
一の会員記録媒体である第1会員記録媒体を受け付ける前に、当該第1会員記録媒体とは異なる第2会員記録媒体を受け付けていたことを特定可能に、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体の履歴に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報に基づいて、前記第1会員記録媒体を受け付ける前に前記第2会員記録媒体を受け付けた頻度が予め定められた基準頻度よりも高い状態である高頻度受付状態であることを特定し、当該第1会員記録媒体及び第2会員記録媒体をグループとして登録する特定手段と、
前記第1会員記録媒体を受け付けた場合に、前記高頻度受付状態であれば遊技場の管理者に対して第1異常報知を実行する異常報知手段と、
前記特定手段によりグループとして登録された前記第1会員記録媒体及び前記第2会員記録媒体の中から正常な会員記録媒体を決定するために遊技場の管理者が操作する操作手段と、を備え、
前記異常報知手段は、前記第1異常報知を実行した後、前記特定手段によりグループとして登録された前記第1会員記録媒体及び前記第2会員記録媒体の中から前記操作手段の操作によって正常であると決定された会員記録媒体を受け付けても前記第1異常報知を実行しないようにする一方、正常であると決定されていない会員記録媒体を受け付けた場合、当該第2会員記録媒体を受け付けたことに対応した第2異常報知を実行することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記受付手段に前記会員記録媒体を受け付けさせた遊技者を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像結果を記憶する撮像結果記憶手段と、を備え、
前記異常報知手段は、前記第2異常報知として、前記撮像結果記憶手段が記憶している前記第1会員記録媒体を受け付けさせた遊技者の画像を遊技場の管理者に示すことを特徴とする請求項1に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場によっては、会員登録した遊技者に対して会員カード(会員記録媒体)を配布している。会員カードを使用している遊技者であれば、遊技によって獲得した玉やメダルを遊技場へと預け入れる所謂貯玉や、貯玉数に応じて玉やメダルを引きだす所謂再プレイを行うことが可能である。
【0003】
また、遊技媒体の交換率の違い等により現金投資を行うよりも再プレイを行った方が有利であるため、一日に再プレイ可能な玉やメダルの数に上限を設けている遊技場も存在している(例えば特許文献1参照)。再プレイに上限を設けることは、会員登録した遊技者が会員登録していない遊技者よりも極端に有利になることを抑制するための工夫である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−139574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技者によっては、他人名義で登録を行うことにより複数の会員カードを所持し、それらの複数の会員カードに対応したそれぞれの口座に貯玉を行うことで、それぞれのカードで上限まで再プレイを行う者がいる。この場合、会員カードを1枚しか所持していない遊技者よりも、再プレイにより多くの玉やメダルを引き出すことが可能となり、複数の会員カードを所持した遊技者が極端に有利になってしまう虞がある。尚、本問題は、再プレイを行うときに限られたものではなく、会員カードを所持する遊技者に対して特典を付与する遊技場であれば該当し得るものである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の会員記録媒体を所持する遊技者に適切に対応し易くすることができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、同じ会員記録媒体の組み合わせを高い頻度で受け付けている場合に、その組み合わせの会員記録媒体のいずれかが使用される場合には第1異常報知を実行するので、複数の会員記録媒体を所持している可能性がある遊技者を発見し易くすることができる。
【0008】
また、第1異常報知を実行した際に遊技者の身分証を確認する等、第1異常報知を実行した際の第1会員記録媒体が正常なものであることが特定できた場合、第1会員記録媒体を使用しても第1異常報知を実行しない様にすることができる。この様に第1会員記録媒体が正常なものであった場合、会員記録媒体の組み合わせに含まれる他の会員記録媒体である第2会員記録媒体は、登録名義が別人である等、不正な会員記録媒体である確率が高くなる。そこで、第1会員記録媒体が正常なものであると登録した後に、第2会員記録媒体が使用される場合には第2異常報知を実行するため、管理者による確認が行われた後に他人名義の会員記録媒体が使用されることを抑制し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
図2】高頻度受付会員カードの組み合わせを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場には、遊技機(スロットマシン)1に対応して貸出装置2(受付手段)及びデータ表示機3が設置されている。これら遊技機1、貸出装置2及びデータ表示機3は、中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6(会員情報記憶手段、履歴情報記憶手段、特定手段、異常報知手段、撮像結果記憶手段)と接続されている。管理装置6は、遊技場内の例えば管理室に設置されており、キーボード7、モニタ8、マウスやプリンタ(図示せず)等が組み合わされて構成されており、遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データや会員登録された会員毎の個人情報や貯玉情報等を管理する。また、遊技場には、景品交換を行うためのPOS(景品交換装置、図示せず)や、ICカード(記録媒体)の残高を精算するための精算装置(図示せず)も設置されており、POSや精算装置もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、図1では省略しているが、数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となる。本実施形態では上記したように遊技機1がスロットマシンであることから、遊技価値(遊技媒体)はメダルである。遊技機1がパチンコ機であれば、遊技価値はパチンコ玉である。
【0011】
遊技機1は、表示窓9を介して視認可能なリール10、有効化された入賞ラインを示す有効ライン表示部11、表示パネル12、クレジットメダルの投入を行うクレジットボタン13、クレジットメダルの精算を行う精算ボタン14、メダルを投入するメダル投入口15、スタートレバー16、左ストップボタン17、中ストップボタン18、右ストップボタン19、払出数表示部20、クレジット数表示部21、受皿22等を有する。
【0012】
遊技機1は、メダルが投入された状態でスタートレバー16が操作されると(ゲーム開始操作が行われると)、発生する乱数の中から1つの乱数を抽出して内部抽選を実行し、内部当選役がある場合には当該内部当選役に対応するフラグを成立させると共に、各リール10を始動(回転)させ、この状態で各ストップボタン17〜19が操作されると、対応するリール10の回転を停止させる。続いて、内部当選役のフラグに応じて各リール10の停止位置を決定するための停止テーブル(図示せず)に基づいて、所謂引込制御(すべり制御)を含む停止制御、即ち、各リール10を内部当選役フラグの種類に応じた入賞図柄またはハズレ図柄で停止表示させる制御を実行する。引込制御は、各ストップボタン17〜19の操作を検出した時点から予め規定された引込範囲(最大で4図柄まで)にある図柄を入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。尚、内部当選役フラグに対応する図柄が引込範囲内に存在しないときは、その図柄を入賞ライン上に引込んで停止させることができないので、入賞が発生せずに所謂取りこぼしとなる。
【0013】
遊技機1は、以下の遊技信号を送信する。
アウト信号=ゲームの開始操作に応じてベット状態のメダルを消費したとしてベット状態のメダル数(3枚)分がパルス送信されるので、アウト信号数×1がアウト(消費価値、使用媒体数)となる。尚、リプレイ時にも、対応分がパルス送信される。
【0014】
セーフ信号=メダルが1枚付与(払出)される毎にパルス送信されるので、セーフ信号数×1がセーフ(入賞付与価値、払出媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分がパルス送信される。
BB(ビッグボーナス)信号、RB(レギュラーボーナス)信号=対応するボーナス状態のときにレベル送信されるので、信号入力期間中をボーナス状態として特定する。
【0015】
遊技機1には、ボーナス役としてのBB役及びRB役、小役及びリプレイ役が設けられている。遊技機1には、合計5本(表示窓9の上段、中段、下段に対応した横方向に1本ずつの3本、斜め方向の2本)の有効ラインが設けられており、遊技者によるストップボタン17〜19の操作により、これらの有効ラインのうち何れかの有効ライン上に内部当選役に対応する図柄が揃ったとき、即ち、有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが内部当選役に対応する図柄の組合せと一致したときに入賞となる。入賞となった場合には、BB状態やRB状態の発生、または対応する枚数のコインの払出し(遊技価値の付与)を行う。BB状態は例えば300枚を越えるコインの払出しにより終了し、RB状態は8回の入賞の発生により終了する。BB状態及びRB状態における1ゲーム当たりのコインの投入枚数は2枚となっている。
【0016】
遊技機1は、BB役及びRB役の内部当選確率を、設定値の変更により変更可能となっている。設定値は、遊技機1の遊技性能を調整するための調整情報であり、例えば1〜6の6段階に区分されており、遊技場の管理者により何れか1つが選択されて使用される。遊技機1は、設定値が大きいほどボーナス役の当選確率が高くなり、それに伴って理論上の出率が大きくなり、反対に、設定値が小さいほどボーナス役の当選確率が低くなり、それに伴って理論上の出率が小さくなる。即ち、設定値が大きいほど遊技者にとって有利であり、設定値が小さいほど遊技者にとって不利である。尚、小役確率については全設定共通であるが、異なっていても良く、小役確率や他の条件等により出率を調整しても良い。
【0017】
貸出装置2は、遊技者が紙幣を投入するための紙幣投入口23、遊技者がICカードを挿入するためのカード挿入口24、挿入されたICカードを発券するための発券ボタン25、メダルを1枚ずつメダル排出路に排出するホッパー(図示せず)の状態を示すホッパーLED26、メダルを遊技機1の受皿22に払出す払出ノズル27、メダルを投入する投入部28(図1では蓋で閉鎖されている)、投入部28に投入されて計数されたメダルを貯玉するための貯玉ボタン29、貸出装置2に会員カードを受け付けさせた遊技者を撮像(受付手段に前記会員記録媒体を受け付けさせた遊技者を撮像)するカメラ30(撮像手段)、第2異常報知ランプ31等を有する。
【0018】
貸出装置2は所謂各台計数機能及び各台再プレイ機能を有しており、会員カードの読取状態でメダルを投入部28に投入して計数した後、貯玉ボタン29を押下げることで、獲得したメダルを遊技場へと預け入れる所謂貯玉、即ち、計数したメダルを貯蓄することができる。貯玉情報は会員カードから読取った会員IDと対応付けて管理装置6へ送信され、管理装置6において貯玉情報として記憶され、この貯玉情報を参照することにより貸出装置2において再プレイ処理を実行することができる。
【0019】
カメラ30は、例えば周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を含んで構成され、貸出装置2に対応する遊技機1の前方(正面)を撮像視野として所定周期(例えば4秒毎)で撮像する。即ち、カメラ30は、椅子に遊技者が着座していれば、その遊技者の顔を含む所定領域を所定周期で撮像する。カメラ30は、遊技者の顔を撮像していることを当該遊技者に意識させないように、その存在を遊技者が認識できないように搭載されているのが望ましい。
【0020】
貸出装置2は、上述した各種動作に応じて以下の遊技信号を送信する。
・売上信号=貸出メダル5枚(100円相当)毎に1パルスが送信されるので、売上信号数×100を売上金額とし、売上信号×5を売上メダルとする等して売上情報を特定可能となる。
・会員ID信号=挿入されている会員カードに記憶されている会員IDを示す信号
・撮像信号=カメラ30が撮像した画像を含む信号である。撮像信号には自装置を特定可能な装置IDが含まれており、装置IDを特定することで、撮像信号の送信元の貸出装置2を特定可能となる。
【0021】
データ表示機3は、図1に示すように、各種の遊技データ(BB状態やRB状態の発生回数、スタート回数、ARTの発生回数、平均獲得枚数等)を表示する情報表示部32、遊技場の従業員を呼出すときに遊技者が押下する呼出ボタン33、情報表示部32が表示する遊技データを切替えるときに遊技者が押下する切替ボタン等を含む操作部34等を有する。
【0022】
管理装置6は、図示しないCPU、ROM、RAM、信号を送受信するための入出力部、及び、HDD等の記憶手段を備えたコンピュータで構成されており、ROMやHDD等に記憶されている制御プログラムに従って作動する。この管理装置6は、遊技機側の機器から送信される上記したような各種の遊技信号に基づいて遊技情報を集計する。管理装置6は、周知のように、例えば遊技機が通常状態であるかボーナス状態であるかの特定、或いは差枚数(=セーフ−アウトで算出)、出玉率(=セーフ÷アウトで算出)、売上げ(=貸出メダルや売上金額)、ゲーム回数等の遊技情報の特定を行っている。
【0023】
また、管理装置6は、遊技者が獲得した持玉を遊技場に預ける所謂貯玉等の管理機能を備えており、会員の登録情報を記憶している。登録情報は、会員となった遊技者に配布された会員カードに記憶されている会員ID(遊技場で会員登録を行った会員が所持する会員記録媒体の識別情報)と会員の個人情報とを対応付けて記憶した情報である。会員の個人情報としては、名前、住所、電話番号が一般的であるが、遊技者が特定可能であれば個人情報はどのような情報でも良い。
【0024】
ところで、メダル1枚の貸出交換率と景品交換率が等価ではない店舗では、現金投資を少なくして再プレイの割合を増やした方が有利なため、遊技場によっては、貯玉再プレイ数に上限を設けていることがある。
しかしながら、遊技者によっては、他人から他人名義の不正な会員カード(以下、不正カード)を譲り受けることで、自分名義の正常な会員カード(以下、正常カード)に加えた1枚または複数の不正カード、或いは全てが他人名義の複数の不正カードを所持し、それぞれの会員カードで上限までの再プレイを行うことにより、一人で上限を上回った再プレイを行う者がいる。このため、複数の会員カードを所持する遊技者は、1枚しか会員カードを持っていない遊技者よりも極端に有利になってしまう。
【0025】
このような事情から、本実施形態では、管理装置6に、複数の会員カードを不正に使用する遊技者を特定する機能を備えるようにした。
即ち、管理装置6は、貸出装置2から入力する会員ID信号に基づいて当該貸出装置2で使用された(受け付けた)会員カードを特定しており、会員カード(第1会員記録媒体)を特定した場合、会員カードの使用日時を記憶し、同時期に使用された会員カード(第2会員記録媒体)の会員IDの組み合わせ(会員記録媒体の履歴に関する履歴情報)を特定して記憶(一の会員記録媒体である第1会員記録媒体を受け付ける前に、当該第1会員記録媒体とは異なる第2会員記録媒体を受け付けていたことを特定可能に、受付手段が受け付けた会員記録媒体の履歴に関する履歴情報を記憶)する。同時期に使用された会員カードとは、現在受け付けている会員カードと同時期の組み合わせとなるか否かの比較対象となるもので、現在受け付けている会員カードの前に受け付けていた例えば3枚の会員カードのことである。
【0026】
管理装置6は、上述の様にして特定した同時期に使用された会員カードの組み合わせを会員カードの会員IDに対応して記憶した場合、記憶した日から例えば10日以内となる同時期の同じ組み合わせが遊技場内のいずれかの貸出装置2で再び発生するかを監視する。
【0027】
同時期の同じ組み合わせか否かの判定は、現在受け付けている会員カードの会員IDと前3枚の会員IDの組み合わせ(以下、基本組み合わせ)と、基本組み合わせを判断した以後に受け付けた会員カード(現在受け付けている会員カードに該当)の会員IDと前3枚の会員IDの組み合わせ(以下、比較対象組み合わせ)とを比較することで行う。
【0028】
具体的には、次のようにして基本組み合わせと比較対象組み合わせとを比較する。尚、会員カードの会員IDをアルファベットで示し、異なる営業日にX1〜X3、X4〜X6の正常カードを順に受け付けた後にA、B、Cの不正カードを順に受け付けるものとする。また、説明の簡単化のために2枚の会員カードの組み合わせについて説明する。
【0029】
一の営業日にX1〜X3を受け付けた後にAを受け付けると、[A、X3]、[A、X2]、[A、X1]を基本組み合わせとして記憶する。
次にBを受け付けると、[B、A]、[B、X3]、[B、X2]を基本組み合わせとして記憶する。
次にCを受け付けると、[C、B]、[C、A]、[C、X3]を基本組み合わせとして記憶する。
【0030】
同時期となる一の営業日にX4〜X6を受け付けた後にAを受け付けると、[A、X6]、[A、X5]、[A、X4]を比較対象組み合わせとして上述した基本組み合わせと比較する。この場合、同じ組み合わせとなる組み合わせは無い。
【0031】
次にBを受け付けると、[B、A]、[B、X6]、[B、X5]を比較対象組み合わせとして基本組み合わせと比較する。この場合、[B、A]が同じ組み合わせとなるので、同時期の同じ組み合わせと判定する。
尚、比較対象組み合わせは基本組み合わせとして記憶することで、以後の比較対象組み合わせと比較されることになる。
【0032】
要するに、会員カードを受け付けた場合、受け付けた会員カードと、当該会員カードを受け付ける3枚前までに受け付けていた会員カードと、で2枚のカードの組み合わせを作成する。そして、その2枚のカードの組み合わせが、10日前までに受け付けていた会員カードの受付履歴の情報に含まれるかを判定する。
【0033】
2枚のカードの組み合わせが受付履歴の情報に含まれている場合には、受付頻度の高い会員カードの組み合わせであるとして、高頻度受付状態であることを特定する。一方、2枚のカードの組み合わせが受付履歴の情報に含まれていない場合には、高頻度受付状態と判定することなく、そのカードの組み合わせを特定可能な情報を受付履歴の情報として新たに記憶するだけになる。
【0034】
以上のようにして、同時期における基本組み合わせと比較対象組み合わせとの比較の結果、2枚の会員カードを同時期に受け付けたことを高頻度で特定(履歴情報に基づいて、第1会員記録媒体を受け付ける前に第2会員記録媒体を受け付けた頻度が予め定められた基準頻度よりも高い状態である高頻度受付状態であることを特定)した場合、さらなる高頻度の会員カードの組み合わせを判定するために、3枚以上の会員カードの組み合わせを同時期に受け付けていたかの判定を行う。つまり、会員カードを受け付けた際に当該会員カードを含む3枚の基本組み合わせを記憶しておき、同時期に会員カードを受け付けた際に当該会員カードを含む3枚の比較対象組み合わせと同じ組み合わせとなるかを判定する。3枚以上の会員カードの組み合わせを同時期に受け付けていた場合、一人の遊技者が3枚以上の会員カードを所持している可能性が高いと判定し、3枚以上の会員カードの組み合わせを同時期に受け付けていなかった場合、一人の遊技者が2枚の会員カードを所持している可能性が高いと判定する。そして、高頻度で受け付けていた会員カードの組み合わせ(2枚以上の会員カードの組み合わせ)を、高頻度で受け付けた会員カードの組み合わせとしてグループで登録して記憶する。
【0035】
図2は受付頻度の高い会員カードの組み合わせとしてグループ登録した一例を示している。グループ登録した会員カードの組み合わせは管理装置6の画面に出力可能になっており、管理者が確認可能になっている。
【0036】
グループ登録された会員カードの組み合わせとしては次の3つが想定される。
(1)正常カードと1枚以上の不正カードの組み合わせであり、グループ登録後に最初に使用される会員カードは正常カードか不正カードかは不定である。
(2)全てが不正カードの組み合わせであり、グループ登録後に最初に使用される会員カードは不正カードである。
(3)全てが誤ってグループ登録された正常カードの組み合わせであり、グループ登録後に最初に使用される会員カードは正常カードである。
【0037】
管理装置6は、上述の様にしてグループ登録後に、グループ登録した会員カードが例えば10日以内に遊技場内のいずれかの貸出装置2で使用された場合、遊技者が複数の会員カードを不正に所持し、それらのいずれか1枚を使用した可能性があるとして、管理者に対して第1異常報知(第1会員記録媒体を受け付けた場合に、高頻度受付状態であれば遊技場の管理者に対して第1異常報知)を実行する。このように10日以内に設定したのは、グループ内で高頻度に使用される会員カードを特定するためであるが、10日以内に限定されることなく5日以内、20日以内、1カ月以内等に限定しても良く、さらには限定を無くしても良い。
【0038】
第1異常報知では、貸出装置2にて使用されている会員カードの登録情報と、使用している遊技者とが一致しているか遊技者の身分確認を促がすメッセージをモニタ8に表示する。例えば、「1番台で複数の会員カードを使用している遊技者の可能性があるため、身分確認を行ってください」と表示する。このとき、管理装置6は貸出装置2に対してカメラ30にて遊技者を撮像する様に指令する。すると、該当する貸出装置2は遊技者を撮像した撮像信号を送信するので、管理装置6は、撮像信号を受信して第1異常報知を実行した際に遊技を行っていた遊技者の画像(撮像手段の撮像結果を記憶)を記憶する。尚、管理者が管理装置6に対して解除操作を行うと、管理装置6は、第1異常報知を解除する。
【0039】
管理者は、第1異常報知の対象となった遊技者まで出向き、当該遊技者に対して身分証等により登録情報と遊技者の身分とが一致するかを確認し、確認結果に応じて次の様に対処する。
<会員カードの登録情報と遊技者の身分とが一致した場合>
会員カードの登録情報と遊技者の身分とが一致した場合は、遊技者は自分名義の正常カードを使用しているとして、正常カードであることを管理装置6のキーボード7やマウスに対する操作(第1会員記録媒体及び第2会員記録媒体の中から正常な会員記録媒体を決定するために遊技場の管理者が操作)により登録する。この場合、キーボード7やマウスが操作手段に相当する。
<会員カードの登録情報と遊技者の身分とが一致しなかった場合>
会員カードの登録情報と遊技者の身分とが一致しなかった場合は、遊技者が他人名義の不正カードを使用しているとして、現在使用中の不正カードの登録抹消や、不正カードの使用停止等、今後その不正カードを使用できない様に管理者が管理装置6に対する登録抹消操作や使用停止操作を実行する。
【0040】
管理装置6は、上述の様にして確認した正常カードをグループ別にそれぞれ登録可能になっており、上述した操作に応じて高頻度で受け付けた会員カードの組み合わせのうち、いずれの会員カードが正常カードを登録して記憶する。
図2のグループ1に示す例では、会員カードAを正常カードとして登録して記憶している。
【0041】
管理装置6は、第1異常報知を実行した際の会員カードが正常カードであることを登録した場合は、以後、当該正常カードが第1異常報知を実行した際の会員カードであるにしても第1異常報知を実行せず(第1異常報知を実行した後、第1会員記録媒体及び第2会員記録媒体の中から操作手段の操作によって正常であると決定された会員記録媒体を受け付けても第1異常報知を実行しない)、正常カードとして貯玉情報を管理する。
【0042】
ところで、上述の様にして第1異常報知を実行した際の会員カードが正常カードであることを特定できた場合、当該正常カードを使用しても第1異常報知を実行しないようにすることができるものの、第1異常報知による遊技者の身分確認にも関わらず正常カードが属するグループに含まれる他の会員カードが使用された場合は、遊技者が所持している不正カードを使用している確率が高くなる。
【0043】
このような事情から、第1異常報知の実行後に、正常カードが属するグループに含まれる他の会員カードを受け付けた場合(正常であると決定されていない会員記録媒体を受け付けた場合)、第1異常報知を実行することなく、第1異常報知よりも異常レベルの高い報知に対応した第2異常報知(第2会員記録媒体を受け付けたことに対応した第2異常報知)を実行する。具体的には、管理装置6にて「1番台で不正会員カード使用を検知」のメッセージ(第2異常報知)を表示すると共に、第1異常報知を実行した場合に撮像した遊技者の画像をモニタ8に表示する(第2異常報知として、撮像結果記憶手段が記憶している第1会員記録媒体を受け付けさせた遊技者の画像を遊技場の管理者に示す)。さらに、貸出装置2にて第2異常報知ランプ31を点等し、貯玉機能、再プレイ機能、及び会員カードの排出機能を禁止する(第2異常報知)。
【0044】
管理者は、第2異常報知によりモニタ8に第1異常報知の対象となった遊技者の画像が表示された場合は、その遊技者が第2異常報知の対象となった遊技者と同一人物か否かを確認し、同一人物であった場合は不正カードを使用しているとして、使用している不正カードの利用停止を行う等、適宜処理を行う。尚、管理者が管理装置6に対して解除操作を行うと、管理装置6は、第2異常報知を解除する。
【0045】
図2に示す例では、グループに応じて次の様に異常報知を実行する。
<グループ1>
グループ登録された会員カードの内、会員ID「A」の会員カードを正常カードと特定しており、会員ID「A」の会員カードを受け付けても異常報知を実行しない一方、会員ID「B」の会員カードを受け付けると第2異常報知を実行する。
【0046】
要するに、会員ID「A」、「B」の会員カードをグループ登録した場合に、10日以内に会員ID「A」、「B」の会員カードを受け付ければ第1異常報知を実行する。会員ID「A」の会員カードが正常カードであることを確認して登録した場合、その後に会員ID「A」の会員カードを受け付けても第1異常報知を実行しない一方、会員ID「B」の会員カードを受け付けると第2異常報知を実行する。
【0047】
<グループ2>
会員ID「C」、「D」の会員カードをグループ登録した場合に、正常カードを確認できていない状態であり、会員ID「C」、「D」の会員カードのいずれを受け付けても第1異常報知を実行する。
【0048】
<グループ3>
会員ID「E」、「F」、「G」の会員カードをグループ登録した場合に、会員ID「E」の会員カードを正常カードと特定しており、会員ID「E」の会員カードを受け付けても第1異常報知を実行しない一方、会員ID「F」、「G」の会員カードを受け付けた場合に第2異常報知を実行する。
【0049】
<グループ4>
異なる遊技者が携帯する会員ID「I」、「J」の会員カードをグループ登録した場合に、会員ID「I」、「J」の会員カードを正常カードとして特定している。これは、グループ登録後に例えば会員ID「I」の会員カードが正常カードであることを特定した後、会員ID「J」の会員カードを受け付けた際に第2異常報知を行うことで、第1異常報知の対象となった遊技者と第2異常報知の対象となった遊技者とが同一人物かの確認を行った結果、両方の遊技者が所持する正常カードが誤ってグループ登録されたことを確認できた状態を示しており、以後において会員ID「I」、「J」の会員カードのいずれを受け付けても、第1異常報知、及び第2異常報知のいずれも実行することなく正常に遊技を行うことができる。この様に複数の正常カードを誤ってグループ登録したことを特定した場合、管理装置6を操作して該当するレコードを手動で削除することにより対応する。
【0050】
このような実施形態によれば、次の様な効果を奏することができる。
管理装置6は、一人の遊技者が複数所持して同時期に使用している可能性が高い会員カードを特定してグループ登録し、グループ登録後はグループのいずれの会員カードが使用された場合でも異常レベルの低い第1異常報知を行い、第1異常報知の対象となった遊技者の身分を確認して正常カードを使用していることを特定した後は、その正常カードでは第1異常報知を行わないようにする一方、グループに含まれる他の会員カードが使用された場合に異常レベルの高い第2異常報知を行うので、第1異常報知により複数の会員カードを不正に所持している可能性がある遊技者を発見し易くすることができると共に、第2異常報知により管理者による確認が行われた後に不正カードが使用されることを抑制し易くすることができる。
【0051】
第2異常報知時に、第1異常報知の対象となった遊技者の画像をモニタ8に表示するようにしたので、第1異常報知の対象となった遊技者と第2異常報知の対象となった遊技者とが同一人物か否かを容易に確認することができる。
【0052】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせるようにしても良い。
第1異常報知時や第2異常報知時に、遊技者の画像及び会員IDに対応した遊技者情報を管理者が携帯する携帯端末に送信したり、プリンタにより印刷したりするようにしても良い。この場合、例えば携帯端末を携帯している管理者は、携帯端末に表示された遊技者の画像と実際に遊技している遊技者とを比較することにより異常報知の対象となった遊技者を確実に確認することができる。
【0053】
第2異常報知の条件が成立した場合に遊技者を撮像し、管理装置6にて第1異常報知の対象となった遊技者の画像と第2異常報知の対象となった遊技者の画像とを比較可能に表示したり、顔認識技術により両者が同一か否かを判定し、同一でない場合に第2異常報知を実行したりしても良い。
【0054】
本発明を例示したスロットマシンとは異なる遊技機に適用しても良く、例えば、玉を使用するパチンコ遊技機に適用することも可能である。また、メダルを使用せずクレジットを消費して遊技が進行する完全クレジット式スロットマシンや、玉が封入されており、得点(遊技価値)を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機に適用することも可能である。
【0055】
会員記録媒体としてカード式の構成に限定されず、例えば携帯電話やICコインを会員記録媒体として使用することも可能である。
第1異常報知や第2異常報知の内容を任意に変更しても良い。例えば、第1異常報知として、貸出装置2に設けた第1異常報知ランプを点灯する構成としても良い。また、第2異常報知も貸出装置2の第2異常報知ランプ31を点灯するのみの構成としても良い。さらに、共通の異常報知ランプを設けて各異常報知時に点灯するようにしても良い。この場合、異常報知ランプの点灯色によって管理者が異常レベルを特定可能とすれば良い。また、第1異常報知と第2異常報知とが異なる報知態様であれば、第1異常報知及び第2異常報知の少なくとも一方がその他の異常報知と共通の報知態様にしても良い。
【0056】
受付頻度の高い会員カードの組み合わせを特定した場合、その組み合わせを記憶する構成としたが、受付頻度の高い会員カードを特定した際に、使用している会員カードが正常カードであることを特定した場合、受付頻度の高い会員カードの組み合わせに含まれる他の会員カードのみを第2異常報知を実行するために記憶する構成としても良い。
【0057】
本発明を実施するための各機能を管理装置6が備える構成としても良いし、貸出装置2が備える構成としても良い。例えば、受け付けた会員カードが高頻度で受け付けた会員カードに含まれる会員カードであるか否かの判定を、貸出装置2で行う構成として良い。また、異常報知の実行を管理装置6及び貸出装置2の一方のみで行う構成や、管理者が所持する携帯端末で実行する構成としても良い。
【0058】
貸出装置2が受付頻度の高い会員カードを受け付けた場合に異常報知を実行する構成としたが、貸出装置2以外の装置が会員カードを受け付けた場合に、異常報知を実行する構成としても良い。例えば、所定の端末で会員カードを受け付けると来店ポイントを付与する遊技場において、複数の会員カードを所持した遊技者が会員カードを受け付けさせた場合に異常報知を実行するようにしても良い。
【0059】
一の貸出装置2で受け付けた会員カードの組み合わせに基づいて、一人の遊技者が複数の会員カードを所持しているか判定する構成としたがかかる構成に限定されない。例えば、一営業日中に遊技場内で使用された会員カードの組み合わせを記憶しておき、後日同じ会員カードの組み合わせが一営業日中に使用された場合に第1異常報知を実行する様にしても良い。
【0060】
10日以内に同じ会員カードを同じ組み合わせで受け付けた場合に、高頻度で同じ会員カードの組み合わせを受け付けたと特定する構成としたが、基準頻度を任意に変更しても良い。例えば、同日において同じ会員カードの組み合わせを受け付けた場合に、高頻度で同じ会員カードの組み合わせを受け付けたと特定しても良いし、5日以内、或いは10日以内に同じ会員カードを同じ組み合わせで受け付けた場合に、高頻度で同じ会員カードの組み合わせを受け付けたと特定する構成としても良い。
【0061】
一の会員カードを受け付けた前に受け付けていた会員カードのみを特定可能に履歴を記憶する構成としたが、一の会員カードを受け付けた後に受け付けていた会員カードのみを特定可能に履歴を記憶しても良いし、一の会員カードを受け付けた前後に受け付けていた会員カードを特定可能に履歴を記憶する構成としても良い。いずれの構成でも、一の会員記録媒体である第1会員記録媒体を受け付ける前に、当該第1会員記録媒体とは異なる第2会員記録媒体を受け付けていたことを特定可能に、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体の履歴に関する履歴情報を記憶する構成に該当する。
【符号の説明】
【0062】
図面中、2は貸出装置(受付手段)、6は管理装置(会員情報記憶手段、履歴情報記憶手段、特定手段、異常報知手段、撮像結果記憶手段)、7はキーボード(操作手段)、30はカメラ(撮像手段)である。
図1
図2