(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予測誤差値は、前記手術後の屈折力の前記推定値に対して平均誤差を含み、または前記予測誤差値は、前記手術後の屈折力が所望の範囲外である前記複数の眼の比率を含む、請求項1に記載の眼科用機器の作動方法。
IOL度数補正値を計算するために数学的関係を決定することが、前記2つ以上の特徴のそれぞれに対する係数を決定することを含む、請求項1に記載の眼科用機器の作動方法。
前記複数の群の間の境界に隣接するブレンドゾーンにおいて使用するブレンド係数を決定することをさらに含み、前記ブレンド係数は各境界のいずれか一方の側の前記群に対応する前記係数の組み合わせを含む、
請求項3に記載の眼科用機器の作動方法。
前記複数の眼の前記2つ以上の特徴が、さらに、測定された無水晶の屈折力、理論上の無水晶の屈折力、角膜屈折力、または角膜横径をさらに含む、請求項1に記載の眼科用機器の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
典型的な白内障手術においては、外科医は患者の眼から天然水晶体を除去し、眼内レンズ(IOL)がその箇所に移植される。適切な量の屈折力及び/または円柱屈折力を有するIOLを選択することにより、例えば手術の前は近視(近眼)、遠視(遠眼)、及び/または乱視であった眼が、例えば、正視状態またはできるだけ正視状態に近い状態にすることができる。所与の用途に対するIOLの屈折力の適切な量の決定は、患者に対する満足のいく手術結果を取得する重要な態様である。
【0010】
適切なIOL度数の推定値を計算する場合、及び/またはIOL度数の推定値に対して補正値を決定する場合には、様々な下記のような要因が考えられ得る。1)例えば、角膜から網膜までを測定した眼軸長、2)前方表面及び後方表面を含む、角膜の合計屈折力、3)理論上の無水晶の屈折力(球面及び/または円柱)、4)角膜横径(WTW)、5)例えば、角膜表面からIOLの手術後の手術位置(例えば、角膜頂点から固定した位置のIOLの中心までの距離)として理解し得るIOLの有効なレンズ位置(ELP)、6)手術中に行われる眼の無水晶の屈折力(球面及び/または円柱状)の直接測定、及び7)所望の手術後の屈折力(例えば、正視眼のためのデフォーカスが0.0視度(D))。
【0011】
手術前の生体測定は、眼軸長、角膜の前方表面の曲線及び角膜横径を測定するために使用され得る。眼軸長は、例えば、超音波装置または光干渉断層撮影法(OCT)によって測定され得る。それに対し、角膜の前方表面の曲線は、例えば、角膜計(例えば、角膜の角膜頂点あるいは角膜の解剖的中心を通って直交する経線において測定されるK値であり、曲線の半径に関して表され、またはこれらの直交する経線に沿った角膜の屈折度数として表される)または角膜形状(模擬K値)によって測定され得る。角膜の合計屈折力は次に、角膜曲率のK値から推定され得る。加えて、患者の眼の無水晶の屈折力は、合計角膜力及び患者の眼軸長に依存する。実際、理論上の無水晶の屈折力値は、角膜屈折力及び軸長のデータから計算され得る。
【0012】
IOLのELPは、両眼転導量が異なるため、手術後の眼の全屈折力に影響し、その理由は、角膜と網膜との間の空間位置によって眼中にそれが光を与える両眼転導の異なった量のためである。例えば、予測されたELPから0.5mmのみ軸方向に変位された20ジオプトリIOLは、手術後の屈折では1.0ジオプトリの誤差の結果になり得る。例えば、ELPは2014年7月1日発行の米国特許第8,764,187号(名称「無水晶の屈折力を使用する眼内レンズの有効的なレンズ位置の決定」)に記載される方法に従って決定されてよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。その他の方法も、また、ELPを予測するために使用され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、無水晶の屈折力の手術中の直接測定は、波面収差測定器(例えば、タルボ−モアレ、シャック−ハルトマンまたはその他)が使用されるが、その他の機器もまた、使用され得る。波面収差測定器は、白内障手術を実施するために外科医によって使用される手術用顕微鏡に取り付けられ、光学的に位置合わせされ得る。このような装置は、2011年2月8日発行の米国特許第7,883,505号(名称「一体型手術用顕微鏡及び波面センサ」)に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で記載された、術中測定の種類を実行するために好適な波面収差測定器の1つの種類は、2004年5月18日発行の米国特許第6,736,510号(名称「眼のタルボ−モアレ波面センサ」)に記載されているような、タルボ−モアレ波面収差測定器であり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0014】
要約すると、タルボ−モアレ波面収差測定器は、患者の眼にプローブレーザビームを導入することによって機能する。プローブレーザビームは、例えば、患者の眼の視軸と一致するように位置合わせが可能である。プローブレーザビームは、前方及び後方表面を含む角膜を通過し、網膜に入射する。プローブビームは、網膜から、例えば、網膜で点光源として振る舞うような方法で拡散する。拡散されたプローブビーム光は、角膜を含む眼を通過して返る。プローブビームの光波面は、眼の屈折特性によって変化される(例えば、角膜の前方及び後方表面の形状による)。変化された波面は、次に、例えば球面度数、乱視度数及び乱視軸を含む、眼の屈折力を決定するために分析され得る。
【0015】
白内障手術を取り巻く技術が向上し続けるに従い、ますます患者は白内障手術後に眼鏡から開放されることを期待する。患者のために正視の結果(または正視にできるだけ近い状態)を得るためには、IOL度数の推定値を改善する必要がある。IOLを移植する手術を受ける患者のためにIOL度数の推定値及び/またはIOL度数の推定値を改善する、システム及び方法が本明細書で記載されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、白内障手術は、患者の眼から天然水晶体を除去することによって行われる。いくつかの実施形態では、例えば、軸長、角膜曲率(K)、及び/または角膜横径(WTW)の手術前の生体測定値が測定され得る。眼の無水晶の屈折力は、手術中に直接測定されることができ、及び/または手術前の生体測定に基づいて理論的に計算され得る。IOLのELPは、無水晶の屈折力(例えば、球面度数、円柱度数、等価球面度数等)の直接測定及び/または手術前の生体測定値から推定されることができる。IOL度数の推定は、次に、例えば、無水晶等価球面(SE)度数(SE=球面値+
1/
2円柱値)の関数及びELP推定の関数である、屈折IOL度の式を使用する電子機器を処理することにより決定され得る。IOL度数の式は、また、K測定値の関数でもあり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、IOL度数の推定は、以下の屈折両眼転導の式にしたがって計算することができ、式中、「Desired_PostRx」は所望の手術後の屈折であり、各用語中の「V」は頂点距離である(例えば、「Aphakic_SE」は0mmであり、「Desired_PostRx」は13mmである)。
【数1】
IOL度数の推定値を決定するその他の方法及び式もまた、使用され得る。IOL度数の推定値が一旦決定されると、外科医は適切なIOLを選択し、眼中に(例えば、水晶体嚢中に)IOLを移植し、手術を完了することができる。
【0018】
眼の手術後の屈折力の推定値は、例えばIOL度数の関数として上記のDesired_PostRxの式を解くことによって決定され得る。眼の手術後の屈折力の推定値は、次に、移植のために選択された特定のIOL度数の関数を評価することによって決定され得る。手術後、眼の手術後の屈折力の実際の測定は、手術後の屈折力の推定における誤差の量を決定するために実行され得る。回帰分析のような数学的技術は、次に、将来の患者のために結果を改善するため、様々な眼の特徴と推定誤差との間の数学的関係を確認するために使用され得る。
【0019】
確実な手術後の明白な等価球面(SE)屈折力の測定値が取得されてよい所与のデータセット(例えば、IOLモデル当たりの眼及び/または後屈折群当たり>100)から、手術後のSE屈折力を推定する予測誤差が計算され得る。いくつかの実施形態では、推定された眼のセットの手術後の屈折力と測定された眼のセットの手術後の屈折力との間の予測誤差は、平均絶対誤差であり得る。その他の実施形態では、予測誤差は、測定された手術後の屈折力を有する眼の比率であり得、この手術後の屈折力は、所望の範囲内であるか範囲外である(例えば、手術後のSEが、+/−0.50Dのような選択された閾値未満の比率の眼)。
【0020】
眼及び/または移植されたIOLに関連する特定の特徴に対する値を使用する回帰分析は、このような特徴の値に適用される場合、データセットの全予測誤差が低減または最小化されるように、推定された手術後のSE屈折力の推定値を変更することができる一連の係数がある場合には、決定するために実行され得る。いくつかの実施形態では、線形回帰方法は、予測誤差を最小化または低減するため、及び関連する回帰係数を生成するために使用され得る。しかしながら、高次回帰及びその他の技術(例えば、神経回路網、ランダムツリー等)もまた、使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、回帰分析にて使用される特徴は、軸長、角膜横径(WTW)、直接測定された手術中の無水晶の屈折力(例えば、無水晶SE)、(手術前測定に基づいて)理論的に計算された無水晶の屈折力、角膜曲率(例えば、平均K)等を含む。いくつかの実施形態では、回帰分析は係数を提供し、この係数は、患者の眼のこれらの特徴に対し各値を乗じられ、次に合計された場合には、推定された手術後の屈折力と測定された手術後の屈折力との間の誤差を減少するために、例えば、その患者の眼に対する手術後の屈折力の推定に加算され得る補正値になる係数を提供する。調整された手術後の屈折力の推定は、患者のために選択されるべきIOL度数を決定するために、外科医によって使用され得る。場合によっては、調整された手術後の屈折力の推定値は、手術後の屈折力の補正された推定がない状態で選択されるであろうIOL度数とは異なるIOL度数を外科医は選択する結果になる可能性がある。
【0022】
発明者は、眼の手術後の屈折力の推定値に対する予測誤差は、眼軸長に応じて変化することを確認した。これは
図1に示されており、それらの眼軸長の機能として、眼のセット用の眼内レンズ(IOL)度数の推定値における予測誤差をグラフ化したグラフ100である。このデータは、SN6AD1型式のIOLを移植された眼のセットから取得された。眼のセットは眼軸長に基づいて6つの群に分けられた。この場合、群は均一な軸長間隔で分けられた。第1の群は22mm未満の軸長を有する眼のすべてを含む。第2の群は22mmから23mm未満の軸長を有する眼を含む。第3の群は23mmから24mm未満の軸長を有する眼を含む。第4の群は24mmから25mm未満の軸長を有する眼を含む。第5の群は25mmから26mm未満の軸長を有する眼を含む。最後に、第6の群は26mm超の軸長を有する眼を含む。
【0023】
6つの軸長群に対する予測誤差が全体のデータセットから導き出された回帰係数を使用して計算される場合には、6つの軸長群のそれぞれに対する予測誤差が、各それぞれの群中の眼からのみ導き出された回帰係数を使用して個別に計算される場合よりも、結果はより不十分であった。グラフ100においては、アスタリスク(
*)は、回帰分析がすべての6つの群からすべての眼を使用して実行される場合には、眼のそれぞれの群に対する予測誤差(この場合、平均絶対誤差)を示す。対照的に、プラス(+)の記号は、回帰分析は、各それぞれの群のメンバーである眼のみを使用して、各群に対して個別に実行される場合には、眼のそれぞれの群に対する予測誤差を示す。図表100に図示したように、各群に対して個別に回帰分析が行うことによって取得された予測誤差は、予測誤差が、異なる眼軸長を考慮せずにすべての眼を一緒に回帰分析を行うことによって取得された場合よりも、それぞれの場合において低い。
【0024】
そのため、回帰係数を生成する断片化された方法は、特に比較的短眼及び長眼に対して、改善された方法である。いくつかの実施形態では、この断片化された回帰アプローチを適用するために最小約50事例が各群に使用されている(しかしながら、その他の実施形態では各群においてより多くまたはより少ない場合で使用され得る)。<22mmの軸長群において50の場合を有するには、一般に、このような眼は比較的稀であるため、比較的大きなデータセットを含むであろう。そのため、各軸長のビンに対する断片化された回帰分析のこの様式を実行するために必要なデータを取得することが困難な場合がある。
【0025】
その結果、眼を実質的に均一な軸長間隔の群に分けるよりもむしろ、その代わりに、眼は、各群内で実質的に均一ないくつかの眼を有する群の結果になる不均一な間隔で群に分けられ得る。この手法は均一な分類またはクラスタとして称されるだろう。この手法においては、回帰分析に使用される1つ以上のパラメータは1つ以上の比較的均一な寸法の群(対予め定義された軸長のビン)に分けられている。いくつかの実施形態では、本手法は断片化された分析の利点を可能にするが、22mm未満のビンのような各軸長ビンの一定数の場合を必要とする限定的な要素はない。より稀な眼の長さを含む群は、より一般的な眼の長さを含む群よりも軸長値のより大きな範囲を取り囲み得る。例えば、群は、より狭い範囲の軸長にわたるその他の群と同じ数のデータポイントを有する20.5mmから23mmの範囲の軸長を有する眼で形成され得る。
【0026】
規則的な軸長間隔で分割された手法と同様に、回帰は、均一なクラスタの手法における眼の各群の係数を生成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、最小の群又はクラスタの寸法は約50データポイントである。さらに、いくつかの実施形態では、最大約20群が形成され得る(しかし、より少ないまたはより多いデータポイント及び、より少ないまたはより多い群も、また、いくつかの実施形態で使用され得る)。例えば、群毎に最大50のデータポイントを使用する一実施形態では、2つの群の合計が、100データポイントを含むデータセットから形成され得るだろう。1000項より多くのデータセットは、20群を有し得る(1群当たり50データポイントと仮定)。いくつかの実施形態では、クラスタリング規則は以下であり得る。群(N)の数=(データポイント)/50。いくつかの実施形態では、Nは2から20の範囲である。切り捨て演算は、例えば、268または290項のデータセットは5群になるように含まれ得る(268/50=5.36→5及び290/50=5.8→5)。上記は、群の公式化の一例であるが、多くのその他の方法もまた可能である。
【0027】
図2は、IOL度数中の誤差を減少するIOL度数補正値を計算するために使用され得る、関係を決定する方法200の実施形態を示すフローチャートである。ブロック210では、眼のセットに対する手術後の屈折力の推定値が取得される。いくつかの実施形態では、眼は、同じ市販のIOLの型式を使用するIOL移植手術をすべて受けている。いくつかの実施形態では、眼は、LASIKまたはRKのような、同じまたは類似の屈折手術を以前にすべて受けている。IOL度数の推定は、手術前または手術中に各眼に決定され得る。各眼に対するIOL度数の推定は、眼に移植されるIOLの度数を選択するための基準として使用され得る。IOL度数の選択のため、推定された手術後の屈折力は、上記で述べたような屈折両眼転導の式を使用して計算され得る。いくつかの実施形態では、その他の屈折力の測定値もまた、使用され得るが、手術後の屈折力の推定値は等価球面度数値である。
【0028】
ブロック220では、眼の手術後の屈折力の実際の測定値が取得され得る。これらの測定は、例えば、自動屈折測定器、フォロプタまたはその他の好適な機器を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、その他の屈折力の測定値もまた、使用され得るが、手術後の屈折力の測定値は等価球面度数値である。これらの手術後の屈折力の測定値は、手術後の屈折力の推定値に存在した誤差を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、誤差値はデータセットで各眼に対して決定され、予測誤差値は、さらに本明細書で記載したように、全体のデータセットに対して、またはデータセットの副部に対して決定され得る。いくつかの実施形態では、予測誤差値はデータセットの眼に対する平均絶対誤差である。いくつかの実施形態では、予測誤差値はデータセットの眼に対する中央絶対誤差である。その他の実施形態では、予測誤差値は、手術後の屈折力が所望の範囲外である眼の比率であり、(例えば、手術後のSE屈折力が、+/−0.50D未満に達しない眼の比率)。
【0029】
ブロック230では、データセットにおける様々な眼の特徴の測定値を得ることができる。上述のように、これらの特徴は、例えば、軸長、角膜横径(WTW)、無水晶SE屈折力(手術中に直接測定されるか、または手術前の測定に基づいて理論的に計算されるか)、平均角膜曲率等を含み得る。いくつかの実施形態では、特徴の一つは、2つまたはそれ以上のその他の特徴の合成である。例えば、理論的な無水晶SE−測定された無水晶SEとして定義され得る、デルタ無水晶の屈折力が使用される。発明者は、このデルタ無水晶の屈折力値は、有利には、理論的無水晶の屈折力値または測定された無水晶の屈折力値単独の何れかよりも、予測誤差とより相関が強くてよいことを見出した。
【0030】
ブロック240では、データセット中の眼は軸長値に基づいて群に分けられ得る。本明細書に記載されたように、この分離は、群が実質的に均一な範囲の軸長にわたるように、規則的な軸長間隔で群を形成することによって行われ得る。あるいは、この分離は、不均一な範囲の軸長にわたるが、実質的に均一ないくつかの眼を含む群を形成することによって行われ得る。この種類の均一なクラスタを実行するためのアルゴリズムの例は、ここに提示されている。
【0031】
この均一なクラスタアルゴリズムの目的は、R次元設定のデータのセットをほぼ等しい項に分けることである。単純な例としては、10値の1次元設定を有し、それを等しく2つに分けたいと仮定する。(複数の値が許容されることに注意)
【表1】
第1に、データは分類され得る。次に、そのデータは、A及びBの2つの群に分けることができる。各寸法5=10/2=(値の数)/(分割の数)。
【表2】
以下を定義:N=値の数,整数,M=分割の数,整数。ここで、m=0からM−1に対する、次の整数の値をもつ領域の分離屈折率s(m)が算出され得る。
【数2】
分類されたデータがn=0からN−1に対しx[n]と呼ばれている場合、次に、実数値領域の分離値m=0からM−1に対しc(m)は下記によって与えられる:
c(m)=x[s(m)]
例えば上記のデータでは、c[0]=2及びc[1]=17。m指数(m=0からM−1)を使用して領域をラベル付けする。値をzとした場合、対応する領域のインデックスラベルは、以下の式を使用して算出され得る。
【数3】
元データを使用する第2の例として、ここでM=3とする。領域の分離屈折率は:
s(0)=Round(0)=0
s(1)=Round(10/3)=Round(3.333)=3
s(2)=Round(2
*10/3)=Round(6.666)=7
領域の分離値は:
c(0)=x[0]=2
c(1)=x[3]=11
c(2)=x[7]=19
zのいくつかの所与の値及び対応するインデックスラベルは:
【表3】
このクラスタリングのコンセプトをより高い寸法に拡張するために、寸法毎にいくつかの間隔を選択し、M[j],j=0からJ−1であり、式中、Jは寸法の数である。上記の式は、次に各寸法に適用され得る。i≠jに対し、M[i]=M[j]である必要はないことに注意する。
【0032】
IOL度数の推定値及び補正値の関連でこのクラスタリングを使用するために、入力データは、上記のクラスタリング手法によって(例えば、データセット内の眼軸長に基づいて)群に分けられ得る。次に、本明細書でさらに記載されているように、線形予測装置は各群のデータに適用され得る。インデックスラベルを計算するための前述の式は、IOLの結果予測の間に使用する線形予測装置のj−寸法インデックスを与える各寸法に適用され得る。
【0033】
図2のブロック250では、関係は、ブロック240で決定された各それぞれの群における、眼の予測誤差を低減するIOL度数補正値を計算するために、決定され得る。既に述べたように、いくつかの実施形態では、これは回帰分析を使用して行うことができる。回帰分析はデータセット中の眼の各軸長群で個別に行われ得る。本明細書で記載された様々な眼の特徴(及び/またはそれらの眼に移植されたIOLの特徴)と、眼の選択された軸長群に対する予測誤差との間の数学的関係、または製造誤差に直接関連するパラメータをモデル化するために、回帰分析は使用され得る。
【0034】
回帰分析は改善するためまたは目標とするパラメータを最適化するために使用され得る。目標とするパラメータは、選択された眼軸長群に関連する予測誤差または予測誤差に直接関連する別のパラメータであり得る。例えば、眼の特徴は、例えば、選択された軸長のビン中の眼に対して0.00の平均絶対誤差を取得するために既知の予測誤差に対し回帰する。これにより、選択された軸長群中の眼のIOL度数の推定を補正するために使用される場合、眼の群に対して0.00の平均絶対誤差の結果となる一連の係数をもたらす。これらの係数は、将来の患者のためにIOL度数の推定値を補正するために、それらの将来の患者の眼が属する軸長群に対応する係数を適用することによって使用され得る。別の実施例においては、眼の特徴は、手術後の屈折力が所望の閾値未満(例えば、+/−0.50D未満)である、選択された軸長群中の眼の比率を増加または最大化するために、予測誤差に対して回帰され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、軸長群中のそれぞれ及び全ての眼に対応するデータは、得られた回帰係数に因数分解される。例えば、眼の特定の軸長群が500の眼に対するデータのセットに含まれた場合、回帰分析は、予測誤差を最小化するか低減するために、すべての500データポイントを使用して回帰係数を決定することができる。しかしながら、その他の実施形態では、各軸長群中の代表的な眼のサブセットに対応するデータのみを使用することが有利であり得る。これは、例えば、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを使用して行われ得る。
【0036】
RANSACは、一連の観察データから数学的モデルの1つ以上のパラメータの推定を試みるために計算アルゴリズムである。このアルゴリズムは、トレーニングセットの良好なデータの残部に合致するが、無視されるべき異常値データ(アウトライア)の比較的大きな端数を許容するように設計されている。RANSACアルゴリズムは、各軸長群中のデータは、インライアで構成され、この分散は選択された眼の特徴と予測誤差との間の関係によって比較的よく説明され得ると仮定する。しかしながら、RANSACアルゴリズムもまた、各軸長群におけるデータは、モデルに合致しない異常値で構成される。手術後の屈折誤差の予測を改善するための眼内レンズ(IOL)を最適化する場合の履歴の適用においては、異常値データは、正しく記録されなかったデータ、生体測定誤差または未知の理由から非常に稀な光学的結果によるものの可能性がある。RANSACアルゴリズムは、異常値よりむしろインライアに主に基づいた回帰係数を決定し得る。いくつかの大きなIOLデータセットの経験評価を通じて、アルゴリズムパラメータ、誤差測定及び終了基準が、しっかりとした効率的な推定につながるように設けられ得る。
【0037】
RANSACアルゴリズムは、回帰係数を決定するためにすべてのデータを使用しない。その代わりに、アルゴリズムは各軸長群における眼のサブセットを無作為に選択し得る。いくつかの実施形態では、選択された眼のいくつかは、回帰分析で考えられるいくつかの眼の特徴の数の倍数であり得る。例えば、万一、回帰分析が4つの眼の特徴を考慮する場合(例えば、軸長、角膜横径(WTW)、デルタ無水晶の屈折力及び平均K)には、次に、無作為に選択された眼のいくつかは、4の倍数であり得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは無作為に、考えられる眼の特徴の数の2倍に対応する、眼の数を選択する。これにより、500の場合を含む軸長群には、アルゴリズムは無作為に、一度に分析するために8セットのデータのみを選択する(しかしその他の数の眼/データセットは使用され得る)。
【0038】
次にアルゴリズムは線形回帰分析を実行して、選択された眼のサブセットに対する予測誤差を改善または最適化する一連の係数を同定する。これらの回帰係数は、次に全軸長群に適用され、得られた予測誤差が決定される。次に、アルゴリズムは、無作為に軸長群から8つの眼を新しいセットを選択し、新しいセットの係数が計算され、次に眼の全軸長群に適用される。新しいセットの係数が、無作為に選択された眼の第1セットから計算された係数よりも、より良い予測誤差になった場合には、次に第1セットの係数は無視される。この過程は、得られた予測誤差が満足のいくように改善または最適化されるまで繰り返す(例えば、何万回)。
【0039】
各軸長群に対して、回帰係数を計算するためにすべてのデータを使用しないことで、アルゴリズムは、より最適な解答から係数を「引き離す」であろう無効なデータまたは極値データを効果的に排除する。このデータ(無効または極値)はRANSAC回帰分析にて使用されないものの、軸長群のために得られた予測誤差(平均誤差)を計算する際に使用される。すべてのデータもまた、標準偏差及び中央値のような統計測定を計算する際に使用され得る。したがって、このアルゴリズムは「無効な」データポイントを除かないが、むしろ単に回帰する際に使用しない。その代わりに、各軸長群に対する回帰係数は、全群に対する改善されまたは最適化された予測誤差という結果になる群内で無作為に選択された眼の特定のサブセットに基づいている。
【0040】
再度、アルゴリズムは平均誤差のような予測誤差の単一の測定のみを改善または最適化するために必要ではない。むしろ、保護誤差の任意の所望の測定を改善または最適化するために使用され得る。例えば、外科医は、0.33+/−0.25の平均誤差が0.38+/−0.32の平均誤差よりも良いことを理解するのが困難であり得る。しかし、外科医は、眼の85%の手術後のSEは、75%に対し+/−0.50D未満であることを理解している。したがって、回帰アルゴリズムは、<+/−0.50Dの手術後のSEを有する各軸長群中の眼の比率を改善または最適化できる。回帰分析は、典型的な鐘形の分布ではない曲線データの結果となるが、類似の手法では、頂点が比較的ふくらんで、底部では狭くなっている。アルゴリズムは、この目標を改善または最適化する軸長群内にデータセットを見つけることにより、より多くのデータを予測誤差が+/−0.5D未満の「スイートスポット」にさせる。
【0041】
データセットが、それぞれ50の眼(全眼で1000)を備える20の軸長群を含み、各群に対する回帰係数が50の眼のうち8つのみから計算され、次に、前述の技術は1000眼のうち160から生成された回帰係数の20セットの結果となる。各軸長群に対する回帰係数の異なるセットがあるため、不連続は隣接する軸長群の係数の間に存在する傾向にあると思われる。いくつかの実施形態では、軸長群間のこのような不連続を回避するには有利であり得る。例えば、23.99mmの軸長を有する眼に対して計算されたIOL度数補正値は、実質的に24.01mmの軸長を有する眼に対する補正値に類似することが望ましいであろう。この目的を達成するために、隣接する軸長群の各対間にブレンドゾーンが定義され、ブレンドゾーン係数はこのようなブレンドゾーンのそれぞれを決定され得る。
【0042】
ブレンドゾーンは、例えば、境界で各軸長群の幅の1/8を構成し得る(しかし、その他の軸長群の幅の分数もまた、使用され得る)。したがって、IOL度数補正値用の眼軸長は、軸長群の中央6/8あたりに属するように計算され、次に、その群に対応する回帰係数が適応されるであろう。しかしながら、新しいデータポイントが2つの軸長群の間の境界の1/8内にある場合には、次に、ブレンドゾーンに対応する回帰係数はそのデータポイントに使用され得る。この1/8値は、最適化の際にセット内のデータポイントの数によって、1/2から1/8の範囲で可変であり得る。その他の分数も使用され得る。各ブレンドゾーンに対する回帰係数を決定するために、2つの隣接するクラスタからの回帰係数のリニアブレンドが計算され得る。隣接する軸長群からの回帰係数をブレンドするその他の方法もまた、使用され得る。ブレンドゾーンの係数が実行される場合には、これは回帰係数の追加のN−2セットになり、Nは軸長群のすべての数に等しい。したがって、このような実施形態においては、回帰係数のすべての数のセットは2N−2であろう。
【0043】
図3は、患者の眼に挿入される眼内レンズ(IOL)の屈折力の推定を向上するための方法300の実施形態を示すフローチャートである。ブロック310では、患者の眼のためのIOL度数の推定値が計算される。いくつかの実施形態では、IOL度数の推定値は、患者の眼に対する無水晶の屈折力値に少なくとも部分的に基づいて計算される。本明細書で記載されているように、無水晶の屈折力値は、手術中に、波面収差測定器を使用して測定され得る。波面収差測定器は、本明細書で記載されているように、外科用顕微鏡に統合され得る。IOL度数の推定は、例えば、本明細書において以下に記述する屈折収束の式を使用して計算され得る。しかしながら、その他の技術もまた使用され得る。
【0044】
ブロック320では、患者の眼に対する軸長値が取得される。軸長値は任意の従来技術を使用して測定され得る。
【0045】
ブロック330では、処理装置は患者の眼の軸長値に基づいたIOL度数補正値を計算するための関係を選択する。本明細書で記載されるように、回帰係数は複数の軸長群のそれぞれを対象としている。処理装置は、患者の眼がどの軸長群に属するか、及びその軸長群に対応する回帰係数のどれが選択可能であるかを決定し得る。
【0046】
ブロック340では、処理装置はIOL度数補正値を計算する。これは、例えば、患者の眼の対応する特徴の値に、各それぞれの回帰係数を乗じることによって行われ得る。本明細書に記載されるように、このような特徴は、軸長、角膜横径、理論上の無水晶の屈折力、測定された無水晶の屈折力、理論上の無水晶の屈折力と測定された無水晶の屈折力との間の差及び平均角膜曲率を含み得る。いくつかの実施形態では、IOL度数補正値は、A*(軸長)+B*(角膜横径)+C*(理論上の無水晶の屈折力-測定された無水晶の屈折力)+D*(平均角膜曲率)で計算され、式中、A,B,C及びDは、患者の眼が属する軸長群に対応する回帰係数を表す。
【0047】
最後に、ブロック350では、IOL度数補正値が適用される。例えば、いくつかの実施形態では、IOL度数補正値は、所与のIOL度数値に対する患者の眼の手術後の屈折力の推定に適用される。いくつかの実施形態では、これは、手術後の屈折力の推定にIOL度数補正値を単に加えることによって行われる。しかしながら、その他の実施形態では、IOL度数補正値は、手術後の屈折力の推定とのいくつかのその他の数学的関係によって適用され得る。得られた調整された手術後の屈折力の推定は、外科医に、患者の手術後の屈折力の何が所与のIOL度数値になるかというより正確な表示を提供することができる。その結果、外科医は患者の眼の中に移植されるIOLの屈折力をより正確に選択することができる。
【0048】
前述の実施形態では、当業者が本明細書で記載されたこの装置、システム、方法等を製造し使用することができるレベルの詳細を記載してきた。しかしながら、多種多様な変動が可能である。例えば、部品、要素及び/または工程が変更、追加、除去または再配置され得る。
【0049】
本明細書で記載されるシステム及び方法は、例えば、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェア、ハードウェア及びファームウェアの任意の組み合わせを使用して有利に実行され得る。ソフトウェアモジュールは、本明細書で記載された機能を実行するためのコンピュータが実行可能なコードを備え得る。いくつかの実施形態では、コンピュータが実行可能なコードは、1つ以上の汎用コンピュータによって実行される。しかしながら、当業者は、本開示の見地から、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアを使用して実行され得る任意のモジュールは、また、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアの異なる組み合わせを使用して実行され得ることを理解するであろう。例えば、このようなモジュールは、集積回路の組み合わせを使用してハードウェア内で完全に実行され得る。あるいは、またはさらなる方法として、このようなモジュールは、汎用コンピュータによるよりもむしろ、本明細書で記載された特定の機能を実行するように設計された、専用コンピュータを使用して、完全にまたは部分的に実行され得る。加えて、少なくとも部分的にコンピュータソフトウェアによって実施されるまたは実施され得る方法が記載されている。このような方法はコンピュータで読み取り可能な媒体上(例えば、CDやDVD、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、ディスケット等)で提供されることができ、コンピュータまたはその他の処理装置によって読み取られるときに、この方法を実行させると理解すべきである。
【0050】
当業者は、また、本開示の見地から、複数の分散型計算装置は、本明細書で図示された任意の1つの計算装置と置き換えられ得ると理解するであろう。このような分散型の実施形態では、1つの計算装置の機能は、いくつかの機能が分散型計算装置のそれぞれにおいて実行されるように分散される。
【0051】
特定の実施形態を明白に記載してきたが、その他の実施形態は本開示に基づいて、当業者には明白になるだろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照することによって定義されることを意図し、単に明白に記載された実施形態に関することを意図していない。