(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数種の部品を収容する持ち運び可能な配膳トレーと、前記配膳トレーに収容される前記部品の識別情報を検出する検出装置と、前記検出装置により検出された識別情報を受信し、前記部品の管理を行う部品管理サーバと、を有する部品管理システムであって、
前記配膳トレーは、
第1のICタグを有する前記部品の種類に対応した形状を有する第1の収容部と、
前記配膳トレー内での位置を識別するための位置情報が記録される第2のICタグと、
前記第2のICタグを収容する第2の収容部とを有し、
前記検出装置は、
前記部品の識別情報を含む前記第1のICタグの記録情報と、前記第2のICタグの前記位置情報とを取得する取得部と、
前記取得部にて取得した前記記録情報と前記位置情報とを前記部品管理サーバへ送信する送信処理部とを有し、
前記部品管理サーバは、
前記検出装置により検出された前記第1のICタグの前記記録情報及び前記第2のICタグの前記位置情報を受信する受信部と、
前記部品が収納されるべき前記配膳トレー内の位置情報と、前記部品の識別情報とを関連付けたデータベースと、
前記受信部で受信した前記第1のICタグの記録情報と前記第2のICタグの記録情報に基づいて前記データベースを参照し、前記部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部とを有する
ことを特徴とする部品管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のネジの取出し管理システムでは、ネジの収納部に近接センサ、光電スイッチあるいは重量センサを取り付けて、ネジの有無を判断している。そして、そのネジの有無の状態に基づいてネジの取出しが誤っているか否かを判定している。また、特許文献1に記載の他の実施形態においては、ネジ自体に無線ICタグを取り付けて、ネジの有無をICタグリーダにより検知するようにしている。
【0006】
しかしながら、これらのいずれの方法でも、次のような問題がある。まず、特許文献1に開示されている収容部はネジを弾性復元力により保持可能な弾性材料を使用することが記載されている。そのため、収容ケースの収容部が、ネジの種類に対応した専用形状であるとしても、弾性材料であるがゆえに収容部の形状と類似の形状であれば、他のネジが誤ってその収容部に収容されてしまう可能性がある。また、そのような事態が生じたとしても、上記の方法では、部品の収容有無のみで判断しているので、システム側ではその違いを検知することが困難である。
【0007】
また、特許文献1に開示される無線ICタグをネジに取り付けて、ネジの有無をICタグリーダにより検知して把握する方法であっても、籠の収容部の具体的にどの位置にその無線ICタグを有するネジが収容されているのかまではシステム側で特定することが困難である。
【0008】
本発明は、上述した問題の少なくともいずれか1つに鑑みてなされたものであり、複数種の部品を配膳トレー内の所望の場所に配置させると共に、その配置された箇所および部品との位置関係とを確実に把握して知らせることができる部品管理システム、部品管理サーバ、部品管理方法および配膳トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点は、部品管理システムに関するものである。すなわち、本発明の部品管理システムは、複数種の部品を収容する持ち運び可能な配膳トレーと、配膳トレーに収容される部品の識別情報を検出する検出装置と、検出装置により検出された識別情報を受信し、部品の管理を行う部品管理サーバと、を有する部品管理システムであって、配膳トレーは、第1のICタグを有する部品の種類に対応した形状を有する第1の収容部と、配膳トレー内での位置を識別するための
位置情報が記録される第2のICタグと、第2のICタグを収容する第2の収容部とを有し、検出装置は、
部品の識別情報を含む第1のICタグの記録情報と、第2のICタグの
位置情報とを取得する取得部と、取得部にて取得した記録情報
と位置情報とを部品管理サーバへ送信する送信処理部とを有し、部品管理サーバは、検出装置により検出された
第1のICタグの記録情報及び
第2のICタグの位置情報を受信する受信部と、部品が収納されるべき配膳トレー内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたデータベースと、受信部で受信した
第1のICタグの記録情報と第2のICタグの記録情報に基づいてデータベースを参照し、部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の観点は、部品管理サーバに関するものである。すなわち、本発明の部品管理サーバは、部品に組み込まれている第1のICタグに記録されている部品の識別情報と、部品を収容している配膳トレー内に組み込まれている第2のICタグが有している配膳トレー内の位置を識別するための情報とを受信する受信部と、部品が収納されるべき配膳トレー内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたデータベースと、受信部で受信した情報に基づいてデータベースを参照し、部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の観点は、部品管理方法に関するものである。すなわち、本発明の部品管理方法は、受信部と、判定部と、出力部を有し、部品の管理を行う部品管理サーバが実行する部品管理方法であって、受信部が、部品に組み込まれている第1のICタグに記録されている部品の識別情報と、部品を収容している配膳トレー内に組み込まれている第2のICタグが有している配膳トレー内の位置を識別するための情報とを受信する受信ステップと、判定部が、受信ステップで受信した情報に基づいて、部品が収納されるべき配膳トレー内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたデータベースを参照し、部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定ステップと、出力部が、判定ステップの判定結果を出力する出力ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の観点は、配膳トレーに関するものである。すなわち、本発明の配膳トレーは、第1のICタグを有する部品の形状に対応する第1の収容部と、配膳トレー内の位置を識別するための情報が記録される第2のICタグと、第2のICタグを収容するための第2の収容部と、第1の収容部に収容される第1のICタグと、第2の収容部に収容される第2のICタグの両方を所定の検出動作で読み取り可能な配置関係を成立させる第3の収容部とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の観点である部品管理方法は、配膳トレーに部品を収容する際に用いられ、ICタグを検出可能な検出部を有する検出装置が実行する部品管理方法であって、配膳トレーに収容される部品に組み込まれた第1のICタグを検出する第1の検出ステップと、配膳トレー内の位置を示す第2のICタグを検出する第2の検出ステップを有し、検出装置は、第1の検出ステップおよび第2の検出ステップを所定の検出動作により実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の部品管理方法は、上述した構成に加えて、所定の検出動作は、検出装置のICタグ検出部が、配膳トレー内であって、第1のICタグの位置および第2のICタグの位置の間に設けられている収容部内に1回差し込まれる動作であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の部品管理方法は、上述した構成に加えて、検出装置は、第1のICタグ検出部および第2のICタグ検出部を有しており、所定の検出動作は、第1のICタグ検出部により第1のICタグを読み取りながら、第2のICタグ検出部で第2のICタグを読み取る動作であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数種の部品を配膳トレー内の所望の場所に配置させると共に、その配置された箇所および部品との位置関係とを確実に把握して知らせることが可能な部品管理システム、部品管理サーバ、部品管理方法および配膳トレーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明の部品管理システム,部品管理サーバ,部品管理方法,および配膳トレーは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品管理システム1の概略構成を示す図である。この部品管理システム1は、部品管理サーバ2と、配膳トレー3と、検出装置4とを有している。なお、部品管理サーバ2と検出装置4、配膳トレー3と検出装置4とは、有線または無線の通信網(図示せず)を介してそれぞれ相互通信可能に構成されている。
【0020】
(部品管理サーバ2について)
部品管理サーバ2は、請求項の部品管理サーバの一例である。部品管理サーバ2は、配膳トレー3に配膳されるボルト、ネジなどの部品の管理を行うためのサーバである。なお、部品管理サーバ2は、いわゆるサーバコンピュータであり、たとえばCPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive)、通信インタフェースなどを有すると共に、CPUがROM,HDDなどに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、後述するサーバが有する各機能を実現することができる。なお、部品管理サーバ2のハードウェア構成は、上述の構成に限定されず、適宜変更することができる。たとえば、HDDに代えて、あるいはHDDに加えてSSD(Flash Solid State Drive)を有する構成としてもよい。また、部品管理サーバ2のハードウェア構成としては、上述した構成に加えて、ディスプレイ、スピーカなどの出力手段やマウス、キーボード、タブレットなどの入力手段を有していてもよい。
【0021】
図2は、
図1に示す部品管理サーバ2の概略構成を示す図である。部品管理サーバ2は、通信処理部11と、部品管理制御部12と、メモリ13を有する。
【0022】
通信処理部11は、請求項の受信部および出力部の一例である。通信処理部11は、外部の装置と有線または無線により通信するためのインタフェースである。
【0023】
部品管理制御部12は、パーツ情報取込部14と、席タグ情報取込部15と、トレー情報出力部16と、判定部17と、アラート設定部18とを有している。
【0024】
パーツ情報取込部14は、配膳トレー3に配置されるべき部品に関する情報の取り込み処理を行う。たとえば、作業員が検出装置4を用いて部品に組み込まれたICタグ(第1のICタグ)より記録情報を読み取ると、その記録情報がパーツ情報取込部14へと送信され、パーツ情報取込部14は、メモリ13にパーツ情報13Aを記憶する。本実施例における作業員は、後述するパーツボックス31から各部品をピッキングして配膳トレー3に取り付ける作業を行う。この場合に、検出装置4により読み取られた各部品に組み込まれたICタグの記録情報がパーツ情報取込部14へと送信されることになる。
【0025】
席タグ情報取込部15は、配膳トレー3内の位置に関する情報の取り込み処理を行う。たとえば、作業員が検出装置4を用いて既に配膳トレー3内のパーツ収容部の近傍に組み込まれたICタグ(第2のICタグ、以下、席タグという場合がある)から位置情報を読み取ると、その位置情報が席タグ情報取込部15へと送信され、席タグ情報取込部15は、メモリ13に席タグ情報13Bを記憶する。本実施例における作業員は、配膳トレー3から各部品を取り出す作業を行う。この場合に、検出装置4により読み取られた位置情報が席タグ情報取込部15へと送信されることになる。
【0026】
トレー情報出力部16は、パーツ情報取込部14で取り込んだパーツ情報13Aおよび席タグ情報取込部15で取り込んだ席タグ情報13Bに基づいて、配膳トレー3内の部品および位置に関する情報を出力する。また、トレー情報出力部16は、後述する論理トレー情報13C、見本トレー情報13Dを出力することもできる。また、トレー情報出力部16は、後述の判定部17の判定結果についても出力することができる。
【0027】
判定部17は、通信処理部11で受信した記録情報に基づいてメモリ13(データベース)を参照し、部品および部品の配膳トレー3内での位置が正しい配置関係となっているか否かを判定する。なお、判定部17の判定結果は、トレー情報出力部16に供給される。
【0028】
アラート設定部18は、後述する警告ルール情報13Eに基づいて、配膳トレー3内の配置、取り出したパーツ自体の正誤を通知することができる。
【0029】
メモリ13には、パーツ情報13A、席タグ情報13B、論理トレー情報13C、見本トレー情報13D、警告ルール情報13Eなどが記憶される。なお、メモリ13は、これらの情報の検索、追加、削除、変更などが可能な一元的なデータベースとして構築してもよい。
【0030】
パーツ情報13Aは、たとえば、部品が六角ボルトの場合、その六角ボルトに組み込まれているICタグの識別情報、取り付ける機器の名称、ボルトサイズ、ボルト首下長さ、ボルト材質、締付トルク、ボルト本数などである。
【0031】
席タグ情報13Bは、たとえば、配膳トレー3に配置されているICタグの識別情報、配膳トレー3内の位置を示す情報などである。なお、論理トレー情報13Cおよび見本トレー情報13Dについては後述する。
【0032】
(配膳トレー3について)
配膳トレー3は、請求項の配膳トレーの一例である。配膳トレー3は、たとえば、鉄道車両の組立工程で使用される複数種のネジやボルトなどの部品が収容され、作業現場まで配膳するためのトレーである。なお、配膳トレー3の材質は、たとえば、樹脂などで構成される。
【0033】
なお、本実施形態における部品は、たとえば、ボルト頭部にICタグが組み込まれているICタグ付ボルトである。ICタグ付ボルトでは、金属表面にUHF帯域の高周波電磁波を当てたときに、渦電流とは異なる定在波などの高周波電流がボルトの金属表面上に流れるように構成して高い感度で検出する種類のICタグ付ボルトもあるが、検出側が十分にICタグに近接させることができる場合には、そのような高周波電流が流れやすくするような、例えばボルトの金属面とICタグを直交させる立体的取り付けといった突出部分の出やすい構成としなくてもよい。ちなみに、検出部が十分にICタグに近接し、渦電流の検出阻止や反発に勝てる場合は、単純にICタグをボルトの金属表面に、ICタグ内部のコイルアンテナ面が(図示せず)平行になるように配置することが可能となり、ICタグ取り付けにおいてその突出部を排除する構成が可能となる。
【0034】
図3は、
図1に示す配膳トレー3とパーツボックス31の一例を説明するための概念図である。
図3に示す配膳トレー3は、パーツボックス31に収められている部品A−1と、部品A−2と、部品A−nとを収容するための領域32,領域33,領域34を有している。また、配膳トレー3には、実際の組立
図35と領域32,領域33,領域34に収容されている部品が使用される工程が描かれている。
【0035】
この配膳トレー3には、領域32が席A−1列と規定され、領域33が席A−2列と規定され、領域34が席A−n列と規定され、それぞれが明確に記載されている。また、席A−1列内の凹部は、工程3に使用する部品が配置され、席A−2列に埋め込まれる部品33a,部品33bは、工程1に使用すること、席A−n列に埋め込まれる部品34a,部品34bは、工程2に使用することがそれぞれ明示されている。また、組立
図35には、各工程がどの箇所のどの部分に用いられるかについても明示されている。なお、
図3に示す例では、それぞれの領域内で1と記載されている番号に部品32a,33a,34aだけがそれぞれ収容されている状態であり、その他の凹部には部品がまだ収容されていない状態を示している。
【0036】
図4は、
図3の領域32に含まれる部品を内部に収容するための部品用収容部41と、席タグ用収容部42と、検出用差込部43との関係を説明するための図である。
【0037】
部品用収容部41は、請求項の第1の収容部の一例である。部品用収容部41は、部品の形状に即した形状の凹部である。たとえば、部品がボルトの場合には、部品用収容部41の凹部にボルトが収容される形状となっている。なお、部品用収容部41は、スポンジなどの弾性部材が嵌め込まれている状態で部品が取り付けられてもよい。
【0038】
席タグ用収容部42は、請求項の第2の収容部の一例である。席タグ用収容部42は、部品用収容部41および後述の検出用差込部43の近傍に設けられた凹部である。席タグ用収容部42には、配膳トレー3の位置を識別するための情報が記録されたICタグT2(席タグ,第2のICタグ)が埋め込まれている。なお、ここでいう部品用収容部41および後述の検出用差込部43の近傍とは、検出用差込部43に検出装置4の先端を差し込んだ際に、部品用収容部41に収容されたICタグ付ボルトなどの部品に組み込まれたICタグと席タグ用収容部42に収容されたICタグのいずれもが、検出用差込部43に差し込まれた検出装置4から検出可能な位置関係となっている範囲を意図している。この範囲は、もちろん検出装置4から出力される電磁波の出力に応じて変化するものではあるが、一般的に検出装置4が備える(図示せず)ループコイルアンテナから近いほど好ましい。例えば920MHzUHF帯域の電磁波でICタグを日立化成株式会社製IM5−PK2525型としたとき、検出限界は5mm程度となる。この場合、部品用収容部41と検出用差込部43の間および検出用差込部43と席タグ用収容部42の間のそれぞれの間隔は、0mm以上10mm以下、最も好ましくは0m以上検出限界の5mm以下程度とするのが好ましい。なお、それぞれの収容部の間隔が0mmの場合には、部品用収容部41と検出用差込部43とが一体化した状態、検出用差込部43と席タグ用収容部42とが一体化した状態、あるいは、部品用収容部41と検出用差込部43と席タグ用収容部42とが全て一体化した状態となる。
【0039】
検出用差込部43は、請求項の第3の収容部の一例である。検出用差込部43は、部品用収容部41と席タグ用収容部42との間に設けられている凹部である。検出用差込部43に検出装置4の先端を差し込むことで、部品用収容部41に収容された部品に組み込まれているICタグと、席タグ用収容部42に収容されている席タグの両方を検出することができる。
【0040】
(検出装置4について)
検出装置4は、請求項の検出装置の一例である。検出装置4は、配膳トレー3内の部品および配膳トレー3内の位置を示すICタグ(席タグ)を検出するための装置である。
図5は、
図1に示す検出装置4の機能的構成を示す図である。
図5に示すように、検出装置4は、ICタグ検出部51と、通信部52と、表示部53とを有している。なお、本実施例における検出装置4は1つの装置としてこれらの機能を有しているが、必ずしも1つの装置として構成されていなくてもよい。たとえば、表示する装置のみ別の装置であってもよいし、ICタグ検出部51と、通信部52が別の装置で構成されてもよい。
【0041】
ICタグ検出部51は、請求項の取得部の一例である。ICタグ検出部51は、先端に内蔵されているループコイルアンテナ(図示せず)からの検出信号を取得し、その信号に基づいて部品に組み込まれているICタグおよび配膳トレー3内の位置を示すICタグ(席タグ)からそれぞれの識別情報を取得することができる。
【0042】
通信部52は、請求項の送信処理部の一例である。ICタグ検出部51が部品管理サーバ2と情報のやりとりをするための通信インタフェースである。通信部52は、たとえば、Bluetooth(登録商標)モジュール、Wifiモジュール、その他の無線通信モジュールなどである。なお、通信部52は、必ずしも部品管理サーバ2と直接通信可能でなくてもよく、たとえば、USBインタフェースなどであってもよく、その場合、部品管理サーバ2と直接通信した装置とこのUSBインタフェースを接続して情報を送受信するようにしてもよい。
【0043】
表示部53は、ICタグ検出部51がICタグから読み取った識別情報、あるいは識別情報から判明した情報を表示させる。なお、表示部53は、部品管理サーバ2から送信された情報を表示させるように構成されてもよい。
【0044】
図6は、検出装置4の説明および検出方法を説明するための図であり、(A)は、ICタグ検出部51の一例であり、(B)は、ICタグ検出部51での2つのICタグを同時に検出する方法を説明するための図である。
図6の(A)に示すように、ICタグ検出部51は、細長い棒状の把持部54と板状の先端部55とで構成される。先端部55には、コイルアンテナ(図示せず)が内蔵されている。
図6の(B)に示すように、この先端部55を検出用差込部43への差し込むことで、席タグ用収容部42に収容されているICタグT2および図示していないが、部品用収容部41に収容される部品に組み込まれたICタグの両方を検出することができる。
【0045】
図7は、
図6に示す部品用収容部41に、ICタグT1を有する部品P1を収容し、席タグ用収容部42にICタグT2を取り付けた状態において、検出用差込部43に検出装置4のICタグ検出部51の先端部55を挿入した状態のA−A断面図および部分拡大図である。
図7の拡大図に示すように、ICタグT1を有する部品P1が金属製のボルトである場合には、相互誘導の磁力線ループは金属内には入れず、空間と非金属樹脂素材内に分布する。すなわち、磁力線Φは部品P1を避けるように分布し、線Lを中心としたICタグT1とICタグT2の相互誘導の閉じたループ状磁力線となる。すなわちICタグT1が有しているアンテナコイルと,ICタグT2が有しているアンテナコイルと相互誘導関係にある磁力線ループΦで結合することで、ICタグT1およびT2に記録されている情報を検出している。なお、ICタグ検出部51のアンテナコイル面(図示していないがLと平行)とICタグT1のアンテナコイル面とICタグT2のアンテナコイル面とは平行になっていることが好ましい。しかしながら、磁力線Φの共有部分を有する範囲であれば、これらのコイル面間のなす角度θが平行(θ=0°または180°)から直交(θ=90°)を除く角度となる位置関係であってもよい。
【0046】
(部品管理方法について)
続いて、部品管理サーバ2が実行する部品の管理方法について説明する。以下の処理は、部品収容時の処理である。
図8は、部品管理方法を説明するためのフローチャートである。なお、以下の処理の前提として、作業員が配膳トレー3と、配膳トレー3内に収容させるための部品が格納されたパーツボックス31を準備し、検出装置4でICタグを読み取って、部品管理サーバ2へ送信したものとする。
【0047】
作業員は、作業指示書などを閲覧しながら、配膳トレー3内の所定の場所に所定の部品を組み込む。そして、作業員は、組み込んだ箇所の近傍に配置される検出用差込部43に検出装置4のICタグ検出部51を差し込む。これにより、
図7で説明したように、1回の検出動作のみで2つのICタグの検出をすることができる。
【0048】
ステップS1:通信処理部11は、部品に組み込まれているICタグに記録されている部品の識別情報と、部品を収容している配膳トレー3内に組み込まれているICタグが有している配膳トレー3内の位置を識別するための情報とを受信する。部品管理サーバ2では、ステップS1で受信した情報は、それぞれパーツ情報取込部14と席タグ情報取込部15とに取り込まれて、メモリ13に記憶される。
【0049】
ステップS2:判定部17は、部品が収納されるべき配膳トレー3内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたメモリ13(データベース)を参照し、部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する。判定部17は正しい配置関係となっている場合には、ステップS3に処理を進め、正しくない場合にはステップS4へと処理を進める。
【0050】
ステップS3:トレー情報出力部16は、ステップS2の判定の結果、正しいと判断されたので、その結果を出力して、処理を終了する(END)。なお、出力先としては、部品管理サーバ2が有するディスプレイでもよいし、作業員が使用している検出装置の表示部であってもよいし、その他の出力先としてもよい。
【0051】
ステップS4:トレー情報出力部16は、ステップS2の判定の結果、配置関係が正しくないと判断されたので、アラート情報を出力して、処理を終了する(END)。なお、アラート情報は、メモリ13に記憶されている警告ルール情報13Eに基づいて、警告メッセージの内容を変更したり、警告の仕方(たとえば、画像点滅、音声による注意喚起、振動など)を制御するようにしてもよい。
【0052】
以上のように、第1の実施形態に係る部品管理システム1によれば、配膳トレー3は、ICタグT1(第1のICタグ)を有するボルトP1(部品)の種類に対応した形状を有する部品用収容部41(第1の収容部)と、配膳トレー3内での位置を識別するための情報が記録されるICタグT2(第2のICタグ)と、そのICタグT2を収容する席タグ用収容部42(第2の収容部)とを有し、検出装置4は、ボルトP1に組み込まれたICタグT1の記録情報と、ICタグT2の記録情報とを取得するICタグ検出部51(取得部)と、ICタグ検出部51にて取得した記録情報を部品管理サーバ2へ送信する通信部52(送信処理部)を有し、部品管理サーバ2は、検出装置4により検出されたICタグT1,T2の記録情報を受信する通信処理部11(受信部)と、部品が収納されるべき配膳トレー3内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたメモリ13(データベース)と、通信処理部11で受信した記録情報に基づいてメモリ13を参照し、ボルトP1が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定部17(判定部)と、判定部17の判定結果を出力するトレー情報出力部16(出力部)を有しているので、配膳トレー3内にどの部品が配置されており、それが正しいか否かを判断して出力することができる。すなわち、配置が間違っていれば、その間違いであることを出力し、正しければ正しい配置関係であるということを出力できるので、複数種のネジや目視では間違えやすいボルトP1等の部品を配膳トレー内の所望の場所に確実に配置させることができる。また、部品のICタグを読み取る際に、配置場所についての情報についても席タグ用収容部42に収容されたICタグT2から情報を取得することができるので、部品の位置関係を確実に把握して知らせることができる。
【0053】
また、部品の管理を行う部品管理サーバ2および部品管理サーバの動作(部品管理方法)も上述した部品管理システム1と同様に、部品に組み込まれている第1のICタグに記録されている部品の識別情報と、部品を収容している配膳トレー3内に組み込まれている第2のICタグが有している配膳トレー3内の位置を識別するための情報とを受信する通信処理部11(受信部)と、部品が収納されるべき配膳トレー3内の位置情報と、部品の識別情報とを関連付けたメモリ13(データベース)と、通信処理部11で受信した記録情報に基づいてメモリ13を参照し、部品が正しい配置関係となっているか否かを判定する判定部17(判定部)と、判定部17の判定結果を出力するトレー情報出力部16(出力部)を有しているので、上述した部品管理システム1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
また、本実施例の配膳トレー3は、ICタグT1(第1のICタグ)を有するボルトP1(部品)の形状に対応する部品用収容部41(第1の収容部)と、配膳トレー3内の位置を識別するための情報が記録されるICタグT2(第2のICタグ)と、そのICタグT2(第2のICタグ)を収容するための席タグ用収容部42(第2の収容部)と、部品用収容部41に収容される部品に組み込まれたICタグT1第1のICタグと、席タグ用収容部42に収容されるICタグT2(第2のICタグ)の両方を所定の検出動作で読み取り可能な配置関係を成立させる検出用差込部43(第3の収容部)とを有しているため、配膳トレー3に収容される部品の特定および配置に関する情報を所定の検出動作をするだけで効率よく取得することができる。
【0055】
また、本実施例における配膳トレー3に対応した検出装置4の動作についても、配膳トレー3に収容される部品に組み込まれた第1のICタグを検出し、配膳トレー3内の位置を示す第2のICタグを検出し、検出装置4は、これらの検出ステップを所定の検出動作により実行するものであるため、配膳トレー3に収容される部品の特定および配置に関する情報を所定の検出動作をするだけで効率よく取得することができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、検出装置4におけるリーダライタ部の構成および席タグの配置方法が上記の第1の実施形態とは、異なる。具体的には、検出装置4Aには2つのICタグ検出部81A,81B(
図10)を有している。また席タグは、部品を収容する収容部の近傍ではなく、所定の領域に配置されている。
【0057】
図9は、本発明の第2実施形態に係る配膳トレー3Aとパーツボックス61の一例を説明するための概念図である。
図9に示す配膳トレー3Aは、パーツボックス61に収められている部品A−1と、部品A−2と、部品A−nとを収容するための領域62,領域63,領域64を有しており、これらのそれぞれの領域には、配膳トレー3A内での位置を識別するためのICタグ62t,63t,64tと、部品62a,63a,64a,64bとが配置されている。また、配膳トレー3Aには、実際の組立
図65に、領域62,領域63,領域64のそれぞれに収容されている部品62a,63a,64a,64bが使用される工程が描かれている。なお、
図9に示す配膳トレー3Aは、各工程で必要な部品が全て配置されていない状態である。
【0058】
この配膳トレー3Aには、領域62が席A−1列と規定され、領域63が席A−2列と規定され、領域64が席A−n列と規定され、それぞれの領域に配置される部品がどの工程に使用されるのかが明確に把握できるようになっている。すなわち、席A−1列内の凹部66,67,68(例えば棒状の部品、ボルトなどが差し込まれる)は、工程3に使用する部品(図示せず)が配置され、席A−2列の凸部69(例えば座金などがはめ込まれる)は、部品63aが配置され,工程1に使用すること、席A−n列に配置されている不図示の凹部には部品64aが配置され、工程2に使用することがそれぞれ容易に把握できるように構成されている。また、組立
図65には、各工程がどの箇所のどの部分に用いられるかについても明示されている。
【0059】
なお、この配膳トレー3Aでは、
図3に示した配膳トレー3とは異なり、位置を示すICタグの配置が部品毎に設けられているのではなく、領域62,63,64毎に設けられている凹部62o,63o,64oにICタグ62t,63t,64tが組み込まれている。
図10は、本発明の第2実施形態に係る検出装置4AおよびICタグ検出部81A,81Bの一例を示す図である。
図11は、
図10に示す検出装置4Aにおいて部品64bのICタグ72の検出例を示す図である。
図10および
図11に示す通り、本実施例においては、ICタグ検出部81A(第1のICタグ検出部)で部品64bに組み込まれたICタグ72を読み取りながら、配膳トレー3A内の位置を示すICタグ64tをICタグ検出部81B(第2のICタグ検出部)で読み取るようにしている。
【0060】
以上、本発明の第2の実施形態における配膳トレー3Aについて説明した。配膳トレー3Aでは、配膳トレー3とは異なり、検出のためのタグ中心線など、2つのICタグを同時に検出させ電磁結合を強くさせるための凹部、検出器用挿入凹部による整合性を向上させる加工が不要となる。また、2つの検出部を使用する方法であるため、配膳トレー3と比較した場合、配膳トレー3A,部品の種類が多くなっても、それらの変化に柔軟に対応することが可能である。
【0061】
(論理トレー情報および見本トレー情報の活用について)
続いて、論理トレー情報13Cに基づいて描画される配膳トレー3,3Aについて説明する。配膳トレー3,3A内の位置や部品を示す情報を記録したICタグの記録情報を利用することにより、作業対象となる物品の組立図などのCADデータと、部品の位置とをリアルタイムに関連付けることが可能となる。たとえば、検出装置4,4Aによって検出されたICタグの記録情報に基づいて、現状の進捗状況などを、
図3や
図9で説明した配膳トレーに関連づけられた画像、映像などを随時更新させて表示するようにすれば、視覚的に現在の作業の進捗状況なども容易に把握することができるようになる。
【0062】
また、仕様書や作業指示書などに基づいて、配膳トレー3,3Aの見本情報を提示することも可能である。