【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対する解決策は、下記に説明され、特許請求の範囲に特徴付けられた実施の形態を提供することによって達成される。したがって、本発明は、BTXを製造する方法であって、
(a)重質炭化水素を含むコーカー供給流にコークス化を行って、コーカーナフサおよびコーカー軽油を生成する工程、
(b)コーカー軽油に芳香環開環を行って、BTXを生成する工程、および
(c)コーカーナフサからBTXを回収する工程、
を有してなる方法を提供する。
【0007】
本発明の文脈において、意外なことに、ここに記載した改善方法を使用することによって、BTXなどの高価値の石油化学製品の収率を改善できることが分かった。
【0008】
本発明の方法において、コークス化の供給物として適したいずれの炭化水素組成物も使用できる。コーカー供給流が残油を含むことが好ましく、真空残油を含むことがより好ましい。しかしながら、超重質原油などの原油も、コーカー供給流として使用できる。
【0009】
コーカー供給流が、沸点が350℃以上の炭化水素を含むことが好ましい。
【0010】
ナフサ、軽油および残油という用語は、石油精製プロセスの分野で一般に受け入れられた意味を持つものとしてここに使用される;Alfke et al. (2007) Oil Refining, Ullmann's Encyclopedia of Industrial ChemistryおよびSpeight (2005) Petroleum Refinery Processes, Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyを参照のこと。この点に関して、原油に含まれる炭化水素化合物の複雑な混合物および原油蒸留プロセスの技術的限界のために、異なる原油留分間に重複があるかもしれないことを留意すべきである。ここに用いた「ナフサ」という用語は、沸点範囲が、好ましくは約20〜200℃、より好ましくは30〜190℃である、原油蒸留により得られる石油留分に関する。軽質ナフサは、沸点範囲が、好ましくは約20〜100℃、より好ましくは約30〜90℃の留分である。重質ナフサの沸点範囲は、好ましくは約80〜200℃、より好ましくは約90〜190℃である。ここに用いた「灯油」という用語は、沸点範囲が、好ましくは約180〜270℃、より好ましくは約190〜260℃である、原油蒸留により得られる石油留分に関する。ここに用いた「軽油」という用語は、沸点範囲が、好ましくは約250〜360℃、より好ましくは約260〜350℃である、原油蒸留により得られる石油留分に関する。ここに用いた「残油」という用語は、沸点が、好ましくは約340℃超、より好ましくは約350℃超である、原油蒸留により得られる石油留分に関する。残油を真空軽油留分および真空残油留分に分離するために、残油が、例えば、真空蒸留ユニットを使用して、さらに分別されることが好ましい。
【0011】
本発明の方法は、コーカー供給流をコークス化条件に施す工程を含むコークス化を有してなる。ここに「コークス化条件」とも記載される、コークス化に有用な工程条件は、当業者により容易に決定することができる;例えば、前出のAlfke et al. (2007)を参照のこと。
【0012】
「コークス化」という用語は、一般に受け入れられた意味でここに使用され、それゆえ、常圧残油および真空残油の供給物から選択されることが好ましい、重質炭化水素供給流を、その供給物を熱分解温度まで加熱することにより、メタンおよびC2〜C4炭化水素、コーカーナフサ、コーカー軽油並びに石油コークスを含むガス状炭化水素生成物に転化する(非触媒)プロセスとして定義してもよい;Alfke et al. (2007) Oil Refining, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry;米国特許第4547284号明細書;および米国特許出願公開第2007/0108036号明細書を参照のこと。コークス化により生成されるC2〜C4炭化水素留分は、パラフィンおよびオレフィンの混合物である。ここに用いたように、「コーカーナフサ」という用語は、単環芳香族炭化水素が比較的豊富な、コークス化により生成される軽質蒸留物に関する。ここに用いたように、「コーカー軽油」という用語は、縮合芳香環を2つ以上有する芳香族炭化水素の比較的豊富な、コークス化により生成された、中間蒸留物に関し、必要に応じて、重質蒸留物にも関する。コークス化の1つの形態が、重質炭化水素供給流を、熱分解蒸気を凝縮する分留装置に導入する工程を含む「遅延コークス化」である。分留装置の底部生成物は、続いて、炉内で450〜550℃の温度に加熱され、熱分解された炉の流出物は、コークスドラムの内の1つを流れ、その中で、コークスが形成され、堆積されている。コークスドラムからの熱分解蒸気は、分留装置内でさらに分離されてもよい。それらのコークスドラムは、1つおきに、コークスの除去をできるように使用される。コークス化のさらに別の形態は、遅延コークス化プロセスとは対照的に、連続運転を可能にする「流動コークス化」である。流動コークス化は、重質炭化水素供給流が中に注入される、コークス粒子の流動床が入った反応装置内で熱分解反応を行う工程を含む。コークス微粒子は、分別前に、サイクロン分離器内で熱分解蒸気から分離される。その反応装置内で形成されたコークスは、加熱器に連続して流れてもよく、そこで、コークスは流動床内での部分燃焼により550〜700℃の温度に加熱され、そこから、正味のコークス生成物が回収される。加熱されたコークス粒子の別の部分は、反応装置に戻されて、プロセス熱を提供する。
【0013】
コークス化は、コーカー供給流を、450〜700℃の温度および絶対圧で50〜800kPaの圧力を含むコークス化条件に施す工程を有することが好ましい。
【0014】
本発明の方法において生成されたコーカーナフサは、オレフィンおよびジオレフィンが比較的豊富である。そのオレフィンおよびジオレフィンが、抽出によってコーカーナフサに含まれる他の炭化水素から分離されることが好ましい;例えば、米国特許第7019188号明細書を参照のこと。それに応じて分離されたオレフィンに芳香族化を行ってもよい。
【0015】
「アルカン」という用語は、確立された意味を有するものとしてここに用いられ、それゆえ、一般式C
nH
2n+2を有する、したがって、水素原子および飽和炭素原子から完全になる、非環式の分岐または非分岐炭化水素を記述する;例えば、IUPACのCompendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (1997)を参照のこと。それゆえ、「アルカン」という用語は、非分岐アルカン(「直鎖パラフィン」または「n−パラフィン」または「n−アルカン」)および分岐アルカン(「イソパラフィン」または「イソアルカン」)を記述するが、ナフテン(シクロアルカン)は除外する。
【0016】
「芳香族炭化水素」または「芳香族化合物」という用語は、当該技術分野において非常によく知られている。それゆえ、「芳香族炭化水素」という用語は、仮想局在構造(例えば、ケクレ構造)の安定性よりも著しく大きい安定性(非局在化による)を有する環状共役炭化水素に関する。所定の炭化水素の芳香族性を決定するための最も一般的な方法は、1H NMRスペクトルにおけるジアトロピシティー(diatropicity)、例えば、ベンゼン環の陽子に関する7.2から7.3ppmの範囲の化学シフトの存在の観察である。
【0017】
「ナフテン炭化水素」または「ナフテン」または「シクロアルカン」という用語は、確立された意味を有するものとしてここに用いられ、それゆえ、飽和環状炭化水素を記述する。
【0018】
「オレフィン」という用語は、確立された意味を有するものとしてここに用いられる。それゆえ、オレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素化合物に関する。「オレフィン」という用語が、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン−1、イソブチレン、イソプレンおよびシクロペンタジエンの2つ以上を含む混合物に関することが好ましい。
【0019】
ここに用いた「LPG」という用語は、「液化石油ガス」という用語の確立された頭字語に関する。LPGは、一般に、C2〜C4炭化水素のブレンド、すなわち、エタン、プロパンおよびブタン、並びに供給源に応じて、エチレン、プロピレンおよびブチレンの混合物からなる。
【0020】
ここに用いたように、「#」が正の整数である、「C#炭化水素」という用語は、#個の炭素原子を有する全ての炭化水素を記述することを意味する。さらに、「C#+炭化水素」という用語は、#以上の炭素原子を有する全ての炭化水素分子を記述することを意味する。それゆえ、「C5+炭化水素」という用語は、5以上の炭素原子を有する炭化水素の混合物を記述することを意味する。それゆえ、「C5+アルカン」という用語は、5以上の炭素原子を有するアルカンに関する。
【0021】
軽質蒸留物、中間蒸留物および重質蒸留物という用語は、石油精製プロセスの分野において一般に受け入れられている意味を有するものとしてここに使用される;前出のSpeight, J.G. (2005)を参照のこと。この点に関して、精製ユニットの作動により生成される生成物流に含まれる炭化水素化合物の複雑な混合物および異なる留分を分離するために利用される蒸留プロセスの技術的限界のために、異なる蒸留留分間に重複があるかもしれないことを留意すべきである。「軽質蒸留物」は、沸点範囲が、好ましくは約20〜200℃、より好ましくは約30〜190℃の精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「軽質蒸留物」は、大抵、芳香環が1つの芳香族炭化水素が比較的豊富である。「中間蒸留物」は、沸点範囲が、好ましくは約180〜360℃、より好ましくは約190〜350℃の精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「中間蒸留物」は、芳香環が2つの芳香族炭化水素が比較的豊富である。「重質蒸留物」は、沸点が、好ましくは約340℃超、より好ましくは約350℃超の精製ユニットプロセスにおいて得られる炭化水素蒸留物である。「重質蒸留物」は、芳香環が3つ以上の炭化水素が比較的豊富である。それゆえ、精製または石油化学プロセス由来の蒸留物は、分別、例えば、蒸留または抽出が後に続く、化学転化の結果として得られ、このことは、原油留分とは対照的である。
【0022】
本発明の方法は芳香環開環を含み、芳香環開環は、芳香環開環条件下において、水素の存在下でコーカー軽油を芳香環開環触媒と接触させる工程を有してなる。ここに「芳香環開環条件」とも記載される、芳香環開環に有用な工程条件は、当業者により容易に決定することができる;例えば、米国特許第3256176号、同第4789457号、同第7513988号の各明細書を参照のこと。
【0023】
「芳香環開環」という用語は、一般に受け入れられている意味でここに使用され、それゆえ、BTX(ARO由来ガソリン)および好ましくはLPGが比較的豊富な軽質蒸留物を含む生成物流を生成するために、コーカー軽油などの、縮合芳香環を有する炭化水素が比較的豊富な炭化水素供給物を転化するためのプロセスとして定義されるであろう。そのような芳香環開環プロセス(AROプロセス)が、例えば、米国特許第3256176号および同第4789457号の各明細書に記載されている。そのようなプロセスは、未転化材料から所望の生成物を分離するための1つ以上の分別ユニットと共に、ただ1つの固定床触媒反応装置または直列に配置されたそのような反応装置2つのいずれを備えてもよく、未転化材料をその反応装置の一方または両方に再循環させる能力も含むことがある。反応装置は、200〜600℃、好ましくは300〜400℃の温度、3〜35MPa、好ましくは5〜20MPaの圧力で、5〜20質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に作動することがあり、ここで、この水素は、水素化−脱水素化および環開裂の両方に活性である二重機能触媒の存在下で、炭化水素原料と並流に流れても、炭化水素原料の流動方向と向流に流れてもよく、芳香環の飽和および環開裂が行われてもよい。そのようなプロセスに使用される触媒は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトなどの酸性固体上に担持された金属または金属硫化物形態にある、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含む。この点に関して、ここに用いた「上に担持された」という用語は、1つ以上の元素を触媒担体と併せ持つ触媒を提供するためのどの従来の様式も含むことを留意すべきである。単独または組合せのいずれかで、触媒組成、作動温度、作動空間速度および/または水素分圧を適合させることにより、そのプロセスを、完全な飽和およびその後の全ての環の開裂に向けて、または1つの芳香環を不飽和に維持し、その後、1つの環を除いた全ての環の開裂に向けて、進ませることができる。後者の場合、そのAROプロセスにより、1つの芳香環および/またはナフテン環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物(「AROガソリン」)が生成される。本発明の文脈において、1つの芳香環またはナフテン環をそのままに維持し、それゆえ、1つの芳香環またはナフテン環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物を生成するために最適化された芳香環開環プロセスを利用することが好ましい。さらに別の芳香環開環プロセス(AROプロセス)が、米国特許第7513988号明細書に記載されている。それに応じて、このAROプロセスは、芳香族水素化触媒の存在下で、1〜30質量%、好ましくは5〜30質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に、100〜500℃、好ましくは200〜500℃、より好ましくは300〜500℃の温度、2〜10MPaの圧力での芳香環飽和、および環開裂触媒の存在下で、1〜20質量%の水素(炭化水素原料に対して)と共に、200〜600℃、好ましくは300〜400℃の温度、1〜12MPaの圧力での環開裂を含むことがあり、ここで、芳香環飽和および環開裂は、1つの反応装置または2つの連続した反応装置内で行ってよい。芳香族水素化触媒は、耐火性担体、典型的にアルミナ上のNi、WおよびMoの混合物を含む触媒などの、従来の水素化/水素処理触媒であってよい。環開裂触媒は、遷移金属または金属硫化物成分および担体を含む。その触媒が、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトなどの酸性固体上に担持された金属または金属硫化物形態にある、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含むことが好ましい。この点に関して、ここに用いた「上に担持された」という用語は、1つ以上の元素を触媒担体と併せ持つ触媒を提供するためのどの従来のよい様式も含むことを留意すべきである。単独または組合せのいずれかで、触媒組成、作動温度、作動空間速度および/または水素分圧を適合させることにより、そのプロセスを、完全な飽和およびその後の全ての環の開裂に向けて、または1つの芳香環を不飽和に維持し、その後、1つの環を除いた全ての環の開裂に向けて、進ませることができる。後者の場合、そのAROプロセスにより、1つの芳香環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物(「AROガソリン」)が生成される。本発明の文脈において、1つの芳香環をそのままに維持し、それゆえ、1つの芳香環を有する炭化水素化合物が比較的豊富な軽質蒸留物を生成するために最適化された芳香環開環プロセスを利用することが好ましい。
【0024】
芳香環開環が、芳香環開環条件下において、水素の存在下でコーカー軽油を芳香環開環触媒と接触させる工程を有してなることが好ましく、ここで、芳香環開環触媒は、好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトからなる群より選択される、酸性固体上に担持された金属または金属硫化物形態にある、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含むことが好ましい、遷移金属または金属硫化物成分および担体を含み、芳香環開環条件は、100〜600℃の温度、1〜12MPaの圧力を含む。芳香環開環条件が、5〜30質量%の水素(炭化水素原料に対して)の存在をさらに含むことが好ましい。
【0025】
前記芳香環開環触媒が、耐火性担体、好ましくはアルミナ上のNi、WおよびMoからなる群より選択される元素を1つ以上含む芳香族水素化触媒;および好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカおよびゼオライトからなる群より選択される、酸性固体上に担持された金属または金属硫化物形態にある、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Cu、Co、Ni、Pt、Fe、Zn、Ga、In、Mo、WおよびVからなる群より選択される元素を1つ以上含むことが好ましい、遷移金属または金属硫化物成分および担体を含む環開裂触媒を含むことが好ましく、ここで、芳香族水素化のための条件は、100〜500℃、好ましくは200〜500℃、より好ましくは300〜500℃の温度、2〜10MPaの圧力および1〜30質量%、好ましくは5〜30質量%の水素(炭化水素原料に対する)の存在を含み、環開裂の条件は、200〜600℃、好ましくは300〜400℃の温度、1〜12MPaの圧力および5〜20質量%の水素(炭化水素原料に対して)の存在を含む。
【0026】
本発明の方法は、コーカーナフサなどの、芳香族炭化水素を含む混合炭化水素流からのBTXの回収を含む。混合炭化水素流からBTXを分離するためのどの従来の手段を使用して、BTXを回収してもよい。BTX回収のためのそのような適切な手段の1つに、従来の溶媒抽出がある。コーカーナフサおよび軽質蒸留物は、溶媒抽出の前に、「ガソリン処理」が施されることがある。ここに用いたように、「ガソリン処理」または「ガソリン水素化処理」という用語は、コーカーナフサなどの不飽和の芳香族化合物が豊富な炭化水素流が、その炭化水素流に含まれるオレフィンおよびジオレフィンの炭素−炭素二重結合が水素化されるように選択的に水素化処理されるプロセスに関する;米国特許第3556983号明細書も参照のこと。従来、ガソリン処理ユニットは、ジオレフィンおよびアルケニル化合物を選択的に水素化することにより芳香族化合物が豊富な炭化水素流の安定性を改善し、それゆえ、それを第二段でさらに処理するのに適したものとする第一段プロセスを含むであろう。この第一段水素化反応は、促進剤の有無にかかわらず、固定床反応装置内のアルミナ上に担持されたNiおよび/またはPdを一般に含む水素化触媒を使用して行われる。この第一段水素化は、一般に、200℃以下、好ましくは30〜100℃の工程入口温度を有する液相中で行われる。第二段において、第一段で水素化処理された芳香族化合物が豊富な炭化水素流を、オレフィンを選択的に水素化し、水素化脱硫により硫黄を除去することにより、芳香族化合物の回収に適した原料を調製するためにさらに処理してもよい。第二段の水素化において、促進剤の有無にかかわらずに、固定床反応装置内のアルミナ上に担持された、Ni、Mo、Co、WおよびPtからなる群より選択される元素を含み、硫化物形態にある、水素化触媒が一般に使用される。その工程条件は、一般に、200〜400℃、好ましくは250〜350℃の工程温度、およびゲージ圧で1〜3.5MPa、好ましくは2〜3.5MPaの圧力を含む。次いで、ガソリン処理により生成された芳香族化合物の豊富な生成物に、従来の溶媒抽出を使用したBTX回収を行う。ガソリン処理を行うべき芳香族化合物の豊富な炭化水素混合物に、ジオレフィンおよびアルケニル化合物が少ない場合、その芳香族化合物の豊富な炭化水素流に、第二段の水素化を直接行う、またさらには芳香族化合物抽出を直接行うことができる。ガソリン処理ユニットが、芳香環が1つの芳香族炭化水素が豊富な供給流を精製BTXに転化させるのに適した、下記に記載される水素化分解ユニットであることが好ましい。
【0027】
本発明の方法において生成される生成物は、BTXである。ここに用いた「BTX」という用語は、ベンゼン、トルエンおよびキシレンの混合物に関する。本発明の方法において生成される生成物が、エチルベンゼンなどの有用な芳香族炭化水素をさらに含むことが好ましい。したがって、本発明が、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンの混合物(「BTXE」)を製造する方法を提供することが好ましい。生成される生成物は、異なる芳香族炭化水素の物理的混合物であっても、異なる精製された生成物流を提供するために、例えば、蒸留により、さらなる分離を直接行ってもよい。そのような精製された生成物流は、ベンゼン生成物流、トルエン生成物流、キシレン生成物流および/またはエチルベンゼン生成物流を含むことがある。
【0028】
前記芳香環開環により軽質蒸留物が生成されることが好ましく、ここで、その軽質蒸留物からBTXが回収される。芳香環開環により生成されるBTXが軽質蒸留物に含まれることが好ましい。この実施の形態において、軽質蒸留物に含まれるBTXは、BTX回収によりその軽質蒸留物に含まれる他の炭化水素から分離される。
【0029】
BTXが、コーカーナフサおよび/または軽質蒸留物に水素化分解を行うことによって、コーカーナフサおよび/または軽質蒸留物から回収されることが好ましい。BTX回収に水素化分解を選択することにより、BTX以外の単環芳香族炭化水素は水素化分解によりBTXに転化できるので、本発明の方法のBTX収率を改善することができる。
【0030】
コーカーナフサは、水素化分解を行う前に水素化処理して、全てのオレフィンおよびジオレフィンを飽和させることが好ましい。コーカーナフサ中のオレフィンおよびジオレフィンを除去することにより、水素化分解中の発熱をよりうまく制御し、それゆえ、運転性能を改善することができる。米国特許第7019188号明細書および国際公開第01/59033A1号に記載されているような従来の方法を使用して、オレフィンおよびジオレフィンをコーカーナフサから分離することがより好ましい。コーカーナフサから分離されたオレフィンおよびジオレフィンに芳香族化を行い、それにより、本発明の方法のBTX収率を改善することが好ましい。
【0031】
本発明の方法は水素化分解を含むことがあり、この水素化分解は、水素化分解条件下において、水素の存在下で、コーカーナフサおよび好ましくは軽質蒸留物を水素化分解触媒と接触させる工程を有してなる。ここに「水素化分解条件」とも記載される、水素化分解に有用な工程条件は、当業者により容易に決定することができる;前出のAlfke et al. (2007)を参照のこと。コーカーナフサに、水素化分解を行う前に、上述したガソリン水素化処理を行うことが好ましい。水素化分解された生成物流に含まれるC9+炭化水素を、水素化分解装置、または好ましくは芳香環開環いずれかに再循環させることが好ましい。
【0032】
「水素化分解」という用語は、一般に受け入れられている意味でここに使用され、それゆえ、上昇した水素分圧の存在により支援される接触分解プロセスとして定義されることがある;前出のAlfke et al. (2007)を参照のこと。このプロセスの生成物は、飽和炭化水素と、温度、圧力並びに空間速度および触媒活性などの反応条件に応じて、BTXを含む芳香族炭化水素とである。水素化分解に使用される工程条件は、一般に、200〜600℃の工程温度、0.2〜20MPaの上昇した圧力、0.1〜20h
-1の間の空間速度を含む。水素化分解反応は、酸機能(分解および異性化を与え、供給物に含まれる炭化水素化合物が有する炭素−炭素結合の破断および/または転位を与える)および水素化機能を必要とする二機能機構により進行する。水素化分解プロセスに使用される多くの触媒は、様々な遷移金属または金属硫化物を、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、マグネシアおよびゼオライトなどの固体担体と組み合わせることによって形成される。
【0033】
コーカーナフサおよび/または軽質蒸留物にガソリン水素化分解を行うことにより、コーカーナフサおよび/または軽質蒸留物からBTXを回収することが好ましい。ここに用いたように、「ガソリン水素化分解」または「GHC」という用語は、コーカーナフサなどの芳香族炭化水素化合物が比較的豊富な複雑な炭化水素供給物をLPGおよびBTXに転化させるのに特に適した水素化分解プロセスを指し、ここで、このプロセスは、GHC供給流に含まれる芳香族化合物の1つの芳香環をそのままに維持するが、その芳香環から側鎖のほとんどを除去するように最適化されている。したがって、ガソリン水素化分解により生成される主生成物はBTXであり、そのプロセスは、化学用BTXを提供するために最適化できる。ガソリン水素化分解が行われる炭化水素供給物が、軽質蒸留物をさらに含むことが好ましい。ガソリン水素化分解が行われる炭化水素供給物が、芳香環が2つ以上の炭化水素を、1質量%を超えて含まないことがより好ましい。ガソリン水素化分解条件が、好ましくは300〜580℃、より好ましくは400〜580℃、さらにより好ましくは430〜530℃の温度を含む。特別に適合した水素化分解触媒が利用されない限り、より低い温度は、芳香環の水素化が優勢になるので、避けなければならない。例えば、触媒が、スズ、鉛またはビスマスなどの、触媒の水素化活性を低下させるさらに別の元素を含む場合、ガソリン水素化分解に、より低い温度を選択してもよい;例えば、国際公開第02/44306A1号および同第2007/055488号を参照のこと。反応温度が高すぎる場合、LPG(特にプロパンおよびブタン)の収率が低下し、メタンの収率が上昇する。触媒活性は、触媒の寿命に亘り低下するであろうから、水素化分解の転化率を維持するために、触媒の寿命に亘り反応装置の温度を徐々に上昇させることが都合よい。このことは、運転周期の開始時での最適温度が、水素化分解温度範囲の下端であることが好ましいことを意味する。最適な反応装置の温度は、周期の終わりに(触媒を交換または再生する少し前)、好ましくは温度が水素化分解温度範囲の上端に選択されるように、触媒が失活するにつれて上昇する。
【0034】
炭化水素供給流のガソリン水素化分解が、好ましくはゲージ圧で0.3〜5MPaの圧力で、より好ましくはゲージ圧で0.6〜3MPaの圧力で、特に好ましくはゲージ圧で1〜2MPaの圧力で、最も好ましくはゲージ圧で1.2〜1.6MPaの圧力で行われる。反応装置の圧力を増加させることにより、C5+非芳香族化合物の転化を増加させることができるが、これにより、メタンの収率および芳香環のシクロヘキサン種(LPG種に分解できる)への水素化も増加する。これにより、圧力が増加するにつれて、芳香族化合物の収率が減少し、いくらかのシクロヘキサンおよびその異性体のメチルシクロペンタンは完全には水素化分解されないので、1.2〜1.6MPaの圧力で、結果として得られるベンゼンの純度が最適になる。
【0035】
炭化水素供給流のガソリン水素化分解が、好ましくは0.1〜20h
-1の重量空間速度(WHSV)で、より好ましくは0.2〜15h
-1の重量空間速度で、最も好ましくは0.4〜10h
-1の重量空間速度で行われる。空間速度が高すぎると、BTXの共沸パラフィン成分の全てが水素化分解されるわけではなくなり、それゆえ、反応装置の生成物の単純な蒸留によって、BTX仕様を達成することが不可能になる。低すぎる空間速度では、プロパンおよびブタンを犠牲にして、メタンの収率が上昇する。最適な重量空間速度を選択することにより、意外なことに、液体を再循環する必要なく、仕様を満たすBTXを生成するために、ベンゼン共沸物の十分に完全な反応が行われることが分かった。
【0036】
水素化分解が、水素化分解条件下において、水素の存在下でコーカーナフサおよび好ましくは軽質蒸留物を水素化分解触媒と接触させる工程を含むことが好ましく、ここで、水素化分解触媒は、全触媒質量に対して0.1〜1質量%の水素化金属並びに5〜8Åの細孔径および5〜200のシリカ(SiO
2)対アルミナ(Al
2O
3)モル比を有するゼオライトを含み、水素化分解条件が、400〜580℃の温度、ゲージ圧で300〜5000kPaの圧力および0.1〜20h
-1の重量空間速度(WHSV)を含む。水素化金属が、元素の周期表の10族から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましく、Ptが最も好ましい。ゼオライトがMFIであることが好ましい。420〜550℃の温度、ゲージ圧で600〜3000kPaの圧力および0.2〜15h
-1の重量空間速度を使用することが好ましく、430〜530℃の温度、ゲージ圧で1000〜2000kPaの圧力および0.4〜10h
-1の重量空間速度を使用することがより好ましい。
【0037】
先に記載されたこの特別な水素化分解触媒を選択する利点の1つは、水素化分解への供給物の脱硫が必要ないことである。
【0038】
したがって、好ましいガソリン水素化分解条件は、このように、400〜580℃の温度、ゲージ圧で0.3〜5MPaの圧力および0.1〜20h
-1の重量空間速度を含む。より好ましいガソリン水素化分解条件は、420〜550℃の温度、ゲージ圧で0.6〜3MPaの圧力および0.2〜15h
-1の重量空間速度を含む。特に好ましいガソリン水素化分解条件は、430〜530℃の温度、ゲージ圧で1〜2MPaの圧力および0.4〜10h
-1の重量空間速度を含む。
【0039】
芳香環開環および好ましくは水素化分解により、さらにLPGを生成し、このLPGを芳香族化して、BTXを生成することが好ましい。
【0040】
本発明の方法は芳香族化を含むことがあり、この芳香族化は、芳香族化条件下で、LPGを芳香族化触媒と接触させる工程を有してなる。ここに「芳香族化条件」とも記載される、芳香族化に有用な工程条件は、当業者により容易に決定することができる;Encyclopaedia of Hydrocarbons (2006) Vol II, Chapter 10.6, 591-61頁を参照のこと。
【0041】
水素化分解により生成されたLPGのいくらかまたは全てに芳香族化を行うことにより、統合プロセスの芳香族化合物の収率を改善することができる。それに加え、その芳香族化により水素が生成され、水素は、芳香環開環および/または芳香族化合物の回収などの、水素を消費するプロセスのための供給物として使用できる。
【0042】
「芳香族化」という用語は、一般に受け入れられている意味でここに使用され、それゆえ、脂肪族炭化水素を芳香族炭化水素に転化するためのプロセスとして定義されるであろう。原料としてC3〜C8脂肪族炭化水素を使用する芳香族化技術が、従来技術に数多く記載されている;例えば、米国特許第4056575号、同第4157356号、同第4180689号の各明細書;Micropor. Mesopor. Mater 21, 439;国際公開第2004/013095A2号および同第2005/08515A1号を参照のこと。したがって、芳香族化触媒は、好ましくはZSM−5およびゼオライトLからなる群より選択される、ゼオライトを含むことがあり、さらに、Ga、Zn、GeおよびPgからなる群より選択される元素を1つ以上含むことがある。供給物が主にC3〜C5脂肪族炭化水素を含む場合、酸性ゼオライトが好ましい。ここに用いたように、「酸性ゼオライト」という用語は、標準的にプロトン形態にあるゼオライトに関する。供給物が主にC6〜C8炭化水素を含む場合、非酸性ゼオライトが好ましい。ここに用いたように、「非酸性ゼオライト」という用語は、酸性度を低下させるために、好ましくは、セシウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、バリウム、カルシウム、マグネシウムおよびその混合物などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属と塩基交換されているゼオライトに関する。塩基交換は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が反応混合物の一成分として添加されるゼオライトの合成中に行われても、貴金属の堆積の前または後に、結晶性ゼオライトについて行われてもよい。ゼオライトは、アルミニウムに会合する陽イオンのほとんどまたは全てがアルカリ金属またはアルカリ土類金属である程度まで塩基交換される。塩基交換後のゼオライトにおける一価塩基:アルミニウムのモル比の一例は、少なくとも約0.9である。前記触媒が、HZSM−5(ここで、HZSM−5は、プロトン形態にあるZSM−5を記述する)、Ga/HZSM−5、Zn/HZSM−5、およびPt/GeHZSM−5からなる群より選択されることが好ましい。芳香族化条件は、400〜600℃、好ましくは450〜550℃、より好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜500kPaの圧力、および0.1〜20h
-1、好ましくは0.4〜4h
-1の重量空間速度(WHSV)を含むことがある。
【0043】
前記芳香族化が、芳香族化条件下でLPGを芳香族化触媒と接触させる工程を有してなることが好ましく、ここで、芳香族化触媒は、ZSM−5およびゼオライトLからなる群より選択されるゼオライトを含み、必要に応じて、Ga、Zn、GeおよびPtからなる群より選択される元素を1つ以上さらに含み、芳香族化条件は、400〜600℃、好ましくは450〜550℃、より好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜500kPaの圧力、および0.1〜20h
-1、好ましくは0.4〜4h
-1の重量空間速度を含む。
【0044】
前記コークス化によりLPGがさらに生成され、コークス化により生成されるLPGに芳香族化を行って、BTXを生成することが好ましい。
【0045】
本発明の方法において生成される(例えば、芳香環開環、水素化分解およびコークス化からなる群より選択される1つ以上の工程により生成される)LPGの一部だけに芳香族化を行って、BTXを生成することが好ましい。芳香族化が行われないLPGの部分に、例えば、熱分解または好ましくは脱水素化を行うことにより、オレフィン合成を行ってもよい。
【0046】
水素化分解および芳香環開環により生成されるLPGに、パラフィン系炭化水素の芳香族化に関して最適化された第1の芳香族化を行うことが好ましい。この第1の芳香族化が、450〜550℃、好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜500kPaの圧力、および0.1〜7h
-1、好ましくは0.4〜2h
-1の重量空間速度(WHSV)を含む芳香族化条件を含むことが好ましい。コークス化により生成されたLPGに、オレフィン系炭化水素の芳香族化に関して最適化された第2の芳香族化を行うことが好ましい。この第2の芳香族化が、400〜600℃、好ましくは450〜550℃、より好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜700kPaの圧力、および1〜20h
-1、好ましくは2〜4h
-1の重量空間速度(WHSV)を含む芳香族化条件を含むことが好ましい。
【0047】
オレフィン系供給物から製造された芳香族炭化水素生成物が、パラフィン系供給物から生じる液体生成物よりも、ベンゼンを少なく、キシレンおよびC9+芳香族化合物を多く含むであろうということが分かった。工程圧力を増加させた場合、同様の作用が観察されるであろう。パラフィン系炭化水素供給物を使用した芳香族化プロセスと比べた場合、より高圧での作動に、オレフィン系芳香族化供給物が適しており、これにより、転化率がより高まることが分かった。パラフィン系供給物および低圧プロセスに関して、芳香族化合物の選択性に対する圧力の有害な作用は、オレフィン系芳香族化供給物に関して改善された芳香族化合物の選択性により相殺されるであろう。
【0048】
芳香族化を行う前に、コークス化により生成されたLPGからプロピレンおよび/またはブチレンを分離することが好ましい。
【0049】
混合C2〜C4炭化水素流からプロピレンおよび/またはブチレンを分離するための手段および方法が、当該技術分野において周知であり、蒸留および/または抽出を含むことがある;Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6巻、“Butadiene”の章, 388-390頁および第13巻、“Ethylene”の章、512頁を参照のこと。
【0050】
本発明の方法において生成されたLPGに芳香族化を行う前に、そのLPGからC2炭化水素のいくらかまたは全てを分離することが好ましい。
【0051】
水素化分解および芳香環開環により生成されるLPGに、パラフィン系炭化水素の芳香族化に関して最適化された第1の芳香族化を行うことが好ましい。この第1の芳香族化が、450〜550℃、好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜500kPaの圧力、および0.5〜7h
-1、好ましくは1〜5h
-1の重量空間速度(WHSV)を含む芳香族化条件を含むことが好ましい。コークス化により生成されるLPGに、パラフィン系炭化水素の芳香族化に関して最適化された第2の芳香族化を行うことが好ましい。この第2の芳香族化が、400〜600℃、好ましくは450〜550℃、より好ましくは480〜520℃の温度、ゲージ圧で100〜1000kPa、好ましくはゲージ圧で200〜700kPaの圧力、および1〜20h
-1、好ましくは2〜4h
-1の重量空間速度(WHSV)を含む芳香族化条件を含むことが好ましい。
【0052】
オレフィン系供給物から製造された芳香族炭化水素生成物が、パラフィン系供給物から得られる液体生成物よりも、ベンゼンを少なく、キシレンおよびC9+芳香族化合物を多く含むであろうということが分かった。工程圧力を増加させた場合、同様の作用が観察されるであろう。パラフィン系炭化水素供給物を使用した芳香族化プロセスと比べた場合、より高圧での作動に、オレフィン系芳香族化供給物が適しており、これにより、転化率がより高まることが分かった。パラフィン系供給物および低圧プロセスに関して、芳香族化合物の選択性に対する圧力の有害な作用は、オレフィン系芳香族化供給物に関して改善された芳香族化合物の選択性により相殺されるであろう。
【0053】
コークス化、水素化分解および芳香環開環、並びに必要に応じて芳香族化からなる群より選択される1つ以上の工程により、さらにメタンを生成し、そのメタンを、プロセス熱を与えるための燃料ガスとして使用することが好ましい。その燃料ガスを使用して、水素化分解、芳香環開環および/または芳香族化にプロセス熱を与えることが好ましいであろう。コークス化のためのプロセス熱が、コークス化により生成される石油コークスにより与えられることが好ましい。
【0054】
芳香族化により、さらに水素を生成し、その水素を、水素化分解および/または芳香環開環に使用することが好ましい。