(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の管部材の前記車幅方向端部の中心同士の車両長手方向の距離は、前記空気バネ座に載置される空気バネの下端面の車両長手方向寸法よりも短い、請求項1に記載の鉄道車両用台車枠。
前記横梁は、前記中心ピン配置空間の車幅方向両側に分かれて配置されて車幅方向に延び、前記車幅方向端部に挟まれた状態で前記一対の管部材に接続された一対の中間部材を更に有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鉄道車両用台車枠。
車両長手方向に延び、車両長手方向に離間して配置された一対の軸箱に支持され、前記横梁の前記車幅方向端部を支持する板バネを備えた台車に用いられる台車枠であって、
前記板バネの長手方向中央部を上方から押圧すべく前記一対の管部材の下面に設けられ、前記一対の管部材に固定された押圧部材を更に備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の鉄道車両用台車枠。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、鉄道車両が走行する方向であって車体が延びる方向を車両長手方向とし、それに直交する横方向を車幅方向として定義する。車両長手方向は前後方向とも称し、車幅方向は左右方向とも称しえる。
【0011】
図1は、実施形態に係る鉄道車両の台車1の側面図である。
図1に示すように、台車1は、二次サスペンションとなる空気バネ3を介して車体2を下方から支持する。台車1は、空気バネ3が搭載される台車枠4を備える。台車枠4は、車幅方向に延びる横梁5を備えるが、横梁5の車幅方向端部5aから車両長手方向に延びる側梁を備えていない。横梁5の車両長手方向両側には、それぞれ車幅方向に沿って延びる一対の車軸6が配置される。車軸6の車幅方向両側の部分には車輪7が設けられる。車軸6の車幅方向両側の端部には、車輪7よりも車幅方向外側にて車軸6を回転自在に支持する軸受8が設けられ、軸受8は軸箱9に収容される。
【0012】
横梁5の車幅方向端部5aは、軸箱支持装置10によって軸箱9に連結される。軸箱支持装置10は、軸箱9から車両長手方向に横梁5側に向けて延びた軸梁11を備える。軸梁11の先端には、車幅方向両側に向けて開口する筒状部11aが設けられている。筒状部11aの内部空間には、心棒12が筒状部11aから車幅方向両側に突出するように筒状部11aに挿通されている。心棒12と筒状部11aとの間には、弾性ブッシュ(図示せず)が介装されている。
【0013】
台車枠4は、横梁5の車幅方向端部5aから車両長手方向両側に延びた受け梁14を有し、受け梁14の先端には一対の受け座15が設けられている。一対の受け座15は、下方に窪んだ嵌入溝15aを有する。嵌入溝15aには、心棒12の両端部が上方から嵌入されている。一対の嵌入溝15aに収容された心棒12の両端部を蓋部材16で上方から押さえ、締結部材17(例えば、ボルト)により蓋部材16が受け座15に固定されている。
【0014】
車両長手方向に離間した一対の軸箱9は、車両長手方向に延びた板バネ13の長手方向両側の端部13bを夫々支持する。板バネ13の長手方向の中央部13aは、横梁5の車幅方向の端部5aを下方から支持する。これにより、横梁5は、板バネ13を介して軸箱9に支持される。即ち、板バネ13は、一次サスペンションの機能と従来の側梁の機能とを兼ねる。
【0015】
板バネ13は、側面視で下方に凸な弓形状を有する。横梁5の車幅方向端部5aの下部には、下方に凸な円弧状の下面を有する押圧部材18が設けられ、押圧部材18が板バネ13の中央部13aに上方から載せられて離間可能に接触する。即ち、板バネ13が押圧部材18に対して上下方向に固定されない状態で、横梁5からの下方荷重によって押圧部材18が板バネ13の上面に接触する。即ち、押圧部材18は、固定具により板バネ13に固定されることなく、横梁5からの重力による下方荷重とそれに対する板バネ13の反力との圧力によって板バネ13を押圧する状態が保たれる。これにより、板バネ13は、押圧部材18の下面に対して押圧領域を変化させながら揺動可能である。
【0016】
軸箱9の上端部には支持部材19が取り付けられ、板バネ13の端部13bは支持部材19を介して軸箱9に下方から支持される。支持部材19の上面は、側面視で台車中央側に向けて傾斜している。板バネ13の端部13bも、支持部材19に対して上下方向に固定されない状態で支持部材19に上方から載せられる。支持部材19は、軸箱9上に設置された防振部材20(例えば、ゴム)と、防振部材20上に設置されて防振部材20に位置決めされた受部材21とを有する。
【0017】
図2は、
図1に示す台車1の上方から見た平面図である。
図3は、
図2に示す台車枠4の上方から見た斜視図である。
図4は、
図2に示す台車枠4の下方から見た斜視図である。
図2〜4に示すように、横梁5は、車幅方向に延びており、その車幅方向中央部5b(
図3及び4)に中心ピン配置空間Sが形成されている。横梁5は、例えば金属製である。具体的には、横梁5は、一対の管部材22,23、一対の中間部材24,25、中心ピン収容部材26、空気バネ座27、及び、押圧部材18を有する。
【0018】
一対の管部材22,23は、車幅方向に延び且つ車両長手方向に互いに離間して並んでいる。管部材22,23は、例えば角パイプである。管部材22,23は、その内部空間を空気バネ3用の補助空気室として用いるために密閉されている。管部材22,23は、横梁5の車幅方向端部5aに位置して車幅方向に直線的に延びる直線部22a,23aと、横梁5の車幅方向中央部5bに位置して一対の管部材22,23の互いの離間距離が増加するように車両長手方向外方に突出した湾曲部22b,23bと、を有する。一対の管部材22,23の湾曲部22b,23bの間に形成された空間に中心ピン配置空間Sが設けられている。よって、横梁5の車幅方向端部5aは、横梁5の車幅方向中央部5bよりも車両長手方向寸法が小さい。なお、管部材22,23の内部空間を補助空気室として用いない場合は、その内部を密閉する必要はない。
【0019】
一対の中間部材24,25は、中心ピン配置空間Sの車幅方向両側に分かれて配置されて車幅方向に延びている。中間部材24,25は、一対の管部材22,23の直線部22a,23aに挟まれている。一対の中間部材24,25は、互いに車幅方向に離間しており、横梁5の中央において隙間を形成している。中間部材24,25は、例えば角パイプである。中間部材24,25は、その内部空間を空気バネ3用の補助空気室として用いるために密閉されている。中間部材24,25の鉛直方向寸法は、例えば、管部材22,23の鉛直方向寸法と同じである。中間部材24,25の車両長手方向寸法は、例えば、管部材22,23の車両長手方向寸法よりも小さい。
【0020】
中心ピン収容部材26は、一対の管部材22,23の湾曲部22b,23bの間かつ一対の中間部材24,25の間に配置されている。中心ピン収容部材26は、中心ピン配置空間Sを形成する筒状部26aと、筒状部26aから車両長手方向両側に突出した一対の縦取付部26bと、筒状部26aから車幅方向両側に突出した一対の横取付部26cと、を有する。筒状部26aの内部空間は、鉛直方向両側に開放されており、中心ピン配置空間Sの役目を果たす。筒状部26aには、円筒状の弾性ブッシュ29が嵌合されており、その弾性ブッシュ29に車体2から下方に突出した中心ピン30が挿入される。
【0021】
縦取付部26bは、管部材22,23の湾曲部22b,23bの横梁5中心側の円弧状の内側面に接合されている。縦取付部26bの車両長手方向外側の接合端(先端)は、平面視で円弧形状を有し、湾曲部22b,23bのうち横梁5中心側の内側面に周溶接により接合されている。縦取付部26bは、例えば、接合端側が徐々に拡がる形状を有する。これにより、一対の管部材22,23と中心ピン30との間の車両長手方向の牽引力の伝達が中心ピン収容部材26を介して円滑に行われる。
【0022】
縦取付部26bの接合端の鉛直方向寸法は、湾曲部22b,23bのうち横梁5中心側の内側面の鉛直方向寸法よりも小さい。縦取付部26bの接合端と湾曲部22b,23bとを接合する溶接部W1は、湾曲部22b,23bの内側面に設けられて当該内側面に収まっている。そのため、溶接部W1は、湾曲部22b,23bの1つの側面において完結でき、溶接部W1に生じる応力が抑制される。
【0023】
横取付部26cの車幅方向外側の接合端(先端)は、中間部材24,25のうち横梁5中心側の端縁に溶接で接合されている。横取付部26cの接合端は、中間部材24,25のうち横取付部26cと対向する端縁と同一形状を有する。横取付部26cの接合端は、中間部材24,25の端縁に周溶接により接合されている。これにより、中心ピン30の左右方向(車幅方向)の変位による荷重が中心ピン収容部材26を介して中間部材24,25に伝達され、中間部材24,25が中心ピン30の過剰な左右動を好適に阻止する。即ち、一対の中間部材24,25が、台車1に対して車体2が左右方向(車幅方向)に過剰に変位するのを防止する左右動ストッパ受の役目を果たす。
【0024】
なお、本実施形態において中心ピン収容部材26は、筒状部26aと、縦取付部26bと、横取付部26cとを有しているが、この構成に限られない。例えば、横取付部26cを廃止して、中間部材24,25を直接、筒状部26aに接合された構成としてもよく、種々の変形例が適用可能である。
【0025】
空気バネ座27は、横梁5の車幅方向端部5aにおいて、一対の管部材22,23及び中間部材24,25の上面に設けられている。空気バネ座27は、板状である。押圧部材18は、横梁5の車幅方向端部5aにおいて、一対の管部材22,23及び中間部材24,25の下面に設けられている。一対の管部材22,23及び中間部材24,25は、空気バネ座27及び押圧部材18を介して互いに固定されている。押圧部材18は、車幅方向から見て円弧状の下面が形成された押圧部18aと、押圧部18aの車幅方向両側に設けられた板状の取付部18bと、を有する。なお、本実施形態において、空気バネ座27は横梁5の車幅方向端部5aに設けられているが、端部に限られず車種に応じて車幅方向の所望の位置に設置可能である。
【0026】
押圧部材18は、取付部18bにおいて管部材22,23及び中間部材24,25に固定される。これによれば、横梁5からの下方荷重を板バネ13に伝達する押圧部材18が管部材22,23及び中間部材24,25を互いに接続する役目を果たす。また、押圧部材18が横梁5に一体化されるため、別体の押圧部材18が横梁5に係合等される構成に比べ、部品点数が削減されるため台車の構造及び組立作業が簡素化される。
【0027】
横梁5の車幅方向端部5aにおいて、管部材22の直線部22aには第1ブレーキ受座31が接合され、管部材23の直線部23aには第2ブレーキ受座32が接合されている。
図9に示すように、第1ブレーキ受座31には、車両長手方向一方側の車輪7を制動するユニット式の第1踏面ブレーキ装置B1が固定され、第2ブレーキ受座32にはユニット式の第2踏面ブレーキ装置B2が固定されている。第1踏面ブレーキ装置B1及び第2踏面ブレーキ装置B2は、互いに独立しており、車両長手方向に離れて配置された一対の車輪7の各々を個別に制動する。踏面ブレーキ装置B1,B2は、横梁5よりも下方に突出して配置されている。
【0028】
横梁5の車幅方向端部5aは、横梁5の車幅方向中央部5bよりも車両長手方向寸法が小さくなるので、踏面ブレーキ装置B1,B2を容易に配置することができるように、作業スペースが確保されている。また、一対の管部材22,23には横梁5の車幅方向中央部5bにおいて湾曲部22b,23bが形成されているため、横梁5の車幅方向中央部5bにおける一対の管部材の離間距離が広くなる一方で、横梁の車幅方向端部における一対の管部材の離間距離は狭くなる。よって、管部材22,23の曲げ加工という簡単な工程で踏面ブレーキ装置B1,B2の配置空間を容易に確保できる上に、製作性も向上する。
【0029】
横梁5の車両長手方向一方側には、第1歯車箱G1及び第1主電動機M1が配置され、横梁5の車両長手方向他方側には、第2歯車箱G2及び第2主電動機M2が配置されている。主電動機M1,M2は、自在継手33,34を介して歯車箱G1,G2にそれぞれ接続されており、第1,第2歯車箱G1,G2は車軸6に接続されている。即ち、第1歯車箱G1及び第2歯車箱G2は、平面視において横梁5の中心を基準として点対称に配置され、第1主電動機M1及び第2主電動機M2は、平面視において横梁5の中心を基準として点対称に配置されている。
【0030】
横梁5には、第1歯車箱G1が固定される第1歯車箱受座35と第2歯車箱G2が固定される第2歯車箱受座36とが、周溶接により接合されている。第1歯車箱受座35は、車幅方向において湾曲部22bの頂点と第1ブレーキ受座31との間に配置され、第2歯車箱受座36は、車幅方向において湾曲部23bの頂点と第2ブレーキ受座32との間に配置されている。歯車箱受座35,36のうち湾曲部22b,23bに対向する接合端の鉛直方向寸法は、湾曲部22b,23bのうち車両長手方向外側の外側面の鉛直方向寸法よりも小さい。歯車箱受座35,36の接合端と湾曲部22b,23bとを接合する溶接部W2は、湾曲部22b,23bの外側面に設けられて当該外側面に収まっている。
【0031】
歯車箱受座35,36が湾曲部22b,23bのうち車幅方向に対して傾斜した外側面に接合されているため、歯車箱受座35,36は、湾曲部22b,23bから車両長手方向外方及び車幅方向外方に向かって斜めに突出している。この構成によれば、歯車箱G1,G2に対して踏面ブレーキ装置B1,B2が車幅方向に近接して配置されても、管部材22,23に対する歯車箱受座35,36の接合箇所はブレーキ受座31,32から車幅方向に離れるため、管部材22,23に対する歯車箱受座35,36の溶接作業が行い易くなる。
【0032】
横梁5には、第1主電動機M1が固定される第1主電動機受座37と第2主電動機M2が固定される第2主電動機受座38とが、周溶接により接合されている。第1主電動機受座37は、第1歯車箱受座35と車幅方向反対側において湾曲部22bの頂点と第1ブレーキ受座31との間に配置され、第2主電動機受座38は、第2歯車箱受座36と車幅方向反対側において湾曲部23bの頂点と第2ブレーキ受座32との間に配置されている。主電動機受座37,38のうち湾曲部22b,23bに対向する接合端の鉛直方向寸法は、湾曲部22b,23bのうち車両長手方向外側の外側面の鉛直方向寸法よりも小さい。主電動機受座37,38の接合端と湾曲部22b,23bとを接合する溶接部W3は、湾曲部22b,23bの外側面に設けられて当該外側面に収まっている。
【0033】
横梁5の車幅方向端部5aの下面には、前述した受け梁14が固定されている。受け梁14は、横梁5の車幅方向端部5aから車両長手方向両側に延びている。受け梁14は、車幅方向に離間した一対の側壁部14aを有し、一対の側壁部14aの間の空間に押圧部材18が配置されている。
【0034】
図5は、
図3に示す台車枠4の管部材22における車両長手方向から見た縦断面図である。なお、
図5では一対の管部材22,23のうち一方の管部材22について代表して図示するが、他方の管部材23も同様の構造である。
図3乃至5に示すように、管部材22には、その車幅方向端部における直線部22aから上方及び下方に突出する第1突出部材41及び第2突出部材42が設けられている。具体的には、管部材22の直線部22aの上壁部には、鉛直方向に貫通する嵌合孔22e,22fが車幅方向に間隔をあけて形成されている。第1突出部材41及び第2突出部材42の上端部は、嵌合孔22e,22fに嵌合されている。本実施形態では、第1突出部材41及び第2突出部材42の外周面は、後述する溶接性の観点から円形状となっているが角形状でもよい。第1突出部材41及び第2突出部材42は、中空状でも中実状でもよい。また、第1突出部材41及び第2突出部材42は、管部材22,23を貫通していなくてもよく、管部材22,23の表面に固定された構成としてもよい。
【0035】
空気バネ座27には、第1突出部材41のうち管部材22から突出した部分の外径よりも大径であり、上方から見て嵌合孔22eを包含する取付孔27aが形成されている。第1突出部材41の上端部は、取付孔27aに遊びをもって挿通されている。空気バネ座27の取付孔27aを介して管部材22と周溶接され、それと同時に空気バネ座27にも周溶接されている。第2突出部材42の上端部も、管部材22に周溶接されている。このように、空気バネ座27が第1突出部材41を介して管部材22,23に固定されることで、一対の管部材22,23が互いに接続される。第1突出部材41と空気バネ座27とを接合する溶接部W4は、第1突出部材41の外周面に沿って閉ループ状に形成され、第2突出部材42と管部材22とを接合する溶接部W5も、第2突出部材42の外周面に沿って閉ループ状に形成されている。各溶接部は、必要に応じて突出部材に亘って施工され台車枠として必要な強度が確保される。これによれば、溶接部W4,W5が端縁のない閉ループ状に形成されるため、ロボット溶接が容易になり、製作性が向上する。
【0036】
管部材22の直線部22aの下壁部にも、鉛直方向に貫通する嵌合孔22g,22hが車幅方向に間隔をあけて形成されている。第1突出部材41及び第2突出部材42の下端部は、嵌合孔22g,22hに嵌合されている。押圧部材18の取付部18bには、第1突出部材41及び第2突出部材42のうち管部材22から突出した部分の外径よりも大径であり、下方から見て嵌合孔22g,22hを包含する取付孔18cが形成されている。第1突出部材41及び第2突出部材42の下端部は、取付孔18cに遊びをもって挿通されている。
【0037】
第1突出部材41及び第2突出部材42の下端部は、押圧部材18の取付部18bの取付孔18cを介して管部材22と周溶接され、それと同時に押圧部材18の取付部18bにも周溶接されている。このように、押圧部材18が第1突出部材41及び第2突出部材42を介して管部材22,23に固定されることで、一対の管部材22,23が互いに接続される。第1突出部材41及び第2突出部材42に対して押圧部材18をそれぞれ接合する溶接部W6,W7は、第1突出部材41及び第2突出部材42の夫々の外周面に沿って閉ループ状に形成されている。
【0038】
図6は、
図3に示す台車枠4の中間部材24における車両長手方向から見た縦断面図である。なお、
図6では一対の中間部材24,25のうち一方の中間部材24について代表して図示するが、他方の中間部材25も同様の構造である。
図3,4及び6に示すように、中間部材24には、平面視において押圧部材18と重なる位置に中間部材24から上方及び下方に突出する第3突出部材43が設けられている。また、中間部材24には、空気バネ座27と重なる位置に中間部材24の内部空間を空気バネ3に連通させる筒体44が設けられている。
【0039】
具体的には、中間部材24の上壁部には、鉛直方向に貫通する嵌合孔24b,24cが車幅方向に間隔をあけて形成されている。第3突出部材43及び筒体44の上端部は、嵌合孔24b,24cに嵌合されている。中間部材24の下壁部にも、第3突出部材43が嵌合される嵌合孔24dが形成されている。本実施形態では、第3突出部材43及び筒体44の外周面は、円形状となっているが角形状でもよい。筒体44は、中空状であってその内部空間が上下に開放された構成である必要があるが、第3突出部材43は、中空状でも中実状でもよい。また、第3突出部材43は、中間部材24,25を貫通していなくてもよく、中間部材24,25の表面に固定された構成としてもよい。なお、本実施形態における各突出部材41〜44の数は一例であり、必要に応じて適宜増減してもよい。
【0040】
空気バネ座27には、筒体44のうち中間部材24から上方に突出した部分の外径よりも大径であり、上方から見て嵌合孔24bを包含する挿通孔27bが形成されている。筒体44の上端部は、挿通孔27bに遊びをもって挿通されている。筒体44の上端部は、空気バネ座27の挿通孔27bを介して中間部材24と周溶接されている。なお、筒体44と中間部材24とを接合する溶接部W8は、空気バネ座27には接合されていなくてもよい。第3突出部材43と中間部材24とを接合する溶接部W9,W10は、第2突出部材42と管部材22とを接合する溶接部W5,W7と同様である。
【0041】
図7は、
図1に示す台車1の空気バネ座27及び押圧部材18における車幅方向から見た縦断面図である。
図7に示すように、管部材22,23の離間距離は空気バネ3の下端面3aの車両長手方向寸法より十分に短い。すなわち、空気バネ3と同じ車幅方向位置において、管部材22の直線部22aの中心P1と管部材23の直線部23aの中心P2との間の車両長手方向の距離L1は、空気バネ座27に載置される空気バネ3の下端面3aの車両長手方向寸法よりも短い。空気バネ3の下端面3aは、上方から見て管部材22,23の車幅方向端部の車両長手方向における中心P1,P2を包含するように管部材22,23に重なっている。空気バネ座27も同様に、上方から見て管部材22,23の車幅方向端部の中心P1,P2を包含するように管部材22,23に重なっている。空気バネ3から空気バネ座27を介して横梁5に伝達された荷重は、押圧部材18により板バネ13の中央部13aに伝達される。
【0042】
一対の管部材22,23には、横梁5の車幅方向中央部5bにおいて湾曲部22b,23bが形成されているため、横梁5の車幅方向中央部5bにおける一対の管部材22,23の離間距離が広くなる一方で、横梁5の車幅方向端部5aにおける一対の管部材22,23の離間距離は狭くなる。それにより、横梁5の車幅方向中央部5bにおいて一対の管部材22,23の間に中心ピン配置空間Sを形成しても、管部材22,23が空気バネ3の下端面3aから車両長手方向外側に大きく食み出すことが防がれる。よって、中心ピン配置空間Sを十分に確保しながらも、空気バネ3から管部材22,23への円滑な荷重伝達が実現される。このように、空気バネ3からの下方荷重が管部材22,23の車幅方向端部の中心P1,P2に円滑に伝達されるため、空気バネ座27自体や空気バネ座27と管部材22,23との間の接合部に生じる応力が効果的に低減される。
【0043】
図8は、
図4のブレーキ受座31,32及び連結部材49を説明する下方から見た斜視図である。
図9は、
図8に示すブレーキ受座31,32及び連結部材49を説明する側面図である。
図8及び9に示すように、第1ブレーキ受座31及び第2ブレーキ受座32は、横梁5から車両長手方向外方に突出する取付部45,46と、取付部45,46から鉛直方向に延びる受座部47,48と、を有する。第1ブレーキ受座31の取付部45は管部材22の車両長手方向外側の外側面に接合され、第1ブレーキ受座31の受座部47には第1踏面ブレーキ装置B1が固定されている。第2ブレーキ受座32の取付部46は管部材23の車両長手方向外側の外側面に接合され、第2ブレーキ受座32の受座部48には第2踏面ブレーキ装置B2が固定されている。
【0044】
受座部47,48には、それぞれ貫通孔47aが形成されており、取付部45,46は、貫通孔47aに挿通された状態で受座部47,48に周溶接されている。即ち、貫通孔47aに挿通された取付部45,46と受座部47,48とを接合する溶接部W11が、貫通孔47aの周縁に沿って閉ループ状に形成されている。このように、溶接部W11が端縁のない閉ループ状に形成されることで、ロボット溶接が容易になり、製作性が向上する。
【0045】
取付部45,46のうち管部材22,23側の接合端の鉛直方向寸法は、管部材22,23の車両長手方向外側の外側面の鉛直方向寸法よりも小さい。取付部45,46の接合端と管部材22,23とを接合する溶接部W12は、管部材22,23の外側面に設けられて当該外側面に収まっている。これにより、車体荷重が空気バネ座27に負荷されることで生じる応力は主に横梁5の上面及び下面に集中するため、横梁5の上面及び下面を避けた側面にある溶接部W12に発生する応力は低減される。受座部47,48の上部及び下部には、踏面ブレーキ装置B1,B2を締結するための締結孔47b,47cが形成されている。
【0046】
横梁5の下方には、第1ブレーキ受座31の受座部47と第2ブレーキ受座32の受座部48との間に挟まれた連結部材49が配置されている。連結部材49は、第1ブレーキ受座31の受座部47の下部と第2ブレーキ受座32の受座部48の下部とを連結している。連結部材49は、略車軸中心の高さで、受座部47,48のブレーキ支持面47d,48dと直交する方向に延びている。連結部材49は、例えばロッド状である。本実施形態では、連結部材49は1つであるが、複数設けられてもよい。
【0047】
ブレーキ受座31,32の受座部47,48の下部には、挿入孔47e,48eが形成されており、連結部材49の車両長手方向の端部は、挿入孔47e,48eに差し込まれた状態で受座部47,48に周溶接されている。即ち、挿入孔47e,48eに差し込まれた連結部材49の端部と受座部47,48とを接合する溶接部W13が、挿入孔47e,48eの周縁に沿って閉ループ状に形成されている。これによれば、連結部材49を挿入孔47e,48eに挿入することで連結部材49が受座部47,48に対して位置決めされるため、受座部47,48に対する連結部材49の溶接作業を容易に行うことができる。
【0048】
図9に示すように、ブレーキ受座31,32の受座部47,48には、制動時に踏面ブレーキ装置B1,B2が車輪7から受けるブレーキ反力が伝達されるが、連結部材49がブレーキ反力に抗する突っ張り棒の役目を果たすことになる。よって、第1ブレーキ受座31が受けるブレーキ反力と第2ブレーキ受座32が受けるブレーキ反力とが、連結部材49を介して互いに相殺され、ブレーキ受座31,32に強固な補強材を設ける必要性を無くすことが可能となる。
【0049】
図10は、
図2に示す台車の主電動機M1,M2及び連結部材50を説明する底面図である。
図11は、
図10に示す主電動機M1,M2及び連結部材50を説明する側面図である。
図10及び11に示すように、横梁5の下方には、第1主電動機M1と第2主電動機M2との間に挟まれた連結部材50が配置されている。連結部材50は、第1主電動機M1と第2主電動機M2とを連結している。連結部材50は、例えば略I字形状を有し、その両端部が主電動機M1,M2に固定される。連結部材50は1つであるが、複数設けられてもよい。
【0050】
主電動機受座37,38は、主電動機M1,M2をそれぞれ係止するために横梁5に沿って延びるキー溝37a,38aを有する。主電動機M1,M2は、キー溝37a,38aに係止された状態で主電動機受座37,38に締結されている。主電動機受座37,38は、湾曲部22b,23bのうち車幅方向に対して傾斜した外側面に接合されているため、キー溝37a,38aが車幅方向に対して傾斜している。第1主電動機M1は、キー溝37aを第1揺動軸線X1として揺動するように第1主電動機受座37に取り付けられ、第2主電動機M2は、キー溝38aを第2揺動軸線X2として揺動するように第2主電動機受座38に取り付けられている。なお、主電動機受座37,38は、揺動軸線X1,X2が仮想線Vに直交するように配置されればよく、必ずしもキー溝37a、38aが車幅方向に傾斜していなくてもよい。
【0051】
平面視において、第1主電動機M1及び第2主電動機M2の揺動軸線X1,X2は、その台車中央側が横梁5の中心から離れる向きに車幅方向に対して傾斜している。平面視において、第1主電動機M1及び第2主電動機M2の揺動軸線X1,X2は、第1主電動機M1の重心C1と第2主電動機M2の重心C2とを結ぶ仮想線Vに略直交している。連結部材50は、仮想線Vに沿って延びている。連結部材50が1つである場合には、平面視において連結部材50が仮想線Vと重なっているとよい。
【0052】
このようにすれば、主電動機M1,M2が上下に揺動しようとする際に、連結部材50がその揺動に抗する突っ張り棒の役目を果たし、第1主電動機M1の揺動と第2主電動機M2の揺動とが連結部材50を介して互いに相殺される。よって、簡素な構成にて主電動機M1,M2の支持構造の強度要求を緩和することができる。また、主電動機M1,M2の揺動軸線X1,X2が平面視で仮想線Vに略直交することで、主電動機M1,M2の揺動による各荷重が互いに対向し、連結部材50に捩れ力が発生することが抑制される。そして、連結部材50が仮想線Vに沿って延びるため、連結部材50について引張及び圧縮方向の強度を担保すれば足りる。よって、連結部材50の軽量化を図りつつ、主電動機M1,M2の各揺動を効果的に相殺できる。
【0053】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、前記実施形態では、台車枠の側梁を省略して板バネを設けた台車を例示したが、横梁の車幅方向両端部から車両長手方向に延びる側梁を備えた一般台車を採用してもよい。一般台車の場合には、横梁5の車幅方向端部5aを側梁に溶接等で固定する構成とすればよい。また、一般台車の場合には、板バネ13を押圧するための押圧部材18は必要ないため、管部材22,23及び中間部材24,25の下面側における相互接続には、押圧部材18の代わりに単に板状部材を用い、空気バネ座27と同様に突出部材を介して互いに固定するようにすればよい。また、湾曲部22bは一対の管部材22,23のうち一方の管部材のみに形成してもよい。また、中心ピン収容部材26を設けずに中心ピン配置空間Sを介して中心ピンが1本リンク牽引装置に接続される構成としてもよい。前記実施形態では駆動台車を例示したが、非駆動台車であってもよい。非駆動台車の場合には、主電動機及び歯車箱に関連する構造は不要であるが、横梁5の構造やブレーキ受座の構造は好適に採用し得る。