(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンド層を含み、前記エラストマーが、2重量%以上の量で前記ポリマーブレンド層に存在する請求項1または2に記載の布帛。
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)またはそれらの任意の組合せを含む請求項1または2に記載の布帛。
前記布帛が、ASTM D4851に従った、曲げ・折り畳み試験を経た後に保持されるたて糸破裂強度試験に基づき、45%以上の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する請求項1または2に記載の布帛。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書において開示される教示の理解を助けるためになされるものである。以下の考察は、この教示の特定の実施及び実施形態に重点を置く。このように重点を置くことは教示の説明を助けるためになされるものであり、教示の範囲または適用範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、本出願において開示される教示に基づいて、他の実施形態を用いることができる。
【0007】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語またはそれらの他のいかなる変形も、非限定的包含を網羅するよう意図するものである。例えば、列挙された特徴を含む方法、物品または装置は必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていない他の特徴、またはこれらの方法、物品もしくは装置に本来備わっている他の特徴を含んでもよい。さらに、明白に反対のことが述べられていない限り、「または(or)」は包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、及び、AとBの両方が真である(または存在する)。
【0008】
また、「a」または「an」は、本明細書において記載される構成要素及び構成成分の記載に使用される。これは単に利便性目的でなされ、本発明の範囲の一般的認識を示すためになされている。この記載は、明らかに異なる意図でない限り、1つ、1つ以上を包含すると解釈される必要があり、あるいは、単数形は複数形も包含するものとして、または複数形は単数形も包含するものとして解釈される必要がある。例えば、本明細書において1個の項目が記載される場合、1個の項目の代わりに、1個よりも多い項目を使用してもよい。同様に、本明細書において1個よりも多い項目が記載される場合、1個よりも多い項目に対し、1個の項目で置き換えてもよい。
【0009】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び全ての科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。材料、方法及び例は単に説明用のもので、限定することを意図するものではない。本明細書において記載されていない範囲で、特定の材料及び行為の遂行に関する詳細の多くは従来どおりであり、フルオロポリマー含有布帛の技術分野の教科書及び他の出典において見出されてもよい。
【0010】
ポリエステルまたはポリ塩化ビニルで作製された従来の布帛は、厳しい消防規則を満たさず、時間経過で美的魅力を損なうことがある。一方、自浄性材料で作製された従来の布帛は、色あせせず、消防規則を満たし得るが、より高価であり、また傘や格納可能の屋根システムなどの用途での厳しい可撓性要求を満たさない。意外なことに、本明細書において記載される布帛の実施形態は、上記の両方の従来材料の有する最も良い特性を示すか、またはそれらを超えることができる。例えば、本明細書において記載される布帛の実施形態は、高い可撓性、長期間の構造的完全性、耐火性及び長期間の美的魅力の組合せを提供することができる。さらに、この布帛は、比較的低コストで製造することができる。この概念は、以下で説明する実施形態を参照しながらより深く理解される。それらの実施形態は、本発明を説明するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0011】
図1に示すように、布帛101は、強化材料102と、強化材料102に隣接して配置された層204と、を含むことができる。層104は、図示しているように、例えば介在層が存在せずに、強化材料102と直接接触することができる。あるいは、層104は、介在層によって強化材料102と分離することができる。
【0012】
強化材料102は、織布または不織布の繊維強化材料などの、繊維強化材料を含むことができる。特定の実施形態においては、繊維強化材料は、織布、または不規則な繊維束が互いに絡まったものを含むことができる。特定の実施形態においては、布帛は、ガラス織布を含むことができる。他の実施形態においては、強化材料は、特に、セラミック、プラスチックもしくは金属材料の網、または複合材料のシートを含むことができる。
【0013】
強化材料102は、基材の形態、典型的にはシートの形態を取ることができる。特定の実施形態においては、強化材料は、例えば熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド及びポリエーテルイミドなどの高融点熱可塑性プラスチック;熱硬化性プラスチック、特に、ポリイミドなどの高温に耐える熱硬化性樹脂の熱硬化性プラスチック;上記の熱可塑性プラスチックまたは同様の熱安定性樹脂、ならびにガラス繊維、グラファイト及びポリアラミドなどの熱安定性強化材料を基材とする被覆布地または積層布地;プラスチック被覆金属箔;ならびに金属化プラスチック膜または金属箔積層プラスチック膜を含むことができる。
【0014】
強化材料102の特定の例としては、アラミド、フッ化ポリマー、ガラス繊維、グラファイト、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエステルまたはそれらの組合せから選択される繊維で形成された織布材料及び不織布材料が挙げられる。特に、強化材料としては、洗浄されているか、または熱で前処理されているガラス繊維強化材料が挙げられる。あるいは、繊維強化材料には、被覆ガラス繊維強化材料が含まれ得る。特定の例においては、ガラス繊維の繊維、束、紡績糸の各々、またはそれらの組合せを個別にポリマー被覆材で被覆するか、またはそれらにポリマー被覆材を含浸させることができる。このポリマー被覆材は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマー被覆材などである。
【0015】
特定の実施形態においては、強化材料102としては、織布が挙げられる。織布には、平織、朱子織、斜文織またはそれらの組合せを有する織布が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0016】
特定の実施形態においては、強化材料102は、100グラム毎平方メートル(gsm)以上、150gsm以上、200gsm以上、225gsm以上または250gsm以上の重量を有する織布を含むことができる。さらなる実施形態においては、織布は、1500gsm以下、1400gsm以下、1300gsm以下または1200gsm以下の重量を有することができる。他の実施形態においては、織布は、例えば100〜1500gsm、150〜1400gsm、200〜1300gsm、225〜1200gsmまたは250〜1200gsmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の重量を有することができる。
【0017】
特定の実施形態においては、強化材料102は、0.005mm以上、0.01mm以上、0.015mm以上または0.02mm以上の厚さを有する織布を含むことができる。さらなる実施形態においては、織布は、5mm以下、4.5mm以下、4mm以下または3.7mm以下の厚さを有することができる。他の実施形態においては、織布は、例えば0.005mm〜0.50cm、0.01mm〜4.5mm、0.015mm〜4mmまたは0.02mm0.5〜3.7mmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の厚さを有することができる。
【0018】
特定の実施形態においては、強化材料102は、望ましい開口率を有する織布を含むことができる。布帛材料の開口率は、ASTM D4751に従って測定される、織物における布帛材料に対する空き領域の比を表す。例えば、強化材料102は、0%以上、1%以上、2%以上または3%以上の開口率を有する織布を含むことができる。さらなる実施形態においては、強化材料102は、30%以下、25%以下、20%以下または15%以下の開口率を有する織布を含むことができる。他の実施形態においては、強化材料は、85%以下、80%以下、75%以下または70%以下の開口率を有する織布を含むことができる。特定の実施形態においては、強化材料102は、0%〜30%、1%〜25%、2%〜20%もしくは3%〜15%の範囲など、または15%〜85%、20%〜80%、25%〜75%もしくは30%〜70%の範囲などの、上記の最大値のいずれかと最小値のいずれかの範囲の開口率を有する織布を含むことができる。
【0019】
特定の実施形態においては、強化材料102は、望ましい開口寸法を有する織布を含むことができる。織布の開口寸法は、織物のたて糸とよこ糸の間の空き領域の面積の大きさである。例えば、強化材料102は、0.04mm
2以上、0.5mm
2以上、1mm
2以上、2mm
2以上または4mm
2以上の開口寸法を有することができる。さらなる実施形態においては、強化材料102は、1000mm
2以下、900mm
2以下または625mm
2以下の開口寸法を有することができる。さらなる実施形態においては、強化材料102は、0.04〜1000mm
2、1〜900mm
2または4〜625mm
2の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の開口寸法を有することができる。布帛の開口は、たて糸及びよこ糸の方向によって様々な形状を有することができる。例えば、強化材料102は、正方形または非正方形のいずれかの四角形である開口形状を有することができる。
【0020】
上述のように、層104は、強化材料102に隣接して配置される。層104は、フルオロポリマー、エラストマーまたはそれらの組合せなどのポリマーを含むことができる。
【0021】
特定の実施形態においては、層104は、フルオロポリマーを含むことができる。フルオロポリマーには、フッ素置換モノマーのホモポリマー、または1種以上のフッ素置換モノマーを含むコポリマーが含まれ得る。フッ素置換モノマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VF2)、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)及びパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)が含まれ得る。特定の実施形態においては、フルオロポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、フッ化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、VF2もしくはヘキサフルオロプロピレンとのTFEコポリマー、またはそれらの組合せが含まれ得る。特定の実施形態においては、フルオロポリマーには、パーフルオロポリマーが含まれ得る。パーフルオロポリマーは、水性分散液などの分散液から得ることができる。パーフルオロポリマーの例としては、PTFE、ポリヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニル(PFA)またはそれらの任意の組合せが挙げられる。さらに特定の実施形態においては、パーフルオロポリマーには、PTFEが含まれ得る。
【0022】
特定の実施形態においては、層104は、エラストマーを含むことができる。エラストマーには、シリコーンエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマーまたはそれらの任意の組合せが含まれ得る。
【0023】
特定の実施形態においては、シリコーンエラストマーには、ポリアルキルシロキサン、フェニルシリコーン、フルオロシリコーンまたはそれらの任意の組合せが含まれ得る。一例においては、ポリアルキルシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン、ポリメチルプロピルシロキサンまたはそれらの任意の組合せが挙げられる。特に、シリコーンエラストマーには、予備硬化したシリコーンエラストマーの水性分散液から得られるシリコーンエラストマーが含まれ得る。一例においては、シリコーンエラストマーには、水性分散液から得られるシリコーンエラストマーが含まれ得、また乾燥中に縮合反応する末端基を有する予備硬化したシリコーンが含まれ得る。別の例においては、シリコーンポリマーには、乾燥時に縮合反応する末端基または架橋剤などの添加剤を有する予備硬化したシリコーンの水性分散液から得られるシリコーンエラストマーが含まれ得る。さらに別の例においては、シリコーンエラストマーには、ドイツ、ミュンヘンのWacker−Chemie GmbHから入手可能なWacker CT27Eシリコーンゴム分散液などのシリコーンエラストマー分散液、Dow Corningから入手可能なAdditive 84などのシリコーンエラストマー分散液、または信越から入手可能なPolon MF 56などのシリコーンエラストマー分散液から選択されるシリコーンエラストマーが含まれ得る。
【0024】
層104は、上述のポリマーとエラストマーとを含むポリマーブレンドを含むことができる。特定の実施形態においては、ポリマーブレンドは、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上または15重量%以上の量のエラストマーを含むことができる。さらなる実施形態においては、そのポリマーブレンドは、50%以下、40%以下、30重量%以下、25重量%以下または20重量%以下の量のエラストマーを含むことができる。他の実施形態においては、ポリマーブレンドは、5重量%〜30重量%、10重量%〜30重量%、15重量%〜40重量%、25重量%〜50重量%、またはさらには15重量%〜20重量%の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の量のエラストマーを含むことができる。この段落で考察したパーセントは、ポリマーブレンドの総重量に基づく。
【0025】
さらに、ポリマーブレンドは、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上または80%以上の量のフルオロポリマーを含むことができる。ポリマーブレンドは、98%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下または70%以下の範囲の量のフルオロポリマーを含むことができる。例えば、ポリマーブレンドは、70重量%〜98重量%、75重量%〜90重量%、またはさらには80重量%〜85重量%の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の量のフルオロポリマーを含むことができる。特定の実施形態においては、ポリマーブレンドは、50重量%〜80重量%の範囲の量のフルオロポリマーを含むことができる。この段落で考察したパーセントは、ポリマーブレンドの総重量に基づく。
【0026】
特定の実施形態においては、層104は、充填剤、耐候安定剤、熱安定剤、水分安定剤もしくは光安定剤などの安定剤、顔料、結合補助剤またはそれらの任意の組合せを含むことができる。充填剤の例としては、タルク、シリカ及び炭酸カルシウムが挙げられる。安定剤及び顔料の例としては、TiO
2、Fe
2O
3、カーボンブラック及びか焼した混合金属酸化物が挙げられる。このような充填剤は、ポリマーブレンドに60重量%以下、例えば40重量%以下、15重量%以下、またはさらには5重量%以下の量で含ませることができる。
【0027】
より特定の実施形態においては、層104は、グリセリンを含むことができる。グリセリンをポリマーブレンドに含ませて、層104の耐久性を改善してもよい。グリセリンは、上で充填剤について記載した量でポリマーブレンドに存在することができる。より詳細には、グリセリンは、ポリマーブレンドの総重量に基づき0.25重量%〜25重量%、0.25重量%〜15重量%または0.25重量%〜5重量%の量で存在することができる。
【0028】
特定の実施形態においては、層104は、0.001cm以上、0.0025cm以上、0.0075cm以上、0.01cm以上の厚さを有することができる。さらなる実施形態においては、層104は、0.2cm以下、0.15cm以下、0.1cm以下、0.8cm以下または0.65cm以下の厚さを有することができる。他の実施形態においては、層104は、例えば0.001cm〜0.2cm、0.0025cm〜0.15cm、0.0075cm〜0.1cm、またはさらには0.01cm〜0.8cmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の厚さを有することができる。
【0029】
特定の実施形態においては、層104は、60gsm以上、75gsm以上、125gsm以上、205gsm以上の重量を有することができる。さらなる実施形態においては、層104は、2500gsm以下、2200gsm以下、1900gsm以下、1600gsm以下または1300gsm以下の重量を有することができる。他の実施形態においては、層104は、例えば60gsm〜2500gsm、75gsm〜1900gsmまたは125gsm〜1300gsmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の重量を有することができる。
【0030】
図2に示すように、布帛201は、強化材料102と、層104と、この強化材料102と層104の間に配置された層103と、を含むことができる。層103は、図示しているように、介在層が存在せずに強化材料102、層104またはその両方と直接接触することができる。あるいは、層103は、1層以上の介在層によって、強化材料102、層104またはその両方と分離することができる。
【0031】
層103は、層104に関して上述したフルオロポリマーのうちの1種以上などのフルオロポリマーを含むことができる。
【0032】
特定の実施形態においては、層103は、15gsm以上、25gsm以上、35gsm以上または45gsm以上の重量を有することができる。さらなる実施形態においては、層103は、300gsm以下、275gsm以下、250gsm以下または225gsm以下の重量を有することができる。他の実施形態においては、層103は、例えば15gsm〜300gsm、25gsm〜275gsm、35gsm〜250gsmまたは45gsm〜225gsmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲の重量を有することができる。
【0033】
図3に示すように、布帛301は、強化材料102と、層103と、層104と、層103の反対側で層104に隣接して配置された層105と、を含むことができる。層105は、図示しているように、介在層が存在せずに層104と直接接触することができる。あるいは、層105は、1層以上の介在層によって層104と分離することができる。
図1及び
図2には示していないが、上述の布帛の実施形態のいずれも、層104に隣接して配置された層105を含むことができる。層105は、介在層が存在せずに層104と直接接触することができる。
【0034】
層105は、層103に関して上述したフルオロポリマーのうちの1種以上などのフルオロポリマーを含むことができる。層105は、層103に関して上述した範囲の重量を有することができる。さらに、層105は、層103に関して上述した範囲の厚さを有することができる。
【0035】
上述した布帛の実施形態のいずれにおいても、強化材料102は、第1の主面と、対向する第2の主面と、を有することができ、強化材料102に隣接して配置された1層以上の層は、強化材料102の第1の主面及び第2の主面に隣接して配置され得る。強化材料に隣接して配置された1層以上の層の各々は、積層層または被覆層を含むことができる。
【0036】
さらに、布帛に表面機能性をもたらすことができる1層以上のさらなる層を備えさせることができる。
図1〜3に示した上述の実施形態の各々は、強化材料102を中心に対称的であるが、強化材料102に隣接して配置された層は、代替的に、非対称的な形態で付着していることができる。非対称的な形態では、層のうちの1層以上が片側で欠如しているか、または各層が異なる側面に異なる厚さで付着していることができる。特定の実施形態においては、層は、溶着層または半溶着層として付着させることができる。半溶着層は、他の膜、基材、布帛またはシートの半溶着層に接着させることができ、また、半溶着層は、溶着して布帛を他の材料に結合することができる。特定の実施形態においては、布帛は積層体である。
【0037】
特定の実施形態においては、布帛は、PTFE、FEP、PFAまたはそれらの任意の組合せを含む外面被覆を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛は、TiO
2を含む外面被覆を有することができる。
【0038】
特定の実施形態においては、布帛の総重量は、135gsm以上、175gsm以上、200gsm以上、300gsm以上とすることができる。さらなる実施形態においては、布帛の総重量は、2500gsm以下、2000gsm以下、1500gsm以下、1300gsm以下または1100gsm以下とすることができる。他の実施形態においては、布帛の総重量は、例えば135gsm〜2000gsm、200gsm〜1300gsm、300gsm〜1100gsmまたは500gsm〜2500gsmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。
【0039】
特定の実施形態においては、布帛の全体の厚さは、0.01cm以上、0.05cm以上または0.1cm以上とすることができる。さらなる実施形態においては、布帛の全体の厚さは、0.3cm以下、0.25cm以下または0.2cm以下とすることができる。他の実施形態においては、布帛の全体の厚さは、例えば0.01cm〜0.3cm、0.05cm〜0.25cmまたは0.1cm〜0.2cmの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。
【0040】
上記の布帛は、折り目をつけることまたは折りたたむことによって応力がかかった際の破裂強度の保持性を示すことができる。特に、布帛は、曲げ・折り畳み試験を経た後の試料によって保持される、ASTM751に従ったたて糸またはよこ糸破裂強度として規定される、曲げ・折り畳み後の強度保持率を示すことができる。この強度保持率は、曲げ試験前の始めのたて糸またはよこ糸破裂強度のパーセントとして表される。この曲げ試験では、10ポンドのローラーを使用して折り畳んだ布帛の上を10回転がす。特定の実施形態においては、布帛は、45%以上、55%以上、65%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を示すことができる。特定の実施形態においては、布帛は、99.5%以下、99%以下または98%以下の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を示してもよい。さらに、特定の実施形態においては、布帛の曲げ・折り畳み後の強度保持率は、例えば45%〜99%または75%〜98%の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。
【0041】
上記の布帛は、長期間の構造的完全性を示すことができる。特定の実施形態においては、布帛は、耐候性試験後に、望ましい曲げ・折り畳み後の強度保持率を示すことができる。曲げ・折り畳み後の強度保持率は、ASTM D4329に従った耐候性試験後に測定することができ、耐候性試験前の曲げ・折り畳み後の強度保持率のパーセントとして表される。例えば、特定の実施形態においては、布帛は、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または95%以上の、耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛は、99%以下、97%以下または95%以下の、耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛は、例えば40%〜99%、70%〜97%または80%〜95%の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内の、耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有することができる。
【0042】
長期間の構造的完全性の別の尺度には、耐クリープ性が含まれ得る。耐クリープ性とは、長期にわたって荷重がかかった際の歪みに対する抵抗性を指し、荷重がかかった状態での不合格までの時間で表される。耐クリープ性は、ASTM D6992に従って測定する。ASTM D6992は、継ぎ目を含む、幅50mmの1枚の布帛を、布帛の破裂強度の30%、40%、50%、60%、70%または80%に等しい(または30〜80%の範囲内の)荷重を備えた荷重試験器に載せることを含む。特定の実施形態においては、布帛は、50時間以上、100時間、150時間以上または200時間以上の耐クリープ性を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛は、2000時間以上、1000時間以上、500時間以上または400時間以上の耐クリープ性を有してもよい。
【0043】
上記の布帛は、使用する強化材料に基づき、たて糸方向と、よこ糸方向とを有することができる。布帛の引張り強度は、ASTM751に従って、たて糸方向とよこ糸方向とで測定することができる。たて糸方向、よこ糸方向またはその両方での引張り強度は、150ポンド毎リニア・インチ(pli)以上、200pli以上、250pli以上、500pli以上、750pli以上または1000pli以上とすることができる。さらに、布帛は、1500pli以下、1700pli以下、2000pli以下または2500pli以下の、たて糸方向またはよこ糸方向での引張り強度を有することができる。例えば、布帛は、150pli〜2500pli、200pli〜2000pliまたは500pli〜1000pli、またはさらには300pli〜1500pliの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内の引張り強度を有することができる。
【0044】
上記の布帛は、ASTM751に従って測定される、望ましい折り目付け・折り畳み後の破裂強度保持率を示すことができる。特定の実施形態においては、布帛は、45%以上、55%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上の、折り目付け・折り畳み後の破裂強度保持率を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛は、100%、または97%以下もしくは95%以下の、折り目付け・折り畳み後の破裂強度保持率を有することができる。さらなる実施形態においては、布帛の折り目付け・折り畳み後の破裂強度保持率は、例えば45%〜100%、55%〜97%または60%〜95%の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。特定の実施形態においては、布帛は、75%〜100%の範囲の折り目付け・折り畳み後の破裂強度保持率を有することができる。
【0045】
上記の布帛は、燃焼力に対する抵抗性及び炎の広がりに対する抵抗性を示すことができる。布帛の実施形態は、不燃性とすることができる。本明細書において使用する場合、不燃性という用語は、耐火性等級A級を有する布帛を指す。耐火性等級A級は、ASTM E84に明記されている試験手順によって決定する。
【0046】
さらに上記の布帛は、長手方向及び幅方向の両方で、望ましいトラペゾイド引裂強度を示す。長手方向及び幅方向の両方でのトラペゾイド引裂強度は、より厳密に適合される。特定の実施形態においては、長手方向、幅方向またはその両方でのトラペゾイド引裂強度は、10ポンド以上、25ポンド以上、60ポンド以上、80ポンド以上、またはさらには100ポンド以上とすることができる。さらなる実施形態においては、長手方向、幅方向またはその両方でのトラペゾイド引裂強度は、450ポンド以下、400ポンド以下、350ポンド以下または300ポンド以下とすることができる。さらなる実施形態においては、長手方向、幅方向またはその両方でのトラペゾイド引裂強度は、例えば10〜450ポンド、60〜400ポンドまたは100〜350ポンドの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。トラペゾイド引裂強度は、ASTM D5587に従って測定する。長手方向でのトラペゾイド引裂強度に対する幅方向でのトラペゾイド引裂強度の比として規定される引裂方向比は、0.77以上である。例えば、引裂方向比は0.81以上、例えば0.85以上などとすることができる。
【0047】
トラペゾイド引裂強度値は強化材料の選択によって影響され得るが、同様の強化材料とPTFEのみで形成された同様の重量の布帛と比較して、上記の布帛は、トラペゾイド引裂強度において意外かつ望ましい変化を示す。例えば、トラペゾイド引裂強度は、PTFE被覆布帛よりも25%以上、例えば50%以上、70%以上、またはさらには90%以上大きい強度とすることができる。PTFEのみで被覆された強化材料と比較したトラペゾイド引裂強度における増加は、比引裂強度として規定される。
【0048】
さらに、布帛の表面は、0.4以下、0.3以下または0.2以下の摩擦係数を有することができる。特定の実施形態においては、布帛の表面は、0.01以上、0.03以上または0.05以上の摩擦係数を有することができる。例えば、布帛の表面の摩擦係数は、0.01〜0.4、0.03〜0.3、またはさらには0.05〜0.2の範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲とすることができる。
【0049】
上記の布帛の実施形態は、光エネルギーに関して望ましい特性を示すことができる。可視光反射率(VLR)は、布帛によって反射される全可視光(約380〜780nm)のパーセントを表す。数が小さいほど、反射される可視光は少ない。可視光透過率(VLT)は、布帛を透過する全可視光のパーセントを表す。数が小さいほど、透過する可視光は少ない。赤外光反射率(ILR)は、布帛によって反射される全赤外光(約700nm〜1mm)のパーセントを表す。数が小さいほど、反射される赤外光は少ない。赤外光透過率(ILT)は、布帛を透過する全赤外光(約380〜780ナノメートル)のパーセントを表す。数が小さいほど、透過する可視光は少ない。
【0050】
上記の光エネルギー特性は分光光度計で測定し、550nmにおけるVLTによって特性評価し、Lawrence Berkeley National Labから無料で入手可能なWindow6及びOptics6ソフトウェアパッケージを使用して計算することができる。300nm〜2500nmの透過率、布帛の片側での300nm〜2500nmの反射、及び布帛のもう一方の側での300nm〜2500nmの反射は、Perkin Elmer Lambda 950分光光度計を使用して測定する。次にデータをOptics6ソフトウェアに入力し、光学ファイルを作成する。その後、光学ファイルをWindow6ソフトウェアに入力し、環境条件NFRC 100−2001、単層、及び傾き90度を用いてパラメータを計算する。
【0051】
特定の実施形態においては、布帛は、30%以下、25%以下または20%以下のVLTを有するよう、可視光の透過を制限することができる。さらに、特定の実施形態においては、布帛は、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上のVLTを有するよう、多少の可視光の透過を可能にしてもよい。特定の実施形態においては、布帛は、例えば3〜50%、5〜40%または10〜30%などの、上記の最大値のいずれかと最小値のいずれかの範囲のVLTを有することができる。より特定の実施形態においては、布帛は、20〜30%、25〜40%または30〜50%の範囲のVLTを有することができる。
【0052】
特定の実施形態においては、布帛は、60%以上、65%以上または70%以上のVLRを有するよう、可視光を反射することができる。さらに、特定の実施形態においては、布帛は、95%以下、90%以下、85%以下または80%以下のVLRを有することができる。特定の実施形態においては、布帛は、例えば60〜90%、65〜85%または70〜80%などの、上記の最大値のいずれかと最小値のいずれかの範囲のVLRを有することができる。
【0053】
特定の実施形態においては、布帛は、30%以下、25%以下または20%以下のILTを有するよう、赤外光の透過を制限することができる。さらに、特定の実施形態においては、布帛は、0%、1%以上、3%以上または5%以上のILTを有するよう、多少の赤外光の透過を可能にしてもよい。特定の実施形態においては、布帛は、例えば0〜30%、1〜25%または3〜25%などの、上記の最大値のいずれかと最小値のいずれかの範囲のILTを有することができる。
【0054】
特定の実施形態においては、布帛は、40%以上、45%以上または50%以上のILRを有するよう、赤外光を反射することができる。さらに、特定の実施形態においては、布帛は、95%以下、93%以下または90%以下のILRを有することができる。特定の実施形態においては、布帛は、例えば40〜95%、45〜93%または50〜90%などの、上記の最大値のいずれかと最小値のいずれかの範囲のILRを有することができる。
【0055】
上記の布帛は、望ましい被覆密着性を有する接着性構造体を提供することができる。被覆密着性は、2分ほど加熱押圧を行って試験試料を形成させ、幅1インチの試料で試験を行うよう改変した、ASTM D4851−88によって測定する。特定の実施形態においては、被覆密着性は、5.5ポンド/インチ以上、8.5ポンド/インチ以上、9.5ポンド/インチ以上または10ポンド/インチ以上とすることができる。さらなる実施形態においては、被覆密着性は、50ポンド/インチ以下、40ポンド/インチ以下、35ポンド/インチ以下または30ポンド/インチ以下とすることができる。さらなる実施形態においては、被覆密着性は、5.5〜50ポンド/インチ、8.5〜40ポンド/インチまたは9.5〜35ポンド/インチの範囲などの、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの範囲内とすることができる。
【0056】
有利に、上記の布帛の実施形態は、同様の強化材料で形成され、かつ同等の厚さのPTFEなどのパーフルオロポリマーで被覆された同等の布帛と比較して、たて糸方向または長手方向で、改善された破裂強度を示すことができる。同様の布帛に対するたて糸破裂強度の増加率として規定されるたて糸強度指数は、8%以上、例えば10%以上、12%以上、またはさらには15%以上などである。
【0057】
さらなる例においては、上記の布帛は、望ましい接着と破裂強度の組合せも示す。接着性(被覆密着性として測定される)と破裂強度を同時に得られない他の材料とは対照的に、布帛は、改善された破裂強度と被覆密着性の両方を示すことができる。よって、布帛の実施形態は、300以下、100以下、65以下、50以下、またはさらには35以下の、たて糸破裂強度を被覆密着性で割ったものとして規定される接着性比を示すことができる。
【0058】
特定の実施形態においては、布帛の層104は、ポリマーブレンド分散液から形成することができる。パーフルオロポリマーなどのフルオロポリマーの粒子と、シリコーンなどの予備硬化したエラストマーの粒子のブレンドを含むポリマーブレンド分散液を調製することができる。例えば、ポリマーブレンド分散液は、水性分散液であることができる。特定の例においては、PTFEなどのパーフルオロポリマーの分散液を、予備硬化したシリコーンポリマーなどのエラストマーの分散液と混合する。シリコーンポリマーは、分散液の固体に基づき2重量%〜30重量%を占めることができる。例えば、シリコーンポリマーは、分散液の固体の5重量%〜30重量%、例えば分散液の固体の10重量%〜30重量%、10重量%〜25重量%、またはさらには15重量%〜20重量%などを占めることができる。パーフルオロポリマーは、分散液の固体の残りの部分を占めることができる。例えば、パーフルオロポリマーは、分散液の固体含有量の70重量%〜98重量%、例えば分散液の固体含有量の75重量%〜90重量%、またはさらには80重量%〜85重量%などを占めることができるあるいは、分散液は固体充填剤を含むことができる。例えば、固体充填剤は、分散液中の固体の60重量%以下、例えば40重量%以下、15重量%以下または5重量%以下などを占めることができる。
【0059】
浸漬被覆、ナイフコーティングまたはキャストコーティングなどの方法により、担体をポリマーブレンド分散液で被覆することができる。余分な材料を拭き取って、被覆を乾燥し、焼結または溶着することができる。特定の実施形態においては、担体は、層103を有しても有しなくてもよい強化材料102とすることができ、その強化材料102はポリマーブレンド分散液で被覆することができる。強化材料102は、水性分散液に通して引き出すことができる。
【0060】
ポリマーブレンド分散液で被覆する前に、層103を強化材料102において形成させるため、水性分散液は、シリコーンが存在しないパーフルオロポリマー分散液とすることができる。例えば、強化材料102は、PTFEの水性分散液に通して引き出すことができる。パーフルオロポリマー分散液で被覆した強化材料102は、拭取装置を通過させて余分なパーフルオロポリマー分散液を取り除き、乾燥器を通過させる。乾燥器は、例えば3つの区域を有するタワー型乾燥器とすることができる。特に、3つの区域を有するタワー型乾燥器では、被覆材料を溶着させることができる。例えば、第1の区域では200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥することができる。第2の区域では、成膜したパーフルオロポリマーを加熱して、界面活性剤及び他の添加剤を取り除くことができる。特に、第2の区域では、成膜したパーフルオロポリマーを500°F〜600°Fの範囲の温度で加熱することができる。第3の区域では、パーフルオロポリマーを融解、焼結または溶着させることができる。例えば、第3の区域では680°F〜750°Fの範囲の温度でパーフルオロポリマーを溶着させることができる。
【0061】
別の例においては、3つの区域を有するタワー型乾燥器は、被覆材料を半溶着させるよう設定することができる。例えば、第1の区域では200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥することができる。第2の区域では、成膜したパーフルオロポリマーを加熱して、界面活性剤及び他の添加剤を取り除くことができる。特に、第2の区域では、成膜したパーフルオロポリマーを500°F〜600°Fの範囲の温度で加熱することができる。第3の区域は、パーフルオロポリマーの融点よりも低い温度に設定することができる。例えば、第3の区域は、550°F〜600°Fの範囲の温度に設定することができる。
【0062】
フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンド分散液を成膜するため、上記の方法を繰り返すことができる。例えば、強化材料102は、ポリマーブレンド分散液の浴に通して引き出すことができる。余分な分散液は、メタリングバー、バードバー、巻線型メタリングバー、Kバーもしくは他の同様な器材またはこれらの組合せなどの拭取装置を使用して取り除くことができる。ポリマーブレンド分散液で被覆した強化材料102を加熱する。例えば、ポリマーブレンド分散液を加熱して分散液を乾燥させ、界面活性剤または他の添加剤を取り除いた後、パーフルオロポリマーを融解させて、予備硬化したエラストマーを硬化することができる。特に、被覆した強化材料は、3つの区域を有するタワー型乾燥器を通過させることができ、このタワー型乾燥器は、200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥する第1の区域を備える。乾燥器の第2の区域では、500°F〜600°Fの範囲の温度にて、成膜したブレンドの被覆から界面活性剤及び他の添加剤を取り除くことができる。第3の区域は、例えばブレンドを溶着させるよう、例えばフルオロポリマーを融解させるよう設定することができ、または半溶着層を形成するよう設定することができる。例えば、第3の区域は、680°F〜700°Fの範囲の温度に設定して、材料を溶着させることができる。別の例においては、第3の区域は、550°F〜600°Fの範囲の温度に設定して、層104を半溶着させることができる。あるいは、被覆は、1つ、2つまたはそれ以上の区域を備えた乾燥器で加熱することができる。特定の例においては、被覆を2段階で乾燥し焼結させることができる。
【0063】
特定の実施形態においては、分散液の浴/パンを覆って分散液からの水の蒸発を制限し、それによって1)分散液の早過ぎる硬化/皮張りを減らし、2)より長い時間プロセスの実行を可能にし、3)被覆の品質を改善することができる。
【0064】
さらに、特に外側の層が半溶着層である場合、布帛を押圧またはカレンダー処理することができる。一例においては、カレンダーのドラムは、275°F〜400°Fの範囲の温度、及び500psi〜4000psiの範囲のドラム間圧力に設定することができる。その後、カレンダー処理した半溶着層(複数可)を含む布帛を、680°F〜750°Fの範囲内の温度などの溶着条件に付すことができる。
【0065】
さらに、布帛は、冷却プレナムを通過させることができ、ここから次の浸漬パンに送ってさらなる膜の層の形成を開始するか、ストリッピング装置に送るか、または貯蔵用ロールに送ることができる。他の実施形態においては、複合材料のシートを形成し、その後、強化材料に重ねる。これらのシートをさらに処理して、強化材料に結合させることができる。例えば、材料のシートを強化材料に積層することができる。
【0066】
特定の例においては、強化材料を、PTFEなどのパーフルオロポリマーの乳濁液に通し、そして溶着させることができる。例えば、強化材料は、乳濁液に1度通すことができる。別の例においては、強化材料を2度通すか、または任意に3度通し、そして溶着させることができる。1回通すごとに、本明細書においてパスと呼ぶ厚さが追加される。パーフルオロポリマー層を塗布後、布帛を、パーフルオロポリマーとシリコーンのブレンドを含む乳濁液に通すことができる。布帛は、ブレンドの乳濁液に1回以上通すことができる。特に、布帛は、ブレンドの乳濁液に2回通すことができ、または乳濁液に3回以上通すことができる。布帛にブレンドを被覆した後、ブレンド層を溶着させることができる。あるいは、上記のようにブレンド層を半溶着させることができ、そしてカレンダー処理、押圧またはさらなる処理後、溶着させることができる。
【0067】
任意に、さらなる層を塗布することができる。例えば、布帛をさらなる乳濁液に通すことによって、布帛にさらなる1層または複数層を被覆することができる。一例においては、さらなる乳濁液は、パーフルオロポリマー乳濁液とすることができる。別の例においては、さらなる乳濁液は、シリコーン乳濁液とすることができる。さらなる層の下にあるパスは、さらなる層を被覆した際に、溶着または半溶着させることができる。さらなる1層または複数層は、溶着または半溶着させることができる。さらなる1層または複数層は、カレンダー処理するか、または他の方法で処理することができる。
【0068】
特定の例においては、半溶着した、ブレンド層またはさらなる層のいずれかの層を押圧して、別の布帛または膜の別の半溶着層と接触させることができる。一例においては、その構造物を溶着させて、布帛どうし、または布帛と膜を一緒に結合させることができる。例えば、外側のさらなる半溶着PTFE層を押圧またはカレンダー処理して、第2の布帛または膜の半溶着PTFE層と接触させた後、溶着させることができる。別の例においては、半溶着させたブレンド層を、第2の布帛または膜の半溶着ブレンド層または半溶着パーフルオロポリマー層と接触させて配置した後、溶着させることができる。
【0069】
特定の実施形態においては、布帛は、単一パスのPTFEなどのパーフルオロポリマーで被覆された強化材料を含み、このパスは、1パス以上のブレンド、たいていは2パスのブレンドで被覆されている。層の各々は溶着させることができる。あるいは、ブレンドのパスを半溶着させ、カレンダー処理後、溶着させることができる。
【0070】
他の実施形態においては、布帛は、強化材料と、1パスの溶着パーフルオロポリマーと、2パスの溶着ブレンドと、外側の層と、を含むことができる。外側の層は、1パス以上の、パーフルオロポリマーまたはシリコーンポリマーなどのポリマーを含むことができる。
【0071】
上記の布帛の1層以上が外面を含み、この外面がさらなる機能性をもたらすよう処理されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の布帛または方法。さらなる機能性としては、向上した自浄特性、向上した溶接性、向上した接合性、向上した太陽特性、向上した色合いまたはそれらの任意の組合せが挙げられる。例えば、布帛は、TiO
2を含む光触媒性上塗りなどの、光触媒性上塗りを含むことができる。別の例においては、面の処理は、FEP、PFAまたはその両方を含む上塗りなどの、フルオロポリマー上塗りを含むことができる。特定の実施形態においては、フルオロポリマー上塗りは、二酸化ケイ素を含むことができる。さらなる例においては、面の処理は、赤外反射粒子を含む層を含むことができる。
【0072】
さらに別の例においては、面の処理は、機械エッチング、化学エッチング、コロナ処理、プラズマ処理またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例においては、面の処理はC処理を含むことができる。
【0073】
さらなる例においては、面の処理は、顔料を含む層を含むことができる。顔料は、有機顔料、無機顔料またはその両方を含むことができる。有機顔料は炭素を含むことができ、無機顔料は金属酸化物を含むことができる。
【0074】
一例においては、外側の層を溶着させる。別の例においては、外側の層を半溶着させる。さらなる実施形態においては、半溶着させた外側の層または半溶着させたブレンド層を、パーフルオロポリマーまたはシリコーンを含む膜などの膜と接触させて配置することができる。一例においては、この膜は、欠陥のない、PTFE膜などのパーフルオロポリマー膜である。一例においては、膜は、被覆よりも均一なコンシステンシーと、特性における低い変動性とを有する。膜の例としては、スカイブド膜、キャスト膜または押出し膜が挙げられる。
【0075】
特定の実施形態においては、以下でより詳しく考察するように、布帛の実施形態には建築用布帛が含まれ得る。それは、張った状態で支持構造物に隣接して配置することができる。すなわち、建築用布帛を支持構造物の上に張って建築物組立体を形成することができる。支持構造物は、ラーメン架構を含むことができる。支持構造物は連結要素を含むことができ、建築用布帛は、この連結要素によって支持構造物に連結することができる。
【0076】
特定の実施形態においては、布帛は、画定された区域を環境要素から保護するように適合された建築用布帛を含むことができる。
【0077】
特定の実施形態においては、布帛は、布帛張力構造物用に適合された建築用布帛を含むことができる。布帛張力構造物は、可逆的にたたむことができる布帛張力構造物を含むことができる。
【0078】
特定の実施形態においては、布帛は、建築用傘などの、中心の接合部から折りたたむように適合された建築用布帛を含むことができる。
【0079】
特定の実施形態においては、布帛は、格納可能の屋根システム用に適合された建築用布帛を含むことができる。
【0080】
例えば、
図4は、本明細書において記載される布帛を含む建築物組立体400の図である。
図4に示すように、建築物組立体400は、支持構造物420に連結した布帛401を含むことができる。支持構造物420は、ラーメン架構423を含むことができる。支持構造物420は、布帛401を支持構造物420に連結することに使用され得る連結要素425を含むことができる。
【0081】
特定の実施形態においては、布帛401は、張った状態で支持構造物420に隣接して配置することができる。さらなる実施形態においては、布帛401は、主面410と、対向する主面415と、を有することができる。布帛の主面410は、建築物組立体が風、雨、雪及び雹などの環境要素からの保護をもたらす保護区域を画定することができる。
【0082】
建築物組立体400には、例えば建築用傘及び格納可能な屋根システムなどの布帛張力建築物が含まれ得る。
【0083】
他の実施形態においては、本明細書において説明する布帛は、使用中に繰り返される折り畳み、曲げまたはその両方に耐える能力などの、布帛の1種以上の特性が有利である可能性のある他の用途で使用することができる。一部の例としては、産業用離型ベルトまたは産業用離型シート、伸縮継手及び可搬型レードームなどが挙げられる。
【0084】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態の一部を以下で説明する。本明細書を読んだ後、これらの態様及び実施形態が単に説明用であり、本発明の範囲を限定するものではないことを当業者は認識するであろう。実施形態は、以下に挙げる項目のいずれか1つ以上に従ってもよい。
【0085】
項目1。強化材料;及び
前記強化材料に隣接して配置された層
を含む布帛であって、80%以上の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する布帛。
【0086】
項目2。強化材料;及び
前記強化材料に隣接して配置された層
を含む布帛であって、耐火性等級A級と、45%以上の曲げ・折り畳み後の強度保持率と、を有する布帛。
【0087】
項目3。強化材料を用意すること;及び
前記強化材料に隣接して配置された層で、前記強化材料を被覆すること
を含む布帛を形成する方法であって、前記布帛が、
80%以上の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を有するか、または
耐火性等級A級と、45%以上の曲げ・折り畳み後の強度保持率と、を有する方法。
【0088】
項目4。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー、エラストマーまたはそれらの組合せを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0089】
項目5。前記エラストマーが、シリコーンエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマーまたはそれらの任意の組合せである項目4の布帛または方法。
【0090】
項目6。前記強化材料が、第1の主面と、対向する第2の主面と、を有し、前記強化材料に隣接して配置された前記層が、前記強化材料の前記第1の主面及び前記第2の主面に隣接して配置される、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0091】
項目7。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、複数の層を含み、前記複数の層のうちの1層以上が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0092】
項目8。前記強化材料に隣接して配置された前記層が複数の層を含み、前記複数の層が、
前記強化材料に隣接して配置された第1の層であって、フルオロポリマーを含む第1の層;ならびに
前記第1の層に隣接して配置された第2の層であって、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む第2の層
を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0093】
項目9。前記強化材料に隣接して配置された前記層が複数の層を含み、前記複数の層が、
前記強化材料に隣接して配置された第1の層であって、フルオロポリマーを含む第1の層;
前記第1の層に隣接して配置された第2の層であって、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む第2の層;ならびに
前記第2の層に隣接して配置された第3の層であって、フルオロポリマーを含む第3の層
を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0094】
項目10。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む層を含み、前記エラストマーが前記層において2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上または15重量%以上の量で存在する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0095】
項目11。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む層を含み、前記エラストマーが前記層において50%以下、40%以下、30重量%以下、25重量%以下または20重量%以下の量で存在する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0096】
項目12。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む層を含み、前記エラストマーが前記層において5重量%〜30重量%、10重量%〜30重量%、15重量%〜40重量%、25重量%〜50重量%、またはさらには15重量%〜20重量%の範囲で存在する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0097】
項目13。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む層を含み、前記エラストマーが、予備硬化したシリコーンポリマーの分散液から得られるシリコーンエラストマーである、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0098】
項目14。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、フルオロポリマー及びエラストマーを含むポリマーブレンドを含む層を含み、前記エラストマーが、縮合重合したシリコーンである、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0099】
項目15。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、パーフルオロポリマーを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0100】
項目16。前記布帛の1層以上にある前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)またはそれらの任意の組合せを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0101】
項目17。前記布帛の1層以上が外面を含み、前記外面がさらなる機能性をもたらすよう処理されている、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0102】
項目18。前記さらなる機能性が、向上した自浄特性、向上した溶接性、向上した接合性、向上した太陽特性、向上した色合いまたはそれらの任意の組合せを含む項目17の布帛または方法。
【0103】
項目19。前記布帛が、TiO
2を含む光触媒性上塗りなどの、光触媒性上塗りを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0104】
項目20。前記布帛が、FEP、PFAまたはその両方を含む上塗りなどの、フルオロポリマー上塗りを含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0105】
項目21。前記フルオロポリマー上塗りが二酸化ケイ素を含む項目20の布帛または方法。
【0106】
項目22。前記面の処理が、機械エッチング、化学エッチング、コロナ処理、プラズマ処理またはそれらの任意の組合せを含む項目17の布帛または方法。
【0107】
項目23。前記面の処理がC処理を含む項目22の布帛または方法。
【0108】
項目24。前記布帛が赤外線反射粒子を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0109】
項目25。前記布帛が顔料を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0110】
項目26。前記顔料が、有機顔料、無機顔料またはその両方を含む項目25の布帛または方法。
【0111】
項目27。前記有機顔料が炭素を含み、前記無機顔料が金属酸化物を含む項目26の布帛または方法。
【0112】
項目28。前記強化材料に隣接して配置された前記層が、積層層または被覆層を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0113】
項目29。前記強化材料が織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方 法。
【0114】
項目30。前記強化材料が、平織、朱子織、斜文織またはそれらの組合せを有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0115】
項目31。前記強化材料が、100グラム毎平方メートル(gsm)以上、150gsm以上、200gsm以上、225gsm以上または250gsm以上の重量を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0116】
項目32。前記強化材料が、1500gsm以下、1400gsm以下、1300gsm以下または1200gsm以下の重量を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0117】
項目33。前記強化材料が、100〜2500gsm、150〜1400gsm、200〜1300gsm、225〜1200gsmまたは250〜1200gsmの範囲の重量を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0118】
項目34。前記強化材料が、0.005mm以上、0.01mm以上、0.015mm以上または0.02mm以上の厚さを有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0119】
項目35。前記強化材料が、5mm以下、4.5mm以下、4mm以下または3.7mm以下の厚さを有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0120】
項目36。前記強化材料が、0.005mm〜5mm、0.01mm〜4.5mm、0.015mm〜4mmまたは0.02mm〜3.7mmの範囲の厚さを有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0121】
項目37。前記強化材料が、0%以上、1%以上、2%以上または3%以上の、ASTM D4751に従って測定される開口率を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0122】
項目38。前記強化材料が、30%以下、25%以下、20%以下または15%以下の、ASTM D4751に従って測定される開口率を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0123】
項目39。前記強化材料が、0%〜30%、1%〜25%、2%〜20%もしくは3%〜15%の範囲の、または15%〜85%、20%〜80%、25%〜75%もしくは30%〜70%の範囲などの、ASTM D4751に従って測定される開口率を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0124】
項目40。 前記強化材料が、0.04mm
2以上、0.5mm
2以上、1mm
2以上、2mm
2以上または4mm
2以上の開口寸法を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0125】
項目41。 前記強化材料が、1000mm
2以下、900mm
2以下または625mm
2以下の開口寸法を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0126】
項目42。 前記強化材料が、0.04〜1000mm
2、1〜900mm
2または4〜625mm
2の範囲の開口寸法を有する織布を含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0127】
項目43。前記布帛が積層体である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0128】
項目44。前記布帛が、ASTM 751/D4851に従った、曲げ・折り畳み試験を経た後に保持されるたて糸破裂強度試験に基づき、45%以上、55%以上、65%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0129】
項目45。前記布帛が、ASTM 751/D4851に従った、曲げ・折り畳み試験を経た後に保持されるたて糸破裂強度試験に基づき、99.5%以下、99%以下または98%以下の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0130】
項目46。前記布帛が、ASTM 751/D4851に従った、曲げ・折り畳み試験を経た後に保持されるたて糸破裂強度試験に基づき、45%〜99%または75%〜98%の範囲の、曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0131】
項目47。前記布帛が、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または95%以上の、ASTM D4329に従って測定される耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0132】
項目48。前記布帛が、99%以下、97%以下または95%以下の、ASTM D4329に従って測定される耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0133】
項目49。前記布帛が、40%〜99%、70%〜97%または80%〜95%の範囲の、ASTM D4329に従って測定される耐候性試験後の曲げ・折り畳み後の強度保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0134】
項目50。前記布帛が、100時間以上、150時間以上または200時間以上の、ASTM D6992に従って測定される耐クリープ性を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0135】
項目51。前記布帛が、100〜600時間、150〜500時間または200〜400時間の範囲の、ASTM D6992に従って測定される耐クリープ性を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0136】
項目52。前記布帛が、たて糸方向とよこ糸方向とを有し、150ポンド毎リニア・インチ(pli)以上、200pli以上、250pli以上、500pli以上、750pli以上または1000pli以上の、前記たて糸方向、前記よこ糸方向またはその両方での引張り強度を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0137】
項目53。前記布帛が、たて糸方向とよこ糸方向とを有し、1500pli以下、1700pli以下、2000pli以下または2500pli以下の、前記たて糸方向、前記よこ糸方向またはその両方での引張り強度を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0138】
項目54。前記布帛が、たて糸方向とよこ糸方向とを有し、150pli〜2500pli、200pli〜2000pliまたは500pli〜1000pli、またはさらには300pli〜1500pliの範囲の、前記たて糸方向、前記よこ糸方向またはその両方での引張り強度を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0139】
項目55。前記布帛が、80%以上、85%以上または90%以上の折り目付け・折り畳み保持率を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0140】
項目56。前記布帛が、30%以下、25%以下または20%以下の可視光透過(VLT)を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0141】
項目57。前記布帛が、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上のVLTを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0142】
項目58。前記布帛が、3〜50%、5〜40%もしくは10〜30%の範囲、または20〜30%、25〜40%もしくは30〜50%の範囲のVLTを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0143】
項目59。前記布帛が、60%以上、65%以上または70%以上の可視光反射率(VLR)を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0144】
項目60。前記布帛が、95%以下、90%以下、85%以下または80%以下のVLRを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0145】
項目61。前記布帛が、60〜90%、65〜85%または70〜80%の範囲のVLRを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0146】
項目62。前記布帛が、30%以下、25%以下または20%以下の赤外光透過(ILT)を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0147】
項目63。前記布帛が、0%以上、1%以上、3%以上または5%以上のILTを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0148】
項目64。前記布帛が、0〜30%、1〜25%または3〜25%の範囲のILTを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0149】
項目65。前記布帛が、40%以上、45%以上または50%以上の赤外光反射率(ILR)を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0150】
項目66。前記布帛が、95%以下、93%以下または90%以下のILRを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0151】
項目67。前記布帛が、40〜95%、45〜93%または50〜90%の範囲のILRを有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0152】
項目68。前記布帛が、2分ほど加熱及び押圧を行って試験試料を形成させ、幅1インチの試料で試験を行うよう改変したASTM D4851−88によって決定される、5.5ポンド/インチ以上、8.5ポンド/インチ以上、9.5ポンド/インチ以上または10ポンド/インチ以上の被覆密着性を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0153】
項目69。前記布帛が、2分ほど加熱及び押圧を行って試験試料を形成させ、幅1インチの試料で試験を行うよう改変したASTM D4851−88によって決定される、50ポンド/インチ以下、40ポンド/インチ以下、35ポンド/インチ以下または30ポンド/インチ以下の被覆密着性を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0154】
項目70。前記布帛が、2分ほど加熱及び押圧を行って試験試料を形成させ、幅1インチの試料で試験を行うよう改変したASTM D4851−88によって決定される、5.5〜50ポンド/インチ、8.5〜40ポンド/インチまたは9.5〜35ポンド/インチの範囲の被覆密着性を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0155】
項目71。前記布帛が耐火性等級A級を有する、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0156】
項目72。前記布帛が液体の水を実質的に通さない、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0157】
項目73。前記布帛が建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0158】
項目74。前記布帛が、支持構造物に隣接して配置されるように適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0159】
項目75。前記布帛が、張った状態で前記支持構造物に隣接して配置されるように適合された建築用布帛である項目74の布帛または方法。
【0160】
項目76。前記支持構造物がラーメン架構を含む項目74または75の布帛または方法。
【0161】
項目77。前記支持構造物が連結要素を含み、前記建築用布帛が、前記連結要素によって前記支持構造物に連結されるように適合されている項目74〜76のいずれか1つの布帛または方法。
【0162】
項目78。前記布帛が、画定された区域を環境要素から保護するように適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0163】
項目79。前記布帛が、布帛張力構造物用に適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0164】
項目80。前記布帛張力構造物が、可逆的にたたむことができるものである項目79の布帛または方法。
【0165】
項目81。前記布帛が、中心の接合部から折りたたむように適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0166】
項目82。前記布帛が、建築用傘用に適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0167】
項目83。前記布帛が、格納可能の屋根システム用に適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0168】
項目84。前記布帛が、使用中に繰り返される折り畳み、曲げまたはその両方に耐えるように適合された建築用布帛である、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0169】
項目85。前記布帛が、産業用離型ベルトまたは産業用離型シート用に適合されている、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0170】
項目86。前記布帛が伸縮継手用に適合されている、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0171】
項目87。前記布帛が可搬型レードーム用に適合されている、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0172】
項目88。前記ポリマーブレンドがグリセリンをさらに含む、先行する項目のいずれか1つの布帛または方法。
【0173】
項目89。前記グリセリンが、前記ポリマーブレンドの総重量に基づき0.25重量%〜25重量%、0.25重量%〜15重量%または0.25重量%〜5重量%の量で前記ポリマーブレンドに存在する項目88の布帛または方法。
【実施例】
【0174】
本明細書において説明する概念を以下の実施例でさらに説明する。実施例は、特許請求の範囲において記載される本発明の範囲を限定するものではない。以下のパラメータの一部は、便宜上近似してある。
【0175】
実施例1
実施例1は、従来の建築用布帛である比較試料1と、本明細書に記載される実施形態による建築用布帛である試料2の比較を含んだ。
【0176】
比較試料1は、平織ガラス布帛を用意すること、及びこのガラス布帛を、多段階被覆プロセスに従ったフルオロポリマー浸漬を用いて被覆することによって作製した。この多段階被覆プロセスは、熱洗浄すること、T30(98%)及びT121(2%)のブレンド(これらの両方とも米国デラウェアのE. I. du Pont de Nemours and Companyより入手可能)である第1のフルオロポリマー配合物で被覆すること、第2のフルオロポリマー配合物TE3879(米国デラウェアのE. I. du Pont de Nemours and Companyより入手可能)で被覆すること、ならびに第3のフルオロポリマー配合物TE9568(米国デラウェアのE. I. du Pont de Nemours and Companyより入手可能)で被覆することを含んだ。
【0177】
試料2は、比較試料1に使用した同じ平織ガラス布帛を用意すること、ならびに比較試料1に使用した同じ多段階被覆プロセスを用いて、比較試料1の第2のフルオロポリマー配合物を、80重量%のフルオロポリマーTE3879及び20重量%のシリコーンポリマーCT−27E(ドイツ、ミュンヘンのWacker−Chemie GmBHより入手可能)を含むポリマーブレンドで置き換えて布帛を被覆することによって作製した。
【0178】
2つの試料を、破裂強度(ASTM751/D4851)、曲げ・折り畳み後の強度保持率(本明細書において説明したとおり)、及びたて糸方向での平均トラペゾイド引裂(ASTM D5587)、ならびに水吸収(FED試験方法191−5502)について試験した。表1に試験結果を示す。表1に示すように、本開示の建築用布帛の実施形態である試料2では、比較試料1と比べてたて糸方向での特性が非常に改良されており、特に曲げ・折り畳み後の強度保持率が非常に改良されている。
【0179】
【表1】
【0180】
実施例2
比較試料3は、重量のある平織ガラス布帛(30osy)を用意すること、及びこのガラス布帛を、多段階被覆プロセスに従ったフルオロポリマー浸漬を用いて被覆することによって作製した。この多段階被覆プロセスは、熱洗浄すること、第1のフルオロポリマー配合物(LA11501 M132)で被覆すること、第2のフルオロポリマー配合物(TE3859)で被覆すること、及び4ミルのPTFEキャスト膜を積層することを含んだ。
【0181】
試料4は、比較試料3に使用した同じ重量のある平織ガラス布帛(30osy)を用意すること、ならびに比較試料3に使用した同じ多段階被覆プロセスを用いて、試料4に使用したプロセスでは、4ミルのPTFEキャスト膜を積層する前に、80重量%のフルオロポリマー(TE3879)及び20重量%のシリコーンポリマー(CT−27E)を含むポリマーブレンドで被覆することと、第3のフルオロポリマー配合物(TE3859)で被覆することと、をさらに含んで布帛を被覆することによって作製した。
【0182】
2つの試料を、極限引張り(ASTM751/D4851)、曲げ・折り畳み耐性(本明細書において説明したとおり)、ならびに、たて糸及びよこ糸方向でのトラペゾイド引裂(ASTM D5587)について試験した。表2に試験結果を示す。表2に示すように、比較試料3と比べると、2つの布帛は酷似した重量及び厚さを有するにもかかわらず、本開示の実施形態による建築用布帛の一実施形態である試料4では性能が増加している。
【0183】
【表2】
【0184】
実施例3
実施例3では、様々な強化材料を有する、本開示の実施形態による建築用布帛を試験した。
【0185】
試料5は、朱子織を有する織布強化材料(スタイル7581)を用意すること、ならびにこの布帛を、80重量%のPTFE及び20重量%のシリコーンポリマーを含むポリマーブレンド層で被覆することによって調製した。
【0186】
試料6は、試料5と同じ方法で、試料6用の強化材料には斜文織を有する織布(スタイル92125)を用いて調製した。
【0187】
試料7は、試料5及び6と同じ方法で、試料7用の強化材料には平織を有する織布(スタイル7526)を用いて調製した。
【0188】
試料8は、試料5〜7と同じ方法で、試料8用の強化材料には平織を有する織布(スタイル1564)を用いて調製した。
【0189】
試料5〜8の各々を、被覆密着性(ASTM D4851−88)、破裂強度(ASTM 751)及び曲げ・折り畳み後の強度保持率(本明細書において説明したとおり)について試験した。表3に試験結果を示す。
【0190】
【表3】
【0191】
試料7及び8はそれぞれ平織型を有しており、試料7の、より目の詰んだ織物は、曲げ・折り畳み後の強度保持率がより低くなることに寄与していると思われる。さらに、試料5は、高い曲げ・折り畳み後の強度保持率を有するが、試料5は高い被覆密着性を示さない。試料9は、高い被覆密着性を与えながらも、高い強度及び強度保持率を維持する。
【0192】
上の説明及び実施例において説明したように、本開示の建築用布帛の実施形態は、建築用傘または格納可能な屋根システムでの曲げ及び折り畳みに好適である。特に、建築用布帛の実施形態は、高い可撓性、長期間の構造的完全性、耐火性及び長期間の美的魅力の意外な組合せを提供することができる。
【0193】
全般的な説明または実施例における前述の作業の全てが必要とされるわけではなく、特定の作業の一部は必要とされなくてもよく、また1つ以上のさらなる作業が記載の作業に加えて行われてもよいことに留意されたい。さらにまた、行動の列挙順序は、必ずしも行われる順序であるわけではない。
【0194】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点及び問題の解決法を上に記載している。しかしながら、利益、利点、問題の解決法、及び、任意の利益、利点もしくは解決法を生じさせるかまたはそれらをより顕著にし得るいずれの特徴も、特許請求の範囲の請求項のいずれかまたは全ての、不可欠な特徴、必須な特徴または本質的な特徴として解釈すべきではない。
【0195】
本明細書において記載される実施形態の詳細及び説明は、様々な実施形態の構成の一般的な理解を提供することを意図するものである。詳細及び説明は、本明細書において記載される構造物または方法を使用する装置及びシステムの全要素及び全特徴を完全かつ包括的に記載するものとして役割を果たすことを意図していない。別個の実施形態は、1つの実施形態において組合せで提供されてもよく、反対に、簡潔のため1つの実施形態の文脈に記載された様々な特徴は、別個で提供されるかまたは任意の部分組合せで提供されてもよい。さらに、範囲で言及された値の参照は、その範囲内の全ての値を含む。単に本明細書を読了すれば、他の多くの実施形態が当業者に明らかとなってもよい。本開示の範囲から逸脱することなく構造的置換、論理的置換または別の変化がなされてもよいように、他の実施形態が使用されてもよく、他の実施形態が本開示から派生してもよい。したがって本開示は、限定するものというよりもむしろ説明するものであるとみなされるべきである。