【実施例】
【0028】
本発明のその他の特徴及び利点が、例として、本発明の原理を説明する以下の更に詳しい実施例から明らかになるであろう。
化合物の塩形態が明記されない場合、化合物は化学構造、合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、遊離塩基又は塩又は双性イオンとして存在し得る。当業者は化合物が或る塩形態に限定されないことを認めるであろう。化合物の塩形態が明記される場合、対イオンの化学量論量が通常省かれる。多く荷電された対イオンの場合には、当業者は得られる塩形態が荷電されず、相当する化学量論量をもたらすことを認めるであろう。当業者は化合物がモノ塩形態に限定されないこと及びそれが二塩、三塩又はその他の化合物:対イオン化学量論量として存在し得ることを認めるであろう。更に、当業者はこのような化合物が合成条件並びに適用される処理及び精製の方法に応じて、異なる対イオンとの塩として予期せずに存在し得ることを認めるであろう。収率測定の目的のみのために、対イオンの性質及び化合物:対イオン化学量論量の推定がなされる(示される式により示されるように)。
中間体の合成
下記の中間体を表に示される文献に記載されたように調製し得る。
【0029】
【化12】
【0030】
中間体II,1
【化13】
I.1
【0031】
ACN (100 ml)中のアリールハライド中間体 I.3 (17.2 g; 63.6 ミリモル) 、 (テトラヒドロピラン-4-イル)-メチルアミン (11.5 g; 99.6 ミリモル) 及び炭酸カリウム (13.2g; 95.3 ミリモル) の混合物を60℃で2時間撹拌する。その混合物を蒸発させ、残渣をEEに吸収させ、食塩水で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ (MgSO
4)、蒸発させる。
C
18H
26N
2O
6 ESI 質量スペクトル: m/z = 367 [M+H]+
下記の中間体を示されるそれぞれのアリールハライド及びそれぞれのアミンから調製する。適用される条件に応じて、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じることがあり、これは以下に記載される実施例化合物の合成に同等に適用し得る。
【0032】
【化14】
【0033】
中間体III.1
【化15】
III.1
【0034】
THF (200 ml)中の中間体 II.1 (23.1 g; 63.1 ミリモル) をパール装置中で水素化する(50℃; 3 バールの水素; 触媒: ラネーニッケル2.00 g)。触媒を濾別し、溶媒を蒸発させる。
C
18H
28N
2O
4
HPLC分析: RT = 0.45 分 (HPLC 方法 A)
下記の中間体を示されるそれぞれの出発物質から調製する。適用される条件に応じて、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じることがあり、これは以下に記載される実施例化合物の合成に同等に適用し得る。
【0035】
【化16】
【0036】
中間体 IV.1
【化17】
IV.1
【0037】
工程 1:
ジアミノ中間体 III.1 (21.2 g; 63.1 ミリモル) 、THF (250 ml)、N-フタロイルグリシン (13.0 g; 63.1 ミリモル) 、TBTU (20.3 g; 63.14 ミリモル) 及びトリエチルアミン (9.63 ml; 69.4 ミリモル) の混合物を室温で4時間撹拌する。その混合物を氷−水 (800 ml) に注ぎ、氷が融解されるまで撹拌する。沈澱を吸引で濾過し、水で洗浄し、65℃で乾燥させる。
工程 2:
こうして生成された中間体を酢酸 (30 ml)及びジオキサン (120 ml) に吸収させ、95℃で一夜撹拌する。その混合物を蒸発させ、EEに吸収させ、Na
2CO
3溶液及び水で連続して抽出する。有機層を分離し、蒸発させる。残渣をTBDME ですり砕き、吸引により濾過し、50℃で乾燥させる。
C
28H
31N
3O
6 ESI 質量スペクトル: m/z = 506 [M+H]+
下記の中間体を示されるそれぞれのジアミノ化合物から調製する。沈澱が生じない場合には、中間体を抽出する。適用される条件に応じて、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じることがあり、これは以下に記載される実施例化合物の合成に同等に適用し得る。
【0038】
【化18】
【0039】
中間体 V.1
【化19】
V.1
【0040】
酸中間体 IV.3 (2.00 g; 4.24 ミリモル) 、アミンチオモルホリン-1-オキサイド (505 mg; 4.24 ミリモル) 、TBTU (1.36 g; 4.24 ミリモル) 、トリエチルアミン (1.19 ml; 8.48 ミリモル) 及びDMF (20 ml) の混合物を室温で2時間撹拌する。その混合物を氷−水に注ぎ、次いでEEで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ (MgSO
4)、濾過し、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM/MeOH 0→10%) により精製する。
C
27H
28N
4O
6 ESI 質量スペクトル: m/z = 537 [M+H]+
下記の中間体を示されるそれぞれの酸及びアミンから調製する。適用される条件に応じて、操作が塩化物塩、TFA 塩又はビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じることがある。
【0041】
【化20】
【0042】
中間体 VI.1
【化21】
VI.1
【0043】
工程 1: ベンゾイミダゾール中間体 IV.2 (5.00 g; 11.8 ミリモル) 、ヨードエタン (4.77 ml; 59.0 ミリモル) 及びACN (50 ml) の混合物を2時間にわたって120 ℃に加熱する(マイクロウェーブ照射;密閉容器)。
工程 2: その混合物を蒸発させ、残渣を65℃で1時間にわたってHCl 水溶液(4モル/l; 50ml; 200 ミリモル) 中で撹拌する。その混合物を凍結乾燥する。
処理: 残渣をRP-HPLC (C18; 水/ACN/TFA) により精製する。
C
22H
22N
3O
6 ESI 質量スペクトル: m/z = 424 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.37 分 (HPLC 方法 A)
下記の中間体を示されるそれぞれのベンゾイミダゾールから調製する。適用される条件に応じて、合成が遊離塩基、TFA 塩又はその他の塩形態を生じることがあり、これは以下に記載される実施例化合物の合成に同等に適用し得る。
【0044】
【化22】
【0045】
中間体 VII.1
【化23】
VII.1
【0046】
4-ヨードベンゾニトリル (2.29 g; 10.0 ミリモル) 、ジメチルホスフィンオキサイド (800 mg; 10.3 ミリモル) 、トリエチルアミン (6.97 ml; 50 ミリモル) 及びACN (50 ml) の混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下に保つ。キサントフォス (400 mg; 0.691 ミリモル) 、トリス (ジベンジリデンアセトン) ジパラジウム (300 mg; 0.328 ミリモル) 及び炭酸セシウム (4.0 g; 12.3 ミリモル) を添加し、その混合物をアルゴン雰囲気下で80℃で2時間撹拌する。水を添加し、その混合物をEEで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ (MgSO
4)、蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (DCM / MeOH 0→15%)により精製する。
C
9H
10NOP
HPLC分析: RT = 0.59 分 (HPLC 方法 B)
【0047】
中間体 VIII.1
【化24】
VIII.1
【0048】
工程 1: 酸中間体 VI.1 (1.06 g; 1.97 ミリモル) をTHF (10 ml) に吸収させる。
工程 2: TBDMS クロリド (594 mg; 3.94 ミリモル) 及びイミダゾール (268 mg; 3.94 ミリモル) を添加し、その混合物を室温で3日間撹拌する。
工程 3: CDI (479 mg; 2.96 ミリモル) を添加し、30分間撹拌した後に、アミン中間体 III.4 (360 mg; 1.97 ミリモル) を添加し、その混合物を更に一夜撹拌する。
工程 4: TFA (3 ml) を添加し、その混合物を室温で1時間撹拌する。
処理: その混合物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (C18; 水/ACN/TFA)により精製する。
C
31H
34N
4O
6P ESI 質量スペクトル: m/z = 589 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.39 分 (HPLC 方法 A)
下記の中間体を示されるそれぞれの酸及びアミンを適用して調製する。適用される条件に応じて、合成が塩化物塩、TFA 塩又はビス-TFA塩、双性イオン又はその他の塩形態を生じることがある。
【0049】
【化25】
【0050】
中間体 IX.1
【化26】
IX.1
【0051】
中間体 VIII.1 (210 mg; 0.254 ミリモル) 、ヒドラジン水和物 (57.8 μl; 0.762 ミリモル) 及びエタノール (5 ml) の混合物を70℃(浴温度)で2時間撹拌する。不溶物を吸引により濾別し、濾液を蒸発させ、RP-HPLC (C18, 水 / ACN / TFA) により精製する。
C
23H
32N
4O
4P x C
2O
2F
3 x C
2HO
2F
3 ESI 質量スペクトル: m/z = 459 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.26 分 (HPLC 方法 A)
下記の中間体を示されるそれぞれの保護されたアミンから調製する。適用される条件に応じて、合成がTFA 塩又はその他の塩形態を生じることがあり、これは更なる合成工程に同等に適用し得る。
【0052】
【化27】
【0053】
中間体 X.1
【化28】
X.1
【0054】
中間体 IX.4 (13.5 g; 32.2 ミリモル) 及びHCl 水溶液(4モル /l; 100 ml; 400 ミリモル) の混合物を80℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却する。不溶物を濾別し、捨てる。濾液をACN の添加後に凍結乾燥する。
C
14H
20N
3O
3 x HCl x Cl ESI 質量スペクトル: m/z = 278 [M]+
【0055】
中間体 XI.1
【化29】
XI.1
【0056】
中間体 X.1 (14.3 g; 40.8 ミリモル) 及びメタノール性HCl (50 ml) の混合物を30分間還流し、次いで熱時濾過し、蒸発、乾燥させる。
C
15H
22N
3O
3 x HCl x Cl ESI 質量スペクトル: m/z = 292 [M]+
【0057】
中間体 XII.1
【化30】
XII.1
【0058】
中間体 V.2 (2.00 g; 3.57 ミリモル) 及びHCl 水溶液(1モル/l; 7.13 ml; 7.13 ミリモル) の混合物を50℃で一夜撹拌する。その混合物を1℃に冷却し、生成された沈澱を吸引で濾過し、50℃で乾燥させる。
C
19H
22ClN
6O
4 x Cl ESI 質量スペクトル: m/z = 433 [M]+
【0059】
中間体 XIII.1
【化31】
XIII.1
【0060】
工程 1: 4-(BOC-アミノ)-ピペリジン (1.00 g; 4.99 ミリモル) 、DIPEA (1.72 ml; 9.99ミリモル) 及びDMF (3.0 ml)の混合物に室温で2-ブロモエチル-エチルエーテル (840 mg;5.49ミリモル) を滴下して添加する。その混合物を更に2時間撹拌し、次いで水を添加し、その混合物をジエチルエーテルで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ、蒸発、乾燥させる。
工程 2: 工程1から得られたBOC-保護中間体をHCl 水溶液(6.10 ml; 24.4 ミリモル) 中で懸濁させる。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで蒸発、乾燥させる。
C
9H
20N
2O x HCl
【0061】
実施例の合成
実施例 1.01
【化32】
1.1
【0062】
3-アミノ-6-クロロ-ピラジン-2-カルボン酸 (26.0 mg; 0.150 ミリモル) 、アミン中間体 IX.3 (100 mg; 0.151 ミリモル) 、TBTU (53.0 mg; 0.165 ミリモル) 、トリエチルアミン (63.2 μl; 0.450 ミリモル) 及びDMF (5.0 ml)の混合物を室温で一夜撹拌する。揮発物を蒸発させ、残渣をRP-HPLC (C18;水-ACN-TFA) により精製する。
C
26H
33ClN
7O
5S x C
2O
2F
3 ESI 質量スペクトル: m/z = 590 [M+H]+
HPLC分析: RT = 0.42 分 (HPLC 方法 D)
下記の実施例化合物を示されるそれぞれのアミンから調製する。適用される条件に応じて、合成が予期せずにその他の対イオン化学量論量又はその他の塩形態を生じ得る。
【0063】
【化33】
【0064】
実施例 2.01
【化34】
2.01
【0065】
工程 1: 中間体 XII.1 (120 mg; 0.243 ミリモル) 、TBTU (156 mg; 0.486 ミリモル) 、トリエチルアミン (101 μl; 0.729 ミリモル) 及びDMF (3.0 ml)の混合物にアミン tert-ブチル N-(3-アミノプロピル)カルバメート (42.3 mg; 0.243 ミリモル) を添加する。その混合物を室温で3時間撹拌し、次いで蒸発させる。
工程 2: そのBOC-保護中間体をRP-HPLC (C18; 水-ACN-TFA) により精製し、HCl 水溶液(37%; 1.0 ml) に吸収させ、蒸発、乾燥させる。
工程 3: 粗生成物をRP-HPLC (C18; 水-ACN-TFA) により精製する。
C
22H
30ClN
8O
3 x C
2O
2F
3 x C
2HO
2F
3 ESI 質量スペクトル: m/z = 489 [M+H]+
HPLC分析: RT = 3.02 分 (HPLC 方法 C)
下記の実施例化合物を示されるそれぞれのアミンから調製する。適用される条件に応じて、合成が予期せずにその他の対イオン化学量論量又はその他の塩形態を生じ得る。
【0066】
【化35】
【0067】
(a) 工程 2 省略; RP-HPLC (C18; 水-ACN-ギ酸) による精製
分析方法及び分取クロマトグラフィー
原則として、
1H-NMR 及び質量スペクトルを調製された化合物について得た。示された質量ピーク (例えば、(M)+、(M+H)+、(M+HCOO)-) は単一同位体の分子量を表す。
分取HPLC:
静止相 (特にことわらない限り): エクスブリッジC18; 10 μm又はサンファイアーC18; 10μm (両方ともウォーターズ, www.waters.comから)
分析HPLC/MS 方法
示されたHPLC保持時間を下記のパラメーターのもとに測定する。
HPLC 方法 A
【0068】
【表1】
【0069】
HPLC 方法 B
【表2】
【0070】
HPLC 方法 C
カラム:アトランチスdC18 5μm 4,6 x 50 mm,温度35℃
移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + CF3COOH 0,05%
B = CH3CN 90% + 10% H2O
時間(分) %A %B 流量(ml/分)
0.00 100 0 1.3
0.70 100 0 1.3
4.5 0 100 1.3
5.80 0 100 1.3
6.00 100 0 1.3
【0071】
HPLC 方法 D
【表3】
【0072】
下記の略号を先に、また後に使用する。
【表4】
【0073】
薬理学的試験方法
先に示された実施例化合物のIC
50値をユシングチャンバーアッセイで測定した。
ユシングチャンバー:マウス腎臓M-1 細胞を10〜12日間にわたってポリエステルトランスウェルフィルター上で5% FCS及び5μM デキサメタゾンを含むDMEM中で培養した。フィルターをテフロン被覆ウェル−プレート(これはユシングチャンバー系にフィットする)に挿入した。測定の前に、M-1 細胞の培地をCaco-2トランスポート緩衝液(インビトロゲン、ドイツ)と交換した。測定中に、ユシングチャンバー温度を37℃に保った。短回路電流(I_sc)をデータ獲得及び分析のためのソフトウェアパッケージラボ・ビューを用いて電圧−クランプモードで測定した。経上皮電気抵抗 (TEER) を5秒毎に±5mVの電圧ステップの適用により測定した。化合物を3μM の最終濃度又は増大する濃度 (1-3-10μM) で頂端溶液に投与した。それぞれの実験の終了時に、3μM アミロリドを頂端区画に添加することによりアミロリド感受性I_SCを測定した。結果をアミロリド作用の抑制%又はIC
50として表す。
先に示された実施例化合物では、下記のIC
50値をユシングチャンバーアッセイで測定した。
【0074】
【表5】
【0075】
CALU-3細胞における透過性:
透過性フィルター支持体上で増殖された局在化された、集密CALU-3細胞単層を横切る透過性測定を使用して肺上皮を通過する化合物の潜在性についての情報を得る。CALU-3細胞単層を横切る化合物の見掛透過性係数 (Papp) を頂端から基底への(AB)輸送方向及び基底から頂端への(BA)輸送方向で測定する (pH 7.4, 37℃) 。AB透過性 (Papp, AB) は肺ルーメンから血液への薬物吸収を表し、またBA透過性 (Papp, BA) は主として受動的透過性による血液から肺ルーメンへの薬物輸送を表す。何とならば、Calu-3細胞だけでなく、肺上皮細胞がP-gpのような外向きフラックス輸送体を発現しないが、吸収輸送体が発現されるかもしれないからである。
【0076】
CALU-3細胞 (1-2 x 10
5 細胞/1 cm
2 の面積) をフィルターインサート (コスター・トランスウェルポリカーボネートフィルター, 0.4 μm の孔サイズ) に接種し、しっかりした単層が生成されるまで10-12 日間にわたって培養する(DMEM)。関係する化合物を適当な溶媒に溶解する (DMSO, 10 mM 原液) 。原液をHTP-4 緩衝液 (128.13 mM NaCl, 5.36 mM KCl, 1 mM MgSO4, 1.8 mM CaCl2, 4.17 mM NaHCO3, 1.19 mM Na2HPO4 x 7H2O, 0.41 mM NaH2PO4xH2O, 15 mM HEPES, 20 mMグルコース, 0.25 % BSA, pH 7.4) で希釈して輸送溶液(10 μMの化合物、最終DMSO <= 0.5 %)を調製する。A-B 又はB-A 透過性(3回のフィルター反復試験)をそれぞれ測定するために輸送溶液(TL)を頂端又は基底外側のドナーサイドに適用する。レシーバーサイドはドナーサイドと同じ緩衝液を含む。収容の30分後に、サンプルをドナーから実験の開始時t0 = 0分及び終了時tn = 90 分に集め、またレシーバーチャンバーから0分、30分、60分、及び90分に集める。除去された容積をHTP-4 緩衝液により補給する。サンプル中の化合物濃度をHPLC-MS/MS又はシンチレーションカウンティングにより測定する。透過性係数(Papp)及び外向きフラックス比を下記の式に従って計算する。
Papp [cm/s] =(濃度レシーバー [nM] * 容積レシーバー [mL]/時間間隔 [秒])*(1/フィルター面積)*(1/ドナー濃度 [nM])
先に示された実施例化合物では、下記の透過性値をCALU-3細胞アッセイで測定した。
【0077】
【表6】
【0078】
指示
判明されたように、式 (I)の化合物は治療分野におけるそれらの広い適用の範囲により特徴づけられる。式 (I)の本発明の化合物が好ましくはENaC阻害薬としてのそれらの医薬効力のために適しているこれらの適用が特に挙げられるべきである。例として、呼吸器の疾患もしくは
愁訴、気道のアレルギー性疾患、又はドライアイが挙げられる。
増大された粘液生成、炎症及び/又は気道の閉塞性疾患により伴なわれる気道及び肺の疾患の予防及び治療が特に挙げられるべきである。例として、急性、アレルギー性もしくは慢性の気管支炎、慢性閉塞性気管支炎(COPD)、咳、肺気腫、アレルギー性もしくは非アレルギー性鼻炎もしくは副鼻腔炎、慢性鼻炎もしくは副鼻腔炎、喘息、肺胞炎、農夫肺疾患、過反応性気道、感染性気管支炎もしくは肺炎、小児喘息、気管支拡張、肺線維症、ARDS (急性成人呼吸困難症候群) 、気管支浮腫、肺浮腫、気管支炎、種々の原因、例えば、発汗、毒性ガスの吸引により誘発される気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、又は心不全、放射線、化学療法の結果としての気管支炎、肺炎もしくは間質性肺炎、のう胞性線維症又はのう腫性膵臓線維症、或いはアルファ1-アンチトリプシン欠乏症が挙げられる。
特に好ましくは、本発明は肺を含む上部呼吸器及び下部呼吸器の炎症性又は閉塞性疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、気管支拡張、のう胞性線維症、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎及び喘息の治療のための医薬組成物を調製するための式 (I)の化合物の使用に関する。
式 (I)の化合物を炎症性疾患及び閉塞性疾患、例えば、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息、のう胞性線維症、特にCOPD、慢性気管支炎、喘息及びのう胞性線維症の治療のために使用することが最も好ましい。
実際の医薬有効量又は治療用量は、勿論、当業者により知られている因子、例えば、患者の年齢及び体重、投与の経路及び疾患の重度に依存するであろう。いかなる場合にも、組み合わせは医薬有効量が患者の特有の症状に基づいて送出されることを可能にする用量及び様式で投与されるであろう。
【0079】
組み合わせ
式 (I)の化合物はそれら自体で使用されてもよく、又は本発明の式 (I)のその他の活性物質と連係して使用されてもよい。所望により、式 (I)の化合物はまたその他の薬理学的活性物質と組み合わせて使用されてもよい。
それ故、更に、本発明は式 (I)の一種以上の化合物又はその塩の他に、更なる活性物質として、更なるENaC阻害薬、ベータ模倣薬、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4阻害薬、LTD4アンタゴニスト、EGFR阻害薬、ドーパミンアゴニスト、H1- 抗ヒスタミン薬、PAF-アンタゴニスト、MAP-キナーゼ阻害薬、MPR4阻害薬、iNOS阻害薬、SYK-阻害薬、のう胞性線維症膜貫通レギュレーター(CFTR)の補正薬及びCFTR強化薬、又はこれらの二重もしくは三重の組み合わせのカテゴリーの中から選ばれた一種以上の化合物を含むことが好ましい薬物組み合わせに関する。
【0080】
製剤
投与に適した形態は、例えば、吸入可能な粉末又はエアロゾルである。それぞれの場合の一種以上の医薬有効化合物の含量は全組成物の0.2 質量%から50質量%まで、好ましくは0.5 質量%から25質量%までの範囲、即ち、後に明記される用量範囲を得るのに充分である量であるべきである。
吸入により投与される活性物質組み合わせは粉末として、水溶液もしくは水性エタノール溶液として、又は噴射ガス製剤を使用して与えられてもよい。
それ故、医薬製剤はそれらが上記の好ましい実施態様の式 (I)の一種以上の化合物を含むことを特徴とすることが好ましい。
また、式 (I)の化合物は吸入により投与されることが好ましく、それらが1日1回又は2回投与されることが特に好ましい。この目的のために、式 (I)の化合物は吸入に適した形態で利用される必要がある。吸入可能な製剤として、吸入可能な粉末、噴射剤含有計量投薬エアロゾル又は無噴射剤の吸入可能な溶液が挙げられ、これらは必要により通常の生理学上許される賦形剤と混合して存在してもよい。
本発明の範囲内で、無噴射剤の吸入可能な溶液という用語はまた濃厚液又は無菌の直ぐに使用できる吸入可能な溶液を含む。本発明に従って使用し得る製剤が明細書の次の部分に更に詳しく記載される。
吸入可能な粉末
式 (I)の活性物質が生理学上許される賦形剤と混合して存在する場合、下記の生理学上許される賦形剤が本発明の吸入可能な粉末を調製するのに使用されてもよい:単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、蔗糖、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の互いの混合物。単糖類又は二糖類が使用されることが好ましいが、ラクトース又はグルコースの使用が、特に、しかし専らではなく、それらの水和物の形態で好ましい。本発明の目的のために、ラクトースが特に好ましい賦形剤であるが、ラクトース一水和物が最も特に好ましい。粉砕及び微粉砕により、また最後に成分を一緒に混合することにより本発明の吸入可能な粉末を調製する方法が従来技術から知られている。
【0081】
噴射剤を含む吸入可能なエアロゾル
本発明に従って使用し得る噴射剤を含む吸入可能なエアロゾルは噴射剤ガスに溶解され、又は分散された形態の式 (I)の化合物を含んでもよい。本発明の吸入可能なエアロゾルを調製するのに使用し得る噴射剤ガスが従来技術から知られている。好適な噴射剤ガスは炭化水素、例えば、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタン及びハロ炭化水素、例えば、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体の中から選ばれる。上記された噴射剤ガスはそれら自体で使用されてもよく、又はこれらの混合物中で使用されてもよい。特に好ましい噴射剤ガスはTG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227 (1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選ばれたフッ素化アルカン誘導体である。本発明の使用の範囲内で使用される噴射剤推進吸入エアロゾルはまたその他の成分、例えば、補助溶媒、安定剤、表面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤を含んでもよい。全てのこれらの成分が当業界で知られている。
【0082】
無噴射剤の吸入可能な溶液
本発明の式 (I)の化合物は無噴射剤の吸入可能な溶液及び吸入可能な懸濁液を調製するのに使用されることが好ましい。この目的に使用される溶媒として、水溶液又はアルコール溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水それ自体又は水とエタノールの混合物であってもよい。溶液又は懸濁液は、好適な酸を使用して3〜7のpHに調節される。pHは無機酸又は有機酸から選ばれる酸を使用して調節されてもよい。特に好適な無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例として、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。活性物質の一種と酸付加塩を既に生成した酸を使用することがまた可能である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望により、上記酸の混合物が、特にそれらの酸性化特性に加えてその他の性質、例えば、風味料、酸化防止剤又は錯生成剤としての性質を有する酸、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合に、また使用されてもよい。本発明によれば、塩酸を使用してpHを調節することが特に好ましい。
補助溶媒及び/又はその他の賦形剤が本発明の目的に使用される無噴射剤の吸入可能な溶液に添加されてもよい。好ましい補助溶媒はヒドロキシル基又はその他の極性基を含むもの、例えば、アルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。この状況における賦形剤及び添加剤という用語は活性物質ではないが、活性物質製剤の定性的特性を改良するために薬理学上好適な溶媒中で一種以上の活性物質とともに製剤化し得るあらゆる薬理学上許される物質を表す。これらの物質は薬理学的効果を有さず、又は、所望の治療に関連して、認められる薬理学的効果を有さず、もしくは望ましくない薬理学的効果を少なくとも有しないことが好ましい。賦形剤及び添加剤として、例えば、表面活性剤、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、その他の安定剤、錯生成剤、酸化防止剤及び/又は完成医薬製剤の貯蔵寿命を保証又は延長する防腐剤、風味料、ビタミン及び/又は当業界で知られているその他の添加剤が挙げられる。添加剤として、また、薬理学上許される塩、例えば、等張剤としての塩化ナトリウムが挙げられる。好ましい賦形剤として、酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸(それがpHを調節するために既に使用されていなかったことを条件とする)、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同様のビタミン又は人体中で生じるプロビタミンが挙げられる。防腐剤は製剤を病原体による汚染から保護するのに使用されてもよい。好適な防腐剤は当業界で知られているもの、特に塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸塩、例えば、従来技術により知られている濃度の安息香酸ナトリウムである。
上記された治療形態について、例えば、呼吸器の疾患、COPD又は喘息という用語を含む囲み記述、本発明の化合物及び上記されたものから選ばれた一種以上の組み合わせパートナーを含む、呼吸器の病気の治療のための薬物の直ぐに使用できるパックが提供される。