(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記過給機バイパス流路と前記分岐流路との分岐点の前方の前記過給機バイパス流路上に設けられる過給機バイパス弁をさらに含む請求項1に記載の選択的触媒還元システム。
前記外気供給流路上に設けられ、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに移動する排ガスが前記外気供給流路へ逆流するのを防止する逆流防止弁をさらに含む請求項1に記載の選択的触媒還元システム。
前記第1の温度センサ、前記第1の流量計、前記第2の温度センサ及び、前記第2の流量計から伝達された情報に基づき、前記流量制御弁の開閉、及び、前記ブロワ及び前記加熱装置の動作の制御を行う制御部をさらに含む請求項5に記載の選択的触媒還元システム。
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、前記分解チャンバにおいて還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、前記流量制御弁の開度を調節する請求項6に記載の選択的触媒還元システム。
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、前記分解チャンバにおいて還元剤の生成に必要となる熱量より低い場合、前記ブロワと前記加熱装置を稼動させ、前記外気供給流路を介して前記分解チャンバに熱量を追加的に供給する請求項6に記載の選択的触媒還元システム。
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、還元剤の生成に必要となる熱量を超過する場合、前記流量制御弁を制御して、前記分岐流路に移動する排ガスの流量を減少させる請求項6に記載の選択的触媒還元システム。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶などにおいて使用される動力装置は、動力を発生させるディーゼルエンジン、ディーゼルエンジンに掃気用空気を供給する過給機(ターボチャージャ)、ディーゼルエンジンから排出された排ガス中の窒素酸化物を低減させる選択的触媒還元(selective catalytic reduction、SCR)システムなどを含んでいる。
選択的触媒還元システムは、触媒が内部に設けられた反応器に、排ガスと還元剤とを共に通過させながら排ガス中の窒素酸化物と還元剤とを反応させ、窒素と水蒸気とに還元する処理を行う。
選択的触媒還元システムでは、窒素酸化物を低減させるための還元剤として、尿素(urea)やアンモニア(NH
3)を使用している。
【0003】
ところで、尿素が250℃未満の温度を有する排ガスに直接噴射される場合、尿素が分解して生成されるビウレット(biuret)、シアヌル酸(cyanuric acid)、メラミン(melamine)、アンメリン(ammeline)などのような副産物により、ノズルの目詰まりが発生、又は排ガスの流れが妨げられるという問題がある。
それにより、尿素の分解効率を向上させるため、分解チャンバに、別の電気ヒータ又はバーナで加熱された流体を供給し、分解チャンバの内部温度を分解反応温度まで昇温させ、分解チャンバにおける尿素の安定的な分解により生成されたアンモニア(NH
3)とイソシアン酸(HNCO)を、反応器に供給する方法が使用されている。
【0004】
しかし、尿素を分解するためには、分解チャンバの内部温度を、分解反応温度まで昇温させる必要があるため、熱エネルギを供給するバーナのような別の加熱装置を設ける必要がある。さらに、バーナを稼動するための燃料と空気が消費される。
【0005】
上述のように、尿素の分解に消費される熱エネルギが少なくなく、また、バーナが消費する燃料と空気は、選択的触媒還元システムにおいて消費される全燃料及び空気に比べて、大きな比率を占めているため、エネルギ利用効率が全体的に低下するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例は、還元剤を生成し、排ガス中の窒素酸化物を低減するために消費されるエネルギの利用効率を全体的に向上させる選択的触媒還元システム及びこれを備えた動力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例によれば、メイン排気流路を介して排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減させる選択的触媒還元システムは、前記メイン排気流路上に設けられた過給機より後方の前記メイン排気流路上に設けられた反応器と、前記メイン排気流路上に設けられ、前記反応器に移動する排ガスに還元剤を噴射する還元剤噴射部と、供給された還元剤前駆体を分解して前記還元剤噴射部に供給する還元剤を生成する分解チャンバと、前記メイン排気流路から分岐して前記過給機を迂回した後、再度前記メイン排気流路に合流する過給機バイパス流路から分岐して前記分解チャンバと連結された分岐流路と、前記分解チャンバに外気を供給する外気供給流路と、前記外気供給流路上に設けられ、外気を吸入するブロワと、前記外気供給流路上に設けられ、前記ブロワが吸入した外気を加熱する加熱装置とを含む。
【0008】
また、前記選択的触媒還元システムは、前記過給機バイパス流路と前記分岐流路との分岐点の前方の前記過給機バイパス流路上に設けられる過給機バイパス弁をさらに含むことができる。
【0009】
前記選択的触媒還元システムは、前記外気供給流路上に設けられ、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに移動する排ガスが前記外気供給流路へ逆流するのを防止する逆流防止弁をさらに含むことができる。
【0010】
前記選択的触媒還元システムは、前記過給機バイパス流路及び前記分岐流路を移動する排ガスの流量を制御する流量制御弁をさらに含むことができる。
【0011】
前記流量制御弁は、前記過給機バイパス流路と前記分岐流路との分岐点に設けられた三方流量制御弁であることができる。
【0012】
また、前記流量制御弁は、前記過給機バイパス流路と前記分岐流路との分岐点と、前記過給機バイパス流路と前記メイン排気流路との合流点との間に設けられた第1の流量制御弁、及び、前記分岐流路上に設けられた第2の流量制御弁を含むことができる。
【0013】
前記選択的触媒還元システムは、前記分岐流路上に設けられた第1の温度センサ及び第1の流量計と、前記外気供給流路上に設けられ、前記ブロワにより吸入される外気の流量を測定する第2の流量計と、前記外気供給流路上に設けられ、前記加熱装置を経た外気の温度を測定する第2の温度センサとをさらに含むことができる。
【0014】
前記選択的触媒還元システムは、前記第1の温度センサ、前記第1の流量計、前記第2の温度センサ、前記第2の流量計から伝達された情報に基づき、前記流量制御弁の開閉、及び、前記ブロワ及び前記加熱装置の動作の制御を行う制御部をさらに含むことができる。
【0015】
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、前記分解チャンバにおいて還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、前記流量制御弁の開度を調節することができる。
【0016】
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、前記分解チャンバにおいて還元剤の生成に必要となる熱量より低い場合、前記ブロワと前記加熱装置を稼動させ、前記外気供給流路を介して前記分解チャンバに熱量を追加的に供給することができる。
【0017】
前記制御部は、前記第2の温度センサ及び前記第2の流量計から得た情報に基づき、前記外気供給流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出することができる。また、前記制御部は、前記分岐流路を介して供給される熱量と、前記外気供給流路を介して供給される熱量との和が、前記分解チャンバにおいて還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、前記ブロワと前記加熱装置の稼動程度を制御することができる。
【0018】
前記制御部は、前記第1の温度センサ及び前記第1の流量計から得た情報に基づき、前記分岐流路を介して前記分解チャンバに供給される熱量を算出し、算出された熱量が、還元剤の生成に必要となる熱量を超過する場合、前記流量制御弁を制御して、前記分岐流路に移動する排ガスの流量を減少させることができる。
【0019】
また、本発明の実施例によれば、動力装置は、窒素酸化物(NOx)含有排ガスを排出するエンジンと、前記エンジンが排出した排ガスが移動するメイン排気流路と、前記メイン排気流路上に設けられた過給機と、前記メイン排気流路から分岐して前記過給機を迂回した後、再度前記メイン排気流路に合流する過給機バイパス流路と、上述の選択的触媒還元システムとを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例によれば、選択的触媒還元システム及びこれを備えた動力装置は、還元剤を生成し、排ガス中の窒素酸化物を低減するために消費されるエネルギの利用効率を全体的に向上させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照にして、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳述する。本発明は、種々に変形して実施することができ、後述の実施例に限定されない。
【0023】
図面は、概略的に示されており、縮尺に合わせて描画されていないことに注意されたい。図面に示された部位の相対的な寸法や比率は、図面の明確性及び便宜を図るため、その大きさが誇張又は縮小されており、任意の寸法は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、2以上の図面に示される同一の構造物、要素又は部品には、同じ符号を付することで、類似した特性を持っていることを示す。
【0024】
本発明の実施例は、本発明の理想的な実施例を具体的に示すものであるため、図解の様々な変形が予想される。従って、本発明の実施例は、図示された領域における特定の形態に局限されず、例えば、製造による形態変形が含まれる。
【0025】
以下、
図1乃至
図3を参照して、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元反応(selective catalytic reduction、SCR)システム201及びこれを含む動力装置100について説明する。
【0026】
本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201は、動力装置101の構成要素であって、エンジン100と共に製作及び組み立てが行われるが、場合によっては、既設の使用中のエンジン100から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減させるため、事後的に設けることもある。具体的に、船舶又は車両などの運送手段や陸上又は海上プラントのメンテナンスを行う際に、既設のエンジン100を環境に優しくなるように性能改善を行うため、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201をさらに設けることができる。
【0027】
図1乃至
図3に示されるように、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元(SCR)システム201を含む動力装置101は、エンジン100、メイン排気流路610、過給機150、反応器300、過給機バイパス流路620、還元剤噴射部570、分解チャンバ500、分岐流路630、外気供給流路640、ブロワ410、及び加熱装置420を含んでなる。
【0028】
また、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201を含む動力装置101は、排気レシーバ180、過給機バイパス弁720、逆流防止弁770、流量制御弁710、第1の温度センサ811、第1の流量計812、第2の流量計822、第2の温度センサ821、及び制御部700をさらに含むことができる。
【0029】
エンジン100は、船舶及び自動車などにおいて動力を発生させる主動力源である。本発明の一実施例において、エンジン100としては、窒素酸化物(NOx)含有排ガスを排出する種々のエンジンを使用することができる。
【0030】
過給機150は、後述のメイン排気流路上に設けられる。過給機150は、エンジン100の排ガスが有する圧力でタービンを動かし、エンジン100に新しい外部空気を圧縮して供給することで、エンジン100の効率を向上させる。
【0031】
排気レシーバ180は、エンジン100のシリンダの往復運動により不均衡な圧力をもって排出されるエンジン100からの排ガスを均一に緩和させる。
【0032】
本発明の一実施例において、エンジン100から排出される排ガスは、250℃〜500℃の範囲内の温度を有し、排ガスの温度は、過給機150を経由することで低くなることがある。例えば、過給機150を経た排ガスは、150℃以上250℃未満と低くなることがあり得る。
【0033】
メイン排気流路610は、エンジン100の排気口と連結され、エンジン100の排ガスを排出する。即ち、エンジン100の排ガスは、メイン排気流路610に沿って移動する。
【0034】
メイン排気流路610は、エンジン100、過給機150、及び後述する反応器300を順次連結している。このように、メイン排気流路610は、過給機150を経たエンジン100からの排ガスを反応器に供給する。
【0035】
反応器300は、メイン排気流路610上に設けられる。反応器300は、エンジン100から排出された排ガス中の窒素酸化物(NOx)を低減させるための触媒を含んでいる。触媒は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を促進させ、窒素酸化物(NOx)を窒素と水蒸気とに還元処理する。なお、窒素酸化物(NOx)と反応して還元させる最終的な還元剤として、アンモニア(NH
3)を使用することができる。
【0036】
触媒は、ゼオライト(zeolite)、バナジウム(vanadium)及び白金(platinum)などのように当業界で公知の材料で製造することができる。例えば、触媒は、250℃〜350℃の範囲内の活性温度を有することができる。なお、活性温度とは、触媒が被毒することなく安定的に窒素酸化物を還元させることができる温度を指す。触媒が活性温度の範囲外で反応すると、触媒被毒が生じて効率が低下する。
【0037】
具体的に、触媒を被毒させる被毒物質は、硫酸アンモニウム(ammonium sulfate、(NH
4)
2SO
4)、及び亜硫酸水素アンモニウム(ammonium bisulfate、NH
4HSO
4)のうち1つ以上を含むことができる。このような触媒被毒物質は、触媒に吸着されて触媒の活性を低下させる。触媒被毒物質は、相対的に高温で分解されるため、触媒を昇温させることで、被毒された触媒を再生することができる。
【0038】
なお、反応器300のハウジングは、例えば、ステンレス鋼(stainless steel)材料で製造することができる。
【0039】
分解チャンバ500では、還元剤の前駆体である尿素(urea、CO(NH
2)
2)を供給され、これを分解して、窒素酸化物(NOx)を還元させる還元剤として使用されるアンモニア(NH
3)を生成する。
【0040】
具体的に、分解チャンバ500内の温度が300℃〜500℃の範囲内で維持されると、尿素(urea、CO(NH
2)
2)が容易に加水分解又は熱分解されながらアンモニア(NH
3)とイソシアン酸(isocyanic acid、HNCO)が生成される。そして、イソシアン酸(HNCO)は、また、アンモニア(NH
3)と二酸化炭素(CO
2)とに分解される。即ち、尿素が分解されると、最終的にアンモニアが生成される。
【0041】
還元剤噴射部570は、分解チャンバ500で生成されたアンモニア(NH
3)を供給され、反応器300に流入される排ガスに噴射する。噴射されたアンモニアは、排ガスと混合され、反応器300の触媒を経ることで排ガス中の窒素酸化物を還元させる。
【0042】
具体的に、還元剤噴射部570は、反応器300前方のメイン排気流路610に沿って移動する排ガスに向けてアンモニア(NH
3)の噴射を行うことができる。
【0043】
本明細書中、前方とは、排ガスの流れを基準として上流側を意味し、後方とは、下流側を意味する。
【0044】
尿素供給部550は、還元剤の前駆体である尿素を分解チャンバ500に供給する。尿素供給部550は、エンジン100の負荷によって変動する還元剤の要求量を考慮して、適切な量の尿素を分解チャンバ500に供給する。即ち、尿素供給部550は、後述する制御部700の制御によって、還元剤の要求量に合わせて供給を行うことができる。
【0045】
過給機バイパス流路620は、メイン排気流路610から分岐して過給機150を迂回した後、再度メイン排気流路610に合流する。即ち、過給機バイパス流路620を移動する排ガスは、過給機150を経ることがないため、過給機150を経る排ガスに比べて、相対的に高い温度を有する。
【0046】
過給機バイパス弁720は、過給機バイパス流路620上に設けられる。
【0047】
具体的に、過給機バイパス弁720は、過給機バイパス流路620と、後述の分岐流路630との分岐点の前方の過給機バイパス流路620上に設けられる。
【0048】
過給機バイパス弁720は、エンジン100の燃焼室内の燃焼圧力及び熱負荷を調節するために使用される。
【0049】
また、過給機バイパス弁720は、後述の分岐流路630を介して分解チャンバ500に排ガスを供給するために使用することもできる。
【0050】
エンジン100の燃焼室内の燃焼圧力及び熱負荷が許容値以上に増加すると、過給機バイパス弁720が開放され、過給機バイパス流路620に排ガスの一部を流し、過給機150に供給される排ガスの流量を減少させる。これにより、過給機150がエンジン100に供給する圧縮空気の圧力が減少されると共に、エンジン100の燃焼室内の燃焼圧力を調節することができる。
【0051】
このように、過給機バイパス弁720は、後述の流量制御弁710とは別個に独立して動作することができる。
【0052】
分岐流路630は、過給機バイパス流路620から分岐して分解チャンバ500と連結される。即ち、分岐流路630は、過給機バイパス流路620を移動する相対的に高い温度を有する排ガスを、分解チャンバ500に伝達することで、分解チャンバ500において尿素を加水分解又は熱分解して、アンモニアの生成に必要となる熱エネルギを供給する。
【0053】
流量制御弁710は、過給機バイパス流路620及び分岐流路630を移動する排ガスの流量を制御する。一例として、流量制御弁710は、過給機バイパス流路620と分岐流路630との分岐点に設けられた三方流量制御弁であることができる。
【0054】
第1の温度センサ811及び第2の流量計812は、分岐流路630上に設けられる。よって、本発明の一実施例では、第1の温度センサ811と第1の流量計812が測定した温度情報及び流量情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出することができる。そして、算出された熱量が、分解チャンバ500において還元剤の前駆体である尿素を加水分解又は熱分解し、還元剤であるアンモニアの生成に必要となる熱量に追従するように、流量制御弁710の開度を調節することができる。
【0055】
このように、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量が、分解流路630を介して分解チャンバ500に供給されるように、流量制御弁710は、算出された熱量に従って、過給機バイパス流路620から分岐流路630に分岐されて流れる排ガスの流量を調節することができる。
【0056】
また、第1の温度センサ811及び第1の流量計812から得た情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出し、算出された熱量が、還元剤の分解を行うために分解チャンバ500において要求される熱量を超過すると、流量制御弁630を調節して、分岐流路620に移動する排ガスの流量を減少させることができる。
【0057】
即ち、過給機バイパス流路620に沿って移動する排ガスが、分岐流路630を介して分解チャンバ500に必要な熱量を供給しても残る場合、残った熱量に対応する残りの排ガスは、分岐流路630に向けることなく、そのまま過給機バイパス流路620に沿って移動し、メイン排気流路610に再度合流する。
【0058】
このように、過給機バイパス流路620を経てメイン排気流路610と合流した排ガスは、過給機150経由により降温した排ガスと合して、反応器300に流入される排ガスの温度を昇温させることができる。
【0059】
過給機150を経た排ガスの温度は、上述のように、150℃以上250℃未満と低くなることがあり、このような相対的に低い温度の排ガスが反応器300に流入されると、触媒活性の低下又は触媒の被毒が発生することがあり得る。
【0060】
即ち、過給機バイパス流路620を経てメイン排気流路610と合流した排ガスは、反応器300に流入される排ガスを昇温させることで、触媒の活性を維持すると共に触媒の被毒を抑制することが可能となる。
【0061】
外気供給流路640は、分解チャンバ500に外気を供給する。即ち、外気供給流路640は、過給機バイパス流路620から分岐され、分岐流路630を介して供給される排ガス以外の空気を、分解チャンバ500に供給する。
【0062】
ブロワ410及び加熱装置420は、外気供給流路640上に設けられる。ブロワ410は、外気供給流路640を介して外気の吸入を行う。また、加熱装置420は、ブロワ410が吸入した外気の加熱を行う。例えば、加熱装置420は、オイルバーナ(oil burner)、プラズマバーナ(plasma burner)又は電気ヒータのうちのいずれか1つであることができる。
【0063】
逆流防止弁770は、外気供給流路640上に設けられ、分岐流路630を介して分解チャンバ500に移動する排ガスが外気供給流路640へ逆流するのを防止する。
【0064】
本発明の一実施例によれば、第1の温度センサ811及び第1の流量計812から得た情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出し、算出された熱量が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量より低い場合、ブロワ410と加熱装置420を稼動させ、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に熱量を追加的に供給することができる。
【0065】
また、本発明の一実施例では、熱エネルギを追加的に供給する加熱装置420が、外気供給ライン640上に設けられているため、燃焼空気を必要とするバーナが加熱装置として使用される場合、加熱装置420への酸素の供給が容易に行われ、効果的である。
【0066】
一方、本発明の一実施例とは異なり、加熱装置420が分岐流路630に設けられる場合は、分岐流路630に沿って移動する排ガスの酸素濃度が低いため、バーナのような加熱装置420の使用には制限がある。
【0067】
第2の流量計822は、外気供給流路640上に設けられる。第2の流量計822は、ブロワ410により吸入される外気の流量を測定する。
【0068】
第2の温度センサ821は、外気供給流路640上に設けられる。具体的に、第2の温度センサ821は、加熱装置420後方の外気供給流路640上に設けることができる。第2の温度センサ821は、加熱装置420を経た外気の温度を測定する。
【0069】
よって、本発明の一実施例では、第2の温度センサ821及び第2の流量計822が測定した温度情報及び流量情報に基づき、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出することができる。
【0070】
また、本発明の一実施例では、分岐流路630を介して供給される熱量と、外気供給流路640を介して供給される熱量との和が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、ブロワ410及び加熱装置420の動作を調節することができる。
【0071】
制御部700は、第1の温度センサ811、第1の流量計812、第2の温度センサ821、第2の流量計822から伝達される情報に基づき、流量制御弁710の開閉、及び、ブロワ410及び加熱装置420の動作を制御することができる。
【0072】
即ち、制御部700は、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量と、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に供給される熱量とをそれぞれ算出し、算出された熱量の和が、分解チャンバ500において還元剤の前駆体である尿素を加水分解又は熱分解して、還元剤であるアンモニアの生成に必要となる熱量に追従するように、流量制御弁710、並びにブロワ410及び加熱装置420の制御を行うことができる。
【0073】
さらに、制御部700は、エンジン100の負荷変動を考慮して、還元剤の要求量に従って分解チャンバ500に尿素を供給する尿素供給部550の制御を行うことができる。
上述の構成によれば、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201を含む動力装置101は、還元剤を生成し、排ガス中の窒素酸化物を低減するために消費されるエネルギの利用効率を全体的に向上させることができる。
【0074】
具体的に、本発明の一実施例によれば、過給機バイパス流路620と分岐流路630を介してエンジン100から排出された後、過給機150を経る前の排ガスが有する熱エネルギを、分解チャンバ500において還元剤の生成に活用することができる。
【0075】
また、船舶は、様々な気候条件下の地域で使用されるため、エンジン100の負荷変動及び環境変化に従って還元剤の要求量が変化し、過給機バイパス流路620と分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量が変化する。
【0076】
しかし、本発明の一実施例によれば、過給機バイパス流路620と分解流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量と、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に供給される熱量とをそれぞれ算出し、算出された熱量の和が、分解チャンバ500において還元剤の前駆体である尿素を加水分解又は熱分解して、還元剤であるアンモニアの生成に必要となる熱量に追従するように、流量制御弁710、並びにブロワ410及び加熱装置420を調節することができる。即ち、エンジン100の負荷変動及び環境変化が生じても、還元剤を生成し、排ガス中の窒素酸化物を低減するために消費されるエネルギの利用効率を全体的に向上させることができる。
【0077】
また、
図4に示されるように、本発明の一実施例の変更例では、選択的触媒還元システム202を含む動力装置102は、第1の流量制御弁711と第2の流量制御弁712とを含む流量制御弁を使用する。
第1の流量制御弁711は、過給機バイパス流路620と分岐流路630との分岐点と、過給機バイパス流路620とメイン排気流路610との合流点との間に設けられる。
【0078】
第2の流量制御弁712は、分岐流路630上に設けられる。
即ち、本変更例では、1つの三方流量制御弁の代わりに、2つの流量制御弁711、712を使用する以外は、本発明の一実施例と同様な構成及び動作原理を有する。
【0079】
以下、
図1乃至
図3を参照して、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201を含む動力装置101の動作原理を説明する。
図1に示されるように、制御部700は、第1の温度センサ811及び第1の流量計812が測定した温度情報及び流量情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量の算出を行う。
【0080】
また、制御部700は、算出された熱量が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量を満たすと、ブロワ410と加熱装置420を稼動させない。即ち、本発明の一実施例によれば、無駄なエネルギ消費を防ぐことができる。
【0081】
また、
図2に示されるように、制御部700は、第1の温度センサ811及び第1の流量計812が測定した温度情報及び流量情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出し、算出された熱量が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、流量制御弁710の開度を調節する。
【0082】
即ち、制御部700は、算出された熱量が還元剤の生成に必要となる熱量を超過すると、流量制御弁710を制御して、分岐流路630に移動する排ガスの流量を減少させる。
【0083】
そして、分解チャンバ500に必要な熱量を供給しても残る熱量に対応する残りの排ガスは、分岐流路630に向けることなく、そのまま過給機バイパス流路620に沿って移動し、メイン排気流量610に再合流する。
【0084】
このように、過給機バイパス流路620を経てメイン排気流路610と合流した排ガスは、過給機150経由により降温した排ガスと合して、反応器300に流入される排ガスの温度を昇温させることができる。
【0085】
さらに、
図3に示されるように、制御部700は、第1の温度センサ811及び第1の流量計812が測定した温度情報及び流量情報に基づき、分岐流路630を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出し、算出された熱量が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量より低い場合、ブロワ410及び加熱装置420を稼動させ、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に熱量を追加的に供給する。
【0086】
なお、制御部700は、第2の温度センサ821及び第2の流量計822から得た情報に基づき、外気供給流路640を介して分解チャンバ500に供給される熱量を算出し、分岐流路630を介して供給される熱量と、外気供給流路640を介して供給される熱量との和が、分解チャンバ500において還元剤の生成に必要となる熱量に追従するように、ブロワ410及び加熱装置420の稼動程度を制御することができる。
【0087】
このような動作によって、本発明の一実施例に係る選択的触媒還元システム201を含む動力装置101は、還元剤を生成し、排ガス中の窒素酸化物を低減するために消費されるエネルギの利用効率を全体的に向上させることができる。
【0088】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例について説明してきたが、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明が、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、種々の形態に実施できることが理解できるであろう。
【0089】
従って、上述のような実施例は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではなく、また、本発明の範囲は、後述の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価な概念から導出される全ての変更及び変形の形態は、本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。