特許第6620064号(P6620064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620064
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-89318(P2016-89318)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-196149(P2017-196149A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄一郎
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−242776(JP,A)
【文献】 特開2004−073262(JP,A)
【文献】 特開2007−000530(JP,A)
【文献】 特開2006−081709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機と、各遊技機に付設され、当該遊技機本体の扉が開放されていることを検知する検知手段と、
この検知手段による検知結果に基づいて、各遊技機における扉の開放履歴を記録する開放履歴記録手段と、
前記検知手段により扉の開放が検知されたとき、前回扉の閉鎖が検知されてから予め設定された基準時間が経過しているか否かを判定する判定手段と、
前記開放履歴記録手段が記録した開放履歴を出力する出力手段と、を備え、
前記開放履歴記録手段は、前記判定手段による判定結果を前記開放履歴に付加して記録することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記検知手段により扉の開放が検知された回数を開放回数として計数する開放回数計数手段と、
前記判定手段により前回の扉の閉鎖が検知されてから予め設定された基準時間が経過してしないと判定された回数を前記開放回数から除外し、作業回数として求める作業回数計数手段と、を備え、
前記出力手段は、前記開放回数及び前記作業回数を出力することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技機に付設され、遊技機の扉を開放する従業員を識別するための識別手段を備え、
前記開放履歴記録手段は、前記識別手段により識別された従業員の情報を前記扉の開放履歴に付加して記録することを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、従業員による遊技機の扉の開放状況を管理するシステムが知られている。具体的には、遊技機に取り付けられた開放検知センサのON・OFFにより扉の開閉を特定し、従業員のID情報と対応付けて管理装置側で記録するようにしており、これによって各従業員が扉を何回開放して作業を行ったのかを把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−242776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際には扉の開放回数をカウントするだけでは従業員の作業状況を正確に把握するのが難しいという問題があった。即ち、遊技機側で何らかの不具合が発生して従業員が呼び出された際には、先ず扉を開放して不具合の原因を取り除き、扉を閉鎖するという一連の作業を行うこととなるが、実際には不具合を解消したつもりで扉を閉鎖しても未だ不具合が解消しておらず、再度扉を開放して作業を繰り返すということが珍しくないので、単純に扉の開放回数を確認するだけでは従業員の作業状況を精度良く把握できないというのが実情であった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、扉開放を伴う従業員の作業状況を精度良く管理することが可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の遊技場用システムにおいて、扉の開放履歴には、前回の閉鎖から基準時間以内の開放であるか否かの判定結果が記録されるため、それぞれの開放が前回の開放から継続した一連の作業であるのか否かをある程度の精度で把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】呼出装置の正面図
図3】呼出装置の機能ブロック図
図4】扉開放中の画面を示す図
図5】扉開放履歴データを示す図
図6】扉開放回数データを示す図
図7】扉開放履歴記録処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システム全体の概略図を示しており、遊技場内には同図に示すスロットマシン1等の遊技機が多数設置されている。各スロットマシン1に対応して貸出装置2及び呼出装置3が付設されており、1台のスロットマシン1に対して、その側方に1台の貸出装置2が配置され、当該マシン1の上方に1台の呼出装置3が配置されている。
【0009】
スロットマシン1、貸出装置2、及び呼出装置3は、夫々中継装置4と接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6と接続されている。この場合、2台のスロットマシン1に対して1台の割合で中継装置4が設置されている。中継装置4は、遊技機側(スロットマシン1や、貸出装置2、呼出装置3等の装置側)から各種の遊技情報或いは稼動情報を収集して管理装置6へ送信するとともに、管理装置6から受信した設定情報等の各種情報を貸出装置2等へ送信する。
【0010】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6a、モニタ6b等が接続されている。管理装置6は、遊技場内に設置される全ての機器、つまりスロットマシン1、貸出装置2、呼出装置3等との間で、中継装置4を介して各種情報を送受信し、それら全ての機器の稼動状況を管理する。尚、図1では省略したが、実際には数100台のスロットマシン1が管理装置6の管理の対象となっている。
【0011】
スロットマシン1は、周知のように、表示窓1a、スタートレバー1b、ストップボタン1c、液晶表示部1d、メダル投入口1e、BETボタン1fを備える。また、スロットマシン1は、その正面最下部に受皿1gを備えると共に、遊技者に払い出すメダルを貯留する払出ホッパー1hを内部に搭載している。
【0012】
遊技者は、表示窓1aを通じて内部に設けられたリールに描かれた図柄を視認可能となっている。遊技者が遊技価値としてのメダルをメダル投入口1eに投入する、又はBETボタン1fを操作することで、クレジットメダル(遊技価値)が所定枚数ベットされ、その状態でスタートレバー1bの操作つまりゲームの開始操作が行われると、内部抽選を実行すると共に図柄の変動を開始させ、ストップボタン1cが操作されると、所謂引込制御(予め規定された引込範囲である例えば4図柄まで図柄を有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によりリールの変動を停止する。
【0013】
スロットマシン1には、周知のようにボーナス役、小役、リプレイ役等の役が設定されており、上記した内部抽選時に何れの役に内部当選した状態で遊技者によりストップボタン1cが操作され、予め設定されている有効ライン上にその内部当選役に対応する図柄が停止表示されると(図柄が揃うと)、入賞が発生する。入賞が発生した場合には、対応する枚数のメダルの払い出しによる遊技価値の付与又はボーナス状態(大当たり状態)への移行が行われる。
【0014】
上記スロットマシン1は、遊技の実行等に応じて各種の遊技信号を出力する。具体的には、スロットマシン1は、ゲームの開始操作より消費された(当該遊技機に対して投入された)遊技媒体の数(アウト)を示す投入信号、入賞の発生により払出された遊技媒体の数(セーフ)を示す払出信号、ゲームが開始されたことを示すスタート信号、大当たり状態が発生したことを示す大当たり信号等を出力する。これにより、呼出装置3や管理装置6は、これらの遊技信号をスロットマシン1から中継装置4を経由して入力することに基づいて、遊技情報の管理、大当たり状態の特定等を行う。
【0015】
また、本実施形態では、以下に説明する扉センサ103から、スロットマシン1の扉101が開放状態であることを示す扉開放信号を出力することで、中継装置4経由で、呼出装置3や管理装置6に扉101の開放を通知するようになっている。
【0016】
即ち、スロットマシン1やパチンコ機といった遊技機は、各々の遊技機本体の前面側に扉101を有している。この前扉たる扉101は、スロットマシン1の遊技機本体における、遊技者側から見て左側の枢支部(図示略)により前方への開放が可能に支持され、従業員により開放される場合を除き、扉101の閉鎖状態が保持されているのが通常である。そして、各スロットマシン1には、扉101が開放されていることを検知する扉センサ103、並びに扉101の閉鎖状態をロック解除可能に保持するロック機構102(何れも図3にのみ図示)が付設されている。
【0017】
詳しくは後述するように、扉101のロック解除は、従業員リモコン19から呼出装置3に送信される扉開放指令信号が管理装置6へ転送され、その転送を受けた管理装置6が、扉開放許可指令を出力してロック機構102を解錠させることにより行う。このロック解除後、扉101が開放されると、扉センサ103は扉開放信号を出力する一方、扉101が閉鎖されると扉開放信号の出力を停止する。
【0018】
このように、扉センサ103は、扉101の開放に伴いOFFからONとなって、その開放中である旨を示す出力(状態信号)により扉101の開閉を検知する検知手段として構成されている。尚、扉101の閉鎖状態の保持つまり扉101のロックは、扉開放信号の出力が停止した時点で、扉101が閉鎖されたことを管理装置6により判定して、ロック機構102に対し扉閉鎖指令を出力して施錠させることにより行う。
【0019】
前記貸出装置2は、遊技者が貨幣等の有価価値を投入する貨幣投入口2a、動作状態を示す動作ランプ2b、遊技媒体としてのメダルを払い出すメダル払出ノズル2c等を備えている。貸出装置2は、遊技者により貨幣が貨幣投入口2aに投入されると、その有価価値に応じた数のメダルを、メダル払出ノズル2cからの払い出しにより貸し出す。また、貸出装置2は、貨幣投入口2aに投入された有価価値を示す貸出信号(売上情報)を出力する。
【0020】
前記呼出装置3は、図2に示すようにランプ部10、遊技情報等の表示機能を有する液晶表示部11、遊技場の従業員を呼び出すときに遊技者が押下する呼出ボタン12、遊技情報の表示を切り替えるときに遊技者が押下するデータ切替ボタン13を備えている。
【0021】
液晶表示部11には、その左側に本日の大当たり回数を示す「本日大当たり」表示部11a、前日大当たり回数を示す「前日大当たり」表示部11b、及び前々日大当たり回数を示す「前々日大当たり」表示部11cが設けられ、右側に過去最高大当たり回数を示す「過去最高」表示部11d、大当たり間ゲーム回数である大当たり間スタートを示す「大当たり間S」表示部11e、本日累計ゲーム回数である累計スタートを示す「本日累計S」表示部11fが設けられている。尚、図2の例では、本日大当たり回数が25回、前日大当たり回数が8回、前々日大当たり回数が13回、過去最高大当たり回数が44回、大当たり間スタート回数が234回、本日累計スタート回数が5186回であることを示している。
【0022】
また、液晶表示部11の中央に、差メダル数グラフ表示部11gが設けられると共に、その下側に大当たり間スタート回数グラフ最新10回分表示部11hが設けられている。液晶表示部11に表示可能な遊技情報には、こうした各表示部11a〜11hに表示される情報が含まれ、図2の画面以外にも、前記扉101の開放状態を表す画面(図4参照)等、各種画面の表示出力が可能とされている。
【0023】
図3の機能ブロック図で示すように、呼出装置3は、CPU15a、ROM15bやRAM15cといった記憶部、I/O15d等を有するマイクロコンピュータにより構成される制御部15を備える。制御部15には、ランプ部10、液晶表示部11、呼出ボタン12、データ切替ボタン13が接続されると共に、液晶表示部11上に設けられたタッチパネル16、送受信部たるI/F部17、従業員リモコン19用の受光部18が接続されている。
【0024】
呼出装置3の制御部15(以下適宜、呼出装置3と略す)は、遊技者によるデータ切替ボタン13の押下に応じて、液晶表示部11における遊技情報の表示を切り替えたり、液晶表示部11に表示された各種ボタンのタッチ操作に応じて所定の動作を実行したりする。また、呼出装置3は、呼出ボタン12での操作に応じて入力される操作信号の他、I/F部17及び中継装置4を介してスロットマシン1側(前記扉センサ103を含む)から入力される遊技信号や扉開放信号、受光部18を介してリモコン19から入力されるリモコン信号を受信する。これにより、呼出装置3は、遊技情報や扉101の開閉に関する情報(表示用画像データを含む)を作成して液晶表示部11に表示すると共に、管理装置6に対して中継装置4経由で遊技情報等を出力(転送)する。
【0025】
こうして、呼出装置3では、遊技情報に基づき前述した差メダル数グラフ等(図2の符号11a〜11h参照)を液晶表示部11に表示する状態を通常状態とする一方、扉開放信号に基づき扉101の開放を報知する報知状態、並びに呼出ボタン12の操作信号に基づき従業員を呼出す呼出状態への移行が可能とされている。
【0026】
図4は、呼出装置3において、通常状態から報知状態へ移行することにより、液晶表示部11の中央部分に、図2のグラフ表示部11gに代えて表示される扉開放中の画面の部分11g´を示している。同図に例示するように、この画面には、「扉開放中!」の大きな文字と、扉101が開放されてからの経過時間「5秒経過」の表示とがなされる。即ち、呼出装置3は、対応するスロットマシン1の扉101の開放に伴い、扉センサ103からの扉開放信号が中継装置4を介して入力されると、図2の通常時の画面から図4の扉開放中の画面に切り替えると共に、ランプ部10を所定の態様で点灯させて、扉101の開放中であることを遠方からでも容易に視認できる状態となる。また、呼出装置3は、扉開放信号が入力された時点から計時し、その累積時間を前記経過時間(つまり開放時間)として当該画面に表示する。呼出装置3において、この報知状態から通常状態への復帰は、扉センサ103からの扉開放信号の入力が停止された時点で行う。
【0027】
一方、呼出装置3において、遊技者の呼出ボタン12の操作により通常状態から呼出状態に移行すると、図2のグラフ表示部11gに代えて従業員呼出画面(図示略)を表示させると共にランプ部10を点灯させ、併せて当該呼出装置3から中継装置4経由で管理装置6へ呼出信号を送信する。この呼出状態から通常状態への復帰は、再度の呼出ボタン12の操作、又はリモコン19の「呼出解除」ボタンの操作によって呼出解除信号を呼出装置3へ送信することで行う。
【0028】
ここで、図1図3に示す従業員リモコン19は、遊技場の従業員により所持されるリモコン装置である。従業員リモコン19は、呼出装置3に対するリモコン信号として、前記の呼出解除信号、扉開放指令信号等の所定の指令情報、個々の従業員リモコン19を識別するためのリモコンID(Identification)信号といったID情報等の無線送信が可能に構成されている。
【0029】
従業員リモコン19は、遊技場の従業員全員に一台ずつ割り当てられるものとし、管理装置6には、予め従業員リモコン19のID情報と各従業員の情報とを対応付けた、全従業員IDテーブルが登録されているものとする。尚、以下では、従業員リモコン19を「リモコン19」と称し、リモコン信号に含まれるリモコンID信号を「ID信号」と称する。また、リモコン信号を受け付ける受光部18を有する呼出装置3は、扉101を開放する従業員を識別するための識別手段として機能する。
【0030】
一方、管理装置6は、呼出装置3から中継装置4経由で前記呼出信号を入力すると、その呼出信号から呼出中の台番(当該信号を送信した呼出装置3に対応するスロットマシン1の台番)を特定し、その特定した呼出中の台番をインカム装置(例えば従業員が装着する図示しないヘッドセットを備えた通信装置)を介して従業員に通知する。
【0031】
ところで、スロットマシン1の内部で、メダル詰まりやメダル不足といった不具合が発生した場合に、上記の呼出(或いは後述のエラー報知)がなされる。この場合、従業員は、当該スロットマシン1の扉101を開放して、係る不具合を解消するための作業を行う必要がある。
【0032】
具体的には、スロットマシン1の制御部は、内部に配設された図示しない複数のセンサを介して何らかのエラーの発生を検知すると、その旨を液晶表示部1dに表示したり、管理装置6等にエラーが発生した旨(エラー情報)を出力したりする。図示は省略するが、例えば、払出ホッパー1hのメダル払出口に設けられたセンサで当該ホッパー1h内のメダル不足を検知した場合には、メダル不足エラーが発生した旨を報知する。メダル不足エラーは、従業員が扉101を開放し、払出ホッパー1hへメダルを補給することにより解消される。その他、払出ホッパー1hでのメダル詰まりや、メダル投人口1e部分でのメダル詰まり等といったエラーがあり、それらは対応するセンサで検知されるが、こうしたエラーも、従業員が扉101を開放し、係る不具合を直す作業を行う必要がある。
【0033】
従って、従業員は、先ず不具合の状況を目視確認し、例えば払出ホッパー1hでのメダル詰まりの発生により、扉101を開放する必要があると判断したときにはリモコン19の「扉開放」ボタンを操作する。このとき、リモコン19から送信されるリモコン信号を呼出装置3が受光部18を介して受信すると、呼出装置3は、リモコン信号に含まれる扉開放指令信号及びID信号を、中継装置4を経由して管理装置6に転送する。転送を受けた管理装置6は、扉101のロック解除の可否を判定し、ロック解除可と判定した場合に扉開放許可指令を中継装置4に出力する。これにより、中継装置4は、扉開放許可指令を入力したとき、ロック機構102に対してロック解除信号を出力して、ロック解除(解錠)させる。こうしてロックが解除されると、従業員は扉101を開放して、メダル詰まりを解消する作業を行い、その作業後に扉101を閉鎖する。
【0034】
また、従業員は、扉101を閉鎖した後、メダル詰まりが解消されているか否かを確認し、解消されていれば作業終了となるが、メダル詰まりを解消したつもりでも、実際には解消していないことがあり、その場合には再度扉101を開放して同じ作業を繰り返すことになる。
そこで、本実施形態の管理装置6は、このような扉101の開放を伴う従業員の作業状況を精度良く管理する観点から、扉開放履歴データと扉開放回数データを記録するようになっている。この管理装置6の構成について、図5図6も参照しながら詳述する。
【0035】
管理装置6は、図示しないCPU、RAM、ROMといった記憶部、I/O等を有するマイクロコンピュータにより構成される制御部と、前記モニタ6bやプリンタ等からなる出力部と、前記キーボード6aやマウス等からなる操作部とを備える。
【0036】
管理装置6の制御部(以下適宜、管理装置6と略す)は、前記遊技機側から送信された遊技情報や扉101の開閉に関する情報を、前記台番毎(遊技機毎)に集計して特定する機能を有している。また、管理装置6は、自身の記憶部に遊技情報や扉101の開閉に関する情報を台番毎に記憶(記録)するようになっており、その履歴或いは集計結果を、図5に示す扉開放履歴データ或いは図6に示す扉開放回数データとしてモニタ6bでの表示出力やプリンタでの印刷出力が可能とされている。
【0037】
具体的には、管理装置6は開放履歴記録手段として、扉センサ103による検知結果に基づき、係る扉開放信号の入力が開始された時点から停止された時点までの経過時間を計測(計時)し、その経過時間たる「開放時間」と当該「開放」時刻及び「閉鎖」時刻とを1秒単位で表す、各スロットマシン1における扉101の開放履歴として自身の記憶部に記録する。
【0038】
ここで、図5は、扉開放履歴データの一例として、管理装置6にて管理者により指定入力された当日(営業日)の履歴を、「No.1」〜「No.5」まで抽出して示している。同図に示すように、管理装置6は、各スロットマシン1での扉開放履歴について、履歴毎に「開放」時刻が早い方から「履歴No」を付して、該当する「台番」、上記「開放」時刻や「閉鎖」時刻、「開放時間」を記録する。また、管理装置6は、扉開放指令信号と共に受信したID信号から識別されるリモコン19の「ID」、従業員の「作業」内容、その作業の「継続」を表す「F」を、それぞれ「履歴No」と対応付けて自身の記憶部に記録する。
【0039】
「継続」の「F」は、扉センサ103により扉101の開放が検知されたとき、前回の扉101の閉鎖が検知されてから予め設定された基準時間が経過していないことを表す指標である。即ち、管理装置6(判定手段)は、扉101が開放されている台番について、前回(つまり直近)の扉開放履歴データを照合し、その前回の「ID」が今回の「ID」と同じで、且つ今回の「開放」時刻(現在の時刻)が前回の「閉鎖」時刻から基準時間(例えば3分)を経過しているか否かを判定する。そして、管理装置6は、その判定結果について今回の扉101の開放が前回の扉101の閉鎖から3分以内であれば、同一従業員による作業の継続とみなして継続フラグ「F」を扉開放履歴に付加して記録し、3分を経過していなければブランク「‐」とする。
【0040】
また、図5の「作業」の欄において、「補給」は、前述した払出ホッパー1hでのメダル不足エラーを解消する作業、「払出詰」は、払出ホッパー1hでのメダル詰まりエラーを解消する作業、「投入詰」は、メダル投人口1e部分でのメダル詰まりエラーを解消する作業を表す。こうした「補給」「払出詰」「投入詰」の別は、それらの作業内容に対応するリモコン信号が呼出装置3に送信され、その呼出装置3により特定した作業内容が当該管理装置6に通知されることで判別される。つまり、リモコン19は、「補給」「払出詰」「投入詰」等の複数の作業内容を予め割り当てたボタンを有しており、従業員が対応した作業内容をボタンで選択することにより、その作業内容を特定するリモコン信号を送信するようになっている。尚、作業内容は、スロットマシン1から送信される前記エラー情報に基づいて、管理装置6側で自動的に判別して記録するようにしてもよい。
【0041】
上記扉開放履歴データでは、「ID」として識別された従業員の情報を扉101の開放履歴に付加して記録したものである。このように、扉開放履歴データを参照すれば、扉101の開放に係る時間や、「作業」内容、その作業の「継続」をも「ID」と対応付けて記録しているため、従業員の作業状況を実質的な観点から把握することができる。同図の「履歴No.1」〜「履歴No.5」は、次の具体事例に相応する。
【0042】
履歴No.1 : 358番台でリモコン(ID:1234)を用いて扉101を開放し、払出ホッパー1hへメダル補給をして3分5秒後に扉101を閉鎖した事例。
履歴No.2 : 17番台でリモコン(ID:1003)を用いて扉101を開放し、払出ホッパー1hのメダル詰まりを解消して1分2秒後に扉101を閉鎖した事例。
【0043】
履歴No.3 : 同じく17番台でリモコン(ID:1003)を用いて扉101を開放し、3分6秒後に扉101を閉鎖した事例。履歴No.2からの継続作業。
履歴No.4 : 703番台でリモコン(ID:1015)を用いて扉101を開放し、メダル投人口1e部分のメダル詰まりを解消して1分32秒後に扉101を閉鎖した事例。
【0044】
履歴No.5 : 17番台でリモコン(ID:1003)を用いて扉を開放し、2分26秒後に扉101を閉鎖した事例。No.3からの継続作業。
上記履歴No.2,3,5は、同じリモコン19(ID:1003)を用いた同一従業員による一連の作業として把握される。
【0045】
図示は省略するが、上記扉開放履歴データは、管理装置6により管理・蓄積されるのであるから、スロットマシン1に関するデータ(当該遊技機の種類(機種)のデータや、当該遊技機の台番、当該遊技機が配置されている遊技島を区別するためのデータを含む)と対応付けることで、遊技機の種類毎に、台番毎に、遊技島毎に、或いは遊技場全体等の単位で記録し、その履歴情報を当該単位でモニタ6bに表示出力したりプリンタで印刷出力したりすることができる。
【0046】
上記扉開放履歴データは、リモコン19「ID」や「作業」内容を含むものであるから、当該「ID」毎或いは「作業」内容毎に記録し、その履歴情報をモニタ6bに表示出力したりプリンタで印刷出力したりすることができる。こうして、管理装置6の制御部、モニタ6b及びプリンタは、当該制御部が記録した履歴情報を出力するための出力手段に相当する。
【0047】
図6は、扉101の開放回数に関するデータの一例として、上記「履歴No.1」〜「履歴No.6」の履歴情報の集計結果を示している。
同図に示すように、管理装置6(開放回数計数手段)は、扉101の開放が検知された回数を、扉開放信号の入力回数を全てカウントすることにより、「開放回数」として求める。また、管理装置6(作業回数計数手段)は、扉開放信号の入力回数のうち、継続フラグ「F」が記録された開放の回数を除外してカウントすることにより、「作業回数」として求める。つまり、「作業回数」は、前回の扉101の閉鎖が検知されてから前記基準時間が経過してしないと判定した回数を「開放回数」から除外した回数である。こうして、管理装置6は、「開放回数」の全5回分と「作業回数」の3回分(履歴No.1,2,4の3回分)とを区別し、その余の2回分(履歴No.3,5の2回分)を除外して集計する。
【0048】
また、管理装置6は、全5回分の「開放時間」の平均値、つまり全ての開放の「平均時間」を演算により求めると共に、その求めた「平均時間」並びに前記「開放回数」及び「作業回数」を出力する。この出力結果として、図6で表されるように、係る平均時間「2分14秒」と併せて、扉101の全開放回数「5」と、複数回の一連の作業を実質的に1回としてカウントした作業回数「3」とを区別して把握することができる。
【0049】
図示は省略するが、扉開放回数データは、前述した扉開放履歴データと同様、管理装置6により、スロットマシン1に関するデータと対応付けることで、遊技機の種類毎に、台番毎に、遊技島毎に、或いは遊技場全体等の単位で記録・演算して、当該単位でモニタ6bに表示出力したりプリンタで印刷出力したりすることができる。また、扉開放回数データは、リモコン19「ID」毎に或いは「作業」内容毎に回数データを演算して、その演算結果をモニタ6bに表示出力したりプリンタで印刷出力したりすることができる。このように、管理装置6の制御部並びにモニタ6b及びプリンタは、開放回数及び作業回数を出力するための出力手段に相当する。
【0050】
次に、上記遊技場用システムの作用について、図7も参照しながら説明する。図7は、管理装置6によって定期的に実行される扉開放履歴記録処理を示している。
管理装置6は、扉開放履歴記録処理の開始タイミングになったと判定すると、扉センサ103からの扉開放信号の入力が開始されたか否かを判定する(S1)。管理装置6は、扉開放信号の入力が開始されていないと判定し(S1:NO)、且つ扉開放信号の入力が停止されていないと判定し(S7:NO)、且つ作業内容の入力もないと判定した場合(S9:NO)、扉開放履歴記録処理を終了してリターンする。
【0051】
一方、スロットマシン1での不具合の発生に起因して、遊技者の呼出ボタン12の操作により、当該呼出装置3から管理装置6へ前記呼出信号が出力されることで、管理装置6において呼出中の台番を特定し、その呼出中の台番を、前記インカム装置を介して従業員に通知したものとする。この場合、従業員は、前述したように不具合の状況を確認した上で、リモコン19の「扉開放」ボタンを操作する。これにより、呼出装置3は、受信したリモコン信号に含まれる扉開放指令信号及びID信号を管理装置6に転送し、転送を受けた管理装置6が、扉開放許可指令を出力した場合、該当するスロットマシン1のロック機構102が解錠して、扉101のロックを解除する。
【0052】
そして、従業員が扉101を開放すると、扉センサ103が扉開放信号の出力を開始し、以降、扉101が閉鎖されるまで扉開放信号の出力を継続する。これに伴い、管理装置6は、扉センサ103からの扉開放信号の入力を開始したと判定すると(S1:YES)、扉開放履歴データに係る新規レコードを作成する(S2)。この場合、管理装置6は、扉開放指令信号と併せて受信したID信号のIDを記録すると共に、現時点での時刻を開放時刻として記録し(S3、図5参照)、開放時間の計測を開始する(S4)。
【0053】
また、管理装置6は、扉101が開放されている台番について、前回の扉開放履歴データを照合し、その前回のIDが今回のIDと同じで、且つ今回の開放時刻が前回の閉鎖時刻から3分を経過しているか否かを判定する(S5)。
【0054】
このとき、管理装置6は、履歴No.3、No.5の如く、17番台について前回の閉鎖時刻から3分を経過していないと判定した場合に継続フラグFを記録する(S5:YES、S6)。一方、管理装置6は、履歴No.1、No.2、No.4の如く、該当する台番の前回の閉鎖時刻から既に3分を経過していると判定した場合、継続フラグFを記録することなく(S5:NO)、ステップS7へ移行する。そして、管理装置6は、扉センサ103からの扉開放信号の入力が停止されたか否かを判定する(S7)。
【0055】
ここで、従業員が不具合を直す作業を終えて扉101を閉鎖した場合、扉センサ103は、扉開放信号の出力を停止する。これに伴い、管理装置6は、扉センサ103からの扉開放信号の入力が停止されたと判定すると(S7:YES)、その時点の時刻を閉鎖時刻として記録すると共に、その閉鎖時刻から開放時刻を差し引いた時間を開放時間として記録する(S8、図5参照)。また、管理装置6は、前記S2で新規レコードを作成してから現時点までに作業内容を入力した否かを判定する(S9)。
【0056】
例えば、従業員が直した不具合が払出ホッパー1hでのメダル不足の場合、リモコン19の「補給」ボタンを操作する。このとき、呼出装置3は、受信したリモコン信号について、特定される作業内容「補給」を管理装置6へ通知することにより、管理装置6は、作業内容の入力ありと判定し(S9:YES)、その作業内容「補給」を記録して(S10、図5参照)、扉開放履歴記録処理を終了する(リターンする)。
【0057】
以上のように、管理装置6は、扉101の開放を伴う作業について、リモコン19「ID」を取得することで(前記S3)対応した従業員の情報を付加すると共に、そのうち所定の要件を満たすものに(前記S5:YES)、継続フラグFを自動的に付加した扉開放履歴データを作成する(図5参照)。また、管理装置6は、扉101の全「開放回数」とその「平均時間」だけでなく、継続フラグFに基づき全「開放回数」と区別してカウントした「作業回数」を含む扉開放回数データも作成することができる。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
管理装置6によって、扉101の開放履歴データには、前回の閉鎖時刻から基準時間以内の開放であるか否かの判定結果が記録されるため、それぞれの扉101の開放が前回の扉101の開放から継続した一連の作業であるのか否かをある程度の精度で把握することが可能となる。
【0059】
また、管理装置6は、扉101の全「開放回数」と区別して「作業回数」を出力するため、従業員が実際に行った作業状況を回数で捉えるときの信頼性を高め得る。
スロットマシン1に付設された呼出装置3で、扉101を開放する従業員を識別するためのリモコン信号を受信し、管理装置6は、呼出装置3から通知される従業員の情報を開放履歴データに付加して記録することから、扉101の開放を伴う従業員の作業状況を管理するのに好適な遊技場用システムを構築することができる。
【0060】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
管理装置6からロック機構102の扉開放許可指令を出力するようにしたが、中継装置4或いは呼出装置3がロック機構101のロック解除の可否を判定して扉開放許可指令を出力するようにしてもよい。これにより、管理装置6の処理負担を軽減することができる。
【0061】
呼出装置3に遊技情報の表示機能を備えるようにしたが、その遊技情報表示機能は呼出装置3と別の装置に設けるようにしてもよいし、無くてもよい。
上記した実施形態では、リモコン19を遊技場の従業員全員に一台ずつ割り当てたが、複数の従業員が同じリモコン19を使い回すようにしてもよい。後者のように複数の従業員で使い回す場合でも、前記従業員IDテーブルとして実際に使用する従業員の情報とリモコン19の「ID」情報とを予め対応付けて設定し、管理装置6にて登録しておくのが望ましい。或いは、従業員の識別を、リモコン19とは別にID情報を記憶したICカードの読み取り基づいて行ったり、指紋や声紋などの生体情報に基づいて行ったりしてもよい。
【0062】
管理装置6が扉101の開放時間を計測するようにしたが、呼出装置3や中継装置4といった外部装置で開放時間を計測し、その計測結果を管理装置6へ送信するようにしてもよい。この場合でも、管理装置6の処理負担を軽減することができる。
【0063】
尚、管理装置6は、開放履歴記録手段を構成するものであるが、厳密には自身6の内蔵する前記記憶部も開放履歴記録手段を構成している。よって、管理装置6の外部記憶装置に、開放履歴記録手段としての機能を持たせてもよく、この場合でも、管理装置6が外部記憶装置の開放履歴の読み込み或いは書き込みを行うことにより、管理装置6が開放履歴記録手段として機能する。
【0064】
前回扉101の閉鎖が検知されてから予め設定された基準時間が経過していない場合に「継続」と判定するようにしたが、リモコン19に作業の継続を指示するための継続ボタンを設け、その継続ボタンの操作に基づいて管理装置6側で「継続」と判定する機能を追加してもよい。このような機能を追加することにより、基準時間が経過した後に作業を継続する場合であっても、精度よく「継続」と判定することができる。
【0065】
遊技機としてスロットマシン1を例示したが、パチンコ機に対しても同様に適用することができることは勿論である。また、数値、桁数、項目等は例示であり、各数値や係る表現は適宜変更してもよい。例えば、ある値について「3分以内」という表現は、「3分を経過していない」というように代替しうるし、「経過」とい表現も「達した」等の表現で代替しうるのは勿論である。
更に本発明は、上記した実施形態の構成や変形例も含めて、どのように組み合わせてもよいし、適宜、採用しない構成を設けてもよい。
【符号の説明】
【0066】
図面中、1はスロットマシン(遊技機)、3は呼出装置(識別手段)、6は管理装置(開放履歴記録手段、判定手段、開放回数計数手段、作業回数計数手段、出力手段)、6bはモニタ(出力手段)、103は検知手段である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7