特許第6620145号(P6620145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6620145超高分子量ポリエチレンを製造するための連続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620145
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】超高分子量ポリエチレンを製造するための連続方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/658 20060101AFI20191202BHJP
   C08F 10/02 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C08F4/658
   C08F10/02
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-515762(P2017-515762)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2017-529443(P2017-529443A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2015070135
(87)【国際公開番号】WO2016045929
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年7月4日
(31)【優先権主張番号】14185914.0
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フリードリックス,ニコラース ヘンドリカ
(72)【発明者】
【氏名】フラール,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ショッフェレン,トム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ケッセル,マタイス
【審査官】 山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/087185(WO,A1)
【文献】 特表2011−528384(JP,A)
【文献】 特開2012−025817(JP,A)
【文献】 特表2013−501115(JP,A)
【文献】 特開2014−133873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60 − 4/70
6/00 − 246/00
301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DIN 53493にしたがって測定して、少なくとも0.43N/mm2の伸張応力を有する超高分子量ポリエチレンを製造するための連続方法において、エチレンの重合が、水素と、チーグラー・ナッタ触媒系との存在下で行われ、該触媒系が、
I.(a)炭化水素溶液であって、
(1)有機酸素含有マグネシウム化合物、および
(2)有機酸素含有チタン化合物、
を含む炭化水素溶液と、
(b)式MeRn3-nを有する金属化合物(式中、Xはハロゲンであり、Meは、メンデレーエフの化学元素の周期表のIII族の金属であり、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)および式RmSiCl4-mのケイ素化合物(式中、0≦m≦2、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)を含む混合物と、
の(a)からのチタンに対する(b)からの金属のモル比が1未満である反応によって得られる固体反応生成物、
II.式AlR3を有する有機アルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)、および
III.1,2−ジアルコキシ炭化水素化合物の群より選択される電子供与体、
を含み、
前記重合はスラリー法によって行われ、そのスラリー重合の液相中の水素対エチレン比が少なくとも0.1ミリモル水素/モルエチレンである、方法。
【請求項2】
前記触媒系は、
I.(a)炭化水素溶液であって、
(1)有機酸素含有マグネシウム化合物、および
(2)有機酸素含有チタン化合物、
を含む炭化水素溶液と、
(b)式MeRn3-nを有する金属化合物(式中、Xはハロゲンであり、Meは、メンデレーエフの化学元素の周期表のIII族の金属であり、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)および式RmSiCl4-mのケイ素化合物(式中、0≦m≦2、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)を含む混合物と、
の(a)からのチタンに対する(b)からの金属のモル比が1未満である反応によって得られる固体反応生成物であり、
(c)前記得られた固体反応生成物の、式AlRnCl3-nを有するアルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)による後処理により得られる反応生成物を、
II.式AlR3を有する有機アルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)、および
III.1,2−ジアルコキシ炭化水素化合物の群より選択される電子供与体、
と組み合わせて含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電子供与体が、式(I):
【化1】
により表される1,2−ジアルコキシ炭化水素化合物であり、
式中、C1−C2は、sp3および/またはsp2混成形態にある2つの炭素原子からなる接続基であり、
置換基RおよびR’は、1〜10の炭素原子を有する炭化水素基であり、同じであっても異なってもよく、および任意選択で、O、N、またはSiを含有する他の基で置換されていてもよい、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記電子供与体が、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、2,3−ジメトキシトルエン、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシシクロヘキサン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシブタンおよび/または2,3−ジメトキシブタンの群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記電子供与体が1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼンまたは1,2−ジメトキシベンゼンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記重合の温度が20℃から100℃に及ぶ、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高分子量ポリエチレンを製造するための連続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒を使用したポリエチレンの生産が当該技術分野において知られている。非常に特殊な部類のポリエチレンは、約1000000グラム/モルから6000000グラム/モルを優に上回る非常に高い平均分子量を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であるのに対し、高密度ポリエチレン(HDPE)は一般に約50000g/モルと300000g/モルの間のモル質量を有する。したがって、これらの線状ポリマーは、線状高密度ポリエチレンのものよりずっと高い平均分子量を有する。UHMWPEを得るためのポリマー合成が、非特許文献1に開示されている。分子量がより高いことにより、UHMWPEに特有な特徴の組合せが与えられ、そのポリマーが、低分子量のグレードではうまくいかない用途に適したものとなる。このポリエチレンの非常に高い分子量のために、優れた性質、例えば、非常に高い耐摩耗性、非常に高い耐衝撃性、非常に高い溶融粘度および低い動的摩擦係数がもたらされる。高分子量および高い溶融粘度のために、圧縮成形およびラム押出しのような特殊な加工方法が適用される。UHMWPEは、高分子量のために、溶融されたときに流動性が悪く、このポリマーをペレット形態に成形することは難しく、その製品は粉末形態で供給されなければならず、より重要なことには、粉末から加工しなければならない。その結果、主に粉末の性質により、製造プロセス並びに転化プロセスが決まる。例えば、この粉末は、貯蔵され、輸送されなければならず、その結果、UHMWPE粉末の嵩密度は非常に重要である。嵩密度が高いほど、輸送時の目詰まりが減少するであろうし、単位体積当たりの貯蔵可能な量を増加させることができる。嵩密度を増加させることによって、重合器内に存在する単位体積当たりのUHMWPEの質量を増加させることができ、重合器内の超高分子量ポリエチレン粉末の濃度を高めることができる。同様に、UHMWPEの加工中にも高い嵩密度が要求される。上述したように、典型的な加工手法は、ラム押出しと圧縮成形である。これら両方の方法は、原則として、粉末粒子の焼結を含む。例えば、非特許文献2を参照のこと。この焼結を有効にするために、結果として高い嵩密度になる緻密なポリマー粉末充填が達成されることが非常に重要である。UHMWPEの嵩密度は、300kg/m3を超えるべきである。また、UHMWPE粉末の平均粒径も重要な特徴である。平均粒径(D50)は、好ましくは250マイクロメートルより小さく、より好ましくは200マイクロメートルより小さい。その上、(D90−D10)/D50として定義される「スパン(span)」として一般に知られている粒径分布は、低い、好ましくは2未満であるべきである。
【0003】
ポリマー粉末粒子の形状が、触媒粒子の形状から移されることがよく知られており、これは複製現象としても知られている。一般に、この複製が生じる場合、ポリマーの平均粒径は、触媒収率、すなわち、触媒1グラム当たりに生成されるポリマーのグラム数の立方根に比例する。例えば、非特許文献3を参照のこと。この比例のために、触媒の収率を減少させることによって、小さいポリマー粒子を生成することができるが、これにより、ポリマー中に触媒残留物が多くなり、ポリマーを製造するのに要する触媒費用が高くなってしまう。250μm未満、好ましくは200μm未満のポリマー粒径と組み合わせて、高い触媒活性が必要とされるので、このために、触媒に厳しい要件が課される。
【0004】
超高分子量ではない高分子については、サイズ排除クロマトグラフィーのようなクロマトグラフ法などの技術を使用して、重量平均分子量および数平均分子量を決定することができる。しかしながら、UHMWPEの場合、このクロマトグラフ法は、非常に高い分子量のために使用できない。代わりに、超高分子量は、一般に、粘度数が、分子量に関連する、すなわち、数平均分子量にも重量平均分子量にも関連しない、粘度測定法を使用して決定される。あるいは、例えば、いわゆる伸張応力測定(「流れ値("Fliesswert"または"Flow value")」と称されることもある)のような溶融粘度測定を適用しても差し支えない。このいわゆる伸張応力は、DIN 53493にしたがって決定することができる。伸張応力と分子量との間の相関関係が、非特許文献4に与えられている。市販のUHMWPEグレードの伸張応力の典型的な値は、0.1N/mm2と0.7N/mm2の間の範囲にある。UHMWPEを製造する方法はいくつかの要件を満たさなければならず、その方法は、反応器内で凝集および堆積をできるだけすくなくすべきでもある。
【0005】
UHMWPEを製造する方法には、欠点として、シーティングまたはラム形成と称されることもある、反応器のファウリングの存在がある。したがって、反応器のファウリングを減少させるために、実質的に帯電防止剤である、いわゆる防汚剤、例えば、スルホン酸エステルのC12〜C22脂肪酸石鹸またはポリエチレングリコール脂肪酸エステルが使用される。しかしながら、例えば、特許文献1に記載されているように、特にUHMWPE製造方法において、ファウリングを防ぐ必要が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1713833号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Macromolecular Science Part C Polymer Reviews, Vol. C42, No 3, pp 355-371, 2002
【非特許文献2】H.L. Stein in Engineered Materials Handbook, Volume 2: Engineering Plastics, ASM International 1999 page 167-171
【非特許文献3】Dall’Occo et al, in “Transition Metals and Organometallics as Catalysts for Olefin Polymerization” (Kaminsky, W.; Sinn, H., Eds.) Springer, 1988, page 209-222
【非特許文献4】Berzen et al in the British polymer Journal, volume 10, December 1978, pp 281-287
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、UHMWPEの製造における反応器のファウリングを減少させ、要求される性質を有するUHMWPEを得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エチレンの重合が、水素と、チーグラー・ナッタ触媒系であって、
I.(a)炭化水素溶液であって、
(1)有機酸素含有マグネシウム化合物、および
(2)有機酸素含有チタン化合物、
を含む炭化水素溶液と、
(b)式MeRn3-nを有する金属化合物(式中、Xはハロゲンであり、Meは、メンデレーエフの化学元素の周期表のIII族の金属であり、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)および式RmSiCl4-mのケイ素化合物(式中、0≦m≦2、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)を含む混合物と、
の反応であって、(a)からのチタンに対する(b)からの金属のモル比が1未満である反応によって得られる固体反応生成物、
II.式AlR3を有する有機アルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)、および
III.1,2−ジアルコキシ炭化水素化合物の群より選択される電子供与体、
を含むチーグラー・ナッタ触媒系との存在下で行われ、
その重合はスラリー法によって行われ、そのスラリー重合の液相中の水素対エチレン比は、少なくとも0.1ミリモル水素/モルエチレンであるという点で特徴付けられる。
【0010】
本発明による方法によって、反応器の著しいファウリングがなく、伸張応力が少なくとも0.43N/mm2である超高分子量ポリエチレンが得られる(伸張応力は、DIN 53493にしたがって決定される)。
【0011】
その重合反応は、気相中または有機溶媒の不在下でバルクで行われてもよいが、好ましい重合は有機希釈剤の存在下で液体スラリー中において行われる。
【0012】
液相中の水素対エチレン比が少なくとも0.2ミリモル水素/モルエチレンであることがより好ましい。
【0013】
液相中の水素対エチレン比は、2.0ミリモル水素/モルエチレン未満である。
【0014】
完全に液体が充填された反応器内のスラリー重合の場合、当業者は、液相の上述した組成物をヘッドスペース内の対応する対価に変換することができる。
【0015】
UHMWPEの液体スラリー製造の際中に液相中に少なくとも0.1ミリモル水素/モルエチレンの水素の量を使用すると、反応器のファウリングが実質的になくなることが、本発明による連続方法の利点である。
【0016】
電子供与体の存在により、伸張応力値が著しく上昇する。伸張応力値を低下させることは、例えば、重合温度を上昇させることによって行うことができる。この場合、冷却がそれほど要求されないので、これは経済的な観点から好ましいであろう。
【0017】
前記供与体は、内部電子供与体(これは、その供与体が固体触媒中の成分として存在することを意味する)として、または外部電子供与体(これは、その供与体が、重合中に別個の成分として添加されることを意味する)として使用されてもよい。
【0018】
電子供与体化合物が、外部電子供与体化合物として添加されることが好ましい。
【0019】
重合が液体スラリー中で行われる場合、これは、完全に液体が充填された反応器または気液反応器内で行うことができる。重合が、気液反応器を使用して液体スラリー中で行われる場合、ヘッドスペースと称されることもある。その液相の上の気体の組成物は、単量体および/または水素の量をモニタし、制御するために、確立された技術、例えば、オンラインガスクロマトグラフィーを使用して、測定することができる。
【0020】
特定の触媒、特定量の水素および特定の供与体の組合せにより、本発明に記載されるような改善がもたらされる。
【0021】
さらに、本発明による方法によって、重合反応器の実行時間がより長くなり、反応器のファウリングを除去するための洗浄サイクルが少なくなり、他の防汚剤または帯電防止剤の必要性が少なくなる。
【0022】
重合温度は、20℃から100℃に及んでよく、50℃から90℃に及ぶことが好ましい。
【0023】
水素は、重合中にいくつかの段階で加えることができる。例えば、バッチ工程において、水素は、重合が開始する前または重合中に加えてよい。連続工程において、水素は、例えば、単量体流および/または希釈剤流と一緒に加えてよい。
【0024】
炭化水素溶液I(a)(1)は、有機酸素含有マグネシウム化合物を含む炭化水素溶液である。適切な有機酸素含有マグネシウム化合物の例としては、マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートおよびマグネシウムイソプロピラートなどのアルコキシド、並びにマグネシウムエチルエチラートなどのアルキルアルコキシドが挙げられる。
【0025】
一般に、有機酸素含有マグネシウム化合物はマグネシウムアルコキシドである。
【0026】
マグネシウムアルコキシドはマグネシウムエトキシドであってよい。
【0027】
炭化水素溶液I(a)(2)は、有機酸素含有チタン化合物を含む炭化水素溶液である。適切な有機酸素含有チタン化合物は、一般式[TiOx(OR)4-2xnにより表してよく、式中、Rは有機ラジカルを表し、xは0と1の間に及び、nは1と6の間である。
【0028】
有機酸素含有チタン化合物の適切な例としては、アルコキシド、フェノキシド、オキシアルコキシド、縮合アルコキシド、カルボキシレートおよびエノラートが挙げられる。
【0029】
一般に、有機酸素含有チタン化合物はチタンアルコキシドである。
【0030】
適切なアルコキシドの例としては、Ti(OC254、Ti(OC374、Ti(OC494、およびTi(OC8174が挙げられる。
【0031】
チタンアルコキシドはTi(OC494であってよい。
【0032】
混合物I(b)の成分は、別々にまたは連続して使用されずに、炭化水素溶液I(a)との反応において混合物として使用される。
【0033】
I(b)におけるメンデレーエフの化学元素の周期表のIII族の金属であって、式MeRn3-nを有する金属化合物中の好ましい金属は、アルミニウムおよびホウ素である。ハロゲンXがClであることが好ましい。
【0034】
式MeRn3-nを有するI(b)からの金属化合物が、式AlRn3-nを有するアルミニウム化合物であることがより好ましく、式中、Xはハロゲンであり、Rは、1〜10の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3である。
【0035】
一般に、式MeRn3-nを有するI(b)からの金属化合物は、式AlRnCl3-nを有するアルミニウム化合物である。
【0036】
一般に、I(a)からのチタンに対するI(b)からのアルミニウムのモル比は1未満である。
【0037】
好ましい電子供与体(III)は、式(I):
【0038】
【化1】
【0039】
により表されるジアルコキシ炭化水素化合物であり、式中、C1−C2は、sp3および/またはsp2混成形態にある2つの炭素原子からなる接続基であり、置換基RおよびR’は、1〜10の炭素原子を有する炭化水素基であり、同じであっても異なってもよく、必要に応じて、O、N、またはSiを含有する他の基で置換されていてもよい。
【0040】
炭化水素基の例としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基およびアラルキル基が挙げられる。
【0041】
sp3および/またはsp2混成の意味は、当業者に公知であり、例えば、Henry Bent in Chem.Review, 1961 (3) pages 275-311に記載されている。
【0042】
前記電子供与体は、1,2−ジアルコキシアルカン、1,2−ジアルコキシアルケンおよびアルコキシベンゼンの群から選択してよい。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態によれば、その供与体は、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、2,3−ジメトキシトルエン、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシシクロヘキサン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシブタン、および/または2,3−ジメトキシブタンを含む群から選択される。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、前記電子供与体は、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼンおよび1,2−ジメトキシベンゼンの群から選択される。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、後処理が行われる。前記固体反応生成物をアルミニウムアルキル化合物で後処理すると、触媒生産性がさらに増す。
【0046】
このさらに好ましい実施の形態によれば、前記触媒系は:
I.(a)炭化水素溶液であって、
(1)有機酸素含有マグネシウム化合物、および
(2)有機酸素含有チタン化合物、
を含む炭化水素溶液と、
(b)式MeRn3-nを有する金属化合物(式中、Xはハロゲンであり、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)および式RmSiCl4-mのケイ素化合物(式中、0≦m≦2、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)を含む混合物と、
の反応であって、(a)からのチタンに対する(b)からの金属のモル比が1未満である反応によって得られる固体反応生成物であり、
(c)得られた固体反応生成物の、式AlRnCl3-nを有するアルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルであり、0≦n≦3)による後処理により得られる反応生成物、および(I)からの反応生成物を
II.式AlR3を有する有機アルミニウム化合物(式中、Rは、1〜10の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである)、および
III.1,2−ジアルコキシ炭化水素化合物の群より選択される電子供与体、
と組み合わせて含む。
【0047】
式AlRn3-nを有するI(c)からのアルミニウム化合物の適切な例としては、三塩化アルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二塩化プロピルアルミニウム、二塩化n−ブチルアルミニウム、二塩化イソブチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリ−n−ヘキシルアルミニウムが挙げられる。
【0048】
一般に、式AlRn3-nを有する金属化合物は、二塩化エチルアルミニウムなどの、式AlRnCl3-nを有する有機アルミニウムハロゲン化物である。
【0049】
IIからの式AlR3の有機アルミニウム化合物の適切な例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムおよびトリオクチルアルミニウムが挙げられる。
【0050】
有機酸素含有マグネシウム化合物および有機酸素含有チタン化合物の炭化水素溶液は、例えば、米国特許第4178300号および欧州特許出願公開第876318号の各明細書に開示されたような手法にしたがって調製することができる。それらの溶液は一般に透明な液体である。任意の固体粒子が含まれている場合、これらの粒子は、触媒合成における溶液に使用する前に、濾過によって除去することができる。
【0051】
I(b)中のアルミニウムの量は少ないべきであり、典型的に、(a)からのチタンに対する(b)からのアルミニウムのモル比は1未満である。
【0052】
一般に、I(a)からのチタンに対するI(b)からのアルミニウムのモル比は1未満である。
【0053】
一般に、炭化水素溶液I(a)中に存在する酸素に対するRmSiCl4-mからの塩素のモル比は、3未満である。
【0054】
一般に、チタンに対するマグネシウムのモル比は、3未満であり、例えば、0.2と3の間に及ぶ。
【0055】
一般に、Tiに対するI(b+c)中のアルミニウム化合物からのAlのモル比は、0.05と1の間に及ぶ。
【0056】
一般に、Tiに対するI(b+c)中のアルミニウム化合物からのAlのモル比は、0.05と0.8の間に及ぶ。
【0057】
一般に、触媒の平均粒径は、1μmと30μmの間に及ぶ。この平均粒径が2μmと10μmの間に及ぶことが好ましい。
【0058】
一般に、粒径分布のスパンは、3未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.5未満である。
【0059】
有機酸素含有マグネシウム化合物と有機酸素含有チタン化合物との間の第1の反応が行われ、その後、炭化水素溶媒により希釈されて、マグネシウムアルコキシドとチタンアルコキシドからなる可溶性錯体が得られ、その後、その錯体の炭化水素溶液と、式MeRn3-nを有する金属化合物および式RmSiCl4-mのケイ素化合物を含む混合物との間の反応によって、触媒が得られるであろう。
【0060】
この触媒は、マグネシウムアルコキシドとチタンアルコキシドとの間の第1の反応と、その後の炭化水素溶媒による希釈で、マグネシウムアルコキシドおよびチタンアルコキシドからなる可溶性錯体を生じることにより得てもよい。その後、その錯体の炭化水素溶液と、式AlRn3-nを有するアルミニウム化合物および式RmSiCl4-mのケイ素化合物を含む混合物との間で、第2の反応が行われる。
【0061】
式AlRn3-nを有するアルミニウム化合物および式RmSiCl4-mのケイ素化合物を含む混合物は、炭化水素中の溶液として使用してもよい。
【0062】
先に記載されたようなアルミニウム化合物の存在下でのその後の後処理工程が可能である。
【0063】
添加順序は、有機酸素含有マグネシウム化合物および有機酸素含有チタン化合物を含有する炭化水素溶液を、式AlRn3-nを有するアルミニウム化合物および式RmSiCl4-mのケイ素化合物を含む混合物に添加するか、またはその逆であって差し支えない。
【0064】
有機酸素含有マグネシウム化合物および有機酸素含有チタン化合物を含有する炭化水素溶液を、式AlRn3-nを有するアルミニウム化合物および式RmSiCl4-mのケイ素化合物を含む混合物に添加してもよい。
【0065】
この反応の温度は、使用する炭化水素の沸点より低いどのような温度であって差し支えない。しかしながら、60℃未満、好ましくは50℃未満の温度を使用することが有益である。一般に、添加の期間は、10分より長いことが好ましく、30分より長いことがより好ましい。
【0066】
有機酸素含有マグネシウム化合物、および有機酸素含有チタン化合物を含む炭化水素溶液の、ハロゲン含有ケイ素化合物およびアルミニウム化合物の混合物との反応において、固体が沈殿し、その沈殿反応後、得られた混合物が加熱されて、反応が終わらされる。この反応後、沈殿物は濾過され、炭化水素により洗浄される。例えば、多数回のデカンテーション工程のような、希釈剤からの固体の分離とその後の洗浄の他の手段を適用してもよい。全ての工程は、窒素または別の適切な不活性ガスの不活性雰囲気中で行うべきである。アルミニウム化合物による後処理は、濾過と洗浄工程の前、またはこの手法の後のいずれに行っても差し支えない。
【0067】
重合反応は、気相中または有機溶媒の不在下でバルクで行っても、または有機希釈剤の存在下で液体スラリー中で行ってもよい。これらのスラリー工程は、液体希釈剤中に固体ポリマー粒子を含む2相工程、または液体希釈剤中の固体ポリマー粒子と、ガス状希釈剤、エチレン、窒素および水素を実質的に含む気相とを含む3相工程のいずれであっても差し支えない。
【0068】
この反応は、酸素、水、または触媒毒として働くかもしれない任意の他の化合物の不在下で行われる。適切な溶媒の例としては、例えば、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンなどのアルカンとシクロアルカン、および例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、エチルトルエン、n−プロピルベンゼン、およびジエチルベンゼンなどのアルキル芳香族化合物が挙げられる。
【0069】
本発明の好ましい実施の形態によれば、重合温度は20℃と100℃の間に及ぶ。
【0070】
重合中の反応器内の圧力は大気圧であることが適しており、2バールと60バール(1バール=100000Pa)の間であることがより好ましい。
【0071】
重合は、反応器の内容物の総量に関連して、例えば、1ppmと500ppmの間に及ぶ量の帯電防止剤または防汚剤の存在下で行って差し支えない。
【0072】
本発明による方法により得られる超高分子量エチレン単独重合体および/または共重合体は、以下の特徴を有する粉末である:
・少なくとも0.43N/mm2の伸張応力(DIN 53493にしたがって測定した伸張応力)、
・20マイクロメートルと250マイクロメートルの間の範囲にある平均粒径(D50)、および
・350kg/m3と600kg/m3の間の範囲にある疎充填嵩密度。
【0073】
本発明の超高分子量ポリエチレンポリマー粉末の疎充填嵩密度は、ASTM D1895/Aに概説された手順にしたがってポリマー粉末の嵩密度を測定することによって決定される。
【0074】
国際公開第2011/097699号には、10質量%未満のMoを含む内部鋼表面を有するオレフィン重合用反応器内のファウリングを減少させるプロセスであって、より高温での時間を短くして、重合前に、15分から30時間の時間に亘り摂氏185度超の温度で50体積%以上の水素を含む気体に暴露することによって、その内部鋼表面を還元させる工程を有してなるプロセスが開示されている。国際公開第2011/097699号には、重合が行われる前に、その反応器の内面を摂氏185度より高い温度で還元ガスにより処理することが教示されている。そのガスは、50体積%以上の水素、ヘリウム、窒素およびアルゴンを含む混合物であってよい。
【0075】
本発明による方法において、反応器の手の込んだ前処理を行う必要はない。
【0076】
国際公開第2009/112254号には、オレフィン重合中に得られるポリマーの分子量を減少させるために水素を使用できることが開示されている。しかしながら、伸張応力値が少なくとも0.43N/mm2である超高分子量のUHMWPEを作るために、例えば、欧州特許第581611号明細書および国際公開第01/81432号に公開されているような、UHMWPEを製造する従来の先端技術のプロセスは、水素を実質的に含まず、したがって、反応器のファウリングをより受けやすい。
【0077】
欧州特許第43473号明細書および国際公開第2011/015553号には、エチレンの重合中の水素の存在が開示されている。メルトフローインデックスの値に関して、欧州特許第43473号明細書および国際公開第2011/015553号は、メルトフローインデックスはUHMWPEについて決定できないので、UHMWPEに関するものではない。
【0078】
国際公開第2013/087167号は、異なる触媒による二峰性HDPEの製造に関する。メルトフローインデックスの値に関して、国際公開第2013/087167号は、メルトフローインデックスはUHMWPEについて決定できないので、UHMWPEに関するものではない。
【0079】
国際公開第2013/087185号には、UHMWPEの製造にバッチプロセスを適用することが教示されている。その実施例には、水素を使用せずに、150分後に停止されるエチレンの重合プロセスが開示されている。
【0080】
UHMWPEは、優れた衝撃強度および摩損耐性が要求される非常に様々な分野の物品に適用できる。医療分野において、UHMWPEは、膝、肩および臀部のインプラントに使用され、UHMWPEから製造された高強度繊維が、Ballistic Cloth(登録商標)、釣り糸およびネット、並びに鉱業に見られる。UHMWPEは、ホッパーまたはバンカーのライナーとして使用してもよい。
【0081】
本発明による方法で得られるUHMWPEは、例えば、ロッド、管、棒材、並びにラム押出によるより複雑な連続形状、並びに圧縮成形による大型シートの製造に適用することもできる。
【0082】
本発明を、以下の非限定的実施例によって説明する。
【実施例】
【0083】
実験I
ヘキサン中のマグネシウムメチラート−チタンブチラート錯体の調製
ヘキサン中の20質量%のマグネシウムメチラート−チタンブチラート錯体(MGT)を、国際公開第2013/087185号/実験Iに開示されたような手順にしたがって調製した。
【0084】
実験II
触媒の調製
バッフル、外部加熱および撹拌機を備えた10Lのガラス製反応器に、4リットルの精製ヘキサン、173mlのSiCl4(1.51モル)、およびヘキサン中の35mlの50%二塩化エチルアルミニウム(0.119モルのアルミニウム)を加えた。続いて、反応器の内容物を1300rpmで撹拌しながら、500ml/時の投与速度を使用して、MGT錯体(0.5モル)の2Lの20質量%溶液を4時間の期間で反応器に加えた。MGT溶液を加えた後、撹拌速度を1300rpmに維持しつつ、得られた懸濁液を2時間に亘り還流温度に加熱した。次に、得られた懸濁液を50℃に冷却し、その後、デカンテーション手法を使用して、固体触媒を洗浄した。固体粒子を沈降させ、ヘキサンの最上層を取り除き、新しいヘキサンと交換した。これらの工程を、3Lの新しいヘキサンで3回行った。その後、濃縮懸濁液を2Lのフラスコに移し、デカンテーション手法を使用して、追加の洗浄を行った。1500mlの新しいヘキサンで、固体を合計13回洗浄した。その後、窒素雰囲気下で、2Lのフラスコ内のヘキサン中のスラリーとして、約200gの固体プレ触媒を貯蔵した。レーザ光散乱を使用して測定した、触媒の平均粒径は3.7マイクロメートルであった。
【0085】
実施例I
重合過程
実験IIにしたがって調製した触媒系の存在下で、連続運転した20Lの気液CSTR反応器内で、ヘキサン中においてエチレンを重合した。助触媒として、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)を使用した。反応器のファウリングを減少させるために、防汚剤のSTATSAFE 6000(AFA)を使用した。
【0086】
この反応器に、75.0℃で、ヘキサン(2.947kg/時)、エチレン(1.053kg/時)、および水素(0.010g/時)を連続的に供給した。ヘキサン中のアルミニウムの濃度が40ppmであり、AFFの濃度が40ppmであり、供与体の濃度が3,396×10-5モル/lとなるような量で、TiBA、AFAおよび外部供与体(1,2−ジメトキシベンゼン)も反応器に連続的に供給した。ポリエチレンの生産は0.98kg/時であった。
【0087】
オンラインガスクロマトグラフィーにより測定した、反応器のヘッドスペース内の水素対エチレン比は、エチレン1モル当たり3ミリモルの水素であった。このスラリー重合の液相中の水素対エチレン比は、0.19ミリモル水素/モルエチレンであった。
【0088】
触媒の生産性は、触媒1g当たり25200gのポリエチレンであった。
【0089】
重合中、反応器の壁に亘る熱伝導の減少は観察されなかった。これは、反応器のファウリングがないという指標として使用できる。48時間の運転時間後、重合を停止した。反応器を開いた後、反応器のファウリングまたはシーティングは観察されなかった。
【0090】
得られたポリマーは、以下の特徴を有した:
伸張応力:0.46N/mm2
D50ポリマー:146マイクロメートル
疎充填嵩密度:474kg/m3
【0091】
実験III
触媒の調製
1200rpmの代わりに、800rpmの撹拌速度を使用して、実験IIによる手順にしたがって、触媒を調製した。この場合、レーザ光散乱を使用して測定した触媒の平均粒径は、4.8マイクロメートルであった。
【0092】
比較例A
重合
実験IIIにしたがって調製した触媒系の存在下で、連続運転した20Lの気液CSTR反応器内で、ヘキサン中においてエチレンを重合した。助触媒として、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)を使用した。反応器のファウリングを減少させるために、防汚剤のSTATSAFE 6000(AFA)を使用した。
【0093】
この反応器に、75.0℃で、ヘキサン(2.947kg/時)、エチレン(1.053kg/時)、および水素(0.006g/時)を連続的に供給した。ヘキサン中のアルミニウムの濃度が40ppmであり、AFFの濃度が40ppmであるような量で、TiBAおよびAFAも反応器に連続的に供給した。ポリエチレンの生産は1.03kg/時であった。
【0094】
オンラインガスクロマトグラフィーにより測定した、反応器のヘッドスペース内の水素対エチレン比は、エチレン1モル当たり9.7ミリモルの水素であった。
【0095】
触媒の生産性は、触媒1g当たり16500gのポリエチレンであった。
【0096】
伸張応力:DIN 53493にしたがって測定して0.17N/mm2
D50ポリマー:160マイクロメートル
疎充填嵩密度:440kg/m3
【0097】
44時間の重合時間中、例えば、反応器の壁に亘る一定の熱伝導により示されるように、反応器のファウリングまたはシーティングの兆候はなかった。これは、反応器のファウリングがないという指標として使用できる。
【0098】
電子供与体を使用しないこの比較例において、伸張応力値は、0.43N/mm2未満であった。
【0099】
比較例B:
反応器のファウリングの兆候のない、比較例Aに記載したような44時間の運転時間後、反応器への水素の投与を停止した。水素の投与の停止後の8時間以内に、反応器の排出管が詰まったために、重合は停止しなければならなかった。反応器を開いた後、反応器の深刻なファウリングが観察された。
【0100】
伸張応力:DIN 53493にしたがって測定して0.40N/mm2
D50ポリマー:179マイクロメートル
疎充填嵩密度:430kg/m3
【0101】
比較例Bは、水素がないと、得られる最高の伸張応力は0.40N/mm2であることを示す。さらに、反応器の深刻なファウリングが観察された。
【0102】
これらの実施例と比較例は、少量の水素を添加すると、反応器のファウリングが実質的になくなり、反応器を洗浄するために反応器を停止させる必要なく、UHMWPEの製造のためのより安定した方法が提供されることを示している。
【0103】
水素を反応器に添加した場合、伸張応力も低下する。これは、伸張応力値が0.40N/mm2を超えるUHMWPEに対する容易な到達を妨げる。
【0104】
供与体と組み合わせて、反応器に水素を添加すると、伸張応力を低下させずに、反応器のファウリングも実質的に低下し、それにより、伸張応力が0.4N/mm2を超えるUHMWPEに容易に到達することができる。