(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記作業支援情報が前記運転室から見て前記バケットの左側の位置または右側の位置に視認されるように、前記表示装置における前記作業支援情報の表示位置を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載の作業車両。
前記表示制御部は、前記作業支援情報が前記運転室から見て前記バケットの周辺に視認されるように、前記表示装置における前記作業支援情報の表示位置を前記バケットの移動に追従させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の作業車両。
バケットを有する作業機と、前記作業機が取り付けられ、かつ運転室を有する本体部と、前記運転室に設けられ、作業現場の実景と重ね合わせて作業支援情報を表示する表示装置とを含む作業車両における表示制御方法であって、
前記本体部に対する前記バケットの位置を検出するステップと、
前記作業支援情報を前記バケットの移動に追従させて前記表示装置に表示させるステップと、
前記バケットが前記運転室に対して前後方向に移動した場合、検出された前記位置に基づいて、前記表示装置における前記作業支援情報のサイズを変更するステップとを備える、表示制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業車両のバケットが運転室に近づくほど、運転室のオペレータにはバケットが大きく見える。したがって、バケットが運転室に近づくほど、オペレータにとって、所定の画像としての作業支援情報がバケットと重なる可能性が高くなる。それゆえ、作業車両の操作性が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、作業支援情報の表示を適切に制御することによって作業車両の操作性を向上させることが可能な作業車両、および当該作業車両における表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従うと、作業車両は、バケットを有する作業機と、作業機が取り付けられ、かつ運転室を有する本体部と、運転室に設けられ、作業現場の実景と重ね合わせて作業支援情報を表示する表示装置と、作業支援情報を表示装置に表示させる表示制御部と、本体部に対するバケットの位置を検出するバケット位置検出部とを備える。表示制御部は、表示装置における作業支援情報の表示位置をバケットの移動に追従させる。表示制御部は、バケットが運転室に対して前後方向に移動した場合、検出された位置に基づいて、表示装置における作業支援情報の表示態様を変更する。
【0008】
バケットが前後方向に移動した場合、運転室のオペレータから表示装置を介して視認されるバケットの大きさは変化する。それゆえ、視認されるバケットの大きさによっては作業支援情報の表示態様を変更することが、作業車両の操作性を向上させる観点から好ましい場合がある。そこで、上記の構成のように、バケットが運転室に対して前後方向に移動した場合にバケットの位置に基づいて表示装置における作業支援情報の表示態様を変更することにより、バケットの前後方向の移動の際に表示態様が変更されない構成に比べて、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【0009】
好ましくは、表示制御部は、バケットが前後方向に移動した場合、検出された位置に基づいて、作業支援情報のサイズを変更する。
【0010】
上記の構成によれば、バケットの前後方向の移動の際に作業支援情報の表示サイズが変更されない構成に比べて、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【0011】
好ましくは、表示制御部は、バケットが第1の位置にある場合には、第1のサイズで作業支援情報を表示装置に表示させる。表示制御部は、バケットが第1の位置よりも運転室寄りの第2の位置にある場合には、第1のサイズよりも小さな第2のサイズで作業支援情報を表示装置に表示させる。
【0012】
上記の構成によれば、バケットが第1の位置にあるときよりも、運転室のオペレータからバケットが大きく視認される第2の位置にバケットがあるときの方が、作業支援情報の表示サイズが小さくなる。したがって、作業車両は、バケットが運転席寄りの第2の位置に到達しても、バケットの周囲に作業支援情報を表示させ続けることが可能となる。
【0013】
好ましくは、表示制御部は、バケットが第2の位置よりも運転室寄りの第3の位置にある場合には、作業支援情報を表示装置に表示させない。
【0014】
バケットが第2の位置にあるときよりも、バケットが第3の位置にあるときの方が、運転室のオペレータから視認されるバケットの大きさは大きい。このような場合、作業支援情報のサイズを小さくし過ぎると、オペレータは作業支援情報が示す内容を正確に把握できなくなる。それゆえ、バケットが第2の位置よりも運転室寄りの第3の位置にある場合に作業支援情報を非表示とすることにより、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【0015】
好ましくは、表示制御部は、バケットが運転室に近づくにつれて、作業支援情報のサイズを徐々に小さくする。
【0016】
上記の構成によれば、バケットが運転室に近づくにつれて、表示される作業支援情報は徐々に小さくなるため、作業支援情報のサイズが急激に変化する場合に比べて、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【0017】
好ましくは、表示制御部は、バケットが第1の位置にある場合と、バケットが第1の位置よりも運転室寄りの第2の位置にある場合とには、所定のサイズで作業支援情報を表示装置に表示させる。表示制御部は、バケットが第2の位置よりも運転室寄りの第3の位置にある場合には、作業支援情報を表示装置に表示させない。
【0018】
バケットが第2の位置にあるときよりも、バケットが第3の位置にあるときの方が、運転室のオペレータから視認されるバケットの大きさは大きい。このような場合、作業支援情報をバケットの周囲に追従させることができなくなる可能性がある。そこで、上記の構成のように、第3の位置では作業支援情報を非表示とすることにより、作業支援情報の表示位置をバケットに追従させることができなくなった事態に対処し得る。
【0019】
好ましくは、表示制御部は、作業支援情報が運転室から見てバケットの左側の位置または右側の位置に視認されるように、表示装置における作業支援情報の表示位置を制御する。
【0020】
上記の構成によれば、作業支援情報は、少なくとも刃先の下側に表示されない。したがって、オペレータにとって作業性に優れた表示が可能となる。
【0021】
好ましくは、作業機は、運転室の右側に設けられている。表示制御部は、作業支援情報が運転室から見てバケットの左側の位置に視認されるように、表示装置における作業支援情報の表示位置を制御する。
【0022】
上記の構成によれば、本体部に対する作業機の取付位置に適した作業支援情報の表示が可能となる。
【0023】
好ましくは、表示制御部は、バケットが第1の位置にある場合には、作業支援情報が運転室からバケットの左側の位置および右側の位置のうちの一方の位置に視認されるように、表示装置における作業支援情報の表示位置を制御する。表示制御部は、バケットが第2の位置にある場合には、作業支援情報が運転室からバケットの左側の位置および右側の位置のうちの他方の位置に視認されるように、表示装置における作業支援情報の表示位置を制御する。
【0024】
上記の構成によれば、バケットが運転室に近づいても、作業支援情報をバケットの周囲に表示させ続けることが可能となる。
【0025】
好ましくは、表示制御部は、作業支援情報が運転室から見てバケットの周辺に視認されるように、表示装置における作業支援情報の表示位置をバケットの移動に追従させる。
【0026】
上記の構成によれば、作業支援情報がバケットに重なって見えてしまうことを防止できる。また、作業支援情報がバケットの周囲で追従するため、作業支援情報の視認性が向上する。
【0027】
本発明の局面に従うと、作業車両の表示制御方法は、バケットを有する作業機と、作業機が取り付けられ、かつ運転室を有する本体部と、運転室に設けられ、作業現場の実景と重ね合わせて作業支援情報を表示する表示装置とを含む、作業車両において実行される。表示制御方法は、本体部に対するバケットの位置を検出するステップと、作業支援情報をバケットの移動に追従させて表示装置に表示させるステップと、バケットが運転室に対して前後方向に移動した場合、検出された位置に基づいて、表示装置における作業支援情報の表示態様を変更するステップとを備える。
【0028】
上記の方法によれば、バケットが運転室に対して前後方向に移動した場合、バケットの位置に基づいて表示装置における作業支援情報の表示態様を変更することによって、バケットの前後方向の移動の際に表示態様が変更されない構成に比べて、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
上記の発明によれば、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<A.全体構成>
図1は、実施形態に基づく作業車両101の外観を説明する図である。
図1に示されるように、実施形態に基づく作業車両101として、本例においては、油圧ショベルを例に挙げて説明する。
【0032】
作業車両101は、走行体1と、旋回体3と、作業機4とを主に有している。作業車両101の本体部は、走行体1と旋回体3とにより構成される。本体部には、作業機4が取り付けられている。走行体1は、左右1対の履帯を有している。旋回体3は、走行体1の旋回機構を介して旋回可能に装着される。旋回体3は、運転室8等を有する。
【0033】
作業機4は、旋回体3において、上下方向に作動可能に軸支されており、土砂の掘削などの作業を行う。作業機4は、ブーム5と、アーム6と、バケット7とを含む。作業機4は、運転室8から右前方に視認される位置に設けられている。
【0034】
ブーム5は、基部が旋回体3に可動可能に連結されている。アーム6は、ブーム5の先端に可動可能に連結されている。バケット7は、アーム6の先端に可動可能に連結されている。バケット7は、運転室8に対して上下方向に移動可能である。また、バケット7は、運転室8に対して前後方向にも移動可能である。バケット7は、刃先7Aを有する。
【0035】
運転室8は、フロントガラス2を有する。フロントガラス2は、フレーム9によって固定されている。詳しくは、フロントガラス2は、フロントガラス2Aと、フロントガラス2Aより下側のフロントガラス2Bとによって構成される。さらに詳しくは、フロントガラス2Aは、上部の開口枠9Aの内側(開口枠内)に設けられ、フロントガラス2Bは、下部の開口枠9Bの内側に設けられている。
【0036】
表示装置44は、作業車両101の運転室8の運転席の前方に取り付けられている。本例においては、表示装置44は、運転室8に入射する外光を透過する部材(フィルム等)と、投影機(プロジェクタ)とによって構成される。投影機によって投影された映像は、実像として外光を透過する部材(フィルム等)に表示される。表示装置44の表示領域は、作業車両101の運転室8の前面の開口枠9A内に設けられる。運転室8のオペレータは、表示装置44の表示領域を透して、作業機4を含む作業現場の実景を目視することができる。表示装置44は、作業現場の実景と重ね合わせて、オペレータによる作業機4の操作(作業)を支援するための情報(作業支援情報)を表示する。表示装置44は、オペレータの視野に直接映像を映し出すヘッドアップディスプレイとして機能する。
【0037】
表示装置44のフィルム等の外光を透過する部材は、フロントガラス2Aに重畳されて設置されている。表示装置44は、フロントガラス2Aの縁部まで表示領域を有する。なお、フロントガラス2Aの大きさは、表示装置44の表示領域と同じであっても良いし、異なる場合であっても良い。
【0038】
本例においては、表示装置44として、運転室8に入射する外光を透過する部材(フィルム等)に対して投影機(プロジェクタ)によって投影された映像を表示する構成について説明するが、これに限られず透明のディスプレイ(たとえば、透過型の液晶ディスプレイ)である表示装置44を備えた構成とすることも可能である。
【0039】
<B.制御系の構成>
図2は、作業車両101が備える制御系の構成を表したブロック図である。
図2に示されるように、作業車両101は、操作装置10と、作業機コントローラ20と、作業機駆動装置30と、表示システム40とを有する。
【0040】
(b1.操作装置10)
操作装置10は、操作部材11L、11Rと、操作検出部12と、走行操作部材13と、走行操作検出部14とを有する。
【0041】
操作部材11L、11Rは、オペレータが作業機4および旋回体3を操作するために用いられる。詳しくは、操作部材11Rは、オペレータがブーム5とバケット7とを操作するために用いられる。操作部材11Lは、オペレータが旋回体3とアーム6とを操作するために用いられる。
【0042】
操作検出部12は、操作部材11L、11Rに対するオペレータの操作を検出する。
走行操作部材13は、オペレータが作業車両101の走行を操作するために用いられる。走行操作検出部14は、走行操作部材13の操作内容に応じパイロット流量を発生する。作業車両101は、パイロット流量に応じた速度で移動する。
【0043】
(b2.作業機コントローラ20)
作業機コントローラ20は、記憶部21と、演算部22とを有している。記憶部21は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等のメモリで構成される。演算部22は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置で構成される。
【0044】
作業機コントローラ20は、主として、作業機4の動作と旋回体3の旋回とを制御する。詳しくは、作業機コントローラ20は、操作部材11L、11Rの操作に応じて、作業機4および旋回体3を動作させるための制御信号を生成する。作業機コントローラ20は、生成した制御信号を作業機制御装置27に出力する。
【0045】
(b3.作業機駆動装置30)
作業機駆動装置30は、比例制御弁31を有している。比例制御弁31は、作業機コントローラ20からの制御信号に基づいて動作する。詳しくは、比例制御弁31は、制御信号に応じた流量の作動油を、油圧シリンダおよび旋回モータに供給する。これにより、作業機4が動作し、旋回体3が旋回する。
【0046】
(b4.表示システム40)
表示システム40の表示装置44は、作業支援情報等の各種の画像を表示する。表示システム40は、バケット位置検出部41と、表示制御部43と、表示装置44とを有する。なお、表示システム40では、オペレータの視点位置として、所定の基準位置が予め設定されている。
【0047】
バケット位置検出部41は、バケット角度センサ411と、アーム角度センサ412と、ブーム角度センサ413とを有する。
【0048】
バケット角度センサ411は、バケット7の所定の基準位置からの相対角度を検出する。アーム角度センサ412は、アーム6の所定の基準位置からの相対角度を検出する。ブーム角度センサ413は、ブーム5の所定の基準位置からの相対角度を検出する。
【0049】
バケット位置検出部41は、検出された3つの相対角度の情報に基づき、作業車両本体に対するバケット7の位置を検出する。詳しくは、バケット位置検出部41は、車体座標系におけるバケット7の位置を検出する。バケット位置検出部41は、バケット7の位置として、たとえば、バケット7の刃先7Aの位置を検出する。
【0050】
表示制御部43は、上記検出されたバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報の表示位置をバケット7の移動に追従させる。詳しくは、表示制御部43は、作業支援情報が運転室8からバケット7の周囲に視認されるように、表示装置44における作業支援情報の表示位置を制御する。
【0051】
また、表示制御部43は、バケット7が運転室8に対して前後方向に移動した場合、検出されたバケットの位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報の表示態様を変更する。詳しくは、表示制御部43は、バケット7が前後方向に移動した場合、上記検出されたバケット7の位置に基づいて、作業支援情報の大きさ(サイズ)を変更する。なお、作業支援情報の具体的な表示例については、後述する(
図3〜7)。
【0052】
表示制御部43についてさらに詳しく説明すると以下のとおりである。表示制御部43は、画像生成部431と、表示位置演算部432とを有する。
【0053】
画像生成部431は、表示装置44に表示する画像を生成する。画像生成部431は、車速計、エンジン回転計、燃料計、油温計等を表した画像を生成する。さらに、画像生成部431は、複数の作業支援情報を表した画像を生成する。作業支援情報の具体例については、
図3等で説明する。
【0054】
詳しくは、画像生成部431は、作業車両101の動力系を制御するコントローラ(図示せず)と接続されている。画像生成部431は、各種のセンサによって検知された情報およびコントローラによる制御内容に関する情報などを受信する。画像生成部431は、当該受信された情報に基づいて、表示装置44に表示させる画像を生成する。
【0055】
表示位置演算部432は、表示装置44における画像の表示位置を演算し、算出された表示位置に画像を表示させる。詳しくは、表示位置演算部は、表示装置44における作業支援情報の表示位置を算出し、当該算出された位置に作業支援情報を表示させる。
【0056】
具体的には、表示位置演算部432は、バケット位置検出部41によって検出されたバケット7の位置と、上述した基準位置とに基づき、表示装置44における作業支援情報の表示位置を算出する。詳しくは、表示位置演算部432は、作業支援情報が運転室8からバケット7の周囲に視認される表示位置を算出する。表示位置演算部432によって算出される表示位置の詳細については、後述する(
図3〜7)。
【0057】
さらに詳しくは、表示制御部43は、表示装置44上におけるバケット7の位置およびバケット7の刃先7Aの位置を算出する。このような算出処理により、作業支援情報の表示位置をバケット7の移動に追従させることができる。なお、表示制御部43は、CPUなどの演算処理装置やRAMおよびROMなどの記憶装置によって実現される。
【0058】
<C.ユーザインターフェイス>
次に、
図3〜
図7に基づいて、表示装置44における作業支援情報の表示方法について説明する。詳しくは、最初に、
図3および
図4に基づいて、作業支援情報の追従処理を説明する。次いで、
図5〜
図7に基づいて、作業支援情報の表示態様の変更について説明する。
【0059】
(c1.作業支援情報の追従処理)
図3は、ある局面における表示装置44の表示内容を表した図である。
図3に示すとおり、表示制御部43は、表示装置44の表示領域に、複数の作業支援情報91〜94を表示させる。詳しくは、表示制御部43は、複数の作業支援情報91〜94の各々がバケット7の周囲に視認される位置に、複数の作業支援情報91〜94を表示させる。好ましくは、表示制御部43は、複数の作業支援情報91〜94を、バケット7の刃先7Aよりも上方の位置に表示させる。
【0060】
また、
図3の例では、表示制御部43は、作業支援情報91,92が運転室8から見てバケット7の左側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報91,92の表示位置を制御する。さらに、表示制御部43は、作業支援情報93,94が運転室8から見てバケット7の右側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報93,94の表示位置を制御する。
【0061】
作業支援情報91は、正対コンパスを表している。正対コンパスは、作業車両101が設計面データと正対した状態にあるか否かを表す。また、正対コンパスは、正対状態にない場合には、円の内部の矢印の回転角でずれ量を表す。作業車両101が設計面データと正対していない場合、表示制御部43は、
図3に示した態様とは異なる態様(たとえば、色等を変更した態様)で作業支援情報91を表示装置44に表示させてもよい。
【0062】
作業支援情報92は、設計面と刃先との断面(横断面)を表している。
作業支援情報93は、ライトバーを表している。ライトバーは、仕上げ掘削時に表示される。ライトバーは、設計面と刃先7Aとの距離を、後述する作業支援情報94よりも詳細に表示する。作業支援情報94は、設計面方向および設計面と刃先7Aとの距離を表している。
【0063】
なお、
図3に示した作業支援情報91〜94は、一例であって、表示装置44に表示される作業支援情報は、これらに限定されるものではない。
【0064】
図4は、バケット7が上方に移動した場合における、複数の作業支援情報91〜94の各々の表示位置を説明するための図である。なお、
図4に示すとおり、バケット7は、状態(A)よりも状態(B)の方が高い位置にある。
【0065】
状態(A)では、表示システム40は、
図3と同様に、4つの作業支援情報91〜94を表示している。状態(A)からバケット7が上方に移動すると、表示制御部43は、バケット位置検出部41によって逐次検出されるバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報91〜94の表示位置をバケット7の移動に追従させるための処理を行う。より詳しくは、状態(B)のように、表示制御部43は、バケット7との相対的な位置関係が各々の作業支援情報91〜94において一定となるように、作業支援情報91〜94の表示位置をバケット7の移動に追従させる。
【0066】
詳しくは、表示制御部43は、各作業支援情報91〜94が運転室8からバケット7の周囲に視認されるように、表示装置44における作業支援情報91〜94の表示位置を制御する。さらに詳しくは、表示制御部43は、バケット7の上下方向の移動に対して作業支援情報91〜94を追従させるだけではなく、バケット7の運転室8に対する前後方向の移動に対しても作業支援情報91〜94を追従させる。
【0067】
以上のように、表示制御部43は、作業支援情報が運転室8からバケット7の周辺に視認されるように、表示装置44における作業支援情報の表示位置をバケット7の移動に追従させる。
【0068】
また、表示制御部43は、作業支援情報が運転室8からバケット7の左側の位置または右側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報の表示位置を制御する。当該の構成によれば、作業支援情報は、少なくとも刃先7Aの下側に表示されない。したがって、オペレータにとって作業性に優れた表示が可能となる。
【0069】
また、作業機4は、運転室8の右側に設けられている。表示制御部43は、作業支援情報が運転室8からバケット7の左側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報の表示位置を制御する。当該構成によれば、本体部に対する作業機の取付位置に適した作業支援情報の表示が可能となる。
【0070】
(c2.作業支援情報の表示態様の変更)
以下では、作業支援情報の表示態様の変更例として、3つの例を挙げて説明する。詳しくは、以下では、バケット7が運転室8に対して前後方向の移動した場合における、作業支援情報92,93の表示態様の変更方法について説明する。
【0071】
(1)第1の変更例
図5は、バケット7が運転室8に近づく方向(後方向)に移動した場合における、作業支援情報92の表示態様の第1の変更例を説明するための図である。
図5に示すとおり、バケット7は、状態(A)よりも状態(B)の方が運転室8に近い位置にある。また、バケット7は、状態(B)よりも状態(C)の方が運転室8に近い位置にある。
【0072】
状態(A)に示すように、位置P1にバケット7がある場合、表示システム40は、作業支援情報92を、運転室8のオペレータから見てバケット7の左側の位置P51に表示する。詳しくは、表示システム40の表示制御部43は、作業支援情報92を第1のサイズで位置P51に表示する。より詳しくは、表示制御部43が、作業支援情報92を、バケット7の刃先7Aよりも高い位置に表示させる。
【0073】
状態(A)からバケット7が後方(運転室8側)に移動すると、表示制御部43は、バケット位置検出部41によって逐次検出されるバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報92の表示位置をバケット7の移動に追従させるための処理を行う。より詳しくは、表示制御部43は、バケット7との相対的な位置関係が一定となるように、作業支援情報92の表示位置をバケット7の移動に追従させる。さらに、表示制御部43は、作業支援情報92の表示サイズを、バケット7の後方への移動に応じて、上記第1のサイズから徐々に小さくする。
【0074】
たとえば、状態(B)に示すとおり位置P2にバケット7が到達した場合、表示制御部43は、作業支援情報92を位置P52に表示させる。詳しくは、表示制御部43は、作業支援情報92を、上記第1のサイズよりも小さい第2のサイズで位置P52に表示する。
【0075】
状態(B)の後、バケット7がさらに後方に移動した場合、表示制御部43は、作業支援情報92の表示位置をバケット7の移動に追従させるとともに、作業支援情報92のサイズをさらに小さくする処理を行う。
【0076】
たとえば、状態(C)に示すとおり位置P3にバケット7が到達した場合、表示制御部43は、作業支援情報92を位置P53に表示させる。詳しくは、表示制御部43は、作業支援情報92を、上記第2のサイズよりも小さい第3のサイズで位置P53に表示する。
【0077】
なお、位置P52,P53は、オペレータから見てバケット7の左側の位置である。また、これらの位置においてもバケット7と作業支援情報92との位置関係が一定に保たれるため、作業支援情報92は、バケット7の刃先7Aよりも高い位置に表示される。
【0078】
上記の処理を小括すると、以下の(i)〜(iv)のとおりである。
(i)表示制御部43は、作業支援情報92が運転室8からバケット7の周囲に視認されるように、表示装置44における作業支援情報92の表示位置を制御する。表示制御部43は、バケット7が運転室8に対して前後方向に移動した場合、バケット位置検出部41によって検出されたバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報92の表示態様を変更する。
【0079】
バケット7が前後方向に移動した場合、運転室8のオペレータから表示装置44を介して視認されるバケット7の大きさは変化する。それゆえ、視認されるバケット7の大きさによっては作業支援情報92の表示態様を変更することが、作業車両101の操作性を向上させる観点から好ましい場合がある。
【0080】
そこで、上記の構成のように、バケット7が運転室8に対して前後方向に移動した場合にバケット7の位置に基づいて表示装置44における作業支援情報92の表示態様を変更することにより、バケット7の前後方向の移動の際に表示態様が変更されない構成に比べて、作業車両101の操作性を向上させることが可能となる。
【0081】
(ii)具体的には、表示制御部43は、バケット7が上記前後方向に移動した場合、バケット位置検出部41によって検出されたバケット7の位置に基づいて、表示装置44上における作業支援情報92のサイズを変更する。このような構成によれば、バケット7の前後方向の移動の際に作業支援情報92の表示サイズが変更されない構成に比べて、作業車両101の操作性を向上させることが可能となる。
【0082】
(iii)詳しくは、表示制御部43は、バケット7が位置P1にある場合には、第1のサイズで作業支援情報92を表示装置44に表示させる。表示制御部43は、バケット7が位置P1よりも運転室8寄りの位置P2にある場合には、第1のサイズよりも小さな第2のサイズで作業支援情報92を表示装置44に表示させる。
【0083】
このような構成によれば、バケット7が位置P1にあるときよりも、運転室8のオペレータからバケットが大きく視認される位置P2にバケットがあるときの方が、作業支援情報92の表示サイズが小さくなる。したがって、作業車両101は、バケット7が運転席寄りの位置P2に到達しても、バケット7の周囲に作業支援情報92を表示させ続けることが可能となる。
【0084】
(iv)より詳しくは、表示制御部43は、バケット7が運転室8に近づくにつれて、表示装置44上における作業支援情報92のサイズを徐々に小さくする。このような構成によれば、バケット7が運転室8に近づくにつれ、表示される作業支援情報92は小さくなるため、作業支援情報92のサイズが急激に変化する場合に比べて、作業車両の操作性を向上させることが可能となる。
【0085】
(2)第2の変更例
図6は、バケット7が運転室8に近づく方向(後方向)に移動した場合における、作業支援情報92の表示態様の第2の変更例を説明するための図である。
図6に示すとおり、バケット7は、状態(A)よりも状態(B)の方が運転室8に近い位置にある。また、バケット7は、状態(B)よりも状態(C)の方が運転室8に近い位置にある。なお、
図6の状態(A)は
図5の状態(A)と同一であり、
図6の状態(B)は
図5の状態(B)と同一である。したがって、
図6の状態(A),(B)については、ここでは繰り返し説明をしない。
【0086】
状態(B)の後、バケット7がさらに後方に移動してバケット7が位置P3(状態(C))に到達した場合、表示制御部43は、作業支援情報92を非表示とする。このように、表示制御部43は、バケット7が位置P2よりも運転室8寄りの位置P3にある場合には、作業支援情報92を表示装置44に表示させない。
【0087】
ところで、バケット7が位置P2にあるときよりも、バケット7が位置P3にあるときの方が、運転室8のオペレータから視認されるバケット7の大きさは大きい。このような場合、作業支援情報92のサイズを小さくし過ぎると、オペレータは作業支援情報92が示す内容を正確に把握できなくなる。それゆえ、バケット7が位置P2よりも運転室寄りの位置P3にある場合、上記のように作業支援情報92を非表示とすることにより、作業車両101の操作性を向上させることが可能となる。
【0088】
(3)第3の変更例
図7は、バケット7が運転室8に近づく方向(後方向)に移動した場合における、作業支援情報92の表示態様の第3の変更例を説明するための図である。
図7に示すとおり、バケット7は、状態(A)よりも状態(B)の方が運転室8に近い位置にある。
【0089】
状態(A)に示すように、位置P1にバケット7がある場合、表示システム40は、作業支援情報93を、運転室8のオペレータから見てバケット7の右側の位置P54に表示する。詳しくは、表示システム40の表示制御部43は、作業支援情報93を第1のサイズで位置P54に表示する。より詳しくは、表示制御部43が、作業支援情報93を、バケット7の刃先7Aよりも高い位置に表示させる。
【0090】
状態(A)からバケット7が後方(運転室8側)に移動すると、表示制御部43は、バケット位置検出部41によって逐次検出されるバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報93の表示位置をバケット7の移動に追従させるための処理を行う。より詳しくは、表示制御部43は、バケット7との相対的な位置関係が一定となるように、作業支援情報93の表示位置をバケット7の移動に追従させる。さらに、表示制御部43は、作業支援情報93の表示サイズを、バケット7の後方への移動に応じて、上記第1のサイズから徐々に小さくする。
【0091】
状態(B)に示すとおり位置P2にバケット7が到達した場合、表示制御部43は、作業支援情報93を、運転室8のオペレータから見てバケット7の左側の位置P55に表示させる。詳しくは、表示制御部43は、作業支援情報93の表示位置を、バケット7に対して状態(A)とは反対側に変更する。また、表示制御部43は、作業支援情報93を、上記第1のサイズよりも小さい第2のサイズで位置P55に表示する。
【0092】
なお、位置P54,P55においてもバケット7と作業支援情報93との位置関係が一定に保たれるため、作業支援情報93は、バケット7の刃先7Aよりも高い位置に表示される。
【0093】
以上のように、表示制御部43は、バケット7が位置P1にある場合には、作業支援情報93が運転室8からバケット7の右側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報93の表示位置を制御する。表示制御部43は、バケット7が位置P2にある場合には、作業支援情報93が運転室8からバケット7の左側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報93の表示位置を制御する。このような構成によれば、バケット7が運転室8に近づいても、作業支援情報93をバケット7の周囲に表示させ続けることが可能となる。
【0094】
なお、作業機4の位置が運転室8の左側にある場合には、以下のように表示制御部43を構成してもよい。表示制御部43は、バケット7が位置P1’にある場合には、作業支援情報が運転室8からバケット7の左側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報の表示位置を制御する。表示制御部43は、バケット7が位置P1’よりも運転室8寄りの位置P2’にある場合には、作業支援情報が運転室8からバケット7の右側の位置に視認されるように、表示装置44における作業支援情報93の表示位置を制御する。この場合にも、バケット7が運転室8に近づいても、作業支援情報93をバケット7の周囲に表示させ続けることが可能となるといった効果を得られる。
【0095】
<D.制御構造>
図8は、作業支援情報の表示処理を説明するためのフローチャートである。
図8に示すとおり、表示制御部43は、ステップS1において、グローバル座標系上の作業車両101の三次元位置情報を算出する。表示制御部43は、ステップS2において、車体座標系上における、バケット7の位置および刃先7Aの位置を算出する。ステップS3において、表示制御部43は、グローバル座標上のバケット7の位置および刃先7Aの位置を算出する。なお、グローバル座標系上のバケット7の位置等を算出するのは、予め記憶されている目標地形情報を利用した情報を表示装置44に表示させるためである。
【0096】
ステップS4において、表示制御部43は、バケット7の刃先のグローバル座標での現在位置と、上記目標地形情報とに基づいて、目標設計地形と刃先7Aとの距離情報を算出する。ステップS5において、表示制御部43は、ステップS4で算出した距離情報に基づいて作業支援情報の表示内容を生成する。ステップS6において、表示制御部43は、ステップS2で算出された車体座標系上のバケット7の現在位置(詳しくは、刃先7Aの現在位置)に基づいて、作業支援情報の表示サイズと、作業支援情報の表示位置とを算出する。ステップS7において、表示制御部43は、ステップS6で算出した表示位置に、算出した表示サイズで作業支援情報を表示する。
【0097】
<E.変形例>
(e1.第1の変形例)
図9は、
図6に基づいて説明した第2の変更例についての変形例を説明するための図である。
図9に示すとおり、バケット7は、状態(A)よりも状態(B)の方が運転室8に近い位置にある。また、バケット7は、状態(B)よりも状態(C)の方が運転室8に近い位置にある。なお、
図9の状態(A)は
図6の状態(A)と同一であり、
図9の状態(C)は
図6の状態(C)と同一である。したがって、
図9の状態(A),(C)については、ここでは繰り返し説明をしない。
【0098】
状態(A)からバケット7が後方(運転室8側)に移動すると、表示制御部43は、バケット位置検出部41によって逐次検出されるバケット7の位置に基づいて、表示装置44における作業支援情報92の表示位置をバケット7の移動に追従させるための処理を行う。より詳しくは、表示制御部43は、バケット7との相対的な位置関係が一定となるように、作業支援情報92の表示位置をバケット7の移動に追従させる。
【0099】
この場合、表示制御部43は、作業支援情報92の表示サイズを上記第1のサイズから変更しない。詳しくは、表示制御部43は、バケット7が後方に移動しても、作業支援情報92のサイズを変更する制御を行わない。このように、作業支援情報92のサイズの変更を行わない点が、上述した第2の変更例(
図6)とは異なる。
【0100】
また、状態(B)の後、バケット7がさらに後方に移動してバケット7が位置P3(状態(C))に到達した場合、表示制御部43は、作業支援情報92を非表示とする。このように、表示制御部43は、バケット7が位置P2よりも運転室8寄りの位置P3にある場合には、作業支援情報92を表示装置44に表示させない。
【0101】
以上のように、表示制御部43は、バケット7が位置P1にある場合と、バケット7が位置P1よりも運転室8寄りの位置P2にある場合とには、第1のサイズ(所定のサイズ)で作業支援情報92を表示装置44に表示させる。表示制御部43は、バケット7が位置P2よりも運転室8寄りの位置P3にある場合には、作業支援情報92を表示装置44に表示させない。
【0102】
上述したように、バケット7が位置P2にあるときよりも、バケット7が位置P3にあるときの方が、運転室8のオペレータから視認されるバケット7の大きさは大きい。このような場合、作業支援情報92をバケットの周囲に追従させることができなくなる可能性がある。そこで、上記の構成のように、位置P3では作業支援情報92を非表示とすることにより、作業支援情報の表示位置をバケットに追従させることができなくなった事態に対処し得る。
【0103】
(e2.第2の変形例)
上記においては、表示装置44が開口枠9A内の表示領域に表示する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。表示装置44が開口枠9B内も表示領域として表示する構成としても良い。すなわち、運転室8が透明のデュアルディスプレイを備える構成であってもよい。この場合、表示制御部43は、2つの表示領域における表示を制御することになる。なお、開口枠9Bの表示領域について別の表示装置を設けた構成とすることも可能である。
【0104】
このような構成の作業車両であっても、上述した作業車両101で得られる効果と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、作業支援情報は下側の表示装置の表示領域にも表示できる。
【0105】
(e3.第3の変形例)
作業車両101は、表示装置44とは異なる構成の表示装置を備えていてもよい。具体的には、作業車両101は、表示装置としてコンバイナを備えていても良い。
【0106】
図10は、実施形態の表示装置44とは異なる構成を有する他の表示装置を表した図である。
図10に示すとおり、表示装置70は、運転室8に設けられ、投影機71と、レンズ工学系72と、コンバイナ73とを有する。
【0107】
投影機71は、プロジェクタである。レンズ工学系72は、投影機71とコンバイナ73との間に設置されている。レンズ工学系72は、複数のレンズを有する。レンズ工学系72は、複数のレンズのうちの一部のレンズは、光軸方向に移動可能となっている。
【0108】
コンバイナ73は、フロントガラス2Aに設置されている。なお、コンバイナ73は、フロントガラス2Aとフロントガラス2Bとに設置されていてもよい。コンバイナ73は、一部の光を反射し、残りの光を透過するハーフミラーで構成されている。コンバイナ73は、投影機71によって投影された映像を運転室8内のオペレータ側に反射するとともに、運転室8の外部からの光を運転室8の内部に透過する。
【0109】
このため、表示装置70では、オペレータは、コンバイナ73に投影された映像を、運転室8前方の実景に重ねて表示される虚像として捉えることができる。
【0110】
このように、コンバイナ73を利用した表示装置70を備える作業車両であっても、実施形態の作業車両101と同様の効果を奏することができる。
【0111】
なお、作業車両の一例として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、バックホーローダや他の作業車両にも適用可能である。
【0112】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。