(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作動部材を、前記発光部と前記受光部とを互いに離間させる方向に前記作動部材を付勢する付勢部材を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の流体濃度測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そしてこの流体濃度測定装置では、正確な濃度測定のために発光ユニットおよび受光ユニットを樹脂チューブに対して確実に密着させることが肝要であり、そのために発光ユニットおよび受光ユニット間であらかじめ狭窄部を形成してこの狭窄部に樹脂チューブを押し込むようにして装着するようにしているが、このとき樹脂チューブに歪みや捩れが発生し、これが樹脂チューブを経時的に変形させる結果、測定結果にばらつきが生じる虞がある。さらに、樹脂チューブをこれよりも幅の狭い溝内に装着する必要があるため、装着に手間がかかり未だ改良の余地があることが判明した。また測定を終え、樹脂チューブを装置から取り外す場合も同様であり、樹脂チューブが溝の狭窄部に引っかかり、無理に引っ張れば樹脂チューブを伸ばしてしまうおそれがあるため注意を要する作業となる。また、このような問題は、変形可能な管路の表面に超音波を発信し、液体と気泡ではその透過率が異なることに基づき透過率の差を検出して気泡の有無を検出する装置においても同様に生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を有利に解決するものであり、この発明の流体濃度測定装置は、光透過性でかつ変形可能な管路内を流れる流体の濃度を測定する流体濃度測定装置であって、
前記管路が装着される上向きに開口する溝が形成された筐体と、
前記溝の一方の側面側に配置され、前記管路の表面上に光を供給する発光部と、
前記溝の他方の側面側に前記発光部に対向配置され、前記管路を透過した光を受光する受光部と、
ヒンジを介して前記筐体に開閉可能に連結され、閉姿勢にて前記溝の上部開口を閉止する蓋体と、
前記筐体に昇降可能に保持され、前記蓋体の閉動作に伴い該蓋体によって押し下げられる押下部材と、
前記発光部または前記受光部を保持するとともに前記押下部材の押し下げに連動して作動することで対向する前記発光部と前記受光部とを互いに接近させる作動部材と、
前記作動部材の作動を規制して前記発光部および前記受光部間を所定間隔に保持するストッパ部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明の気泡検出装置は、変形可能な管路内を流れる流体中の気泡の有無を検出する気泡検出装置であって、
前記管路が装着される上向きに開口する溝が形成された筐体と、
前記溝の一方の側面側に配置され、前記管路の表面上に超音波を発信する発信部と、
前記溝の他方の側面側に前記発信部に対向配置され、前記管路を透過した超音波を受信する受信部と、
ヒンジを介して前記筐体に開閉可能に連結され、閉姿勢にて前記溝の上部開口を閉止する蓋体と、
前記筐体に昇降可能に保持され、前記蓋体の閉動作に伴い該蓋体によって押し下げられる押下部材と、
前記発信部または前記受信部を保持するとともに前記押下部材の押し下げに連動して作動することで対向する前記発信部と前記受信部とを互いに接近させる作動部材と、
前記作動部材の作動を規制して前記発信部および前記受信部間を所定間隔に保持するストッパ部材と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
かかるこの発明の流体濃度測定装置にあっては、光透過性でかつ変形可能な管路を筐体に形成された溝内に装着する際、蓋体が開放された状態では発光部または受光部を保持する作動部材は、発光部および受光部間の距離を離間させる方向に移動可能である。そして筐体の溝内に管路を装着し蓋体を閉めると、蓋体の閉動作に伴う押下部材の押し下げに連動して作動部材が発光部と受光部とを接近させ、発光部および受光部は共に管路に圧接される。このとき、作動部材の作動はストッパ部材によって規制され、発光部および受光部間は所定間隔に保持される。
【0010】
従って、この発明の流体濃度測定装置によれば、蓋体が開放された状態では、測定時に狭窄部となる箇所の溝幅を一時的に広げることができて管路を無理なく溝内に装着または溝から取り外すことができる。また、測定時には蓋体の閉動作に連動して作動部材が、発光部と受光部とを接近させるため発光部および受光部を共に管路に確実に圧接させることができるとともに、ストッパ部材による作動部材の作動の規制により発光部および受光部間に常に一定の光路距離がもたらされ、かつ、従来のような管路に生じる歪みや捩れを有効に防止して経時的に発生する管路の変形を効果的に阻止することができるため、正確な測定を行うことができる。
【0011】
なお、この発明の流体濃度測定装置においては、前記溝および前記作動部材を2組備え、前記押下部材の押し下げに連動して2つの作動部材を同時に作動させる伝達部材を備えていてもよく、このようにすれば、例えば血液透析療法における血液透析前後の濃度測定が一台の濃度測定装置により可能となる。
【0012】
また、この発明の流体濃度測定装置においては、前記押圧部材と前記作動部材との間に介装された弾性部材を備えていてもよく、これによれば、押圧部材や作動部材に多少の寸法誤差があってもこの弾性部材により当該誤差を吸収することが可能であるとともに、外径の異なる管路を用いる場合においても、発光部および受光部を管路に確実に圧接させることができる。
【0013】
さらに、この発明の流体濃度測定装置においては、前記発光部と前記受光部とを互いに離間させる方向に前記作動部材を直接的または間接的に付勢する付勢部材を備えていてもよく、これによれば、蓋体が開放された状態では溝の狭窄部は常時拡げられているため、溝への管路の着脱をより一層負荷なく行うことが可能である。
【0014】
また、この発明の気泡検出装置によれば、蓋体が開放された状態では、測定時に狭窄部となる箇所の溝幅を一時的に広げることができて管路を無理なく溝内に装着または溝から取り外すことができる。また、測定時には蓋体の閉動作に連動して作動部材が作動し、発信部と受信部とが接近するため発信部および受信部を共に管路に確実に圧接させることができるとともに、ストッパ部材による作動部材の作動の規制により発信部および受信部間に常に一定の光路距離がもたらされ、管路内の流体中の気泡の有無を正確に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1にこの発明の一実施形態の流体濃度測定装置10を示す。この図に示すように、この流体濃度測定装置10は、装置10の主要部を収容する筐体12と、該筐体12にヒンジ14を介して開閉自在に連結された蓋体16と、蓋体16の前面中央(ヒンジ14の反対側)に設けられ、筐体12に対する蓋体16の閉塞姿勢を保持するフックの如き緊締具18を備える。
【0017】
筐体12は、互いに対向する前壁12aおよび後壁12bと、互いに対向配置され前壁12aおよび後壁12b間をつなぐ右側壁12cおよび左側壁12dと、これら壁12a〜12dの上端をつなぐ上壁12eとを有する。
【0018】
筐体12の上壁12eの前後方向略中央位置には、光透過性でかつ変形可能な管路としての樹脂製チューブ(樹脂チューブ)が装着される上向きに開口する溝20が形成されており、この溝20は筐体12の左右側壁12c,12d間に直線状に延びる。溝20の幅は長手方向の両端部において小さく、両端部間の中間部において僅かに拡大されている。両端部における溝幅は、溝20に装着される樹脂チューブの外径と同じか若しくはそれよりも僅かに大であることが好ましい。
【0019】
図1(b)および
図2に示すように、流体濃度測定装置10は、溝20の幅方向で向かい合わせに配置されて、それぞれ溝20の側壁部の一部をなす発光部22および受光部24を備えている。
【0020】
発光部22および受光部24の詳細を
図3に模式的に示す。発光部22は、光源としての発光ダイオード(LED)もしくはレーザーダイオード等の、電気を供給されて発光する発光素子25を有し、その発光素子25からの光を樹脂チューブの表面上に位置する光供給箇所Sから樹脂チューブ内に供給する。図示例では、光供給箇所Sは樹脂チューブの長手方向(延在方向)に離間して2箇所に設けられ、1つの発光素子25から各光供給箇所Sまで2本の光ファイバー26,27を介して光が伝播されるよう構成されている。各光ファイバー26,27の終端には上記光供給箇所Sとなるボールレンズ29,30がそれぞれ設けられ、光ファイバー26,27のコア径よりも拡大されたコリメート光が出射される。また、図中、符号31は光ファイバー固定板、符号32は発光素子保持板であり、両部材31,32はねじ33を介して相互に固定される。発光素子保持板32の、ねじ33の挿入孔32aは光ファイバー26,27の並置方向に長い長孔として形成されている。これにより発光素子保持板32は光ファイバー固定板31に対して上記並置方向に位置調整可能であり、2本の光ファイバー26,27に対する光軸を合わせて両光ファイバー26,27間で光強度を互いに同じにすることができる。
【0021】
受光部24は、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の、光を受光して電気を発生させる受光素子を有して、発光部22から供給され樹脂チューブ内を透過してきた光を受光してその光の強度に応じた電気信号を出力する。図示例では、受光素子として、上記光供給箇所Sに対し樹脂チューブの直径方向の反対側に位置するとともに樹脂チューブの延在方向に互いに等間隔に直線状に連続して並んだ多数の受光素子35aを有するラインセンサ35を用いている。ラインセンサ35は受光素子35aの信号を経時的に並べて順次に出力する多数の例えば電荷結合素子(CCD)を有していてよい。ラインセンサ35の多数の受光素子35aは、あらかじめ互いに同一感度に調整されている。樹脂チューブ内を透過してきた光は受光箇所Rとなるボールレンズ36,37によりコリメート(集光)され、ラインセンサ35がその光を受光する。なお、この例において、2つの光供給箇所Sから対向する受光箇所Rまでの距離(光路長)L,lは相互に異なるよう設定されているが、2つの光路長L,lは互いに同じに設定してもよい。また、発光部22および受光部24は、例えば、動脈血の酸素化ヘモグロビンと静脈血の脱酸素化ヘモグロビンとの両方の吸光率がほぼ等しい光として590nm付近の波長の光を発光および受光するものであってよい。
【0022】
次いで、発光部22および受光部24の保持構造について説明すると、
図4(a)に示すように、流体濃度測定装置10は発光部22を保持する、作動部材としての揺動部材38を備えている。揺動部材38は、前後方向に沿う縦断面(
図4(a))でみて2つの脚部38a,38bがその基端部において一体につながる略L字形をなし、その角部近傍において、軸部39を介して樹脂チューブTBの延在方向に沿う軸線周りに揺動可能に筐体12に支持されている。略水平方向に延びる一方の脚部38aの末端部には後述のコイルスプリングを受ける凹部41,42が上下両面に形成されている。略鉛直に延びる他方の脚部38b上部には発光部22の光ファイバー26,27の末端部が挿通され支持されている。この脚部38b上部の、光ファイバー26,27の末端に設けられたボールレンズ29,30を露出させる壁部は溝20の側壁部の一部を構成することとなる。この壁部は溝20の長手方向に沿って溝幅を変化させる傾斜面として形成されていて(
図3参照)、発光部22における上記2つのボールレンズ29,30はこの傾斜面内に配置されている。これにより、発光部22のボールレンズ29,30と受光部24のボールレンズ36,37との間には2つの異なる長さの光路L,lが形成される。また、略鉛直方向に延びる脚部38bの下部(下面)には上述の光ファイバー固定板31および発光素子保持板32が取り付けられ、これらの光ファイバー固定板31および発光素子保持板32は揺動部材38と一緒に軸部39周りに揺動する。
【0023】
他方、受光部24におけるラインセンサ35は断面略コ字状のセンサ保持部材44内に保持されている。センサ保持部材44の垂壁44aは溝20の側壁部の一部を構成する。
図3に示すように、この垂壁44aには樹脂チューブ内を透過してきた光をラインセンサに向けて通過させる2つの通路(貫通孔)44a
1,44a
2が形成され(
図3参照)、各通路44a
1,44a
2の始端には上記ボールレンズ36,37が固定されている。
【0024】
揺動部材38は、
図4(a),(b)に示すように、溝20とヒンジ14との間で筐体12の上壁12eに昇降可能に保持されかつその頭部が筐体12の上壁12eから突出して蓋体16によって押下される押下部材46によって揺動される。押下部材46と揺動部材38の間には、揺動部材38の略水平に延びる脚部38a上面に設けられた上記凹部41内に着座する、弾性部材としてのコイルスプリング47が介装されており、押下部材46からの押下力はこのコイルスプリング47を介して揺動部材38に伝達され、揺動部材38は軸部39を中心に
図4(a)において時計回りに揺動する。
【0025】
揺動部材38の揺動角は、センサ保持部材44と揺動部材38との間に設けられたストッパ部材48によって規制される。ストッパ部材48は、溝20内における揺動部材38とセンサ保持部材44との間の距離、ひいては光供給箇所Sと受光箇所Rとの距離を一定に保持するとともに、光供給箇所Sと受光箇所Rとが整列(光軸が一致)した状態で揺動部材38を位置決めする機能を有する。
【0026】
また、この実施形態の流体濃度測定装置10には、揺動部材38の略水平の脚部38aの下面に形成された上記凹部42と筐体12との間に、揺動部材38を押下部材46の押下による揺動方向とは反対方向(
図4(a)において反時計回り)に揺動させる別のコイルスプリング49が設けられている。このコイルスプリング49は、溝20内において揺動部材38とセンサ保持部材44とが互いに離間する方向に揺動部材38を上方付勢して溝20内に樹脂チューブの着脱のための十分な空間を形成する付勢部材として機能する。
【0027】
かかる構成例の流体濃度測定装置10にあっては、
図4(a)に示すように、蓋体16が開放された状態では、作動部材としての揺動部材38を溝20内の光供給箇所S(この例では発光部22のボールレンズ29,30)と受光箇所R(この例では受光部24のボールレンズ36,37)とを離間させる方向に揺動させることで、樹脂チューブTBを溝20内に容易に挿入することができる。特に、溝20内の光供給箇所Sと受光箇所Rとが離間する方向に揺動部材38を付勢する付勢部材としてのコイルスプリング49が設けられている場合には、蓋体16が開放されている状態では溝20の狭窄部(光供給箇所Sと受光箇所Rとの間隙)が常時拡げられているため、溝20への樹脂チューブTBの着脱をより一層負荷なく行うことが可能となる。
【0028】
そして、
図4(b)に示すように筐体12の溝20内に樹脂チューブTBを装着し蓋体16を閉めると、蓋体16の閉動作に伴う押下部材46の押し下げに連動して弾性部材としてのコイルスプリング47が圧縮され、該コイルスプリング47が揺動部材38を溝20内の光供給箇所Sと受光箇所Rとが接近する方向に揺動させ、発光部22の光供給箇所Sおよび受光部24の受光箇所Rは共に樹脂チューブTBの表面に圧接される。このとき、揺動部材38の揺動はストッパ部材48によって規制され、樹脂チューブTBの表面上の光供給箇所Sと受光箇所Rとの間は常時一定間隔に保持される。
【0029】
従って、この流体濃度測定装置10によれば、蓋体16が開放された状態では、測定時に狭窄部となる箇所の溝幅(光供給箇所Rと受光箇所Sとの間の距離)を一時的に広げることができて樹脂チューブTBを無理なく溝20内に装着または溝20から取り外すことができる。一方、測定時には蓋体16の閉動作に連動して揺動部材38が揺動し、発光部22の光供給箇所Rと受光部24の受光箇所Rとが接近するためこれらの光供給箇所Sおよび受光箇所Rを共に樹脂チューブTBに確実に圧接させることができるとともに、ストッパ部材48による揺動部材38の揺動の規制により光供給箇所Sおよび受光箇所R間に常に一定の光路長をもたらすことができ、かつ、従来のような樹脂チューブに生じる歪みや捩れを有効に防止して経時的に発生する管路の変形を効果的に阻止することができるため、正確な濃度測定が可能となる。
【0030】
さらに、この実施形態の流体濃度測定装置10では、押下部材46はヒンジ14と溝20との間でヒンジ14に近接して配置されているため、押下部材46を作用点とする大きなモーメントアームを確保することができるため、より小さい力で蓋体16による押下部材46の押し下げ、ひいては揺動部材38の揺動を行うことができる。同様に、押下部材46からの押圧力を軸部39から離れた、揺動部材38の脚部38a末端部(凹部41)で受けるようにしているため、支点である軸部39と力点である当該末端部との間に大きなモーメントアームを確保することができ、より一層小さな力で蓋体16による押下部材46の押し下げ、ひいては揺動部材38の揺動を行うことができる。
【0031】
図5は、上記実施形態の流体濃度測定装置10の電気的構成の一例を纏めて示すブロック線図である。
図1〜4に示した装置では、発光素子ドライバーにより駆動された発光素子25から発光された光は、2本の光ファイバー26,27を介して互いに同じ光強度で伝達され、樹脂チューブTBの、発光部22に近い側のチューブ壁と、その樹脂チューブTBの内部を流れる血液BTと、発光部から遠い側(反対側)すなわち受光部24に近い側のチューブ壁とを透過し、互いに異なる固定距離L,lの光路を経て、ラインセンサ35の複数の受光素子35aによって受光される。ラインセンサ35は、例えば128個の受光素子35aを8μmピッチで有し、それらの受光素子35aは、あらかじめ受光強度が互いに等しくなるよう調整されて、受光した光の強度に応じたレベルの電気信号を出力し、CCD(電荷結合素子)は、それらの電気信号を経時的に並べてアナログ信号として出力する。
【0032】
この例では、発光素子ドライバーが発光素子25を発光させ、ラインセンサドライバーが、ラインセンサ35から多数の発光素子35aの経時的に並んだアナログ信号を読み出してアナログデータとしてアナログ−デジタルコンバータ(A/D)に出力し、A/Dがそのアナログデータをデジタルデータに変換して流体濃度出力手段としての中央処理ユニット(CPU)に出力する。
【0033】
CPUは、図示しないメモリにあらかじめ記憶したプログラムに基づき、A/Dの出力するデジタルデータからラインセンサ35の多数の受光素子35aのうち二箇所の発光供給箇所Sからの光と光軸が一致する二つの受光素子35aを含む所定の位置の複数の受光素子35aが各々受光した光の強度を求め、例えば、それら受光した光の強度と、光供給箇所Sから受光箇所Rまでの光路の長さL,lとから、ランベルト−ベールの法則に基づき、光路長さが異なる二種類の条件で濃度測定値を求める。なお、ランベルト−ベールの法則に基づく具体的な計算方法については、本願出願人が先に出願したPCT/JP2013/54664号国際出願(WO2014/050162号国際公開パンフレット)やPCT/JP2013/61486号国際出願(WO2014/170985号国際公開パンフレット)に詳細に記載されている。
【0034】
次いで、この発明の流体濃度測定装置の他の実施形態について
図6〜8に基づき説明する。この実施形態の流体濃度測定装置50は、発光部および受光部からなる測定部を2組備える点で先の実施形態の流体濃度測定装置10とは異なる。
【0035】
図6および
図7に示すように、この流体濃度測定装置50は、装置50の主要部を収容する筐体52と、該筐体52にヒンジ54を介して開閉自在に連結された蓋体56と、ヒンジ54の反対側に設けられ、筐体52に対する蓋体56の閉塞姿勢を保持するフックの如き緊締具58を備える。
【0036】
筐体52は、互いに対向する前壁52aおよび後壁52bと、互いに対向配置され前壁52aおよび後壁52b間をつなぐ右側壁52cおよび左側壁52dと、これら壁52a〜52dの上端をつなぐ上壁52eとを有する。
【0037】
筐体52の上壁52eには、光透過性でかつ変形可能な管路としての樹脂製チューブ(樹脂チューブ)が装着される上向きに開口する2つの溝60A,60Bが前後方向に互いに離間して形成されており、これらの溝60A,60Bは筐体52の左右側壁52c,52d間に直線状に延びる。各溝60A,60Bの幅は長手方向の両端部において小さく、両端部間の中間部において僅かに拡大されている。両端部における溝幅は、溝60A,60Bに装着される樹脂チューブの外径と同じか若しくはそれよりも僅かに大であることが好ましい。
【0038】
図8(a)に示すように、流体濃度測定装置50は、2つの発光部62A,62Bおよび2つの受光部64A,64Bを備えており、溝60A,60Bの幅方向で向かい合わせに配置された発光部62Aと受光部64Aおよび発光部62Bと受光部64Bがそれぞれ対をなす。なお、発光部62A,62Bおよび受光部64A,64Bの構成は、先の実施形態の装置における発光部22および受光部24と同じであり、詳細な説明は省略するとともに付随する発光素子や光ファイバー等の図示も省略している。
【0039】
発光部62A,62Bおよび受光部64A,64Bの保持構造について説明すると、流体濃度測定装置50は発光部62A,62Bを保持する、それぞれ作動部材としての2つの揺動部材68A,68Bを備えている。各揺動部材68A,68Bは、前後方向に沿う縦断面(
図8(a))でみて2つの脚部68Aa,68Ab,68Ba,68Bbがその基端部において一体につながる略I字形をなし、その連結部近傍において、軸部70A,70Bを介して樹脂チューブTBの延在方向に沿う軸線周りに揺動可能に筐体52に支持されている。軸部70A,70Bよりも下方に延びる一方の脚部68Aa,68Baの末端部には後述のコイルスプリングを受ける凹部72A,72Bがその底面を後方に向けるように形成されている。軸部70A,70Bよりも上に延びる他方の脚部68Ab,68Bb上部には発光部62A,62Bの図示しない2本の光ファイバーの末端部が挿通され支持されている。この上側の脚部68Ab,68Bb上部の、各光ファイバーの末端に設けられたボールレンズ74A,74Bを露出させる壁部は溝60A,60Bの側壁部の一部を構成することとなる。上側の脚部68Ab,68Bbの下部(下面)には、先の実施形態で説明したものと同様の光ファイバー固定板75A,75Bおよび発光素子保持板76A,76Bが取り付けられ、これらの光ファイバー固定板75A,75Bおよび発光素子保持板76A,76Bは揺動部材68A,68Bと一緒に揺動する。
【0040】
他方、受光部64A,64Bにおけるラインセンサ78A,78Bは断面略コ字状のセンサ保持部材79A,79B内に保持されている。センサ保持部材79A,79Bの垂壁は溝60A,60Bの側壁部の一部を構成する。これらの垂壁には樹脂チューブTB内を透過してきた光をラインセンサ78A,78Bに向けて通過させる図示しない2つの通路(貫通孔)が形成され、各通路の始端にはボールレンズ80A,80Bが固定されている。
【0041】
揺動部材68A,68Bは、溝60A,60Bとヒンジ54との間で筐体52の上壁52eに昇降可能に保持されかつ頭部が筐体52の上壁52eから突出して蓋体56によって押下される押下部材82と、押下部材82の降下動作を水平動作に変換するとともに該水平動作を2つの揺動部材68A,68Bに同時に伝達する伝達部材84とによって揺動される。
【0042】
伝達部材84は、
図7(b)に示すように板状に形成され、
図7(a)に示すようにその側部において筐体52の下部に、コロ85aおよび長孔85bからなるガイド85を介して前後方向に移動可能に支持されている。伝達部材84には各揺動部材68A,68Bの下側の脚部68Aa,68Baに対応した窓孔84a,84bが形成され、該脚部68Aa,68Baの凹部72A,72Bと窓孔84a,84bとの間には弾性部材としてのコイルスプリング86A,86Bが介装されている。また伝達部材84は、
図8(a)に示すように後端に押下部材82の下部に設けられたローラ82aに当接するとともに押下部材82の降下動作を水平動作に変換するカム面84c(傾斜面)を有する。これにより、押下部材82が押し下げられると、カム面84cを介して伝達部材84は前方(
図8(a)において左方向)に移動し、伝達部材84は2つのコイルスプリング86A,86Bを同時に圧縮し、圧縮された各コイルスプリング86A,86Bは揺動部材68A,68Bを軸部70A,70Bを中心に
図8(a)において時計回りに揺動させる。
【0043】
揺動部材68A,68Bの揺動角は、センサ保持部材79A,79Bと揺動部材68A,68Bとの間にそれぞれ設けられたストッパ部材88A,88Bによって規制される。ストッパ部材88A,88Bは、溝60A,60B内における揺動部材68A,68Bとセンサ保持部材79A,79Bとの間の距離、ひいては光供給箇所Sと受光箇所Rとの距離を一定に保持するとともに、光供給箇所Sと受光箇所Rとが整列(光軸が一致)した状態で揺動部材68A,68Bを位置決めする機能を有する。
【0044】
また、この実施形態の流体濃度測定装置50では、伝達部材84の前端と筐体52下部との間に、伝達部材84を後方に付勢する別のコイルスプリング90が設けられている。蓋体56が開放された状態では当該コイルスプリング90が伝達部材84を後方に移動させ、伝達部材84の上記窓孔84a,84bの前縁部が揺動部材68A,68Bの下側の脚部68Aa,68Baを後方に押圧して軸部70A,70Bを中心に
図8(a)において反時計回りに揺動させる。このコイルスプリング90は、溝60A,60B内において揺動部材68A,68Bとセンサ保持部材79A,79Bとが離間する方向に揺動部材68A,68Bを間接的に付勢して、溝60A,60B内に樹脂チューブTBの着脱のための十分な空間を形成する付勢部材として機能する。
【0045】
かかる構成例の流体濃度測定装置50にあっては、
図8(a)に示すように、蓋体56が開放された状態では、揺動部材68A,68Bを溝60A,60B内の光供給箇所S(この例では発光部62A,62Bのボールレンズ74A,74B)と受光箇所R(この例では受光部64A,64Bのボールレンズ80A,80B)とを離間させる方向に揺動させることで、樹脂チューブTBを溝60A,60B内に容易に挿入することができる。特に、溝60A,60B内の光供給箇所Sと受光箇所Rとが離間する方向に伝達部材84を介して揺動部材68A,68Bを付勢するコイルスプリング90が設けられている場合には、蓋体56が開放されている状態では溝60A,60Bの狭窄部(光供給箇所Sと受光箇所Rとの間隙)が常時拡げられているため、溝60A,60Bへの樹脂チューブTBの着脱をより一層負荷なく行うことが可能となる。
【0046】
そして、
図8(b)に示すように筐体52の溝60A,60B内に樹脂チューブTBを装着し蓋体56を閉めると、蓋体56の閉動作に伴う押下部材82の押し下げに連動して伝達部材84がガイド85による案内下で前方に水平移動し、伝達部材84の窓孔84a,84b内に配置された2つのコイルスプリング86A,86Bが圧縮される。圧縮された2つのコイルスプリング86A,86Bは揺動部材68A,68Bを溝60A,60B内の光供給箇所Sと受光箇所Rとが接近する方向にそれぞれ揺動させ、各溝60A,60Bにおいて発光部62A,62Bの光供給箇所Sおよび受光部64A,64Bの受光箇所Rは共に樹脂チューブTBの表面に圧接される。このとき、揺動部材68A,68Bの揺動はストッパ部材88A,88Bによって規制され、樹脂チューブTBの表面上の光供給箇所Sと受光箇所Rとの間は常時一定間隔に保持される。
【0047】
従って、この流体濃度測定装置50によれば、蓋体56が開放された状態では、測定時に狭窄部となる箇所の溝幅(光供給箇所Sと受光箇所Rとの間の間隙)を一時的に広げることができて樹脂チューブTBを無理なく溝60A,60B内に装着または溝60A,60Bから取り外すことができる。また、測定時には蓋体56の閉動作に連動して揺動部材68A,68Bが揺動し、発光部62A,62Bの光供給箇所Sと受光部64A,64Bの受光箇所Rとが接近するためこれらの光供給箇所Sおよび受光箇所Rを共に樹脂チューブTBに確実に圧接させることができるとともに、ストッパ部材88A,88Bによる揺動部材68A,68Bの揺動の規制により光供給箇所Rおよび受光箇所S間に常に一定の光路距離をもたらすことができ、かつ、従来のような樹脂チューブに生じる歪みや捩れを有効に防止して経時的に発生する管路の変形を効果的に阻止することができるため、正確な濃度測定が可能となる。さらに、この流体濃度測定装置50は2つの測定部を有するので、例えば血液透析療法における血液透析前後の血液の濃度測定が一台の流体濃度測定装置により可能となる。
【0048】
さらに、この実施形態の流体濃度測定装置50では、押下部材82はヒンジ54と後方の溝60Aとの間でヒンジ54に近接して設けられているため、押下部材82を作用点とする大きなモーメントアームを確保することができるため、より小さい力で蓋体56による押下部材82の押し下げ、ひいては揺動部材68A,68Bの揺動を行うことができる。同様に、伝達部材84からの押圧力を軸部70A,70Bから離れた、揺動部材68A,68Bの脚部68Aa,68Ba末端部(凹部72A,72B)で受けるようにしているため、支点である軸部70A,70Bと力点であるコイルスプリング86A,86Bによる押圧箇所との間に大きなモーメントアームを確保することができ、より一層小さな力で蓋体56による押下部材82の押し下げ、ひいては揺動部材68A,68Bの揺動を行うことができる。
【0049】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものである。例えば上述した実施形態の装置10,50では、揺動部材38,68A,68Bは発光部22,62A,62Bを保持して発光部22,62A,62Bを受光部24,64A,64Bに対して近接離間させる例を示したが、これに代えて揺動部材38,68A,68Bは受光部24,64A,64Bを保持し受光部24,64A,64Bを発光部22,62A,62Bに対して近接離間させてもよい。あるいは、各溝20,60A,60B内で揺動部材を互いに対向するよう2つ設け、一方の揺動部材に発光部22,62A,62Bを保持させ、他方の揺動部材に受光部24,64A,64Bを保持させ、発光部22,62A,62Bおよび受光部24,64A,64Bを共に近接離間運動させるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態の装置10,50では、弾性部材および付勢部材としてそれぞれコイルスプリング47,49,86A,86B,90を用いたが、これに限らず、板ばねやトーションばね等の他の形式のばね、あるいはゴムを用いてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態の装置10,50では、作動部材として溝20,60A,60Bの延在方向に沿う軸線周りに揺動自在な揺動部材38,68A,68Bを備えるものであったが、これに限らず、作動部材として押下部材46,82の下降移動を伝達して発光部22および受光部24間を近接、離間させるカム機構あるいはリンク機構を用いてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態の装置10,50では、各溝20,60A,60B内に光供給箇所Sを2つ設けたが、光供給箇所Sは少なくとも1つあればよい。あるいは3箇所以上の光供給箇所Sで光を供給し、その光をラインセンサ35,78A,78Bで受光して光の強度を求め、その光の強度から流体濃度をより高精度に求めるようにしてもよい。さらに、光供給箇所Sへの光供給手段も図示例に限らず、各光供給箇所Sに発光素子を直接それぞれ配置してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態の装置10,50では、受光のために多数の受光素子を有するラインセンサ35,78A,78Bを用いると説明したが、これに限らず各受光位置に単一の受光素子を配置したものであってもよい。また、ラインセンサは複数本並列にして管路の延在方向に配置し、あるいは少なくとも管路の延在方向に整列する多数の画素を有する2次元光センサで代用してもよく、このようにすれば、管路の周方向あるいは接線方向の光軸のずれにも対応することができる。
【0054】
さらに、上記実施形態の装置では、液体としての血液の濃度を測定することができるが、他の液体の濃度測定に用いることもでき、その場合には光源から供給する光として、その液体による吸収率が高い波長の光を選択するのが好ましい。
【0055】
そして、上記実施形態の装置では、CPUが、受光素子が出力する光の強度に基づき演算処理を行って血液濃度を求め、それを出力しているが、これに代えて、ラインセンサの所定範囲の受光素子が出力する光の強度の複数種類の分布パターンあるいはその所定範囲の分布パターンで囲まれる領域の面積を、あらかじめ取得してメモリ等に記憶してある複数種類の流体濃度のそれぞれについての分布パターンの形状あるいは面積と比較し、一致しない場合はデータ間を補完することで、流体濃度を求めるようにしてもよく、このようにすれば、多数の受光素子が受光した光の強度から短時間で容易に流体の濃度を求めて出力することができる。
【0056】
上述した蓋体の開閉と連動した、発光部および受光部の、樹脂チューブへの圧接およびその解放は流体濃度測定装置に限らず、変形可能な管路としての樹脂チューブ内を流れる液体中の気泡(マイクロバブルを含む。)を検出する装置にも用いることができる。
図9は、この発明に従う一実施形態の気泡検出装置を示し、(a)は縦断面図、(b)はこの気泡検出装置の発信部と受信部との間に樹脂チューブを挟み込んで気泡の検出を行う様子を模式的に示した横断面図である。なお、
図1〜4で示した実施形態の流体濃度測定装置における要素と同様の要素には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0057】
この気泡検出装置100は、
図1〜4で示した流体濃度測定装置10における発光部22に代えて、樹脂チューブTBの表面に対して超音波を発信する発信部102を備えるとともに、受光部24に代えて、樹脂チューブTBを透過した超音波を受信する受信部104を備える。発信部102は作動部材としての揺動部材38に保持されている。かかる構成の装置100の溝20に樹脂チューブTBを装着し、蓋体16を閉めると蓋体16によって押下部材46が押し下げられ、弾性部材としてのコイルスプリング47を介して揺動部材38が揺動し、発信部102と受信部104との間に樹脂チューブTBが所定の押圧下で挟持される。これにより、発信部102から発信された超音波を確実に樹脂チューブTBに伝達させかつ樹脂チューブTBおよびその内部の流体を透過した超音波を受信部104で確実に受信することができる。樹脂チューブTBおよびその内部の流体を透過した超音波は受信部104が受信し、図示しない演算部、例えばCPUが超音波の受信強度に基づき、および/または、超音波の発信から受信までに要した時間に基づき樹脂チューブTB内の気泡の有無を検出する。
【0058】
なお、この発明の気泡検出装置にあっては、
図5〜8で示した流体濃度測定装置と同様、溝および揺動部材を2組備え、押下部材の押し下げに連動して2つの揺動部材を同時に揺動させる伝達部材を備えていてもよい。この場合、伝達部材を付勢して、発信部と受信部とが互いに離間する方向に揺動部材を揺動させる付勢部材を備えてもよい。