特許第6620220号(P6620220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6620220
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】筐体取付部材および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20191209BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20191209BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
   H05K5/06 A
   G06F1/16 312L
   G06F1/16 312G
   G06F1/16 312Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-507063(P2018-507063)
(86)(22)【出願日】2017年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2017001596
(87)【国際公開番号】WO2017163560
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年8月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-62766(P2016-62766)
(32)【優先日】2016年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佑太
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134443(JP,A)
【文献】 特開2009−302795(JP,A)
【文献】 特開2015−089107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
1/16−1/18
H04M 1/02−1/23
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体に形成された開口部に取付けられる筐体取付部材であって、
上記筐体における上記開口部が形成されている壁と上記筐体の内部側から対向するように配置される取付部位を備えており、
上記取付部位には、上記開口部の形状に対応した外形の突出部位が、上記筐体の外部に向けて突出するように設けられており、
上記突出部位は、上記開口部との間に、空間である第1通気路を形成し、
上記取付部位は、上記開口部が形成されている壁との間に、上記筐体の内部および上記第1通気路と連通する空間を、第2通気路として形成しており、
上記取付部位における、上記開口部が形成されている壁と対向する面である対向面には、上記取付部位を上記開口部が形成されている壁に保持するための保持部が設けられており、
上記保持部には、上記筐体の内部と上記第2通気路とを連通する空間が、第3通気路として形成されていることを特徴とする筐体取付部材。
【請求項2】
上記取付部位には、通気孔が、上記筐体の内部と上記第2通気路とを連通するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の筐体取付部材。
【請求項3】
上記取付部位における、上記開口部が形成されている壁と対向する面である対向面、および上記対向面と反対側の面のいずれか一方には、通気性および防水性を有する通気フィルタが、上記通気孔を覆うように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の筐体取付部材。
【請求項4】
上記通気孔が、上記取付部位に複数形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の筐体取付部材。
【請求項5】
上記筐体取付部材は、上記開口部を覆い、光透過性を有する材料で形成された透明部を有しており、
上記透明部が、上記透明部以外の上記筐体取付部材の部位と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の筐体取付部材。
【請求項6】
上記突出部位における上記開口部と対向する面が、遮光性を有する材料で塗装または蒸着されていることを特徴とする請求項に記載の筐体取付部材。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の筐体取付部材が、上記開口部に取付けられていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体取付部材および筐体取付部材を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯端末をはじめとする電子機器の筐体は、気密性が高く構成されていることから、急激な温度・大気圧の変化によって筐体内外に圧力差が生じ、ひいては筐体の変形、筐体に内蔵された各種電子部品の破損を招くおそれがある。そこで、近年では、筐体内外の圧力差に起因する筐体の変形等を防止するために、様々な構造を有する電子機器の筐体の研究開発が進められている。例えば、特許文献1には、カメラモジュール等が搭載された回路基板を覆う外装カバーについて、レンズ窓の配置箇所に近接する部位に、筐体内部の収容空間に通じる通気孔が形成されている携帯端末装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2014−14060号公報(2014年1月23日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯端末装置では、上述の通気孔が外部から視認できる箇所に形成されていることから、通気孔の存在が携帯端末装置のデザイン上の制約となり、結果、携帯端末装置の外観を損ねてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子機器の筐体に取付けることによって、電子機器の外観を損ねることなく、筐体内外の空気を通気することができる部材を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る筐体取付部材は、電子機器の筐体に形成された開口部に取付けられる筐体取付部材であって、上記筐体における上記開口部が形成されている壁と上記筐体の内部側から対向するように配置される取付部位を備えており、上記取付部位には、上記開口部の形状に対応した外形の突出部位が、上記筐体の外部に向けて突出するように設けられており、上記突出部位は、上記開口部との間に、空間である第1通気路を形成し、上記取付部位は、上記開口部が形成されている壁との間に、上記筐体の内部および上記第1通気路と連通する空間を、第2通気路として形成している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、筐体取付部材が、筐体内外の空気の通気のための第1通気路および第2通気路を、筐体における外部からの視認が困難な領域に形成することで、電子機器の外観を損ねることなく、筐体内外の空気を通気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る筐体取付部材の、スマートフォンへの取付け方法を示す概略図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態1に係る筐体取付部材が取付けられたスマートフォンのパネルにおける該筐体取付部材の取付箇所付近の部位を、表面側から見た場合の概略図である。(b)は、上記スマートフォンにおける、上記取付箇所付近の部位の概略構成を示すA−A線矢視断面図である。
図3】本発明の実施形態2に係る筐体取付部材が取付けられたスマートフォンにおける、上記取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
図4】(a)は、本発明の実施形態3に係る筐体取付部材の概略構成を示す外観図である。(b)は、本発明の実施形態3に係る筐体取付部材が取付けられたスマートフォンにおける、該筐体取付部材の取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態4に係る筐体取付部材が取付けられたスマートフォンにおける、上記取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
図6】(a)〜(d)は、本発明に係る筐体取付部材の変形例の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1および図2を参照しながら、詳細に説明する。なお、本実施形態以下の各実施形態においては、本発明に係る筐体取付部材をスマートフォンに取付ける場合を例に挙げて説明する。しかしながら、スマートフォンに限らず、例えば、携帯電話機、タブレット端末、デジタルカメラおよび携帯型ゲーム機等の様々な電子機器に、本発明に係る筐体取付部材を取付けることができる。
【0010】
また、以下の各説明においては、説明の便宜上、紙面向かって上側を上方、紙面向かって下側を下方、紙面向かって右側を右方、紙面向かって左側を左方とする。
【0011】
<筐体取付部材のスマートフォンへの取付け>
まず、図1を参照して、筐体取付部材1のスマートフォン100への取付けについて説明する。図1の(a)および(b)は、筐体取付部材1のスマートフォン100への取付け方法を示す概略図である。スマートフォン100(電子機器)は、パーソナルコンピュータ・PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等の機能を併せ持った多機能の携帯電話機である。
【0012】
図1の(a)に示すように、筐体取付部材1は、まず、スマートフォン100の背面(図2の(b)における上側の面)を構成する部材であるパネル10a(筐体、筐体における開口部が形成されている壁)に形成された、円形の開口部10cに取付けられる。具体的には、パネル10aの裏面(スマートフォン100に内蔵されたカメラモジュール70のレンズ部70aと対向する面;図1の(b)参照)における開口部10cの外縁に、平面視でO字形状の部位と略へ字形状の部位とが連なって形成されている両面接着シート1c(保持部)を貼り付ける。両面接着シート1cの詳細については、後述する。
【0013】
次に、後述する筐体取付部材1の突出部位1b(図2の(b)参照)を開口部10cに挿入するとともに、両面接着シート1cに後述する筐体取付部材1の取付部位1aを接着させることで、筐体取付部材1をパネル10aに取付ける。
【0014】
次に、図1の(b)に示すように、筐体取付部材1が取付けられたパネル10aを、各種電子部品が内蔵されたケース10b(筐体)に取付けることにより、筐体取付部材1がスマートフォン100に取付けられる。このとき、パネル10aの開口部10cの配置位置が、ケース10bに内蔵されたカメラモジュール70のレンズ部70aの配置位置に対応するように取り付ける。このようにしてパネル10aがケース10bに取付けられることで、ケース10bとパネル10aとが一体化してスマートフォン100の筐体10を構成することとなる。
【0015】
なお、図1に示すような、パネル10aの開口部10cへの筐体取付部材1の取付けはあくまで一例であり、例えば、スマートフォン100における受話口を設けるための開口部(不図示)に、本発明に係る筐体取付部材を取付けてもよい。換言すれば、本発明に係る筐体取付部材は、スマートフォンをはじめとする種々の電子機器の筐体に形成されている開口部に取付けることができる。
【0016】
<スマートフォンにおける筐体取付部材の取付箇所付近の部位の構成>
次に、図2を参照して、スマートフォン100における筐体取付部材1の取付箇所付近の部位の構成について説明する。図2の(a)は、スマートフォン100のパネル10aにおける、筐体取付部材1の取付箇所付近の部位を表面側から見た場合を示す概略図である。図2の(b)は、スマートフォン100における上記取付箇所付近の部位の概略構成を示すA−A線矢視断面図である。
【0017】
図2の(b)に示すように、スマートフォン100における筐体取付部材1の取付箇所付近の部位は、筐体取付部材1、ケース10b、パネル10a、透明板20(透明部)、カメラモジュール70、基板80、各種電子部品90およびLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)ユニット90aにより構成されている。
【0018】
筐体取付部材1は、スマートフォン100の筐体10、具体的にはパネル10aに形成された開口部10cに取付けられる部材であって、アルミニウムで成形されている。なお、筐体取付部材1はアルミニウム以外の金属材料で成形されていてもよい。また、筐体取付部材1は、図2の(a)に示すように、取付部位1a、突出部位1b、両面接着シート1c(保持部)および透明板配置部位1eで構成されている。
【0019】
筐体取付部材1は、後述する透明板20と開口部10cとの間から、突出部位1bの端部が突出する構成になっており、透明板20の外周面が突出部位1bの端部で取り囲まれることから、透明板20の外縁に意匠性を持たせる役割を果たす。また、筐体取付部材1は、開口部10cの壁面とカメラモジュール70との間を突出部位1bで遮ることから、カメラ撮影時において、パネル10aにおける開口部10cと近接する領域に設けられたフラッシュ10d(図2の(a)参照)等から発せられる光が、開口部10cからカメラモジュール70のレンズ部70aに射し込むことを防止する役割も果たす。
【0020】
取付部位1aは、パネル10a(筐体における開口部が形成されている壁)の裏面と(筐体の内部側から)対向するように配置される薄板状の部位であり、図2の(b)に示すように、パネル取付部位1a−1および通気孔形成部位1a−2で構成されている。
【0021】
図2の(a)に示すように、パネル取付部位1a−1は、平面視でO字形状の部位であり、その外径はパネル10aの裏面と対向するように開口部10cの内径よりも大きくなっている。また、パネル取付部位1a−1における、カメラモジュール70の配置位置と対応する領域には、レンズ部70aおよびカメラモジュール70の上側端部が挿入可能な大きさの、円形の第1レンズ用開口部1fが形成されている。通気孔形成部位1a−2は、パネル取付部位1a−1の側面に設けられた、平面視で略へ字形状の部位であり、筐体10内外の空気を通気するための通気孔1dが形成されている。パネル10aと通気孔形成部位1a−2との間には、筐体10内外の空気を通気するための空間である第2通気路40が形成され、通気孔1dを介して筐体10の内部と第2通気路とが連通している。
【0022】
突出部位1bは、中空円筒形状の部位であり、その内径は、突出部位1bの中空部に透明板20を挿入することが可能であり、かつ突出部位1bの内壁面と透明板20との間に隙間がほとんど生じない程度の長さになっている。突出部位1bは、パネル10aの開口部10cに挿入されることにより、突出部位1bの外壁面と開口部10cの壁面との間に、筐体10内外の空気を通気するための空間である第1通気路30を形成する。第1通気路30は、通気孔形成部位1a−2と突出部位1bとの連結箇所付近の領域で、第2通気路40と連通している。また、第1通気路30の上側の通気口(パネル10aの表面と同一平面上に形成)は、筐体10の外部と連通している。なお、突出部位1bの外形は、上述のような円形である必要はなく、パネル10aの開口部10cの形状に応じて任意に設計することができる。
【0023】
なお、図2の(a)および(b)に示す通気孔形成部位1a−2の配置位置はあくまで一例であり、パネル10aの裏面の形状、ケース10bに内蔵された各種電子部品90等との接触を考慮しつつ、通気孔形成部位1a−2が様々な位置に配置されるように筐体取付部材1を取付けることができる。ただし、第1通気路30、第2通気路40および通気孔1dを通じて、筐体10内外の空気を確実に通気するためには、図2の(b)に示すように、通気孔形成部位1a−2の下側になるべく広い空間が形成されるような位置に、通気孔形成部位1a−2が配置されることが好ましい。
【0024】
両面接着シート1cは、取付部位1aにおけるパネル10aの裏面(開口部が形成されている壁)と対向する面である対向面1a−3に配置される部材であり、両面接着シート1cによってパネル10aと取付部位1aとが接着される。換言すれば、両面接着シート1cは、取付部位1aをパネル10aに保持するための部材である。両面接着シート1cを構成する平面視でO字形状の部位の内径は、該O字形状の部位がパネル10aの開口部10cからはみ出ない程度に該開口部10cの直径より若干大きくなっている。また、O字形状の部位の外径は、該O字形状の部位がパネル取付部位1a−1からはみ出さない程度に、該パネル取付部位1a−1の外径よりも若干小さくなっている。さらに、両面接着シート1cを構成する平面視で略へ字形状の部位には、通気孔形成部位1a−2における通気孔1dおよびその周辺領域を塞がない程度の大きさの開放領域が形成されている(図2の(a)参照)。略へ字形状の部位の大きさは、通気孔形成部位1a−2からはみ出さない程度に、該通気孔形成部位1a−2よりも若干小さくなっている。
【0025】
透明板配置部位1eは、突出部位1bの端部の内壁面からレンズ部70aの中心軸(不図示)に向けて突出するように形成された、平面視でO字形状の薄板の部位である。透明板配置部位1eの中央部には、レンズ部70aよりも若干大きな直径の、円形の第2レンズ用開口部1gが形成されている。また、透明板配置部位1eの上側の面には両面接着テープ(その他の接着体であってもよい)が張り付けられており、両面接着テープの上側の面に透明板20を接着させることにより、該透明板20が筐体取付部材1に固定される。カメラモジュール70の配置位置と対応する領域には、レンズ部70aおよびカメラモジュール70の上側端部が挿入可能な大きさの、円形の第2レンズ用開口部1gが形成されている。
【0026】
透明板20は、透明なプラスチック材料で形成された平板状の部材であり、筐体10の外部からパネル10aの開口部10cを覆うように配置されてレンズ窓を構成する。また、透明板20は平面視で円形であり、その直径は突出部位1bの中空部の内径より若干小さい。なお、透明板20の形状は平面視で円形に限られず、突出部位1bの中空部の形状に対応する形状であればよい。また、成形材料についても上記のようなプラスチック材料である必要はなく、光透過性を有する材料で形成されていればよい。
【0027】
カメラモジュール70は、レンズ部70a、撮像部およびレンズ部駆動装置を備えており、オートフォーカス(AF)機能および手振れ補正機能を有する。カメラモジュール70は、レンズ部70aと透明板20とが対向するように薄板状の基板80に実装されている。また、基板80のカメラモジュール70が実装されている面には、スマートフォン100を構成する電子部品の集合体である各種電子部品90が実装されている。各種電子部品90としては、例えば、ICチップ、メモリ等が構成部品として想定される。
【0028】
さらに、基板80における、カメラモジュール70が実装されている面と反対側の面には、LCDユニット90aが実装されている。LCDユニット90aは、液晶表示パネル、タッチパネルおよび駆動部からなる複合体であり、通常の液晶表示機能に加えて、表示画面にタッチすることにより操作を行うタッチ操作機能を有している。タッチパネルは、ケース10bの底壁を構成する。
【0029】
以上のように、筐体取付部材1は、パネル10aとの間に第1通気路30および第2通気路40を形成する。したがって、筐体10の内部と外部とが、第1通気路30、第2通気路40および通気孔1dを介して連通し、筐体10内外の空気の通気が可能となる(図2の(b)中の矢印参照)。第1通気路30は、筐体10の外部から視認することが困難であるともに、パネル10aの外観が損われる程度の空間を形成するものではない。また、第2通気路40および通気孔1dは、筐体10の外部から視認することはできない。それゆえ、筐体取付部材1を開口部10cにパネル10aの裏面側から取付けることによって、スマートフォン100の外観を損ねることなく、筐体10内外の空気を通気することができる。
【0030】
さらに、パネル10aと通気孔形成部位1a−2との間に第2通気路40が形成されることにより、筐体10の内部の空気を確実に第1通気路30まで導くことができ、筐体10の内部の空気を筐体10の外部に確実に排出することができる。すなわち、第2通気路40が、ダクトとしての役割を果たす。
【0031】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態に係るスマートフォン200は、筐体取付部材1に換えて筐体取付部材2が取付けられている点で、実施形態1に係るスマートフォン100と異なる。
【0032】
<スマートフォンにおける筐体取付部材の取付箇所付近の部位の構成>
図3を参照して、スマートフォン200における筐体取付部材2の取付箇所付近の部位の構成について説明する。図3は、スマートフォン200における上記取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
【0033】
図3に示すように、筐体取付部材2を構成する各部(取付部位2a、突出部位2b、両面接着シート2cおよび透明板配置部位2e)は、実施形態1に係る筐体取付部材1を構成する各部(取付部位1a、突出部位1b、両面接着シート1cおよび透明板配置部位1e)と同一の形状・大きさとなっている。また、透明板配置部位2eに固定されている透明板21についても、実施形態1に係る筐体取付部材1の固定されている透明板20と同一の形状・大きさとなっている。さらには、透明板21の成形材料も透明板20と同一である。
【0034】
しかし、筐体取付部材2は、実施形態1に係る筐体取付部材1と異なり、その成形材料が透明板20・21の成形材料と同一の透明なプラスチックであり、取付部位2a・突出部位2b・両面接着シート2c・透明板配置部位2eと、透明板21とが一体的に成形されている。換言すれば、筐体取付部材2は、その構成要素として透明板21を有しており、透明板21が、該透明板21以外の筐体取付部材2の部位(取付部位2a・突出部位2b・両面接着シート2c・透明板配置部位2e)と同一の材料で形成されている。このように、取付部位2a等と透明板21とを一体的に成形することにより、例えば実施形態1に係る筐体取付部材1および透明板20のように、それぞれを個別に成形する場合と比較して、部品点数を削減することができる。それゆえ、スマートフォン200の外観を損ねることなく筐体10内外の空気を通気できるとともに、製造コストの削減をも図ることができる。
【0035】
また、突出部位2bにおける、パネル10aの開口部10cの内壁面と対向する外側面2b−1は、例えば、黒色塗装あるいはプライマー等が施されている(遮光性を有する材料で塗装または蒸着されている)。それゆえ、例えばカメラ撮影時において、フラッシュ10dから放射された光が第1通気路30および突出部位2bを透過してレンズ部70aに射し込むことによる、撮像画像への光の写り込みを防止することができる。
【0036】
なお、筐体取付部材2について、透明板21と該透明板21以外の部位とが同一の成形材料で一体的に成形されている必要はなく、それぞれの成形材料が異なっていてもよい。この場合であっても、透明板21と該透明板21以外の部位とが一体的に成形されていることに変わりはないことから、部品点数の削減、ひいては製造コストの削減を図ることができる。
【0037】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態に係るスマートフォン300は、筐体取付部材1・2に換えて筐体取付部材3が取付けられている点で、実施形態1・2に係るスマートフォン100・200と異なる。
【0038】
<スマートフォンにおける筐体取付部材の取付箇所付近の部位の構成>
図4を参照して、スマートフォン300における筐体取付部材3の取付箇所付近の部位の構成について説明する。図4の(a)は、筐体取付部材3の概略構成を示す外観図である。図4の(b)は、スマートフォン300における筐体取付部材3の取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
【0039】
図4の(b)に示すように、筐体取付部材3の一部を構成する突出部位3bおよび透明板配置部位3eは、実施形態1に係る筐体取付部材1の一部を構成する突出部位1bおよび透明板配置部位1eと同一の形状・大きさとなっている。なお、筐体取付部材1の成形材料は、実施形態1に係る筐体取付部材1と同一である。
【0040】
筐体取付部材3の一部を構成する取付部位3aについては、実施形態1に係る筐体取付部材1の一部を構成する取付部位1aと同一の外形・大きさとなっている。しかし、取付部位3aの第2通気路形成部位3a−2は、実施形態1に係る通気孔形成部位1a−2と同一の外形・大きさとなっているものの、通気孔1dが形成されていない。
【0041】
また、図4の(a)に示すように、筐体取付部材3の一部を構成する両面接着シート3cについては、第2通気路形成部位3a−2と対向する位置に貼り付けられる、平面視で略へ字形状の部位に、切り欠き部が形成されている。この切り欠き部は、両面接着シート3cによって筐体取付部材3がパネル10aに固定された状態において、第2通気路形成部位3a−2とパネル10aとの間の空間を形成する。そして、この空間は、第2通気路40と筐体10の内部とを連通し、筐体10内外の空気を通気するための第3通気路50となる。第3通気路50が形成されることによって、筐体10の内部と外部とが、第1通気路30、第2通気路40および第3通気路50を介して連通し、筐体10内外の空気の通気が可能となる(図4の(b)中の矢印参照)。
【0042】
このように、本発明に係る筐体取付部材の取付部位に通気孔を形成する必要はなく、筐体取付部材3のように、両面接着シート3cに切り欠き部を形成してもよい。換言すれば、両面接着シート3cをはじめとする、本発明に係る筐体取付部材の取付部位を筐体における開口部が形成されている壁に保持するための保持部に、筐体の内部と第2通気路とを連通する空間が、第3通気路として形成されていれば、上記取付部位に通気孔が形成されていなくてもよい。さらに付言すれば、本発明に係る筐体取付部材の取付部位は、筐体における開口部が形成されている壁との間に、筐体の内部および第1通気路と連通する空間を、第2通気路として形成していればよい。
【0043】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本実施形態に係るスマートフォン400は、筐体取付部材1・2・3に換えて筐体取付部材4が取付けられている点で、実施形態1・2・3に係るスマートフォン100・200・300と異なる。
【0044】
<スマートフォンにおける筐体取付部材の取付箇所付近の部位の構成>
図5を参照して、スマートフォン400における筐体取付部材4の取付箇所付近の部位の構成について説明する。図5は、スマートフォン400における筐体取付部材4の取付箇所付近の部位の概略構成を示す断面図である。
【0045】
図5に示すように、筐体取付部材4は、実施形態1に係る筐体取付部材1に通気フィルタ60を取付けた構成になっている。具体的には、通気フィルタ60によって取付部位1aの対向面1a−3の反対側から通気孔1dが覆われるように、通気フィルタ60が取付部位1aにおける対向面1a−3の反対側の面上に固定される。通気フィルタ60は、通気性および防水性を有するシート状のフィルタである。
【0046】
このように、通気フィルタ60で通気孔1dを覆うことによって、筐体10の外部から第1通気路30および第2通気路40を通じて通気孔1dに浸入した水が、筐体10の内部に流れ出すことを防止することができる。それゆえ、筐体10の内部への水の浸入に起因する各種電子部品90等の破損を防止しつつ、筐体10内外の空気の通気をすることができる(図5中の矢印参照)。
【0047】
なお、通気フィルタ60は、取付部位1aの対向面1a−3上に固定されていてもよい。また、取付部位1aの上記両方の面上に、それぞれ通気フィルタ60が固定されていてもよい。換言すれば、取付部位1aの対向面1a−3および対向面1a−3と反対側の面のいずれか一方に、通気孔1dを覆うようにして通気フィルタ60が配置されていればよい。
【0048】
〔変形例〕
本発明に係る筐体取付部材の各実施形態である、上述の筐体取付部材1・2・3・4以外にも、様々な変形例が想定される。この点について、図6の(a)〜(d)を用いて説明する。図6の(a)〜(d)は、本発明に係る筐体取付部材の変形例(筐体取付部材5・6・7・8)の概略構成を示す断面図である。
【0049】
まず、本発明に係る筐体取付部材は、図6の(a)に示すように、取付部位5aにおける通気孔形成部位5a−2に、通気孔1dが複数形成されている構造の筐体取付部材5を変形例として含む。このように、通気孔1dを複数形成することにより、筐体内外の空気の通気をより確実に行うことができる。
【0050】
次に、本発明に係る筐体取付部材は、図6の(b)に示すように、取付部位6aにおける通気孔形成部位6a−2が、平面視で略半円形状となっている構造の筐体取付部材6を変形例として含む。このように、本発明に係る筐体取付部材における取付部位の一部を構成する、通気孔形成部位(あるいは、第2通気路形成部位)の形状・大きさは、筐体に内蔵されている各種電子部品等の配置・大きさ、本発明に係る筐体取付部材が取付けられる開口部の形状・大きさ等に応じて、任意に設計することができる。
【0051】
次に、本発明に係る筐体取付部材は、図6の(c)に示すように、取付部位7aの形状が、平面視で略正方形状であり、その四隅にそれぞれ通気孔1dが形成されている構造の筐体取付部材7を変形例として含む。あるいは、図6の(d)に示すように、平面視で略正方形状の取付部位8aにおける各側壁の中央部付近にそれぞれ通気孔1dが形成された構造の筐体取付部材8を、本発明に係る筐体取付部材の変形例として含む。なお、これらの変形例のように、4つの通気孔1dが上記所定の位置に形成されている必要はなく、筐体の内部構造に応じて、通気がし易くなるように通気孔1dの形成位置・個数を適宜変更してもよい。
【0052】
このように、本発明に係る筐体取付部材における取付部位の形状・大きさについても、筐体に内蔵されている各種電子部品等の配置・大きさ、本発明に係る筐体取付部材が取付けられる開口部の形状・大きさ等に応じて、任意に設計することができる。
【0053】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る筐体取付部材(1、2、3、4、5、6、7)は、電子機器(スマートフォン100、200、300、400)の筐体(10)に形成された開口部(10c)に取付けられる筐体取付部材であって、上記筐体における上記開口部が形成されている壁(パネル10a)と上記筐体の内部側から対向するように配置される取付部位(1a、2a、3a、5a、6a、7a)を備えており、上記取付部位には、上記開口部の形状に対応した外形の突出部位(1b、2b、3b)が、上記筐体の外部に向けて突出するように設けられており、上記突出部位は、上記開口部との間に、空間である第1通気路(30)を形成し、上記取付部位は、上記開口部が形成されている壁との間に、上記筐体の内部および上記第1通気路と連通する空間を、第2通気路(40)として形成している。
【0054】
上記構成によれば、筐体取付部材について、突出部位は、電子機器の筐体の形成された開口部との間に第1通気路を形成する。また、取付部位は、筐体における開口部が形成された壁との間に第2通気路を形成する。したがって、電子機器の筐体の内部と外部とは、第1通気路および第2通気路を介して連通することとなる。
【0055】
ここで、第1通気路は、筐体の外部から視認することが困難な空間であり、第2通気路は、筐体の外部から視認することはできない。それゆえ、本発明に係る筐体取付部材を筐体における開口部が形成された壁に取付けることによって、電子機器の外観を損ねることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる。
【0056】
また、筐体における開口部が形成された壁と取付部位との間に第2通気路が形成されることにより、第2通気路がダクトとしての役割を果たす。それゆえ、筐体の内部の空気を確実に第1通気路まで導くことができ、筐体の内部の空気を筐体の外部に確実に排出することができる。
【0057】
本発明の態様2に係る筐体取付部材(1、2、4、5、6、7)は、上記態様1において、上記取付部位(1a、2a、5a、6a、7a)には、通気孔(1d)が、上記筐体の内部と上記第2通気路とを連通するように形成されていることが好ましい。
【0058】
上記構成によれば、本発明に係る筐体取付部材の取付部位には、通気孔が形成されていることから、電子機器の筐体の内部と外部とは、第1通気路、第2通気路および通気孔を介して連通することとなる。ここで、通気孔も筐体の外部から視認できないことから、電子機器の外観を損ねることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる。
【0059】
本発明の態様3に係る筐体取付部材(4)は、上記態様2において、上記取付部位(1a)における、上記開口部が形成されている壁と対向する面である対向面(1a−3)、および上記対向面と反対側の面のいずれか一方には、通気性および防水性を有する通気フィルタ(60)が、上記通気孔を覆うように配置されていることが好ましい。
【0060】
上記構成によれば、通気フィルタが、取付部位に形成された通気孔を覆うように配置されることから、電子機器の筐体の外部から第1通気路に浸入した水が、第2通気路および通気孔を通じて筐体の内部に流れ出すことを防止することができる。それゆえ、筐体に内蔵された各種電子部品が筐体内部への水の浸入に起因して破損することを防止しつつ、電子機器の外観を損ねることなく、筐体内外の空気の通気をすることができる。
【0061】
本発明の態様4に係る筐体取付部材(3)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記取付部位(3a)における、上記開口部が形成されている壁と対向する面である対向面には、上記取付部位を上記開口部が形成されている壁に保持するための保持部(両面接着シート3c)が設けられており、上記保持部には、上記筐体の内部と上記第2通気路とを連通する空間が、第3通気路(50)として形成されていることが好ましい。
【0062】
上記構成によれば、取付部位の対向面に設けられた保持部には、第3通気路が形成されていることから、電子機器の筐体の内部と外部とは、第1通気路、第2通気路および第3通気路を介して連通することとなる。ここで、第3通気路も筐体の外部から視認できないことから、電子機器の外観を損ねることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる。
【0063】
本発明の態様5に係る筐体取付部材(2)は、上記態様1から4のいずれかにおいて、上記筐体取付部材は、上記開口部を覆い、光透過性を有する材料で形成された透明部(透明板21)を有しており、上記透明部が、上記透明部以外の上記筐体取付部材の部位(取付部位2a・突出部位2b・両面接着シート2c・透明板配置部位2e)と同一の材料で形成されていることが好ましい。
【0064】
上記構成によれば、本発明に係る筐体取付部材について、透明部と該透明部以外の部位とが光透過性を有する同一の材料で形成されている。したがって、例えば、透明部をレンズ窓として用いる場合において、レンズ窓とレンズ窓以外の筐体取付部材の部位とをそれぞれ個別に成形する場合に比べて、部品点数を削減することができる。それゆえ、製造コストを削減しつつ、電子機器の外観を損ねることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる。
【0065】
本発明の態様6に係る筐体取付部材は、上記態様5において、上記突出部位(2a)における上記開口部と対向する面(外側面2b−1)が、遮光性を有する材料で塗装または蒸着されていることが好ましい。
【0066】
上記構成によれば、例えば、電子機器に備えられたフラッシュ等から光が放射されても、該光が突出部位を透過することを防止することができる。それゆえ、光が突出部位を透過して筐体に内蔵された各種電子部品に射し込むことによる、該各種電子部品への悪影響を防止しつつ、電子機器の外観を損ねることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる。
【0067】
本発明の態様7に係る電子機器は、上記態様1から6のいずれかに係る筐体取付部材が、上記開口部に取付けられていることが好ましい。上記構成によれば、外観が損なわれることなく、電子機器の筐体内外の空気を通気することができる電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、2、3、4、5、6、7:筐体取付部材
1a、2a、3a、5a、6a、7a:取付部位 1a−3:対向面
1b、2b、3b:突出部位 1c、2c、3c:両面接着シート(保持部)
1d:通気孔 2b−1:外側面(突出部位における開口部と対向する面)
10:筐体(電子機器の筐体)
10a:パネル(筐体における開口部が形成されている壁) 10c:開口部
21:透明板(透明部) 30:第1通気路 40:第2通気路
50:第3通気路 60:通気フィルタ
100、200、300、400:スマートフォン(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6