(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金型本体における前記係止穴の近傍に、前記金型交換装置における回り止め部材を係合させるための回り止め用の凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金型。
前記金型本体における前記係止穴の近傍に、前記金型交換装置における平板状の回り止め部材を係合させるための回り止め用の凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金型。
前記金型本体の前記係止穴の周縁部は、前記フィンガーの外周面に対して出没可能な係止片を係止させるための被係止部になっていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の金型。
前記金型本体の前記係止穴の中間位置に内側段差部が形成され、前記内側段差部は、前記フィンガーの外周面に対して出没可能な係止片を係止させるための被係止部になっていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の金型。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る標準型の上金型を金型交換装置を用いて、プレスブレーキの上金型ホルダに対して自動交換を行う様子を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型の上金型を金型交換装置を用いて、プレスブレーキの上金型ホルダに対して自動交換を行う様子を示す図である。
【
図3】
図3は、金型交換装置によって本発明の第1実施形態に係るグースネック型の上金型を保持した様子を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明の第1実施形態に係る標準型の上金型の正面図であり、
図4(b)は、本発明の第1実施形態に係る標準型の上金型の側面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型の上金型の正面図であり、
図5(b)は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型の上金型の側面図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型の耳部付きの上金型の正面図であり、
図6(b)は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型の耳部付きの上金型の側面図である。
【
図7】
図7は、回り止め部材を含むフィンガー周辺の構成と上金型との関係を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、回り止め部材を含むフィンガー周辺の構成と上金型との関係を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)は、係止片を金型本体の係止穴の内側段差部に係止させる前の様子を示す断面図である。
図9(b)は、係止片がフィンガーの押し面に押されてストッパに当接した様子を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、係止片を金型本体の係止穴の内側段差部に係止させた様子を示す断面図である。
図10(b)は、係止片がフィンガーの引き面に引き上げられた様子を示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、金型本体の係止穴に形成れた直線溝の終端である内側段差部に、係止片を係止させた様子を示す断面図である。
図11(b)は、本発明の第1実施形態に係るグースネック型のキー溝付きの上金型の斜視図である。
【
図12】
図12(a)は、弾性チューブを膨張させる前の様子を示す部分断面図である。
図12(b)は、膨張した弾性チューブを金型本体の係止穴に圧接させる様子を示す部分断面図である。
【
図13】
図13は、複数の突起を形成した回り止め部材周辺の斜視図である。
【
図14】
図14は、回り止め部材の突起を金型本体の回り止め用の凹部に係合させる様子を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2実施形態に係る下金型を金型交換装置を用いて、プレスブレーキの下金型ホルダに対して自動交換を行う様子を示す図である。
図15に示す下金型は、金型本体が取付部よりも厚肉になっている。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施形態に係る下金型を金型交換装置を用いて、プレスブレーキの下金型ホルダに対して自動交換を行う様子を示す図である。
図16に示す下金型は、金型本体が取付部よりも薄肉になっている。
【
図17】
図17は、本発明の第2実施形態に係る下金型を金型交換装置を用いて、プレスブレーキの下金型ホルダに対して自動交換を行う様子を示す図である。
図17に示す下金型は、金型本体が取付部と同じ肉厚になっている。
【
図18】
図18(a)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の正面図であり、
図18(b)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の側面図である。
図18(a)(b)に示す下金型は、金型本体が取付部よりも厚肉になっている。
【
図19】
図19(a)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の正面図であり、
図19(b)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の側面図である。
図19(a)(b)に示す下金型は、金型本体が取付部よりも薄肉になっている。
【
図20】
図20(a)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の正面図であり、
図20(b)は、本発明の第2実施形態に係る下金型の側面図である。
図20(a)(b)に示す下金型は、金型本体が取付部と同じ肉厚になっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態及び第2実施形態について、
図1から
図20を参照して説明する。
【0017】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「金型交換装置」とは、金型の自動交換を行うマニピュレータを含む意である。「断面円形状」とは、厳密な断面円形状に限るものでなく、断面円形状に近似した形状を含む意である。図面中、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「L」は左方向、「R」は右方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0018】
(第1実施形態)
図1から
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る上金型(金型)10は、金型交換装置12を用いて、プレスブレーキの金型装着部としての複数(1つのみ図示)の上金型ホルダ14に対して自動交換を行うことができる。金型交換装置12は、プレスブレーキの上部テーブル16の背面側(後側)に配設されている。複数の上金型ホルダ14は、上部テーブル16の下端部に左右方向に間隔を置いて設けられている。
【0019】
図4には、標準型の上金型10(10A)が示されており、
図5には、グースネック型の上金型10(10B)が示されている。
図6には、グースネック型の耳部付きの上金型10(10C)が示されている。なお、
図4から
図6は、本発明の第1実施形態に係る上金型10を例示してものであり、本発明の第1実施形態に係る上金型10は、これらに限定されるものではない。
【0020】
図4から
図6に示すように、上金型10は、金型本体18を備えている。金型本体18の基端側(上端側)には、金型交換装置12を用いて上金型ホルダ14に対して着脱可能に取付けられる取付部20が形成されている。金型本体18の先端側(下端側)には、板状のワーク(図示省略)の折曲げ加工を行うための折曲げ加工部22が形成されている。
【0021】
図1から
図6に示すように、取付部20は、その裏側に、垂直な接触面20cを有している。上金型10の表面ASを前側に向けた状態で、取付部20の接触面20cは、上金型ホルダ14のホルダ本体24の前面に接触(当接)する。上金型10の表面ASを前側に向けた状態で、取付部20は、上金型ホルダ14の第1クランプ26によってホルダ本体24に対して固定される。また、上金型10の反転によって上金型10の裏面BSを前側に向けた状態で、取付部20の接触面20cは、上金型ホルダ14のホルダ本体24の後面に接触する。上金型10の裏面BSを前側に向けた状態で、取付部20は、上金型ホルダ14の第2クランプ28によってホルダ本体24に対して固定される。また、取付部20の表側には、落下防止用の溝20gが幅方向(上金型10の幅方向)に沿って形成されている。
【0022】
金型本体18における取付部20の近傍は、他の部分よりも厚肉になっている。金型本体18は、その上側に、上部テーブル16の押圧力(加圧力)を受ける受圧面18pを有している。金型本体18の受圧面18pは、取付部20の接触面20cに対して直交する。
【0023】
金型本体18における重心位置(上金型10の重心位置)GPと同じ幅方向の位置には、金型交換装置12における丸棒状のフィンガー30を係止させるための断面円形状の係止穴18hが厚み方向に沿って貫通して形成されている。なお、上金型10が幅方向外側へ張り出した耳部10e(
図6参照)を有していない場合、換言すれば、上金型10の正面視形状が矩形形状である場合には、金型本体18における重心位置GPは、金型本体18における幅方向の中心位置上に位置している。
【0024】
図1及び
図4に示すように、上金型10Aの表面ASを前側に向けた状態で、上金型10Aの裏面BS側からフィンガー30を上金型10Aの係止穴18hに挿入する場合には、上金型10Aの係止穴18hの表側の周縁部は、フィンガー30の係止片32を係止させるための被係止部になる(
図1参照)。上金型10Aを反転させて、上金型10Aの裏面BSを前側に向けた状態で、上金型10Aの表面AS側からフィンガー30を上金型10Aの係止穴18hに挿入する場合には、上金型10Aの係止穴18hの裏側の周縁部は、フィンガー30の係止片32を係止させるための被係止部になる。
【0025】
図2、
図5、及び
図6に示すように、上金型10B,10Cの係止穴18hは、表面AS側に大径部18haを有し、裏面BS側に小径部18hbを有している。上金型10B,10Cの係止穴18hの中間位置(大径部18haと小径部18hbの境界)には、環状の内側段差部18hcが形成されている。上金型10B,10Cの表面ASを前側に向けた状態で、上金型10B,10Cの裏面BS側からフィンガー30を上金型10B,10Cの係止穴18hに挿入する場合には、金型本体18の係止穴18hの内側段差部18hcは、フィンガー30の係止片32を係止させるための被係止部になる(
図2参照)。上金型10B,10Cの裏面BSを前側に向けた状態で、上金型10B,10Cの表面AS側からフィンガー30を金型本体18の係止穴18hに挿入する場合には、上金型10B,10Cの係止穴18hの裏側の周縁部は、フィンガー30の係止片32を係止させるための被係止部になる。
【0026】
図1、
図2、
図4から
図7に示すように、金型本体18の両面(表面AS及び裏面BS)における係止穴18hの近傍に、金型交換装置12における棒状の回り止め部材34の先端部を係合させるためのテーパ状の回り止め用の凹部18dがそれぞれ形成されている。金型本体18の回り止め用の凹部18dは、係止穴18hと同じ幅方向の位置であってかつ係止穴18hの上側に位置している。フィンガー30を金型本体18の係止穴18hに挿入すると、回り止め部材34の先端部が金型本体18の回り止め用の凹部18dに係合する。つまり、上金型10は、フィンガー30に対して回転不能にした状態で、フィンガー30に支持されるように構成されている。
【0027】
続いて、上金型ホルダ14の構成について説明する。
【0028】
図1及び
図2に示すように、上金型ホルダ14は、特許文献4に示す周知の構成からなり、上部テーブル16の下端部に設けられた前述のホルダ本体24を備えている。また、ホルダ本体24の前側には、上金型10の取付部20をホルダ本体24の前面側に押圧する前述の第1クランプ26が前後方向へ揺動可能に設けられている。ホルダ本体24の後側には、上金型10の取付部20をホルダ本体24の後面側に押圧する前述の第2クランプ28が前後方向へ揺動可能に設けられている。第1クランプ26及び第2クランプ28の押圧動作及びその解除動作は、ホルダ本体24の上部に設けられたクランプシリンダ36の駆動によって行われる。第1クランプ26は、その下端側に、上金型10の取付部20の落下防止用の溝20gに係止する係止爪26cを有している。第2クランプ28は、その下端側に、上金型10の取付部20の落下防止用の溝20gに係止する係止爪28cを有している。
【0029】
続いて、金型交換装置12の構成について説明する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、金型交換装置12は、金型装着部としての複数の上金型ホルダ14に対して上金型10の自動交換(着脱)を行う。金型交換装置12は、プレスブレーキの左右方向の側方に配設した金型収納装置(図示省略)における上部ストッカ(図示省略)に対して上金型10の自動交換を行う。換言すれば、金型交換装置12は、複数の上金型ホルダ14と上部ストッカとの間で上金型10の自動交換を行う。
【0031】
上部テーブル16の背面側には、左右方向に延びた梁部材38が複数(1つのみ図示)の連結部材40を介して設けられている。梁部材38には、左右方向に延びたラック部材42が設けられている。ラック部材42には、左右方向に延びたガイドレール44が設けられている。ガイドレール44には、箱型の第1スライダ46が複数のリニアスライダ48を介して左右方向へ移動可能に設けられている。第1スライダ46は、その後部に、ブラケット部46bを有している。第1スライダ46の適宜位置には、第1スライダ46を左右方向へ移動させる第1スライダ用の移動アクチュエータとしてのサーボモータ50が設けられている。サーボモータ50の出力軸には、ピニオンギア52が一体的に設けられており、ピニオンギア52は、ラック部材42に噛合している。これにより、サーボモータ50の駆動により第1スライダ46を左右方向へ移動させることができる。
【0032】
第1スライダ46の右側面には、ベースプレート54が一体的に設けられている。ベースプレート54には、第2スライダ56がガイド部材58を介して前後方向へ移動可能に設けられている。第2スライダ56の適宜位置には、第2スライダ56を前後方向へ移動させる第2スライダ用の移動アクチュエータとしての流体圧シリンダ60が設けられている。流体圧シリンダ60は、前後方向へ移動可能なピストンロッド60rを有しており、ピストンロッド60rの先端部は、第1スライダ46のブラケット部46bに連結されている。これにより、流体圧シリンダ60の駆動により第2スライダ56を前後方向へ移動させることができる。
【0033】
第2スライダ56には、第3スライダ62がガイド部材(図示省略)を介して前後方向へ移動可能に設けられている。第2スライダ56の適宜位置には、第3スライダ62を前後方向へ移動させる第3スライダ用の移動アクチュエータとしての流体圧シリンダ64が設けられている。流体圧シリンダ64は、前後方向へ移動可能なピストンロッド64rを有しており、ピストンロッド64rの先端部は、第3スライダ62の適宜位置に連結されている。これにより、流体圧シリンダ64の駆動により第3スライダ62を第2スライダ56に対して前後方向へ移動させることができる。
【0034】
ここで、上金型10の表面ASを前側に向けた状態で、上金型10の裏面BS側からフィンガー30を金型本体18の係止穴18hに挿入する場合には、第3スライダ62を
図2に示す状態にしておく。上金型10の裏面BSを前側に向けた状態で、上金型10の表面AS側からフィンガー30を上金型10の係止穴18hに挿入する場合には、流体圧シリンダ64の駆動により第3スライダ62を
図2に示す状態から後方向へ移動させる。
【0035】
図2、
図7から
図10に示すように、第3スライダ62の前部には支持ブロック66が一体的に設けられている。支持ブロック66の前側面には、上金型10を支持する前述のフィンガー30が一体的に設けられている。フィンガー30は、前後方向に延びており、上金型10の係止穴18hに挿入可能である。フィンガー30は、基端側に大径部30aを有し、先端側に上金型10の係止穴18hに挿入可能な小径部30bを有している。フィンガー30の先端部(前端部)は、テーパ形状に形成されている。フィンガー30の中間位置(大径部30aと小径部30bの境界)には、金型本体18に当接可能な環状の外側段差部30cが形成されている。
【0036】
フィンガー30の小径部30bの先端側には、スリット30sが形成されている。フィンガー30のスリット30s内には、前述の係止片32が枢軸68を介して上下方向へ揺動可能に設けられている。係止片32は、フィンガー30の一部を構成し、上下方向の揺動によってフィンガー30の外周面に対して出没可能である。係止片32は、フィンガー30の外周面に対して突出することによって金型本体18の係止穴18hの周縁部又は係止穴18hの内側段差部18hcに係止する。なお、フィンガー30のスリット30s内には、係止片32の下方向の揺動を規制するストッパ70が設けられている。
【0037】
フィンガー30の内部には、前後方向に延びた作動ロッド72が前後方向へ移動可能に設けられている。作動ロッド72の先端部(前端部)には、切欠部72nが形成されており、係止片32の先端部は、作動ロッド72の切欠部72nに嵌入している。作動ロッド72の切欠部72nは、その後端側に、係止片32を前方向へ押して下方向へ揺動させる押し面72naを有している。作動ロッド72の切欠部72nは、その前端側に、係止片32を後方向へ引いて上方向へ揺動させる引き面72nbを有している。
【0038】
第3スライダ62の適宜位置には、係止片32を上下方向へ揺動させる揺動アクチュエータとして流体圧シリンダ74が設けられている。流体圧シリンダ74は、前後方向へ移動可能なピストンロッド74rを有しており、ピストンロッド74rの先端部は、作動ロッド72の基端部(後端部)に連結されている。これにより、流体圧シリンダ74の駆動により作動ロッド72を前後方向へ移動させることができ、係止片32を上下方向へ揺動させてフィンガー30の外周面に対して出没させることができる。そして、金型交換装置12は、フィンガー30の先端側の外周面から突出した係止片32と、フィンガー30の外側段差部30cによって上金型10を挟持するように構成されている。
【0039】
なお、係止片32をフィンガー30の外周面に対して出没可能にするための構成としては、前述した構成に限ることなく、適宜の構成を採用することができる。例えば、作動ロッド72の先端部に設けたピンを、係止片32に形成したスロットに移動可能に係合させることにより、係止片32をフィンガー30の外周面に対して出没可能にしてもよい。また、作動ロッド72に設けたカム又は楔部材を係止片32に接触させることにより、係止片32をフィンガー30の外周面に対して出没可能にしてもよい。更に、フィンガー30を丸棒状に形成する代わりに、角棒状に形成してもよい。
【0040】
図1、
図2、
図7、及び
図8に示すように、フィンガー30の大径部30aには、スライドブロック76が前後方向へ移動可能に設けられている。支持ブロック66には、一対のスライドロッド78が前後方向へ移動可能に支持されている。一対のスライドロッド78の先端部(前端部)は、スライドブロック76に連結されており、一対のスライドロッド78の基端部(後端部)は、連結部材80に連結されている。なお、
図1及び
図2に示すスライドブロック71の形状が異なるが、
図1及び
図2に示すスライドブロック71の機能は同一である。
図1及び
図2に示すスライドブロック71の形状を同一にしてもよい。
【0041】
スライドブロック76の前側面には、フィンガー30に支持された上金型10の回転を防止するための前述の回り止め部材34が一体的に設けられている。回り止め部材34の先端部は、テーパ状に形成されており、上金型10の回り止め用の凹部18dに係合可能である。回り止め部材34は、フィンガー30の外周面に対して突出させた状態の係止片32側へ上金型10を押圧する。換言すれば、回り止め部材34は、フィンガー30の外周面に対して突出させた状態の係止片32と協働して上金型10を挟持する。また、第3スライダ62には、回り止め部材34を前後方向へ移動させるための回り止め部材用の移動アクチュエータとしての流体圧シリンダ82が設けられている。流体圧シリンダ82は、前後方向へ移動可能なピストンロッド82rを有しており、ピストンロッド82rの先端部は、連結部材80に連結されている。これにより、流体圧シリンダ82の駆動により回り止め部材34をスライドブロック76と一体的に前後方向へ移動させて、上金型10の回り止め用の凹部18dに係脱(係合と離脱)させることができる。
【0042】
続いて、本発明の第1実施形態の作用効果について説明する。
【0043】
第1クランプ26及び第2クランプ28の押圧動作を解除すると共に、第1スライダ46を左右方向へ移動させて、フィンガー30を上金型10の係止穴18hに対向させる。次に、第2スライダ56を前方向へ移動させて、フィンガー30を上金型10の係止穴18hに挿入させる。すると、フィンガー30の外側段差部30cが上金型10の係止穴18hの周縁部に当接する。そして、係止片32をフィンガー30の外周面に対して突出させる。すると、係止片32が上金型10の係止穴18hの周縁部又は係止穴18hの内側段差部18hcに係止して、係止片32とフィンガー30の外側段差部30cが上金型10を挟持する。更に、回り止め部材34をスライドブロック76と一体的に前方向へ移動させて、回り止め部材34の先端部を上金型10の回り止め用の凹部18dに係合させる。これにより、上金型10をフィンガー30に対して回転不能にした状態で、フィンガー30によって支持することができる。
【0044】
その後、第1スライダ46を左右方向の一方側(右方向)へ移動させて、上金型10を垂直姿勢(鉛直姿勢)に保った状態で金型ホルダ14(上部テーブル16側)から離脱させる。これにより、上金型ホルダ14に対して上金型10の離脱を行うことができる。
【0045】
上金型10の幅寸法が隣接する上金型ホルダ14の間隔よりも短い場合には、次のように動作させてもよい。フィンガー30によって上金型10を支持した後に、第1スライダ46を左右方向へ移動させて、上金型10を隣接する上金型ホルダ14の間に対応する位置に位置させる。そして、第2スライダ56を後方向へ移動させて、上金型10を垂直姿勢に保った状態で上金型ホルダ14(上部テーブル16側)から離脱させる。
【0046】
上金型ホルダ14に対して上金型10の装着を行う場合には、前述の動作と反対の動作を実行する。これにより、上金型ホルダ14に対して上金型10の自動交換(着脱)を行うことができる。
【0047】
金型収納装置の上部ストッカに対して上金型10の自動交換を行う場合にも、前述と同様の動作を実行する。これにより、複数の上金型ホルダ14と上部ストッカとの間で上金型10の自動交換を行うことができる。
【0048】
つまり、前述のように、金型本体18における重心位置GPと同じ幅方向の位置に、フィンガー30を係止させるための断面円形状の係止穴18hが厚み方向に沿って貫通して形成されている。そのため、フィンガー30を金型本体18の係止穴18hに係止させるだけで、上金型10の回転を抑えつつ、フィンガー30に対する上金型10の姿勢を安定させることができる。特に、上金型10がフィンガー30に対して回転不能にした状態でフィンガー30に支持されるように構成されているため、フィンガー30に対する上金型10の姿勢をより安定せることができる。これにより、高さ方向に延びた作動部材(特許文献1及び特許文献2参照)に相当する部材及び長穴を上金型10の構成要素としなくても、金型交換装置12を用いてプレスブレーキの複数の上金型ホルダ14に対して上金型10の自動交換を行うことができる。
【0049】
従って、本発明の第1実施形態によれば、自動交換用の上金型10の高さ寸法を通常の上金型(図示省略)の高さ寸法と同程度にして、通常の上金型に対して後加工を施すことによって自動交換用の上金型10として用いることができる。また、自動交換用の上金型10の製作の困難性を解消しつつ、自動交換用の上金型10の製作時間の短縮化を図ることができる。
【0050】
(第1実施形態の変形例)
図11に示すように、上金型10Bにおいては、上金型10の係止穴18hの内周面に直線溝(キー溝)18hgを表面AS側から形成し、直線溝18hgの終端を内側段差部18hcとしてもよい。
【0051】
図12に示すように、フィンガー30の小径部30bに例えばゴム管等の弾性チューブ84を設けてもよい。この場合には、フィンガー30の小径部30bを上金型10の係止穴18hに挿入し、エア供給通路30pからエアを供給して、弾性チューブ84を膨張させる。これにより、膨張した弾性チューブ84の外周面と上金型10の係止穴18hの内周面との摩擦を利用して、上金型10の回り止めを行う。
【0052】
図13及び
図14に示すように、回り止め部材34に複数の鋭角なエッジ34eを形成してもよい。この場合には、回り止め部材34の各エッジ34eによって上金型10の対応する回り止め用の凹部18dを押圧して、上金型10の回り止めを行う。
【0053】
(第2実施形態)
図15から
図17に示すように、本発明の第2実施形態に係る下金型(金型)86は、金型交換装置88を用いて、プレスブレーキの金型装着部としての下金型ホルダ90に対して自動交換を行うことができる。金型交換装置88は、プレスブレーキの下部テーブル92の背面側(後側)に配設されている。下金型ホルダ90は、下部テーブル92の下端部に設けられかつ左右方向に延びている。
【0054】
図15から
図20に示すように、下金型86は、金型本体94を備えている。金型本体94の基端側(下端側)には、金型交換装置88を用いて下金型ホルダ90に対して着脱可能に取付けられる取付部96が形成されている。金型本体94の先端側(上端側)には、板状のワーク(図示省略)の折曲げ加工を行うための折曲げ加工部98が形成されている。なお、折曲げ加工部98として、V溝が例示してあるが、U溝等であってもよい。
【0055】
図15及び
図18には、金型本体94が取付部96よりも厚肉なっている下金型86(86A)が示されており、金型本体94の下面が段差面になっている。
図16及び
図19には、金型本体94が取付部96よりも薄肉になっている下金型86(86B)が示されており、取付部96の上面が段差面になっている。
図17及び
図20には、金型本体94が取付部96と同じ肉厚になっている下金型86(86C)が示されている。なお、
図16から
図21は、本発明の第2実施形態に係る下金型86を例示してものであり、本発明の第2実施形態に係る下金型86は、これらに限定されるものではない。
【0056】
図15から
図20に示すように、金型本体94における重心位置(下金型86の重心位置)GPと同じ幅方向の位置には、金型交換装置88における丸棒状のフィンガー30を係止させるための断面円形状の係止穴94hが厚み方向に沿って貫通して形成されている。なお、金型本体94における重心位置GPは、金型本体94における幅方向の中心位置上に位置している。
【0057】
図15及び
図18に示すように、下金型86Aの金型本体94における係止穴94hの両側(表側と裏側)には、断面円弧状の切欠94nがそれぞれ形成されている。下金型86Aの切欠94nの曲率半径は、下金型86Aの係止穴94hの半径よりも大きく設定されている。下金型86Aの係止穴94hの中間位置には、環状の内側段差部94hcが形成されている。
【0058】
図17及び
図20に示すように、下金型86Cの係止穴94hは、裏面BS側に大径部94haを有し、表面AS側に小径部94hbを有している。下金型86の係止穴94hの中間位置(大径部94haと小径部94hbの境界)には、環状の内側段差部94hcが形成されている。
【0059】
図15から
図17に示すように、金型本体94の係止穴94hの表側の周縁部は、金型交換装置88におけるフィンガー30の係止片32を係止させるための被係止部になる。
【0060】
図15及び
図18に示すように、フィンガー30が下金型86Aの係止穴94hに挿入すると、金型交換装置88における平板状の回り止め部材100の上面が金型本体94の下面(段差面)に面接触する。
図16及び
図19に示すように、フィンガー30が下金型86Bの係止穴94hに挿入すると、回り止め部材100の下面が取付部96の上面(段差面)に面接触する。また、
図17及び
図20に示すように、下金型86Cの金型本体94における係止穴94hの下側には、回り止め部材100の先端部を係合させるための溝状の回り止め用の凹部94dが形成されている。フィンガー30が下金型86Cの係止穴94hに挿入すると、回り止め部材100の先端部が下金型86Cの回り止め用の凹部94dに係合する。つまり、下金型86は、フィンガー30に対して回転不能にした状態で、フィンガー30に支持されるように構成されている。
【0061】
続いて、下金型ホルダ90の構成について簡単に説明する。
【0062】
図15に示すように、下金型ホルダ90は、周知の構成からなり、下部テーブル92の上端部に設けられかつ左右方向に延びたホルダ本体102を備えている。また、ホルダ本体102の上部には、下金型86の取付部96を収容する段部102sが形成されている。ホルダ本体102の前側には、下金型86の取付部96をホルダ本体102の段部102sの壁側(後方向)に押圧するクランプ104が前後方向へ揺動可能に設けられている。クランプ104の押圧動作及びその解除動作は、ホルダ本体102の内部に設けられたクランプシリンダ(図示省略)の駆動によって行われる。
【0063】
続いて、金型交換装置88の構成のうち、金型交換装置12(
図2参照)の構成と異なる点について説明する。なお、金型交換装置88における複数の構成要素のうち、金型交換装置12における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0064】
図15から
図17に示すように、金型交換装置88は、金型装着部としての下金型ホルダ90に対して下金型86の自動交換(着脱)を行う。金型交換装置88は、プレスブレーキの左右方向の側方に配設した金型収納装置(図示省略)における下部ストッカ(図示省略)に対して下金型86の自動交換を行う。換言すれば、金型交換装置88は、下金型ホルダ90と下部ストッカとの間で下金型86の自動交換を行う。
【0065】
金型交換装置88は、下部テーブル92の背面側に左右方向、前後方向、及び上下方向へ移動可能に設けられたスライダ106を備えている。スライダ106は、金型交換装置12の第3スライダ62(
図2参照)に相当する部材であり、第3スライダ62と異なり、上下方向へ移動可能に構成されている。
【0066】
支持ブロック66の前側面には、下金型86を支持する前述のフィンガー30が一体的に設けられている。フィンガー30は、前後方向に延びており、下金型86の係止穴94hに挿入可能である。フィンガー30は、基端側に大径部30aを有し、先端側に金型本体94の係止穴94hに挿入可能な小径部30bを有している。フィンガー30の先端部(前端部)は、テーパ形状に形成されている。フィンガー30の中間位置(大径部30aと小径部30bの境界)には、金型本体94に当接可能な外側段差部30cが形成されている。
【0067】
フィンガー30のスリット30s内には、前述の係止片32が上下方向へ揺動可能に設けられている。係止片32は、フィンガー30の一部を構成し、上下方向の揺動によってフィンガー30の外周面に対して出没可能である。係止片32は、フィンガー30の外周面に対して突出することによって金型本体94の係止穴94hの内側段差部94hc又は係止穴94hの周縁部に係止する。そして、金型交換装置88は、フィンガー30の先端側の外周面から突出した係止片32と、フィンガー30の外側段差部30cによって下金型86を挟持するように構成されている。
【0068】
スライドブロック76の前側面には、フィンガー30に支持された下金型86の回転を防止するための前述の平板状の回り止め部材100が一体的に設けられている。回り止め部材100の上面は、下金型86Aの金型本体94の下面(段差面)に面接触可能である。回り止め部材100の下面は、下金型86Bの取付部96の上面(段差面)に面接触可能である。回り止め部材100の先端部は、下金型86Cの回り止め用の凹部94dに係合可能である。
【0069】
続いて、本発明の第2実施形態の作用効果について説明する。
【0070】
クランプ104の押圧動作を解除すると共に、スライダ106を左右方向へ移動させて、フィンガー30を下金型86の係止穴94hに対向させる。次に、スライダ106を前方向へ移動させて、フィンガー30を下金型86の係止穴94hに挿入させる。すると、フィンガー30の外側段差部30cが下金型86の係止穴18hの周縁部又は係止穴94hの内側段差部94hcに当接する。そして、係止片32をフィンガー30の外周面に対して突出させる。すると、係止片32が下金型86の係止穴94hの周縁部に係止して、係止片32とフィンガー30の外側段差部30cが下金型86を挟持する。更に、回り止め部材100をスライドブロック76と一体的に前方向へ移動させる。すると、回り止め部材100の上面が金型本体94の下面に面接触するか、回り止め部材100の下面が取付部96の上面に面接触するか、又は回り止め部材100の先端部が下金型86Cの回り止め用の凹部94dに係合する。これにより、下金型86をフィンガー30に対して回転不能にした状態で、フィンガー30によって支持することができる。
【0071】
その後、スライダ106を上方向へ移動させて、下金型86を垂直姿勢に保った状態で下金型ホルダ90(下部テーブル92側)から離脱させる。これにより、下金型ホルダ90に対して下金型86の離脱を行うことができる。
【0072】
下金型ホルダ90に対して下金型86の装着を行う場合には、前述の動作と反対の動作を実行する。これにより、下金型ホルダ90に対して下金型86の自動交換(着脱)を行うことができる。
【0073】
金型収納装置の下部ストッカに対して下金型86の自動交換を行う場合にも、前述と同様の動作を実行する。これにより、下金型ホルダ90と下部ストッカとの間で下金型86の自動交換を行うことができる。
【0074】
つまり、前述のように、金型本体94における重心位置と同じ幅方向の位置に、フィンガー30を係止させるための断面円形状の係止穴94hが厚み方向に沿って貫通して形成されている。そのため、フィンガー30を金型本体94の係止穴94hに係止させるだけで、下金型86の回転を抑えつつ、フィンガー30に対する下金型86の姿勢を安定させることができる。特に、下金型86がフィンガー30に対して回転不能にした状態でフィンガー30に支持されるように構成されているため、フィンガー30に対する下金型86の姿勢をより安定させることができる。これにより、高さ方向に延びた作動部材(特許文献1及び特許文献2参照)に相当する部材及び長穴を下金型86の構成要素としなくても、金型交換装置88を用いてプレスブレーキの下金型ホルダ90に対して下金型86の自動交換を行うことができる。
【0075】
従って、本発明の第2実施形態によれば、自動交換用の下金型86の高さ寸法を通常の下金型(図示省略)の高さ寸法と同程度にして、通常の下金型に対して後加工を施すことによって下金型86として用いることができる。また、自動交換用の下金型86の製作の困難性を解消しつつ、下金型86の制作時間の短縮化を図ることができる。
【0076】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、例えば、次のよういに種々の態様で実施可能である。フィンガー30の先端部を筒状に形成しかつフィンガー30の先端部に前後方向に延びたスリットを形成してもよい。この場合には、フィンガー30の内部にテーパ付きの押棒を押し込むことにより、フィンガー30の先端部の外径を拡大して、金型10(86)の係止穴18h(94h)の内周面を押圧し、フィンガー30によって金型10(86)を支持する。
【0077】
そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものでなく、金型交換装置12(88)に装備していない汎用のプレスブレーキに用いた金型10(86)にも及ぶものである。
【解決手段】金型10は、金型本体18と、金型本体18の基端側に形成され、金型交換装置12を用いてプレスブレーキの金型装着部14に対して着脱可能に取付けられる取付部20と、金型本体18の先端側に形成され、板状のワークの折曲げ加工を行うための折曲げ加工部22と、を備えている。金型本体18における重心位置GPと同じ幅方向の位置に、金型交換装置12における棒状のフィンガー30を係止させるための断面円形状の係止穴18hが厚み方向に沿って貫通して形成されている。