【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1であるノイズ監視システムを、
図1〜
図6を用いて説明する。 本実施例では、鉄道車両にノイズ監視システムを搭載する形態を説明するが、本発明のノイズ監視システムの搭載仕様は本実施例に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施例におけるノイズ監視システムを備える鉄道車両全体を示した図である。鉄道車両10(
図1において、車両の1両目と2両目とは異なるものであるが、本発明の対象としては実質的に同じであるので、10として表示する)はパンタグラフ11を介して架線(図示せず)から電源を取り、鉄道車両の高電圧線12の電力を得る。この電力を用いてインバータなど駆動装置(図示せず)を動作させる。13はレール、14は車輪、15は台車である。
【0019】
また、鉄道車両10には各車両ごとに車両システム制御機器16が搭載されており、通信機器17を介して各車両の電子機器(図示せず)間で通信を行う。各車両の通信機器17はキュービクル18と呼ばれる機器設置空間に搭載される。通信機器17間の通信配線19は耐ノイズ性の高いシールドケーブルが一般的には用いられる。
【0020】
図1にはこれら鉄道車両10および車両内機器と共にノイズ監視システム101を示す。ノイズ監視システム101はノイズの検出部103や処理部104および入出力部105などで構成されるが、詳細は後述する。このノイズ監視システム101を用いて鉄道車両10内外のノイズ発生源や伝播を監視するためには、車上センサ112およびノイズ監視システム101の搭載位置が重要である。鉄道車両10内のノイズの発生要因は大別して架線電圧投入・切断時によるものとインバータなど車両内装置が発生するノイズがある。
【0021】
一方、これら電磁ノイズが干渉する問題として車両内の通信機器17用の通信配線19がある。電磁ノイズは発生源ではkV以上の大電圧だが,干渉を受ける通信配線19においては数V以下程度と非常に小さい電圧になり得る。よってノイズ監視システム101でこれらノイズの発生源と干渉部位の両方のノイズ量を計測するためにはノイズ監視システム101自身がノイズの影響を受けないようにノイズ干渉量測定箇所の近くにシステムを設置する必要がある。すなわち、ノイズ監視システム101は鉄道車両10のキュービクル18の内部に設置し、ノイズを検出する車上センサ112は、ノイズ発生源の可能性がある高電圧線12やインバータ用配線(図示せず)などに設置することが望ましい。ノイズ干渉部位が通信機器17間を接続する通信配線19の場合,通信配線19の端部におけるシールド21と通信機器接地部(GND)との間の誘起電圧を測定しモニタすることで、コモンモードノイズ成分を検出できる。また、鉄道車両10の台車15と車体20の間の電位差をセンサによって計測モニタすることで、車体20の電位変動を検出できる。これにより車体20の接地特性が劣化しているかどうかを判別できる。
【0022】
また、鉄道車両10間を電気的に接続する部分に配置された抵抗器22により鉄道車両10の間の電位差を計測モニタすれば、鉄道車両10毎の接地特性の違いが大きいかどうかを判別できる。また、車両外の電磁界を車体20の外部に取付けたアンテナ23で計測モニタすることで車両内外に不要な電磁波減が存在するかどうかを判別できるなどの効果を期待できる。
【0023】
図2は、本実施例によるノイズ監視システムの構成を示した図である。
図2において、車体115におけるノイズ監視対象は、インバータなどの制御ユニット114と、機器の動作状態を検出するセンサであるATC・踏切制御子などの車上センサ112と、車上各機器の制御や状態・車両運行情報を監視する車両システム制御部111とである。
【0024】
車両システム制御部111は、制御ユニット114の制御指令(ブレーキ・速度制御など)を提供する制御部110と、車上センサ112からそれぞれ収集される機器データを受信する受信部108と、車両各機器の状態を監視し、また、制御指令と比較することによって機器に誤動作が無いかを確認する状態監視部109とを有する。
【0025】
車上センサ112には、アンテナ23に取付けられたセンサ(図示せず)や、図示していないインバータ用配線に設置されたセンサ、通信配線19の端部のシールド21と図示していない通信機接地部との間の誘起電圧を測定する部分に取付けたセンサなど、ノイズ発生源の可能性がある場所に設置したセンサなどが含まれる。
【0026】
車両機器に誤動作が発生した場合、状態監視部109から誤動作発生を表すエラーフラグ109aがノイズ監視システム101の側に出力される。ノイズ監視システム101では、入力されたエラーフラグ109aの信号に同期して電磁ノイズの計測・記録および電磁ノイズの発生源・伝播経路の解析を実行する。
【0027】
ノイズ監視システム101は、電磁ノイズを計測するセンサ102と、誤動作発生時刻前後のセンサデータ102aを記録する検出部103と、検出部103の記録データ104aを元に電磁ノイズの発生源と伝播経路を解析する処理部104と、その解析結果を表示する画像表示部116と、処理データ105aの表示および記録データ104aの読み出しおよび外部から設定データ8eの入力を行う入出力部105を備えている。
【0028】
処理部104は、センサ102から出力されるセンサデータ102aと状態監視部109から出力されるエラーフラグ109aと監視対象機器の動作環境情報を示す機器データである車両データ109b(運行モード・列車位置・速度など)を常時監視しながら誤動作発生を示すエラーフラグ109aを検出する。そして、そのエラーフラグ109aが検出された誤動作発生時刻に同期してその発生時刻前後の一定範囲の時間のセンサデータ102aを車両データ109b・エラーフラグ109aとともに記録する。
【0029】
図3は、検出部103の構成を示した図である。検出部103は、AD変換部201と、一時記録メモリ203、バッファ204、保存用記録部205、記録制御部206を備えている。
【0030】
AD変換部201は、センサ102から入力されるセンサデータ102aをAD変換する。一時記録メモリ203は、変換後のセンサデータ201aと、車両システム制御部111の状態監視部109から入力される車両データ109bと、同一部から入力されるエラーフラグ109aを一時的に格納する。バッファ204および保存用記録部205は、設定データ8eで指定された時間範囲のセンサデータ203aおよび車両データ203bおよびエラーフラグ203cを記憶する。記録制御部206は、車両機器の誤動作発生を提示するエラーフラグ109aをトリガとして設定データ8eで指定された時間範囲のセンサデータ203aおよび車両データ203bおよびエラーフラグ203cをバッファ204および保存用記録部205への書き込む制御を行う。
【0031】
以下に検出部103の動作について、
図3に示した構成に基づいて説明する。
電磁ノイズを計測するセンサ102から入力されたセンサデータ102aは、まず記録制御部206から出力するサンプリングクロック206d に従ってAD変換部201でAD変換される。このAD変換部201でAD変換されたセンサデータ201aは、状態監視部109から出力された車両データ109b及びエラーフラグ109aと一緒に、一時記録メモリ203にループ格納される。
【0032】
記録制御部206は、誤動作発生を提示するエラーフラグ109aをトリガとして、一時記録メモリ203に格納されたセンサデータ203a、車両データ203bおよびエラーフラグ203cのうち、入出力部105から入力された記録時間の設定データ8eで特定される時間範囲の信号をバッファ204経由して保存用記録部205へ書き込む制御を行う。
【0033】
記録制御部206から出力される制御信号206a、206bおよび206cは、図示していないがメモリアドレス信号や書き込む制御信号であり、メモリアドレス信号は記録制御部206内のアドレスカウンタで生成される。
【0034】
図4は、処理部104の構成を示した図である。処理部104は、ピーク検出部401と、位相検出部402、センサ位置情報管理部403、ノイズ分布情報解析部404を備えている。
ピーク検出部401は、検出部103の保存用記録部205から出力された誤動作発生時の記録データ104aのピーク(振幅の最大値)およびその時間を抽出する。位相検出部402は、ピーク検出部401から出力された処理データ401aの時間差を比較する。
【0035】
センサ位置情報管理部403は、センサの位置情報をノイズ分布情報解析部404に提供し、ノイズ分布情報解析部404は、位相検出部402から出力された処理データ401aとセンサ位置情報管理部403から出力されたセンサの位置データ403aを用いてノイズ分布を求め、処理データ105aを出力する。
【0036】
図5は本発明の実施例によるシステムにおける、エラーフラグ109aに対するセンサデータ201aおよび車両データ109bの格納範囲を示した図である。図中では、複数のセンサA,B,CのAD変換後のセンサデータ201a−1乃至201a−3と、車両データ109bとエラーフラグ109aを同一の時間軸で示している。
【0037】
図5の例は、3つのセンサA、BおよびCのセンサデータ201a−1乃至201a−3を使用してノイズの波形を測定する場合を示している。一時記録メモリ203には、センサデータ202a−1乃至201a−3(
図3では、これらのデータを総称してセンサデータ201aと記載している)、車両データ109b及びエラーフラグ109aが常時書き込まれ一定の時間保存されている。
【0038】
状態監視部109からエラーフラグ109aが出力され、それを記録制御部206で検出すると、エラーフラグ109aの立ち上がり109a1をトリガ(動作タイミング)としてセンサデータ203a(センサデータ202a−1乃至201a−3を総称したセンサデータ201aに対応)、車両データ203b及びエラーフラグ203cを一時記録メモリ203からバッファ204へ書き出し、バッファ204経由して保存用記録部205への書き込みを開始する。
【0039】
センサデータ201a、車両データ202b及びエラーフラグ202cの格納範囲は、記録制御部206の設定値である設定データ8eによって、誤動作発生時の前後の時間範囲を設定できる。
【0040】
図5の例では、t0とt1がエラーフラグ109aの立ち上がり109a1に対応する動作タイミングであり、d1とd2がそれぞれ格納範囲の開始時間と終了時間を示す。ここで、d1とd2は設定データ8eによって決められる。また、図中では、各センサデータ202a−1乃至201a−3のピーク値をそれぞれVpA、VpBおよびVpCで示し、その時の時刻をそれぞれtpA、tpBおよびtpCで表している。△tCA、△tCBおよび△tCtがそれぞれセンサCとセンサAのピーク時の時間差、センサCとセンサBのピーク時の時間差、およびセンサCのピーク時と動作タイミングの時間差を表している。
【0041】
次に、
図4と
図5を用いて、処理部104の動作について説明する。処理部104に入力されるノイズ波形の記録データ104aに対して、まず、ピーク検出部401により各センサのノイズ波形データから、ピーク値(
図5のVpA、VpBとVpC)およびその時の時刻(
図5のtpA、tpBとtpC)を抽出する。
【0042】
次に、位相検出部402にて前記各センサのノイズ波形のピーク時の時間差を検出する。さらに、前記検出したピーク値および時間差をノイズ分布情報解析部404へ入力し、センサ位置情報管理部403から提供されたセンサ位置マトリクスを利用し、各センサのピーク値および時間差と位置との相関マップ(相関図)を解析する。この相関マップからノイズの発生源およびノイズの発生源から誤動作発生箇所への伝播経路を分析する。
【0043】
本処理部104では、前記時間域での処理の他、FFT変換部を追加することによって、周波数域での処理も可能となる。その一例を挙げるならば、処理部104に入力されるノイズ波形の記録データ104aをまずFFT変換し、その後、ピーク検出部401により最大強度を有する周波数成分を検出することができる。
【0044】
以下に、以下、
図1〜
図5を用いて、本実施例によるシステムの動作概要について説明する。
図2において、まず、車体115の複数箇所に配置されるセンサ102を用いて鉄道車両内外の電磁ノイズを常時計測し、その計測した波形データをセンサデータ102aとして検出部103へ入力する。
【0045】
また、鉄道車両10に搭載されている車両システム制御部111と同期通信し、その状態監視部109から車両の動作環境に関する情報(運行モード・列車位置・速度など)および誤動作の発生有無を示すエラー信号をそれぞれ車両データ109bおよびエラーフラグ109aとしてセンサデータ102aとともに検出部103へ入力する。
【0046】
検出部103では、入力されるセンサデータ102aをAD変換し、その後、車両データ109bおよびエラーフラグ109aを一時記録メモリ203へ常に書き込む。一時記録メモリ203は、これらの順次書き込まれたデータをそれぞれ一定の時間記憶しておいた後、順次消去していく。また、エラーフラグ109aの立ち上がりをトリガとして一時記録メモリに格納したセンサデータ203a、車両データ203bおよびエラーフラグ203cをバッファ204経由して保存用記録部205へ書き込む。格納範囲は設定データ8eによって決定する。保存用記録部205では、一時記録メモリ203に常に書き込まれた大量のデータのうちエラーフラグ109aが立ち上がった前後のデータだけを記憶するので単位時間当ごとの書き込むデータの量を減らすことができ、比較的長い時間のデータを記憶保存することができる。
【0047】
さらに、処理部104において記録データのうち複数センサ間の電磁ノイズのピークと時間差を比較することによって、電磁ノイズの発生源と伝播経路を解析し、入出力部により外部へ書き出すおよび画像表示部116により表示する。
【0048】
図6は本発明の実施例における、診断処理の流れを表したフローチャートである。
先ず、ステップS601にて、
図3に示す設定データ8eなどの初期設定を行う。次に、ステップS602でシステムの動作を開始するとともに、センサ102によるノイズの計測を開始する。次に、ステップS603で、検出部103などでの診断処理を開始するとともに、車両システム制御部111と通信し、状態監視部109から車両データ109bおよびエラーフラグ109aを収集し始める。
【0049】
次に、監視処理を終了するかをチェックする(S604)。チェックの結果、監視処理を継続する場合(NOの場合)には、AD変換部201で変換されたセンサデータ201a、状態監視部109で収集された車両データ109bおよびエラーフラグ109aは、一時記録メモリ203に書き込む(データ格納)(S605)。
【0050】
このとき、記録制御部206ではエラーフラグ109aを監視し(S606)、エラーフラグ109aを検出しなかった場合には(NOの場合)、一時記録メモリ203のアドレスが最終アドレスになったかをチェックし(S607)、最終アドレスでない場合には(NOの場合)、アドレスカウンタをインクリメントして(S608)、S604に戻る。一方、最終アドレスであった場合には(S607でYESの場合)、一時記録メモリ203のアドレスを先頭に戻して(S609),S604に戻る。
このS605からS609までのステップは、異常を検出しない通常動作の状態を示している。
【0051】
一方、S606でエラーフラグ109aを検出した場合(YESの場合)には(記録制御部206でエラーフラグ109aを検出した場合)、エラー発生と判断され、通常時のS605からS609までのフローのループを抜けてステップS610の処理に移行する。
【0052】
ステップS610では、記録制御部206の制御信号206a,206b,206cに従って、一時記録メモリ203に格納するセンサデータ203a、車両データ203bおよびエラーフラグ203cをバッファ204経由して保存用記録部205へ書き込む。次に、保存用記録部205への記録完了信号の受信有無を判断し(S611)、受信がない場合(NOの場合)はステップS610へ戻って記録を続行する。
【0053】
記録完了信号の受信が有る場合(S611でYESの場合)は、保存用記録部205に書き込んだ記録データ104aの処理部104への移行(記録データ読み出し)を実行し(S612)、処理部104でデータ処理を実行してノイズの発生源と伝播経路を解析し、入出力部により外部へ書き出すおよび画像表示部116により解析結果を表示する(S613)。
【0054】
次に、監視処理を終了するかについてチェックし(S614),監視処理を継続する場合(NOの場合)には、S605に戻り、監視処理を継続する。一方、S614で監視処理を継続しないと判定した場合(NOの場合)には、全体の処理を終了する。
【0055】
S613におけるノイズの発生源と伝播経路を解析する処理の詳細なステップを
図7を用いて説明する。
【0056】
S606でエラーフラグ有り(YES)と判定されてS610で保存用記録部205に保存されたエラーフラグ203cと車両データ204b、センサデータ204aは、記録データ104aとして処理部104へ送られる(S6131)。処理部104では、先ずピーク検出部401において、各センサデータのピーク位置(時刻)が検出される(S6132)。次に、位相検出部402において、ピーク位置が検出された各センサデータ間のピーク位置の時間差を求める(S6133)。次に、各センサデータのピーク位置、時間差と各センサ102が鉄道車両10において配置された位置の情報(センサ位置情報:位置データ403a)を用いてあるセンサ102で検出した電磁ノイズの伝播経路(あるセンサ102で検出した電磁ノイズが他のセンサに伝播していく経路)を求め(S6134)、この求めた伝播経路を各センサ102の鉄道車両10への配置情報と重ね合わせて画像表示部116に結果表示を行う(S6145)。
【0057】
画像表示部116に表示する解析結果の一例を
図8に示す。画像表示部116には、解析結果を画面800に表示する。画面800には、車体115に設置した各センサP1〜P9ごとのノイズ強度に応じた表示欄801と、検査対象の車両を特定する車両番号、ノイズを検出した時刻、検出したノイズのピーク値などの情報802を表示し、ノイズの伝播状態を視覚化して表示し、ノイズの発生源を判断できるようにした。
図8に示した例では、ハッチングの密度が一番高いセンサP4の位置がノイズ発生源に一番近く、そこで発生したノイズがP1,P5、P7の各センサの位置に伝播し、次にP2,P6,P8の各センサに伝播し、更に、P3とP9のセンサに伝播していったことがわかる。
【0058】
なお、
図8に示した例では、解析結果の表示欄801にセンサごとにブロックで表示例を示したが、これを、鉄道車両の車体に機器を配置した図と重ね合わせて表示するようにしても良い。
以上のことから、ノイズの発生源や伝播経路を分析可能なノイズ監視システムを提供することができる。
【0059】
本実施例によれば、車両の故障信号又は突発ノイズ発生タイミングに同期して、任意時間のノイズ波形および運行情報を関し・記録することができるので、この記録した情報に基づいてノイズ発生源や伝播経路を迅速かつ正確に特定することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、ノイズ発生源や伝播経路を予め特定して対策することにより、誤動作を未然に防止することができる。
【0061】
更に、本実施例に拠れば、ノイズ発生源や伝播経路を迅速かつ正確に特定することができるので、ノイズ発生時の対策時間を短期化することができる。
【実施例2】
【0062】
以下に、本発明の実施例2であるノイズ監視システムについて
図9〜
図11を用いて説明する。本実施例では、センサ配線長が異なる場合にノイズ検出精度が低下する課題を考慮した形態について説明する。
【0063】
図9は、本実施例によるノイズ監視システムにおける検出部1031の構成を示した図である。本実施例によるノイズ監視システムは、実施例1で説明した
図2の構成を基本とし、検出部103のバリエーションの構成を有するシステムである。実施例1の検出部103と比較すると、本実施例における検出部1031は遅延処理部600を追加したことを特徴としている。
【0064】
図9に示した本実施例における検出部1031の構成において、検出部1031に入力してAD変換部201でAD変換された後のセンサデータ201aと車両データ109bおよびエラーフラグ109aは、まず遅延処理部600に入力される。遅延処理部600では、あらかじめ設定された遅延時間データ8fに従ってセンサデータ201a、車両データ109bおよびエラーフラグ109aを一時記録メモリ203に入力するタイミングを調整する。
【0065】
例えば、センサ102から検出部1031までの配線長と状態監視部109から検出部1031までの配線長の違いにより、配線遅延時間に大きな差があった場合、遅延処理部600で各データの時間差を補正することができる。これにより、状態監視部109から出力されるエラーフラグ109aとセンサ102から出力させら信号に基づくセンサデータ201aとの同時性が保証される。以降、検出部1031において、同時性が保証された通常時のAD変換後のセンサデータ201a、状態監視部から車両データ109bおよびエラーフラグ109aを一時記録メモリ203へループ格納する動作を実行する。
【0066】
図10は本発明の実施例によるノイズ監視システムにおける、遅延処理部600の構成を示した図である。遅延処理部600は、入力されたセンサデータ201aを遅延させるためのデジタル遅延回路701と車両データ109b・エラーフラグ109aを遅延させるためのデジタル遅延回路702と、デジタル遅延回路701とデジタル遅延回路702それぞれの遅延時間データを設定する遅延設定部703とを備えて構成される。
【0067】
遅延設定部703は、あらかじめ設定された遅延時間データ8fに従って遅延時間データを設定する。ここで、遅延時間データ8fは既知のノイズ源を設ける条件で、本実施例のノイズ監視システムを試行して得られる遅延時間であり、入出力部105から入力されまた、
図10に示す遅延処理部600は等しい長さの配線を有するセンサ102を使用する場合に適用するが、車両の各部署に配置するセンサ102から検出部1031まで異なる長さの配線を使う場合は、
図11に示すように、センサ102ごとにそれぞれの配線遅延時間を設定できる複数デジタル遅延回路701を有する構成となる。
【0068】
以上のことから、本実施例に拠れば、ノイズの発生源や伝播経路を分析可能なノイズ監視システムを提供することができる。また、センサ配線長が異なる場合、配線遅延を補正し、配線遅延によるノイズ検出精度の低下を回避できる。