特許第6620057号(P6620057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620057部品実装装置および部品実装装置の被計測物の高さ取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620057
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置の被計測物の高さ取得方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20191202BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H05K13/08 B
   H05K13/04 B
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-74902(P2016-74902)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-188520(P2017-188520A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】仲村 誠司
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−235886(JP,A)
【文献】 特開2008−124293(JP,A)
【文献】 特開2005−072046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動可能な移動部と、変位後の位置に前記移動部を保持可能な保持部とを含む高さ計測用部材と、
前記高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部により前記高さ計測用部材を下方に移動させることによって、前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
実装される部品の状態を検出するための検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記部品の状態に加えて、前記高さ計測用部材の前記移動部の変位も取得するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記部品の側方から前記部品の厚みを検出するための検出部である、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記部品の下方から前記部品を撮像する撮像部である、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項5】
実装される部品を吸着するためのノズルが着脱可能に装着されるヘッドをさらに備え、
前記高さ計測用部材は、前記ヘッドに装着される前記ノズルと交換可能に構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、
前記高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部により前記高さ計測用部材を下方に移動させることによって、前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する制御部と、
実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記部品の状態に加えて、前記高さ計測用部材の前記移動部の変位も取得するように構成されており、
前記検出部は、前記部品の側方から前記部品の厚みを検出するための検出部であり、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記高さ計測用部材の前記移動部の変位として、前記高さ計測用部材の前記移動部の上下方向の長さを取得するとともに、取得された前記高さ計測用部材の前記移動部の上下方向の長さに基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得するように構成されている、部品実装装置。
【請求項7】
上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、
前記高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部により前記高さ計測用部材を下方に移動させることによって、前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する制御部と、
実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記部品の状態に加えて、前記高さ計測用部材の前記移動部の変位も取得するように構成されており、
前記検出部は、前記部品の下方から前記部品を撮像する撮像部であり、
前記制御部は、前記撮像部としての前記検出部による検出結果に基づいて、前記高さ計測用部材の前記移動部の水平方向の長さを取得するとともに、取得された前記高さ計測用部材の前記移動部の水平方向の長さに基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得するように構成されている、部品実装装置。
【請求項8】
上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、
前記高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部により前記高さ計測用部材を下方に移動させることによって、前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する制御部と、
実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記部品の状態に加えて、前記高さ計測用部材の前記移動部の変位も取得するように構成されており、
前記検出部は、前記部品の下方から前記部品を撮像する撮像部であり、
前記制御部は、前記撮像部としての前記検出部による検出結果に基づいて、前記駆動部により前記高さ計測用部材を前記撮像部としての前記検出部のピントが合う位置に移動させるとともに、前記ピントが合う位置への前記高さ計測用部材の移動量に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得するように構成されている、部品実装装置。
【請求項9】
上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、
前記高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部により前記高さ計測用部材を下方に移動させることによって、前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する制御部と、
実装される部品を吸着するためのノズルが着脱可能に装着されるヘッドと、を備え、
前記高さ計測用部材は、前記ヘッドに装着される前記ノズルと交換可能に構成されており、
前記ヘッドは、空気源から正圧が供給されることにより、前記ノズルに吸着された前記部品を離すことが可能に構成されており、
前記高さ計測用部材の前記移動部は、前記空気源から供給される正圧により、変位後の位置から、初期位置に戻るように構成されている、部品実装装置。
【請求項10】
上下方向に移動可能な移動部と、変位後の位置に前記移動部を保持可能な保持部とを含む高さ計測用部材を下方に移動させ、
前記高さ計測用部材の前記移動部と被計測物とを接触させ、
接触による前記高さ計測用部材の前記移動部の変位に基づいて、前記被計測物の高さ位置を取得する、部品実装装置の被計測物の高さ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置および部品実装装置の被計測物の高さ取得方法に関し、特に、被計測物の高さ位置を取得する部品実装装置およびこの部品実装装置の被計測物の高さ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被計測物の高さ位置を取得する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品が実装される基板(被計測物)にレーザ光を照射することによって、基板の高さ位置を計測するための高さセンサと、高さセンサによる基板の計測結果に基づいて基板の高さ位置を取得する制御装置と、を備える部品実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−13097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の部品実装装置では、レーザ光を用いて基板の高さ位置が計測されるため、基板の表面の色(たとえば、基板のレジストの色や基板に配置された配線パターンの色)などの影響により、計測面におけるレーザ光の反射状態が安定しないため、基板(被計測物)の高さ位置を精度良く取得することができない場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被計測物の高さ位置を精度良く取得することが可能な部品実装装置および部品実装装置の被計測物の高さ取得方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、上下方向に移動可能な移動部と、変位後の位置に移動部を保持可能な保持部とを含む高さ計測用部材と、高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、駆動部により高さ計測用部材を下方に移動させることによって、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部を設ける。これにより、高さ計測用部材と被計測物とを直接的に接触させて、被計測物の高さ位置を取得することができるので、レーザ光を用いて被計測物の高さ位置が取得される場合と異なり、被計測物の表面の色などの影響を受けることがない。その結果、レーザ光を用いて被計測物の高さ位置が取得される場合に比べて、被計測物の高さ位置を精度良く取得することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、実装される部品の状態を検出するための検出部をさらに備え、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、部品の状態に加えて、高さ計測用部材の移動部の変位も取得するように構成されている。このように構成すれば、部品実装装置が備える部品の状態を検出するための既存の検出部を流用して、高さ計測用部材の移動部の変位を取得することができる。その結果、高さ計測用部材の移動部の変位を検出するために専用の検出装置を別途設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の構成を簡素化することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、検出部は、部品の側方から部品の厚みを検出するための検出部である。このように構成すれば、比較的高精度で部品の厚みを検出可能な、部品の側方から部品の厚みを検出するための既存の検出部を流用して、高さ計測用部材の移動部の変位を精度良く検出することができる。
【0012】
上記実装される部品の状態を検出するための検出部をさらに備える構成において、好ましくは、検出部は、部品の下方から部品を撮像する撮像部である。このように構成すれば、たとえば部品の側方から部品の厚みを検出するための検出部が設けられていない場合にも、部品の下方から部品を撮像する既存の撮像部を流用して、高さ計測用部材の移動部の変位を検出することができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、実装される部品を吸着するためのノズルが着脱可能に装着されるヘッドをさらに備え、高さ計測用部材は、ヘッドに装着されるノズルと交換可能に構成されている。このように構成すれば、部品実装装置が通常備えるヘッドを利用して、高さ計測用部材による被計測物の高さ位置の計測を行うことができるので、専用の高さ位置計測装置を別途設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の構成を簡素化することができる。また、本構成では、被計測物の高さ位置の計測時には、ヘッドに高さ計測用部材を装着して被計測物の高さ位置の計測を行い、部品の実装時には、ヘッドにノズルを装着して部品の吸着を行うことができる。その結果、ヘッドに高さ計測用部材を取り付けて被計測物の高さ位置の計測を行う場合にも、実装能力の低下を抑制しつつ、被計測物の高さ位置の計測を行うことができる。
【0017】
この発明の第2の局面による部品実装装置は、上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、駆動部により高さ計測用部材を下方に移動させることによって、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部と、実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、部品の状態に加えて、高さ計測用部材の移動部の変位も取得するように構成されており、検出部は、部品の側方から部品の厚みを検出するための検出部であり、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、高さ計測用部材の移動部の変位として、高さ計測用部材の移動部の上下方向の長さを取得するとともに、取得された高さ計測用部材の移動部の上下方向の長さに基づいて、被計測物の高さ位置を取得するように構成されている。
この発明の第3の局面による部品実装装置は、上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、駆動部により高さ計測用部材を下方に移動させることによって、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部と、実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、部品の状態に加えて、高さ計測用部材の移動部の変位も取得するように構成されており、検出部は、部品の下方から部品を撮像する撮像部であり、制御部は、撮像部としての検出部による検出結果に基づいて、高さ計測用部材の移動部の水平方向の長さを取得するとともに、取得された高さ計測用部材の移動部の水平方向の長さに基づいて、被計測物の高さ位置を取得するように構成されている。
この発明の第4の局面による部品実装装置は、上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、駆動部により高さ計測用部材を下方に移動させることによって、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部と、実装される部品の状態を検出するための検出部と、を備え、制御部は、検出部による検出結果に基づいて、部品の状態に加えて、高さ計測用部材の移動部の変位も取得するように構成されており、検出部は、部品の下方から部品を撮像する撮像部であり、制御部は、撮像部としての検出部による検出結果に基づいて、駆動部により高さ計測用部材を撮像部としての検出部のピントが合う位置に移動させるとともに、ピントが合う位置への高さ計測用部材の移動量に基づいて、被計測物の高さ位置を取得するように構成されている。
この発明の第5の局面による部品実装装置は、上下方向に移動可能な移動部を含む高さ計測用部材と、高さ計測用部材を上下方向に移動させる駆動部と、駆動部により高さ計測用部材を下方に移動させることによって、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させるとともに、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する制御部と、実装される部品を吸着するためのノズルが着脱可能に装着されるヘッドと、を備え、高さ計測用部材は、ヘッドに装着されるノズルと交換可能に構成されており、ヘッドは、空気源から正圧が供給されることにより、ノズルに吸着された部品を離すことが可能に構成されており、高さ計測用部材の移動部は、空気源から供給される正圧により、変位後の位置から、初期位置に戻るように構成されている。
【0018】
この発明の第の局面による部品実装装置の被計測物の高さ取得方法は、上下方向に移動可能な移動部と、変位後の位置に移動部を保持可能な保持部とを含む高さ計測用部材を下方に移動させ、高さ計測用部材の移動部と被計測物とを接触させ、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する。
【0019】
この発明の第の局面による部品実装装置の被計測物の高さ取得方法では、上記のように、接触による高さ計測用部材の移動部の変位に基づいて、被計測物の高さ位置を取得する。これにより、上記第1の局面による部品実装装置の場合と同様に、被計測物の高さ位置を精度良く取得することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、被計測物の高さ位置を精度良く取得することが可能な部品実装装置および部品実装装置の被計測物の高さ取得方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1〜第3実施形態による部品実装装置の全体構成を示す図である。
図2】第1〜第3実施形態の部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の部品実装装置のヘッドに関する構成を示す模式図である。
図4】第1実施形態の部品実装装置の被計測物の高さ位置の計測動作を説明するための図である。
図5】第1実施形態の部品実装装置の高さ位置の算出方法を説明するための図である。
図6】第2実施形態の部品実装装置の高さ位置の算出方法を説明するための図である。
図7】第3実施形態の部品実装装置の高さ位置の算出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
(部品実装装置の構成)
図1図5を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0024】
部品実装装置100は、図1に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0025】
また、部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、支持部4と、レール部5と、部品認識下方カメラ6と、基板認識カメラ7と、部品認識側方カメラ8と、制御装置9(図2参照)とを備えている。なお、部品認識側方カメラ8は、特許請求の範囲の「検出部」の一例である。制御装置9は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0026】
基台1のY方向の両側(Y1側およびY2側)の端部には、複数のテープフィーダ10を配置するためのフィーダ配置部1aがそれぞれ設けられている。
【0027】
テープフィーダ10は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ10は、リールを回転させて部品Eを保持する部品供給テープを送出することにより、部品Eを供給するように構成されている。
【0028】
各テープフィーダ10は、フィーダ配置部1aに設けられた図示しないコネクタを介して制御装置9に電気的に接続された状態で、フィーダ配置部1aに配置されている。これにより、各テープフィーダ10は、制御装置9からの制御信号に基づいて、リールから部品供給テープを送出するとともに、部品Eを供給するように構成されている。この際、各テープフィーダ10は、ヘッドユニット3による部品Eの取出しのための吸着動作に応じて、部品Eを供給するように構成されている。
【0029】
基板搬送部2は、一対のコンベア2aを有している。基板搬送部2は、一対のコンベア2aによって、基板Pを水平方向(X方向)に搬送するように構成されている。具体的には、基板搬送部2は、上流側(X1側)の図示しない搬送路から実装前の基板Pを搬入するとともに、搬入された基板Pを実装作業位置Mまで搬送し、下流側(X2側)の図示しない搬送路に実装が完了した基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、クランプ機構などの図示しない基板固定機構により、実装作業位置Mで停止させた基板Pを保持して固定するように構成されている。
【0030】
基板搬送部2の一対のコンベア2aは、基板Pを下方から支持しながら、水平方向(X方向)に基板Pを搬送することが可能に構成されている。また、一対のコンベア2aは、Y方向の間隔を調整可能に構成されている。これにより、搬入される基板Pの大きさに応じて、一対のコンベア2aのY方向の間隔を調整することが可能である。
【0031】
ヘッドユニット3は、基板搬送部2およびテープフィーダ10よりも上方の位置に設けられており、支持部4および一対のレール部5を介して、水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、ヘッドユニット3は、テープフィーダ10から供給される部品Eを吸着するとともに、吸着された部品Eを実装作業位置Mにおいて固定された基板Pに実装するように構成されている。ヘッドユニット3は、ボールナット31と、5本のヘッド(実装ヘッド)32と、5本のヘッド32にそれぞれ設けられた5つのZ軸モータ33(図2参照)と、5本のヘッド32にそれぞれ設けられた5つのR軸モータ34(図2参照)とを含んでいる。なお、Z軸モータ33は、特許請求の範囲の「駆動部」の一例である。
【0032】
5本のヘッド32は、ヘッドユニット3の下面側にX方向に沿って一列に配置されている。図3に示すように、部品Eの実装時には、ヘッド32の先端に、実装される部品Eを吸着するためのノズル32aが着脱可能に装着される。具体的には、ヘッド32には、板バネからなる一対のヘッド側係合部材35が設けられている。各ヘッド側係合部材35の下部には、折り曲げ形状(窪み形状)を有するヘッド側係合部35aが設けられている。また、ノズル32aには、一対のヘッド側係合部35aと係合する一対のノズル側係合部32bが設けられている。各ノズル側係合部32bは、各ヘッド側係合部材35のヘッド側係合部35aの折り曲げ形状(窪み形状)に対応する窪み形状を有している。ノズル32aは、ノズル側係合部32bがヘッド側係合部35aと係合することによって、ヘッド32に着脱可能に装着される。
【0033】
また、第1実施形態では、基板Pやテープフィーダ10などの被計測物60(図4参照)の高さ位置の計測時には、ヘッド32の先端に、後述する高さ計測用部材70が着脱可能に装着される。部品実装装置100では、高さ計測用部材70は、ヘッド32に装着されるノズル32aと交換可能に構成されている。なお、高さ計測用部材70の詳細は、後述する。
【0034】
また、部品実装装置100には、図1に示すように、ノズルステーション80が設けられている。ノズルステーション80は、ノズル32aおよび高さ計測用部材70が配置されている。部品実装装置100では、ノズルステーション80において、ヘッド32に装着されるノズル32aと高さ計測用部材70との交換が行われる。
【0035】
ヘッド32は、図3に示すように、空気配管36およびバルブ37を介して、空気源38に接続されている。空気源38は、ヘッド32に空気を供給することにより正圧を供給するように構成されている。これにより、ヘッド32は、たとえば部品Eの実装時や不要な部品Eの廃却時などに、空気源38から供給される正圧によって、ノズル32aに吸着された部品Eを離すことが可能に構成されている。また、ヘッド32は、図示しない真空発生装置に接続されている。真空発生装置は、ヘッド32に装着されるノズル32aに負圧を供給するように構成されている。これにより、ヘッド32は、真空発生装置から供給される負圧によって、部品Eをノズル32aに吸着することが可能に構成されている。
【0036】
また、ヘッド32は、上下方向(Z方向)に昇降可能に構成されている。具体的には、ヘッド32は、部品Eの吸着や実装(装着)などを行う際の下降した状態の位置と、部品Eの搬送などを行う際の上昇した状態の位置との間で昇降可能に構成されている。また、ヘッドユニット3では、5本のヘッド32は、図2に示すように、ヘッド32毎に設けられたZ軸モータ33によりヘッド32毎に昇降可能に構成されている。また、5本のヘッド32は、ヘッド32毎に設けられたR軸モータ34によりヘッド32毎にノズル32aの中心軸回りに回転可能に構成されている。
【0037】
また、図1に示すように、ヘッドユニット3は、支持部4に沿ってX方向に移動可能に構成されている。具体的には、支持部4は、ボールネジ軸41と、ボールネジ軸41を回転させるX軸モータ42と、X方向に延びる図示しないガイドレールとを含んでいる。ヘッドユニット3は、X軸モータ42によりボールネジ軸41が回転されることにより、ボールネジ軸41と係合(螺合)するボールナット31とともに、支持部4に沿ってX方向に移動可能に構成されている。
【0038】
また、支持部4は、基台1上に固定された一対のレール部5に沿ってX方向と直交するY方向に移動可能に構成されている。具体的には、レール部5は、支持部4のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール51と、Y方向に延びるボールネジ軸52と、ボールネジ軸52を回転させるY軸モータ53とを含んでいる。また、支持部4には、ボールネジ軸52が係合(螺合)されるボールナット43が設けられている。支持部4は、Y軸モータ53によりボールネジ軸52が回転されることにより、ボールネジ軸52と係合(螺合)するボールナット43とともに、一対のレール部5に沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0039】
このような構成により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3は、たとえばテープフィーダ10の上方に移動して、テープフィーダ10から供給される部品Eを吸着することが可能である。また、ヘッドユニット3は、たとえば実装作業位置Mにおいて固定された基板Pの上方に移動して、吸着された部品Eを基板Pに実装することが可能である。
【0040】
部品認識下方カメラ6は、部品Eの実装に先立って実装される部品Eの状態を検出するために設けられている。具体的には、部品認識下方カメラ6は、部品Eの実装に先立ってヘッド32に吸着された部品Eを撮像することによって、部品Eの吸着状態を検出するように構成されている。部品認識下方カメラ6は、基台1の上面上に固定されており、ヘッド32に吸着された部品Eを、部品Eの下方(Z2方向)から撮像するように構成されている。この撮像結果は、制御装置9により取得される。これにより、吸着された部品Eの撮像結果に基づいて、部品Eの吸着状態(回転姿勢およびヘッド32に対する吸着位置)を制御装置9により取得することが可能である。
【0041】
基板認識カメラ7は、部品Eの実装に先立って基板Pに付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)FMを撮像するように構成されている。位置認識マークFMは、基板Pの位置を取得するためのマークである。図1に示す基板Pでは、位置認識マークFMは、基板Pの右下の位置および左上の位置に一対付されている。この位置認識マークFMの撮像結果は、制御装置9により取得される。そして、位置認識マークFMの撮像結果に基づいて、図示しない基板固定機構により固定された基板Pの正確な位置および姿勢を制御装置9により取得することが可能である。
【0042】
また、基板認識カメラ7は、ヘッドユニット3のX2側の側部に取り付けられており、ヘッドユニット3とともに、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、基板認識カメラ7は、基台1上をX方向およびY方向に移動して、基板Pに付された位置認識マークFMを、基板Pの上方(Z1方向)から撮像するように構成されている。
【0043】
部品認識側方カメラ8は、部品Eの実装に先立って実装される部品Eの状態を検出するために設けられている。具体的には、部品認識側方カメラ8は、部品Eの実装に先立ってヘッド32に吸着された部品Eを撮像することによって、部品Eの吸着状態を検出するように構成されている。部品認識側方カメラ8は、ヘッドユニット3のY2側の側部に取り付けられており、ヘッド32に吸着された部品Eを、部品Eの側方(Y2方向)から撮像するように構成されている。この撮像結果は、制御装置9により取得される。これにより、吸着された部品Eの撮像結果に基づいて、部品Eの厚みおよび姿勢を制御装置9により取得することが可能である。また、部品認識側方カメラ8は、ヘッドユニット3とともに、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。
【0044】
図2に示すように、制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)を含み、部品実装装置100の動作を制御するように構成されている。制御装置9は、基板搬送部2、X軸モータ42、Y軸モータ53、Z軸モータ33およびR軸モータ34などを生産プログラムに従って制御して、テープフィーダ10から供給される部品Eの吸着を行うとともに、基板Pに部品Eの実装を行うように構成されている。
【0045】
(被計測物の高さ位置の計測に関する構成)
次に、図3図5を参照して、部品実装装置100における被計測物60の高さ位置の計測に関する構成を説明する。
【0046】
部品実装装置100では、ヘッド32の先端に装着される高さ計測用部材70を用いて、基板Pやテープフィーダ10などの被計測物60(図4参照)の高さ位置の計測が行われる。なお、本明細書において、「高さ位置」は、たとえば、部品実装装置100における基準となる高さ位置に対する高さ位置である。
【0047】
図3に示すように、高さ計測用部材70は、保持部71と、移動部72と、一対の部材側係合部73とを含んでいる。
【0048】
保持部71は、移動部72を上下方向に移動可能に保持する部材である。保持部71は、上下方向(Z方向)に沿って延びる筒形状を有する壁部71aと、壁部71aの下端から側方に向かって延びる受け部71bとを有している。
【0049】
移動部72は、保持部71に対して上下方向に移動可能に構成されている。移動部72は、上下方向に移動可能に保持部71と嵌合する被保持部72aを有している。被保持部72aは、側面が保持部71の壁部71aと嵌合するように構成されている。また、被保持部72aは、移動部72の初期位置Pa(図3および図4(A)に示す移動部72が最下端である位置)において、下面が保持部71の受け部71bにより保持(支持)されている。また、移動部72は、被保持部72aから下方に向かって延びる被検出部72bを有している。被検出部72bは、被計測物60の高さ位置の計測時に、部品認識側方カメラ8により撮像される。
【0050】
また、保持部71は、壁部71aと被保持部72aとの間の摩擦力により、移動部72の変位後の位置Pb(たとえば図4(B)および(C)に示す位置)に移動部72を保持可能に構成されている。
【0051】
一対の部材側係合部73は、一対のヘッド側係合部材35のヘッド側係合部35aと係合するように構成されている。各部材側係合部73は、各ヘッド側係合部材35のヘッド側係合部35aの折り曲げ形状に対応する窪み形状を有している。高さ計測用部材70は、部材側係合部73がヘッド側係合部35aと係合することによって、ヘッド32に着脱可能に装着される。
【0052】
ここで、第1実施形態では、制御装置9は、図4(A)および(B)に示すように、高さ計測用部材70の保持部71の下面の高さ位置が、後述する基準高さ位置Hs1(図5参照)になるように、ヘッド32に装着された高さ計測用部材70を、Z軸モータ33により下方(Z2方向)に移動させる制御を行うように構成されている。
【0053】
これにより、制御装置9は、高さ計測用部材70の移動部72の先端72c(被検出部72bの先端)と被計測物60の被計測面(上面)とを接触させるとともに、高さ計測用部材70の移動部72を保持部71に対して上方(Z1方向)に変位させる制御を行うように構成されている。
【0054】
なお、部品実装装置100では、被計測物60の高さ位置の下方への変化を考慮して、高さ計測用部材70の下方への移動量が決定されている。したがって、たとえば、被計測物60が基板Pである場合であって、基板Pが下反りしている場合にも、確実に、高さ計測用部材70の移動部72の先端72c(被検出部72bの先端)と被計測物60の被計測面(上面)とを接触させて、高さ計測用部材70の移動部72を保持部71に対して上方に変位させることが可能である。
【0055】
また、制御装置9は、接触による高さ計測用部材70の移動部72の上方への変位に基づいて、被計測物60の被計測面の高さ位置を取得するように構成されている。
【0056】
第1実施形態では、制御装置9は、図4(C)に示すように、部品認識側方カメラ8による検出位置(撮像位置)まで、高さ計測用部材70を移動させるとともに、部品認識側方カメラ8により、側方から高さ計測用部材70の移動部72を検出(撮像)するように構成されている。
【0057】
また、第1実施形態では、制御装置9は、図5に示すように、部品認識側方カメラ8による検出結果(撮像結果)に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の変位として、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さ(図5に示す「L」)を取得するように構成されている。なお、第1実施形態では、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さは、変位後の位置Pbにおける高さ計測用部材70の保持部71の下面から移動部72の先端72cまでの長さである。
【0058】
高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さは、たとえば、部品認識側方カメラ8による撮像結果に基づいて、撮像画像のうちから高さ計測用部材70の移動部72の被検出部72bの露出部分が認識されるとともに、認識された被検出部72bの露出部分に基づいて、取得される。また、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さは、たとえば、部品認識側方カメラ8による撮像結果に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の先端72c(被検出部72bの先端)が認識されるとともに、認識された高さ計測用部材70の移動部72の先端72c(被検出部72bの先端)に基づいて、取得される。
【0059】
制御装置9は、取得された高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さに基づいて、被計測物60の被計測面の高さ位置を取得するように構成されている。具体的には、予め設定される基準高さ位置をHs1とし、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さをLとした場合に、被計測物60の被計測面の高さ位置Hm1は、以下の式(1)により表される。制御装置9は、式(1)を用いて、被計測物60の被計測面の高さ位置を取得するように構成されている。ただし、上方向(Z1方向)を高さ位置の正方向とし、下方向(Z2方向)を高さ位置の負方向とする。
Hm1=Hs1−L ・・・(1)
【0060】
第1実施形態では、高さ計測用部材70の保持部71の下面の高さ位置が、基準高さ位置Hs1になるように、ヘッド32に装着された高さ計測用部材70が、Z軸モータ33により下方(Z2方向)に移動される。したがって、高さ計測用部材70の保持部71の下面から移動部72の先端72cまでの長さ(高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さをL)を取得すれば、基準高さ位置Hs1から長さLだけ下方の高さ位置を、被計測物60の被計測面の高さ位置Hm1として取得することが可能である。
【0061】
また、第1実施形態では、高さ計測用部材70の移動部72は、図3に示すように、空気源38から供給される正圧により、変位後の位置Pb(図4参照)から、初期位置Paまで戻るように構成されている。
【0062】
(被計測物の高さ位置計測動作)
次に、図4を参照して、第1実施形態の部品実装装置100による被計測物60の高さ位置の計測動作について説明する。
【0063】
まず、図4(A)に示すように、被計測物60の高さ位置の計測点に向けて、Z軸モータ33によりヘッド32に装着された高さ計測用部材70が所定の移動量だけ下方に移動される。この結果、高さ計測用部材70の移動部72の先端72c(被検出部72bの先端)と被計測物60の被計測面(上面)とが接触されるとともに、図4(B)に示すように、高さ計測用部材70の移動部72が保持部71に対して上方(Z1方向)に変位される。
【0064】
変位後の移動部72は、保持部71の壁部71aと被保持部72aとの間の摩擦力により、変位後の位置Pbに保持される。したがって、高さ計測用部材70は、図4(C)に示すように、移動部72が変位後の位置Pbを維持したまま、部品認識側方カメラ8による検出位置まで移動される。
【0065】
そして、部品認識側方カメラ8による検出位置において、部品認識側方カメラ8により、側方から高さ計測用部材70が検出(撮像)される。そして、この検出結果(撮像結果)に基づいて、制御装置9により高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さ(計測用部材70の保持部71の下面から移動部72の先端72cまでの長さ)が取得される。そして、上記した式(1)を用いて、制御装置9により被計測物60の高さ位置が取得される。
【0066】
そして、被計測物60が基板Pである場合には、たとえば、取得された基板Pの高さ位置に基づいて、部品Eの実装時のヘッド32のストローク量(上下方向の移動量)が補正される。また、被計測物60がテープフィーダ10である場合には、たとえば、取得されたテープフィーダ10の高さ位置に基づいて、部品Eの吸着時のヘッド32のストローク量(上下方向の移動量)が補正される。
【0067】
そして、高さ計測用部材70の移動部72が変位後の位置Pbにある状態で、空気源38から正圧が供給されると、高さ計測用部材70の移動部72が変位後の位置Pbから下方に向けて移動される。そして、移動部72の被保持部72aの下面が保持部71の受け部71bと接触することによって、高さ計測用部材70の移動部72の下方への移動が停止される。この結果、移動部72が変位後の位置Pbから初期位置Paに戻る。これにより、高さ計測用部材70は、次の計測点での被計測物60の高さ位置の計測が可能な状態になる。
【0068】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、接触による高さ計測用部材70の移動部72の変位に基づいて、被計測物60の高さ位置(図5に示す「Hm1」)を取得する制御装置9を設ける。これにより、高さ計測用部材70と被計測物60とを直接的に接触させて、被計測物60の高さ位置を取得することができるので、レーザ光を用いて被計測物60の高さ位置が取得される場合と異なり、被計測物60の表面の色などの影響を受けることがない。その結果、レーザ光を用いて被計測物60の高さ位置が取得される場合に比べて、被計測物60の高さ位置を精度良く取得することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、部品認識側方カメラ8による検出結果に基づいて、部品Eの状態に加えて、高さ計測用部材70の移動部72の変位も取得するように制御装置9を構成する。これにより、部品実装装置100が備える部品Eの状態を検出するための既存の部品認識側方カメラ8を流用して、高さ計測用部材70の移動部72の変位を取得することができる。その結果、高さ計測用部材70の移動部72の変位を検出するために専用の検出装置を別途設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の構成を簡素化することができる。また、部品認識側方カメラ8を用いることによって、比較的高精度で部品Eの厚みを検出可能な、部品Eの側方から部品Eの厚みを検出するための既存の部品認識側方カメラ8を流用して、高さ計測用部材70の移動部72の変位を精度良く検出することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、部品認識側方カメラ8による検出結果に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の変位として、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さを取得するとともに、取得された高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さ(図5に示す「L」)に基づいて、被計測物60の高さ位置を取得するように制御装置9を構成する。これにより、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さに基づいて被計測物60の高さ位置が取得されるので、被計測物60の高さ位置を精度良く取得することができる。また、側方からの検出に適した部品認識側方カメラ8の検出結果に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さが取得されるので、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さを精度良く取得することができる。これにより、被計測物60の高さ位置をさらに精度良く取得することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、ヘッド32に装着されるノズル32aと交換可能に高さ計測用部材70を構成する。これにより、部品実装装置100が通常備えるヘッド32を利用して、高さ計測用部材70による被計測物60の高さ位置の計測を行うことができるので、専用の高さ位置計測装置を別途設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の構成を簡素化することができる。また、本構成では、被計測物60の高さ位置の計測時には、ヘッド32に高さ計測用部材70を装着して被計測物60の高さ位置の計測を行い、部品Eの実装時には、ヘッド32にノズル32aを装着して部品Eの吸着を行うことができる。その結果、ヘッド32に高さ計測用部材70を取り付けて被計測物60の高さ位置の計測を行う場合にも、実装能力の低下を抑制しつつ、被計測物60の高さ位置の計測を行うことができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、空気源38から供給される正圧により、変位後の位置Pbから、初期位置Paに戻るように高さ計測用部材70の移動部72を構成する。これにより、ヘッド32に用いられる空気源38を利用して、高さ計測用部材70の移動部72を変位後の位置Pbから初期位置Paに戻すことができる。その結果、高さ計測用部材70の移動部72を変位後の位置Pbから初期位置Paに戻すための専用の駆動機構を別途設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の構成を簡素化することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、高さ計測用部材70に、変位後の位置Pbに移動部72を保持可能な保持部71を設ける。これにより、保持部71により変位後の位置Pbに移動部72が保持されるので、高さ計測用部材70を移動させて移動部72の変位を検出する場合に、移動部72が変位後の位置Pbを維持したまま検出位置まで移動させることができる。その結果、高さ計測用部材70を移動させて移動部72の変位を検出する場合にも、高さ計測用部材70の移動部72の変位を正確に検出することができる。
【0075】
[第2実施形態]
次に、図1図2および図6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、部品認識側方カメラによる検出結果に基づいて被計測物の高さ位置を取得した上記第1実施形態とは異なり、部品認識下方カメラによる検出結果に基づいて被計測物の高さ位置を取得する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0076】
(部品実装装置の構成)
本発明の第2実施形態による部品実装装置200(図1参照)は、図2に示すように、制御装置109を備える点で、上記第1実施形態の部品実装装置100と相違する。なお、制御装置109は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0077】
第2実施形態では、制御装置109は、図6に示すように、被計測物60との接触により高さ計測用部材70の移動部72を上方に変位させた後、部品認識下方カメラ6による検出位置(撮像位置)まで、高さ計測用部材70を移動させるとともに、部品認識下方カメラ6により、下方から高さ計測用部材70の移動部72を検出(撮像)するように構成されている。なお、部品認識下方カメラ6は、特許請求の範囲の「検出部」および「撮像部」の一例である。
【0078】
また、第2実施形態では、制御装置109は、部品認識下方カメラ6による検出結果(撮像結果)に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の変位として、撮像画像における高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さを取得するように構成されている。なお、第2実施形態では、高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さは、撮像画像における高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの幅である。
【0079】
制御装置109は、取得された撮像画像における高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さに基づいて、被計測物60の被計測面の高さ位置を取得するように構成されている。
【0080】
具体的には、予め設定される焦点高さ位置をHs2aとし、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの実際の幅(以下、「基準幅」という)をWとし、撮像画像における高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの幅(以下、「計測幅」という)をWsとした場合に、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh2は、以下の式(2)により表される。制御装置109は、式(2)を用いて、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh2を取得するように構成されている。
Hh2=(Hs2a×W)/Ws ・・・(2)
【0081】
部品実装装置200では、部品認識下方カメラ6は、図示しないマクロレンズを備えている。このため、部品認識下方カメラ6は、比較的広角の画角(一点鎖線により示す)で、撮像を行うように構成されている。
【0082】
また、部品実装装置200は、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cが基準高さ位置Hs2に位置する場合に、計測幅Wsとして基準幅Wが取得されるように構成されている。
【0083】
この場合、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cが基準高さ位置Hs2よりも上方(Z1方向)に位置する場合には、撮像画像において基準幅Wよりも先端72cの幅が小さく写るため、計測幅Wsとして基準幅Wよりも小さい値が取得される。また、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cが焦点高さ位置Hs2aよりも下方(Z2方向)に位置する場合には、撮像画像において基準幅Wよりも先端72cが大きく写るため、計測幅Wsとして基準幅Wよりも大きい値が取得される。
【0084】
以上のように、計測幅Wsは、計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置に反比例して変化する。このため、計測幅Wsは、Kを定数として、以下の式(3)により表すことができる。
Ws=K/Hh2 ・・・(3)
【0085】
ここで、部品実装装置200では、計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置が基準高さ位置Hs2である場合に、計測幅Wsが基準幅Wとなるように構成されているので、定数Kは、以下の式(4)により表すことができる。
K=Hs2×W ・・・(4)
【0086】
そして、式(3)と式(4)とに基づいて、式(2)を導くことができる。
【0087】
また、制御装置109は、高さ計測用部材70の保持部71の下面の高さ位置が、予め設定される基準高さ位置Hs2bになるように、ヘッド32に装着された高さ計測用部材70を、検出位置まで移動させる制御を行うように構成されている。
【0088】
したがって、以下の式(5)により、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さLを取得することが可能である。
L=Hs2b−Hh2 ・・・(5)
【0089】
以上のように、第2実施形態では、計測幅Wsを取得すれば、既知の値である基準幅Wおよび基準高さ位置Hs2を用いることによって、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh2を取得することが可能である。また、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh2を取得すれば、既知の値である基準高さ位置Hs2bを用いることによって、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さLを取得することが可能である。これにより、上記第1実施形態と同様に、式(1)を用いれば、被計測物60の被計測面の高さ(図5に示すHm1)を取得することが可能である。
【0090】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0091】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第2実施形態では、上記のように、部品Eの下方から部品Eを撮像する部品認識下方カメラ6による検出結果に基づいて、部品Eの状態に加えて、高さ計測用部材70の移動部72の変位も取得するように制御装置109を構成する。これにより、たとえば部品Eの側方から部品Eの厚みを検出するための部品認識側方カメラ8が設けられていない場合にも、部品Eの下方から部品Eを撮像する既存の部品認識下方カメラ6を流用して、高さ計測用部材70の移動部72の変位を取得することができる。
【0093】
また、第2実施形態では、上記のように、部品認識下方カメラ6による検出結果に基づいて、高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さを取得するとともに、取得された高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さに基づいて、被計測物60の高さ位置を取得するように制御装置9を構成する。これにより、下方からの検出に適した部品認識下方カメラ6により、高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さが取得されるので、高さ計測用部材70の移動部72の水平方向の長さを精度良く取得することができる。その結果、部品Eの下方から部品Eを撮像する既存の部品認識下方カメラ6を流用する場合にも、被計測物60の高さ位置を精度良く取得することができる。
【0094】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0095】
[第3実施形態]
次に、図1図2および図7を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、部品認識下方カメラによる検出結果に基づいて被計測物の高さ位置を取得する他の例について説明する。
【0096】
(部品実装装置の構成)
本発明の第3実施形態による部品実装装置300(図1参照)は、図2に示すように、制御装置209を備える点で、上記第2実施形態の部品実装装置200と相違する。なお、制御装置209は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0097】
第3実施形態では、制御装置209は、図7に示すように、被計測物60との接触により高さ計測用部材70の移動部72を上方に変位させた後、部品認識下方カメラ6による上方の所定の位置まで、高さ計測用部材70を移動させるとともに、部品認識下方カメラ6により、下方から高さ計測用部材70の移動部72を検出(撮像)するように構成されている。なお、部品認識下方カメラ6は、特許請求の範囲の「検出部」および「撮像部」の一例である。
【0098】
第3実施形態では、制御装置209は、部品認識下方カメラ6による検出結果(撮像結果)に基づいて、Z軸モータ33により高さ計測用部材70を部品認識下方カメラ6のピントが合う高さ位置(焦点高さ位置、図7に示す「Hs3」)に移動させる制御を行うように構成されている。
【0099】
部品実装装置300は、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cがピントが合う高さ位置に位置する場合に、計測幅として基準幅が取得されるように構成されている。
【0100】
したがって、制御装置209は、部品認識下方カメラ6の上方において、所定の位置から高さ計測用部材70を上下方向に移動させながら部品認識下方カメラ6による撮像を行うとともに、計測幅として基準幅が取得さるか否かを判断することによって、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cをピントが合う高さ位置に移動されたか否かを判断する制御を行うように構成されている。これにより、確実に、高さ計測用部材70を部品認識下方カメラ6のピントが合う高さ位置(焦点高さ位置)に移動させることが可能である。
【0101】
また、第3実施形態では、制御装置209は、所定の位置からピントが合う高さ位置への高さ計測用部材70の移動量(図7に示す「D」)に基づいて、被計測物60の高さ位置を取得するように構成されている。具体的には、ピントが合う高さ位置をHs3とし、ピントが合う高さ位置への高さ計測用部材70の移動量をDとした場合に、高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh3は、以下の式(6)により表される。制御装置209は、式(5)を用いて、被計測物60の被計測面の高さ位置を取得するように構成されている。
Hh3=Hs3a+D ・・・(6)
【0102】
また、制御装置209は、高さ計測用部材70の保持部71の下面の高さ位置が、予め設定される基準高さ位置Hs3bになるように、ヘッド32に装着された高さ計測用部材70を、所定の位置まで移動させる制御を行うように構成されている。
【0103】
したがって、以下の式(7)により、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さLを取得することが可能である。
L=Hs3b−Hh3 ・・・(7)
【0104】
以上のように、第3実施形態では、移動量Dを取得すれば、既知の値であるピントが合う高さ位置をHs3および高さ計測用部材70の移動部72の先端72cの高さ位置Hh3を用いることによって、高さ計測用部材70の移動部72の上下方向の長さLを取得することが可能である。これにより、上記第1実施形態と同様に、式(1)を用いれば、被計測物60の被計測面の高さ(図5に示すHm1)を取得することが可能である。
【0105】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0106】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
第3実施形態では、上記のように、部品認識下方カメラ6による検出結果に基づいて、Z軸モータ33により高さ計測用部材70を部品認識下方カメラ6のピントが合う位置に移動させるとともに、ピントが合う位置への高さ計測用部材70の移動量(図7に示す「D」)に基づいて、被計測物60の高さ位置を取得するように制御装置209を構成する。これにより、ピントが合った状態での部品認識下方カメラ6の検出結果に基づいて被計測物60の高さ位置が取得されるので、部品Eの下方から部品Eを撮像する既存の部品認識下方カメラ6を流用する場合にも、被計測物60の高さ位置をより一層精度良く取得することができる。
【0108】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0109】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0110】
たとえば、上記第1実施形態では、部品認識側方カメラにより高さ計測用部材の移動部を検出し、上記第2および第3実施形態では、部品認識下方カメラにより高さ計測用部材の移動部を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品認識側方カメラおよび部品認識下方カメラ以外の検出部により、高さ計測用部材の移動部を検出してもよい。たとえば、専用の検出部を設けて、専用の検出部により、高さ計測用部材の移動部を検出してもよい。また、上記第1実施形態の場合には、たとえば、部品認識側方カメラの代わりに部品の厚みを検出するためのレーザ変位計を用いて、高さ計測用部材の移動部を検出してもよい。
【0111】
また、上記第1〜第3実施形態では、高さ計測用部材が、ノズルと交換可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、高さ計測用部材が、ノズルと交換可能に構成されていなくてもよい。たとえば、高さ計測用部材が、ヘッドに固定的に設けられていてもよい。
【0112】
また、上記第1〜第3実施形態では、高さ計測用部材の移動部が、空気源から供給される正圧により、変位後の位置から、初期位置に戻るように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、高さ計測用部材の移動部が、空気源から正圧を供給される以外の方法により、変位後の位置から、初期位置に戻るように構成されてもよい。たとえば、移動部の位置を調整する専用の調整機構を設けるとともに、高さ計測用部材の移動部が、専用の調整機構により、変位後の位置から、初期位置に戻るように構成されてもよい。
【0113】
また、上記第1〜第3実施形態では、被計測物として基板およびテープフィーダの高さ位置を計測する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板およびテープフィーダ以外の被計測物の高さ位置を計測してもよい。たとえば、被計測物として部品の高さ位置を計測してもよい。この場合、部品の高さ位置を計測して、部品が正常に実装されたか否かの判定を行ってもよい。
【0114】
また、上記第3実施形態では、所定の位置から高さ計測用部材を上下方向に移動させながら、高さ計測用部材の移動部の先端をピントが合う高さ位置に移動させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、上記第2実施形態の方法を用いて移動量Dを(Hh2−Hs2a)として推測するとともに、推測された移動量Dに基づいて、高さ計測用部材70を部品認識下方カメラ6のピントが合う高さ位置に移動させてもよい。これにより、容易に、高さ計測用部材の移動部の先端をピントが合う高さ位置に移動さることが可能になる。
【符号の説明】
【0115】
6 部品認識下方カメラ(検出部、撮像部)
8 部品認識側方カメラ(検出部)
9、109、209 制御装置(制御部)
10 テープフィーダ(被計測物)
32 ヘッド
32a ノズル
33 Z軸モータ(駆動部)
38 空気源
60 被計測物
70 高さ計測用部材
71 保持部
72 移動部
100、200、300 部品実装装置
E 部品
P 基板(被計測物)
Pa 初期位置
Pb 変位後の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7