(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620104
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】経食道心エコー検査プローブのためのロボットアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-547611(P2016-547611)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公表番号】特表2017-505170(P2017-505170A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】IB2015050332
(87)【国際公開番号】WO2015110943
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】61/930,983
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン,デイヴィッド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ,アレクサンドラ
【審査官】
泉 卓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−300873(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/047223(WO,A1)
【文献】
特開平03−103262(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/055745(WO,A1)
【文献】
特表2008−545458(JP,A)
【文献】
特開2013−158612(JP,A)
【文献】
特開2013−158571(JP,A)
【文献】
特開平02−161928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをコントロールするためのロボットアクチュエータであって、
前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルを収納するための駆動チャンバを定めるように、一緒に結合された、ハンドルベースおよびハンドルカバーと、
前記駆動チャンバの中で前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをそれぞれ操作できるように係合する、複数のモータ駆動の伝動装置と、
を含み、
前記複数のモータ駆動の伝動装置は、
前記インターベンション器具のハンドルに係る第1の駆動ダイヤルと接触し、接触による摩擦を介して該第1の駆動ダイヤルを操作する第1のモータ駆動の伝動装置、および、
前記第1の駆動ダイヤルとは独立して、前記インターベンション器具のハンドルに係る第2の駆動ダイヤルと機械的に噛み合うことにより、該第2の駆動ダイヤルを操作する第2のモータ駆動の伝動装置、を含み、
前記第1の駆動ダイヤルと前記第2の駆動ダイヤルとは、同心状である、
ロボットアクチュエータ。
【請求項2】
前記ハンドルベースは、前記インターベンション器具のハンドルを長手方向に収めるようにデザインされており、かつ、
前記ハンドルカバーは、前記ハンドルベースによって長手方向に収まっている前記インターベンション器具のハンドルをカバーするようにデザインされている、
請求項1に記載のロボットアクチュエータ。
【請求項3】
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーは、前記駆動チャンバを定めるために、磁気的に結合されるように動作可能である、
請求項1に記載のロボットアクチュエータ。
【請求項4】
前記ロボットアクチュエータは、さらに、
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーとの間に配置されたコンポーネントを含む少なくとも一つのモータコントローラ、を含み、
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーの結合は、前記少なくとも一つのモータコントローラのコンポーネントを接続する、
請求項1に記載のロボットアクチュエータ。
【請求項5】
前記ロボットアクチュエータは、さらに、
前記ハンドルベースに対して動作可能に接続されたアクチュエータプラットフォームであり、前記インターベンション器具のハンドルの横方向の動きと回転方向の動きのうち少なくとも一つを促進する、アクチュエータプラットフォーム、
を含む、請求項1に記載のロボットアクチュエータ。
【請求項6】
インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをコントロールするためのロボット駆動システムであって、
前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをコントロールするためのモータコマンドを生成するように動作可能なロボットワークステーションと、
前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをコントロールするように動作可能なロボットアクチュエータと、
を含み、
前記ロボットアクチュエータは、
前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルを収納するための駆動チャンバを定めるように、ハンドルカバーに結合されたハンドルベースと、
前記駆動チャンバの中で前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをそれぞれ操作できるように係合する、複数のモータ駆動の伝動装置と、
前記ロボットワークステーションに対する前記複数のモータ駆動の伝動装置の接続であり、前記ロボットワークステーションによって生成されたモータコマンドに応じて、前記インターベンション器具のハンドルに係る複数の駆動ダイヤルをコントロールする、接続と、
を含み、
前記複数のモータ駆動の伝動装置は、
前記インターベンション器具のハンドルに係る第1の駆動ダイヤルと接触し、接触による摩擦を介して該第1の駆動ダイヤルを操作する第1のモータ駆動の伝動装置、および、
前記第1の駆動ダイヤルとは独立して、前記インターベンション器具のハンドルに係る第2の駆動ダイヤルと機械的に噛み合うことにより、該第2の駆動ダイヤルを操作する第2のモータ駆動の伝動装置、を含み、
前記第1の駆動ダイヤルと前記第2の駆動ダイヤルとは、同心状である、
ロボットアクチュエータシステム。
【請求項7】
前記ハンドルベースは、前記インターベンション器具のハンドルを長手方向に収めるようにデザインされており、かつ、
前記ハンドルカバーは、前記ハンドルベースによって長手方向に収まっている前記インターベンション器具のハンドルをカバーするようにデザインされている、
請求項6に記載のロボットアクチュエータシステム。
【請求項8】
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーは、前記駆動チャンバを定めるために、磁気的に結合されるように動作可能である、
請求項6に記載のロボットアクチュエータシステム。
【請求項9】
前記ロボットアクチュエータは、さらに、
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーとの間に配置されたコンポーネントを含む少なくとも一つのモータコントローラ、を含み、
前記ハンドルベースと前記ハンドルカバーの結合は、前記少なくとも一つのモータコントローラのコンポーネントを接続する、
請求項6に記載のロボットアクチュエータシステム。
【請求項10】
前記ロボットアクチュエータは、さらに、
前記ハンドルベースに対して動作可能に接続されたアクチュエータプラットフォームであり、前記インターベンション器具のハンドルの横方向の動きと回転方向の動きのうち少なくとも一つを促進する、アクチュエータプラットフォーム
を含む、請求項6に記載のロボットアクチュエータシステム。
【請求項11】
前記ロボットワークステーションは、前記インターベンション器具のハンドルの横方向の動きと回転方向の動きのうち少なくとも一つをコントロールするためのモーションコマンドを生成するように動作可能であり、かつ、
前記アクチュエータプラットフォームは、前記モーションコマンドに応じて前記インターベンション器具のハンドルの横方向の動きと回転方向の動きのうち少なくとも一つをコントロールするように動作可能に接続されている、
請求項10に記載のロボットアクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、経食道心エコー検査(”TEE”)プローブに関する。本発明は、より特定的に、インターベンショナル(interventional)な手術の最中におけるTEEプローブのロボットによる駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
経食道心エコー検査(transesophageal echocardiography)は、器質的心疾患(structual heart disease、”SHD”)に対する処置の最中に、心臓組織およびインターベンション機器(interventional device)を可視化するために一般的に使用されている。
図1は、超音波ワークステーション11、および、c型アーム12が示されている、X線スキャナを有する手術室10aの中における医療スタッフの典型的な配置を示している。SHD手術の最中には、心エコー検査者13は、TEEプローブを保持している。プローブは、患者16の心臓を可視化するために、患者16の口を通じて食道の中へ延びている。心臓専門医15は、X線c型アーム12と手術台17の反対側に配置されている。心臓専門医15は、インターベンション機器(図示なし)(例えば、カテーテルおよびガイドワイヤ)を、X線ガイダンスおよびTEEプローブ14を介した超音波ガイダンスの下で、動脈の切り口(arterial incision)から心臓へと操縦する。異なる診断または治療手術を実施するためである。僧帽弁クリップ(mitral clip)展開または経カテーテル的大動脈弁置換術(”TAVR”)といった、典型的な手術は、時間がかかり、かつ、複雑である。さらに、手術の最中にターゲット組織の適切な可視化を確保することは、心エコー検査者13の責任であり、手術の継続期間についてTEEプローブ14の先端(tip)の位置を常に細かく調整する必要がある。
【0003】
実際には、
図1の動作状況は、いくつかのチャレンジを表している。第1のチャレンジは、疲労と貧弱な可視化である。特に、適切な可視化は、関連の解剖学的構造が視野の中にあることを確保すること、および、十分な音響カップリングを達成するように、トランスデューサヘッドと食道壁との間に必要な接触力が達成されること、の両方を含んでいる。この目的のために、TEEプローブ14のヘッドの位置と向きは、ターゲット構造の適切な可視化を維持するために、手術の継続時間について、一定で、細かな調整を必要とする。このことは、長い手術の最中において、心エコー検査者13による疲労と貧弱な可視化を導き得るものである。
【0004】
第2のチャレンジは、X線露出である。特に、TEEプローブ14の長さは、インターベンションX線システムの光源に対して非常に近傍に心エコー検査者13を配置することを結果として生じており、従って、手術の進行にわたり心エコー検査者13のX線露出を最大化している。
【0005】
第3のチャレンジは、コミュニケーションと可視化である。手術の所定のフェイズの最中に、心臓専門医15と心エコー検査者13は、常にコミュニケーションできる必要がある。どの構造を可視化するかについて心臓専門医15は心エコー検査者13に指示するからである。3次元超音波ボリューム、および、X線と超音波システムによって表示される異なる座標システムを解釈する困難さにより、心臓専門医15の意図を理解することは心エコー検査者13にとってチャレンジであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらのチャレンジを取り扱うために、ロボットアクチュエータシステムを提供する。一般的には、
図2に示されるように、ロボットアクチュエータシステムを用いる手術室10bの中での医療スタッフの新たな配置である。ロボットアクチュエータシステムは、ロボットワークステーション20、および、TEEプローブ14を2自由度から4自由度の間でリモートコントロールするためのロボットアクチュエータ30を使用しているおり、TEEプローブ14の超音波画像化ボリュームを調整する。加えて、ここにおいてさらに説明されるように、ロボットアクチュエータ30は、既存の種々のタイプのTEEプローブ14について改造する機能を有してよく、かつ、何らかの理由によって心エコー検査者13がTEEプローブ14の手動オペレーションへ戻ることを決断するときに、TEEプローブ14から迅速に取り外す機能を有してよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態は、インターベンション器具のハンドル(interventional tool handle)(例えば、プローブのハンドル)に係る一つ以上の駆動ダイヤルをコントロールするためのロボットアクチュエータである。ロボットアクチュエータは、駆動チャンバ(chamber)を定めるように、ハンドルベース(base)とハンドルカバー(cover)の結合を含んでいる。インターベンション器具のハンドルに係る駆動ダイヤル、および、駆動チャンバの中でインターベンション器具のハンドルのダイヤルと噛み合うように動作可能である駆動チャンバの中の一つまたはそれ以上のモータ駆動のギヤを収納するためである。
【0008】
ロボットアクチュエータは、さらに、インターベンション器具のハンドルの横方向及び/又は縦方向の動きをコントロールするためのアクチュエータプラットフォームを使用してよい。
【0009】
本発明の第2の形態は、ロボットワークステーション、および、インターベンション器具のハンドルに係る一つ以上の駆動ダイヤルをコントロールするための上述のロボットアクチュエータ、を使用するロボットアクチュエータシステムである。動作中に、ロボットワークステーションは、インターベンション器具のハンドルに係る駆動ダイヤルをコントロールするためのモータコマンドを生成し、かつ、ロボットアクチュエータは、ロボットワークステーションによって生成されたモータコマンドに応じて、インターベンション器具のハンドルに係る駆動ダイヤルをコントロールする。この目的のために、モータ駆動のギヤは、インターベンション器具のハンドルに係る駆動ダイヤルをコントロールするために、ロボットワークステーションに対して動作可能に接続されている。
【0010】
上述の形態および本発明の他の形態は、本発明の種々の特徴と利点と同様に、添付の図面と併せて読めば、本発明の種々の実施例に係る以降の詳細な説明から、さらに明らかになるだろう。詳細な説明と図面は、制限的であるより、むしろ、単に本発明を説明するものであり、本発明の範囲は、添付の請求項及びその均等物によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、従来技術において知られている、TEEプローブの典型的な手動オペレーションを示している。
【
図2】
図2は、本発明に従って、TEEプローブのリモートコントロール駆動に係る典型的な実施例を示している。
【
図3】
図3は、従来技術において知られている、典型的なTEEプローブを示している。
【
図4A】
図4Aは、
図3に示されるTEEプローブの駆動ダイヤルと本発明に従ったモータ駆動のギヤとの典型的な噛み合いを示している。
【
図4B】
図4Bは、
図3に示されるTEEプローブの駆動ダイヤルと本発明に従ったモータ駆動のギヤとの典型的な噛み合いを示している。
【
図5】
図5は、本発明に従って、ロボットアクチュエータの典型的な実施例を示している。
【
図6A】
図6Aは、本発明に従って、プローブハンドルベースとプローブハンドルカバーの典型的な実施例をそれぞれ示している。
【
図6B】
図6Bは、本発明に従って、プローブハンドルベースとプローブハンドルカバーの典型的な実施例をそれぞれ示している。
【
図7】
図7は、本発明に従って、
図6Aおよび
図6Bに示されたプローブハンドルベースとプローブハンドルカバーの模式的な実施例を示している。
【
図8A】
図8Aは、本発明に従って、アクチュエータプラットフォームの典型的な実施例を示している。
【
図8B】
図8Bは、本発明に従って、アクチュエータプラットフォームの典型的な実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の理解を促進するために、本発明に係るロボットアクチュエータシステムの典型的な実施例と種々のコンポーネントが、従って、
図3に示されるように、TEEプローブのリモートコントロール駆動のコンテクスト(context)において、これから説明される。これらの説明から、当業者であれば、本発明のロボットアクチュエータシステムの原理をどのように適用するかを正しく理解することができる。他のテンドン駆動(tendon driven)のフレキシブルな機器(例えば、大腸内視鏡、胃内視鏡、等)と同様に、あらゆるタイプの手術のために超音波プローブのあらゆる適切なデザインに適用するものである。
【0013】
図3を参照すると、TEEプローブ40は、従来技術において知られるように、ハンドル41、および、ハンドル41に対して取り付けられた近位端42pと超音波トランスデューサ43を伴う遠位ヘッド端42dを有する細長いプローブを使用する。TEEプローブ40は、プローブヘッド42dのヨー(yaw)自由度を調整するためのヨー駆動ダイヤル43、および、プローブヘッド42のピッチ(pitch)自由度を調整するためのピッチ駆動ダイヤル44を使用する。
【0014】
本発明は、ヨー駆動ダイヤル43とピッチ駆動ダイヤル44をコントロールするようにモータ駆動されるギヤを提供する。例えば、
図4Aに示されるように、本発明のフリクションギヤ(friction gear)31は、ヨー駆動ダイヤル43の回転をコントロールするための十分なトルクを伝えるために、ヨー駆動ダイヤル43と摩擦によって噛み合うようにデザインされている。更なる実施例によって、
図4Bに示されるように、本発明のクラウンギヤ(crowned gear)32は、ピッチ駆動ダイヤル44の回転をコントロールするために、ヨー駆動ダイヤル43に接触することなく、ピッチ駆動ダイヤル44と機械的に噛み合うようにデザインされている。
【0015】
実際には、ロボットアクチュエータ30(
図2)のギヤのデザインが、それによって噛み合うことが意図されているプローブの対応する駆動ダイヤルのデザインに依存するであろう一方で、ロボットアクチュエータ30の実施例は、ギヤ31と32のコンテクストにおいてここにおいて説明される。
【0016】
図5を参照すると、ロボットアクチュエータ30の一つの実施例は、凹型内面33aを有するプローブハンドルカバー33と凹型内面33bを有するプローブハンドルベース34を使用する。一つまたはそれ以上の磁気カプラ(magnetic coupler)37を介して磁気的に結合される際に駆動チャンバ(actuation chamber)を定めるためである。動作中に、チャンバはプローブの駆動ダイヤルを収納し、そして、磁気的な結合がプローブの容易な取り外しを促進する利点を提供することが望まれる。特に、動作環境がプローブの手動コントロールを指示する場合である。
【0017】
ロボットアクチュエータ30は、さらに、ギヤ31と32それぞれに対するモータ35とモータコントローラ36(”MCONROLLER”)を使用する。モータコントローラ36に対するロボットワークステーション20の電気的接続を介して、ロボットワークステーション20(
図2)によってコントロール可能なモータ駆動のギヤに従うものである。動作中に、モータ駆動のギヤは、プローブの駆動ダイヤルに噛み合い、回転させるのに十分であって、プローブハンドルカバー33の軽量デザインを促進する。
【0018】
加えて、ロボットアクチュエータ30が使用されている環境に依存して(例えば、手術室)、プローブハンドルベース34及び/又はアクチュエータプラットフォーム38は、従来技術において知られるように、環境の中の基準系(frame of reference)についてロボットアクチュエータ30を確保するために使用され得る。例えば、プローブハンドルベース34及び/又はアクチュエータプラットフォーム38は、フィクスチャ(fixture)、手術台、手術設備、または、そうでなければ、手術室の中の基準系についてロボットアクチュエータ30を確保するためのあらゆるオブジェクトに対してマウントされてよい。
【0019】
図6Aと
図6Bを参照すると、ロボットアクチュエータ30の模式的な実施例は、プローブ(例えば、示されるようにプローブハンドル41)の駆動ダイヤルをコントロールするために、プローブハンドルベース50とプローブハンドルカバー60を使用する。特に、プローブハンドルカバー50は凹型内面51を有し、かつ、プローブハンドルベース60は凹型内面51を有する。プローブハンドルベース50の磁気52aとプローブハンドルベース60のスチール位置決めピン(locator pin)62bを介して磁気的に結合される際に駆動チャンバを定めるためである。
【0020】
プローブハンドルベース50は、ロボットワークステーション20(
図2)に対して電気的に接続されたモータコントローラ基板53を使用し、そして、プローブハンドルカバー60は、モータ64(例えば、2個のスプールギヤを介したDCブラシモータ)に対して電気的に接続されたモータコントローラ基板63を使用する。モータコントローラ基板53と63は、電気接点(図示なし)(例えば、スプリングコンタクト)を有しており、プローブハンドルベース50とプローブハンドルカバー60の磁気的な結合に際して噛み合い、モータコントローラを形成する。モータコントローラ53a/63aは、クラウンギヤ65に対するモータ64aの電流コントロールを実施し、それにより、クラウンギヤ65の回転をコントロールする。同様に、モータコントローラ53a/63aは、クラウンギヤ65と同心円のフリクションギヤ66に対するモータ64bの電流コントロールを実施し、それにより、フリクションギヤ66の回転をコントロールする。
【0021】
図7は、プローブハンドル141の駆動ダイヤル(図示なし)を収納してコントロールするための、プローブハンドルベース150とプローブハンドルカバー160の磁気的な結合を有するロボットアクチュエータ130に係る美的な実際のビューを示している。
【0022】
図8Aと
図8Bは、一対のレール71、一対のスライダ72、一対の回転モータ73、および、クランクシャフト75を使用するアクチュエータプラットフォーム38(
図5)に係る一つの実施例を示している。従来技術において知られた技術によって、スライダ72は、レール71に対してスライド可能に結合されており、そして、クランクシャフト75は、回転モータ73に対して回転可能に結合されている。動作中に、プラットフォームコントローラ76は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、回路を使用する。スライダ72のスライドの従来のコントロールを介して、一つの矢印の方向において、レール71に沿ってクランクシャフト75を横方向に移動するため、および、回転モータ73のコントロールを介して回転軸RAに関してクランクシャフト75を回転するためである(例えば、
図8Bに示されるように180°回転)。実際に、回転モータ73は、プローブのハンドルの一部、プローブ自身、及び/又は、プローブのケーブルを支持するためのグローブ74を有してよい。
【0023】
クランクシャフト75の重要性は、クランクシャフト75が、
図9Aと
図9Bにおいて矢印によって典型的に示されるように、横方向に移動される際、または、
図9Cと
図9Dにおいて示されるように、回転軸RAのまわりに回転される際に、プローブのハンドルの回転軸RAとの回転アライメント(rotational alignment)を維持することである。特に、クランクシャフト75は、プローブハンドル(”PH”)ベース50を通じて延びており、そして、プローブハンドルベース50とプローブハンドルカバー60との間に置かれる際のプローブハンドル41は、回転軸RAと回転アライメントがとれている。そのように、レール71上でスライダ72を横方向にスライドさせることのコントロールを介したクランクシャフト75の横方向の移動は、
図9Aと
図9Bにおいて矢印によって典型的に示されるように、回転軸RAとの回転アライメントがとれて、プローブハンドル40を横方向に移動する。さらに、回転モータ73のコントロールを介した回転軸RAのまわりのクランクシャフト75の回転動作は、
図9Cと
図9Dにおいて示されるように、回転軸RAに関してプローブハンドルを回転させる。
【0024】
実際に、アクチュエータプラットフォーム70は、
図7に示されるように、ピッチ及び/又はヨーに傾けることができるプローブ40の遠位ヘッド42dに対して、横方向の動き及び回転方向の動きに係る追加の2自由度を提供する。
【0025】
図1に戻って参照すると、ロボットワークステーション20は、ユーザ入力を介してロボットアクチュエータ30のモータ駆動のギヤに対してモータコマンドを生成するための技術を実行するために、従来技術において知られるように、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を用いて構造的に構成されている。実際に、ロボットワークステーション20は、被検体プローブの特定の駆動スキームに対するモータコマンドを生成するためのあらゆる既知の技術を実施し得る。より特定的にTEEプローブ14に対して、ロボットワークステーション20は、プローブ14の遠位ヘッドのピッチ自由度とヨー自由度をコントロールするモータコマンドを生成するための既知の技術を実行する。加えて、アクチュエータプラットフォーム70、または、プローブ14の遠位ヘッドの横方向の動きと回転方向の動きを促進する他のあらゆるアクチュエータプラットフォームであれば、アクチュエータプラットフォームのコントローラは、スタンドアロンのコントローラ、ロボットワークステーション20に結合されたもの、または、ロボットワークステーション20の中に包含されたものであってよい。アクチュエータプラットフォームのコントローラがロボットワークステーション20に結合され、または、包含されている場合に、ロボットワークステーション20は、ユーザ入力を介してアクチュエータプラットフォームのコントローラに対してモーションコマンドを生成するための既知の技術を実行するために、従来技術において知られるように、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を用いて構造的に構成されている。
【0026】
実際に、ロボットワークステーション20は、また、ロボットアクチュエータシステムの一人またはそれ以上のユーザとインターフェイスするための既知のコンポーネントおよびスキームを実施してもよい。より特定的に
図1に対して、直接的コントロール(direct control)スキームにおいて、ロボットワークステーション20は、心エコー検査者13によるTEEプローブ14のヘッドの直接的コントロールを促進するために、適切なユーザインターフェイス(図示なし)(例えば、ジョイスチック、マウス、タッチスクリーン、等)を使用する。協調的なコントロールスキームにおいて、ロボットワークステーション20は、心エコー検査者13と心臓専門医15によるTEEプローブ14のヘッドの共有コントロール(shared control)を促進するために、適切なユーザインターフェイス(図示なし)(例えば、ジョイスチック、マウス、タッチスクリーン、等)を使用する。
【0027】
図1から
図9を参照すると、当業者であれば、本発明に係る数多くの利点を正しく理解するだろう。これらに限定されるわけではないが、(1)本発明のロボットワークステーションによる超音波プローブの1自由度以上のリモートコントロールであり、超音波プローブの超音波画像化ボリュームを調整するもの、(2)本発明のロボットアクチュエータを既存の超音波プローブに対して組み込む能力、および(3)心エコー検査者または他のスタッフが何らかの理由で手動オペレーションに戻ることを決断するときに、本発明のロボットアクチュエータを超音波プローブから迅速に取り外す能力、を含んでいる。
【0028】
本発明の種々の実施例が示され、かつ、説明されてきたが、当業者であれば、ここにおいて説明されたように、本発明の実施例は説明的なものであること、そして、種々の変形と変更がなされ得ること、および、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明のエレメントについて均等物が代わりに使用され得ること、が理解されよう。加えて、本発明の教示に適合するように、本発明の中心範囲から逸脱することなく、多くの変更がなされ得る。従って、本発明は、本発明を実行するために熟考されたベストモードとして開示された所定の実施例に限定されるものではないこと、しかし、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施例を含むものであること、が意図されている。