特許第6620149号(P6620149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620149
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】拡張ベツリン酸類似体
(51)【国際特許分類】
   C07J 63/00 20060101AFI20191202BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20191202BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20191202BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20191202BHJP
   A61K 31/54 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C07J63/00CSP
   A61K31/194
   A61P31/18
   A61K31/195
   A61K31/54
【請求項の数】8
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2017-525885(P2017-525885)
(86)(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公表番号】特表2017-537898(P2017-537898A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】US2015060360
(87)【国際公開番号】WO2016077572
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2018年9月20日
(31)【優先権主張番号】62/079,957
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517065013
【氏名又は名称】ヴィーブ ヘルスケア ユーケー(ナンバー5)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シット,シン−ユエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スウィドルスキ,ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】レゲイロ−レン,アリシア
(72)【発明者】
【氏名】ミーンウェル,ニコラス エ−.
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/123019(WO,A1)
【文献】 特表2014−507422(JP,A)
【文献】 特表2013−527242(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/057420(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/090683(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/117137(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/090664(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/100308(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
及び式IIの化合物
【化2】
[式中、R1は、イソプロペニル又はイソプロピルであり、
Xは、フェニル、ヘテロアリール、C4〜8シクロアルキル、C4〜8シクロアルケニル、C4〜9スピロシクロアルキル、C4〜9スピロシクロアルケニル、C4〜8オキサシクロアルキル、C6〜8ジオキサシクロアルケニル、C6〜9オキサスピロシクロアルキル及びC6〜9オキサスピロシクロアルケニル環の群から選択され、
ここでXは、Aにより置換されており、Aは、-H、-ハロ、-ヒドロキシル、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルコキシ、-C1〜6ハロアルキル、-CN、-NR8R9、-COOR2、-CONR2R2及び-C1〜6アルキル-Qの群から選択される少なくとも1つであり、
Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR3、-NR2R2、-SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R2は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
Yは、-COOR2、-C(O)NR2SO2R3、-C(O)NHSO2NR2R2、-NR2SO2R2、-SO2NR2R2、-C3〜6シクロアルキル-COOR2、-C2〜6アルケニル-COOR2、-C2〜6アルキニル-COOR2、-C1〜6アルキル-COOR2、-アルキル置換C1〜6アルキル-COOR2、-CF2-COOR2、-NHC(O)(CH2)n-COOR2、-SO2NR2C(O)R2、-テトラゾール及び-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1〜6であり、
Wは、-C2〜6アルキル-、-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-、-C2〜6アルケニル-CO-、-ヘテロアリール-及び
【化3】
の群から選択され、
R3は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
R4は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-C(OR3)2-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6置換アルキル、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル-Q1、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル-Q1、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
Q1は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF3、-OR2、-COOR2、-NR8R9、-CONR10R11及び-SO2R7の群から選択され、
R5は、-H、-C1〜6アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C1〜6アルキル-NR8R9、-COR10、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
又はR4及びR5は、隣接するNと一緒になって、
【化4】
の群から選択される環を形成し、
但し、R4又はR5の一方のみが、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され得、さらに、R4又はR5は、Wが-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-CO-又は
【化5】
である場合、-COR6又は-COCOR6となり得ず、
R6は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C3〜6置換シクロアルキル-Q2、-C1〜6アルキル-Q2、-C1〜6アルキル置換アルキル-Q2、-C3〜6シクロアルキル-Q2、アリール-Q2、-NR2R2及び-OR2の群から選択され、
Q2は、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR2、-NR8R9、SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R7は、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-CF3、アリール及びヘテロアリールの群から選択され、
R8及びR9は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1〜6アルキル-Q2及び-COOR3の群から独立して選択され、
又はR8及びR9は、隣接するNと一緒になって、
【化6】
の群から選択される環を形成し、
但し、R8又はR9の一方のみが-COOR3であり得、
R10は、-H、-C1〜6アルキル、-NR2R2及び-COOR3の群から選択され、
R11は、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-OH、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-COR7、-COONR2R2、-SOR7及び-SONR2R2の群から選択され、
R12は、-H、-C1〜6アルキル、-COOR3及びアリールの群から選択される]
の群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Xがフェニル又はC4〜8シクロアルケニルである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
Yが-COOHである、請求項1又は2に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
化合物が式Iの化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
下記化合物
【化7】
の群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
下記化合物
【化8】
の群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に含む、組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に含む、HIVウイルスに感染した哺乳動物を治療するための剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年11月14日に出願された米国特許仮出願第62/079,957号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、HIVに対して有用な新規化合物、より詳細には、HIV成熟阻害剤として有用であるベツリン酸から誘導される化合物及び他の構造的に関連する化合物、それを含有する医薬組成物、並びにこれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス1型)感染は、大きな医療問題であり続けており、2010年の末には世界中で推定4千5百万から5千万人が感染している。HIV及びAIDS(後天性免疫不全症候群)の症例数は、急速に上昇してきた。2005年には、およそ5千万件の新たな感染が報告されており、3百10万人がAIDSによって死亡した。HIV治療に現在利用可能な薬物には、ヌクレオシド逆転写酵素(RT)阻害剤又は承認された単一丸剤の組合せ:ジドブジン(又はAZT若しくはRETROVIR(登録商標))、ジダノシン(又はVIDEX(登録商標))、スタブジン(又はZERIT(登録商標))、ラミブジン(又は3TC若しくはEPIVIR(登録商標))、ザルシタビン(又はDDC若しくはHIVID(登録商標))、アバカビルコハク酸塩(又はZIAGEN(登録商標))、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(又はVIREAD(登録商標))、エムトリシタビン(又はFTC-EMTRIVA(登録商標))、COMBIVIR(登録商標)(-3TC+AZTを含有)、TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル、ラミブジン及びジドブジンを含有)、EPZICOM(登録商標)(アバカビル及びラミブジンを含有)、TRUVADA(登録商標)(VIREAD(登録商標)及びEMTRIVA(登録商標)を含有);非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤:ネビラピン(又はVIRAMUNE(登録商標))、デラビルジン(又はRESCRIPTOR(登録商標))及びエファビレンツ(又はSUSTIVA(登録商標))、ATRIPLA(登録商標)(TRUVADA(登録商標)+SUSTIVA(登録商標))及びエトラビリン、並びにペプチド模倣プロテアーゼ阻害剤又は承認された製剤:サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、KALETRA(登録商標)(ロピナビル及びリトナビル)、ダルナビル、アタザナビル(REYATAZ(登録商標))及びチプラナビル(APTIVUS(登録商標))、及びコビシスタット、及びラルテグラビル(ISENTRESS(登録商標))などのインテグラーゼ阻害剤、及びエンフビルチド(T-20)(FUZEON(登録商標))及びマラビロク(SELZENTRY(登録商標))などの侵入阻害剤が含まれる。
【0004】
これらの薬物は、それぞれ、単独で使用された場合にウイルス複製を一時的にしか抑制することができない。しかし、組み合わせて使用されると、これらの薬物はウイルス血症及び疾患進行に対して顕著な効果を有する。事実、AIDS患者の死亡率における有意な低減が、併用療法の適用の広がりの結果として近年考証されている。しかし、これらの印象的な結果にもかかわらず、30〜50%の患者では、最終的に組合せ薬物療法が失敗することがある。不十分な薬物効力、服薬非遵守、限定された組織浸透及びある特定の細胞型内における薬物特異的な制限(例えば、大部分のヌクレオシド類縁体は、休止細胞においてリン酸化され得ない)が、感受性のあるウイルスに対する不完全な抑制の原因であり得る。さらに、突然変異体の頻繁な組み込みと組み合わされた、HIV-1の高い複製率及び急速な代謝回転は、最適以下の薬物濃度が存在すると、薬物耐性変異体の出現及び治療の失敗をもたらす。したがって、特有の抵抗パターン及び好ましい薬物動態、並びに安全なプロファイルを示す新規な抗HIV剤が、より多くの治療選択肢を提供するために必要である。改善されたHIV融合阻害剤及びHIV侵入補助受容体アンタゴニストは、多数の研究者たちによりさらに研究されている新たなクラスの抗HIV剤の2つの例である。
【0005】
HIV結合阻害剤は、HIV表面糖タンパク質gp120に結合し、表面タンパク質gp120と宿主細胞受容体CD4との相互作用を妨げる抗ウイルス化合物のさらなるサブクラスである。したがって、これらは、HIVがヒトCD4 T細胞に結合するのを防止し、HIV生活環の第1のステージにおけるHIV複製を遮断する。HIV結合阻害剤の特性は、抗ウイルス薬として最大限の有用性及び有効性を有する化合物を得ようとする努力によって改善されてきた。特に、米国特許第7,354,924号及び米国特許第7,745,625号は、HIV結合阻害剤を説明している。
【0006】
HIVを治療する別の新しいクラスの化合物は、HIV成熟阻害剤と呼ばれる。成熟は、HIVの複製又はHIVの生活環における10以上もあるステップの最後のものであり、HIVは、最終的にカプシド(CA)タンパク質の遊離をもたらす、gagタンパク質におけるいくつかのHIVプロテアーゼ媒介切断事象の結果として、感染性になる。成熟阻害剤は、HIVカプシドが正確に組み立てられ、成熟すること、保護外皮(protective outer coat)を形成すること又はヒト細胞に出現することを防止する。代わりに非感染性ウイルスが産生され、後に続くHIV感染のサイクルを防止する。
【0007】
ベツリン酸のある特定の誘導体は、HIV成熟阻害剤として強力な抗HIV活性を呈することが示されている。例えば、米国特許第7,365,221号は、モノアシル化ベツリン及びジヒドロベツリン誘導体、並びにこれらの抗HIV剤としての使用を開示する。'221参考文献において考察されているように、3',3'-ジメチルグルタリル及び3',3'-ジメチルスクシニル基などの、ある特定の置換アシル基によるベツリン酸(1)のエステル化は、増強された活性を有する誘導体を産生した(Kashiwada, Y.ら、 J. Med. Chem. 39:1016〜1017 (1996))。強力な抗HIV剤であるアシル化ベツリン酸及びジヒドロベツリン酸誘導体も、米国特許第5,679,828号に記載されている。コハク酸によるベツリンの3位の炭素におけるヒドロキシルのエステル化も、HIIV-1活性を阻害することができる化合物を産生した(Pokrovskii, A. G.ら、「Synthesis of derivatives of plant triterpenes and study of their antiviral and immunostimulating activity」、Khimiya y Interesakh Ustoichivogo Razvitiya、9巻、3号、485〜491頁(2001))(英語の要約)。
【0008】
ベツリン酸から誘導される化合物によるHIV感染を治療するための使用についての他の参考文献には、米国特許出願第2005/0239748号及び米国特許出願第2008/0207573号、並びにWO2006/053255、WO2009/100532及びWO2011/007230が含まれる。
【0009】
開発中の1つのHIV成熟化合物は、Bevirimat又はPA-457と特定されており、化学式のC36H56O6及びIUPAC名称の3β-(3-カルボキシ-3-メチル-ブタノイルオキシ)ルパ-20(29)-エン-28-酸を有する。
【0010】
Bristol-Myers Squibbによる表題「MODIFIED C-3 BETULINIC ACID DERIVATIVES AS HIV MATURATION INHIBITORS」の米国特許出願第13/151,706号、2011年6月2日出願(現在、米国特許第8,754,068号)及び「C-28 AMIDES OF MODIFIED C-3 BETULINIC ACID DERIVATIVES AS HIV MATURATION INHIBITORS」の米国特許出願第13/151,722号、2011年6月2日出願(現在、米国特許第8,802,661号)の出願も、本明細書に参照される。表題「C-28 AMINES OF C-3 MODIFIED BETULINIC ACID DERIVATIVES AS HIV MATURATION INHIBITORS」の米国特許出願第13/359,680号、2012年1月27日出願(現在、米国特許第8,748,415号)の出願も、参照される。加えて、表題「C-17 AND C-3 MODIFIED TRITERPENOIDS WITH HIV MATURATION INHIBITORY ACTIVITY」の米国特許出願第13/359,727号、2012年1月27日出願(現在、米国特許第8,846,647号)の出願も、参照される。さらに、表題「C-3 CYCLOALKENYL TRITERPENOIDS WITH HIV MATURATION INHIBITORY ACTIVITY」の米国特許出願第13/760,726号、2013年2月6日出願(現在、米国特許第8,906,889号)の出願、並びに表題「TRITERPENOIDS WITH HIV MATURATION INHIBITORY ACTIVITY」の米国特許出願第14/682,179号、2015年4月9日出願の出願も、参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,354,924号
【特許文献2】米国特許第7,745,625号
【特許文献3】米国特許第7,365,221号
【特許文献4】米国特許第5,679,828号
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0239748号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0207573号公報
【特許文献7】WO2006/053255
【特許文献8】WO2009/100532
【特許文献9】WO2011/007230
【特許文献10】米国特許第8,754,068号
【特許文献11】米国特許第8,802,661号
【特許文献12】米国特許第8,748,415号
【特許文献13】米国特許第8,846,647号
【特許文献14】米国特許第8,906,889号
【特許文献15】米国特許出願第14/682,179号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J. Med. Chem. 39:1016〜1017 (1996)
【非特許文献2】Khimiya y Interesakh Ustoichivogo Razvitiya、9巻、3号、485〜491頁(2001))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
当技術分野に現在必要なものは、HIV成熟阻害剤として有用な新たな化合物、並びにこれらの化合物を含有する新たな医薬組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、薬学的に許容されるその塩を含む下記の式I及びIIの化合物、それらの医薬製剤及びHIVなどのウイルスに罹患している又は罹患しやすい患者におけるそれらの使用を提供する。式IからIIの化合物は、特にHIVの阻害剤として有効な抗ウイルス薬である。これらは、HIV及びAIDSの治療に有用である。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、式Iの化合物
【0016】
【化1】
及び式IIの化合物
【0017】
【化2】
[式中、R1は、イソプロペニル又はイソプロピルであり、
Xは、フェニル、ヘテロアリール、C4〜8シクロアルキル、C4〜8シクロアルケニル、C4〜9スピロシクロアルキル、C4〜9スピロシクロアルケニル、C4〜8オキサシクロアルキル、C6〜8ジオキサシクロアルケニル、C6〜9オキサスピロシクロアルキル及びC6〜9オキサスピロシクロアルケニル環の群から選択され、
ここでXは、Aにより置換されており、Aは、-H、-ハロ、-ヒドロキシル、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルコキシ、-C1〜6ハロアルキル、-CN、-NR8R9、-COOR2、-CONR2R2及び-C1〜6アルキル-Qの群から選択される少なくとも1つであり、
Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR3、-NR2R2、-SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R2は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
Yは、-COOR2、-C(O)NR2SO2R3、-C(O)NHSO2NR2R2、-NR2SO2R2、-SO2NR2R2、-C3〜6シクロアルキル-COOR2、-C2〜6アルケニル-COOR2、-C2〜6アルキニル-COOR2、-C1〜6アルキル-COOR2、-アルキル置換C1〜6アルキル-COOR2、-CF2-COOR2、-NHC(O)(CH2)n-COOR2、-SO2NR2C(O)R2、-テトラゾール及び-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1〜6であり、
Wは、-C2〜6アルキル-、-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-、-C2〜6アルケニル-CO-、-ヘテロアリール-及び
【0018】
【化3】
の群から選択され、
R3は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
R4は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-C(OR3)2-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6置換アルキル、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル-Q1、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル-Q1、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
Q1は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF3、-OR2、-COOR2、-NR8R9、-CONR10R11及び-SO2R7の群から選択され、
R5は、-H、-C1〜6アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C1〜6アルキル-NR8R9、-COR10、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
又はR4及びR5は、隣接するNと一緒になって、
【0019】
【化4】
の群から選択される環を形成し、
但し、R4又はR5の一方のみが、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され得、さらに、R4又はR5は、Wが-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-CO-又は
【0020】
【化5】
である場合、-COR6又は-COCOR6となり得ず、
R6は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C3〜6置換シクロアルキル-Q2、-C1〜6アルキル-Q2、-C1〜6アルキル置換アルキル-Q2、-C3〜6シクロアルキル-Q2、アリール-Q2、-NR2R2及び-OR2の群から選択され、
Q2は、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR2、-NR8R9、SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R7は、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-CF3、アリール及びヘテロアリールの群から選択され、
R8及びR9は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1〜6アルキル-Q2及び-COOR3の群から独立して選択され、
又はR8及びR9は、隣接するNと一緒になって、
【0021】
【化6】
の群から選択される環を形成し、
但し、R8又はR9の一方のみが-COOR3であり得、
R10は、-H、-C1〜6アルキル、-NR2R2及び-COOR3の群から選択され、
R11は、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-OH、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-COR7、-COONR2R2、-SOR7及び-SONR2R2の群から選択され、
R12は、-H、-C1〜6アルキル、-COOR3及びアリールの群から選択される]
の群から選択される、薬学的に許容されるその塩を含む化合物を対象とする。
【0022】
さらなる実施形態では、ウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法であって、とりわけ前記ウイルスがHIVであり、式I及びIIの化合物の群から選択される化合物の抗ウイルス有効量及び1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を、前記哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。場合によって、式I及びIIの化合物を、(a)AIDS抗ウイルス薬、(b)抗感染薬、(c)免疫調節剤及び(d)他のHIV侵入阻害剤からなる群から選択される別のAIDS治療剤の抗ウイルス有効量と組み合わせて投与することができる。
【0023】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の式I及びIIの化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤とを、場合によって、(a)AIDS抗ウイルス薬、(b)抗感染薬、(c)免疫調節剤及び(d)他のHIV侵入阻害剤からなる群から選択される別のAIDS治療剤と組み合わせて含む、医薬組成物である。
【0024】
本発明の別の実施形態では、本発明の式I及びIIの化合物を作製する1つ以上の方法が提供される。
【0025】
本発明の式I及びIIの化合物を作製するのに有用な中間化合物も、本発明において提供される。
【0026】
本発明は、これら、並びに以降に記載される他の重要な目的を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用する場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈から特に明示されない限り、複数の参照を含む。
【0028】
本発明の化合物は、不斉中心を有し、したがってジアステレオマーの混合物として生じることもあるので、本発明は、式I及びIIの化合物の個別のジアステレオ異性体の形態を、その混合物に加えて含む。
【0029】
定義
出願の他の部分に特定的に記載されない限り、1つ以上の以下の用語を本明細書において使用しても良く、以下の意味を有する。
【0030】
「H」は、重水素などのその同位体を含む水素を指す。
【0031】
用語「C1〜6アルキル」は、本明細書及び特許請求の範囲(特に明記しない限り)で使用する場合、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、ヘキシルなどの直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。
【0032】
「C1〜C4フルオロアルキル」は、少なくとも1個のH原子がF原子で置換されており、各H原子が、F原子により独立して置換され得る、F置換C1〜C4アルキルを指す。
【0033】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素を指す。
【0034】
「アリール」又は「Ar」基は、完全に共役したパイ電子系を有する、全て炭素の単環式又は縮合環の多環式(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)基を指す。アリール基の例は、限定されることなく、フェニル、ナフタレニル及びアントラセニルである。アリール基は、置換されていても、非置換であっても良い。置換されている場合、置換基(複数可)は、好ましくは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式(heteroalicyclic)、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリシクロオキシ(heteroalicycloxy)、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリシクロオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、カルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、トリハロメチル、ウレイド、アミノ及び-NRxRyから選択される1つ以上であり、ここでRx及びRyは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、カルボニル、C-カルボキシ、スルホニル、トリハロメチル及び結合した5員又は6員複素脂環式環からなる群から独立して選択される。
【0035】
「ヘテロアリール」基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個以上の原子を環(複数可)に有し、加えて完全に共役したパイ電子系を有する、単環式又は縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)基を指す。特に示されない限り、ヘテロアリール基は、ヘテロアリール基内の炭素又は窒素原子のいずれかに結合しても良い。ヘテロアリールという用語は、親ヘテロアリールのN-オキシドを、そのようなN-オキシドが当技術分野において知られているように化学的に実現可能である場合に包含することが意図されることに、留意するべきである。ヘテロアリール基の例は、限定されることなく、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ジアジニル、ピラジン、トリアジニル、テトラジニル及びテトラゾリルである。置換されている場合、置換基(複数可)は、好ましくは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリシクロオキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリシクロオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、カルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、トリハロメチル、ウレイド、アミノ及び-NRxRyから選択される1つ以上であり、ここでRx及びRyは、上記に定義された通りである。
【0036】
「複素脂環式」基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個以上の原子を環(複数可)に有する、単環式又は縮合環基を指す。環は、結合の安定した配置を提供するものから選択され、存在しない系を包含することを意図しない。また環は、1つ以上の二重結合を有していても良い。しかし環は、完全に共役したパイ電子系を有さない。複素脂環式基の例は、限定されることなく、アゼチジニル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリニル、チアゾリジニル、3-ピロリジン-1-イル、モルホリニル、チオモルホリニル及びそのSオキシド、並びにテトラヒドロピラニルである。置換されている場合、置換基(複数可)は、好ましくは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリシクロオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリシクロオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、C-チオアミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、トリハロメタンスルホニル、シリル、グアニル、グアニジノ、ウレイド、ホスホニル、アミノ及び-NRxRyから選択される1つ以上であり、ここでRx及びRyは、上記に定義された通りである。
【0037】
「アルキル」基は、直鎖及び分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有する(数値範囲、例えば「1〜20」が本明細書において記述される場合は常に、基が、この場合にはアルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個までの炭素原子を含有しても良いことを意味する)。より好ましくは、1〜10個の炭素原子を有する中程度の大きさのアルキルである。最も好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は、置換されていても、非置換であっても良い。置換されている場合、置換基(複数可)は、好ましくは、トリハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリシクロオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリシクロオキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、C-チオアミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、トリハロメタンスルホニル及び結合した5員又は6員複素脂環式環から独立して選択される1つ以上である。
【0038】
「シクロアルキル」基は、1つ以上の環が、完全に共役したパイ電子系を有さない、全て炭素の単環式又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)基を指す。シクロアルキル基の例は、限定されることなく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロヘプテン及びアダマンタンである。シクロアルキル基は、置換されていても、非置換であっても良い。置換されている場合、置換基(複数可)は、好ましくは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリシクロオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリシクロオキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、C-チオアミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、トリハロメタンスルホンアミド、トリハロメタンスルホニル、シリル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、ホスホニル、アミノ及び-NRxRyから独立して選択される1つ以上であり、ここでRx及びRyは、上記に定義された通りである。
【0039】
「アルケニル」基は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、本明細書に定義されているアルキル基を指す。
【0040】
「アルキニル」基は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、本明細書に定義されているアルキル基を指す。
【0041】
「ヒドロキシ」基は、-OH基を指す。
【0042】
「アルコキシ」基は、本明細書に定義されている-O-アルキル及び-O-シクロアルキル基の両方を指す。
【0043】
「アリールオキシ」基は、本明細書に定義されている-O-アリール及び-O-ヘテロアリール基の両方を指す。
【0044】
「ヘテロアリールオキシ」基は、ヘテロアリールが本明細書に定義されているヘテロアリール-O-基を指す。
【0045】
「ヘテロアリシクロオキシ」基は、複素脂環式が本明細書に定義されている複素脂環式-O-基を指す。
【0046】
「チオヒドロキシ」基は、-SH基を指す。
【0047】
「チオアルコキシ」基は、本明細書に定義されているS-アルキル及び-S-シクロアルキル基の両方を指す。
【0048】
「チオアリールオキシ」基は、本明細書に定義されている-S-アリール及び-S-ヘテロアリール基の両方を指す。
【0049】
「チオヘテロアリールオキシ」基は、ヘテロアリールが本明細書に定義されているヘテロアリール-S-基を指す。
【0050】
「チオヘテロアリシクロオキシ」基は、複素脂環式が本明細書に定義されている複素脂環式-S-基を指す。
【0051】
「カルボニル」基は、-C(=O)-R"基を指し、ここでR"は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)及び複素脂環式(環炭素を介して結合)からなる群から選択され、それぞれ本明細書に定義されている。
【0052】
「アルデヒド」基は、R"が水素であるカルボニル基を指す。
【0053】
「チオカルボニル」基は、-C(=S)-R"基を指し、R"は本明細書に定義されている通りである。
【0054】
「ケト」基は、C=Oのいずれか一方又は両側の炭素が、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリール若しくは複素脂環式基の炭素であり得る-CC(=O)C-基を指す。
【0055】
「トリハロメタンカルボニル」基は、Z3CC(=O)-基を指し、前記Zはハロゲンである。
【0056】
「C-カルボキシ」基は、-C(=O)O-R"基を指し、R"は本明細書に定義されている通りである。
【0057】
「O-カルボキシ」基は、R"C(-O)O-基を指し、R"は本明細書に定義されている通りである。
【0058】
「カルボン酸」基は、R"が水素であるC-カルボキシ基を指す。
【0059】
「トリハロメチル」基は、Zが本明細書に定義されているハロゲンである-CZ3基を指す。
【0060】
「トリハロメタンスルホニル」基は、Zが上記に定義された通りであるZ3CS(=O)2-基を指す。
【0061】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、Zが上記に定義された通りであり、RxがH又は(C1〜6)アルキルである、Z3CS(=O)2NRx-基を指す。
【0062】
「スルフィニル」基は、-S(=O)-R"基を指し、R"は(C1〜6)アルキルである。
【0063】
「スルホニル」基は、-S(=O)2-R"基を指し、R"は(C1〜6)アルキルである。
【0064】
「S-スルホンアミド」基は、-S(=O)2NRXRYを指し、RX及びRYは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0065】
「N-スルホンアミド」基は、R"S(=O)2NRX-基を指し、RXはH又は(C1〜6)アルキルである。
【0066】
「O-カルバミル」基は、-OC(=O)NRxRy基を指し、R及びRは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0067】
「N-カルバミル」基は、RxOC(=O)NRy基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0068】
「O-チオカルバミル」基は、-OC(=S)NRxRy基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0069】
「N-チオカルバミル」基は、RxOC(=S)NRy-基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0070】
「アミノ」基は、-NH2基を指す。
【0071】
「C-アミド」基は、-C(=O)NRxRy基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0072】
「C-チオアミド」基は、-C(=S)NRxRy基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0073】
「N-アミド」基は、RxC(=O)NRy-基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0074】
「ウレイド」基は、-NRxC(=O)NRyRy2基を指し、Rx、Ry及びRy2は、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0075】
「グアニジノ」基は、-RxNC(=N)NRyRy2基を指し、Rx、Ry及びRy2は、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0076】
「アミジノ」基は、RxRyNC(=N)-基を指し、Rx及びRyは、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0077】
「シアノ」基は、-CN基を指す。
【0078】
「シリル」基は、-Si(R")3を指し、R"は(C1〜6)アルキル又はフェニルである。
【0079】
「ホスホニル」基は、P(=O)(ORx)2を指し、Rxは(C1〜6)アルキルである。
【0080】
「ヒドラジノ」基は、-NRxNRyRy2基を指し、Rx、Ry及びRy2は、独立してH又は(C1〜6)アルキルである。
【0081】
「4員、5員又は6員環の環状N-ラクタム」基は、
【0082】
【化7】
を指す。
【0083】
「スピロ」基は、環が1個の原子だけで結合している二環式有機基である。環は、性質が異なり得る又は同一であり得る。接続原子は、また、スピロ原子と呼ばれ、ほとんどの場合には第四級炭素(「スピロ炭素」)と呼ばれる。
【0084】
「オキソスピロ」又は「オキサスピロ」基は、二環式環構造内に含有された酸素を有するスピロ基である。「ジオキソスピロ」又は「ジオキサスピロ」基は、二環式環構造内に2個の酸素を有する。
【0085】
任意の2つの隣接するR基は結合してそれらのR基を最初から有する環に縮合されている、追加のアリール、シクロアリール、ヘテロアリール又は複素環式環を形成しても良い。
【0086】
ヘテロアリール系における窒素原子は、「ヘテロアリール環二重結合に参加できる」ことが、当技術分野において知られており、このことは、5員環ヘテロアリール基を含む2つの互変異性構造に二重結合を形成することを指す。これは、窒素が置換され得るかを決定付け、当技術分野の化学者には良く知られている。本明細書の開示及び特許請求の範囲は、化学結合の既知の一般原則に基づいている。特許請求の範囲は、文献に基づいて不安定であること又は存在できないことが知られている構造を包含しないことが理解される。
【0087】
本明細書に開示されている化合物の薬学的に許容される塩及びプロドラッグは、本発明の範囲内である。用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、非毒性塩基付加塩を含むことが意図される。適切な塩には、限定されることなく、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、スルフィン酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸他などの有機及び無機酸から誘導されるものが含まれる。用語「薬学的に許容される塩」には、本明細書で使用する場合、カルボン酸塩などの、酸性基と、アンモニウム、アルカリ金属塩、特にナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属塩、特にカルシウム又はマグネシウムなどの対イオンとの塩、及び低級アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシルアミンなど)又は置換低級アルキルアミン(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン若しくはトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタンなどのヒドロキシル置換アルキルアミン)などの適切な有機塩基との、又はピペリジン若しくはモルホリンなどの塩基との塩が含まれることも意図される。
【0088】
上記に記述したように、本発明の化合物には、「プロドラッグ」も含まれる。用語「プロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグエステル」及び用語「プロドラッグエーテル」の両方を包含する。
【0089】
上記に記載されたように、本発明は、式Iの化合物
【0090】
【化8】
及び式IIの化合物
【0091】
【化9】
[式中、R1は、イソプロペニル又はイソプロピルであり、
Xは、フェニル、ヘテロアリール、C4〜8シクロアルキル、C4〜8シクロアルケニル、C4〜9スピロシクロアルキル、C4〜9スピロシクロアルケニル、C4〜8オキサシクロアルキル、C6〜8ジオキサシクロアルケニル、C6〜9オキサスピロシクロアルキル及びC6〜9オキサスピロシクロアルケニル環の群から選択され、
ここでXは、Aにより置換されており、Aは、-H、-ハロ、-ヒドロキシル、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルコキシ、-C1〜6ハロアルキル、-CN、-NR8R9、-COOR2、-CONR2R2及び-C1〜6アルキル-Qの群から選択される少なくとも1つであり、
Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR3、-NR2R2、-SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R2は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
Yは、-COOR2、-C(O)NR2SO2R3、-C(O)NHSO2NR2R2、-NR2SO2R2、-SO2NR2R2、-C3〜6シクロアルキル-COOR2、-C2〜6アルケニル-COOR2、-C2〜6アルキニル-COOR2、-C1〜6アルキル-COOR2、-アルキル置換C1〜6アルキル-COOR2、-CF2-COOR2、-NHC(O)(CH2)n-COOR2、-SO2NR2C(O)R2、-テトラゾール及び-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1〜6であり、
Wは、-C2〜6アルキル-、-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-、-C2〜6アルケニル-CO-、-ヘテロアリール-及び
【0092】
【化10】
の群から選択され、
R3は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
R4は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-C(OR3)2-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6置換アルキル、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル-Q1、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル-Q1、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
Q1は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF3、-OR2、-COOR2、-NR8R9、-CONR10R11及び-SO2R7の群から選択され、
R5は、-H、-C1〜6アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C1〜6アルキル-NR8R9、-COR10、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
又はR4及びR5は、隣接するNと一緒になって、
【0093】
【化11】
の群から選択される環を形成し、
但し、R4又はR5の一方のみが、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され得、さらに、R4又はR5は、Wが-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-CO-又は
【0094】
【化12】
である場合、-COR6又は-COCOR6となり得ず、
R6は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C3〜6置換シクロアルキル-Q2、-C1〜6アルキル-Q2、-C1〜6アルキル置換アルキル-Q2、-C3〜6シクロアルキル-Q2、アリール-Q2、-NR2R2及び-OR2の群から選択され、
Q2は、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR2、-NR8R9、SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R7は、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-CF3、アリール及びヘテロアリールの群から選択され、
R8及びR9は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1〜6アルキル-Q2及び-COOR3の群から独立して選択され、
又はR8及びR9は、隣接するNと一緒になって、
【0095】
【化13】
の群から選択される環を形成し、
但し、R8又はR9の一方のみが-COOR3であり得、
R10は、-H、-C1〜6アルキル、-NR2R2及び-COOR3の群から選択され、
R11は、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-OH、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-COR7、-COONR2R2、-SOR7及び-SONR2R2の群から選択され、
R12は、-H、-C1〜6アルキル、-COOR3及びアリールの群から選択される]
の群から選択される、薬学的に許容されるその塩を含む化合物を対象とする。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、Xは、フェニル及びC4〜8シクロアルケニルの群から選択される。
【0097】
Yが-COOHであることも好ましい。
【0098】
本発明の別の実施形態では、化合物が式Iを有することが好ましい。
【0099】
本発明の一部として、薬学的に許容されるその塩を含む好ましい化合物には、以下が含まれる。
【0100】
【化14】
【0101】
上記の化合物は、ジアステレオ異性体の混合物及び2つの個別のジアステレオマーを表す。ある特定の実施形態では、特定のジアステレオマーの一方が特に好ましいことがある。
【0102】
本発明の化合物は、上記に記載された様々な実施形態の全てによると、経口、非経口(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射若しくは注入の技術を含む)、吸入噴霧又は直腸内により及び他の手段により、当業者に利用可能な非毒性の薬学的に許容される担体、賦形剤及び希釈剤を含有する投与単位製剤で投与され得る。1つ以上の補助剤も含まれ得る。
【0103】
したがって、本発明によると、HIV感染及びAIDSなどのウイルス感染を治療するための治療方法及び医薬組成物がさらに提供される。治療は、抗ウイルス有効量の1つ以上の式I及びIIの化合物を1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に含有する医薬組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを伴う。本明細書で使用する場合、用語「抗ウイルス有効量」は、意味のある患者利益を示すのに、すなわち、HIV感染の阻害により特徴付けられる急性の状態を阻害する、寛解させる又は治癒するのに十分である、組成物及び方法におけるそれぞれの有効成分の総量を意味する。単独で投与される個別の活性成分に適用されるとき、この用語は、その成分のみを指す。組合せに適用されるとき、この用語は、組合せにより、順次に又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。用語「治療する、治療すること、治療」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、HIV感染に関連する疾患及び状態を予防する、阻害する、寛解させる及び/又は治癒することを意味する。
【0104】
本発明の医薬組成物は、経口投与用懸濁剤又は錠剤、並びに鼻腔噴霧剤、滅菌注射用調合剤、例えば、滅菌注射用水性又は油性の懸濁剤又は坐剤の形態であり得る。薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を、医薬組成物に利用しても良く、これらは医薬調合剤の技術分野において利用されるものである。
【0105】
懸濁剤として経口投与されるとき、これらの組成物は、医薬製剤の技術分野において典型的に知られている技術に従って調製され、嵩を付与するために微結晶セルロース、懸濁化剤としてアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム、粘度増強剤としてメチルセルロース、及び当技術分野に既知の甘味料/香味剤を含有しても良い。即時放出錠剤として、これらの組成物は、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム及びラクトース、並びに/又は当技術分野に既知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤及び滑沢剤を含有しても良い。
【0106】
注射用液剤又は懸濁剤は、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液若しくは等張塩化ナトリウム溶液などの適切な非毒性の非経口的に許容される希釈剤若しくは溶媒、又は合成モノ-若しくはジグリセリドを含む滅菌され無刺激の固定油及びオレイン酸を含む脂肪酸などの適切な分散若しくは湿潤及び懸濁剤を使用して、公知技術に従って製剤化することができる。
【0107】
本明細書に記載されている化合物は、約1〜100mg/kg体重の投与範囲で、通常は数日間、数週間、数か月間、さらには数年間などの長期間にわたって分割用量でヒトに経口投与することができる。1つの好ましい投与範囲は、経口分割用量の約1〜10mg/kg体重である。別の好ましい投与範囲は、分割用量の約1〜20mg/kg体重である。しかし、任意の特定の患者への投与量の特定の用量レベル及び頻度は変わり得ること、並びに用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食事、投与様式及び時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重篤度、及び宿主が受けている療法を含む様々な要因によって左右されることが理解されるであろう。
【0108】
AIDSの治療に有用な1つ以上の他の作用物質と一緒にした、本明細書に記載されている式I及びIIの化合物の組合せも、本明細書において考慮される。例えば、本発明の化合物は、曝露前及び/又は曝露後の期間にかかわらず、有効量のAIDS抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染薬又はワクチンと組み合わせて有効に投与することができ、例えば以下の非限定的な表におけるものである。
【0109】
【表1】
【0110】
加えて、本発明の化合物を、HIV侵入阻害剤と組み合わせて使用しても良い。そのようなHIV侵入阻害剤の例は、DRUGS OF THE FUTURE 1999、24(12)、1355〜1362頁、CELL、9巻、243〜246頁、1999年10月29日及びDRUG DISCOVERY TODAY、5巻、5号、2000年5月、183〜194頁、並びにInhibitors of the entry of HIV into host cells. Meanwell、Nicholas A.; Kadow, John F.、Current Opinion in Drug Discovery & Development (2003)、6(4)、451〜461頁において考察されている。具体的には、化合物を、結合阻害剤、融合阻害剤、及びCCR5又はCXCR4補助受容体のいずれかを目的とするケモカイン受容体アンタゴニストと組み合わせて利用することができる。HIV結合阻害剤は、米国特許第7,354,924号及び米国特許第7,745,625号にも記載されている。
【0111】
本発明の化合物と、AIDS抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染薬、HIV侵入阻害剤又はワクチンとの組合せの範囲は、上記の表に提示されたものに限定されず、原則としてAIDSの治療に有用な任意の医薬組成物との任意の組合せが含まれることが理解される。
【0112】
好ましい組合せは、本発明の化合物と、HIVプロテアーゼの阻害剤及び/又はHIV逆転写酵素の非ヌクレオシド阻害剤による同時又は交互の治療である。組合せにおける場合による第4の構成成分は、AZT、3TC、ddC又はddIなどのHIV逆転写酵素のヌクレオシド阻害剤である。HIVプロテアーゼの好ましい阻害剤は、REYATAZ(登録商標)(活性成分アタザナビル)である。典型的には、300〜600mgの用量が1日1回投与される。これは、低用量のリトナビル(50〜500mg)と共投与される。HIVプロテアーゼの別の好ましい阻害剤は、KALETRA(登録商標)である。HIVプロテアーゼの別の有用な阻害剤はインジナビルであり、これは、N-(2(R)-ヒドロキシ-1-(S)-インダニル)-2(R)-フェニルメチル-4-(S)-ヒドロキシ-5-(1-(4-(3-ピリジル-メチル)-2(S)-N'-(t-ブチルカルボキサミド)-ピペラジニル))-ペンタンアミドエタノレートの硫酸塩であり、米国特許第5,413,999号に従って合成される。インジナビルは、一般に、800mgの投与量で1日に3回投与される。他の好ましいプロテアーゼ阻害剤は、ネルフィナビル及びリトナビルである。HIVプロテアーゼの別の好ましい阻害剤はサキナビルであり、これは、600又は1200mgの投与量で1日に3回投与される。HIV逆転写酵素の好ましい非ヌクレオシド阻害剤には、エファビレンツが含まれる。これらの組合せは、HIV感染の蔓延及び程度を制限する予想外の効果を有し得る。好ましい組合せには、以下の(1)インジナビルと、エファビレンツ、場合によってAZT及び/又は3TC及び/又はddI及び/又はddC、(2)インジナビルと、AZT及び/又はddI及び/又はddC及び/又は3TCのいずれか、特にインジナビルと、AZT及び3TC、(3)スタブジンと、3TC及び/又はジドブジン、(4)テノホビルジソプロキシルフマル酸塩とエムトリシタビンが含まれる。
【0113】
そのような組合せでは、本発明の化合物及び他の活性剤を別々に又は併せて投与しても良い。加えて、1つの成分の投与は、他の作用物質の投与の前、同時又は後であって良い。
【0114】
一般化学(合成方法)
本発明は、式I及びIIの化合物、それらの医薬製剤及びHIV感染に罹患している又は罹患しやすい患者におけるそれらの使用を含む。式I及びIIの化合物には、薬学的に許容されるその塩も含まれる。式I及びIIの化合物及びそれらの合成に有用な中間体を構築する手順は、略語の後に記載されている。
【0115】
略語
1つ以上の以下の略語は、大部分が当業者に周知の慣用の略語であり、開示及び実施例の記載全体にわたって使用され得る。
RT=室温
BHT=2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン
CSA=ショウノウスルホン酸
LAD=リチウムジイソプロピルアミド
KHMDS=カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
SFC=超臨界流体クロマトグラフィー
Quant=定量的
TBDMS=tert-ブチルジメチルシラン
PTFE=ポリテトラフルオロエチレン
NMO=4-メチルモルホリン-N-オキシド
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
DCM=ジクロロメタン
DCE=ジクロロエタン
TFA=トリフルオロ酢酸
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析
Prep=分取
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
DAST=(ジエチルアミノ)硫酸トリフルオリド
TEA=トリエチルアミン
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
HATU=[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]
DCC=N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP=ジメチルアミノピリジン
TMS=トリメチルシリル
MMR=核磁気共鳴
DPPA=ジフェニルホスホリルアジド
AIBN=アゾビスイソブチロニトリル
TBAF=フッ化テトラブチルアンモニウム
DMF=ジメチルホルムアミド
TBTU=O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
Min=分
h=時間
sat.=飽和
TEA=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
TFA=トリフルオロ酢酸
PCC=クロロクロム酸ピリジニウム
TLC=薄層クロマトグラフィー
Tf2NPh=(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホンアミド
ジオキサン=1,4-ジオキサン
PG=保護基
atm=雰囲気
mol=モル
mmol=ミリモル
mg=ミリグラム
μg=マイクログラム
μl=マイクロリットル
μm=マイクロメートル
mm=ミリメートル
Rpm=毎分回転数
SM=出発物質
TLC=薄層クロマトグラフィー
AP=面積百分率
Equiv.=当量
DMP=デス-マーチンペルヨージナン
TMSCl=トリメチルシリルクロリド
TBSCl=tert-ブチルジメチルシリルクロリド
TBSOTf=トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート
PhMe=トルエン
PhNTf2=N-フェニル-ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)
S-Phos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル
TFDO=メチル(トリフルオロメチル)ジオキシラン
TEMPO=2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ
DI=脱イオン水
【0116】
用語「C-3」及び「C-28」は、IUPAC規則に従って番号付けされたトリテルペンコアのある特定の位置を指す(下記に描写されている位置は、説明されているトリテルペン:ベツリンに対するものである)。
【0117】
【化15】
【0118】
スキーム及び方法の一般的記載における一連の化合物を参照するときには、同じ番号付けが維持されている。
【0119】
【化16】
【実施例】
【0120】
以下の実施例は、上記に一般的に記載された式I及びIIの化合物の典型的な合成を説明する。これらの実施例は、説明のためだけのものであり、決して開示を制限することを意図しない。試薬及び出発物質は、当業者により容易に入手可能である。
【0121】
化学
選択された実施例の典型的な手順及び特徴付け:
特に記述されない限り、溶媒及び試薬は商業的供給源から得たものを直接使用し、反応は、窒素雰囲気下で実施した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル60(粒径0.040〜0.063、EM Science supply)によって実施した。1H NMRスペクトルは、500MHzでBruker DRX-500fにより(又は記述されているようにBruker AV 400MHz、300MHzでBruker DPX-300B若しくはVarian Gemini 300により)記録した。化学シフトは、δスケールにおいてδTMS=0に対してppmで報告した。以下の内部基準を以下の溶媒中の残留プロトンのために使用した。CDCl3H7.26)、CD3OD(δH3.30)、酢酸-d4(酢酸d4)(δH11.6、2.07)、DMSOミックス又はDMSO-D6-CDCl3H2.50及び8.25)(比75%:25%)及びDMSO-D6(δH2.50)。標準的な頭字語を用いて、多重度パターンを記載した。s(一重項)、br.s(広帯一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、b(広帯)、app(見掛け)。カップリング定数(J)はヘルツによる。全ての液体クロマトグラフ(LC)データは、SPD-10AV UV-Vis検出器を使用してShimadzu LC-10AS液体クロマトグラフにより記録し、質量分析(MS)データは、エレクトロスプレーモードでLCのMicromass Platformを使用して決定した。
【0122】
セクション1
LC/MS方法:
方法1
開始%B=30、最終%B=100、勾配時間=2分
流速=0.8mL/分
波長=220
溶媒A=10%MeOH-90%H2O-0.1%TFA
溶媒B=90%MeOH-10%H2O-0.1%TFA
カラム=Xbridge Phenyl 2.1×50mm 2.5μm
【0123】
方法2
開始%B=40、最終%B=100、勾配時間=2分
流速=1mL/分
波長=220
溶媒A=5%MeOH-95%H2O-10mM NH4OAc
溶媒B=95%MeOH-5%H2O-10mM NH4OAc
カラム=Phenomenex LUNA C18 30×2mm 3μm
【0124】
方法3
開始%B=30、最終%B=100、勾配時間=1分
流速=0.8mL/分
波長=220
溶媒A=10%MeOH-90%H2O-0.1%TFA
溶媒B=90%MeOH-10%H2O-0.1%TFA
カラム=Xbridge Phenyl 2.1×50mm 2.5μm
【0125】
方法4
開始%B=30、最終%B=100、勾配時間=2分
流速=1mL/分
波長=220
溶媒A=5%MeOH-95%H2O-10mM NH4OAc
溶媒B=95%MeOH-5%H2O-10mM NH4OAc
カラム=Phenomenex LUNA C18 30×2mm 3μm
【0126】
方法5
開始%B=20、2分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
流速=1mL/分
波長=220nm
溶媒A=95%水、5%メタノール、10mM酢酸アンモニウム
溶媒B=5%水、95%メタノール、10mM酢酸アンモニウム
カラム=Phenomenex Luna C18、3μm、2.0×30mm
【0127】
方法6
開始%B=20、2分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
流速=0.8mL/分
波長=220nm
溶媒A=90%水、10%メタノール、0.1%TFA
溶媒B=10%水、90%メタノール、0.1%TFA
カラム=Xbridge Phenyl、2.5μm、2.1×50mm
【0128】
分取HPLC方法:
方法1
開始%B=10、10分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
流速=40mL/分
波長=220nm
溶媒A=10%MeOH-90%H2O-0.1%TFA
溶媒B=90%MeOH-10%H2O-0.1%TFA
カラム=YMC COMBIPREP ODS 30×50mm S5
【0129】
SFC方法
第1通過
分取カラム:Whelko-RR(5'50cm、10μm、#786710)
BPR圧:100bar
温度:30℃
流速:350mL/分
移動相:CO2/2-プロパノール(85/15)
検出器波長:215nm
分離プログラム::スタック注入
注入:サイクル時間:1.9分で1.46mL
試料調製:180g/1000mL IPA:DCM(1:1)、180mg/mL
スループット:7.88g/hr
【0130】
中間体1
(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸の調製
【0131】
【化17】
【0132】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
0℃のTHF(20mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-ホルミル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(2.0g、3.34mmol)(WO2012106188に記載されている通りに調製)の懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル(1.34mL、6.68mmol)、続いてNaH(鉱油中60%)(0.22g、5.6mmol)を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで室温に加温し、3日間撹拌した。反応物を飽和NH4Cl(20mL)、続いて0.5N HCl(20mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。粗混合物を、酢酸エチルとヘキサンとの混合物で溶出するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(2.06g、88%)を固体として得た。MS: m/e 611.6 (M-t-Bu-H)-, 2.70分 (方法2). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=15.3 Hz, 1H), 7.17 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.92 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.28 (dd, J=6.3, 1.8 Hz, 1H), 4.75 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 4.24 (q, J=7.1 Hz, 2H), 2.58 - 2.50 (m, 1H), 2.14 - 2.07 (m, 1H), 1.95 - 0.85 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.60 (s, 9H), 1.33 (t, J=7.0 Hz, 3H), 1.02 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.92 (s, 6H).
【0133】
ステップ2:(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸の調製
1,4-ジオキサン(100mL)及びMeOH(10mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(1.0g、1.50mmol)の溶液に、10N NaOH(3mL、30mmol)を添加した。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を1N HClで中和し、減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(3×50mL)で抽出し、ブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物をシリカゲル中で精製して、生成物(527mg、55%)を固体として得た。MS: m/e 639.7 (M-H)-, 2.89分 (方法2). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.84 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.19 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.91 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.28 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.76 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 2.54 (td, J=11.0, 5.1 Hz, 1H), 2.14 (dd, J=17.1, 6.3 Hz, 1H), 1.95 - 0.86 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.58 (s, 9H), 1.06 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.93 (s, 3H).
【0134】
中間体2
(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸の調製
【0135】
【化18】
tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(161mg、0.241mmol)を、メタノール(5mL)とジオキサン(15mL)との混合物に溶解した。この溶液に水酸化リチウム(1N、0.72mL、0.72mmol)を添加し、懸濁液を室温で40時間撹拌した。少量のアリコートを粗反応物から取り出し、過剰の1N HClでクエンチし、蒸発させて乾燥フィルム状物を得た。このフィルム状物を、再封可能な圧力管内の1,2-ジクロロエタン(4mL)、及びDCM中塩化オキサリルの2Mストック溶液(1.362mL)に入れ、60℃に24時間加熱した。反応溶液を真空中で乾燥させて、粗製の塩化アシルを得、これをさらに精製することなく直ちに使用した。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 7.56 (d, J=15.9 Hz, 1H), 6.18 (d, J=15.9 Hz, 1H)から特徴的シグナルを選択した。
【0136】
中間体3
tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
【0137】
【化19】
CH2Cl2(5mL)中の(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸(100mg、0.16mmol)及びチオモルホリン1,1-ジオキシド(25mg、0.19mmol)の溶液に、DIPEA(0.14mL、0.78mmol)、続いてHATU(89mg、0.23mmol)を添加した。溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗混合物をシリカゲル上で精製して、標題化合物(115mg、97%)を固体として得た。MS: m/e 758.6 (M+H)+, 2.80分 (方法1). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=14.3 Hz, 1H), 7.17 (d, J=8.3 Hz, 2H), 6.31 (d, J=15.6 Hz, 1H), 5.28 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.74 (s, 1H), 4.64 (s, 1H), 4.20 - 4.04 (m, 4H), 3.17 - 3.01 (m, 4H), 2.57 (dt, J=11.1, 5.9 Hz, 1H), 2.10 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.96 - 0.85 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.60 (s, 9H), 1.03 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.92 (s, 6H).
【0138】
中間体4
2-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)-2-オキソ酢酸の調製
【0139】
【化20】
【0140】
ステップ1:(1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-カルボン酸の調製
tert-BuOH(2mL)及びTHF(2mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-ホルミル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(150mg、0.25mmol)の溶液に、2-メチルブタ-2-エン(2mL、24mmol)を添加した。H2O(4mL)中の亜塩素酸ナトリウム(227mg、2.5mmol)及び第一リン酸ナトリウム一水和物(450mg、3.3mmol)の溶液を、10分間かけて滴下添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をH2O(5mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物をシリカゲル上で精製して、生成物(121mg、79%)を固体として得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.17 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.28 (dd, J=6.0, 1.8 Hz, 1H), 4.76 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.63 (s, 1H), 3.03 (td, J=10.9, 4.4 Hz, 1H), 2.32 - 2.23 (m, 1H), 2.11 (dd, J=17.4, 6.7 Hz, 1H), 2.06 - 0.89 (m, 20H), 1.71 (s, 3H), 1.60 (s, 9H), 1.02 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.92 (s, 6H).
【0141】
ステップ2:tert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(クロロカルボニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
CH2Cl2(5mL)中のステップ1からの(1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-カルボン酸(60mg、0.1mmol)の溶液に、二塩化オキサリル(CH2Cl2中2M)(0.075mL、0.15mmol)、続いてDMF(0.76μL、0.01mmol)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮して、粗生成物を固体として得た。
【0142】
ステップ3:α-ケト-シアノ硫黄イリドの調製
CH2Cl2(5mL)中のステップ2からのtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(クロロカルボニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(62mg、0.098mmol)、1-(シアノメチル)テトラヒドロ-1H-チオフェン-1-イウムブロミド[Ju, L.; Lippert, A. R.; Bode, J. W. J. Am. Chem. Soc. 2008、130、4253〜4255](31mg、0.15mmol)及びDMAP(0.6mg、4.9μmol)の溶液に、DIPEA(0.05mL、0.29mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。追加の1-(シアノメチル)テトラヒドロ-1H-チオフェン-1-イウムブロミド(31mg、0.15mmol)を添加し、撹拌を終夜続けた。反応物をNH4Cl(5mL)でクエンチし、CH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物(14mg、20%)を固体として得た。MS: m/e 724.5 (M+H)+, 3.71分 (方法1). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.18 (d, J=8.0 Hz, 2H), 5.28 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.76 (s, 1H), 4.64 (s, 1H), 3.10 - 3.00 (m, 1H), 2.38 - 2.28 (m, 1H), 2.24 (d, J=12.0 Hz, 1H), 2.12 (dd, J=17.1, 6.3 Hz, 1H), 2.07 - 1.95 (m, 2H), 1.80 - 1.07 (m, 25H), 1.72 (s, 3H), 1.60 (s, 9H), 1.05 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.93 (s, 6H).
【0143】
ステップ4:DMF(2mL)及びH2O(1mL)中のステップ3からの生成物(14mg、0.02mmol)の懸濁液に、オキソン(48mg、0.08mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をH2Oで洗浄し、固体を濾過により収集し、H2Oで洗浄し、真空下で乾燥させて、2-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)-2-オキソ酢酸を含有する粗製物を得、これをさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。MS: m/e 643.6 (M+H)+, 2.71分(方法4)。
【0144】
[実施例1]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-2-カルボキシビニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0145】
【化21】
メタノール(5mL)とジオキサン(4mL)との混合物中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(163mg、0.244mmol)を、LiOH(1N、1.0mL、1.0mmol)で処理した。混合物を80℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応物を過剰のHCl(0.5N)で中和した。有機物質を酢酸エチルで抽出した。溶媒を真空中で除去して、ガラス状物質を得、これを、分取HPLCを用いて精製して、標題化合物を白色固体(85mg、60%)として得た。MS: m/e 585.4 (M+H)+, 6.02分 (方法5). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.94 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.32 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.24 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.94 (d, J=16.3 Hz, 1H), 5.32 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.79 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.67 - 4.63 (m, 1H), 2.58 (td, J=11.1, 5.1 Hz, 1H), 2.17 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.98 - 1.78 (m, 5H), 1.75 (s, 3H), 1.73 - 1.64 (m, 4H), 1.63 - 1.55 (m, 4H), 1.49 (dd, J=12.5, 3.5 Hz, 5H), 1.40 - 1.28 (m, 3H), 1.22 - 1.11 (m, 2H), 1.09 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.97 (s, 3H).
【0146】
[実施例2]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0147】
【化22】
【0148】
ステップ1:メチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
CH2Cl2(2mL)中の粗製のメチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-クロロ-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(40mg、0.061mmol)の溶液に、2-(ジメチルアミノ)エタンイミニウム(8mg、0.09mmol)、HATU(35mg、0.09mmol)、DIPEA(0.05mL、0.3mmol)及びDMAP(0.4mg、0.003mmol)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、標題化合物(6mg、15%)を固体として得た。MS: m/e 669.6 (M+H)+, 1.87分 (方法3). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.23 (br. s, 1H), 7.77 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.28(d, J=16.0 Hz, 1H), 7.19 (d, J=7.8 Hz, 2H), 5.93 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.27 (d, J=4.3 Hz, 1H), 4.75 (s, 1H), 4.63 (s, 1H), 3.94 - 3.85 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.40 - 3.29 (m, 2H), 2.92 (s, 6H), 2.59 - 2.50(m, 1H), 2.10 (dd, J=16.1, 5.3 Hz, 1H), 1.95 - 0.85 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.02 (s, 6H), 0.97 (s, 3H), 0.91 (s, 6H).
【0149】
ステップ2:1,4-ジオキサン(1mL)及びMeOH(1mL)中のメチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(6mg、0.009mmol)の溶液に、1N NaOH(0.5mL、0.500mmol)を添加した。溶液を65℃で2時間加熱した。粗混合物を1N HClで中和し、減圧下で濃縮し、残留物をCH2Cl2(5mL)とH2O(5mL)との間で分配した。有機層をH2O(5mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、生成物(4.3mg、73%)を固体として得た。MS: m/e 655.7 (M+H)+, 1.77分 (方法3). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ7.77 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.30 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.23 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.91 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.29 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.76 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 3.75 (t, J=5.8 Hz, 2H), 3.37 (t, J=5.8 Hz, 2H), 2.98 (s, 6H), 2.54 (td, J=11.0, 5.3 Hz, 1H), 2.14 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.96 - 0.88 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.93 (s, 3H).
【0150】
[実施例3]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0151】
【化23】
【0152】
ステップ1:メチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
反応剤としてチオモルホリン1,1-ジオキシドを使用し、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製のためのステップ1に記載した手順に従って、標題化合物(固体、収率12%)を中間体2から調製した。MS: m/e 716.6 (M+H)+, 2.42分 (方法3). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.33 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=16.0 Hz, 1H), 7.22 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.93 (d, J=16.3 Hz, 1H), 5.29 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.75 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.63 (s, 1H), 4.25 - 4.03 (m, J=17.6 Hz, 4H), 3.78 (s, 3H), 3.21 - 2.99 (m, J=16.3 Hz, 4H), 2.55 (dt, J=11.0, 5.5 Hz, 1H), 2.11 (dd, J=17.1, 6.3 Hz, 1H), 1.95 - 0.86 (m, 21H), 1.71 (s, 3H), 1.02 (s, 6H), 0.97 (s, 3H), 0.93 (s, 6H).
【0153】
ステップ2:4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製のためのステップ2に記載した手順に従って、標題化合物(固体、収率31%)を調製した。MS: m/e 702.6 (M+H)+, 2.12分 (方法3). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.91 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.21 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.91 (d, J=16.3 Hz, 1H), 5.29 (dd, J=6.1, 1.9 Hz, 1H), 4.76 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 4.23 - 3.88 (m, 2H), 3.30 - 3.15 (m, 6H), 2.55 (dt, J=10.9, 5.6 Hz, 1H), 2.15 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.96 - 0.84 (m, 21H). 1.73 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0154】
[実施例4]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0155】
【化24】
【0156】
ステップ1:メチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
反応剤として4-(3-アミノプロピル)チオモルホリン1,1-ジオキシドを使用し、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製のためのステップ1に記載した手順に従って、標題化合物(固体、収率12%)を中間体2から調製した。MS: m/e 773.5 (M+H)+, 1.94分 (方法3). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.72 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.29 (d, J=16.0 Hz, 1H), 7.22 (d, J=8.0 Hz, 2H), 5.93 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.28 (d, J=5.3 Hz, 1H), 4.75 (s, 1H), 4.63 (s, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.73 - 3.65 (m, 4H), 3.63 - 3.55 (m, 2H), 3.53 - 3.47 (m, 4H), 3.25 (t, J=6.4 Hz, 2H), 2.54 (td, J=10.9, 5.0 Hz, 1H), 2.21 - 2.11 (m, 2H), 2.11 (dd, J=17.6, 6.5 Hz, 1H), 1.95 - 0.85 (m, 21H), 1.71 (s, 3H), 1.02 (s, 6H), 0.97 (s, 3H), 0.92 (s, 6H).
【0157】
ステップ2:4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製のためのステップ2に記載した手順に従って、標題化合物(固体、63%)を調製した。MS: m/e 759.7 (M+H)+, 1.82分 (方法3). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.75 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.30 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.22 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.91 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.28 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.76 (d, J=1.5 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 3.65 - 3.60 (m, 4H), 3.50 (t, J=6.5 Hz, 2H), 3.46 - 3.42 (m, 4H), 3.16 (t, J=7.3 Hz, 2H), 2.54 (td, J=11.0, 5.1 Hz, 1H), 2.14 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 2.01 (五重線, J=6.8 Hz, 2H), 1.96 - 0.87 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.93 (s, 3H).
【0158】
[実施例5]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(メトキシ(メチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0159】
【化25】
【0160】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(メトキシ(メチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
CH2Cl2(2mL)中の(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸(100mg、0.16mmol)及びN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(18mg、0.18mmol)の溶液に、DIPEA(0.14mL、0.78mmol)、続いてHATU(89mg、0.23mmol)を添加した。溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(101mg、95%)を固体として得た。MS: m/e 684.6 (M+H)+, 3.12分 (方法3). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.31 (d, J=17.3 Hz, 1H), 7.17 (d, J=8.5 Hz, 2H), 6.50 (d, J=17.1 Hz, 1H), 5.28 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.74 (d, J=1.3 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.29 (s, 3H), 2.60 (td, J=11.1, 4.9 Hz, 1H), 2.10 (dd, J=17.1, 6.3 Hz, 1H), 1.98 - 0.86 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.56 (s, 9H), 1.02 (s, 6H), 0.97 (s, 3H), 0.92 (s, 6H).
【0161】
ステップ2:CH2Cl2(2mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(メトキシ(メチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(20mg、0.03mmol)の溶液に、TFA(0.5mL)を添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(メトキシ(メチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(12mg、64%)を固体として得た。MS: m/e 628.5 (M+H)+, 2.20分 (方法3). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.91 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.27 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.21 (d, J=8.5 Hz, 2H), 6.56 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.29 (dd, J=6.3, 1.8 Hz, 1H), 4.75 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.27 (s, 3H), 2.58 (td, J=10.9, 5.6 Hz, 1H), 2.15 (dd, J=17.3, 6.5 Hz, 1H), 1.99 - 0.88 (m, 21H), 1.73 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0162】
[実施例6]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0163】
【化26】
【0164】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
トルエン(1mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(15mg、0.020mmol)の溶液に、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(0.02mL、0.1mmol)及び塩化白金酸(THF中0.04M)(0.05mL、0.002mmol)を添加した。得られた褐色溶液を50℃で24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮して、さらに精製することなく粗生成物を得た。MS: m/e 744.6 (M+H)+, 2.30分(方法3)。
【0165】
ステップ2:CH2Cl2(2mL)中のステップ1からの粗製のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(14mg、0.02mmol)の溶液に、TFA(0.3mL)を添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(2mg、13%)を固体として得た。MS: m/e 688.5 (M+H)+, 1.83分 (方法3). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.91 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.21 (d, J=8.3 Hz, 2H), 6.36 (d, J=15.8 Hz, 1H), 5.73 - 5.65 (m, 1H), 5.29 (dd, J=6.0, 1.5 Hz, 1H), 4.74 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.62 (s, 1H), 3.86 (d, J=7.0 Hz, 2H), 3.70 - 3.63 (m, 4H), 3.50 - 3.45 (m, 4H), 2.54 (td, J=11.2, 5.0 Hz, 1H), 2.15 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.97 - 0.85 (m, 21H), 1.72 (s, 3H), 1.08 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0166】
[実施例7]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロピル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0167】
【化27】
【0168】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロピル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
トルエン(5mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(50mg、0.066mmol)の溶液に、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(0.058mL、0.330mmol)、続いて塩化白金酸(THF中0.04M)(0.082mL、3.30μmol)を添加した。得られた褐色溶液を70℃で24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(41mg、82%)を固体として得た。MS: m/e 760.7 (M+H)+, 2.88分 (方法1). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.89 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.18 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.28 (dd, J=6.1, 1.6 Hz, 1H), 4.72 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.61 (s, 1H), 4.17 - 4.09 (m, 2H), 4.03 - 3.96 (m, 2H), 3.10 - 3.05 (m, 4H), 2.50 (td, J=11.0, 5.6 Hz, 1H), 2.37 - 2.17 (m, 2H), 2.11 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.96 - 0.86 (m, 23H), 1.60 (s, 9H), 1.10 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.92 (s, 3H).
【0169】
ステップ2:ジオキサン(1mL)及びMeOH(0.5mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロピル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(ステップ1)(15mg、0.020mmol)の溶液に、1N NaOH(0.5mL、0.500mmol)を添加した。得られた混合物を50℃で24時間撹拌した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)-3-オキソプロピル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(7mg、49%)を固体として得た。MS: m/e 704.5 (M+H)+, 1.88分 (方法1). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.00 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.24 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.31 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.72 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.61 (s, 1H), 4.19 - 4.10 (m, 2H), 4.04 - 3.98 (m, 2H), 3.12 - 3.06 (m, 4H), 2.50 (td, J=11.1, 5.9 Hz, 1H), 2.39 - 2.19 (m, 2H), 2.12 (dd, J=17.3, 6.3 Hz, 1H), 1.96 - 0.89 (m, 23H), 1.70 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0170】
[実施例8]
4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0171】
【化28】
【0172】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
CH2Cl2(2mL)中の2-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)-2-オキソ酢酸(中間体4)(13mg、0.02mmol)及び4-(3-アミノプロピル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(8mg、0.04mmol)の溶液に、DIPEA(0.02mL、0.1mmol)、続いてHATU(12mg、0.03mmol)を添加した。得られた溶液を室温で2日間撹拌した。LC/MSは、反応が完了しておらず約50%の変換であることを示した。追加の4-(3-アミノプロピル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(16mg、0.08mmol)、HATU(24mg、0.06mmol)及びDMAP(3mg、0.025mmol)を添加した。混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、H2O(5mL)及びブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物を固体(16mg)として得、これをさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。MS: m/e 817.6 (M+H)+, 3.46分(方法1)。
【0173】
ステップ2:1,4-ジオキサン(2mL)及びMeOH(1mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートを含有するステップ1からの粗製物(16mg、0.02mmol)の溶液に、1N NaOH(1mL)を添加した。混合物を80℃で8時間撹拌した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((3-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)プロピル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(6mg、収率38%)を固体として得た。MS: m/e 761.5 (M+H)+, 2.91分 (方法1). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.92 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.22 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.30 (dd, J=6.0, 1.8 Hz, 1H), 4.72 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.61 (s, 1H), 3.65 - 3.58 (m, 4H), 3.47 - 3.41 (m, 4H), 3.15 - 3.08 (m, 2H), 2.94 (td, J=10.9, 4.8 Hz, 1H), 2.81 (dt, J=13.6, 2.9 Hz, 1H), 2.48 - 2.35 (m, 2H), 2.16 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 1.99 - 1.89 (m, 2H), 1.83 - 0.88 (m, 20H), 1.71 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0174】
[実施例9]
4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0175】
【化29】
【0176】
ステップ1:tert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
DCM(2mL)中の2-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)-2-オキソ酢酸(中間体4)(28mg、0.044mmol)、4-(2-アミノエチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(16mg、0.087mmol)及びDMAP(3mg、0.025mmol)の溶液に、DIPEA(0.08mL、0.5mmol)、続いてHATU(25mg、0.07mmol)を添加した。得られた溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、H2O(5mL)、続いてブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を固体として得た。MS: m/e 803.6 (M+H)+, 3.65分(方法1)。
【0177】
ステップ2:1,4-ジオキサン(2mL)及びMeOH(1mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(35mg、0.044mmol)の溶液に、1N NaOH(1mL)を添加した。混合物を75℃で4時間撹拌した。粗混合物を分取HPLCにより精製して、4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)-2-オキソアセチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(5mg、収率15%)を固体として得た。MS: m/e 747.5 (M+H)+, 2.99分 (方法1). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.92 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.22 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.30 (dd, J=6.1, 1.4 Hz, 1H), 4.72 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.61 (s, 1H), 3.52 - 3.40 (m, 2H), 3.37 -3.32 (m, 2H), 3.26 - 3.20 (m, 4H), 2.99 - 2.91 (m, 3H), 2.82 (dt, J=13.7, 2.7 Hz, 1H), 2.46 - 2.36 (m, 2H), 2.19 - 2.11 (m, 1H), 1.81 - 0.84 (m, 20H), 1.71 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.94 (s, 3H).
【0178】
[実施例10]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0179】
【化30】
【0180】
ステップ1.(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸の調製
tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(300mg、0.448mmol)をジオキサン(2mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(1N、2mL)を滴下添加した。得られた溶液を24時間撹拌した。混合物を、HCl(1N)を添加して約pH4に酸性化した。揮発物を真空下で除去し、残留物をCH2Cl2で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を蒸発乾固させた。粗物質を、最初に酢酸エチル/ヘキサン(2〜8%)、続いてMeOH/CH2Cl2(1〜3%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を白色固体(200mg、69%)として得た。MS: m/e 585.47 (M-56+H)+, 3.89分 (方法6). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.94 - 7.80 (m, 2H), 7.43 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.24 - 7.08 (m, 2H), 5.97 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.31 - 5.28 (m, 1H), 4.77 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.65 (s, 1H), 2.56 (td, J=11.0, 5.0 Hz, 1H), 2.18 - 2.08 (m, 1H), 2.01 - 1.87 (m, 2H), 1.86 - 1.76 (m, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.72 - 1.64 (m, 4H), 1.61 (s, 9H), 1.58 - 1.38 (m, 5H), 1.36 - 1.21 (m, 6H), 1.20 - 1.07 (m, 2H), 1.04 (s, 6H), 1.00 (s, 3H), 0.94 (s, 6H).
【0181】
ステップ2.tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-アジド-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
0℃のDCM(5mL)中の(E)-3-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-9-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-イル)アクリル酸(200mg、0.312mmol)の溶液に、DPPA(0.074mL、0.343mmol)、続いてトリエチルアミン(0.065mL、0.468mmol)を添加した。得られた溶液を4時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。粗物質を、酢酸エチル/ヘキサンの混合物(1%〜4%)で溶出するシリカゲルを用いて精製して、標題化合物を白色固体(140mg、67.3%)として得た。MS: m/e 610.48 (M-56+H)+, 4.86分 (方法6). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.00 - 7.82 (m, 2H), 7.40 (d, J=16.1 Hz, 1H), 7.21 - 7.14 (m, 2H), 5.94 (d, J=16.1 Hz, 1H), 5.29 (dd, J=6.3, 1.8 Hz, 1H), 4.77 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.65 (d, J=1.5 Hz, 1H), 2.53 (d, J=5.0 Hz, 1H), 2.12 (dd, J=17.1, 6.5 Hz, 1H), 2.00 - 1.84 (m, 2H), 1.77 (br. s., 1H), 1.73 (s, 3H), 1.72 - 1.64 (m, 4H), 1.61 (s, 9H), 1.51 - 1.06 (m, 14H), 1.04 - 1.01 (m, 6H), 0.99 (s, 3H), 0.94 (s, 6H).
【0182】
ステップ3.tert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-2-イソシアナトビニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
トルエン(10mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-3-アジド-3-オキソプロパ-1-エニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(140mg、0.21mmol)の溶液を、80℃に3時間加温した。溶媒を減圧下で除去した。得られた残留黄色油状物を、シリカゲルを用いて精製して、標題化合物を白色固体(140mg、約100%)として得た。MS: m/e 670.56 (M+31+H)+, 3.98分(方法6)。
【0183】
ステップ4.tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(2-オキソエチル)-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
ジオキサン(10mL)及び水(10.00mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-((E)-2-イソシアナトビニル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(160mg、0.251mmol)の溶液に、PPTS(31.5mg、0.125mmol)を添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。上部に浮遊している白色固体が観察された。混合物を減圧下で濃縮してジオキサンを除去し、水性残留物をCH2Cl2(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、標題化合物を白色固体(140mg、91%)として得た。粗生成物をさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。MS: m/e 613.66 (M+H)+, 4.06分 (方法6). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 9.86 (s, 1H), 8.04 - 7.78 (m, 2H), 7.23 - 7.00 (m, 2H), 5.29 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.73 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.63 - 4.48 (m, 1H), 2.66 - 2.53 (m, 1H), 2.45 - 2.31 (m, 1H), 2.11 (d, J=17.1 Hz, 2H), 2.07 - 1.95 (m, 1H), 1.94 - 1.82 (m, 2H), 1.80 - 1.65 (m, 4H), 1.72 (s, 3H), 1.61 (s, 9H), 1.55 - 1.38 (m, 7H), 1.27 (m, 4H), 1.12 (m, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 1.01 - 0.99 (s, 3H), 0.94 (s, 6H).
【0184】
ステップ5.tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
DCE(2mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(2-オキソエチル)-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(50mg、0.082mmol)の溶液に、酢酸(0.014mL、0.245mmol)及びチオモルホリン1,1-ジオキシド(25.4mg、0.188mmol)を添加した。混合物は、最初は濁ったが、10分後には透明溶液になった。混合物を室温で2時間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(86mg、0.408mmol)を添加し、撹拌を72時間続けた。得られた混合物を飽和NaHCO3(7mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×7mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で脱水し、乾燥剤を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を、最初にヘキサン/アセトンの混合物、続いてMeOH/CH2Cl2で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、標題化合物を白色固体(50mg、83%)として得た。MS: m/e 732.73 (M+H)+, 3.01分 (方法6). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.93 - 7.83 (m, 2H), 7.23 - 7.09 (m, 2H), 5.30 - 5.25 (m, 1H), 4.71 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.62 - 4.58 (m, 1H), 3.36 - 3.29 (m, 4H), 3.13 - 3.06 (m, 4H), 3.06 - 3.00 (m, 2H), 2.54 - 2.37 (m, 2H), 2.11 (dd, J=17.2, 6.4 Hz, 1H), 2.00 - 1.78 (m, 3H), 1.74 (m, 4H), 1.70 (s, 3H), 1.67 - 1.62 (m, 2H), 1.60 (s, 9H), 1.56 - 1.17 (m, 11H), 1.11 - 1.08 (m, 3H), 1.07 - 1.03 (m, 2H), 1.01 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.93 (s, 6H).
【0185】
ステップ6.ジオキサン(2mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(50mg、0.068mmole)の溶液に、NaOH(1N、0.5mL、0.500mmol)を添加した。反応混合物を70℃まで5時間加熱した。得られた溶液を分取HPLC(方法1)により精製して、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸を白色固体(16.7mg、33%)として得た。MS: m/e 676.69 (M+H)+, 2.73分 (方法6). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.93 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.18 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.27 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.69 (s, 1H), 4.58 (s, 1H), 3.25 (br. s., 8H), 2.69 (br. s., 2H), 2.45 - 2.32 (m, 2H), 2.17 - 2.06 (m, 1H), 2.06 (s, 1H), 1.95 - 1.72 (m, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.68 - 1.11 (m, 18H), 1.07 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.91 (s, 3H).
【0186】
[実施例11]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0187】
【化31】
【0188】
ステップ1.tert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエートの調製
反応剤として4-(2-アミノエチル)チオモルホリン1,1-ジオキシドを使用し、4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製のステップ5に上記した手順に従って、標題化合物を収率79%で調製した。MS: m/e 775.79 (M+H)+, 2.99分(方法6)。
【0189】
ステップ2:CH2Cl2(5mL)中のtert-ブチル4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)ベンゾエート(16mg、0.021mmol)の溶液に、TFA(0.016mL、0.2mmol)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、オフホワイトの泡状物を得、これをMeOH(4mL)に溶解し、分取HPLC(方法1)により精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して、標題化合物を白色固体(10mg、約64%)として得た。MS: m/e 719.74 (M+H)+, 2.71分 (方法6). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.01 - 7.87 (m, 2H), 7.24 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.33 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.75 (d, J=2.0 Hz, 1H), 4.64 (s, 1H), 3.24 - 3.19 (m, 2H), 3.16 (d, J=6.3 Hz, 4H), 3.13 - 3.07 (m, 4H), 3.02 (dd, J=12.3, 4.3 Hz, 2H), 2.92 - 2.83 (m, 2H), 2.52 (d, J=5.8 Hz, 1H), 2.18 (dd, J=17.1, 6.5 Hz, 1H), 2.01 (d, J=11.5 Hz, 2H), 1.94 - 1.76 (m, 3H), 1.75 (s, 3H), 1.73 - 1.23 (m, 15H), 1.21 (s, 3H), 1.18 (m, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.97 (s, 3H).
【0190】
[実施例12]
4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)(メチル)アミノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸の調製
【0191】
【化32】
MeOH(2mL)中の4-((1R,3aR,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)アミノ)エチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)安息香酸(20mg、0.028mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(0.835mg、0.028mmol)及び酢酸(1.670mg、0.028mmol)を添加した。最初は濁った懸濁液が形成されたが、これは10分後に透明になった。溶液を室温で19分間撹拌し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.748mg、0.028mmol)を添加し、混合物を2時間撹拌した。得られた混合物を分取HPLC(方法1)により精製して、標題化合物を白色固体(10mg、46.6%)として得た。MS: m/e 733.7(M+H)+, 2.70分 (方法6). 1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ7.93 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.22 (d, J=8.3 Hz, 2H), 5.31 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.75 (s, 1H), 4.64 (s, 1H), 3.30 - 3.06 (m, 12H), 3.04 - 2.83 (m, 5H), 2.52 (d, J=4.5 Hz, 1H), 2.15 (dd, J=16.9, 6.1 Hz, 1H), 2.05 - 1.75 (m, 5H), 1.73 (s, 3H), 1.72 - 1.20 (m, 18H), 1.18 (s, 3H), 1.08 (s, 3 H), 1.04 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.96 (br. s., 3H).
【0192】
セクション2
LC/MS方法1A
開始%B=2、1.5分間の勾配で最終%B=98、98%Bで保持
流速=0.8mL/分
波長=220nm
溶媒A=100%水、0.05%TFA
溶媒B=100%アセトニトリル、0.05%TFA
カラム=Waters Aquity BEH C18 2.1×50mm 1.7ミクロン
【0193】
LC/MS方法2A
開始%B=0、2分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
流速=1mL/分
波長=220nm
溶媒A=90%水、10%アセトニトリル、0.1%TFA
溶媒B=10%水、90%アセトニトリル、0.1%TFA
カラム=Phenomenex LUNA C18、3μm、2.0×30mm
【0194】
分取HPLC方法1A
開始%B=25、20分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
溶媒A=10%ACN-90%H2O-0.1%TFA
溶媒B=90%ACN-10%H2O-0.1%TFA
カラム=Waters Sunfire 30×100mm S5
流速=40mL/分
【0195】
分取HPLC方法2A
開始%B=25、15分間の勾配で最終%B=100、100%Bで保持
溶媒A=10%ACN-90%H2O-0.1%TFA
溶媒B=90%ACN-10%H2O-0.1%TFA
カラム=Waters-Sunfire 30×100mm S5
流速=40mL/分
【0196】
[実施例13及び実施例14]
(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸(異性体1及び異性体2)の調製
【0197】
【化33】
【0198】
ステップ1:(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,9S,11aR,11bR,13aR,13bR)-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチルイコサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-オールの調製
エタノール(100mL)及びジクロロメタン(100mL)中の(1R,3aS,5aR,5bR,7aR,9S,11aR,11bR,13aR,13bR)-3a-(ヒドロキシメチル)-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-1-(プロパ-1-エン-2-イル)イコサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-オール(10g、22.59mmol)の懸濁液を含有するフラスコに、10%パラジウム炭素(1.202g、1.129mmol)を添加した。混合物を1atmの水素下で18時間撹拌し、次いで水素を排気し、セライトを添加した。混合物をセライトのパッドで慎重に濾過し、エタノールとジクロロメタンとの混合物(1:1)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、1.53gの生成物を白色固体として得た。残りの物質がまだ溶解していなかったので、セライトパッドをクロロホルムとメタノールとの混合物で希釈し、数分間撹拌した。混合物を再度濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。形成された固体を水で希釈し、濾過により収集した。次いでこれらを水で洗浄して、標題生成物(8.6g、19.3mmol、収率85%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 3.79 (dd, J=10.6, 4.7 Hz, 1H), 3.32 (dd, J=10.9, 4.3 Hz, 1H), 3.21 (dt, J=11.0, 5.5 Hz, 1H), 1.94 - 1.78 (m, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 1.78 - 0.67 (m, 37H).
【0199】
ステップ2:(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-9-オキソイコサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-カルバルデヒドの調製
ジクロロメタン(100mL)中の(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,9S,11aR,11bR,13aR,13bR)-3a-(ヒドロキシメチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチルイコサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-オール(1.53g、3.44mmol)の懸濁液に、クロロクロム酸ピリジニウム(1.854g、8.60mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、次いでシリカゲル及びセライトのプラグに通して濾過した。プラグをジクロロメタンで、次いで1:1のヘキサン中酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物(1.5g、3.4mmol、収率99%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 9.66 (d, J=1.3 Hz, 1H), 2.55 - 2.47 (m, 1H), 2.45 - 2.38 (m, 1H), 2.23 - 2.16 (m, 1H), 2.13 - 2.08 (m, 1H), 2.04 (td, J=12.1, 4.0 Hz, 1H), 1.96 - 1.86 (m, 2H), 1.77 - 1.67 (m, 2H), 1.08 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 1.57 - 0.93 (m, 17H), 0.89 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.79 (d, J=6.8 Hz, 3H).
【0200】
ステップ3:(1S,3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-ビニルオクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9(5bH)-オンの調製
THF(15mL)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.581g、4.42mmol)の懸濁液を0℃に冷却し、カリウムtert-ブトキシド(THF中1M)(4.77mL、4.77mmol)を添加した。混合物を氷浴から取り出し、30分間撹拌した。混合物に、THF(15mL)中の(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-9-オキソイコサヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-3a-カルバルデヒド(1.5g、3.40mmol)の溶液を添加した。15分撹拌した後、TLCは、出発物質が残っていないことを示した。反応物を水(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン中0〜25%酢酸エチルの勾配及び80gのシリカゲルカラムを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して、標題生成物(1.1g、2.507mmol、収率73.7%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ = 5.99 (dd, J=17.7, 11.1 Hz, 1H), 5.11 (dd, J=11.1, 1.2 Hz, 1H), 5.07 (dd, J=17.8, 1.6 Hz, 1H), 2.55 - 2.46 (m, 1H), 2.45 - 2.38 (m, 1H), 1.08 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.86 (d, J=6.8 Hz, 3H), 1.97 - 0.82 (m, 24H), 0.79 (d, J=6.8 Hz, 3H).
【0201】
ステップ4:(1S,3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-ビニル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イルトリフルオロメタンスルホネートの調製
THF(20mL)中の(1S,3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-ビニルオクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9(5bH)-オン(1.1g、2.507mmol)及び1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-((トリフルオロメチル)スルホニル)メタンスルホンアミド(0.985g、2.76mmol)の溶液を-78℃に冷却し、LiHMDS(THF中1M)(3.76mL、3.76mmol)をゆっくりと添加した。混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで氷浴から取り出し、室温に加温した。室温で3時間撹拌した後、混合物を水(40mL)で希釈し、酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン中0〜5%酢酸エチルの勾配及び80gのシリカゲルカラムを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して、標題化合物(1.36g、2.383mmol、収率95%)を白色固体として得た。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ = 5.99 (dd, J=17.7, 11.1 Hz, 1H), 5.57 (dd, J=6.8, 2.0 Hz, 1H), 5.12 (dd, J=11.1, 1.3 Hz, 1H), 5.07 (dd, J=17.8, 1.6 Hz, 1H), 2.18 (dd, J=17.1, 6.9 Hz, 1H), 1.13 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 1.93 - 0.90 (m, 23H), 0.87 (d, J=6.9 Hz, 3H), 0.79 (d, J=6.6 Hz, 3H). 19F NMR (471MHz, クロロホルム-d) δ -74.84 (s, 1F).
【0202】
ステップ5:(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(オキシラン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イルトリフルオロメタンスルホネートの調製
この反応は、J. Am. Chem. Soc. 1997、119、6189〜6190におけるエポキシ化手順から変更した。(1S,3aR,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-ビニル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イルトリフルオロメタンスルホネート(1.36g、2.383mmol)及びメチルトリオキソレニウム(VII)(0.030g、0.119mmol)を含有するフラスコに、ジクロロメタン(15mL)、続いてピリジン(0.023mL、0.286mmol)、最後に過酸化水素(30%)(0.365mL、3.57mmol)を滴下添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで追加の365μLの過酸化水素を添加し、混合物を室温でさらに撹拌した。室温でさらに7日間撹拌した後、混合物を水(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を10mgのMnO2で処理し、次いで硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物では、出発物質から所望のエポキシド(ジアステレオマーの65:35混合物)へのきれいな変換が1H NMRにより示された。粗生成物をシリカゲル及びセライトのプラグに通過させ(DCMで、次いで1:1 EtOAc:ヘキサンで洗浄)、濾液を減圧下で濃縮して、1.36gの所望の生成物をジアステレオ異性体の65:35混合物として得た。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 5.60 - 5.57 (m, 1H), 3.09 - 3.07 (m, 0.35H), 3.07-3.05 (m, 0.65H), 2.80 - 2.77 (m, 0.65H), 2.73 - 2.70 (m, 0.35H), 2.74 - 2.69 (m, 1H), 2.64 - 2.60 (m, 3H), 2.25 - 2.16 (m, 1H), 2.23 - 2.16 (m, 1H), 2.14 - 0.75 (m, 44H).
【0203】
ステップ6:(S)-ベンジル1-(フルオロメチル)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(オキシラン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)シクロヘキサ-3-エンカルボキシレートの調製
(1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aR,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(オキシラン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イルトリフルオロメタンスルホネート(1.06g、1.806mmol)を含有するバイアルに、(S)-ベンジル1-(フルオロメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(0.845g、2.258mmol)、リン酸カリウム塩(1.150g、5.42mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.020g、0.090mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル(S-phos)(0.056g、0.135mmol)を添加した。混合物を窒素でフラッシュし、次いでバイアルを密封し、75℃に加熱した。16時間加熱した後、混合物を室温に冷却し、減圧下で部分的に濃縮した。混合物を水(25mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン中0〜20%EtOAcの勾配及び80gのシリカゲルカラムを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して、生成物を白色泡状物(比が0.65:0.35のエポキシド異性体)として得た。粗製物をさらに精製することなく次のステップに持ち込んだ。1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 7.39 - 7.30 (m, 5H), 5.33 (br. s., 1H), 5.22 - 5.15 (m, 2H), 5.14 (d, J=5.8 Hz, 1H), 4.61 - 4.46 (m, 2H), 3.10 (t, J=3.4 Hz, 0.35H), 3.07 (t, J=3.2 Hz, 0.65H), 2.79 (t, J=4.5 Hz, 0.65H), 2.71 (t, J=4.5 Hz, 0.35H), 2.65 - 2.56 (m, 2H), 2.22 - 0.74 (m, 50H).
【0204】
ステップ7:(S)-ベンジル4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(異性体1及び異性体2)の調製
(S)-ベンジル1-(フルオロメチル)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-3a-(オキシラン-2-イル)-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)シクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(0.1g、0.146mmol)を含有するバイアルに、N,N-ジメチルエチレンジアミン(0.5mL、4.54mmol)を添加した。混合物を100℃に終夜87時間加熱し、次いで室温に冷却し、分取HPLC(方法1)により精製した。分離した2種の異性体のそれぞれを含有する画分を減圧下で濃縮して、異性体1(5.7mg)及び異性体2(10.2mg)をそれらのそれぞれのTFA塩として得た。
異性体1:LC/MS: m/e 773.45 (M+H)+, 1.62分 (方法1A). 1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 7.39 - 7.29 (m, 5H), 5.32 (br. s., 1H), 5.21 - 5.14 (m, 2H), 5.13 (dd, J=6.1, 1.7 Hz, 1H), 4.61 - 4.45 (m, 2H), 4.30 (d, J=10.9 Hz, 1H), 3.73 - 3.49 (m, 4H), 3.27 (d, J=10.4 Hz, 1H), 3.09 (t, J=11.7 Hz, 1H), 2.93 (s, 6H), 2.60 (d, J=17.3 Hz, 1H), 1.02 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.90 (s, 3H), 0.89 (s, 3H), 0.84 (s, 3H), 0.83 (d, J=7.1 Hz, 3H), 0.76 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.21 - 0.71 (m, 31H).
異性体2:LC/MS: m/e 773.45 (M+H)+, 1.63分 (方法1A). 1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ 7.41 - 7.31 (m, 5H), 5.34 (br. s., 1H), 5.22 - 5.16 (m, 2H), 5.15 (dd, J=6.0, 1.6 Hz, 1H), 4.63 - 4.45 (m, 3H), 3.72 - 3.52 (m, 4H), 3.19 (d, J=11.7 Hz, 1H), 3.11 - 3.04 (m, 1H), 2.95 (s, 6H), 2.62 (d, J=17.2 Hz, 1H), 1.05 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.91 (s, 3H), 0.86 (s, 3H), 0.84 (d, J=6.9 Hz, 3H), 0.77 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.24 - 0.68 (m, 31H).
【0205】
ステップ8:
実施例20:(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸、異性体1のための代表的な手順:1,4-ジオキサン(1mL)及びメタノール(0.2mL)中のステップ7からの異性体1(5.7mg)の溶液に、水酸化ナトリウム(1.0N)(0.037mL、0.037mmol)を添加した。混合物を70℃に8時間加熱し、次いで室温に冷却し、終夜撹拌した。混合物を分取HPLC(方法2A)により精製した。生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して、生成物を透明フィルム状物として得た。
【0206】
分取HPLC保持時間、方法2A=8.8分。2.0mgの異性体2を標題化合物のTFA塩として単離した。アルコールの立体化学は割り当てなかった。LC/MS: m/e 683.9 (M+H)+, 1.81分 (方法2A). 1H NMR (500MHz, 酢酸-d4) δ 5.37 (br. s., 1H), 5.23 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.62 - 4.45 (m, 2H), 4.36 (d, J=10.7 Hz, 1H), 3.86 - 3.78 (m, 1H), 3.76 - 3.64 (m, 3H), 3.56 (d, J=9.9 Hz, 1H), 3.25 (t, J=11.9 Hz, 1H), 2.99 (s, 6H), 2.59 (d, J=15.9 Hz, 1H), 1.10 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.86 (d, J=6.9 Hz, 3H), 2.33 - 0.84 (m, 29H), 0.80 (d, J=6.6 Hz, 3H).
【0207】
実施例21:異性体2を同じ手順を用いて調製したが、但し、反応は10.2mgのベンジルエステル及び0.066mLの1N NaOHから出発した。分取HPLC保持時間、方法2A=9.3分。3.9mgの異性体2を標題化合物のTFA塩として単離した。アルコールの立体化学は割り当てなかった。LC/MS: m/e 683.9 (M+H)+, 1.83分 (方法2A). 1H NMR (500MHz, 酢酸-d4) δ 5.37 (br. s., 1H), 5.23 (d, J=4.6 Hz, 1H), 4.63 - 4.45 (m, 3H), 3.83 - 3.65 (m, 4H), 3.39 (d, J=12.3 Hz, 1H), 3.30 - 3.20 (m, 1H), 3.01 (s, 6H), 2.59 (d, J=17.2 Hz, 1H), 1.11 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 2.32 - 0.89 (m, 29H), 0.86 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.79 (d, J=6.6 Hz, 3H).
【0208】
[実施例15]
(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((4-クロロベンジル)(2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸(異性体1)の調製
【0209】
【化34】
メタノール(1.0mL)及び酢酸(0.1mL)中の(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸、異性体1(0.028g)の懸濁液に、4-クロロベンズアルデヒド(6.34mg、0.045mmol)、続いてボラン-2-ピコリン錯体(4.82mg、0.045mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで追加の6mgの4-クロロベンズアルデヒド、続いて5mgのボラン-2-ピコリン錯体を添加した。混合物を室温でさらに5日間撹拌し、次いでメタノールで希釈し、濾過し、分取HPLCにより精製して、標題化合物を白色固体(14.3mg)として得た。1H NMR (500MHz, 酢酸-d4) δ 7.65 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.52 (d, J=8.4 Hz, 2H), 5.37 (br. s., 1H), 5.25 - 5.21 (m, 1H), 4.65 (d, J=13.1 Hz, 1H), 4.62 - 4.46 (m, 2H), 4.41 (d, J=12.9 Hz, 1H), 4.19 - 4.06 (m, 2H), 4.00 - 3.91 (m, 1H), 3.87 - 3.79 (m, 2H), 3.42 (d, J=12.5 Hz, 1H), 3.25 (t, J=12.3 Hz, 1H), 2.97 (s, 6H), 2.59 (d, J=16.4 Hz, 1H), 0.86 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.75 (d, J=6.6 Hz, 3H), 2.34 - 0.67 (m, 44H).
【0210】
[実施例16]
(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸、異性体2の調製
標題化合物を、そのジアステレオ異性体について上記した手順と同じ手順を用いて調製したが、但し、(S)-4-((1S,3aS,5aR,5bR,7aR,11aS,11bR,13aR,13bR)-3a-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-イソプロピル-5a,5b,8,8,11a-ペンタメチル-2,3,3a,4,5,5a,5b,6,7,7a,8,11,11a,11b,12,13,13a,13b-オクタデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]クリセン-9-イル)-1-(フルオロメチル)シクロヘキサ-3-エンカルボン酸を出発物質として使用した。16時間撹拌した後、追加の10mgの4-クロロベンズアルデヒド及び7.5mgのボラン-2-ピコリン錯体を混合物に添加した。そのジアステレオ異性体について後処理及び精製を上記の通り行って、標題化合物を白色固体(19.2mg)として得た。1H NMR (500MHz, 酢酸-d4) δ 7.67 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.50 (d, J=8.5 Hz, 2H), 5.37 (br. s., 1H), 5.22 (d, J=4.6 Hz, 1H), 4.69 (d, J=12.8 Hz, 1H), 4.62 - 4.43 (m, 3H), 4.07 - 3.98 (m, 3H), 3.92 - 3.85 (m, 2H), 3.53 - 3.36 (m, 2H), 3.01 (s, 6H), 2.59 (d, J=17.0 Hz, 1H), 0.84 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.75 (d, J=6.8 Hz, 3H), 2.37 - 0.65 (m, 44H).
【0211】
HIV細胞培養アッセイ-MT-2細胞及び293T細胞をNIH AIDS Research and Reference Reagent Programから得た。MT-2細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清、100μg/mLのペニシリンG及び100単位/mLまでのストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培地に繁殖させた。293T細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、100単位/mLのペニシリンG及び100μg/mLのストレプトマイシンを補充したDMEM培地に繁殖させた。NL4-3のプロウイルスDNAクローンは、NIH AIDS Research and Reference Reagent Programから得た。NL4-3のnef遺伝子のセクションがRenilla(ウミシイタケ)ルシフェラーゼ遺伝子に置き換えられている組換えNL4-3ウイルスを、標準ウイルスとして使用した。加えて、残基Gag P373をP373Sに変換した。簡潔には、組換えウイルスを、NL4-3の変更プロウイルスクローンの形質移入によって調製した。形質移入は、293T細胞において、Invitrogen(Carlsbad、CA)のLipofectAMINE PLUSを製造会社の使用説明書に従って使用することにより実施した。ルシフェラーゼ酵素活性をマーカーとして使用して、ウイルスをMT-2細胞に滴定した。ルシフェラーゼは、Promega(Madison、WI)のDual Luciferaseキットを、製造会社のプロトコールを変更して使用して定量化した。希釈Passive Lysis溶液を、再懸濁Luciferase Assay Reagent及び再懸濁Stop & Glo Substrateと予備混合した(2:1:1の比)。50μLの混合物をアッセイプレートの各吸引ウェルに加え、ルシフェラーゼ活性をWallac TriLux(Perkin-Elmer)により、直ちに測定した。組換えウイルスに対する阻害剤の抗ウイルス活性は、阻害剤の段階希釈の存在下でNLRluc組換え体により4〜5日間感染させた細胞のルシフェラーゼ活性を測定することによって定量化した。化合物のEC50データを表1に示す。EC50の生物学的データキー
【0212】
【表2】
【0213】
【表3】
【0214】
前述の記載は単なる説明であり、本発明の範囲又は基本原理を制限するものとして決して理解されるべきではない。事実、本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明の様々な変更が、以下の例及び前述の記載から当業者には明白である。そのような変更も、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)式Iの化合物
【化35】
及び式IIの化合物
【化36】
[式中、R1は、イソプロペニル又はイソプロピルであり、
Xは、フェニル、ヘテロアリール、C4〜8シクロアルキル、C4〜8シクロアルケニル、C4〜9スピロシクロアルキル、C4〜9スピロシクロアルケニル、C4〜8オキサシクロアルキル、C6〜8ジオキサシクロアルケニル、C6〜9オキサスピロシクロアルキル及びC6〜9オキサスピロシクロアルケニル環の群から選択され、
ここでXは、Aにより置換されており、Aは、-H、-ハロ、-ヒドロキシル、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルコキシ、-C1〜6ハロアルキル、-CN、-NR8R9、-COOR2、-CONR2R2及び-C1〜6アルキル-Qの群から選択される少なくとも1つであり、
Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR3、-NR2R2、-SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R2は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
Yは、-COOR2、-C(O)NR2SO2R3、-C(O)NHSO2NR2R2、-NR2SO2R2、-SO2NR2R2、-C3〜6シクロアルキル-COOR2、-C2〜6アルケニル-COOR2、-C2〜6アルキニル-COOR2、-C1〜6アルキル-COOR2、-アルキル置換C1〜6アルキル-COOR2、-CF2-COOR2、-NHC(O)(CH2)n-COOR2、-SO2NR2C(O)R2、-テトラゾール及び-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1〜6であり、
Wは、-C2〜6アルキル-、-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-、-C2〜6アルケニル-CO-、-ヘテロアリール-及び
【化37】
の群から選択され、
R3は、-H、-C1〜6アルキル、-アルキル置換C1〜6アルキル又はベンジルであり、
R4は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-C(OR3)2-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6置換アルキル、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル-Q1、-C1〜6アルキル-C3〜6シクロアルキル-Q1、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
Q1は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF3、-OR2、-COOR2、-NR8R9、-CONR10R11及び-SO2R7の群から選択され、
R5は、-H、-C1〜6アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C1〜6アルキル-NR8R9、-COR10、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され、
又はR4及びR5は、隣接するNと一緒になって、
【化38】
の群から選択される環を形成し、
但し、R4又はR5の一方のみが、-COR6、-COCOR6、-SO2R7及び-SO2NR2R2の群から選択され得、さらに、R4又はR5は、Wが-C2〜6アルキル-CO-、-C2〜6アルケニル-CO-又は
【化39】
である場合、-COR6又は-COCOR6となり得ず、
R6は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-C3〜6置換シクロアルキル-Q2、-C1〜6アルキル-Q2、-C1〜6アルキル置換アルキル-Q2、-C3〜6シクロアルキル-Q2、アリール-Q2、-NR2R2及び-OR2の群から選択され、
Q2は、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR2、-COOR2、-NR8R9、SO2R7、-CONHSO2R3及び-CONHSO2NR2R2の群から選択され、
R7は、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-CF3、アリール及びヘテロアリールの群から選択され、
R8及びR9は、-H、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1〜6アルキル-Q2及び-COOR3の群から独立して選択され、
又はR8及びR9は、隣接するNと一緒になって、
【化40】
の群から選択される環を形成し、
但し、R8又はR9の一方のみが-COOR3であり得、
R10は、-H、-C1〜6アルキル、-NR2R2及び-COOR3の群から選択され、
R11は、-C1〜6アルキル、-C1〜6アルキル-OH、-C1〜6アルキル、-C1〜6置換アルキル、-C3〜6シクロアルキル、-COR7、-COONR2R2、-SOR7及び-SONR2R2の群から選択され、
R12は、-H、-C1〜6アルキル、-COOR3及びアリールの群から選択される]
の群から選択される、薬学的に許容されるその塩を含む化合物。
(2)Xがフェニル又はC4〜8シクロアルケニルである、(1)に記載の化合物。
(3)Yが-COOHである、(2)に記載の化合物。
(4)式Iの化合物である、(3)に記載の化合物。
(5)下記化合物
【化41】
の群から選択される、薬学的に許容されるその塩を含む化合物。
(6)下記化合物
【化42】
の群から選択される、薬学的に許容されるその塩を含む化合物。
(7)HIVを寛解させる量の(1)に記載の1つ以上の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に含む、組成物。
(8)HIVを寛解させる量の(5)に記載の1つ以上の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に含む、組成物。
(9)HIVウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法であって、HIVを寛解させる量の(1)に記載の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
(10)HIVウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法であって、HIVを寛解させる量の(5)に記載の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。